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特開2022-185035大規模独立型チラー、オールインワンロータリ蒸発器及びそれに関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185035
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】大規模独立型チラー、オールインワンロータリ蒸発器及びそれに関連する方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 3/00 20060101AFI20221206BHJP
   B01D 5/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B01D3/00 C
B01D5/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022155731
(22)【出願日】2022-09-29
(62)【分割の表示】P 2020502543の分割
【原出願日】2018-04-03
(31)【優先権主張番号】62/480,657
(32)【優先日】2017-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519356618
【氏名又は名称】エコディスト,インク.
【氏名又は名称原語表記】ECODYST,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】アジャベン,ジョージ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】費用対効果が高く、使い易く、十分な冷却及び凝縮能力を提供するロータリ蒸発器装置を提供する。
【解決手段】統合されたロータリ蒸発器装置であって、試料を蒸発させて試料蒸発物を形成するように構成された垂直方向に配向された蒸発器200と、前記蒸発器内の前記試料を混合するように構成された混合装置と、蒸発した試料を凝縮物に凝縮するように構成された凝縮器と、前記凝縮物を収集するように構成された収集容器300と、前記蒸発器内に真空を生成するように構成された真空ポンプと、前記凝縮器に統合された冷却システム100と、を備える、ロータリ蒸発器装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合されたロータリ蒸発器装置であって、
試料を蒸発させて試料蒸発物を形成するように構成された垂直方向に配向された蒸発器と、
前記蒸発器内の前記試料を混合するように構成された混合装置と、
蒸発した試料を凝縮物に凝縮するように構成された凝縮器と、
前記凝縮物を収集するように構成された収集容器と、
前記蒸発器内に真空を生成するように構成された真空ポンプと、
前記凝縮器に統合された冷却システムと、を備え、
垂直方向に配向された蒸発器、混合装置、凝縮器、収集容器、真空ポンプ及び冷却システムは、単一の装置に統合されている、統合されたロータリ蒸発器装置。
【請求項2】
前記混合装置は、前記試料を毎分約500~約6,000回転(rpm)で攪拌するように構成されたオーバーヘッド攪拌器を備える請求項1に記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
【請求項3】
前記垂直方向に配向された蒸発器は、約6L~約100Lの容積を有する大容積容器を備える請求項1から2のいずれかに記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
【請求項4】
前記垂直方向に配向された蒸発器は、生成物排出弁を備え、前記垂直方向に配向された蒸発器は、試料弁を備える請求項1~3のいずれか一項に記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
【請求項5】
前記試料を前記垂直方向に配向された蒸発器内で加熱するように構成された加熱マントルを更に含む請求項1~4のいずれか一項に記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
【請求項6】
前記凝縮器に接触する試料蒸発物を冷却し、凝縮する前記能力を前記凝縮器に提供するように、前記凝縮器に係合するように構成された冷却コイルを更に備える請求項1~5のいずれか一項に記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
【請求項7】
前記冷却システムは、凝縮器及び冷媒を含み、前記冷却システムは、前記凝縮器に冷却剤を供給することによって、前記蒸発器からの前記試料蒸発物を凝縮する請求項1~6のいずれか一項に記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
【請求項8】
前記冷却剤は、前記凝縮器内部の二重コイルに供給され、凝縮器内部の前記二重コイルは、前記試料蒸発物に接触するように構成される請求項1~7のいずれか一項に記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
【請求項9】
全ての構成要素を単一の装置に統合するように構成された構造フレームを更に備える請求項1~8のいずれか一項に記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
【請求項10】
前記凝縮器は、直列に配置された2つ以上の凝縮器を備える請求項1~9のいずれか一項に記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
【請求項11】
前記凝縮器及び/又は冷却システムの前記冷却能力を増減させるように構成された適応冷却レギュレータを更に備える請求項1~10のいずれか一項に記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
【請求項12】
前記適応冷却レギュレータは、デジタル化された膨張弁を備える請求項1~11のいずれか一項に記載の統合された統合されたロータリ蒸発器装置。
【請求項13】
前記適応冷却レギュレータは、前記蒸発器からの熱負荷の増加を検出すると、前記凝縮器及び/又は冷却システムの前記冷却能力を増加させ、前記適応冷却レギュレータは、前記蒸発器からの熱負荷の減少を検出すると、前記凝縮器及び/又は冷却システムの冷却能力を減少させる請求項1~12のいずれか一項に記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
【請求項14】
容器又は貯蔵器内の液体、蒸気又は他の媒体を冷却するように構成された独立型大規模チラーであって、
熱が除去される液体、蒸気又は他の媒体を収容する容器又は貯蔵器内に配置、又は浸漬されるように構成された熱交換器又は蒸発器と、
凝縮器と、
圧縮器と、
温度制御装置と、を備え
各構成要素は、単一の独立型チラーに統合され、前記チラーは、熱が除去される液体、蒸気、又は他の媒体を収容する任意の容器又は貯蔵器と共に汎用的に使用するように構成され、
前記チラーは-10℃で約4000ワットの冷却能力を有する、独立型大規模チラー。
【請求項15】
前記凝縮器、圧縮機及び温度制御装置を包囲する筐体を更に備え、前記熱交換器を、容器又は貯蔵器内に浸漬するか又は配置できるように、前記筐体の外側に配置する請求項15に記載の独立型大規模チラー。
【請求項16】
前記容器又は貯蔵器内の前記液体、蒸気又は他の媒体を循環させる為のポンプを更に備える請求項14~15のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
【請求項17】
真空ポンプ及び制御装置を更に備える請求項14~16のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
【請求項18】
前記熱交換器、凝縮器及び圧縮機は、冷媒を更に備え、前記熱交換器、凝縮器及び圧縮機は、互いに流体連通している請求項14~17のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
【請求項19】
ロータリ蒸発器内の凝縮器として使用されるように構成された熱交換器を更に備える請求項14~18のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
【請求項20】
前記チラー筐体の外部にポンプを更に備え、前記ポンプは、取外し可能な貯蔵器を備え、前記ポンプは、前記貯蔵器の支持構造として構成され、前記熱交換器は、前記貯蔵器内に配置されるように構成される請求項14~19のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
【請求項21】
前記熱交換器を取り囲む二重壁容器を更に備える請求項14~20のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
【請求項22】
前記熱交換器は、蒸発器コイルを備え、前記蒸発器コイルは、チタン合金、ステンレス鋼、銅及びこれらの組合せから選択される材料を含む請求項14~21のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
【請求項23】
複数の熱交換器及び/又は蒸発器を直列に備える請求項14~22のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
【請求項24】
前記温度制御装置は、前記凝縮器の前記冷却能力を増減させるように構成された適応冷却レギュレータを備える請求項14~23のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
【請求項25】
前記適応冷却レギュレータは、デジタル化された膨張弁を備える請求項14~24のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
【請求項26】
前記適応冷却レギュレータは、熱負荷が増加したことを検出すると、前記凝縮器の前記冷却能力を増加させ、前記適応冷却レギュレータは、熱負荷が減少したことを検出すると、前記凝縮器の前記冷却能力を減少させる請求項14~25のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
【請求項27】
試料を蒸留物又は抽出物に蒸留する方法であって、
蒸留される試料を提供することと、
請求項1~13のいずれか一項に記載の統合されたロータリ蒸発器装置を提供することと、
前記試料を蒸留して、蒸留物又は抽出物を提供することと、を含む方法。
【請求項28】
蒸留される前記試料は、一度に約6L~約100Lの範囲の量を提供する請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記試料は、前記統合されたロータリ蒸発器に連続的に供給され、前記統合されたロータリ蒸発器は、一度に約6L~約100Lを収容するように構成される請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年4月3日に出願された米国特許仮出願第62/480,657号の利益及び優先権を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本開示の主題は、大規模独立型チラー、オールインワンロータリ蒸発器、及びそれらに関連する方法に関する。本開示の主題は、又、大容量及び/又は高速蒸留システム及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
