(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184984
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】電磁駆動式反射板
(51)【国際特許分類】
G02B 26/08 20060101AFI20221206BHJP
H02K 33/16 20060101ALI20221206BHJP
G02B 26/10 20060101ALN20221206BHJP
【FI】
G02B26/08 E
H02K33/16 B
G02B26/10 104Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150170
(22)【出願日】2022-09-21
(62)【分割の表示】P 2018087023の分割
【原出願日】2018-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】近藤 淳
(57)【要約】
【課題】反射板本体に対する磁気素子の固定力を向上させることができる電磁駆動式反射板を提供する。
【解決手段】磁気素子3が接着剤100によって反射板本体2及び補強体4に固定されるとともに、この接着剤100の一部が、補強体4と反射板本体2との間の空隙部6に充填されることで、接着剤100が補強体4に対して引っ掛かり、反射板本体2及び補強体4から剥がれにくくなる。特に、Z方向の力(反射板本体2から面外方向に離れるような力)が磁気素子3に加わった場合に、接着剤100の剥がれが抑制される。このように、接着剤100を反射板本体2及び補強体4から剥がれにくくし、反射板本体2に対する磁気素子3の固定力を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射板本体と、
前記反射板本体の第一の面側に配置される磁気素子と、
前記第一の面に前記反射板本体を構成する基板材料が酸化した酸化材料で形成されて積層された酸化層、及び、当該酸化層における前記第一の面とは反対側に前記基板材料で形成されて積層され、一部が前記第一の面と対面するように前記酸化層から張り出した材料層、を有する補強体と、を備え、
前記補強体と前記反射板本体との間に、前記第一の面の面外方向の空隙部が、前記材料層のうち前記酸化層から張り出した部分と前記第一の面との間の空間として形成され、
前記磁気素子は、接着剤によって前記反射板本体と前記補強体とのうち少なくとも一方に固定され、
前記接着剤の一部が、前記空隙部に充填されていることを特徴とする電磁駆動式反射板。
【請求項2】
前記磁気素子は、前記第一の面に沿った板状に形成されるとともに、その周面に凹部を有し、
前記接着剤の他の一部が、前記凹部に充填されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁駆動式反射板。
【請求項3】
前記補強体は、前記第一の面から突出して前記磁気素子を囲むように配置され、
前記空隙部は、前記磁気素子に対面して形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁駆動式反射板。
【請求項4】
前記接着剤は、前記磁気素子と前記反射板本体の間に存在するとともに、一部が前記磁気素子の周縁と前記補強体との間、及び前記空隙部に充填されていることを特徴とする請求項3記載の電磁駆動式反射板。
【請求項5】
前記補強体には、一端が前記空隙部に連通するとともに他端が開放された貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の電磁駆動式反射板。
【請求項6】
前記磁気素子は、前記補強体上に載置されることを特徴とする請求項1に記載の電磁駆動式反射板。
【請求項7】
前記補強体には、一端が前記空隙部に連通するとともに、他端が少なくとも一部は前記磁気素子で覆われる位置に開口した接着剤導入穴が形成され、
前記接着剤は、前記磁気素子と前記補強体の間に存在するとともに、その一部が、前記接着剤導入穴を通って前記空隙部に充填されていることを特徴とする請求項6記載の電磁駆動式反射板。
【請求項8】
前記補強体と前記反射板本体との間には、複数の前記空隙部が、前記第一の面の面内方向に配列されて形成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の電磁駆動式反射板。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の電磁駆動式反射板と、
