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特開2022-185050ピぺリジン置換MnK阻害剤およびそれに関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185050
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ピぺリジン置換MnK阻害剤およびそれに関連する方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/20 20060101AFI20221206BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221206BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221206BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221206BHJP
   C07D 471/22 20060101ALI20221206BHJP
   C07D 471/10 20060101ALI20221206BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
C07D471/20 CSP
A61P29/00
A61P35/00
A61P35/02
C07D471/22
C07D471/10
A61K31/506
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022156442
(22)【出願日】2022-09-29
(62)【分割の表示】P 2019543809の分割
【原出願日】2018-02-13
(31)【優先権主張番号】62/458,671
(32)【優先日】2017-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516235820
【氏名又は名称】イーフェクター セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン・ティ・アーンスト
(72)【発明者】
【氏名】ポール・エイ・スプレンゲラー
(72)【発明者】
【氏名】ジークフリート・エイチ・ライク
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・スペリー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】キナーゼと相互作用するMAPキナーゼ(Mnk)の阻害剤として活性を有する化合物、ならびに関連する組成物およびそれを含むまたは利用する方法を提供する。
【解決手段】式(I):

に係る化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩を提供する。式(I)化合物の薬学的に許容された組成物ならびに式(I)の化合物および式(I)化合物の前記薬学的に許容される組成物をMnk阻害剤として利用する方法ならびにがんなどの疾患の処理のための治療薬も提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
に係る化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩であって、
X1は、CH2でありX2はNR2であるか、またはX1はNR2でありX2はCH2であり、
R1は、H、(C1~C4)アルキル、ハロゲンまたはシアノであり、
R2は、H、(C1~C8)アルキルまたは(C1~C8)ハロアルキルであり、
R3は、(C1~C8)アルキルであるか、またはR2および隣接するR3、またはR3および隣接するR3は、それらが結合している環原子と一緒になって、縮合した5員または6員の複素環またはシクロアルキル環を形成し、
nは0、1、2、3または4であり、
アルキル、複素環およびシクロアルキルは、OH、CN、NH2、NO2、ハロゲン、アルキルおよびアルコキシで任意に置換される、化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項2】
X1はNR2であり、X2はCH2である、請求項1に記載の化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項3】
R1はメチルである、請求項1に記載の化合物またはその立体異性体, 互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R1はClである、請求項1に記載の化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R1はシアノである、請求項1に記載の化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項6】
R2はHである、請求項1に記載の化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項7】
R2はメチルである、請求項1に記載の化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項8】
R2はエチルである、請求項1に記載の化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項9】
R2はイソプロピルである、請求項1に記載の化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項10】
R2は、tert-ブチルである、請求項1に記載の化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項11】
R2は、3,3,3-トリフルオロプロピルである、請求項1に記載の化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項12】
R2は、2,2-ジフルオロエチルである、請求項1に記載の化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項13】
R2は、メチルシクロプロパンである、請求項1に記載の化合物またはその立体異性体, 互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項14】
R3は、Hまたはメチルである、請求項1に記載の化合物またはその立体異性体, 互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項15】
化合物3A、3B、3C、3D、rac-1F、3E、3F、3G、3H、3I、3J、3K、3L、3M、3N、3O、3P、3Q、3R、3S、3T、3U、rac-2F、3V、3W、3X、3Y、1Fa、1Fb、2Fa、2Fb、3Z、3AA、3BB、3CC、3DD、3EE、3FF、3GGおよび3HHから選択される、請求項1に記載の化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項16】
化合物3D、3K、3L、3X、3Y、rac-1F、1Fa、1Fb、rac-2F、2Faおよび2Fbから選択される、請求項1に記載の化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項17】
前記式(I)化合物の前記薬学的に許容された塩は、アセテート、メシレート、スルフェート、シトレート、オキサレート、ハイドロクロライド, ジハイドロクロライド、イソチオネート、ラクテート、およびラウレートからなる群から選択される有機酸塩または無機酸塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
(i)請求項1に記載の少なくとも1つの化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩の治療有効量と、(ii)薬学的に許容されるキャリア、希釈剤、または賦形剤との組み合わせを含んでなる、医薬組成物。
【請求項19】
処理を要する哺乳動物のMnk依存状態を処理する方法であって、
請求項1に記載の式(I)に係る少なくとも1つの化合物、またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩の治療有効量を前記哺乳動物に投与することを含んでなり、
