IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メカクローム・フランスの特許一覧

特開2022-185044複雑な形状を有する金属合金部品を製造するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185044
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】複雑な形状を有する金属合金部品を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/00 20060101AFI20221206BHJP
   F01D 5/14 20060101ALI20221206BHJP
   F01D 9/02 20060101ALI20221206BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20221206BHJP
   B23K 20/12 20060101ALI20221206BHJP
   B23K 20/00 20060101ALI20221206BHJP
   C04B 35/80 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
F02C7/00 D
F01D5/14
F01D9/02 101
F01D25/00 X
B23K20/12 G
B23K20/00 310L
C04B35/80
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022156180
(22)【出願日】2022-09-29
(62)【分割の表示】P 2019549587の分割
【原出願日】2018-03-12
(31)【優先権主張番号】1752018
(32)【優先日】2017-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】515122859
【氏名又は名称】メカクローム・フランス
【氏名又は名称原語表記】MECACHROME FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ・ポナ,アルノー
(72)【発明者】
【氏名】マルタン,オリヴィエ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、コアと、チップと、ルートとを含むターボ機械の中実翼を得るための方法に関する。
【解決手段】この方法は、少なくとも2つの部品のうちの少なくとも1つが中実部品であり、それら少なくとも2つの部品が拡散連結技術によって溶融なしで組み立てられる、少なくとも2つの部品(50、51)からブランクを製造するステップと、定義されたプロファイルを有する翼を製造するためにこのブランクを機械加工するステップと、を含む。
【選択図】図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア(1)と、チップ(3)と、ルート(2)とを含むタービンエンジンの中実翼を得るための方法であって、前記方法が、
少なくとも2つの部品(42、61、71、50、51、64、65、80、81、90、91、92、93)のうちの少なくとも1つが中実部品であり、前記少なくとも2つの部品が溶融なしの拡散連結技術によって組み立てられる、前記少なくとも2つの部品からブランクを製造するステップと、
定義されたプロファイルを有する翼を製造するためにこのブランクを機械加工するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記部品のうちの少なくとも2つが中実である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記部品(103、104)のうちの少なくとも1つが粉末を使用して得られ、前記少なくとも1つの中実部品上に直接形成される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの中実部品が金属合金で作製されたブロックである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記翼の前記コア(1)が、前記コアの外面を製造する際にその曲率半径を利用するために、中実断面を有する円筒形の粗加工品(6)の周囲で切断されたブロック(61)から得られる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記翼の前記コア(1)が、前記コアの外面及び/又は内面を製造する際にその曲率半径を利用するために、環状断面を有する円筒形の粗加工品(4)において切断されたブロック(42)から得られる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの中実部品が、特にセラミックマトリックス複合材料で作製されたセラミック系のものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記粉末が、金属合金粉末又はセラミック粉末である、請求項3~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記金属合金がチタンアルミナイド(γ-TiAl)である、請求項4~6及び8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも2つの部品が、線形摩擦溶接法を使用して組み立てられる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも2つの部品が、加圧下で拡散溶接の方法を使用して組み立てられる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの中実部品がその組立ての前に機械加工される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法を使用して得られるエンジン中実翼であって、前記翼がチタンアルミナイド及び/又はセラミック系材料で作製されている、エンジン中実翼。
【請求項14】
請求項13に記載の少なくとも1つの翼を含むタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンエンジンの中実翼を製造するための方法に関する。
【0002】
本発明は、チタンアルミナイドのような、複雑な形状を有する部品に変形するのが困難な金属材料を用いて有利に実施される。
【0003】
また本発明は、セラミック系材料を使用しても実施され得る。
【0004】