前記磁気素子に働きかけて前記電磁駆動式反射板を回動させる磁気アクチュエータと、を備えることを特徴とする光偏向器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁駆動式反射板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、反射板を回動させることで反射光を走査する光偏向器として、電磁駆動手段を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された光偏向器では、可動ミラー(反射板本体)に配置された可動磁石(磁気素子)と、固定コイル(磁気アクチュエータ)と、によって電磁駆動手段が構成されており、電磁力によって可動ミラーが変位するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような電磁駆動式の光偏向器においては、反射板本体に磁気素子(磁石又はコイル)を固定する必要があり、接着剤を用いて磁気素子を固定する方法が考えられる。しかしながら、反射板本体が回動する際に振動が発生したり、光偏向器が搭載される対象(例えば車両等の移動体)において振動が発生したりすることがあり、接着剤に外力が加わって剥がれてしまう可能性があった。接着剤が剥がれると磁気素子が反射板本体から脱落してしまうことから、固定力の向上が望まれていた。
【0005】
したがって、本発明の課題は、反射板本体に対する磁気素子の固定力を向上させることができる電磁駆動式反射板を提供することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の電磁駆動式反射板は、反射板本体と、前記反射板本体の第一の面側に配置される磁気素子と、前記第一の面に前記反射板本体を構成する基板材料が酸化した酸化材料で形成されて積層された酸化層、及び、当該酸化層における前記第一の面とは反対側に前記基板材料で形成されて積層され、一部が前記第一の面と対面するように前記酸化層から張り出した材料層、を有する補強体と、を備え、前記補強体と前記反射板本体との間に、前記第一の面の面外方向の空隙部が、前記材料層のうち前記酸化層から張り出した部分と前記第一の面との間の空間として形成され、前記磁気素子は、接着剤によって前記反射板本体と前記補強体とのうち少なくとも一方に固定され、前記接着剤の一部が、前記空隙部に充填されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施例に係る光偏向器を示す概略構成図である。
【
図2】前記光偏向器の電磁駆動式反射板を示す平面図である。
【
図4】本発明の第2実施例に係る光偏向器の電磁駆動式反射板を示す平面図である。
【
図6】前記電磁駆動式反射板の要部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態に係る電磁駆動式反射板は、反射板本体と、反射板本体の第一の面側に配置される磁気素子と、第一の面に設けられる補強体と、を備える。補強体と反射板本体との間に、第一の面の面外方向に離隔した空隙部が形成されている。磁気素子は、接着剤によって反射板本体と補強体とのうち少なくとも一方に固定される。接着剤の一部が、空隙部に充填されている。
【0009】
磁気素子が接着剤によって反射板本体と補強体とのうち少なくとも一方に固定されるとともに、この接着剤の一部が、補強体と反射板本体との間の空隙部に充填されることで、接着剤が補強体に対して引っ掛かり、反射板本体又は補強体から剥がれにくくなる。特に、反射板本体から面外方向に離れるような力が磁気素子に加わった場合に、接着剤の剥がれが抑制される。このように、接着剤を反射板本体又は補強体から剥がれにくくし、反射板本体に対する磁気素子の固定力を向上させることができる。
【0010】
磁気素子は、第一の面に沿った板状に形成されるとともに、その周面に凹部を有し、接着剤の他の一部が、凹部に充填されていることが好ましい。これにより、接着剤が凹部において磁気素子に引っ掛かり、磁気素子から剥がれにくくなる。従って、反射板本体に対する磁気素子の固定力をさらに向上させることができる。
【0011】
補強体は、第一の面から突出して磁気素子を囲むように配置され、空隙部は、磁気素子に対面して形成されていることが好ましい。これにより、磁気素子に対して第一の面の面方向の力が加わった場合に、反射板本体に対する磁気素子の位置ずれを抑制することができる。このとき、補強体と磁気素子との間には、面方向に離隔した第2の空隙部が形成されていてもよく、第2の空隙部にも接着剤が充填されていることが好ましい。