前記Mnk依存状態が、がんまたは炎症である、方法。
【請求項20】
処理を要する哺乳動物において、固形腫瘍、大腸がん、膀胱がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、CNSがん、悪性神経膠腫、膠芽腫、肝細胞がん、甲状腺がん、肺がん、非小細胞がん、小細胞肺がん、黒色腫、骨髄腫、膵臓がん、膵臓がん腫、腎細胞がん腫、子宮頸がん、尿路上皮がん、前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん、卵巣がん、乳がん、トリプルネガティブ乳がん、白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、有毛細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、および骨髄異形成症候群を処理する方法であって、請求項1の式Iに係る化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩の治療有効量を前記哺乳動物に投与することを含んでなる、処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、キナーゼと相互作用するMAPキナーゼ(Mnk)の阻害剤として活性を有する化合物、ならびに関連する組成物およびそれを含むまたは利用する方法に関する。そのような化合物は、がんの処理を含む多くの治療的応用の有用性を見出す。
【背景技術】
【0002】
真核生物開始因子4E(eIF4E)は一般的な翻訳因子であるが、悪性腫瘍関連たんぱく質の産生につながるメッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳を優先的に高める可能性がある。この選択性は、それらの5’-非翻訳領域(5’-UTRs)における広範な二次構造を含むmRNAの翻訳のためのeIF4Eおよびその結合パートナーの増加した要件(increased requirement)に関連している可能性がある。これらのmRNAには、細胞周期の進行および腫瘍形成(または腫瘍発生;tumorigenesis)を制御する特定のたんぱく質をコード化するmRNAが含まれる。通常の細胞条件下では、活性eIF4Eの可用性が制限されるため、これらの悪性腫瘍関連mRNAの翻訳は抑制される。ただし、eIF4Eが過剰発現または過剰活性化される場合、それらのレベルが増加する可能性がある。eIF4Eのレベルの上昇は、結腸、乳房、膀胱、肺、前立腺、胃腸管、頭頸部、ホジキンリンパ節、神経芽細胞腫のがんなどの多くの種類の腫瘍およびがんの細胞株で発見されている。
【0003】
キャップ依存性翻訳の開始は、eIF4F、eIF4Eを含む開始因子複合体、骨格たんぱく質eIF4G、およびRNAヘリカーゼeIF4Aのアセンブリに依存すると考えられている。eIF4EはmRNAキャップ構造に直接結合するこれらのたんぱく質の唯一のものであるため、5’キャップでのeIF4Fのアセンブリの重要な因子である。骨格たんぱく質eIF4Gはまた、eIF3との相互作用を介して40SリボゾームサブユニットをmRNAに補充し、eIF4AのRNA-ヘリカーゼ機能を支援するたんぱく質であるeIF4Bに結合し、構造化された5’-UTRを含むmRNAの翻訳を促進する。eIF4F複合体の一部としてのeIF4Eの可用性は、翻訳速度を制御する際の制限因子であるため、mRNA翻訳の重要な調節遺伝子である。
【0004】
eIF4E活性の調節は、PI3K/Akt/mTORおよびRas/Raf/MAPKシグナル伝達経路の収束ノードを形成する。PI3K(ホスホイノキチド3-キナーゼ)/PTEN (ホスファターゼおよびテンシン・ホモログが10番染色体上で削除された)/Akt/mTOR(ラパマイシンの哺乳類標的)経路は、多くの場合、腫瘍形成およびがん治療に対する感受性と抵抗性に関与する。PI3K/PTEN/Akt/mTOR経路を介した調節解除されたシグナル伝達は、多くの場合、この経路の重要な構成の遺伝子的変化および/または上皮成長因子受容体もしくはシグナル伝達構成の変異の結果である。例えば、細胞外成長因子、マイトジェン、サイトカインおよび/または受容体によって活性される場合、カスケードを開始し、PDK1はAktを活性化し、TSC1および2(結節性硬化症複合体1/2)を含む腫瘍抑制複合体をリン酸化および不活性とし、Rheb-GTPによるmTORC1 (ラパマイシン複合体1の標的)の活性化をもたらす。PI3KによるPDK1およびAktの活性化は、PTENによって負に調節される。
【0005】
PTENは、重要な腫瘍抑制遺伝子であり、多くの場合、人のがんにおいて変異または沈黙している。その喪失は、Aktの活性化をもたらし、下皮mTORC1 シグナル伝達(downstream mTORC1 signaling)を増加する。腫瘍性形質転換におけるmTOR複合体1 (mTORC1) の関与は、eIF4F複合体に対するその規制(または調節;regulatory)の役割に依存しているようであり、eIF4Eの過剰発現は、ラパマシンに対する耐性を付与できる。mTORC1は、細胞の成長、アポトーシスの防止、および形質転換に関連するmRNAの翻訳に重要なeIF4F複合体のアセンブリを調節する。mTORC1は、4E-BPのリン酸化および不活性化ならびに後続のeIF4Eからの4E-BPの解離によってこれを達成する。これにより、eIF4Eが骨格たんぱく質eIF4Gと相互作用し、構造化されたmRNAの翻訳にためのeIF4F 複合体のアセンブリが可能となる。mTORC1はまた、リボゾームたんぱく質S6およびeIF4Bを含む他の基質をリン酸化する翻訳活性化因子S6Kの活性化を促進する。mTORC1 シグナル伝達は、ラパマイシンおよびその類似体(ラパログ)により阻害されるが、これらの化合物は、mTORキナーゼ活性を直接阻害するのではなくアクロスティックに作用する。
【0006】
発がん性の(pro-oncogenic)たんぱく質をコード化する遺伝子のmRNA翻訳の調節におけるPI3K/Akt/mTOR経路の重要性、およびがんの高い割合でmTORC1 シグナル伝達の活性化を考えると、これらのキナーゼは、腫瘍薬の標的として積極的に標的とされてきた。いくつかの薬理学的阻害剤が特定されており、そのうちのいくつかは高度な臨床段階に達している。しかしながら、最近、mTOR経路がAktの活性化を損なう可能性のある複雑なフィードバック・ループに関与していることが明らかとなった。がん細胞またはmTOR 阻害剤による患者の長期処理が、PI3K活性の上昇を引き起こし、AktおよびeIF4Eのリン酸化を引き起こし、がん細胞の生存を促進することが示されている。AktおよびmTORの下流(downstream)で作用するeIF4Eは、腫瘍形成および薬剤耐性におけるAktの作用を再現し、eIF4Eを介したAktシグナル伝達は生体内での腫瘍形成および薬剤耐性の重要なメカニズムである。
【0007】
PI3K/Akt/mTOR経路に加えて、eIF4Eは、成長因子によりおよびストレス活性化p38MAPキナーゼ経路のために活性化されるRas/Raf/MAPシグナル伝達カスケードの標的でもある。その後、Erk1/2およびp38は、MAPキナーゼ-相互作用キナーゼ1(Mnk1)およびMAPキナーゼ-相互作用キナーゼ2(Mnk2)をリン酸化する。Erk経路はまた、多くのがんにおいて活性化されており、例えば、Rasの活性化変異(腫瘍の約20%で見られれる)またはRas GTPase-活性たんぱく質NF1の機能の損失を反映している。Mnk1およびMnk2は、トレオニン/セリンたんぱく質キナーゼであり、具体的には、eIF4EおよびMnk間の相互作用の効力により、Mnkを補充してeIF4Eで作用するのに役立つeIF4F複合体内のeIF4Eのセリン209(Ser209)をリン酸化する。Ser209がアラニンに置換された変異eIF4Eを有するマウスは、eIF4Eのリン酸化を示さず腫瘍の成長を著しく減衰させる。重要なことにMnk活性はeIF4Eを介した発がん性形質転換に必要であるが、通常の発達には不可欠である。よって、Mnkを薬理学的に阻害することは、がんに対する魅力的な治療戦略を提示する。
【0008】