本発明は、航空セクタやエネルギー分野で使用される中実翼又は翼の分野において、これらの翼又は羽根が静翼であれ動翼であれ、特に重要な用途を有するが、これに限定されない。
【0005】
例えば、タービンエンジンは、少なくとも1つの固定ノズル案内翼アセンブリ又はステータ、及び動翼アセンブリ又はロータを含む。
【0006】
ステータは、内輪と外輪との間又は2つの半ケーシングの間に保持された固定案内翼で構成されている。タービンの場合、ステータは、したがって回転するロータの翼上の流体の流れを誘導及び分配することを可能にする。
【0007】
従来、航空用翼は、粗鋳造又は鍛造され、部分的又は全体的に再加工されて製造される。
【0008】
特に様々な部分の組立て前の穿孔又は機械加工の作業を容易にするために、ステータ静翼を複数の部分として製造することがすでに提案されている(EP3103580)。
【0009】
動翼に存在する応力の分布は、静翼で観察されるものとは根本的に異なる。
【0010】
特に、すべてがコア、ルート及びチップを含む翼では、(静翼と動翼とに埋め込まれた)ルートにおける応力は、コアの約半分以上の範囲まで、1(静翼)対100(動翼)の比率を有し得る。実際、推力がどちらの場合も実質的に同じであれば、動翼も遠心加速度を受ける。
【0011】
これが、この解決策が静翼に限定される理由である。これは、様々な部分が機械的係合によって組み立てられるという事実によって裏付けられる。
【0012】
中空翼に関する文献、EP2772614及びEP1481755も挙げることができる。
【0013】
遠心力に関連した応力は、中空翼では中実翼が受ける応力と比較して小さい。
【0014】
これは、翼の重心のそれぞれの位置と翼のそれぞれの質量との結果である。
【0015】
このため、これらの文献の教示は中空翼に限定される。
【0016】
粗加工品が部分的にのみ機械加工される場合、特に翼のプロファイルが機械的再加工なしで仕上げられる場合には、動作可能な寸法を確保するために、矯正、成形及び/又はサイジングの作業が不可欠である。
【0017】
小型タービン翼では、開発用試作品を形成する場合、又は仕上げ作業のために、あるいは機械加工が容易で安価な材料で作製されるシリーズ翼では、ブロックから切断されるとされる範囲が使用される。
【0018】
そのような解決策には、良好な温度耐性を有するが、室温で著しい脆性を有するチタンアルミナイド(γ-TiAl)を使用することが望ましい場合に欠点がある。
【0019】
より具体的には、これら公知の解決策は、特に以下の問題を引き起こす。
【0020】
鍛造された粗バーから得られる範囲の場合、表面全体を機械加工に使用することは可能であるが、応力緩和に関連した変形に追従できるように、又は自己適応範囲を使用するために複雑な機械加工範囲を必要とする。加えて、鍛造ブランクを使用するには、少なくとも3つのプロセス群、すなわち、材料開発、鍛造、及び機械加工が必要であり、比較的長い製造サイクルを伴う。
【0021】
粗鋳造で得られる範囲の場合、表面全体を機械加工に使用することは確かに可能であるが、この場合もやはり、応力緩和に関連した変形に追従できるように複雑な機械加工範囲を必要とし、前記方法は、いずれにせよ、機械加工後に生じる鋳造欠陥に関連した著しい廃棄率を発生させる。
【0022】
粗鋳造を使用するには、最終的に3つから5つのプロセス群、すなわち、材料開発、鋳造、場合によっては熱間等静圧圧縮成形、場合によっては矯正、及び最後に機械加工が必要であり、この場合もやはり、比較的長い製造サイクルを伴う。
【0023】
機械加工のためにブロックから切断されるとされる範囲の場合、この場合に重要なのは、(鋳造又は押出しで作製された)スラグから開始し、この単純な形状を、機械加工で余分な材料を除去することによって部品の形状に変形することである。
【0024】
γ-TiAlの機械加工の難しさ(やはり、非常に低い切削条件、かなりの工具摩耗、室温での材料の脆性など)と材料の高コストとを考えると、この手法はこの場合もやはりシリーズ翼の製造に深刻な欠点を呈する。
【0025】
FR2997885に記載されている金属合金から作製されたタービン翼を製造する方法を使用してこれらの欠点を克服することが提案されている。
【0026】
この方法は、単純な、かつ/又は軸対称の形状を有するアルミニウムチタン合金バーから、バーをウォータージェット切断することによって少なくとも2つの相互にかみ合わさったブランクを同時に製造することに関するものであり、次いで前記得られたブランクの各々は最終的なプロファイルを有する翼を得るために別々に機械加工される。
【0027】
この方法には、同じバーから複数の部品を作製でき、よってブランクの製造時に失われる材料の量を制限できるという利点がある。
【0028】
またこの方法は、良質の材料を、他のすべてが等しいならば、再利用するためにより大量に回収することも可能にする。この場合、鋳造法によってフィードヘッドのみが回収可能であり、ゲートは切り取られることに留意されたい。
【0029】
本出願人は、ブレードブランクを得た後、再利用されるべき材料の量、並びにこれらのブランクのコストをさらに削減しようとして、その研究を続けてきた。
【0030】
このために、本発明は特に、コアと、チップと、ルートとを含むタービンエンジンの中実翼を得るための方法を提案し、前記方法は、
少なくとも2つの部品のうちの少なくとも1つが中実部品であり、前記少なくとも2つの部品が溶融なしの拡散連結技術によって組み立てられる、少なくとも2つの部品からブランクを製造するステップと、
定義されたプロファイルを有する翼を製造するためにこのブランクを機械加工するステップと
を含む。
【0031】
「中実部品」とは、組立て時に粉体形状ではない部品を意味することに留意されたい。
【0032】
さらに、本発明の文脈において、機械加工するステップとは、完成部品の質量に対して材料質量の少なくとも25%を除去する作業であると理解される。
【0033】
よって、この方法は、中実翼及び動翼に現在実施されている製造方法で使用される設計とは根本的に異なる、翼を得るための設計に基づくものである。
【0034】
実際、これらの方法はすべて、単一の部品からブレードブランクを製造することを可能にするのに対して、本発明による方法は、少なくとも2つの組立て部品から翼を製造することに存する。
【0035】
この手法は当業者の手法ではない。というのは、翼のブランクを得る前の作業数を増やすことは、このブランクを一度に製造するよりも先験的に複雑であると思われるからである。
【0036】
加えて、組立ては多くの場合、脆化の危険、したがって品質低下の危険と結び付けられ、このために、かなりの負荷を受ける動翼には、特に、ハブ又はディスクに固定されるそのルートと、衝撃に耐えられなければならないそのコアの中央部分とにおいては組立ての使用が除外される。