冷凍又は冷却装置は、半導体設備、医療設備、医療用及び産業用レーザ、電子顕微鏡、分析装置、及び印刷設備を冷却する為等、世界中で実験室及び産業において使用されている。他の用途としては、プラスチック加工及び試験、低温試験、生物学的応用、薬学的合成、及び化学合成が挙げられる。更に、チラーを使用して、ロータリ蒸発器、溶媒を蒸発させることにより試料から溶媒を除去する為の化学実験室で使用される装置、及び蒸留物及び抽出物を調製する為の分子調理を行う。
【0004】
チラーは、一般に圧縮機、凝縮器、蒸発器、ポンプ、貯蔵器及び温度制御装置を含む熱伝達冷却システムである。チラーは、1つの要素から熱を除去し、それを別の要素に移すことによって、試料又はプロセスを冷却する。チラーは、被冷却システムを通してポンプ輸送され、チラーに戻された冷却液又は媒体(冷却剤)を表して再循環チラー又は冷却器と呼ばれることが多い。
【0005】
チラーは、例えば、半導体設備、医療設備、医療用及び産業用レーザ、電子顕微鏡、分析装置、及び印刷設備を冷却する為のような、世界中の実験室及び産業において使用されている。他の用途としては、プラスチック加工及び試験、低温試験、生物学的応用、薬学的合成、及び化学合成が挙げられる。更に、チラーを使用して、ロータリ蒸発器、溶媒を蒸発させることにより試料から溶媒を除去する為の化学実験室で使用される装置、及び蒸留物及び抽出物を調製する為の分子調理を行う。
【0006】
チラーは、実験室及び産業において使用すると有用であることが証明されている。これらは、一般的に、環境に優しく、節水型の、例えば、ロータリ蒸発器等を冷却する実験室デバイスであると考えられている。実験室及び産業において様々な冷却の必要性があることから、今日では、温度範囲が異なる幾つかの型のチラーが存在する。
【0007】
求められるのは、費用対効果があって使いやすく、十分な冷却能力を有するチラーの設計及びシステムである。チラーを小型化し、軽量化し、簡素化し、冷却温度範囲及び冷却機能を向上できれば有利である。更に、多機能で、柔軟性があり、使いやすく、特に改善された機能性が実現可能なチラー設計が求められる。
【0008】
産業用途及び実験室に設置した場合においては、大量の冷却剤及び/又は液体を冷却する為に、高容量のチラーが必要とされる場合もある。上述の利点を、大型の独立型チラーにおける大容量冷却と結びつける必要がある。
【0009】
又、有機及び無機溶液から溶媒を除去し、液体又は固体生成物を生成する為のロータリ蒸発器が、世界中の実験室で広く使用されている。
【0010】
一般的には、これら蒸発器又は蒸留器は、加熱した水槽に着座しながらある角度の軸を中心に回転する丸底フラスコ、典型的には洋梨型のフラスコ内に試料を入れて作動する。フラスコは、フラスコを回転可能とする電動回転継手に取り付けられ、蒸発した溶媒は継手(蒸気ダクト)を通って流れて一以上の凝縮器と接触する。凝縮器は蒸気を冷却し、得られた冷却蒸気(即ち、液体)は、凝縮器の下方のフラスコに流れて収集できる。
【0011】
水槽は、典型的には、溶媒を蒸発させるのに十分な熱をフラスコに供給する為に設ける。典型的に、回転子、モータ、回転継手、凝縮器、元の溶媒を保持する為に使用するフラスコ、凝縮した蒸気を保持して収集する為に使用するフラスコは、全て、ユニットが作動中には接続されている。通常、機械的なアームが、接続部を昇降させる為に設けられ、フラスコを水槽から外に出す。
【0012】
ロータリ蒸発器の凝縮器は水源に接続することができ、特に溶媒の沸点が比較的高い場合には、水を頻繁に受けて目的の溶媒を凝縮させることができる。ユーザは、1日を通して凝縮器に水を流したままにしておくことが多いので、その結果、大量の廃水が生成される。更に、溶媒の沸点が特に低い場合、蒸気を、水凝縮器が提供するよりも低温に冷却することが有利となり得る。水冷凝縮器のみを使用することは、かなりの量の揮発性有機溶媒が収集されず、代わりに環境中に放出されることがある為、環境問題を生む可能性がある。
【0013】
特に、低沸点溶媒を使用する場合、蒸気の凝縮を改善して、溶媒の大部分を捕捉するべく努力がなされてきた。そのような場合、1つの方法として、ドライアイスを充填したドライアイス凝縮器を使用することが挙げられ、任意で、所与の温度(例えば、ドライアイス-アセトンは-78℃の温度を維持する)を維持する為にドライアイスと共にスラリを形成する溶媒を使用する。これは、ドライアイスを頻繁に補充する必要があるので、手間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
必要なのは、費用対効果が高く、使い易く、十分な冷却及び凝縮能力を提供するロータリ蒸発器の設計及びシステム、及び/又は蒸留システムである。更に、特に改善された収率及び効率を実現可能な場合、完全に統合され、且つ、より使い易いロータリ蒸発器の設計が必要とされる。更に、大容量のチラーと連結されたロータリ蒸発器の設計は、一部の産業及び実験室に設置した場合に必要とされる大容量の蒸留要件を満たすことができる。最後に、連続アルコール抽出及び蒸発システムを完全に統合する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本明細書に開示されるこれらの利点その他は本開示により提供される。
【0016】
本開示の主題は、省スペースで効率よく作動するように構成された小型のチラー及び冷却装置、デバイス及びシステムを提供するものである。
【0017】
本明細書において、幾つかの実施形態では、統合されたロータリ蒸発器装置であって、試料を蒸発させて試料蒸発物を生成するように構成された垂直方向に配向された蒸発器と、蒸発器内の試料を混合するように構成された混合装置と、蒸発した試料を凝縮物に凝縮するように構成された凝縮器と、凝縮物を収集するように構成された収集容器と、蒸発器内に真空を生成するように構成された真空ポンプと、凝縮器に統合された冷却システムとを備え、垂直方向に配向された蒸発器、混合装置、凝縮器、収集容器、真空ポンプ及び冷却システムは、単一の装置に統合されている、統合されたロータリ蒸発器装置が提供される。
【0018】
幾つかの実施形態では、混合装置は、試料を毎分約500~約6,000回転(rpm)で攪拌するように構成されたオーバーヘッド攪拌器を含む。幾つかの実施形態では、垂直方向に配向された蒸発器は、約6L~約100Lの容積を有する大容積容器を含む。幾つかの実施形態では、垂直方向に配向された蒸発器は、生成物排出弁を含み、垂直方向に配向された蒸発器は、試料弁を含む。
【0019】
幾つかの実施形態では、このようなシステムは、垂直方向に配向された蒸発器内で試料を加熱するように構成された加熱マントルを更に備えていてもよい。幾つかの実施形態では、このようなシステムは、凝縮器に接触する試料蒸発物を冷却し、凝縮する能力を凝縮器に提供するように、凝縮器に係合するように構成された冷却コイルを更に備えていてもよい。
【0020】
幾つかの実施形態では、冷却システムは、凝縮器及び冷媒を含み、冷却システムは、凝縮器に冷却剤を供給することによって、蒸発器からの試料蒸発物を凝縮させる。幾つかの実施形態では、冷却剤は、凝縮器内部の二重コイルに供給され、凝縮器内部の二重コイルは、試料蒸発物に接触するように構成される。
【0021】
幾つかの実施形態では、このようなシステムは、全ての構成要素を単一の装置に統合するように構成された構造フレームを更に備えていてもよい。幾つかの実施形態では、凝縮器は、直列に配置された2台以上の凝縮器を備える。
【0022】
幾つかの実施形態では、このようなシステムは、凝縮器及び/又は冷却システムの冷却能力を増加又は減少させるように構成された適応冷却レギュレータを更に備える。幾つかの実施形態では、適応冷却レギュレータは、デジタル膨張弁を備える。幾つかの実施形態では、適応冷却レギュレータは、蒸発器から熱負荷が増加したことを検出すると、凝縮器及び/又は冷却システムの冷却能力を増加させ、適応冷却レギュレータは、蒸発器からの熱負荷が減少したことを検出すると、凝縮器及び/又は冷却システムの冷却能力を減少させる。
【0023】
本明細書の幾つかの実施形態では、容器又は貯蔵器内の液体、蒸気又は他の媒体を冷却するように構成された独立型大規模チラーであって、熱が除去される液体、蒸気又は他の媒体を収容する容器又は貯蔵器内に配置、又は浸漬されるように構成された熱交換器又は蒸発器と、凝縮器と、圧縮機と、温度制御装置とを備え、各構成要素は、単一の独立型チラーに統合され、チラーは、熱が除去される液体、蒸気、又は他の媒体を収容する任意の容器又は貯蔵器とともに汎用的に使用するように構成され、チラーは-10℃で約4000ワットの冷却能力を有する。
【0024】
幾つかの実施形態では、このようなチラーは、凝縮器、圧縮機及び温度制御装置を収容する筐体を更に備えていてもよく、熱交換器を、容器又は貯蔵器内に沈めるか又は配置できるように、筐体の外側に配置する独立型大規模チラーを提供する。幾つかの実施形態では、このようなチラーは、容器又は貯蔵器内の液体、蒸気又は他の媒体を循環させる為のポンプを更に備えていてもよい。幾つかの実施形態では、このようなチラーは、真空ポンプ及び制御装置を更に備えていてもよい。
【0025】
幾つかの実施形態では、熱交換器、凝縮器及び圧縮機は、冷媒を更に備え、熱交換器、凝縮器及び圧縮機は、互いに流体連通している。幾つかの実施形態では、このようなチラーは、ロータリ蒸発器内の凝縮器として使用されるように構成された熱交換器を更に備えていてもよい。幾つかの実施形態では、このようなチラーは、チラー筐体の外部にポンプを更に備えていてもよく、ポンプは、取外し可能な貯蔵器を備え、ポンプは、貯蔵器の支持構造として構成され、熱交換器は、貯蔵器内に配置されるように構成される。幾つかの実施形態では、このようなチラーは、熱交換器を取り囲む二重壁容器を更に備えていてもよい。
【0026】
幾つかの実施形態では、熱交換器は、蒸発器コイルを備え、蒸発器コイルは、チタン合金、ステンレス鋼、銅及びこれらの組合せから選択される材料を含む。幾つかの実施形態では、チラーは、直列に配置された複数の熱交換器及び/又は蒸発器を備えていてもよい。幾つかの実施形態では、温度制御装置は、凝縮器の冷却能力を増減させるように構成された適応冷却レギュレータを備える。幾つかの実施形態では、適応冷却レギュレータは、デジタル膨張弁を備える。幾つかの実施形態では、適応冷却レギュレータは、熱負荷が増加したことを検出すると、凝縮器の冷却能力を増加させ、適応冷却レギュレータは、熱負荷が減少したことを検出すると、凝縮器の冷却能力を低下させる。
【0027】
又、本明細書では、試料を蒸留物又は抽出物に蒸留する方法であって、蒸留される試料を提供することと、本明細書に開示される統合されたロータリ蒸発器装置を提供することと、試料を蒸留して、蒸留物又は抽出物を提供することとを備える方法も提供される。このような方法では、蒸留される試料は、一度に約6L~約100Lの範囲の量を提供することができる。このような方法では、試料は、統合されたロータリ蒸発器に連続的に供給され、統合されたロータリ蒸発器は、一度に約6L~約100Lを収容するように構成される。
【0028】
本明細書で開示する上述の主題の目的、本明細書によって開示することにより全体又は一部が達成できる目的を述べてきたが、他の目的は、以下に示す最も詳しく説明する実施例と関連付けて考えれば、説明が進むにつれて明らかになるであろう。
【0029】
