(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185014
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 9/00 20060101AFI20221206BHJP
F28F 3/00 20060101ALI20221206BHJP
F28D 9/00 20060101ALI20221206BHJP
B60K 11/02 20060101ALI20221206BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20221206BHJP
【FI】
F28F9/00 D
F28F3/00 301Z
F28D9/00
B60K11/02
B60K1/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153495
(22)【出願日】2022-09-27
(62)【分割の表示】P 2018139340の分割
【原出願日】2018-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001472
【氏名又は名称】特許業務法人かいせい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 龍
(72)【発明者】
【氏名】尾形 豪太
(57)【要約】
【課題】流量調整部を構成する電気部品の熱影響を低減することができる流量調整部一体型の熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器1は、冷媒の流量を調整する流量調整部300と、流量調整部300から流出する冷媒と冷却水とを熱交換させる熱交換部400と、を含む。流量調整部300は、冷媒が流通する通路面積を変化させる弁体部310と、弁体部310を駆動変位させる駆動部320と、を有する。駆動部320は、電気信号を処理する回路基板330と、回路基板330を収容するケース360と、を有する。ケース360と熱交換部400とは、互いに熱移動可能に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1熱媒体の流量を調整する流量調整部(300)と、
前記流量調整部から流出する前記第1熱媒体と第2熱媒体とを熱交換させる熱交換部(400)と、
を含み、
前記流量調整部は、前記第1熱媒体が流通する通路面積を変化させる弁体部(310)と、前記弁体部を駆動変位させる駆動部(320)と、を有し、
前記駆動部は、電気信号を処理する回路基板(330)と、前記回路基板を収容するケース(301、360)と、を有し、
前記ケースと前記熱交換部とは、互いに熱移動可能に配置されている熱交換器。
【請求項2】
前記ケースの少なくとも一部は、前記熱交換部を構成するいずれかの面に沿って配置されている請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記熱交換部は、複数の板状部材(401)が積層配置されたことにより構成されており、
前記ケースの少なくとも一部は、前記複数の板状部材の最上層に対応する上面(410)、前記複数の板状部材の最下層に対応する下面(420)、及び、前記複数の板状部材の積層方向に平行な側面(430)、のいずれかの面に沿って配置されている請求項1に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記熱交換部は、直方体状に構成されている請求項2または3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記ケースと前記熱交換部との間に熱伝導部材(500)が配置されている請求項1ないし4のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項6】
前記ケースは、少なくとも前記熱交換部側が高熱伝導部材(301)で形成されている請求項1ないし5のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項7】
前記回路基板の法線方向において、前記熱交換部と前記回路基板とが重合配置されている請求項1ないし6のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項8】
前記流量調整部は、前記弁体部を駆動変位させるアクチュエータ(340)と、前記流量調整部を通過する前記第1熱媒体の物理量を検出するセンサ(350)と、を含む請求項1ないし7のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項9】
前記流量調整部へ前記第1熱媒体を流入させる流入部(100)と、
前記熱交換部から前記第1熱媒体を流出させる流出部(200)と、
を含み、
前記流入部と前記流出部とは互いに熱伝達が抑制可能な別部材で形成されている請求項1ないし8のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項10】
前記流量調整部は、バルブボディ(301)とセンサボディ(302)とを含み、