【0037】
本発明の文脈においては、使用される組立ては、2つの隣接する部品を相互に係合するステップを含む機械的組立てでも、接合による組立てでもない。
【0038】
これは拡散による組立て、すなわち、主に、2つの組立て部品間で溶融なしで化学元素の拡散によって提供される組立てである。
【0039】
よって、拡散による組立ては、固体媒質において、全体として(拡散溶接)、又は液相を組み合わせることによって(ろう付け段階の終わりに液相が消失する拡散ろう付け)行われるプロセスによって達成される。
【0040】
線形摩擦法、放電プラズマ焼結法及び同様の方法では、粘塑性が界面で非常に局所的に発生するので、固体拡散が唯一の作用機構ではない。
【0041】
この種の組立ては、翼の機械的特性の劣化を引き起こさないことがわかっているので、この方法を静翼と動翼の両方に使用することができる。
【0042】
実際には、構成部品ごとに最適な方法を選択することが可能なので、翼の各構成部品の製造が簡素化される。
【0043】
また材料損失の発生が最も少ない方法を選択することも可能である。
【0044】
さらに、各構成部品を、金属合金で作製されたバーから得ることができるが、他の製造から回収された廃棄物、特にウォータージェット切断法からの廃棄物からも得ることができる。その場合これは本発明による中実部品になる。
【0045】
そのような中実部品を、セラミック系材料で、例えば、セラミック含浸セラミック繊維マトリックスで作製することもできる。
【0046】
本発明による方法は、最終的には、得られる部品のロバスト性に影響を与えることなく、製造を簡素化して、使用される材料の量並びに再利用されるべき材料の量を制限することを可能にする。
【0047】
有利な実施形態では、以下の構成の一方及び/又は他方がさらにかつ/又は追加的に使用される。
前記部品のうちの少なくとも2つが中実である。
前記部品のうちの少なくとも1つが粉末を使用して得られ、前記少なくとも1つの中実部品上に直接形成される。
少なくとも1つの中実部品が金属合金で作製されたブロックである。
前記翼のコアが、前記コアの外面を製造する際にその曲率半径を利用するために、中実断面を有する円筒形の粗加工品の周囲で切断されたブロックから得られる。
前記翼のコアが、前記コアの外面及び/又は内面を製造する際にその曲率半径を利用するために、環状断面を有する円筒形の粗加工品において切断されたブロックから得られる。
少なくとも1つの中実部品が、特にセラミックマトリックス複合材料で作製されたセラミック系のものである。
粉末が、金属合金粉末又はセラミック粉末である。
金属合金がチタンアルミナイド(γ-TiAl)である。
前記少なくとも2つの部品が、線形摩擦溶接法を使用して組み立てられる。
前記少なくとも2つの部品が、加圧下で拡散溶接の方法を使用して組み立てられる。
少なくとも1つの中実部品がその組立ての前に機械加工される。
【0048】
本発明はまた、本発明による方法によって得られる、チタンアルミナイド及び/又はセラミック系材料で作製された中実翼にも関する。
【0049】
本発明はまた、少なくとも1つのそのような翼を含むタービンエンジンにも関する。
【0050】
添付の図面を参照して与えられる以下の説明を読めば、本発明がよりよく理解され、本発明の他の目的、利点及び特徴がより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明による方法によって得られたタービンエンジン翼を示す斜視図である。
図2A】各ブロックが、本発明の一実施形態の第1のステップに従って製造されるブランクの中実部品を形成するのに適している、タービンエンジン翼のコアを製造することを目的とした複数のブロックを得る前の環状断面を有する円筒形の粗加工品を示す斜視図である。
図2B】各ブロックが、本発明の一実施形態の第1のステップに従って製造されるブランクの中実部品を形成するのに適している、タービンエンジン翼のコアを製造することを目的とした複数のブロックを得た後の環状断面を有する円筒形の粗加工品を示す斜視図である。
図2C】本発明の別の実施形態によるブランクのための中実部品を形成するのに適した、タービンエンジン翼のコアを製造することを目的とした複数のブロックを得る前の中実断面を有する円筒形の粗加工品を示す斜視図である。
図2D】本発明の別の実施形態によるブランクのための中実部品を形成するのに適した、タービンエンジン翼のコアを製造することを目的とした複数のブロックを得た後の中実断面を有する円筒形の粗加工品を示す斜視図である。
図3A】本発明の別の実施形態によるブランクのための中実部品を形成するのに適した、タービンエンジン翼の端部を製造することを目的としたブロックに切断された円筒形の粗加工品を示す斜視図である。
図3B】本発明の別の実施形態によるブランクのための中実部品を形成するのに適した、タービンエンジン翼の端部を製造することを目的としたブロックに切断された円筒形の粗加工品を示す側面図である。
図4A】中実断面を有する円筒形の粗加工品においてタービンエンジン翼のコア及び端部を製造することを目的としたブロックの分配の例を示す粗加工品の上面図である。
図4B】中実断面を有する円筒形の粗加工品においてタービンエンジン翼のコア及び端部を製造することを目的としたブロックの分配の例を示す図4Aに対応する分解図である。
図5A】本発明で使用することができる中実部品を形成するのに適した、タービンエンジン翼の端部を製造することを目的としたブロックを得ることを可能にする(この場合、六角形断面を有し、図4A及び図4Bに示される粗加工品から得られる)別の粗加工品の例を示す斜視図である。
図5B】本発明で使用することができる中実部品を形成するのに適した、タービンエンジン翼の端部を製造することを目的としたブロックを得ることを可能にする(この場合は六角形断面を有し、図4A及び図4Bに示される粗加工品から得られる)別の粗加工品の例を示す図5Aの分解図である。
図6A】各々がタービンエンジン翼のコア及びルートを製造し、本発明に従って使用できる中実部品を形成することを目的としたブロックを得ることを可能にする中実断面を有する円筒形の粗加工品を示す斜視図である。
図6B】各々が翼のコア、ルート、又はチップを製造し、本発明に従って使用できる中実部品を形成することを目的としたブロックを得ることを可能にする中実断面を有する円筒形の粗加工品を示す斜視図である。
図7A】3つの中実部品から得られ、その組立てがエンドツーエンドで行われる、本発明の一実施形態によるブレードブランクを示す斜視図である。
図7B】3つの中実部品から得られ、その組立てがエンドツーエンドで行われる、本発明の一実施形態によるブレードブランクを示す図7AのA-Aに沿った断面図である。