本開示の主題は、以下の図面を参照することによって、更によく理解することができる。図面中の構成要素は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに開示された主題(しばしば概略的に示される)の原理を例示することに重点を置いている。図面において、同様の参照番号は、異なる図面全体を通して対応する部分を示す。本明細書で開示された主題の更なる理解は、添付図面の図示に記載された実施形態を参照することによって得ることができる。図示された実施形態は、本明細書で開示されている主題を実施する為のシステムの単なる例示であるが、本発明の開示された主題の構成及び動作方法の両方は、一般的に、その更なる目的及び利点と共に、図面及び以下の説明を参照することにより、より容易に理解されよう。図面は、添付の、またはその後に修正された特許請求の範囲において、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されているここで開示された主題の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の開示内容を明確にし、例示する為だけのものである。
【0030】
ここで開示された主題をより完全に理解する為に、以下の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本明細書に開示される回転式蒸発システムの概略図である。
図2】本明細書に開示される独立型チラーの概略図である。
図3】本明細書に開示される垂直蒸発システムの概略図である。
図4】本明細書に開示される完全に統合された回転蒸発及び/又は蒸留システムの概略図である。
図5】本明細書に開示される完全に統合された回転蒸発及び/又は蒸留システムの概略図である。
図6】本明細書に開示される完全に統合された回転蒸発及び/又は蒸留システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書に開示される主題について、以下でより詳しく説明するが、以下では、本明細書で開示される主題の全てではなく、一部の実施形態を説明する。実際、開示された主題は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が、適用可能な法的要件を満たすようにする為に提供するものである。
【0033】
本明細書において、特に実験室及び/又は研究用として設定した場合において、材料、液体、ガス及び他の組成物を冷却、熱交換、又は「冷やす」為のデバイス及びシステムを提供する。チラーは、一般に圧縮機、凝縮器、蒸発器、ポンプ、貯蔵器及び温度制御装置を含む熱伝達冷却システムである。チラーは、1つの要素から熱を除去し、それを別の要素に移すことによって、試料又はプロセスを冷却する。チラーは、被冷却システムを通してポンプ輸送されてチラーに戻された冷却液又は媒体(冷却剤)を表して再循環チラー又は冷却器と呼ばれることが多い。
【0034】
本明細書において、ロータヴァップ(rotavaps)とも呼ばれるロータリ蒸発器の設計及びシステム、及び/又は蒸留システムが提供され、これらは、費用対効果が高く、使い易く、十分な冷却及び凝縮能力を提供する。又、完全に統合された、使い易いロータリ蒸発器の設計も提供する。更に、本明細書において、特に既存の技術と比較して、大容量の蒸発及び凝縮能力、又は蒸留能力を提供するように構成されたロータリ蒸発器の設計を提供する。限定するものではないが、一例として、蒸発器、チラー及び収集部品を含む、本明細書で提供されるロータリ蒸発器システムは、約6,000ml、又は6L、約50,000ml、又は5Lまでの蒸発及び凝縮能力を提供することができる。このようなシステムは、既存のロータヴァップシステムでは満たされていない産業及び実験室に設置した場合における大容量の蒸留に対する重要な必要性を提供することができる。
【0035】
本明細書において、幾つかの実施形態では、再循環チラー、循環冷却器、循環器等とも呼ばれるチラーを提供する。本明細書において、幾つかの実施形態では、圧縮機、凝縮器、熱交換器(又は蒸発器)、及び/又は温度制御装置を備えるチラーを提供する。幾つかの実施形態では、このようなチラーは、必要に応じて、大容量の冷却のニーズ(例えば、約6,000ml、又は6L、約50,000ml、又は5Lまで)を含む様々な冷却能力を取り扱うように完全に統合され、且つ構成される。即ち、本明細書で提供されるチラーは、幾つかの態様では、再循環された流体/媒体(冷却剤)のタンク又は貯蔵器を除いて、オールインワン設計での動作に必要とされる全ての構成要素を有する、完全に統合された「タンクレス」チラー装置を備えていてもよい。貯蔵器は、幾つかの態様では、チラーの筐体には含まれないが、代わりに、別個の構成要素であり、チラー自体が、貯蔵器のサイズ/容量/構成によって限定されない別個の汎用の独立型設備の一つであり、様々な用途において複数の貯蔵器のサイズ、構成及び容量と共に使用できるように構成されている。
【0036】
幾つかの実施形態では、主筐体の外側に熱交換器を有するチラーの設計は、従来の再循環チラーに勝る利点を有する。例えば、熱交換器が筐体内にある場合、チラーは限定された使用及び固定された貯蔵器容量を有する。冷却された液体は循環されなければならず、そして熱交換器は、冷却反応のような他の作用には使用できない。このような構成は、循環槽として使用することもできない。熱交換器が筐体内にあるということは、循環チラー、循環槽、浸漬冷却器等に別個の器具が必要となることを意味する。この方法は高価となる可能性があり、且つ、高価でありながら供給量が限られる大きな実験室空間を必要とする。
【0037】
逆に、本明細書に開示されるような、筐体の外側に熱交換器を備えて設計されたチラーは、ロータリ蒸発器における凝縮器として直接使用することができる。特に、冷却剤は必要とされない。蒸気は熱交換器上で凝縮する(熱交換パイプ/コイル内の冷媒はパイプ/コイルを冷却し、続いて、例えば蒸気、液体等の媒体から熱を除去する)。このような構成は、無制限で柔軟な使用が可能となる。任意のサイズの貯蔵器、反応容器(実験対象を冷却又は温める為)、又は循環槽(槽中に置かれた試料を冷却又は温める為)を同様に使用してもよい。更に、研究者又はユーザが、複数のチラー、別個の循環槽及び浸漬冷却器(反応を冷却する為に使用される)を購入することよりも、様々なサイズの貯蔵器、循環槽等を購入して1つのチラーを使用した方が費用対効果率は高い。蒸発器を筐体の外側に収容することにより、開示のチラーは、少なくとも4つの装置(循環チラー、循環槽、ロータリ蒸発器凝縮装置、及び浸漬冷却器)の代わりに使用することができる。
【0038】
幾つかの実施形態では、開示のチラーは、既存の冷却装置よりも冷却性能を向上させることができる。例えば、ロータリ蒸発器のような冷却剤をもはや必要としない用途において、例えば、冷却能力を改善することができる。従来のチラーでは、冷却剤は、チラーからロータリ蒸発器凝縮器へのホースを通してポンプ輸送される。冷却剤は、周囲環境から熱を吸収しながら凝縮器に到達するまでに温かくなる。開示のチラー設計の場合はそうではない。
【0039】
幾つかの実施形態では、開示のチラーの冷却温度範囲は、約+40℃から約-45℃、約+40℃から約-100℃、又は約+40℃から約-150℃の範囲が可能である。所望の温度は、冷却工学及び/又は冷媒の選択により達成することができる。このような冷却温度は、開示のチラーを使用することにより、大量の材料に対しても迅速に達成することができる。
【0040】
本明細書で提供されるチラー装置は、幾つかの実施形態では、例えば、冷却システム及びポンプ等の統合冷却システムを備えていてもよい。このようなチラー装置は、圧縮機の筐体の外側に配置された蒸発器を更に備えていてもよく、それによって、蒸発器を、貯蔵器又は槽内に沈めて又は浸漬して、貯蔵器又は槽内の液体又は媒体から熱を除去する、或いは、冷却流体、液体、蒸気、又は他の冷却媒体に曝露することができる。
【0041】
幾つかの態様では、冷却システム用の圧縮機及びポンプを含む上記の構成要素のそれぞれは、一以上の熱交換器/蒸発器を有する一つの独立型又はオールインワンシステムに統合することができる。
【0042】
詳細には、本明細書では、再循環チラー、循環冷却器、循環器等とも呼ばれるチラーを提供する。本明細書において、幾つかの実施形態では、圧縮機、凝縮器、熱交換器(又は蒸発器)、及び/又は温度制御装置を備えるチラーを提供する。幾つかの実施形態では、このようなチラーは、大規模な、又は大容量の設計で構成される。即ち、幾つかの態様では、本明細書で提供されるチラーは、再循環された流体/媒体(冷却剤)のタンク又は貯蔵器を除いて、動作に必要な全ての構成要素を有する完全に統合された「タンクレス」チラー装置を備えていてもよい。貯蔵器は、幾つかの態様では、チラーの筐体には含まれないが、代わりに、別個の構成要素であり、チラー自体が、貯蔵器のサイズ/容量/構成によって限定されない別個の汎用の独立型設備の一つであり、様々な用途において複数の貯蔵器のサイズ、構成及び容量と共に使用できるように構成されている。
【0043】
幾つかの実施形態では、主筐体の外側に熱交換器を有するチラー設計は、従来の再循環チラーに勝る利点を有する。例えば、熱交換器が筐体内にある場合、チラーは限定された使用及び固定された貯蔵器容量を有する。冷却された液体は循環されなければならず、そして熱交換器は、冷却反応のような他の作用には使用できない。このような構成は、循環槽として使用することもできない。熱交換器が筐体内にあるということは、循環チラー、循環槽、浸漬冷却器等に別個の器具が必要となることを意味する。この方法は高価であり、貴重な実験室スペース及び廃棄物制限資源を非常に多く取り込む可能性がある。
【0044】
逆に、本明細書に開示されるように、筐体の外側に熱交換器を備えて構成されるチラーは、ロータリ蒸発器における凝縮器として直接使用することができ、及び/又は遠心分離器、真空オーブン、凍結乾燥機、ゲル乾燥機、濃縮DNA試料適用、濃縮酸性試料等を冷却することができる。例えば、ロータリ蒸発器の場合、冷却剤又は循環水は必要とされない。蒸気は、熱交換器上で直接凝縮することができる。幾つかの実施形態では、熱交換器パイプ又は冷却ライン内の冷媒は、熱交換器の周囲環境、例えば蒸発物から熱を除去するパイプ又は冷却ラインを冷却するように構成することができる。
【0045】
更に、タンクレスチラー又は筐体の外部に熱交換器を備えたものは、多くの柔軟な用途がある。任意のサイズの貯蔵器、反応容器(実験対象を冷却又は温める為)、又は循環槽(槽中に置かれた試料を冷却又は温める為)を同様に使用してもよい。更に、研究者、臨床医又は技術者は、多数のチラー、別個の循環槽及び浸漬冷却器(反応を冷却する為に使用される)を購入するよりも、様々なサイズの貯蔵器、循環槽等を購入してそれらを1台のチラーで使用した方がより安価である。熱交換器/蒸発器を筐体の外側に収容することによって、開示のチラーは、幾つかの実施形態では、少なくとも4台の装置(循環チラー、循環槽、ロータリ蒸発器凝縮器、及び浸漬冷却器)の代わりに使用することができる。このような構成は、コスト節約及びラボスペースの節約において著しい利点がある。
【0046】
幾つかの実施形態では、開示のチラーは、既存の冷却装置よりも冷却性能を向上させることができる。例えば、ロータリ蒸発器等における冷却剤/循環流体をもはや必要としない用途において、例えば、冷却能力を改善することができる。従来のチラーでは、冷却剤/循環流体は、チラーからロータリ蒸発器凝縮器へのホースを通してポンプ輸送される。これらのホースを通して輸送されるこのような冷却剤は、周囲環境からの熱を吸収しながら凝縮器に到達するまでに、温かく、又は少なくともより温かくなる。開示のチラー設計の場合はそうではない。
【0047】
本明細書で提供されるチラー装置は、幾つかの実施形態では、例えば、冷却システム及びポンプ等の統合冷却システムを備えていてもよい。このようなチラー装置は、圧縮機の筐体の外側に配置された熱交換器/蒸発器を更に備えていてもよく、それによって、熱交換器/蒸発器を、貯蔵器又は槽内に沈めて又は浸漬して、貯蔵器又は槽内の液体又は媒体から熱を除去する、或いは、冷却流体、液体、蒸気、又は他の冷却媒体に曝露することができる。
【0048】