前記バルブボディに設けられた前記流入部と、前記センサボディに設けられた前記流出部と、は分割されている請求項9に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記熱交換部は、動作時に発熱を伴う車載機器の温度調整のために用いられる請求項1ないし10のいずれか1つに記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、第1熱媒体と第2熱媒体との熱交換を行う熱交換器が、例えば特許文献1で提案されている。熱交換器には、第1熱媒体の流入量を制御するための流量調整部が一体化されている。
【0003】
流量調整部は、第1熱媒体が流通する通路面積を変化させる弁体部と、弁体部を変位させる電動式の駆動部と、を含む。駆動部は、弁体部を変位させるアクチュエータと、アクチュエータを制御する制御部と、を含む。制御部は、アクチュエータに一体化されていると共に、熱交換器から離れた位置に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国実用新案第205940233号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、制御部はアクチュエータを制御するための部品として、回路基板や電子デバイスを含んでいる。このため、回路基板の発熱に伴う電子デバイスの熱劣化、電気接合部の冷熱耐久性、アクチュエータの発熱に伴う減磁による出力低下等の熱影響が問題となる。熱交換器及び流量調整部が高温環境下に配置される場合には、これらの熱影響が顕著になってしまう。また、極低温環境下では、制御部が正常に機能しない可能性がある。
【0006】
本発明は上記点に鑑み、流量調整部を構成する電気部品の熱影響を低減することができる流量調整部一体型の熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、第1熱媒体の流量を調整する流量調整部(300)と、流量調整部から流出する第1熱媒体と第2熱媒体とを熱交換させる熱交換部(400)と、を含む。
【0008】
流量調整部は、第1熱媒体が流通する通路面積を変化させる弁体部(310)と、弁体部を駆動変位させる駆動部(320)と、を有している。駆動部は、電気信号を処理する回路基板(330)と、回路基板を収容するケース(301、360)と、を有している。ケースと熱交換部とは、互いに熱移動可能に配置されている。
【0009】
これによると、ケースと熱交換部とが互いに熱移動可能に配置されているので、ケースの内部の温度を熱交換部の温度に近づけることができる。このため、ケースの内部の熱を熱交換部へ移動させやすくすることができる。逆に、極低温時に熱交換部の熱をケースに移動させて回路基板を暖機することができる。したがって、流量調整部を構成する電気部品の熱影響を低減することができる。
【0010】
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る熱交換器の斜視図である。
【
図2】
図1に示された熱交換器の一部分解斜視図である。
【
図4】
図1に示された熱交換器の作用効果を示した斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係る熱交換器の変形例を示した斜視図である。
【
図6】第1実施形態に係る熱交換器の変形例を示した斜視図である。
【
図7】第2実施形態に係る熱交換器の側面図である。
【
図8】第3実施形態に係る熱交換器の斜視図である。
【
図9】
図8に示された熱交換器の一部分解斜視図である。
【
図11】第4実施形態に係る熱交換器の上面図である。
【
図12】
図11に示された熱交換器の作用効果を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。
図1に示された流量調整部一体型の熱交換器1は、例えば、車両に搭載された2次電池を適切な温度に調整する電池温調装置に用いられる。なお、電池温調装置は、車室内空間を適切な温度に調整する空調装置としても機能する。
【0014】
電池温調装置は、走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得る電気自動車に搭載される。電気自動車は、車両停車時に外部電源から供給された電力を、車両に搭載された2次電池に充電可能となっている。外部電源は例えば商用電源である。2次電池に蓄えられた電力は、走行用電動モータのみならず、電池温調装置を構成する電動式構成機器をはじめとする各種車載機器に供給される。
【0015】
電池温調装置は、第1熱媒体として冷媒が循環する冷凍サイクル装置と、第2熱媒体としての低温冷却水が循環する低温冷却水回路と、高温冷却水が循環する高温冷却水回路と、を含む。低温冷却水回路は、2次電池の熱を低温冷却水で受け取る熱媒体回路である。
冷凍サイクル装置が構成する冷媒回路は、熱交換器1を介して低温冷却水回路の低温冷却水の熱を冷媒で受け取る熱媒体回路である。高温冷却水回路は、高温側水-冷媒熱交換器を介して冷凍サイクル装置の冷媒の熱を高温冷却水で受け取る熱媒体回路である。
【0016】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、冷媒が特許請求の範囲の「第1熱媒体」に対応し、低温冷却水が特許請求の範囲の「第2熱媒体」に対応する。
【0017】
続いて、熱交換器1の具体的な構成について説明する。
図1~
図3に示されるように、流量調整部一体型の熱交換器1は、流入部100、流出部200、流量調整部300、及び熱交換部400を含んでいる。
【0018】
流入部100は、流量調整部300へ冷媒を流入させる入口部分である。流出部200は、熱交換部400から冷媒を流出させる出口部分である。流入部100及び流出部200は、バルブボディ301に形成されている。バルブボディ301は、AlやCu等の金属材料によって形成されている。