図8A】その組立てがエンドツーフェイス型のものである、本発明の別の実施形態による図7Aと同様の斜視図である。
図8B】その組立てがエンドツーフェイス型のものである、本発明の別の実施形態による図7Bと同様の図8AのA-Aに沿った断面図である。
図9A】2つの中実部品から、本発明の他の実施形態に従って得られたブレードブランクを組み立てる1つのモードを示す、図7B及び図8Bと同様の断面図である。
図9B】2つの中実部品から、本発明の他の実施形態に従って得られたブレードブランクを組み立てる別のモードを示す、図7B及び図8Bと同様の断面図である。
図10A】中実コア上で粉末を使用して製造されるチップ及び/又はルートをそれぞれ含む、本発明の別の実施形態に従って得られた翼を示す斜視図である。
図10B】中実コア上で粉末を使用して製造されるチップ及び/又はルートをそれぞれ含む、本発明の別の実施形態に従って得られた翼を示す斜視図である。
図10C】中実コア上で粉末を使用して製造されるチップ及び/又はルートをそれぞれ含む、本発明の別の実施形態に従って得られた翼を示す斜視図である。
図10D】中実コア上で粉末を使用して製造されるチップ及び/又はルートをそれぞれ含む、本発明の別の実施形態に従って得られた翼を示す斜視図である。
図11A】本発明の一実施形態において部品を相互にしっかりと連結するために使用できる粉末高密度化法の1つのステップを概略的に示す図である。
図11B】本発明の一実施形態において部品を相互にしっかりと連結するために使用できる粉末高密度化法の次のステップを概略的に示す図である。
図11C】本発明の一実施形態において部品を相互にしっかりと連結するために使用できる粉末高密度化法の最後のステップを概略的に示す図である。
【0052】
様々な図に共通する要素は同じ参照番号で示される。
【0053】
最初に図1を参照すると、タービンエンジン翼は従来、3つの別個のゾーン、すなわち、中央にある翼又はコア1と、その両端にある、翼がドライブシャフトに固定されることを可能にするルート2と、チップ3とを含む。
【0054】
公知のように、コアは三日月形の断面を有し、ルート2は一般的に平行六面体形状を有し、チップ3は一般的にU字型である。
【0055】
この図は、タービンエンジン翼の3つの構成部分が非常に明確な形状を有することを示している。
【0056】
本発明による方法は、これらの形状の違いを利用して、失われるか又は再利用されなければならない翼の製造に必要な材料の割合を最小限にすることを提案する。
【0057】
したがって、本発明による方法は、翼を少なくとも2つの部品に分離することを提案する。図2A図2D図3A図3B図4A図4B、及び図5A図5Bを参照して説明される例では、翼は3つの部分に分離されており、この分離は大きな断面の変化ごとに行われる。実際には、これによりコアとルートとチップとが分離されることになる。
【0058】
しかしながら、本発明はこの用途に限定されず、翼を、例えば、図6A図6Bを参照して説明されるように、その各々が異なる応力ゾーンに対応する2つの部品に分離することもできる。
【0059】
最初に、タービンエンジン翼のコア、ルート及びチップの形成を目的としたブロックを得る例を示す図2A図2D及び図3A図3Bを参照する。
【0060】
実際には、以下の記述で説明されるように、ある部品用に設計されたブロックを、別の部品の一部分を製造するために使用することができる。しかしながら、説明を簡略化するために、材料のブロックから得られる翼の各部分を指定するために使用されるコア、ルート、及びチップという用語を保持する。
【0061】
よって、図2Aは、環状断面を有する円筒形の粗加工品4を示している。これは特に、遠心鋳造技術によって、又は押出しによって得られるリングとすることができる。この粗加工品4には、8つのコアが、粗加工品4内部でのそれらの空間要件及びそれらの位置決めを表すために細い線で描かれている。
【0062】
したがって、粗加工品4の高さは、得られるべきコアの長さに実質的に等しいことが理解される。以下の記述で説明されるように、これは翼の端部との連結の種類と、これらの端部の性質(固体か粉末ベースか)に依存する。
【0063】
図2Aは、これら8つのコアを得るために粗加工品4の材料をどのようにして最適に使用することができるかを示すためのものである。よって、図2Aは、コア1の凹面が実質的にブロック4の中心軸Xを向くようにコア1を位置決めすることが想定されることを示している。言い換えると、リング4と各コアとの凹面は、実質的に同じ方向を向いている。
【0064】
よって、コア1の外面10は粗加工品4の外周40側に位置し、その内面11は粗加工品4の内周41側を向いている。
【0065】
図2Aは、この例では、コアの断面が一方の側で他方の側よりも幅広いので、ブロック4の材料を最大限に活用するために、各コアが実質的にチップと尾部とが隣り合うように配置されることを示している。
【0066】
図2Bは、図のコア1間でその高さに沿って切断された後の、粗加工品4を示している。
【0067】
切断面が軸方向ではないので切断はウォータージェットによって行われる。
【0068】
よって、8つのブロック42が得られ、その各ブロックにおいて、コア1を機械加工することができる。
【0069】
本発明は、環状断面を有する円筒形の粗加工品の使用に限定されず、環状断面を有する円錐形の粗加工品に基づくものとすることもできることに留意されたい。そのような粗加工品は、その断面が一方の側で他方の側よりも幅広いコアを作製するために選択され得る。どちらの場合も、粗加工品を軸平面に沿って切断することができる。
【0070】
一般に、金属粗加工品では、その中央に多孔性が存在し得ることが知られている。よって、金属粗加工品がその厚さ全体にわたって適切な品質を有することを確実にするために、後処理を行う必要がある。
【0071】
しかしながら、これらの後処理は非常に高くつく。
【0072】
したがって、粗加工品4などの環状断面を有する粗加工品を、後処理を必要とせずに使用することができ、粗加工品の周囲部分は常にその中央部分よりも品質が良好であることが理解される。実際には、欠陥が存在し得るが、それらの欠陥は多くの場合許容される。
【0073】
図2Cは、7つのコアがその空間要件及びその位置決めを示すために細い線で図示されている、中実断面を有する円筒形の粗加工品7を示している。
【0074】
粗加工品4に関しては、粗加工品7の高さは、得られるべきコア1の長さに実質的に等しい。
【0075】
その厚さ全体にわたって同じ品質を確保するには後処理が必要であった。後処理は、特に、鋳造によって製造された粗加工品の凝固欠陥を閉じるための熱間等静圧圧縮成形からなる。この圧縮成形は、押出しによって得られた粗加工品には不要である。さらに、いずれにせよ、使用に必要な最小限の特性を得るために熱処理が往々にして必要である。