幾つかの実施形態では、開示のチラーは、冷媒、例えばクロロフルオロカーボンを通すことができる銅ライン等の冷却ラインを含む冷却システムと、受容タンク、圧縮機、冷却凝縮器及び乾燥機とを備えていてもよい。冷却ラインは、凝縮器ユニット内の熱交換器に接続することができ、この熱交換器は、冷却が望まれる、熱交換器と接触可能な水槽、貯蔵器、ロータリ蒸発器、又は任意の他の適切な環境で使用する冷却面を提供する。幾つかの実施形態では、露出することができる冷却コイル、或いは、幾つかの実施形態では、チタン(市販の純等級チタンを含む)、ステンレス鋼、金属合金、プラスチック、ガラス、ネオプレンゴム等のゴム、及び/又はこれらの組合せからなる化学抵抗性蒸気トラップ又はスリーブに隠すことができる冷却コイルを、冷却ラインに流体接続することができる。幾つかの実施形態では、チタンは、その堅牢な化学的耐性の為にスリーブ内で使用される。幾つかの実施形態では、凝縮器ユニットは、冷却ライン中の冷媒の直接膨張によって冷却される冷却コイルチャンバを備えていてもよい。幾つかの実施形態では、熱交換器は、冷却された冷媒が通過する銅コイルを備えていてもよく、これはチタンスリーブ内に収容される。幾つかの実施形態では、熱交換器は、蒸気又は冷却媒体が冷却されたコイル上の増加した表面積に曝露されるように、二重ループ状でスリーブに包まれていないコイルを備えていてもよい。このような実施形態では、二重コイルは、ステンレス鋼、チタン、及び/又はこれらの組み合わせを備えていてもよい。幾つかの実施形態では、機械式冷却システムを含むチラーは、単一の一体のデバイスに2台設けられるように、熱交換器/凝縮器に機械的に連結され固定してもよい。
【0049】
幾つかの実施形態では、熱交換器は、冷却システムと流体連通する冷却コイルを備えていてもよい。熱交換器は、冷却コイルを取り囲むチタンスリーブを備え、これによりチタンスリーブは冷却コイルによって冷却され、チタンスリーブの周囲の環境、例えば水槽中の冷却流体又はロータリ蒸発器からの蒸発物が冷却される。凝縮器は、冷却コイルを取り囲む金属合金スリーブを備えていてもよく、これにより、金属合金スリーブは、冷却コイルによって冷却される。
【0050】
幾つかの態様では、一部の実施形態では、圧力/循環能力を提供する為のポンプ又は他の手段と統合された取外し可能な貯蔵器を提供することができる。そのような貯蔵器は、幾つかの実施形態では、ホース又は導管の一端でポンプホース又は導管に取り付け、ホース又は導管の他端では、貯蔵器の、貯蔵器内の液体又は冷却媒体をシステムへポンプ輸送できる点に取り付けて冷却することができる。
【0051】
幾つかの態様では、冷却システム用の圧縮機及びポンプを含む上記の構成要素のそれぞれは、一以上の熱交換器/蒸発器を備えた1つの独立型又はオールインワンシステムに統合することができる。内蔵された貯蔵器又は水槽を含まない場合、このような独立型又はオールインワンシステムのチラーは、既存のチラーシステムよりもコンパクトとすることができる。このようなコンパクトな構成により、開示されたチラーをより携帯性及び省スペース化することができるようになる。
【0052】
本明細書に開示される独立型チラー装置は、幾つかの実施形態では、一以上の圧縮機と、凝縮器と、温度制御装置と、受容タンクと、貯蔵器液体又は他の容器内に配置され、液体又は媒体から熱を除去するように構成され得る蒸発器と、外部貯蔵器又は蒸発器を配置することができるか若しくは真空蒸留を行う為の容器、及び/又は、貯蔵器内の被冷却液又は他の冷媒を被冷却または真空蒸留用のシステムに圧送するためのポンプ又は他の機械的装置を備える。
【0053】
幾つかの実施形態では、熱交換器/蒸発器は、ロータリ蒸発器のような蒸留装置の凝縮器に装備することができる。例えば、米国特許第9,005,403号、国際公開第2016/086101号として公開されたPCT国際出願PCT/US2015/062615号、国際公開第2016/201223号として公開された、PCT国際出願PCT/US2016/036886号に開示されており、これらはそれぞれ参照により本明細書に援用するものである。更に他の実施形態では、チラーは、統合された真空ポンプ及び制御装置を備えていてもよい。幾つかの態様では、二以上のロータリ蒸発器を1つのチラーに接続することができる。
【0054】
幾つかの実施形態では、開示のチラーの冷却温度範囲は、約+40℃から約-45℃、約+40℃から約-100℃、又は約+40℃から約-150℃の範囲が可能である。所望の温度は、冷却工学及び/又は冷媒の選択により達成することができる。
【0055】
ここで図面を参照すると、図1は、ロータヴァップ又は蒸留システムとも呼ばれるロータリ蒸発システム10を示す。幾つかの実施形態では、ロータヴァップシステム10は、図1に示すように、チラー100、縦型蒸発器200及び受容ユニット300を含む。幾つかの実施形態では、チラー100、縦型蒸発器200及び受容ユニット300を含むロータヴァップシステム10は、本明細書で更に説明されるように、大容量又は大容積の蒸留システムとして構成される。図1に示すように、チラー100、縦型蒸発器200及び受容ユニット300は、一緒に作動し、1つのシステム、即ちロータヴァップシステム又は蒸留装置として機能するように、及び/又は直列に統合され組成物を蒸発させ、凝縮させ、蒸留するように構成される。
【0056】
詳細には、縦型蒸発器200は、加熱要素又はマントル204に少なくとも部分的に囲まれ、及び/又は隣接する蒸発器フラスコ202を備えることができ、その両方がフレームユニット206上に取り付けられる。蒸発器フラスコ202は、垂直方向又は略垂直方向に配向された、即ち、角度とは反対に直立している。幾つかの実施形態では、蒸発器フラスコ202は、クランプ機構を介して固定された上部エンクロージャを備えた、例えば6L~100Lの大容積容器を備えていてもよい。電気モータ210、駆動シャフト212及び攪拌器208を備えるオーバーヘッド攪拌機構222を設けて蒸発フラスコ202の内容物をかき混ぜる又は攪拌してもよい。蒸気管250の導管を設けて、チラー100上の一以上の凝縮器に蒸発物又は蒸気を移送するようにできる。供給原料容器240は、縦型蒸発器200の近傍に配置することができ、蒸留される抽出物、試料又は組成物を提供するように構成することができる。制御装置220を設けて、例えばオーバーヘッド攪拌機構222及び/又は加熱要素204の速度を制御及び/又は調整することを含む、縦型蒸発器200の機能を制御及び/又は自動化することができる。
【0057】
図1を続けると、幾つかの実施形態では、大規模多機能チラー100は、ロータリ蒸発システム10の構成要素である。チラー100は、筐体102に接続されているが筐体102から延在する熱交換器104を有する筐体102を備えていてもよい。幾つかの実施形態では、チラー100は、例えば図2に示されるような2つの熱交換器104a及び104bを含む、1台、2台、3台、4台又はそれ以上の熱交換器を備えていてもよい。熱交換器104a及び104bは、幾つかの実施形態では、蒸気ライン120、即ち1つの熱交換器104aから別の熱交換器104bに蒸発物を通過させる為のホース又は他の導管によって直列に接続することができる。一以上のポートを設けて、冷却及び/又は凝縮される化合物/流体の入口/出口として作用する一以上の導管又は追加の器具/容器を取り付けられるように構成してもよい(例えば、詳細は図2を参照のこと)。例えば、縦型蒸発器200によって生成された蒸気は、導管250を通過してスリーブ106a内に入り、熱交換器コイル104aと接触し、それによって化合物、蒸気又は流体を冷却/凝縮してもよい。凝縮されない蒸気はいずれも、直列に、例えば、そのような蒸気が冷却され凝縮される更なる機会を有する熱交換器104bのような、任意の更なる熱交換器へ通過することができる。凝縮物は、以下に更に説明するように、ドレンポートを通過させ、対応するドレンラインから収集フラスコ300へと流出させてもよい。幾つかの実施形態では、真空130を設けて、例えば、内部熱交換器104a/104b、縦型蒸発器200及び/又は収集容器300を含む、システム内部に真空又は負圧を生成させてもよい。
【0058】
収集又は受容ユニット300は、幾つかの実施形態では、収集フラスコ302、収集フラスコ302を固定及び/又は保持する為のフレーム又は支持構造304、及びマニホールド306を備えていてもよい。幾つかの実施形態では、収集フラスコ302は、ガラス若しくはポリマー容器、又は他の適切な材料を備えていてもよく、丸底又は洋梨型、収集フラスコ302、フレーム又は支持構造体304でもよい。
【0059】
幾つかの実施形態では、ロータリ蒸発システム10又は蒸留システムは、装置/システムの外側寸法の長さL、幅W及び/又はそれらの組み合わせによって規定されるフットプリント又は作動領域(例えば、平方インチでの面積)、例えば、図1において一体に組み立てられたチラー100、縦型蒸発器200及び受容ユニット300のそれぞれの前面を横切る距離に組み立てたシステムの幅(又は深さ)を乗算したものを備えていてもよい。幾つかの実施形態では、例えば、最も高い構成要素の高さを含むシステムの総フットプリントには、システムの高さHも計算の考慮に入れることができる。限定ではなく例として、本開示のチラー装置ロータリ蒸発システム10は、図1に示すように、幾つかの実施形態では、22リットルのシステムでは、約60×66×20インチ(L×H×W)、50リットルのシステムでは、約70×66×30インチ(L×H×W)、72リットルのシステムでは、約70×72×30インチ(L×H×W)、100リットルのシステムでは、約80×83×40インチ(L×H×W)の総フットプリント又は動作範囲を備えていてもよい。
【0060】
図2は、本明細書に開示されるような大規模多機能チラー100の斜視図である。幾つかの実施形態では、このようなチラーは、図1に示すように、ロータリ蒸発システム10又は蒸留システムの一部又は構成要素として使用することができる。チラー100は、筐体102に接続されているが筐体102から延在する熱交換器104を有する筐体102を備えていてもよい。幾つかの実施形態では、チラー100は、例えば図2に示されるような2つの熱交換器104a及び104bを含む、1台、2台、3台、4台又はそれ以上の熱交換器を備えていてもよい。熱交換器104a及び104bは、幾つかの実施形態では、蒸気ライン120、即ち1つの熱交換器104aから別の熱交換器104bに蒸発物を通過させる為のホース又は他の導管によって直列に接続することができる。
【0061】
チラー100及び以下に説明する内部構成要素は、作動領域及び/又はフットプリントを最小限に抑えながら、有効且つ効率的な冷却/チラーシステム(高容量又は大規模であっても)を提供するよう要素を配置して構成された単一のデバイス又は装置に統合されるように構成することができる。
【0062】
筐体102は、4つの側面、頂部及び底部を有する、略矩形又は正方形又は他の適切な形状、箱状構造を備えていてもよい。筐体102は、チラー100の機械的又は作動構成要素を完全に、又略完全に包囲するように構成することができる。熱交換器104a/104bは、筐体102の外周内に実質的に封入、又は筐体102から離れて延在するように配置できる。マニホールド112は、熱交換器104a/104bを支持し、チラー100に機械的に接続することができる。マニホールド112は、熱交換器104a/104bを固定する為のクランプ又は他の取り付け機構、例えば、ねじ山、ねじ、ボルト、圧力嵌め等を備えていてもよい。幾つかの実施形態では、筐体102は、その構造を維持し、チラー100を収容するのに十分な剛性を有する金属板又は他の適切な材料、例えばプラスチック、ガラス繊維、アルミニウム等を備え、又、実験室又は現場レベルにおける長期使用に耐えることができるようにしてもよい。
【0063】