Mnk構造および機能の理解が深まったにもかかわらず、薬理学的Mnk阻害剤の発見に関してほとんど進展がなく、報告されているMnk阻害剤は比較的少ない:CGP052088 (Tschopp et al., Mol Cell Biol Res Commun. 3(4):205-211, 2000); CGP57380 (Rowlett et al., Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol. 294(2):G452-459, 2008)およびセルコスポラミド(Konicek et al., Cancer Res. 71(5):1849-1857, 2011)。ただし、これらの化合物は、Mnk標的の検証に主として使用されている。最近、研究者は、Mnk1および/またはMnk2のキナーゼ活性の阻害によって影響を受ける疾患を処理するためのさらなる化合物を提案した。さらなる化合物は、例えば、国際特許出願公開WO2014/044691およびそこで引用されている様々な特許文書に開示されている化合物、Yu et al., European Journal of Med. Chem., 95: 116-126, 2015により開示されている4-(ジヒドロピリジノン-3-イル)アミノ-5-メチルチエノ[2,3,-d]ピリミジンおよび6’-((6-アミノピリミジン-4-イル)アミノ)-8’-メチル-2’H-スピロ[シクロヘキサン-1,3’-イミダゾ[1,5-a]ピリジン]-1’,5’-ジオンおよび国際特許出願公開WO2015/200481で開示されている様々な化合物を含む。
【0009】
したがって、この分野で進歩がなされているが、Mnkおよび他の受容体活性を特異的に阻害する効力を保持しながら、改善された溶解性を有する化合物に対する当該技術分野における重要な必要性が残っている。本発明は、この必要性を満たし、さらに関連する利点を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、Mnkの活性を阻害または調節する化合物ならびに候補治療薬としてのそのような化合物の立体異性体、互変異性体および薬学的に許容される塩に関する。本発明はまた、そのような化合物を含む組成物、およびがんなど、Mnk阻害の利益を受ける状態を処理するための関連する方法に関する。
【0011】
一実施形態では、本発明は、式(I):
【化1】
に適合する化合物ならびにそのような化合物の立体異性体、互変異性体または薬学的に許容される塩に関する。
ここで、
X1はCH2であり、X2はNR2であり、またはX1はNR2であり、X2はCH2であり、
R1はH、(C1~C4)アルキル、ハロゲンまたはシアノであり、
R2は、H、(C1~C8)アルキルまたは(C1~C8)ハロアルキルであり、
R3は、(C1~C8)アルキルであり、またはR2および隣接するR3、またはR3および隣接するR3は、それらが結合している環原子と一緒になって縮合した5員または6員の複素環、またはシクロアルキル環を形成し、
nは0、1、2、3または4であり、
ここで、アルキル、複素環およびシクロアルキルはOH、CN、NH2、NO2、ハロゲン、アルキルおよびアルコキシに任意に置換される。
【0012】
別の実施形態では、組成物は、薬学的に許容されるキャリア、希釈剤、または賦形剤と組み合わせた構造(I)の化合物を含む組成物が開示されている。
【0013】
さらなる実施形態では、それを必要とする哺乳動物のMnk依存状態を処理する方法が提供されている。そのような方法は、有効量の構造(I)の化合物、または化合物を含む組成物を哺乳動物に投与することを含む。そのような状態には、これらに限定されないが、以下により詳細に議論されるような様々な形態のがんが含まれる。
【0014】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な説明を参照すると明らかになるであろう。この目的のために、特定の背景事情、手順、化合物および/または組成物をより詳細に説明する様々な参考文献が本明細書に記載されており、その全体が本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明において、本発明の様々な実施形態の完全な理解を提供するために、特定の特別な詳細が記載されている。ただし、当業者はこれらの詳細なしで本発明を実施できることを理解するであろう。文脈がそうでないことを必要としない限り、本明細書および請求項を通して、「含む(または含んでなる;comprises)」および「含む(または含んでなる;comprising)」などの単語およびその変形は、オープンな包括的な意味で解釈されるべきである(つまり、「含むが、これに限定されない」)。
【0016】
本明細書を通しての「一実施形態(one embodiment)」または「実施形態(an embodiment)」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、本明細書全体の様々な個所における「一実施形態における(一実施形態では、)」または「実施形態における(in an embodiment)」というフレーズの出現は、必ずしもすべて同じ実施形態を指している訳ではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つのまたは複数の実施形態において任意の適切な方で組み合わせることができる。
(定義)
【0017】
本明細書で使用される場合、反対のことを述べない限り、以下の用語および語句は、以下で述べる意味を有する。
【0018】
「アミノ」は、-NH2置換基をいう。
【0019】
「カルボキシル」は、-CO2H置換基をいう。
【0020】
「カルボニル」は、-C(O)-または-C(=O)-基をいう。両表記は、仕様内で交換可能に使用される。
【0021】
「シアノ」は、-C≡N置換基をいう。
【0022】
「アセチル」は、-C(O)CH3置換基をいう。
【0023】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、OH置換基をいう。
【0024】
「オキソ」は-O-置換基の酸素をいう。
【0025】
フレーズ「キナーゼと相互作用するMAPキナーゼ(MAP kinase interacting kinase)」または用語「Mnk」は、Mnk-1およびMnk-2を含むキナーゼと相互作用するMAPキナーゼたんぱく質のすべてのアイソフォーム(またはイソ型;isoform)をいう。
【0026】
「アルキル」は、単結合によって残りの分子に結合する、1~12個の炭素原子(C1~C12アルキル)、1~8個の炭素原子(C1~C8アルキル)または1~6個の炭素原子(C1~C6アルキル)を有する、炭素原子および水素原子のみからなる飽和した、直鎖のまたは分岐した炭化水素鎖ラジカルをいう。例示的なアルキル基は、メチル、エチル、nプロピル、1メチルエチル(イソプロピル)、nブチル、nペンチル、1,1ジメチルエチル(tブチル)、3メチルヘキシル、および2メチルヘキシルなどを含む。
【0027】
「低級アルキル」は、上記定義されたアルキルと同じ意味を有するが、1~4個の炭素原子を有する(C1~C4アルキル)。
【0028】
「アルキレン」または「アルキレン鎖」は、それぞれ分子の残りがラジカル基へ連結し、炭素原子および水素原子からなる直鎖のまたは分岐した二価の炭化水素鎖をいう。アルキレンは、1~12個の炭素原子を有し、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、およびn ブチレンなどである。アルキレン鎖は、単結合または二重結合を介して分子の残りに結合される。アルキレン鎖の残りの分子への結合点は、鎖内の1個の原子または任意の2個の原子を介してもよい。「任意に置換されたアルキレン」は、アルキレンまたは置換アルキレンをいう。
【0029】
「アルコキシ」は式ORaのラジカルをいい、ここで、Raは上で定義された示された数の炭素原子を有するアルキルである。アルコキシ基の例には、-O-メチル(メトキシ)、-O-エチル(エポキシ)、-O-プロピル(プロポキシ)、および-O-イソプロピル(イソプロピル)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
「アシル」とは、式-C(O)Raのラジカルをいい、ここでRaは示された数の炭素原子を有するアルキルである。
【0031】