【0012】
補強体は、第一の面上に配置され、磁気素子は、補強体上に載置されていてもよい。即ち、反射板と補強体と磁気素子とがこの順で重ねられた構成であってもよく、この構成においても、接着剤を反射板本体又は補強体から剥がれにくくし、反射板本体に対する磁気素子の固定力を向上させることができる。
【0013】
補強体には、一端が空隙部に連通するとともに他端が開放された貫通孔が形成されていることが好ましい。これにより、接着剤を空隙部に充填する際に、貫通孔を気体抜き用の孔として用いることができ、即ち、空隙部に存在する気体を貫通孔から外部に放出することができる。従って、空隙部に気体が残留してしまうことを抑制することができる。
【0014】
本実施形態の光偏向器は、上記の電磁駆動式反射板と、磁気素子に働きかけて電磁駆動式反射板を回動させる磁気アクチュエータと、を備える。光偏向器が上記のような電磁駆動式反射板を備えることで、反射板本体に対する磁気素子の固定力を向上させることができる。
【実施例0015】
以下、本発明の各実施例について具体的に説明する。尚、第2実施例においては、第1実施例で説明する構成部材と同じ構成部材及び同様な機能を有する構成部材には、第1実施例と同じ符号を付すとともに説明を省略する。
【0016】
[第1実施例]
本実施例の光偏向器1は、
図1に示すように、電磁駆動式反射板10Aと、磁気アクチュエータ20と、光源30と、ビームスプリッタ40と、光源用レンズ50と、ディテクタ用レンズ60と、共用レンズ70と、ディテクタ80と、を備える。光偏向器1は、例えば車両に搭載されて赤外線等の光を送受信することで他車両や設置物等との距離を検出するために用いられる。
【0017】
光偏向器1では、光源30からの光が光源用レンズ50を通り、ビームスプリッタ40を経て電磁駆動式反射板10Aで反射されて走査対象領域へと照射される。また、走査対象領域からの戻り光は、共用レンズ70を通って電磁駆動式反射板10Aで反射され、ビームスプリッタ40及びディテクタ用レンズ60を通ってディテクタ80へと向かう。
【0018】
本実施例では、
図2に示すように、電磁駆動式反射板10Aの反射板本体2に沿った2方向をX方向及びY方向とし、XY平面に略直交する方向をZ方向とする。XY平面に沿った任意の方向が面方向となり、Z方向が面外方向となる。
【0019】
電磁駆動式反射板10Aは、反射板本体2と、磁気素子3と、補強体4と、を備える。本実施例における磁気素子3は永久磁石であり、磁気アクチュエータ20はコイル及びヨークを備えるものである。即ち、磁気アクチュエータ20のコイルに通電することにより、電磁駆動式反射板10Aを回動させる構成となっている。
【0020】
反射板本体2は、例えばシリコン基板により構成されたものであって、円板状部21と、一対のトーションバー22と、を一体に有する。
図3に示すように、円板状部21の第一の面2Aには、磁気素子3及び補強体4が設けられ、反対側の第2の面2Bが鏡面加工されて反射面となる。一対のトーションバー22は、反射板本体2の回動軸を定めるものであって、本実施例ではY方向に沿って延びているものとする。
【0021】
磁気素子3は、第一の面2Aに沿った四角形板状に形成され、反射板本体2の円板状部21における第一の面2A側に配置される。本実施例では、磁気素子3は接着剤100を介して第一の面2Aに固定される。磁気素子3は、その周面31に凹部32を有している。周面31とは、四角形板状の磁気素子3の4つの側面を意味する。凹部32は、周面31において、四辺に沿って(図示の例ではX方向又はY方向に沿って)延在するものであってもよいし、点在するものであってもよい。
【0022】
補強体4は、第一の面2Aから突出するとともに、磁気素子3を囲むように四角形枠状に形成されている。また、補強体4は反射板本体2と一体に形成されている。反射板本体2及び補強体4は、例えば、第1のSi層とSiO2層と第2のSi層とが順に積層されたシリコン基板にエッチング加工を施すことで形成されており、エッチング後に残る第2のSi層が反射板本体2を構成し、エッチング後に残る第1のSi層の一部とSiO2層の一部とが補強体4を構成する。
【0023】
補強体4は、SiO
2層の一部により構成される基端部41と、第1のSi層の一部により構成される先端部42と、を有する。尚、