幾つかの実施形態では、筐体102は、任意選択で、換気格子108、ルーバ又は他の適切な換気構造を含み、筐体102の内部で、及び内部に収容された冷却システムの周りの空気を循環させることができるように構成されている。幾つかの態様では、チラー100は又、ユーザがチラー100の作動を容易にする為に制御パネル110を操作することができるように、筐体102の外面上等に好適に配置された制御パネル110を備えていてもよい。幾つかの実施形態では、制御パネル110は、タッチスクリーン又は他の電子制御装置を備えていてもよい。幾つかの実施形態では、制御パネル110は、媒体及び/又は熱交換器の温度を制御及び/又は調整するように構成された温度制御装置を備えていてもよい。
【0064】
チラー100は、筐体102内に収容され、熱交換器104a/104bを通じて冷却され、熱交換器コイルとも呼ばれる熱交換器104a/104bに冷却された冷媒を提供する一体化冷却システムを備えていてもよい。例えば、チラー100は、圧縮機、冷却凝縮器及びファンを備えていてもよい。幾つかの実施形態では、冷却乾燥機を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、圧縮機、冷却凝縮器及び熱交換器コイル、例えば、熱交換器104a/104b(及び任意選択で乾燥機)は、マニホールド112を通して供給することによって、冷却ライン(銅配管)で接続することができる。熱交換器104a/104bは、マニホールド112を通して供給される冷却ラインに接続された単一又は二重のコイル状のラインを備えていてもよい。従って、冷却冷却剤は、周囲媒体、例えば冷却液又は蒸気から熱交換器104a/104bにより吸収された熱が冷却システムによって除去され、それによって周囲媒体を冷却することができるように、閉鎖又は連続回路において冷却システム(例えば圧縮機、冷却凝縮器)を通過し、熱交換器104a/104bのコイル状ラインへと通過することができる。幾つかの実施形態では、チラー100は、複数のアプリケーションに同時に同じチラーを使用する為の冷却能力及び能力を増加させる為に、一以上の熱交換器を備えていてもよい。幾つかの実施形態では、一以上の熱交換器は、同じ冷却システムから流出するように構成してもよい。
【0065】
限定ではなく一例として、熱交換器104a/104bは、図2に示すように、各々がスリーブ106a/106bを備え、各スリーブ106a/106bは、コイル104a/104bを包囲し、包囲する単層エンクロージャを備えていてもよい。幾つかの実施形態では、単層スリーブ106a/106bは、熱交換器コイル104a/104b上を摺動し、マニホールド112を介して筐体102にしっかりと取り付けられて密閉されたエンクロージャを形成するように構成されたガラスキャニスタを備えていてもよい。マニホールド112は、本明細書で説明するように、カラー又は他の固定要素、例えば、ねじ山、ねじ、ボルト、圧力嵌め等を含んでいてもよい。一以上のポート132、134、及び/又は142を設けて、冷却及び/又は凝縮される化合物/流体の入口/出口として作用する一以上の導管又は追加の器具/容器を取り付けられるように構成してもよい。例えば、スリーブ106aに入る化合物、蒸気又は流体は、熱交換器コイル104a又はコイルを取り囲む冷却スリーブと接触することができ、それによって化合物、蒸気又は流体を冷却することができる。凝縮されない任意の蒸気は、例えば図2に示す熱交換器104bのように、スリーブ106a上のポート140内のポート142及びライン120を介してさらなる直列の熱交換器へ送られ、そこでそのような蒸気は冷却され、そして凝縮され得る。凝縮物は、ドレンポート、例えばポート132及び/又は134を通り、対応するドレンライン、例えばライン122及び/又は124から収集フラスコ(例えば図1を参照されたい)へと流出することができる。
【0066】
幾つかの実施形態では、真空ポート142が、(場合によっては頂部付近に)設けられ、真空ポンプから真空ライン132を受け入れ、それによって、スリーブ106a/106bの内部環境に真空を引き起こすように構成してもよい。
【0067】
例えば、図1に示すように、熱交換システムは、冷却された冷媒が通過することができる冷却ラインに接続することができるコイル状のライン104a/104bを備えていてもよい。熱交換器コイルライン104a/104bは、冷却された冷却剤又は冷媒の流れを受けてコイルを通過させる為の流入ラインと、コイルを通過させ熱交換器として作用した後の冷却剤又は冷媒の為の導管として構成された排出ラインとを有していてもよい。流入ライン及び排出ラインは、本明細書に開示されるように、チラーの一体化冷却システムに接続されるように構成される。熱交換器コイルライン104a/104bは、図1において単一のループ状コイルとして示されているが、幾つかの実施形態では、二重、三重又はそれ以上のコイルを備えていてもよい。熱交換器コイルライン104a/104bの冷媒ラインを巻き取る効果は、コイルに接触するか、又はコイルに近い表面に接触する媒体を冷却する為の表面積を増加させることである。従って、例えば、幾つかの実施形態における二重又は三重にしたコイルは、熱交換器の冷却能力を増加させることができる。コイル状ライン104a/104bは、チラーの冷却システムと共に連続ループを完成させるように構成することができる。コイル状ライン104a/104bは、幾つかの実施形態では銅管材料、又は代替的にステンレス鋼、又はチタン等の他の適切な金属合金から作製することができる。幾つかの実施形態では、コイル104a/104bは、銅の内側コーティングを有するチタン材料を備えていてもよい。幾つかの実施形態では、コイル104a/104bは、ステンレス鋼、チタン、及び/又はこれらの組合せを備えていてもよい。
【0068】
幾つかの実施形態では、凝縮器又は熱交換器コイル104a/104bは、チタン合金、ステンレス鋼及び/又は銅パイプを備えた蒸発器コイルを備えていてもよい。幾つかの実施形態では、熱交換器コイル104a/104bは、露出することによって媒体を直接冷却又は蒸発(蒸気)させることができ、一方、幾つかの実施形態では、ステンレス鋼コイルは、追加の化学防食の為にペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)でコーティングすることができる。PFA、又は他の保護コーティングを含むことにより、腐食は実質的に低減及び/又は除去され得るので、広範囲の金属又は材料をコイルで使用することができる。幾つかの実施形態では、熱交換器コイル104a/104bは、例えばフルオロポリマーを含む、任意の耐薬品性ポリマー又は材料でコーティングすることができる。幾つかの態様において、このようなフルオロポリマーは、例えば、Halar(登録商標)ECTFE、エチレン及びクロロトリフルオロエチレンのコポリマー(Solvay Group、Belgium)を含んでいてもよい。
【0069】
図3は、幾つかの実施形態では、その構成及び設計の為に既存の蒸発システムよりかなり多量の試料又は抽出物を蒸発させることができる、高速又は大容量の縦型蒸発器200として構成された縦型蒸発器200を示す。既存のロータリ蒸発器又はロータヴァップは、フラスコの内容物を加熱できる角度で配向された丸底又は梨地形状のフラスコを使用し、それによって、それを気化させる。本出願人は、加熱マントルと係合するように構成された直立容器を使用する、より効率的かつ効果的な方法を発見した。
【0070】
詳細には、縦型蒸発器200は、加熱要素又はマントル204に少なくとも部分的に囲まれ、及び/又は隣接する蒸発器フラスコ202を備えることができ、その両方がフレームユニット206上に取り付けられる。蒸発器フラスコ202は、垂直方向又は略垂直方向に配向された、即ち、角度とは反対に直立している。幾つかの実施形態では、蒸発器フラスコ202は、クランプ機構を介して固定された上部エンクロージャを備えた、例えば6L~100Lの大容積容器を備えていてもよい。電気モータ210、駆動シャフト212及び攪拌器208を備えるオーバーヘッド攪拌機構222を設けて蒸発フラスコ202の内容物をかき混ぜる又は攪拌してもよい。蒸気管250の導管を設けて、チラー100上の一以上の凝縮器に蒸発物又は蒸気を移送するようにできる。供給原料容器240は、縦型蒸発器200の近傍に配置することができ、蒸留される抽出物、試料又は組成物を提供するように構成することができる。制御装置220を設けて、例えばオーバーヘッド攪拌機構222及び/又は加熱要素204の速度を制御及び/又は調整することを含む、縦型蒸発器200の機能を制御及び/又は自動化することができる。
【0071】
オーバーヘッド攪拌機構222は、蒸発フラスコ202の内容物、例えば、余分な試料、組成物等をかき混ぜる又は攪拌する為に提供することができる。電気モータ210は、幾つかの態様では、フレーム206上に取り付けられ、蒸発フラスコ202の直接又は略上方に位置合わせされ、駆動シャフト212が蒸発フラスコ202の上部を通って鉛直下方に延在する。駆動シャフト212は、蒸発フラスコ202の内部に延在していてもよく、又、幾つかの実施形態では、実質的に蒸発フラスコ202の内部の底部に向かって攪拌器208で終了していてもよい。攪拌器208は、蒸発される蒸発フラスコ202の内容物をかき混ぜる、攪拌する及び/又は混合するのに適したパドル、プロペラ、ブレード又は他の構造を備えていてもよい。両電気モータ210とアジテータ208に指向的及び機械的に接続された駆動軸212は、電気モータ210からの回転力をアジテータ208に伝達する。このように、電気モータ210、駆動シャフト212及び攪拌器208を備えたオーバーヘッド攪拌機構222は、フラスコをより均一に且つより高い温度で加熱することができるので、蒸発フラスコ202の内容物をより迅速に蒸発させることができる。試料又は抽出物が蒸発する速度又は比率は、水槽中で回転する従来のアングルフラスコを使用するロータヴァップと比較して、有意に増加することができる。従って、開示されたシステムでは、蒸発フラスコ202を回転させる必要はない。
【0072】
代わりに、蒸発フラスコ202は、加熱マントル204内で入れ子にされ、幾つかの実施形態では、加熱マントルと直接接触することにより、加熱マントル204からフラスコ202へ熱を効率的に伝達する。従って、幾つかの態様では、加熱マントル204は、略円筒形の筐体を備え、蒸発フラスコ202のサイズ及び形状に適合して蒸発フラスコ202を安定的に収容し、効率的にそれを加熱するように構成された内側ボウル状加熱要素を備えていてもよい。加熱マントル204は、フレーム206又は類似の構造体上に取り付けることができる。
【0073】
フレーム206は、加熱マントル204を所定位置にしっかりと保持するように構成された下部206bと、下部206bから垂直に延び、オーバーヘッド攪拌機構222を加熱マントル204及び/又は蒸発フラスコ202の上方に保持し位置決めするように構成された上部206aとを備えていてもよい。フレーム206は、可動性を提供する為の車輪又はキャスタを更に備えていてもよい。フレーム206は、蒸発フラスコ202を、特に重い大容積の蒸発フラスコ、例えば、22リットル~100リットルの蒸発フラスコと共に持ち上げ、整列させることができるという点で有利となり得る。
【0074】
幾つかの態様では、マニホールド214を設けて、蒸発フラスコ202の頂部の開口を密閉し、蒸発フラスコ202から蒸発物を収集することができる。マニホールド214は、駆動シャフト212が、気密又は略気密のシールを維持しながら、それを通過できるように構成してもよい。ポート216は、任意の数の他のポート又はアクセスポイントと共にマニホールド214内に設けられ、捕捉された蒸発物を蒸発フラスコ202からチラー/凝縮器へ導管又はホースを介して通過させることができる。
【0075】