「アリール」は水素原子、6~18個の炭素原子および少なくとも1個の芳香環を含む炭化水素系環系ラジカルをいう。例示的なアリールは、水素原子6~9個の炭素原子および少なくとも1個の芳香環を含む炭化水素環系ラジカルであり、水素原子、9~12個の炭素原子および少なくとも1個の芳香環を含む炭化水素環系ラジカル、水素原子、12~15個の炭素原子および少なくとも1個の芳香環を含む炭化水素環系ラジカル、または水素原子、15~18個の炭素原子および少なくとも1個の芳香環を含む炭化水素環系ラジカルである。本発明の目的のために、アリールラジカルは、単環式、二環式、三環式または四環式環系であってもよく、これは縮合または架橋した環系を含んでもよい。アルールラジカルはこれらに限定されないが、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、pレイアデン、ピレン、およびトリフェニレン由来のアリールラジカルを含む。 「任意に置換されたアリール」はアリール基または置換されたアリール基をいう。
【0032】
「シクロアルキル」は、炭素原子および水素原子からなる安定な非芳香族単環式または多環式炭化水素ラジカルをいい、3~15個の炭素原子を有する、好ましくは3~10個の炭素原子、3~9個の炭素原子、3~8個の炭素原子、3~7個の炭素原子、3~6個の炭素原子、3~5個の炭素原子、4個の炭素原子を有する環、または3個の炭素原子を有する環を有する縮合したまたは架橋した環系を含んでもよい。シクロアルキル環は、飽和しても不飽和していてもよく、単結合により分子の残りと結合してもよい。単環式ラジカルは、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、およびシクロオクチルを含む。多環式ラジカルは、例えば、アダマンチル、ノルボニル、デカニリルおよび7,7 ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどを含む。
【0033】
「縮合した(fused)」は、本発明の化合物における環構造に縮合された、本明細書に記載の任意の環構造をいう。縮合された環がヘテロシクリル環またはヘテロアリール環である場合、縮合ヘテロシクリル環または縮合ヘテロアリール環の一部となる既存の環構造上の任意の炭素原子は、窒素原子に置換されてもよい。
【0034】
「ハロ」または「ハロゲン」は、ブロモ(臭素)、クロロ(塩素)、フロロ (フッ素)、またはヨード(ヨウ素)をいう。
【0035】
「ハロアルキル」は、本明細書で定義される示された数の炭素原子を有するアルキルラジカルをいい、アルキル基の1または複数の水素原子は、ハロゲン(ハロ・ラジカル)で置換され、ここで、ハロゲン原子は同一にであっても異なってもよい。例示のハロアルキルは、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2トリフルオロエチル、1,2ジフルオロエチル、3ブルモ2フルオロプロピル、および1,2ジブロモエチルなどである。
【0036】
「ヘテロシクリル」、「複素環」、または「ヘテロシクリル環」は、安定な3員~18員の飽和または不飽和ラジカルをいい、これは、2~12個の炭素原子と、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1~6個のヘテロ原子、例えば、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1~5個のヘテロ原子、1~4個のヘテロ原子、1~3個のヘテロ原子、または1~2個のヘテロ原子とからなる。例示的な複素環は、これらに限定されないが、安定な3員~15員の飽和または不飽和ラジカル、安定な3員~12員の飽和または不飽和ラジカル、安定な3員~9員の飽和または不飽和ラジカル、安定な8員の飽和または不飽和ラジカル、安定な7員の飽和または不飽和ラジカル、安定な6員の飽和または不飽和ラジカル、または安定な5員の飽和または不飽和ラジカルを含む。
【0037】
本明細書に特に明記しない限り、ヘテロシクリルラジカルは、単環式、二環式、三環式または四環式環系であってもよく、縮合環、架橋環を含んでもよく、ヘテロシクリルラジカルにおける窒素原子、炭素原子または硫黄原子は、任意に酸化されてもよく、窒素原子は任意に四級化されてもよく、ヘテロシクリルラジカルは、部分的にまたは完全に飽和してもよい。非芳香族ヘテロシクリルラジカル例は、これらに限定されないが、アゼチジニル、 ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2オキソピペラジニル、2オキソピペラジニル、2オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4ピペラリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、チエタニル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1オキソチオモルホリニルおよび1,1ジオキソチオモルホリニルを含む。 ヘテロシクリルは、本明細書で定義したようにヘテロアリールを含み芳香族ヘテロシクリルの例は、以下のヘテロアリールの定義において列挙されている。
【0038】
「ヘテロアリール」または「ヘテロアリーレン」は、水素原子、1~13個の炭素原子、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1~6個のヘテロ原子、ならびに少なくとも1つの芳香環を含む5員~14員の環系ラジカルをいう。本発明の目的のために、ヘテロアリールラジカルは、少なくとも1個のヘテロ原子、少なくとも2個のヘテロ原子、少なくとも3個のヘテロ原子、少なくとも4個のヘテロ原子、少なくとも5個のヘテロ原子または少なくとも6個のヘテロ原子を含む安定な5~12員環、安定な5~10員環、安定な5~9員環、安定な5~8員環、安定な5~7員環、または安定な6員環であってもよい。ヘテロアリールは、単環式、二環式、三環式または四環式環系であってもよく、縮合環系、または架橋環系を含んでもよく、ヘテロアリールラジカルにおける窒素原子、炭素原子または硫黄原子は、任意に酸化されてもよく、窒素原子は、任意に四級化されてもよい。ヘテロアリールにおける少なくとも1つの環が芳香族であるとの条件において、ヘテロ原子は、芳香族環または非芳香族環の構成としてもよい。例は、これらに限定されないが、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズインドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾとリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2 a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインダゾリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアソリル、2オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1-オキシドピリダジニル、1オキシドピリミジニル、1-オキシドピラジニル、1-オキシドピリダジニル、1フェニル1Hピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリル、チアゾリル、チアジアゾイル、トリアゾリル、テトラゾリル、とリアジニル、およびチオフェニル(つまりチエニル)を含む。
【0039】
本発明の化合物は、様々な異性体形態、ならびに単一の互変異生体および互変異生体の混合物の両方を含む1つまたは複数の互変異性体形態で存在することができる。用語「異性体」は、化合物の互変異性体を含む、本発明の化合物の全ての異性体を包含することを意図している。
【0040】
本明細書に記載されたいくつかの化合物は、不斉中心を有する可能性があり、よって、異なる鏡像異性体およびジアステレオマーの形態で存在する。本発明の化合物は、光学異性体またはジアステレオマーの形態であり得る。したがって、本発明は、光学異性体、ジアステレオ異性体およびラセミ混合物を含むそれらの混合物の形態の本明細書に記載の本発明の化合物およびそれらの使用を包含する。本発明の化合物の光学異性体は、不斉合成、キラルクロマトグラフィーのような既知の技術によって、または光学活性分割剤の使用による光学異性体の化学分離により得ることができる。
【0041】