【0019】
流量調整部300は、冷媒を減圧させる減圧部であると共に、熱交換部400へ流入する冷媒の流量を調整する。流量調整部300は、バルブボディ301の他に、弁体部310及び駆動部320を含む。弁体部310は、バルブボディ301に内蔵されている。弁体部310は、弁体の絞り開度を変更可能に構成された可変絞り機構である。弁体部310は、流入部100からバルブボディ301へ流入する冷媒が流通する通路面積を変化させる。
【0020】
駆動部320は、弁体部310を駆動変位させる。駆動部320は、回路基板330、アクチュエータ340、センサ350、及びケース360を含む。
【0021】
回路基板330は、四角形状の平坦面を持つ平板である。回路基板330は、センサ350の検出信号やアクチュエータ340を制御する電気信号を処理する電気回路が構成されている。回路基板330は、トランジスタ、コンデンサ、抵抗素子等の発熱素子331を含む。
【0022】
アクチュエータ340は、弁体部310の弁体の開度を変化させる駆動部品である。アクチュエータ340は、例えば、ステッピングモータである。アクチュエータ340は、ケース360の一部を構成するバルブボディ301に固定されている。センサ350は、流量調整部300を通過する冷媒の物理量として温度及び圧力を検出する。アクチュエータ340及びセンサ350は、回路基板330の電気回路に電気的に接続されている。センサ350のセンシング部はバルブボディ301に配置されている。
【0023】
ケース360は、バルブボディ301に固定されることで、アクチュエータ340、センサ350、及び回路基板330を収容する。つまり、バルブボディ301の一部がケース360の一部を構成する。ケース360は、樹脂材料によって形成されている。ケース360は、少なくとも、熱交換部400と回路基板330とが熱移動可能な材質であれば良い。つまり、ケース360は樹脂材料と金属材料とが混合している。したがって、ケース360は、少なくとも熱交換部400側が高熱伝導部材で形成されている。
【0024】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、バルブボディ301が特許請求の範囲の「ケース」及び「高熱伝導部材」に対応する。
【0025】
熱交換部400は、流量調整部300から流出する冷媒と、低温冷却水回路を循環する低温冷却水と、を熱交換させる。熱交換部400は、いわゆるチラーである。
【0026】
図1及び
図2に示されるように、熱交換部400は、複数の板状部材401が所定間隔を設けて積層配置されたことにより直方体状に構成されている。すなわち、熱交換部400は、複数の板状部材401の最上層に対応する上面410、複数の板状部材401の最下層に対応する下面420、及び、複数の板状部材401の積層方向に平行な側面430を有する。
【0027】
積層された複数の板状部材401は、冷媒と低温冷却水とを熱交換するコア部を構成する。各板状部材401は細長の略矩形状の部材である。各板状部材401は、例えばアルミニウム芯材の両面にろう材をクラッドした両面クラッド材である。
【0028】
隣接する板状部材401の間には空間が形成されている。この空間が冷媒流路及び冷却水流路を構成する。冷媒流路及び冷却水流路は、板状部材401の積層方向に交互に形成されている。
【0029】
板状部材401は、冷媒流路と冷却水流路とを仕切る隔壁である。また、板状部材401は、冷媒流路を流れる冷媒と冷却水流路を流れる低温冷却水とを熱交換させる伝熱プレートとしての機能を有する。例えば、熱交換部400では、冷媒流路の冷媒流れ方向と、冷却水流路の冷却水流れ方向は反対方向である。つまり、冷媒と低温冷却水とは対向流となる。
【0030】
本実施形態では、熱交換部400は、上面410に対応する板状部材401に、冷媒の流入口402及び流出口403と、低温冷却水の流入口404及び流出口405と、を有する。また、熱交換部400は、下面420に対応する板状部材401に、熱交換器1を取付対象に固定するためのフランジ406を有する。
【0031】
上記の構成において、流量調整部300と熱交換部400とは一体的に構成されている。流量調整部300の弁体部310は、熱交換部400の流入口402に固定される。流出部200は、熱交換部400の流出口403に固定される。
【0032】
また、ケース360と熱交換部400とは、互いに熱移動可能に配置されている。すなわち、ケース360の少なくとも一部が、熱交換部400の外表面を構成する上面410、下面420、側面430の少なくとも一部に沿って配置されている。本実施形態では、ケース360は、熱交換部400の一つの側面430に沿って配置されている。言い換えると、回路基板330の少なくとも一部と熱交換部400の少なくとも一部とが互いに向かい合って配置されている。
【0033】
なお、「沿う」とは、ケース360の一側面が熱交換部400の外表面に平行に配置される場合だけでなく、傾斜して配置される場合も含む。また、「沿う」とは、ケース360が熱交換部400に接触している場合も接触していない場合も両方含む。
【0034】
ケース360に収容された回路基板330については、回路基板330の法線方向において、熱交換部400と回路基板330とが重合配置される。ここで、回路基板330の法線方向とは、回路基板330の外表面に対して垂直な方向である。回路基板330は例えば6面あるので、法線方向は6方向ある。よって、回路基板330と熱交換部400とが重合配置される際の法線方向は、6方向のうちの1方向で良い。