幾つかの実施形態では、図3並びに図1に示すように、蒸発フラスコ内に排出弁218を設けることができる。これは、所定の位置にある間に排出することができない既存の丸底フラスコよりも有利である。更に、試料/添加バルブ224を頂部及び/又はマニホールド214に設け、物質を添加する、及び/又はフラスコから試料を採取することができる。幾つかの実施形態では、排出ポート及び/又は充填ポートの一方又は両方を用いて、完全に統合されたシステムは、連続的に作動することができる。即ち、充填ポート及び/又は排出ポートを用いて、システムを連続的に作動させることができる。
【0076】
開示された縦型蒸発器200は、効率的且つより迅速な加熱の為に加熱マントル204を有する丸底フラスコが必要とする、水槽の交換が可能である。
【0077】
図1及び図3において、垂直に整列された丸底フラスコとして示されているが、幾つかの実施形態では、蒸発フラスコ202は、例えば、図4及び図5に示す、以下で更に説明する略円筒形のビーカー状容器を含む任意の形状又は適切な構成でよい。
【0078】
開示されたロータヴァップシステムの少なくとも1つの有利な態様は、蒸発フラスコの垂直方向の配向である。即ち、本ロータリ蒸発システムは、従来のロータヴァップにおけるような傾斜又は斜めの蒸発フラスコとは対照的に、垂直方向又は略垂直方向に配向された蒸発フラスコを有する。この垂直方向により、内容物の高速攪拌を可能にし、それによって高速蒸発をもたらす。例えば、蒸発フラスコの内容物は、オーバーヘッド攪拌器により、毎分約500~約6,000回転(rpm)で攪拌することができる。これは、丸底フラスコを約300rpm以下で回転させる従来のシステムとは対照的である。開示のロータヴァップシステムの設計は、例えば、高速の攪拌及び蒸発が可能な内部攪拌機構を有する垂直方向に配向された蒸発システムを含む、その設計及び構成により、大幅に大量の試料を処理すること、即ち、はるかに短い時間で蒸留することが可能になる。蒸発フラスコを回転させる必要がないので、それらが取り扱うことができる速度及び体積において、既存のシステムにおける重大な障害がなくなる。
【0079】
熱交換器、特にコイル104a/104bと接触する蒸発物又は蒸気は、液体に凝縮し、ドレンポート、例えばポート132及び/又は134を通過し、対応するドレンライン、例えばライン122及び/又は124から収集又は受容ユニット300(図1及び図2参照)へと流出することができる。幾つかの実施形態では、一以上の継手320は、収集ユニット(受容ユニット)300を容易に除去できるように、又、幾つかの態様では、作動中にシステムへ真空を破壊することなく除去できるように構成可能な導管又はドレンライン122及び/又は124上に配置することができる。このような継手320は、収集フラスコ302を受容ユニット300から除去する間、真空を維持する為の弁を備えていてもよい。
【0080】
収集又は受容ユニット300は、幾つかの実施形態では、収集フラスコ302、収集フラスコ302を固定及び/又は保持する為のフレーム又は支持構造304、及びマニホールド306を備えていてもよい。収集フラスコ302は、ガラス又はポリマー容器、又は他の適切な材料、幾つかの実施形態では、丸底又は洋梨型、又は任意の他の適切な構成を備えていてもよい。試料を採取する、又は成分を追加する為の追加のアクセスポートは、図1に示されるように、収集フラスコ302上に含むことができる。
【0081】
幾つかの実施形態では、本明細書で開示される大規模な高速ロータヴァップシステム及び装置は、冷却能力をチラーに加えられる熱負荷に適合させるように構成されたインテリジェント冷却能力を更に備える。従って、図1を例として使用すると、幾つかの実施形態では、蒸発器200によって提供される熱負荷を検出し、それを使用してチラー100によって提供される必要がある冷却能力を較正することができる。従って、チラー100によって提供される冷却能力は、蒸発器200によって供給される熱負荷に適合させるか、又は比例的に適用することができる。熱負荷は、導管250を介して蒸発器200から来る蒸発物又は蒸気、又は蒸発/気化された試料の量として定義することができる。幾つかの実施形態では、このようなインテリジェント冷却システムは、蒸発器によって供給される熱負荷に比例する、チラーの冷却能力、特に図1のコイル104a/104bのような熱交換器コイルの冷却能力を増減させるように構成された膨張弁を備えていてもよい。幾つかの実施形態では、膨張弁をデジタル化することができ、幾つかの実施形態では、コンピュータ化された制御装置と電気的に通信することができる。
【0082】
本明細書に開示される大規模な高速ロータヴァップシステムの構成要素は、図1図3に示されるように配向又は構成できるが、図4及び図5に示されるような代替的な配置に構成することもできる。限定ではなく一例として、図4及び図5は、攪拌機構を有する高速蒸発フラスコ/システムと組み合わされた大容量チラー/凝縮器を備えた完全に統合されたロータヴァップ及び/又は蒸留システム20及び30をそれぞれ示す。ロータヴァップシステム20及び30は、単一のユニット内に収容することができ、及び/又は構造フレーム内に収容することができ、及び/又は必要に応じて更なる安全性の為に密閉することができる。図5に示されるような完全に密閉可能なシステムは、全ての化学物質や蒸発物を収容して、設備を使用する技術者の安全性の更なる手段を提供することができる。
【0083】
図4及び図5において、ロータヴァップ又は蒸留システムとも呼ばれるロータリ蒸発システム20及び30は、幾つかの実施形態では、チラー/凝縮器400及び縦型蒸発器500を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、チラー/凝縮器400、及び縦型蒸発器500を含むロータヴァップシステム10は、本明細書で更に説明されるように、大容量又は大容積の蒸留システムとして構成される。図4及び図5に示すように、チラー/凝縮器400、縦型蒸発器500は、一緒に作動し、1つのシステム、即ちロータヴァップシステム又は蒸留装置として機能するように、及び/又は直列に統合されて、組成物を蒸発させ、凝縮させ、蒸留するように構成される。
【0084】
詳細には、縦型蒸発器500は、加熱要素又はマントル504に少なくとも部分的に囲まれ、及び/又は隣接する蒸発器フラスコ502を備えることができ、その両方がベースユニット230上に取り付けられる。蒸発器フラスコ502は、垂直方向又は略垂直方向に配向されている、即ち、角度とは反対に直立している。幾つかの実施形態では、蒸発器フラスコ502は、クランプ機構518を介して固定された上部エンクロージャ514(又はマニホールド)を備えた、例えば6L~100Lの大容積容器を備えていてもよい。電気モータ510、駆動シャフト512及び攪拌器508を備えるオーバーヘッド攪拌機構522を設けて、蒸発フラスコ502の内容物をかき混ぜる又は攪拌してもよい。蒸気管550の導管を設けて、チラー400上の一以上の凝縮器に蒸発物又は蒸気を移送するように構成することができる。供給原料容器は、縦型蒸発器500の近傍に配置することができ、蒸留される抽出物、試料又は組成物を提供するように構成することができる(図1参照)。制御装置を設けて、例えばオーバーヘッド攪拌機構522及び/又は加熱要素504の速度を制御及び/又は調整することを含む、縦型蒸発器500の機能性を制御及び/又は自動化することができる。
【0085】
図4及び図5を参照すると、大規模多機能チラー400は、筐体402に接続されているが、筐体402から延在する熱交換器404を有する筐体402を備えていてもよい。幾つかの実施形態では、チラー400は、例えば図4及び図5に示されるような2台の熱交換器404a及び404bを含む、1台、2台、3台、4台又はそれ以上の熱交換器を備えていてもよい。熱交換器404a及び404bは、幾つかの実施形態では、蒸気ライン、即ち1つの熱交換器404aから別の熱交換器404bへ蒸発物を通過させる為のホース又は他の導管によって直列に接続することができる。一以上のポートを設けて、冷却及び/又は凝縮される化合物/流体の入口/出口として作用する一以上の導管又は追加の器具/容器を取り付けられるように構成してもよい(例えば、詳細は図2を参照のこと)。例えば、縦型蒸発器500によって生成された蒸気は、導管550を通過してスリーブ406a内に入り、熱交換器コイル404aと接触し、それによって化合物、蒸気又は流体を冷却/凝縮してもよい。凝縮されない蒸気はいずれも、直列に、例えば、そのような蒸気が冷却され凝縮される更なる機会を有する熱交換器404bのような、任意の更なる熱交換器へ通過することができる。凝縮物は、ドレンポートを通過させ、対応するドレンラインから収集フラスコ450a及び450bへと流出させてもよい。幾つかの実施形態では、真空430を設けて、例えば、内部熱交換器404a/404b、縦型蒸発器500及び/又は収集フラスコ450a及び450bを含む、システム内部に真空又は負圧を生成させてもよい。図4に示すように、幾つかの実施形態では、真空430は、ロータヴァップシステム20/30の全ての構成要素が単一のユニット内に含まれるように、筐体402内に収容することができる。別の方法として、外部真空源を使用し、必要に応じて、又、本明細書の他の実施形態に示すように、真空ポート442に接続することもできる。
【0086】
幾つかの実施形態では、収集又は受容ユニット/フラスコ450a及び450bは、例えば、ガラス又はポリマー容器、又は、幾つかの実施形態では、丸底又は洋梨型の構成で、熱交換器404a/404bからの凝縮物を収集するのに他の適切な材料等の収集フラスコ又は他の適切な容器又はびんを備える。図4及び図5に示すように、このような収集又は受容ユニット/フラスコ450a及び450bは、導管又は接続部452を介して熱交換器から直接延在することができ、又は図1に示すように、主ユニットから外部に配置することができる。しかしながら、図4及び図5の実施形態では、収集又は受容ユニット/フラスコ450a及び450bを、筐体402内に収容されるように配置して、完全に収容された独立型のロータヴァップユニットを提供することができる。
【0087】
図4及び図5を参照すると、縦型蒸発器500は、加熱要素又はマントル504の中に入れ込む、囲む、及び/又はそれに隣接するように構成された、略円筒形の形状又はフラスコ形の形状を有する蒸発フラスコ502を備えていてもよい。加熱要素504は、筐体506内まで連続させることができ、これをベースユニット230上に装着することができる。ベースユニット230は、チラー/凝縮器400の筐体402と一体的に結合することができる床232によって支持することができ、これにより、完全に内蔵された1つの独立型ユニット上の全ての構成要素を提供する。ベースユニット230は、幾つかの実施形態では、高速蒸発器500の高さの調節を可能にするように、例えば垂直に上昇及び下降する調整可能な機能性又は調節可能な部材を備えていてもよい。このような調節可能な構成により、同じロータヴァップシステム20/30内の様々なサイズのフラスコ502の使用が可能となる。
【0088】
図5のロータヴァップシステムは、幾つかの実施形態では、単一ユニット内にシステム、特に蒸発器500を更に収容するように構成された追加のフレーミング/筐体234を備えることができる。フレーミング/筐体234は、更に、エンクロージャ材料、例えばガラス、プレキシグラス、複合材料等を構造的に支持し、蒸発及び蒸留システムを完全に囲んで安全性及び環境保全の目的を果たすことができる。
【0089】
限定ではなく一例として、図6は、攪拌機構を備えた高速縦型蒸発フラスコ/システム500と組み合わされた大容量チラー/凝縮器600を備える、完全に統合されたロータヴァップ及び/又は蒸留システム40の更に別の実施形態を示す。ロータヴァップシステム20及び30は、構造フレーム内に収容することができ、及び/又は必要に応じて更なる安全性の為に密閉することができる。