別段の指示がない限り、「立体異性体」はその化合物の他の立体異性体を実質的に含まない化合物の1つの立体異性体を意味する。よって、1つのキラル中心を有する立体異性体的に純粋な化合物は、化合物の反対の鏡像異性体を実質的に含まないであろう。2つのキラル中心を有する立体異性体的に純粋な化合物は、化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まないであろう。典型的な立体異性体的に純粋な化合物は、約80重量%を超える化合物の1つの立体異性体および約20重量%未満の化合物の他の立体異性体、例えば、約90重量%を超える化合物の1つの立体異性体および約10重量%未満の化合物の他の立体異性体、または95重量%を超える化合物の1つの立体異性体および約5重量%の化合物の他の立体異性体、または約97重量%を超える化合物の1つの立体異性体および約3重量%未満の化合物の他の立体異性体を含む。
【0042】
描かれた構造をその構造に与えられた名前との間に矛盾がある場合、描かれた構造が支配する。さらに、構造または構造の一部の立体化学が、例えば、太線または破線で示されていない場合、その構造またはその構造の一部は、そのすべての立体異性体を包含すると解釈されるべきである。ただし、いくつかの場合、複数のキラル中心が存在する場合、その構造と名前は、単一の鏡像異性体として表され、相対的な立体化学の説明に役立ってもよい。有機合成の当業者は、化合物を調製するために使用される方法から化合物が単一の鏡像異性体として調製されるかどうかを知っているであろう。
【0043】
本明細書において、「薬学的に許容される塩(pharmaceutically acceptable salt)」は、本発明の化合物の有機のもしくは無機の酸または塩基の塩である。代表的な薬学的に許容される塩には、例えば、アセテート、アムソネート(4,4-ジアミノスチルベン-2,2-ジスルホネート)、ベンゼンスルホネート、ベンゾネート、ジカルボネート、ジスルフェート、ビタルトレート、ボレート、ブロミド、ブチレート、カルシウム、カルシウムエデテート、カムシレート、カルボネート、クロリド、シトレート、クラブラリエート、ジヒドロクロリド、エデテート、エジシレート、エストレート、エシレート、フィウナレート、グリセプレート、グルコネート、グルタメート、グリコールリラサニレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキシルレゾルシネート、ヒドラバミン、ヒドロブロミド、ヒドロクロリド、ヒドロキシナフトエート、ヨーディド、イソチオネート、ラクテート、ラクトビオネート、ラウレート、マレート、マレエート、マンデレート、メシレート、メチルブロミド、メチルニトレート、メチルスルフェート、ムケート、ナプシレート、ニトレート、N-メチルグルタミンアンモニウム塩、3-ヒドロキシ-2-ナフトエート、オレエート、オキサレート、パルミテート、パモエート(1,1-メタン-ビス-2-ヒドロキシ-3-ナフトエート、エインボネート)、パントテネート、ホスフェート/ジホスフェート、ピクレート、ポリガラクツロネート、プロピオネート、p-トルエンスルフォネート、サリチレート、ステアレート、スバセテート、サクシレート、スルフェート、スルフォサリシレート(sulfosaliculate)、スラメート、タンネート、タルトレート、テオクレート、トシレート、トリエチオジド、およびバレレート塩のようなアルカリ金属塩、アルカリ土類塩、アンモニウム塩、水溶性および水不要性の塩が含まれる。薬学的に許容される塩は、その構造において複数の電荷原子を有することができる。この場合、薬学的に許容される塩は、複数の追イオンを有することができる。よって、薬学的に許容される塩は、1つまたは複数の荷電原子および/または1つまたは複数の対イオンを有することができる。
【0044】
用語「処理する(または治療する)(treat)」、「処理すること(または治療すること)(treating)」および「処理(または治療)(treatment)」は、疾患または疾患に関連する症状の改善または根絶をいう。特定の実施形態では、そのような用語は、そのような疾患を有する患者への1つまたは複数の予防薬または治療薬の投与に起因する疾患の広がりまたは悪化を最小限に抑制することをいう。
【0045】
用語「有効量(effective amount)」は、疾患の処理または予防において治療的または予防的な利益を提供する、または疾患に関連する症状を遅延または最小化するのに十分な本発明の化合物または他の活性成分の量をいう。さらに、本発明の化合物に関連する治療有効量は、疾患の処理または予防において、治療的利益を提供する治療薬単独または他の療法と組み合わせた量を意味する。本発明の化合物に関連して使用される場合、この用語は、治療全体を改善する量、疾患の症状をもしくは原因を回避する量、または治療効果または別の治療薬との相乗効果を高める量を包含することができる。
【0046】
用語「調節する(modulate)」および「調節(modulation)」などは、例えば、キナーゼと相互作用するMAPキナーゼ(Mnk)の機能または活性を増加または減少させる化合物の能力をいう。「調節」は、その様々な形態においてMnkに関連する阻害、拮抗作用、部分拮抗作用、活性化、作動(または;作動作用agonism)および/または部分作動を包含することを意図している。Mnk阻害剤は、シグナル伝達に結合し、刺激を部分的又は全体的にブロックし、シグナル伝達減少、防止、活性化遅延、不活性化、脱感作(または感覚を鈍くするdesensitize)、またはダウン・レギュレートする(または下方制御する;down regulate)化合物である。Mnk活性を調節する化合物の能力は、酵素アッセイまたは細胞ベースのアッセイで実証することができる。
【0047】
「患者」または「対象」には、人、牛、馬、羊、ラム、豚、鶏、七面鳥、うずら、猫、犬、マウス、ラット、ウサギ、またはモルモットなどのの動物が含まれる。動物は、非霊長類および霊長類 (例えば、サルおよび人)などの哺乳類であり得る。一実施形態では、患者は人の幼児、子供、青年または成人などの人である。
【0048】
用語「プロドラッグ(prodrug)」は、患者への投与時に、活性薬剤になる前に代謝プロセスによる化学変換を受けなければならない化合物である薬物の前駆体をいう。式(I)による化合物の例示的なプロドラッグは、エステル、アセトアミド、およアミドである。
(本発明の化合物)
【0049】
本発明は、一般的に式(I)の属に包含される化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩に関する。
【0050】
一実施形態では、X1はCH2であり、X2はNR2である。別の実施形態では、X1はNR2であり、X2はCH2である。
【0051】
一実施形態では、R1はHである。別の実施形態では、R1はメチルである。別の実施形態では、R1はClである。さらに別の実施形態では、R1はシアノである。
【0052】
一実施形態では、R2はHである。
【0053】
一実施形態では、R2はメチルである。別の実施形態では、R2はエチルである。別の実施形態では、R2はイソプロピルである。別の実施形態では、R2はtert-ブチルである。
【0054】
一実施形態では、R2は3,3,3-トリフルオロプロピルである。別の実施形態では、R2は2,2-ジフルオロエチルである。
【0055】
別の実施形態では、R2はメチルシクロプロパンである。
【0056】
一実施形態では、R3はHまたはメチルである。
【0057】
一実施形態では、式(I)に係る化合物、またはその立体異性体, 互変異性体もしくは薬学的に許容される塩は、3D、3K、3L、3X、3Y、rac-1F、1Fa、1Fb、rac-2F、2Faおよび2Fbから選択される化合物である。
【0058】
式(I)に係る本発明の化合物は、異なる原子質量または質量数を有する原子により置換された1または複数の原子を有することにより、同位体標識することができる。式(I)に係る化合物へ組み込むことができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素、または要素の同位体が含まれる。そのような同位体の実例は、それぞれ2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、および125Iである。これらの放射標識化合物は、生体内分布、組織濃度およびそのような標識化合物が投与される対象を含む生体組織からの輸送および排せつのキネティクス(kinetics)の測定に使用することができる。標識化合物はまた、治療効果、作用部位または作用モード、および薬理学的に重要な標的に対する候補治療薬の結合親和性を決定するために使用される。式(I)に係る特定の放射性標識化合物は、したがって、薬物および/または組織分布の研究に有用である。放射性同位体トリチウム、すなわち3H、および炭素-14、すなわち、14Cは、それぞれ組み込みの容易さおよび検出手段の準備の観点から、この目的に特に有用である。