【0076】
図2Dは、この例では、各翼の位置決め及び空間要件が細い線で示されている7つのブロック71を定義するために、2つの連続した平面がその中心軸に対して平行であり、2つの連続した平面が、その間に、非ゼロの角度を形成するように、図の翼間で切断された後の粗加工品7を示している。
【0077】
次に図3A及び3Bを参照する。
【0078】
図3Aは、8つのルート2と8つのチップ3とが粗加工品5内部でのその空間要件及びその位置決めを設定するように細い線で図示されている中実の円筒形の粗加工品5を透視法で示している。
【0079】
この粗加工品5と粗加工品4又は粗加工品7とは、典型的には異なるスラグから得られ、その材料は必ずしも同一ではない。その厚さを考えると、粗加工品5は、その厚さ全体を通して同じ品質を提供するために適切な後処理を受けていなければならない。さらに、2つの粗加工品は独立して作製されるので、その直径は粗加工品4の内径より小さくてもよく、その高さは粗加工品4又は粗加工品7の高さより小さくてもよい。よって、粗加工品5は、使用される材料の量を最小限にするために、例えば、その寸法が可能な限り厳密に定義されるように押出しによって得られてもよい。
【0080】
その空間要件を最小限にするために、ルート2はチップ3と同様に相互の上に平らに配置されている。
【0081】
図3Aは、粗加工品5が、それぞれ、ルート2又はチップ3の形成を目的とした8つのブロック50と8つのブロック51とに分離するために、その中心軸Xを含む中央平面に沿ってと、この中心軸に対して垂直な複数の平面とに沿って切断されることを示している。
【0082】
これら様々なブロック50及び51は、図3Aの側面図である図3Bにも示されている。
【0083】
この切断はこの場合、のこぎりで行われる。ウォータージェット切断では、ブロックは、例えば図7Aに示されるように、最終的な翼のルート又はチップにより近い形状を有することもできる。
【0084】
次に図4A図4B及び図5A図5Bを参照して、同じ円筒形の粗加工品から複数のタービンエンジン翼のコア、ルート及びチップを得るための他のステップを説明する。
【0085】
そのような粗加工品又はバー6が、図4Aの上面図として示されている。
【0086】
この図は、粗加工品6の周囲に位置決めされた、6つのコア1と、粗加工品6の中央部分に位置決めされたルート2及びチップ3との位置及び空間要件も、細い線で示している。
【0087】
コア1は、粗加工品6の高さ全体にわたって延在しており、したがってその高さはコアの長さに実質的に等しいことが理解される。図2Aに関して前述したように、粗加工品6と各コア1との凹面は、実質的に同じ方向を向いている。よって、各コア1の外面10は粗加工品6の外周60を向いており、各コア1の内面11は実質的にバーの中心軸Xを向いている。
【0088】
当然ながら、粗加工品6の中央において、粗加工品6の高さに従って積み重ねられる、複数、実際には本事例では6つのルート2及びチップ3の空間要件を提供することが可能である。
【0089】
図4Bは、この切断により各々においてコア1を作製できる6つのブロック61を分離することが可能になる粗加工品6の切断を示している。これらのブロックはこの場合、ウォータージェット切断又はのこ刃切断を可能にするために、軸Xに対して平行な平面に沿って切断される。2つのブロック61の間で分離されたブロック62は廃棄物を表す。
【0090】
ブロック61及び62を切断することにより、粗加工品6の高さ全体にわたって延在する中央の粗加工品63を分離し、すべて実質的に同一であるブロック61を得ることが可能になる。
【0091】
ブロック61は、中央の粗加工品63よりも品質が良好であり、実際には後処理を必要としないことが多い円筒形ブロック6の周囲部分において作製される。
【0092】
粗加工品63の断面は六角形であることに留意されたい。実際、のこ刃で、その高さに比例してブロックを切断し、切断面を形成することは比較的容易である。これは、円筒形断面を有する粗加工品を得ることが目的の場合には当てはまらない。
【0093】
図5Aは、6つのルート2及び6つのチップ3が細い線で描かれている、ブロック63の斜視図である。
【0094】
図5Aは、チップ3が平らに設けられており、ルート2が垂直に設けられていることを示している。
【0095】
しかしながら、ブロック63の高さが必然的にコア1の高さと実質的に等しい場合には、粗加工品63の直径を、したがって粗加工品6の直径を減らすために、粗加工品63内のルート2とチップ3の配置を最適化することが可能であることが理解される。
【0096】
図5Bは、粗加工品63が、ルートの形成を目的とした6つのブロック64とチップの形成を目的とした6つのブロック65とを得るために、その中心軸Xを含む中央平面とこの軸に対して垂直な複数の平面とに沿って切断されることを示している。
【0097】
当然ながら、中央の粗加工品63は、材料の品質が許す限り、すなわち実際には、粗加工品6が適切な後処理を受けている場合には、ルート及び/又はチップの形成に使用される。この場合、6つの翼の粗加工品が有利には同じ材料バッチから得られる。
【0098】
逆の場合には、粗加工品6の周囲部分のみが(図2A及び図2Bに示されるように)コアの形成に使用され、ブロック63は再利用される。
【0099】
ルート及びチップはその場合、粗加工品6と同じ材料バッチに属さない粗加工品から得られる。
【0100】
図6A及び図6Bは、本発明による方法の2つの変形例を示しており、この方法では、前述したように、ブレードブランクが3つではなく2つの中実部品から得られる。
【0101】
よって、図6Aは、コア1とルート2とに対応する粗加工品の2つの部品12が、その空間要件及びその位置決めを示すために細い線で示されている、中実断面を有する円筒形の粗加工品8を示している。
【0102】
粗加工品8の高さは、少なくとも、得ようと意図されている部品12の長さに等しい。
【0103】
粗加工品8の材料を最大限に使用するために、2つの部品12はチップと尾部とが隣り合うように配置される。
【0104】
図6Aは、粗加工品8が、その各々により部品12を機械加工することを可能になる2つのブロック80及び81にどのようにして切断されるかも示している。
【0105】
図6Aは、この結果を得るために、切断面が粗加工品8の長手方向の中央平面に対してわずかにねじれていることを示している。
【0106】
次いで、ブロック80、81から、また例えば図3Aに示されるようにブロック50からブレードブランクを得ることができることが理解される。