【0090】
本明細書に開示される大規模な高速ロータヴァップシステムの構成要素は、図1図5に示されるように配向又は構成できるが、図6に示されるような代替的な配置に構成することもできる。限定ではなく一例として、図6は、攪拌機構を有する高速蒸発フラスコ/システムと組み合わされた大容量チラー/凝縮器を備えた完全に統合されたロータヴァップ及び/又は蒸留システム40を示す。ロータヴァップシステム40は、単一のユニット内に収容することができ、及び/又は構造フレーム内に収容することができ、及び/又は必要に応じて更なる安全性の為に密閉することができる。
【0091】
図6において、ロータヴァップ又は蒸留システムとも呼ばれるロータリ蒸発システム40は、幾つかの実施形態では、チラー/凝縮器600及び縦型蒸発器500を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、チラー/凝縮器600、及び縦型蒸発器500を含むロータヴァップシステム40は、本明細書で更に説明されるように、大容量又は大容積の蒸留システムとして構成される。図6に示すように、チラー/凝縮器600、及び縦型蒸発器500は、一緒に作動し、及び/又は1つのシステム、即ちロータヴァップシステム又は蒸留装置として機能するように直列に統合され、組成物を蒸発させ、凝縮させ、及び蒸留するように構成される。
【0092】
詳細には、縦型蒸発器500は、チラー/凝縮器600の主筐体の中心に取り付けられ、加熱要素又はマントル504に少なくとも部分的に囲まれ、及び/又は隣接する蒸発器フラスコ502を備えることができる。蒸発器フラスコ502は、垂直方向又は略垂直方向に配向されている、即ち、角度とは反対に直立している。幾つかの実施形態では、蒸発器フラスコ502は、クランプ機構518を介して固定された上部エンクロージャ514(又はマニホールド)を備えた、例えば6L~100Lの大容積容器を備えていてもよい。電気モータ510、駆動シャフト512及び攪拌器508を備えるオーバーヘッド攪拌機構522を設けて、蒸発フラスコ502の内容物をかき混ぜる又は攪拌してもよい。蒸気管550の導管を設けて、チラー600上の一以上の凝縮器に蒸発物又は蒸気を移送することができる。供給原料容器は、縦型蒸発器500の近傍に配置することができ、蒸留される抽出物、試料又は組成物を提供するように構成することができる(図1参照)。制御装置を設けて、例えばオーバーヘッド攪拌機構522及び/又は加熱要素504の速度を制御及び/又は調整することを含む、縦型蒸発器500の機能性を制御及び/又は自動化することができる。
【0093】
図6を参照すると、大規模多機能チラー600は、筐体602に接続されるが、筐体602から延在する熱交換器604を有する筐体602を備えていてもよい。幾つかの実施形態では、チラー600は、例えば図6に示されるような2つの熱交換器604a及び604bを含む、1台、2台、3台、4台又はそれ以上の熱交換器を備えていてもよい。熱交換器604a及び604bは、幾つかの実施形態では、蒸気ライン552、即ち1つの熱交換器604aから別の熱交換器604bに蒸発物を通過させる為のホース又は他の導管によって直列に接続することができる。一以上のポートを設けて、冷却及び/又は凝縮される化合物/流体の入口/出口として作用する一以上の導管又は追加の器具/容器を取り付けられるように構成してもよい(例えば、詳細は図2を参照のこと)。例えば、縦型蒸発器500によって生成された蒸気は、導管550を通過してスリーブ606a内に入り、熱交換器コイル604aと接触し、それによって化合物、蒸気又は流体を冷却/凝縮してもよい。凝縮されない蒸気はいずれも、直列に、例えば、そのような蒸気が更に冷却され凝縮され得る熱交換器604bのような、任意の更なる熱交換器へ通過することができる。凝縮物は、ドレンポートを通過させ、対応するドレンラインから収集フラスコ450a及び450bへと流出させてもよい。幾つかの実施形態では、真空を設けて、例えば、内部熱交換器604a/604b、縦型蒸発器500及び/又は収集フラスコ450a及び450bを含む、システム内部に真空又は負圧を生成させてもよい。図4に示すように、幾つかの実施形態では、真空は、ロータヴァップシステム40の全ての構成要素が単一のユニット内に含まれるように、ロータヴァップ筐体、例えば筐体602内に収容することができる。別の方法として、外部真空源を使用し、本明細書で更に説明するように真空ポートに接続することもできる。
【0094】
幾つかの実施形態では、収集又は受容ユニット/フラスコ450a及び450bは、例えば、ガラス又はポリマー容器、又は、幾つかの実施形態では、丸底又は洋梨型の構成で、熱交換器604a/604bからの凝縮物を収集するのに他の適切な材料等の収集フラスコ又は他の適切な容器又はびんを備える。図6に示すように、このような収集又は受容ユニット/フラスコ450a及び450bは、導管又は接続部452を介して熱交換器から直接延在することができ、又は図1に示すように、主ユニットから外部に配置することができる。しかしながら、図6の実施形態では、収集又は受容ユニット/フラスコ450a及び450bを、ロータヴァップユニット内及び/又はその一部として収容されるように配置して、完全に収容された独立型のロータヴァップユニットを提供することができる。
【0095】
要約すると、既存のロータヴァップ、特に大容量のロータヴァップと、開示された、統合された及び大容量システムとの間には顕著な差異が存在する。これについては、下記に要約している。例えば、既存のシステムは、回転軸に沿って100rpmの最高速度で20L又は50Lガラスフラスコを回転(スピン)させることが可能である。この方法は、ゆっくりとした非効率的なプロセスである。試料の突沸(発泡)は、多くの場合、真空圧が最大にならないように防止する。更に、大容積のフラスコを大量の化学薬品でスピンすることは危険である。特に、5L~200Lの丸底フラスコを取り扱うことは問題が多く、生成物が破壊及び/又は、失われたりする場合もある。最後に、そのようなシステムにおいては、フラスコを加熱する為に加熱された水(例えば、水槽)が必要となる。
【0096】
顕著な対照的な例として、開示のシステム及び装置では、大型フラスコ、例えば、20L、50L又は100Lのスピンは必要ではない。その代わりに、開示のシステムでは、大容積のフラスコは固定されている。フラスコ中の試料(溶媒)を、オーバーヘッド攪拌器を使用して約200~約6,000rpmで攪拌する。開示の設計では、突沸(発泡)は、高いrpmで除去される。このように、真空圧力を最大にすることができ、これは蒸発率を加速させ、蒸発時間を短縮する。フラスコは回転しないので、連続的な試料充填及び製品排出の為の入口及び出口をそれぞれ備えた円筒形のガラス製品を使用することができる。このようなシステムでは、フラスコ容積は、100Lの円筒形フラスコと同じ大きさとすることができる。最後に、開示のシステムにおいては、加熱された水、又は水槽は必要とされない。代わりに、加熱マントル又はセラミック加熱ブロックのような非液体ベースの加熱を使用することができる。この方法は、より効率的であり、エネルギー消費を減少させる。
【0097】
開示のシステム及び装置は、化合物、組成物、試料及び抽出物を凝縮及び/又は蒸留する為に使用することができる。幾つかの実施形態では、開示のロータヴァップ、縦型蒸発器及び/又はチラーを含む開示のシステム及び装置は、例えば試料を凍結乾燥する為の凍結乾燥機を含む、蒸発、凝縮及び/又は冷却を必要とする他の設備及びシステムと併用することができる。それらは又、ドライアイストラップ、連続的な水の流れ、及び/又は再循環チラーを使用することなく、蒸発した溶媒を冷却する為の冷却凝縮ユニット/システムと共に使用することができる。機械的に冷却される冷却/凍結システム、又はチラーを使用して、溶媒蒸発から生じる蒸気を凝縮させることができる低温貯蔵器を提供することにより、連続的な水流の廃棄物を回避することができ、ドライアイス及びアセトン及びイソプロピルアルコール等の同等の溶媒の使用を回避することができ、これらは共に既存のロータリ蒸発器に代わってより環境に優しい代替手段となる。幾つかの実施形態では、開示されるシステム及び装置は、タンパク質抽出及び精製、DNA濃度、緩衝液交換、及び脱蛋白の為の遠心濃縮器と共に使用することができる。同様に、幾つかの実施形態では、開示のシステム及びデバイスは、ゲル乾燥機、DNA試料濃度、及び/又は酸試料濃度と共に使用することができる。
【0098】
幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるチラー、冷却装置、及び関連する装置は、材料、液体、蒸気、蒸発物及び他の媒体を冷却する方法において使用することができる。限定ではなく一例として、ロータリ蒸発器からのような蒸発物を凝縮させる方法であって、冷却器を提供することと、ロータリ蒸発器を提供することと、ロータリ蒸発器を介して試料を蒸発させることと、本明細書に開示されるチラー及び/又は冷却システム/装置を用いて蒸発物を凝縮させることとを含む方法を提供する。別の例として、本明細書で提供されるタンクレスチラーは、試料又は反応を冷却する方法において使用することができる。この方法は、タンクレスチラーを提供することと、反応冷却に適した所望のサイズ及び構成の別個の水槽を提供することと、チラー(外部熱交換器を備えた)及び水槽を整列させて、水槽をチラーにより冷却することによって試料/反応を冷却することとを含む。本明細書中では、当業者によって認識され理解されるように、開示の冷却システム及び付随する実験室/研究施設を使用する同様の方法が提供される。
【0099】
以下の用語は、当業者によって十分に理解されると考えられるが、以下の定義は、本明細書中に開示される主題の説明を容易にする為に記載される。
【0100】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本明細書で開示された主題が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似又は等価な任意の方法、デバイス及び材料を、本明細書に開示された主題の実施又は試験において使用することができるが、代表的な方法、装置及び材料は、ここで説明する。
【0101】
長期の特許法の慣例に従って、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、特許請求の範囲を含む本出願で使用される場合、「一以上」を指す。従って、例えば、「1つのコイル」とは、複数の同様のコイルを含む。
【0102】
特に明記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用される成分、反応条件等の量を表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」により修飾されるものとして理解されるべきである。従って、逆に指示されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本明細書に開示された主題によって得られることが求められる所望の特性に依存して変化可能な近似値である。
【0103】
本明細書で使用される場合、用語「約」は、組成物、量、質量、重量、温度、時間、容積、濃度、割合等の値又は量に言及する場合、本開示の方法を実施するか、又は開示の組成物を使用する為に、指示の量から、幾つかの実施形態では±20%、幾つかの実施形態では±10%、幾つかの実施形態では±5%、幾つかの実施形態では±1%、幾つかの実施形態では±0.5%、及び幾つかの実施形態では±0.1%の変化を包含することを意味する。
【0104】