【0059】
重水素、すなわち2Hなどのより重い同位体での置換は、より大きな代謝安定性から生じる特定の治療上の利点、例えば、重水素を含む化合物の生体内半減期の増加をもたらす。重水素による水素の置換は、治療効果に要求される線量が減少する可能性があり、それゆえに発見および臨床環境で好まれることがある。
【0060】
11C、18F、15Oおよび13Nなどの陽電子放出同位体による置換は、例えば、基質受容体占有率を調べるための陽電子放出断層撮影(PET)研究に有用な本発明の化合物の標識アナログ(analog)を提供する。式(I)に係る同位体標識化合物は、一般に適切な同位体標識試験薬を使用して、当業者に知られている従来の技術によってまたは以下に記載の調製および実施例のセクションに記載されているものと類似のプロセスによって調製することができる。
【0061】
本明細書に記載された本発明の実施形態は、式(I)に係る化合物の生体内代謝産物を包含することも意味する。そのような産物は、例えば、酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化、および主に本発明の化合物の投与時の酵素活性による同様のプロセスから生じ得る。したがって、本発明は、代謝産物を生成するのに十分な期間にわたり哺乳動物にそのような化合物を投与した後、本発明の化合物に対する酵素活性または非酵素活性の副産物として生成される化合物を含む。代謝産物、特に薬学的に活性な代謝物は、典型的には、代謝が起こる十分な期間に、ラット、マウス、モルモット、サル、または人などの対象に本発明の放射性標識化合物を検出可能な容量で投与することにより同定され、放射性標識化合物を投与された対象から得られた尿、血液または他の生体試料から代謝産物を分離する。
【0062】
本発明は、式(I)化合物の薬学的に許容される塩形態も提供する。本発明の範囲内に包含されるのは、薬学的に適切な酸または薬学的に適切な塩基を本発明の化合物と接触することにより形成される酸付加塩および塩基付加塩の両方である。
【0063】
この目的のために、「薬学的に許容される酸付加塩」とは、遊離塩基の生物学的有効性および特性を保持する塩をいい、生物学的にまたはその他の点で望ましくないものはなく、これらに限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸で形成され、これらに限定されないが、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、カンファー酸、10-カンファースルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カピリル酸、炭酸、けい皮酸、クエン酸、サイラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソグルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、およびウンデシレン酸などの有機酸で形成される。
【0064】
同様に、「薬学的に許容される塩基付加塩」とは、遊離酸の生物学的有効性および特性を保持し、生物学的またはその他の点で望ましくないものではない塩をいう。これらの塩は、無機酸または有機酸を遊離酸に添加することにより調製される。無機塩基に由来する塩は、これらに限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銅、マンガン、およびアルミニウムなどの塩を含む。好ましい無機塩は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウムの塩である。有機塩に由来する塩は、これらに限定されないが、第1級、第2級、および第3級のアミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミンならびにアンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2 ジメチルアミノエタノール、2 ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、べネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピペラジン、ピぺリジン、N エチルピぺリジン、およびポリアミン樹脂などの塩基性イオン交換樹脂を含む。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリンおよびカフェインである。
【0065】
結晶化は、しばしば、本発明の化合物の溶媒和物を生成する。本明細書で使用される場合、用語「溶媒和」は、本発明の化合物の1つまたは複数の分子と、1つまたは複数の溶媒の分子とを含む凝集体をいう。溶媒は水であってもよく、溶媒和物は水和物であってもよい。あるいは、溶媒は有機溶媒であってもよい。よって、本発明の化合物は、一水和物、二水和物、半水和物、セスキ水和物、三水和物、および四水和物などを含む水和物、ならびに対応する溶媒和形態として存在する。本発明の化合物は、真の溶媒和物であり得るが、他の場合、本発明の化合物は、単に偶発的な水を保持するか、または水と何らかの偶発的な溶媒との混合物であり得る。
【0066】
「立体異性体」とは、同じ結合で結合された同じ原子で構成されているが、異なる三次元構造を有する化合物をいう。本発明は、様々な立体異性体およびそれらの混合物を企図し、分子が互いに重ね合わせることができない2つの立体異性体を指す「鏡像異性体」を含む。
【0067】
本発明の化合物またはそれらの薬学的に許容された塩は、1または複数の不斉中心を含むことができ、よって、鏡像異性体、ジアステレオマー、およびアミノ酸における(R)もしくは(S)、または(D)もしくは(L)として絶対(absolute)立体化学の用語で定義され得る他の立体異性体の態様が生じる可能性がある。本発明は、すべてのそのような可能な異性体、ならびにそれらのラセミ体および光学的に純粋な形態を含むことを意味する。光学活性な(+)および(-)、(R)および(S)、または(D)および(L)異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を使用して調製するか、または、例えば、クロマトグラフィーおよび分別結晶などの従来の技術を使用して分割することができる。個々のエナンチオマーの調製/分離のための従来の技術は、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または例えば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用したラセミ体(または塩の誘導体のラセミ体)の分離を含む。本明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合または幾何学的に非対称の他の中心を含む場合、および特に明記しない限り、化合物がEおよびZ幾何異性体の両方を含むことが意図されている。同様に、すべての互変異性体の形態が含まれることが意図されている。
【0068】
用語「互変異性体」とは、分子のある原子から同じ分子の別の原子へのプロトンシフトをいう。互変異性体の限定されない例は、エノール/ケト、ラクタム/ラクチム、アミド/イミド(imidic)およびアミン/イミンの形態を含む。
【0069】
式(I)化合物について似た互変異性体が存在する。本発明の化合物は従来の合成方法を使用して合成され、より具体的には、下記の一般的な方法を使用して合成される。本発明によるいくつかの化合物の特定の合成プロトコルは、実施例に記載されている。
(医薬品製剤)
【0070】
一実施形態では、式(I)に係る化合物は、哺乳動物への医薬組成物の投与時に関心のある特定の疾患または状態を処理するのに有効な量の式(I)化合物を含む薬学的の許容される組成物として処方される。本発明の医薬組成物は、薬学的の許容されたキャリア、希釈剤、または賦形剤との組み合わせで式(I)化合物を含むことができる。
【0071】
これに関して「薬学的に許容されたキャリア、希釈剤、または賦形剤」には、これらには限定されないが、人または家畜での使用が合衆国食品医薬局により承認されている、アギュバンド、キャリア、賦形剤、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、風味増強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒、または乳化剤が含まれる。