【0107】
以下の説明において後で理解されるように、チップ3を粉末から得ることもできる。
【0108】
図6Bは、ブロック8と同様であるが、より直径の大きい、中実断面を有する円筒形の粗加工品9から、部品12の形成のためのブロックとコアのチップ3の形成を目的としたブロックの両方を得ることができる変形例を示している。
【0109】
よって、図6Aに示されるものと同様の、やはりチップと尾部とが隣り合うように配置された2つの部品12、及び2つのチップ3が、粗加工品9内部に細い線で描かれている。
【0110】
図6Bは、2つのチップ3が、それが設けられるのと反対側の部品12の、ルート2から最も遠い部品12のゾーンに設けられることを示している。
【0111】
図6Bはまた、その各々から部品12を機械加工することができる2つのブロック90及び91と、その各々からチップ3を機械加工することができる2つのブロック92及び93とを得るために、粗加工品9をどのようにして切断することができるかも示している。
【0112】
この変形例には、同じ材料バッチからブレードブランクを製造できるという利点がある。
【0113】
次にその他の図を参照して、図2B図3A図3B図4B図5B図6A及び図6Bに示されるブロックからタービンエンジン翼のブランクをどのようにして得ることができるかを示す。
【0114】
一般には、翼のブランクが中実部品からのみ得られる方法とブランクが粉末を使用して得られる少なくとも1つの部品を含む方法の2種類の方法を区別することができる。
【0115】
さらに、どちらの種類の方法でも、翼のブランクを2つ又は3つの部品から得ることができる。
【0116】
よって、第1の種類の方法では、翼のコア、ルート、及びチップはすべて、図2B図3A図3B図4B図5B又は図6Bに示されるブロックから得られる。
【0117】
第2の種類の方法では、例えば、コアを得ることを目的とした図2B及び図4Bに示されるブロックを使用し、次いで粉末によって翼のチップ及びルートを製造するか又は例えば図3A図3B及び図5Bに示されるブロックを使用して端部の一方を、粉末から他方の端部を製造し、又は図6Aに示されるブロックを使用してコア及びルートを、粉末からチップを製造することが可能になる。
【0118】
次に、ブレードブランクを得るために使用されるすべての部品が中実部品である第1の種類の方法に注目する。
【0119】
前述の各図に示されるように、このコアブランクを、さらに、2つ又は3つの中実部品から得ることができる。
【0120】
最初に3つの中実部品からブレードブランクを得ることに注目する。
【0121】
よって、コアを得ることを目的とした中実部品は、図2B図2D、及び図4Bを参照して説明したブロック42、ブロック71、及びブロック61からなり得る。
【0122】
さらに、翼のルート又はチップを得ることを目的とした中実部品は、図3A若しくは図3Bに示されるブロック50及びブロック51、又は図5Bに示されるブロック64及びブロック65からなり得る。
【0123】
コアに対応するブロックが図2B及び図2Dに示されているブロック42及びブロック71の種類である場合、最終的な翼の一方のコアと、他方のチップ及びルートとは、材料の同じスラグから得られないことが理解される。
【0124】
図4A図4B及び図5A図5Bを参照して説明したように、翼のブランクを得ることを目的としたすべての中実部品は、これに反して、同じ粗加工品に由来し、したがって同じ材料で構成され得る。
【0125】
次にこれらの中実部品の様々な組立てモードについて、図7A図7B及び図8A図8Bを参照して説明する。
【0126】
一般には、ブロックを組み立て、次いで得られたブランクを機械加工して翼を得ると想定することができる。
【0127】
また、各ブロック又は少なくともそれらのいくつかを機械加工して、目的とされる部品又はそれに近い形状を得ることを考えることも可能であろう。
【0128】
しかしながら、少なくとも部分的にブロックによって組み立てることは、これにより機械加工作業数を制限することが可能になり、図示されるように、これにより翼を得るための中実部品の使用においてより多くの柔軟性が提供されるので、好ましい。
【0129】
図7A図7B及び図8A図8Bに示される例では、コア1は、例えば、図2B図2D及び図4Bに示されるブロック42、ブロック71又はブロック61のうちの1つから予め機械加工されたものである。
【0130】
対照的に、チップ又はルートを得ることを目的としたブロックはまだ機械加工されていない。
【0131】
図7Aに示される例では、使用されるブロック50及びブロック51は図3Aに示されるものであり、これらは次いで粗加工される。
【0132】
また、図7Aに示される形状を有するブロックをウォータージェット切断によって得ることもできることに留意されたい。
【0133】
図7A及び図7Bは、コア1とエンドツーエンド型のブロック50、51との間の組立てを示している。
【0134】
この種の組立てでは、一緒に組み立てられるブロック51の面510とコア1の面14とが同じ表面を有する。ブロック50の面500とコア1の面13についても同じである。
【0135】
図7Bは、この種類の組立てでは、ルート及びチップの形成を目的とするブロック50及びブロック51が、実際には最終的なブランクにおけるコア1の形成にも寄与することを示している。
【0136】
この場合、コア1が形成されるブロック、例えばブロック4、ブロック7又はブロック6は、コアの長さよりも低い高さを有し得る。
【0137】
図8A及び図8Bは、エンドツーフェイス型組立てを示している。
【0138】
この種の組立てでは、相互に組み立てられるブロック51の面510とコア1の面12とは同じ表面を持たず、コア1の面13とブロック50の面500についても同じである。
【0139】
いずれにせよ、組立ては溶融なしの連結技術を使用して行われる。
【0140】
これは特に、例えばLFW(Linear Friction Welding)法などの線形摩擦溶接法であり得る。
【0141】
このLFW法は2つの部品間の接合部にアップセットを生成するので、余分な長さを設ける必要がある。
【0142】
この場合、コア1が形成されるブロックは、コアの長さよりも大きい高さを有し得る。
【0143】
また、(LFW法とは異なり)2つの部品間の接合部での材料の著しいアップセットを回避する放電プラズマ焼結又はSPS法を使用することもできる。
【0144】
さらに、3つの部品の組立ては、特に使用される組立て方法の制約に従って、同時に又は連続して行われる。
【0145】
変形例では、コアとルートを、図6Aに示されるブロック80、81や図6Bに示されるブロック90、91などの同じブロックから作製することができる。