図3では、四角形枠状の補強体4のうちY方向に延びる部分の断面を示しているが、補強体4の他の部分も同様の形状を有している。先端部42は、基端部41よりもXY平面内において内側に(即ち磁気素子3側に)向かって突出している。これにより、先端部42と第一の面2AとがZ方向に離隔し、補強体4と反射板本体2との間に、Z方向に離隔した空隙部6が形成される。空隙部6は、補強体4において磁気素子3に対面する側に形成されている。
【0024】
例えば、基端部41を構成するSiO2層のうち内側の一部をウエットエッチング等によって除去することにより、上記のように先端部42を内側に突出させ、空隙部6を形成すればよい。尚、反射板とは別体に形成された補強体を、接着等によって反射板本体の第一の面に固定してもよい。
【0025】
補強体4の先端部42には、Z方向に沿って延びる貫通孔43が形成されている。図示の例では、補強体4の各辺の中央部にそれぞれ1つずつ貫通孔43が形成されているが、貫通孔の数及び配置は適宜に設定されればよい。貫通孔43は、一端(
図3における下端)が空隙部6に連通するとともに、他端(
図3における上端)が開放されている。
【0026】
尚、磁気素子3にも、補強体4と同様に貫通孔が形成されていてもよい。即ち、一端(
図3における下端)が凹部32に連通するとともに、他端(
図3における上端)が開放された貫通孔を形成してもよい。
【0027】
ここで、磁気素子3を反射板本体2に固定する方法について詳細に説明する。まず、磁気素子3に対し、少なくとも下面(接着される面)33に接着剤100を塗布し、磁気素子3を補強体4の枠内且つ第一の面2A上に載置する。このとき、補強体4の内面と磁気素子3の周面31とは面方向に離隔して隙間が形成され、この隙間が第2の空隙部7となる。第2の空隙部7からさらに接着剤100が注入される。この接着剤100は空隙部6と凹部32と第2の空隙部7とに充填される。空隙部6に存在していた気体(空気)は、貫通孔43を通過して外部に放出される。また、磁気素子3に貫通孔を形成した場合も同様に、凹部32に存在していた気体が貫通孔を通過して外部に放出される。
【0028】
尚、磁気素子3の下面33及び周面31に接着剤100を塗布しておき、この磁気素子3を第一の面2Aに載置することにより、周面31の接着剤100が空隙部6に充填されるようにしてもよい。また、接着剤100が塗布されていない磁気素子3を第一の面2Aに載置し、第2の空隙部7から接着剤100を注入することにより、下面33と第一の面2Aとの間に接着剤100を充填してもよい。
【0029】
以上のように接着剤100を塗布または注入して硬化させることにより、磁気素子3が反射板本体2及び補強体4に固定される。これにより、接着剤100の一部が空隙部6に充填され、他の一部が凹部32に充填された状態となる。
【0030】
上記の構成により、磁気素子3が接着剤100によって反射板本体2及び補強体4に固定されるとともに、この接着剤100の一部が、補強体4と反射板本体2との間の空隙部6に充填されることで、接着剤100が補強体4に対して引っ掛かり、反射板本体2及び補強体4から剥がれにくくなる。特に、Z方向の力(反射板本体2から面外方向に離れるような力)が磁気素子3に加わった場合に、接着剤100の剥がれが抑制される。このように、接着剤100を反射板本体2及び補強体4から剥がれにくくし、反射板本体2に対する磁気素子3の固定力を向上させることができる。
【0031】
磁気素子3の周面31に凹部32が形成され、接着剤100の他の一部が凹部32に充填されることで、接着剤100が凹部32において磁気素子3に引っ掛かり、磁気素子3から剥がれにくくなる。従って、反射板本体2に対する磁気素子3の固定力をさらに向上させることができる。
【0032】
補強体4が磁気素子3を囲むように配置されていることで、磁気素子3に対してXY平面に沿った力が加わった場合に、反射板本体2に対する磁気素子3の位置ずれを抑制することができる。
【0033】
補強体4に貫通孔43が形成されていることで、接着剤100を空隙部6に充填する際に、貫通孔43を気体抜き用の孔として用いることができ、空隙部6に気体が残留してしまうことを抑制することができる。
【0034】
[第2実施例]
本実施例の光偏向器は、第1実施例の光偏向器1において、電磁駆動式反射板10Aに代えて
図4~6に示す電磁駆動式反射板10Bを用いたものである。
【0035】
電磁駆動式反射板10Bは、反射板本体2と、磁気素子8と、補強体9と、を備える。磁気素子8は、第一の面2Aに沿った四角形板状に形成されており、その周面には凹部は形成されていない。また、磁気素子8は、後述するように板状に形成された補強体9上に配置される。
【0036】