【0035】
また、「重合配置」とは、法線方向において、熱交換部400と回路基板330とがオーバーラップして配置される場合を含む。あるいは、「重合配置」とは、法線方向において、熱交換部400と回路基板330とが重なり合う場合を含む。
【0036】
回路基板330は、法線方向において、熱交換部400を構成する上面410、下面420、側面430のいずれかの面に重合配置される。本実施形態では、ケース360と同様に、熱交換部400の一つの側面430に重合配置されている。さらに、回路基板330に実装された発熱素子331は、回路基板330のうち熱交換部400に重合配置された領域に選択的に設けられている。
【0037】
回路基板330の6面のうち発熱素子331が実装された平坦面とこの平坦面の反対側の裏面の法線方向において、熱交換部400と回路基板330とが重なり合う配置関係が最も効果が高い配置関係である。さらに、法線方向において、発熱素子331の少なくとも一部と熱交換部400とが重なっていると良い。
【0038】
以上説明したように、本実施形態では、熱交換部400は流量調整部300と熱交換部400とが一体的に構成された状態で使用される。熱交換部400は、冷媒と低温冷却水との熱交換によって例えば30℃前後の温度を維持する。一方、回路基板330は、アクチュエータ340の動作や発熱素子331の動作に伴って例えば120℃前後の温度になる。
【0039】
しかしながら、ケース360と熱交換部400とが互いに熱移動可能に配置されている。また、回路基板330の法線方向において、熱交換部400と回路基板330とが重合配置されている。よって、熱交換部400とケース360とを近接配置することができる。また、熱交換部400と回路基板330とを近接配置することができる。
【0040】
このため、
図4に示されるように、破線部で示された領域において、ケース360の内部の熱や通電時に回路基板330で発生する熱を熱交換部400へ移動させやすくすることができる。すなわち、上記の温度差によって、ケース360の内部空間を冷却することができる。また、回路基板330を冷却することができる。したがって、流量調整部300を構成する電気部品の熱影響を低減することができる。電気部品の熱影響の低減によって、発熱素子331や他の回路素子の品質低下を抑制できる。また、アクチュエータのロースペック化も可能になる。
【0041】
変形例として、熱交換器1は、電池温調装置以外の装置に適用しても良い。例えば、熱交換器1の熱交換部400は、動作時に発熱を伴う車載機器の温度調整のために用いられても良い。車載機器は、例えば、発電機、インバータ、モータジェネレータ、充放電器等である。また、熱交換部400がケース360の内部あるいは回路基板330よりも温度が高い状況では、熱交換部400の熱をケース360や回路基板330に移動させることができる。したがって、例えば、極低温時に、熱交換部400の熱をケース360や回路基板330に移動させてケース360の内部や回路基板330を暖機することができる。
【0042】
変形例として、ケース360の全体が樹脂材料によって形成されていても良い。あるいは、ケース360の全体が金属材料によって形成されていても良い。
【0043】
変形例として、
図5及び
図6に示されるように、ケース360は、熱交換部400の他の側面430に沿って配置されていても良い。この場合、回路基板330もケース360と同様に熱交換部400の他の側面430に重合配置される。よって、
図5に示された太線に対応する領域において、熱交換を行うことができる。
【0044】
変形例として、ケース360が熱交換部400のいずれかの面に沿って配置されていれば、ケース360の内部の回路基板330は回路基板330の法線方向において熱交換部400に重合配置されていなくても良い。ケース360の内部空間が温度調整されるので、回路基板330も温度調整される。
【0045】
変形例として、冷媒の流入口402及び流出口403と、低温冷却水の流入口404及び流出口405と、は熱交換部400の上面410に限られず、側面430や下面420に設けられていても良い。また、冷媒の流入口402及び流出口403と、低温冷却水の流入口404及び流出口405と、は熱交換部400のうち異なる面に設けられていても良い。
【0046】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。
図7に示されるように、ケース360と熱交換部400との間に熱伝導部材500が配置されている。これは、回路基板330と熱交換部400とが重合配置されている場合、回路基板330と熱交換部400との間に熱伝導部材500が配置されているとも言える。熱伝導部材500は、例えば、AlやCu等の金属材料である。これにより、ケース360あるいは回路基板330と熱交換部400との間の熱移動をさらに容易にすることができる。
【0047】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる部分について説明する。
図8~
図10に示されるように、流入部100と流出部200とは互いに熱伝達が抑制可能な別部材で形成されている。ここで、別部材とは、流入部100と流出部200とは物体が分離した状態である。よって、流入部100と流出部200とが接触した状態であっても、流入部100と流出部200とは物体が互いに分離している。
【0048】