【0146】
この場合、ブレードブランクは、これらのブロック80、81又はブロック90、91のうちの1つと、翼のチップに対応する別のブロックとから得られる。
【0147】
これは、図3Aに示されるブロック51又は図5Bに示されるブロック93であり得る。
【0148】
最初の事例では、ブランクは材料の異なるスラグからの要素を含むことが理解される。対照的に、ブランクが例えばブロック90及びブロック92から得られる場合、コアのブランクは単一の材料から作製されることになる。
【0149】
この組立てについては詳細に説明しない。これは、図9A及び図9Bに示されるように、エンドツーエンド型又はエンドツーフェイス型のものとすることができる。
【0150】
これらの2つの図は2つの中実部品、例えばブロック90及びブロック93を示しており、ブロック90は最終的な翼のコア1を得るために事前に機械加工されている。
【0151】
図9Aは、エンドツーエンド型組立てを示しており、ブロック93の面930とブロック90の面900とは同じ表面を有する。
【0152】
変形例として、図9Bは、エンドツーフェイス型組立てを示しており、組み立てられたブロック93の面930とブロック90の面900とは異なる表面を有する。
【0153】
本方法のこの変形例は、最大応力を受けるゾーンにおいて1つのユニットとして製造される翼を得ることを可能にすることが理解される。
【0154】
図7A図7B図8A図8B、及び図9A図9Bに示される実施モードでは、ブロックは予め粗加工されている。
【0155】
しかしながら、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、これらのブロックのうちの1つを直接使用するか、又は予め機械加工してその最終形状にし、界面ゾーンに余分な厚さを残すこともできる。
【0156】
次に、図10Aから図10Dを参照して、翼のブランクの製造に関与する少なくとも1つの部品が粉末から作製される第2の種類の方法例を説明する。
【0157】
最初に、中実部品から製造されたコア1と、粉末から作製されたルート2及びチップ3とから得られた同じ翼の2つの図である、図10A及び図10Bを参照する。
【0158】
よって、コア1を、最終的な翼におけるコア1の長さよりも長い、図2B図2D、及び図4Bを参照して説明されたブロック42、ブロック71、又はブロック61のうちの1つから得ることができ、ブロックはチップ及びルートの形成前に事前に機械加工されているか又はされていない。
【0159】
よって図10Cは、図2Bに示されるブロック42などの中実部品からブレードブランクを得、(図10Cに細い線で示されている)コア1と、粉末から得られ、(図10Cのブロック102及びブロック103の内部に細い線で示されている)ルート2及びチップ3の形成を可能にする2つのブロック102、103とを得ることを可能にする方法を示している。
【0160】
当然ながら、コアを製造するためのブロックは、図2Dに示されるブロック71若しくは図4Bに示されるブロック61の種類、又は様々な方法によって、特に、見積測定値に近いか、若しくは完全でさえある形状をもたらす鋳造押出し若しくは粉末焼結(放電プラズマ焼結、金属射出成形)によって得られた他のブロックとすることもできる。
【0161】
ブロック102及びブロック103は、いわゆるSPS(放電プラズマ焼結)技術などの加圧下での拡散溶接の技術によって高密度化された粉末からブロック42の両端部に直接形成される。
【0162】
このために、界面の清浄度、特に材料の表面に付着した(ウォータージェット切断から生じる)砥粒がないことが予め確認される。
【0163】
この技術について、図11Aから図11Cを参照して概略的に説明する。
【0164】
この技術では、一方の側が第2の固定部分115によって、他方の側が第3の部分111によって閉じられた第1の固定部分110を含む工具を使用し、これら3つの部分は、第2の部分111が空洞112の長手方向軸Xに沿って並進可能であるように取り付けられた空洞112を定義する。
【0165】
空洞112の内部には、やはり長手方向軸Xに沿って移動可能な第3の部品113が設けられている。これは、離型を可能にするために2つの半殻で作製されている。この部品113は、コア1又はコアを作製することができるブロック42などのブロックを保持するためのものである。
【0166】
この部品113は、粉末114が適切な量で導入される2つの部分空洞122a、122bの範囲を定める。
【0167】
この粉末は、TiAlなどの金属合金粉末、又は炭化ケイ素(SiC)などのセラミック粉末であり得る。
【0168】
図11Bは、矢印Fで表される圧力が、第3の部品113と同様に空洞112内部を並進する第2の部品111に加えられる、本方法の次のステップを説明している。
【0169】
この加圧により、その体積が図11Aに示されるステップと図11Bに示されるステップの終わりとの間で減少している空洞122a及び空洞122bの内部の粉末を押し固めることができる。
【0170】
図11Bは、コア1とブロック103との間の連結界面がコアの断面よりもはるかに大きいことを示している。後者は、エンドツーエンド組立ての場合の連結界面に対応するはずである。
【0171】
図11Cは、第2の部品111に圧力が依然として加えられており、第2の部分115を介して電流がさらに印加されており、この電流が空洞112内部に存在する様々な部品を通過する、本方法の最後のステップを示している。本方法のこの最後のステップにより、空洞112a及び112bに存在する粉末を高密度化し、図10Aに示される例では、コア1上又はブロック42上にこのように同時に作製されるブロック102及びブロック103を得ることが可能になる。
【0172】
図10Cは、本発明による方法により、ブロック102などの平行六面体形状のブロック、又はそのプロファイルがチップ3のプロファイルに近い、ブロック103などの特定のプロファイルを有するブロックを得ることが可能になることを示している。
【0173】
これに関して、図10Cに示される例では、ブロック42は粉末に基づいて得られたブロック102及びブロック103を完全に貫通しており、したがってこの構成は図11Aから図11Cに示される構成と異なることに留意されたい。
【0174】
いずれにせよ、ブロック42(又はブロックが事前に機械加工される場合は翼のコア)は、ブロック102及びブロック103に少なくとも部分的に挿入されており、その結果、ブロック42とそれぞれブロック102又はブロック103との間の連結面は、エンドツーエンド組立ての場合よりも大きくなる。
【0175】
加えて、最大応力に耐える翼の部分、この場合はコアを、翼全体にわたって連続的とすることができ、このため翼の強度が強化される。