補強体9は、第一の面2A上に配置されるとともに、第一の面2Aの大部分を覆うように形成された板状の部材である。反射板本体2及び補強体9は、例えば、第1のSi層とSiO2層と第2のSi層とが順に積層されたシリコン基板にエッチング加工を施すことで形成される。第1のSi層及びSiO2層のうち外周近傍の部分が除去され、SiO2層が補強体9の第1層91を構成し、第1のSi層が補強体9の第2層92を構成する。また、除去されない第2のSi層が反射板本体2を構成する。
【0037】
補強体9には、接着剤導入穴93が形成されている。接着剤導入穴93は、
図6における上面側が開放され、Z方向に沿って延びて第一の面2Aにまで到達するものである。接着剤導入穴93は、第1層91において第2層92よりも内径が大きくなっている。これにより、第2層92と第一の面2AとがZ方向に離隔し、補強体9と反射板本体2との間に、Z方向に離隔した空隙部6が形成される。尚、補強体9の第2層92には、前記実施例と同様に、一端が空隙部6に連通するとともに他端が開放された貫通孔が形成されてもよい。このように貫通孔を形成する場合、貫通孔の他端は、磁気素子8が重ならない位置に配置されていることが好ましい。
【0038】
接着剤導入穴93は、
図4に示すようにZ方向から見て線状となっており、即ち、溝状に形成されている。本実施例では、X方向に沿って延びる2本の接着剤導入穴93と、Y方向に沿って延びる2本の接着剤導入穴93と、が互いに交差している。尚、接着剤導入穴の数及び形状は任意である。例えば、延在方向の異なる3本以上の溝状の接着剤導入穴が形成されてもよいし、曲線状に延在する溝状の接着剤導入穴が形成されてもよいし、Z方向から見て点状の接着剤導入穴が複数形成されてもよい。
【0039】
接着剤導入穴93は、例えばエッチングによって形成される。ドライエッチングによりSi層及びSiO2層を削って縦穴を形成した後、ウエットエッチングによってSiO2層のみを選択的に除去すれば、第1層91の内径を第2層92の内径よりも大きくすることができる。
【0040】
接着剤導入穴93に接着剤100を注入するとともに、補強体9の上面に接着剤100を塗布した後、磁気素子8を補強体9上に載置して硬化させる。これにより、磁気素子8が補強体9に固定されるとともに、接着剤100の一部が空隙部6に充填される。また、下面に接着剤100を塗布した磁気素子8を補強体9上に載置することにより、接着剤100の一部が空隙部6に充填されるようにしてもよい。
【0041】
上記の構成により、磁気素子8が接着剤100によって補強体9に固定されるとともに、この接着剤100が、補強体9と反射板本体2との間の空隙部6に充填されることで、接着剤100が補強体9に対して引っ掛かり、補強体9から剥がれにくくなる。特に、Z方向の力(反射板本体2から面外方向に離れるような力)が磁気素子8に加わった場合に、接着剤100の剥がれが抑制される。このように、接着剤100を補強体9から剥がれにくくし、反射板本体2に対する磁気素子8の固定力を向上させることができる。
【0042】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0043】
例えば、前記第1実施例では、磁気素子3の周面31に凹部32が形成されているものとしたが、例えば接着剤100と磁気素子3との接着強度が高い場合には、凹部32は形成されていなくてもよい。また、前記第2実施例では、磁気素子8の周面に凹部が形成されていないものとしたが、例えば磁気素子8の下面だけでなく周面にも接着剤を塗布する場合には、周面に凹部を形成してもよい。
【0044】
また、前記第1実施例では、補強体4に貫通孔43が形成されているものとしたが、例えば空隙部6に気体が残留しにくい場合には、貫通孔43は形成されなくてもよい。接着剤100の粘性が低い場合や、XY平面内における空隙部6の寸法が小さい場合や、空隙部6に接着剤100を充填した後に磁気素子3を載置する場合等には、空隙部6に気体が残留しにくい。
【0045】
また、前記第1実施例では、磁石である磁気素子3が反射板本体に配置されるものとしたが、少なくともコイルを有するユニットを、磁気素子として反射板本体に配置してもよい。
【0046】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施例に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施例に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。