本実施形態では、流量調整部300は、バルブボディ301とセンサボディ302とを含む。流入部100及び弁体部310はバルブボディ301に形成されている。流出部200はセンサボディ302に形成されている。センサボディ302は、熱交換部400の冷媒の流出口403に固定される。すなわち、バルブボディ301に設けられた流入部100と、センサボディ302に設けられた流出部200と、は分割されている。バルブボディ301及びセンサボディ302はケース360に固定されている。バルブボディ301及びセンサボディ302は、Al、Alを主体とする合金、Cu、Cuを主体とする合金等の金属材料によって形成されている。すなわち、流入部100及び流出部200は、例えば、Al、Alを主体とする合金、Cu、Cuを主体とする合金等の金属材料で構成されている。
【0049】
以上の構成によると、流入部100と流出部200が、互いに別部材で形成されているので、熱交換部400から流出する冷媒の有する熱が流量調整部300へ流入する冷媒へ伝達されてしまうことを抑制できる。また、熱交換部400から流出する冷媒の有する熱が熱交換部400へ流入する冷媒へ伝達されてしまうことも抑制できる。したがって、熱交換部400における熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0050】
また、流入部100と流出部200とが分割されているので、バルブボディ301とセンサボディ302とが一つの物体として構成される場合よりも2物体に分割されたことにより表面積が増える。よって、バルブボディ301及びセンサボディ302を介した放熱性を向上させることができる。また、熱交換部400に対するバルブボディ301及びセンサボディ302のロウ付け性を向上させることができる。
【0051】
さらに、流入部100と流出部200とが分割されているので、冷媒が熱交換部400に流入する影響と、冷媒が熱交換部400から流出する影響と、を分けることができる。冷媒が熱交換部400に流入する影響には弁体部310の動作の影響も含まれる。このため、センサ350がセンサボディ302を通過する冷媒の温度及び圧力を検出する場合、バルブボディ301の影響を外乱として受けずに済む。よって、センサ350への外乱を抑制することができる。
【0052】
変形例として、流入部100及び流出部200は、熱交換部400の上面410に限られず、側面430や下面420に設けられていても良い。また、流入部100及び流出部200は、熱交換部400のうち異なる面に設けられていても良い。
【0053】
変形例として、流入部100はバルブボディ301から分離されていても良いし、流出部200はセンサボディ302から分離されていても良い。流入部100及び流出部200は、バルブボディ301及びセンサボディ302と同じ材料で構成されていても良いし、異なる材料で構成されていても良い。流入部100及び流出部200は、例えばステンレス等の他の金属材料で構成されていても良い。流入部100及び流出部200は、互いに異なる金属材料で構成されていても良い。流入部100及び流出部200は互いに熱伝導が困難な材料で構成されていても良い。
【0054】
(第4実施形態)
本実施形態では、第3実施形態と異なる部分について説明する。
図11に示されるように、ケース360は、流入部100と流出部200との間に配置されている。すなわち、ケース360は、バルブボディ301とセンサボディ302との間に配置されている。また、ケース360の全体が熱交換部400の上面410に配置される。
【0055】
そして、回路基板330と熱交換部400とが重合配置される領域が回路基板330の全体になる。また、ケース360の全体が熱交換部400の上面410に沿っている。したがって、
図12に示されるように、破線部で示された領域において、ケース360の内部の熱や通電時に回路基板330で発生する熱を熱交換部400へ移動させやすくすることができる。
【0056】
また、流入部100と流出部200とがケース360によって引き離されている。このため、流入部100と流出部200とが互いに影響しにくくなるようにすることができる。
【0057】
変形例として、回路基板330は、実装面が熱交換部400の上面410に対して垂直になるように立てられた状態でケース360に収容されても良い。
【0058】
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された熱交換器1の構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明を実現できる他の構成とすることもできる。例えば、熱交換器1が適用される電池温調装置は電気自動車に搭載されているが、電池温調装置は、内燃機関及び走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得るハイブリッド自動車に搭載されていても良い。また、電池温調装置は、車両用に限られず、車両用以外の2次電池に適用しても良い。熱交換器1は電池温調装置以外の装置に適用されても良い。
【0059】
また、上記実施形態では、熱媒体として冷却水や冷媒を用いているが、油等の各種媒体を熱媒体として用いても良い。熱交換部400は空気と冷媒とを熱交換させるものでも良い。
【符号の説明】
【0060】
300 流量調整部
301 バルブボディ
310 弁体部
320 駆動部
330 回路基板
331 発熱素子
360 ケース
400 熱交換部
401 板状部材
410 上面
420 下面
430 側面