「含む」、「含有する」又は「によって特徴づけられる」という用語である「備える」という用語は、包括的又は非限定的であり、追加的なものであり、記載されていない追加の要素又は方法ステップを除外しない。「備える」は、請求項言語で使用される用語であり、この用語は、命名された要素が必須であることを意味するが、その他の要素は、請求項の範囲内の構築物を追加及び形成することができる。
【0105】
本明細書中で使用される場合、「から成る」という語句は、請求項に明記されていない任意の要素、ステップ、又は成分を除外する。句「から成る」が、プリアンブルの直後ではなく、請求項の本体の節に現れる場合、それは、その節に記載された要素のみを制限し、その他の要素は、全体として請求項から除外されない。
【0106】
本明細書では、「本質的にから成る」という語句は、特許請求の範囲を特定の材料又はステップに限定するものであり、特許請求の範囲に記載された主題の基本及び新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないものを意味するものである。
【0107】
これら3つの用語の1つが本明細書で使用される、「備える」、「から成る」、及び「本質的にから成る」という用語に関して、本明細書に開示され、特許請求される主題は、他の2つの用語のいずれかの使用を含んでいてもよい。
【0108】
本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、実体のリストとの関連で使用される場合、単独で又は組み合わせて存在する実体を指す。従って、例えば、語句「A、B、C及び/又はD」は、A、B、C及びDを個々に含むが、A、B、C及びDの任意及び全ての組み合わせ及びサブコンビネーションも含む。
【0109】
ここで開示された主題の様々な詳細は、本明細書に開示された主題の範囲から逸脱することなく変更することができることは理解されるであろう。更に、前述の説明は、例示のみを目的とするものであり、限定の目的ではない。
【符号の説明】
【0110】
10、20、30 ロータヴァップシステム(ロータリ蒸発システム)
40 ロータヴァップ及び/又は蒸留システム
100、400 チラー
200、500 蒸発器
208 攪拌器
230 ベースユニット
300 収集容器(収集ユニット、受容ユニット)
302 収集フラスコ
400、600 チラー/凝縮器
402、506 筐体
500 縦型蒸発器
502 蒸発器フラスコ
504 マントル(加熱要素)
522 オーバーヘッド攪拌機構
552 蒸気ライン
604a、604b 熱交換器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合されたロータリ蒸発器装置であって、
試料を蒸発させて試料蒸発物を形成するように構成された垂直方向に配向された蒸発器と、
前記蒸発器内の前記試料を混合するように構成された混合装置と、
蒸発した試料を凝縮物に凝縮するように構成された凝縮器と、
前記凝縮物を収集するように構成された収集容器と、
前記蒸発器内に真空を生成するように構成された真空ポンプと、
前記凝縮器に統合された冷却システムと、を備える、ロータリ蒸発器装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0109
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0109】
ここで開示された主題の様々な詳細は、本明細書に開示された主題の範囲から逸脱することなく変更することができることは理解されるであろう。更に、前述の説明は、例示のみを目的とするものであり、限定の目的ではない。
〔付記1〕
統合されたロータリ蒸発器装置であって、
試料を蒸発させて試料蒸発物を形成するように構成された垂直方向に配向された蒸発器と、
前記蒸発器内の前記試料を混合するように構成された混合装置と、
蒸発した試料を凝縮物に凝縮するように構成された凝縮器と、
前記凝縮物を収集するように構成された収集容器と、
前記蒸発器内に真空を生成するように構成された真空ポンプと、
前記凝縮器に統合された冷却システムと、を備え、
垂直方向に配向された蒸発器、混合装置、凝縮器、収集容器、真空ポンプ及び冷却システムは、単一の装置に統合されている、統合されたロータリ蒸発器装置。
〔付記2〕
前記混合装置は、前記試料を毎分約500~約6,000回転(rpm)で攪拌するように構成されたオーバーヘッド攪拌器を備える付記1に記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
〔付記3〕
前記垂直方向に配向された蒸発器は、約6L~約100Lの容積を有する大容積容器を備える付記1から2のいずれかに記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
〔付記4〕
前記垂直方向に配向された蒸発器は、生成物排出弁を備え、前記垂直方向に配向された蒸発器は、試料弁を備える付記1~3のいずれか一項に記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
〔付記5〕
前記試料を前記垂直方向に配向された蒸発器内で加熱するように構成された加熱マントルを更に含む付記1~4のいずれか一項に記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
〔付記6〕
前記凝縮器に接触する試料蒸発物を冷却し、凝縮する前記能力を前記凝縮器に提供するように、前記凝縮器に係合するように構成された冷却コイルを更に備える付記1~5のいずれか一項に記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
〔付記7〕
前記冷却システムは、凝縮器及び冷媒を含み、前記冷却システムは、前記凝縮器に冷却剤を供給することによって、前記蒸発器からの前記試料蒸発物を凝縮する付記1~6のいずれか一項に記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
〔付記8〕
前記冷却剤は、前記凝縮器内部の二重コイルに供給され、凝縮器内部の前記二重コイルは、前記試料蒸発物に接触するように構成される付記1~7のいずれか一項に記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
〔付記9〕
全ての構成要素を単一の装置に統合するように構成された構造フレームを更に備える付記1~8のいずれか一項に記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
〔付記10〕
前記凝縮器は、直列に配置された2つ以上の凝縮器を備える付記1~9のいずれか一項に記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
〔付記11〕
前記凝縮器及び/又は冷却システムの前記冷却能力を増減させるように構成された適応冷却レギュレータを更に備える付記1~10のいずれか一項に記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
〔付記12〕
前記適応冷却レギュレータは、デジタル化された膨張弁を備える付記1~11のいずれか一項に記載の統合された統合されたロータリ蒸発器装置。
〔付記13〕
前記適応冷却レギュレータは、前記蒸発器からの熱負荷の増加を検出すると、前記凝縮器及び/又は冷却システムの前記冷却能力を増加させ、前記適応冷却レギュレータは、前記蒸発器からの熱負荷の減少を検出すると、前記凝縮器及び/又は冷却システムの冷却能力を減少させる付記1~12のいずれか一項に記載の統合されたロータリ蒸発器装置。
〔付記14〕
容器又は貯蔵器内の液体、蒸気又は他の媒体を冷却するように構成された独立型大規模チラーであって、
熱が除去される液体、蒸気又は他の媒体を収容する容器又は貯蔵器内に配置、又は浸漬されるように構成された熱交換器又は蒸発器と、
凝縮器と、
圧縮器と、
温度制御装置と、を備え
各構成要素は、単一の独立型チラーに統合され、前記チラーは、熱が除去される液体、蒸気、又は他の媒体を収容する任意の容器又は貯蔵器と共に汎用的に使用するように構成され、
前記チラーは-10℃で約4000ワットの冷却能力を有する、独立型大規模チラー。
〔付記15〕
前記凝縮器、圧縮機及び温度制御装置を包囲する筐体を更に備え、前記熱交換器を、容器又は貯蔵器内に浸漬するか又は配置できるように、前記筐体の外側に配置する付記15に記載の独立型大規模チラー。
〔付記16〕
前記容器又は貯蔵器内の前記液体、蒸気又は他の媒体を循環させる為のポンプを更に備える付記14~15のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
〔付記17〕
真空ポンプ及び制御装置を更に備える付記14~16のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
〔付記18〕
前記熱交換器、凝縮器及び圧縮機は、冷媒を更に備え、前記熱交換器、凝縮器及び圧縮機は、互いに流体連通している付記14~17のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
〔付記19〕
ロータリ蒸発器内の凝縮器として使用されるように構成された熱交換器を更に備える付記14~18のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
〔付記20〕
前記チラー筐体の外部にポンプを更に備え、前記ポンプは、取外し可能な貯蔵器を備え、前記ポンプは、前記貯蔵器の支持構造として構成され、前記熱交換器は、前記貯蔵器内に配置されるように構成される付記14~19のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
〔付記21〕
前記熱交換器を取り囲む二重壁容器を更に備える付記14~20のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
〔付記22〕
前記熱交換器は、蒸発器コイルを備え、前記蒸発器コイルは、チタン合金、ステンレス鋼、銅及びこれらの組合せから選択される材料を含む付記14~21のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
〔付記23〕
複数の熱交換器及び/又は蒸発器を直列に備える付記14~22のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
〔付記24〕
前記温度制御装置は、前記凝縮器の前記冷却能力を増減させるように構成された適応冷却レギュレータを備える付記14~23のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
〔付記25〕
前記適応冷却レギュレータは、デジタル化された膨張弁を備える付記14~24のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
〔付記26〕
前記適応冷却レギュレータは、熱負荷が増加したことを検出すると、前記凝縮器の前記冷却能力を増加させ、前記適応冷却レギュレータは、熱負荷が減少したことを検出すると、前記凝縮器の前記冷却能力を減少させる付記14~25のいずれか一項に記載の独立型大規模チラー。
〔付記27〕
試料を蒸留物又は抽出物に蒸留する方法であって、
蒸留される試料を提供することと、
付記1~13のいずれか一項に記載の統合されたロータリ蒸発器装置を提供することと、
前記試料を蒸留して、蒸留物又は抽出物を提供することと、を含む方法。
〔付記28〕
蒸留される前記試料は、一度に約6L~約100Lの範囲の量を提供する付記27に記載の方法。
〔付記29〕
前記試料は、前記統合されたロータリ蒸発器に連続的に供給され、前記統合されたロータリ蒸発器は、一度に約6L~約100Lを収容するように構成される付記27に記載の方法。
【外国語明細書】