【0072】
さらに「哺乳動物」には、人ならびに実験動物および家庭用ペット(例えば、猫、犬、豚、牛、羊、山羊、馬、およびウサギ) などの家畜ならびに野生動物などの非家畜が含まれる。
【0073】
本発明の医薬組成物は、本発明の化合物を適切な薬学的に許容されるキャリア、希釈剤または賦形剤と組み合わせることにより調製でき、タブレット、粉末、顆粒、軟膏、溶液、座薬、注射、吸入、ゲル、ミクロスフェア、およびエアロゾルなどの固体、半固体、液体または気体の形態で製剤化できる。そのような医薬組成物を投与する典型的な経路には、これらに限定されないが、経口、局所、経皮、吸入、非経口、舌下、頬、直腸、膣および鼻腔が含まれる。本明細書で使用される用語非経口には、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または注入技術が含まれる。本発明の医薬組成物は、組成物を患者に投与すると、そこに含まれる活性成分が生物学的に利用可能となるように製剤化される。対象または患者に投与される組成物は、1または複数の投与単位(または投薬単位;dosage unit)の形態を取り、例えば、タブレットは、単一の投与単位であってもよく、エアロゾル形態の本発明の化合物の容器は、複数の投与単位を保持してもよい。そのような投薬形態(または剤形;dosage form)を調製する実際の方法は、当業者に知られているか、または明らかであろう。例えば、レミントン:薬の科学と実践、20版(フィラデルフィア薬学科学大学、2000年)を参照して下さい。投与される組成物は、いずれにしても本発明の教示に従って目的の疾患または状態の処理のために、治療有効量の本発明の化合物またはその薬学的に許容された塩を含む。
【0074】
本発明の医薬組成物は、固体または液体の形態であり得る。一態様では、キャリアは微粒子であるため、組成物は、例えば、タブレットまたは粉末の形態である。キャリアは、液体であってもよく、組成物は、例えば、経口シロップ、注射用液体、またはエアロゾルであり、これは例えば、吸入投与に有効である。経口投与を目的とする場合、医薬組成物は、好ましくは固体または液体の形態であり、半固体、半液体、懸濁液、およびゲルの形態は、本明細書で固体または液体とみなされる形態に含まれる。
【0075】
経口投与用の固体組成物として医薬組成物は、粉末、顆粒、圧縮タブレット、丸薬、カプセル、チューインガム、ウェハなどの形態に製剤化され得る。そのような固体組成物は、典型的には、1または複数の不活性希釈剤または食用キャリアを含む。さらに、以下の1または複数が存在する場合がある:カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶セルロース、トラガカントゴム、またはゼラチンなどのバインダー;でんぷん、乳糖、デキストリンなどの賦形剤、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プリモゲル、およびコーンスターチなどの賦形剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロテックスなどの潤滑剤;コロイド状に酸化ケイ素などの流動促進剤;ショ糖またはサッカリンなどの甘味料;ペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジ風味などの風味剤;ならびに着色剤。
【0076】
医薬組成物がカプセル、例えば、ゼラチンカプセルの形態である場合、上記の種類の材料に加えて、ポリエチレングリコールまたは油などの液体キャリアを含んでもよい。
【0077】
医薬組成物は、液体の形態、例えば、エリキシル剤、シロップ、溶液、乳濁液、または懸濁液であってもよい。液体は、2つの例として、経口投与用または注射による送達用であり得る。経口投与を目的とする場合、好ましい組成物は、本化合物に加え、甘味剤、防腐剤、染料/着色剤、および風味増強剤の1または複数を含む。注射による投与を意図した組成物には、界面活性剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定剤および等張剤の1または負数を含め得る。
【0078】
本発明の液体医薬組成物は、それらが溶液、懸濁液または他の同様の形態であるかどうかにかかわらず、以下の1または複数の補助剤を含んでもよい:注射用水、生理食塩水、好ましくは生理食塩水、リンゲル液、等張性塩化ナトリウム、溶媒または懸濁媒体として機能する合成モノまたはジグリセリドなどの固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒などの無菌希釈液;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩などの緩衝液、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張度調整剤。非経口製剤は、アンプル、使い捨て注射器、またはガラスまたはプラスチック製の複数回投与バイヤルに封入できる。生理食塩水が好ましい補助剤である。注射可能な医薬組成物は、好ましくは無菌である。
【0079】
非経口または経口投与の本発明の液体医薬組成物は、適切な投与量が得られるような量の本発明の化合物を含むべきである。
【0080】
本発明の医薬組成物は、局所投与を目的とする場合があり、その場合、キャリアは、液体、懸濁液、軟膏またはゲル基剤を適切に含むことができる。基剤は、例えば、以下の1または複数を含んでもよい:ペトロラクタム、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜蝋、鉱油、水およびアルコールなどの希釈剤、ならびに乳化剤および安定剤のうちの1または複数を含んでもよい。増粘剤は、局所投与用の医薬品組成物に存在してもよい。経皮投与を目的とする場合、組成物は、経皮パッチまたはイオン導入装置を含んでもよい。
【0081】
本発明の医薬組成物は、例えば、坐剤の形態での直腸投与を目的とすることができ、これは直腸内に溶けて薬物を放出する。直腸投与用の組成物は、適切な非刺激性賦形剤として油性基剤を含んでもよい。そのような基剤には、これらに限定されないが、ラノリン、カカオバター、およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0082】
本発明の医薬組成物は、固体または液体の投与単位の物理的形態を改変する様々な材料を含んでもよい。例えば、組成物は、活性成分の回りにコーティング・シェルを形成する材料を含んでもよい。コーティング・シェルを形成する材料は、典型的には不活性であり、例えば、砂糖、シェラック、および他の腸溶性コーティング剤から選択されてもよい。あるいは、有効成分をゼラチンカプセルに入れてもよい。
【0083】
固体または液体形態の本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に結合し、それにより化合物の送達を支援する薬剤を含んでもよい。この能力で作用し得る適切な薬剤には、モノクローナルまたはポリクローナル抗体、たんぱく質、またはリボゾームが含まれる。
【0084】
本発明の医薬組成物は、エアロゾルとして投与することのできる投与単位からなってもよい。用語エアロゾルは、コロイド性のものから加圧パッケージで構成される系に至るまでの様々な系を示すために使用される。送達は、液化ガスもしくは圧縮ガスによるか、または活性成分を分配する適切なポンプ系によってもよい。本発明の化合物のエアロゾルは、活性成分を送達するために、単相、二相、三相系で送達され得る。エアロゾルの送達には、必要な容器、活性剤、バルブ、サブコンテナなどが含まれ、これらが一緒にキットを形成する場合がある。当業者は、過度の実験をすることなく、好ましいエアロゾルを決定することができる。
【0085】
本発明の医薬組成物は、薬学分野で周知の任意の方法論により調製され得る。例えば、注射により投与されることを意図した医薬組成物は、本発明の化合物を無菌蒸留水と組み合わせて溶液を形成することにより、調製することができる。均一な溶液または懸濁液の形成を促進するために、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は、水性送達系における化合物の均一な懸濁液を促進するために、本発明の化合物と非共有結合的に相互作用する化合物である。
【0086】