【0176】
よって、好ましくは、コアの長さはルートを完全に貫通する(よって、最終的な翼上でルートの外面と同じ高さになる)ように選択され、コア/ルートの連結ゾーンは動翼において最も負荷がかかる連結ゾーンである。
【0177】
当然ながら、本発明はこれら2つの例に限定されるものではなく、ブロックは、座金などの別の単純な形状、又は得られるべき端部により近いプロファイルを有することもできる。
【0178】
図10A及び図10Bは、図10Cに示されるブランクから得られた翼を示している。
【0179】
これら2つの図は、中実コアと、粉末から得られるチップ及びルートとの間のインターロックを示すためのものである。
【0180】
よって、これら2つの図は、コアと端部との間の接合部が端部において、したがって翼のより大きな応力のゾーンの外側で作られることを示している。これは、得られる翼の機械的強度を強化するのに役立つ。
【0181】
さらに、粉末の製造コストが原材料よりも高い場合、上述した方法により、その見積測定値が最終的な翼のチップ又はルートに非常に近い端部部品を製造することが可能になることが理解される。よって、この方法により、ブランクを機械加工するステップ数と使用される材料を減らすことが可能になる。
【0182】
図10Dは、翼のブランクが図6Aに示されるブロック80などの中実部品から得られ、単一の部品において、(図10Dに細い線で示されている)コア1及びルート3を得ることができ、粉末から得られたブロック103から(やはり細い線で示されている)最終コアのチップ3を製造することができる、その変形が図10Cに示される、本方法の変形例を示している。
【0183】
よって、得られた翼は、チップ3側に、図10Aに示されるように中実コアとチップ3との間のインターロックを有することになる。
【0184】
図10A及び図10Bに示されるように、図10Dは、ブロック103がブロック80上で直接製造されることを裏付けるものである。
【0185】
図10Aから図10Dは、粉末の提供により、少なくともコアの一端部で、コアの形状とは異なる形状、特に非常に異なる断面を有する部品を製造することが可能になることを示している。言い換えると、粉末の提供により、コアとコアの上に形成されたルート(又はチップ)との間には断面の大きな差がある。
【0186】
さらに、粉末の供給は、高応力を受ける部品の機能ゾーンを製造するために使用される。
【0187】
これは、ロータの内側ディスクに連結されるロータ翼のルートに当てはまる。
【0188】
さらに、ステータ翼の場合には、翼のルートとチップとが最大応力を受ける翼の2つのゾーンである。
【0189】
最後に、粉末を最初に(機械加工の前に)提供される材料の質量は、最終的な翼の総質量に対応し得る。さらに、機械加工後、粉末を提供された材料の質量は、最終的な翼の質量のかなりの割合(例えば約10%)に相当する。
【0190】
本方法の別の変形例(図には示されていない)は、2つの中実部品と粉末から得られた部品とから翼のブランクを製造することに存する。
【0191】
例として、このブランクを、図2B図2D、又は図4Bに示されるように、ブロック42、ブロック71、又はブロック61からと、図3Aに示されるブロック51などの翼のルート2の形成を目的とした別の中実部品からと、粉末から得られた翼のチップ3の形成を目的とした部品から得ることができる。後者の場合は、実際には、図7A図7B及び図8A図8Bに示される方法の変形例に対応する。
【0192】
記載されるすべての例は、本発明による方法が使用される材料及び材料の廃棄物を最小限にすることを可能にし、翼を2つ又は3つの部分に分離することにより材料の使用においてより多くの柔軟性が提供されることを裏付けるものである。
【0193】
本発明による方法で達成できる材料の節約を例示するために、上記の表に、様々なシナリオにおいて翼を得るために使用される材料の総質量(g)(質量/翼)を示す。
【0194】
(値100を有する)参照は、文献FR2997885に記載されている方法を使用して得られた翼に対応するものである。
【0195】
【表1】
【0196】
さらに、翼のブランクが得られた後で、機械加工を行って余分な厚さを除去し、図1図10A及び図10Bに示される翼など、その最終寸法を有する翼を得る。
【0197】
部品に対して溶融なしの連結技術を使用して行った組立ての結果を示すために、様々な種類の試験片に対して室温で2回の引張試験を行った。
【0198】
これらの室温での引張試験を、仏国規格NF EN ISO 6892-1に従って行った。
【0199】
引張強度(Rm)及び降伏応力(Rp02)の典型的な値を以下の2つの表に示す。
【0200】
必要な最小値は従来、製造業者によって与えられ、翼が受ける応力に翼が耐えることを可能にする翼のサイジングに対応する。
【0201】
よって、第1の試験では、数個の試験片を作製した。
試験片1:鋳造により得た、固体
試験片2:SPS技術を使用して2つの中実部品を組み立てることによって得た
試験片3:中実部品と粉末で形成された部品を組み立てることにより得た
【0202】
【表2】
【0203】
表1は、溶融なしの組立ての技術により、その機械的特性が機能に必要とされる特性に匹敵するかそれを上回る部品を得ることが可能になることを裏付けるものである。
【0204】
第2の試験では、数個の試験片を作製した。
試験片A:鋳造により得た、固体
試験片B:SPS技術によって固められた粉末により得た
試験片C:中実部品とSPS技術によって固められた粉末を組み立てることにより得た
【0205】
【表3】
【0206】
表2は、驚くべきことに、粉末と共に使用されるSPS型の溶融なしの技術により、その機械的特性が機能に必要とされる、中実部品に対応する特性を上回る部品を得ることさえも可能になることを示している。
【0207】
一般に、翼の設計者は、翼が受ける応力に応じて最適な製造方法を選択する。
【0208】
以上から明らかなように、本発明はより具体的に記載された実施形態に限定されない。というよりはむしろ、本発明は、そのすべての変形例、特に、中実部品、例えばコアが金属ではなくセラミック、特に、炭化ケイ素(SiC)などの、セラミックを織り込み含浸させたセラミック繊維で構成されたセラミックマトリックス複合材料に基づくものであり、両端部が例えばセラミック又は金属粉末から作製されている変形例を包含する。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
【手続補正書】
【提出日】2022-10-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書または図面に記載の発明。
【外国語明細書】