特定の実施形態では、式Iの化合物を含む医薬組成物は、投与時にMnk活性を阻害するのに十分な量で、好ましくは許容される毒性で哺乳動物に投与される。式(I)化合物のMnk活性は、以下の実施例で説明するように、例えば、当業者により決定され得る。適切な濃度および投与量は、当業者によって容易に決定され得る。
(治療的使用)
【0087】
本発明の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩は、治療有効量で投与され、その治療有効量は、使用する特定の化合物の活性、化合物の代謝安定性および作用の長さ、患者の年齢、体重、一般的な健康、性別、および食事;投与モードおよび時間;排せつ率;薬物の組み合わせ;特定の障害または状態の重症度;および治療を受けているなどを含む様々な因子によって異なる。
【0088】
「有効量」または「治療有効量」とは、哺乳動物、好ましくは人に投与された場合、以下に定義されるように、哺乳動物、好ましくは人のMnk関連状態または疾患の有効な処理に十分な本発明の化合物の量をいう。治療有効量に寄与する本発明の化合物の量は、化合物、状態およびその重症度、投与方法、および処理される哺乳動物の年齢に応じて異なるが、当業者自身の知識および本開示を考慮して当業者が日常的に決定することができる。
【0089】
本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩は、1または複数の他の治療薬の投与と同時に、その前にまたはその後に投与してもよい。そのような併用療法は、本発明の化合物および1または複数の追加の活性剤を含む単一の医薬投与製剤の投与、ならびにそれ自体の別個の医薬投与製剤における本発明の化合物および各活性剤の投与を含む。例えば、本発明の化合物および他の活性剤は、タブレットもしくはカプセルなどの単一の経口投与組成物において、または別個の経口投与製剤において投与された各剤において一緒に患者に投与され得る。別個の投与製剤が使用される場合、本発明の化合物および1または複数の追加の活性剤は、本質的には同時に、すなわち同時にまたは別々に時間をずらして、すなわち連続的に投与され得る。併用療法には、これらの全てのレジメン(または投薬計画;regimen)が含まれると理解される。
【0090】
特定の実施形態では、開示された化合物は、Mnk活性を阻害するために有用であり、ならびに/またはモデル系におけるMnkシグナル伝達活性の分析、および/もしくはMnk、好ましくは苦しんでいる人が関与する疾患、障害もしくは病的状態に関連する症状を予防、処理または改善するために有用であり得る。Mnk活性を阻害する化合物は、制御不能な細胞成長、増殖、および/または生存、不適切な細胞性免疫応答、または不適切な細胞性炎症反応または疾患の症状または進行、制御不能な細胞の成長、増殖および/または生存、不適切な細胞性免疫反応、または不適切な細胞性炎症反応、特に、制御不能な細胞の成長、増殖および/または生存、不適切な細胞性免疫反応、または不適切な細胞性炎症反応は、例えば血液腫瘍、固形などのMnkによって媒介される腫瘍、および/または白血病および骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、例えばB細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、毛様細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジンリンパ腫およびバーキットリンパ腫を含む転移、頭頸部腫瘍脳腫瘍および脳転移、非小細胞および小細胞肺腫瘍を含む胸部の腫瘍、胃腸腫瘍、内分泌腫瘍、乳腺およびその他の婦人科腫瘍、腎、膀胱および前立腺腫瘍を含む泌尿器腫瘍、皮膚腫瘍、および肉腫、および/またはその転移の予防、処理、改善、または減少に有用であるに有用であろう。
【0091】
さらに、本発明の化合物およびそれらの医薬組成物は、これらに限定されないが、炎症性疾患、アレルギー、または炎症誘発性サイトカイン関連疾患の予防および/または治療候補薬である。例示的な炎症性疾患には、慢性または急性炎症、完成炎症性関節炎、間接リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節炎、若年性関節リウマチ、ライター症候群、リウマチ外傷性関節炎、風疹関節炎、急性滑膜炎、痛風性関節炎などの関節の炎症が含まれ;日焼け、乾癬、紅皮乾癬、膿疱性乾癬、湿疹、皮膚炎、急性または慢性移植片形成、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、じん麻疹、強皮症などの炎症性皮膚疾患;炎症性腸疾患、クローン病および関連疾患、潰瘍性大腸炎、大腸炎、憩室炎などの消化管の炎症;腎炎、尿道炎、卵管炎、卵巣炎、子宮内膜炎、脊椎炎、全身性エリテマトーデスおよび関連疾患、多発性硬化症、喘息、髄膜炎、脊髄炎、脳脊髄炎、脳炎、静脈炎、血栓性静脈炎、喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性肺疾患および成人呼吸窮迫症候群などの呼吸器疾患、アレルギー性鼻炎;心内膜炎、骨髄炎、リウマチ熱、リウマチ性心膜炎、リウマチ性心内膜炎、リウマチ性心筋炎、リウマチ性僧帽弁疾患、リウマチ性大動脈弁疾患、前立腺炎、前立腺炎、脊椎関節症、強直性筋炎、滑膜炎、腱鞘炎、多発性筋炎、滑膜炎、腱鞘炎痛風、偽痛風、血管炎、肉芽腫性甲状腺炎、リンパ球性甲状腺炎、浸潤性線維性甲状腺炎、急性甲状腺炎からなる群から選択される甲状腺の炎症性疾患;橋本甲状腺炎、川崎病、レイノー現象、シェーグレン症候群、神経炎症性疾患、敗血症、結膜炎、角膜炎、虹彩毛様体炎、視神経炎、耳炎、リンパ節炎(lymphoadenitis)、鼻咽頭炎、副鼻腔炎、咽頭炎、扁桃炎、喉頭炎、喉頭蓋炎、気管支炎、肺炎、口内炎、歯肉炎。食道炎、胃炎、腹膜炎、肝炎、胆石症、胆嚢炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー病、半月状糸球体腎炎、膵炎、子宮内膜炎、子宮筋炎、子宮炎、子宮頸管炎、子宮内膜炎、肺炎、肺炎、肺炎、結核炎、結核症、肺炎炎症性多発性関節症、乾癬性関節症、腸線維症、気管支拡張症および腸疾患性関節症が含まれる。
【0092】
炎症は、これらの疾患を統合する病原性プロセスであるが、現在の治療法は、疾患の症状のみを処理し、炎症の根本原因を処理しない。本発明の組成物は、炎症性疾患および関連する合併症および障害の処理および/または予防に有用である。
【0093】
したがって、特定の実施形態は、それを必要とするMnK依存状態を処理する方法に関し、この方法は、上記の医薬組成物(すなわち、任意の1または複数の医薬組成物の有効量を含む式(I)の化合物)の有効量を哺乳動物に投与することを含む。
【0094】
本明細書で使用される「処理すること(または治療すること)(Treating)」または「処理(または治療)(treatment)」は、対象の疾患または状態を有する哺乳動物、好ましくは人における対象の疾患または状態の治療を含む:
(i) 特に、哺乳動物が病気になりにくいが、まだ病気にかかっていると診断されていない場合に、哺乳動物に疾患もしくは状態が発生するのを防ぐこと;
(ii) 疾患または状態を阻害すること、すなわちその発症を阻止すること;
(iii) 疾患または状態を緩和すること、すなわち、疾患もしくは状態の退行を引き起こすこと、または
(iv) 疾患または状態に起因する症状を緩和すること、すなわち、根底にある疾患や状態に対処せずに痛みを和らげること。本明細書で使用される用語「疾患」および「状態」は、交換可能に使用されてもよく、または特定の病気および状態に既知の原因物質がない可能性があるという点で異なることがあり(そのため、病因はまだ解明されていない)、したがって、それはまだ病気として認識されておらず、臨床医によって多かれ少なかれ特定の症状のセットが特定されている望ましくない状態または症候群としてのみ認識されている。
【0095】
上記のように、たんぱく質合成の調節解除は、人のがんにおける一般的な出来事である。翻訳制御の重要な調節因子はeIF4Eであり、その活性は、腫瘍形成性の重要な決定因子である。eIF4Eの活性化にはキナーゼと相互作用するMAPキナーゼ(Mnk)による重要なセリン(Ser209)のリン酸化を含まれるため、Mnk阻害剤はがんなどの細胞増殖性障害の処理に適した治療薬である。固形腫瘍、リンパ腫、および白血病を含む多種多様ながんは、本明細書に開示されている組成物および方法に影響を受けやすい。処理可能ながんの種類には、これらに限定されないが、乳房、前立腺、および結腸の腺がん;肺の気管支原性がんのすべての形態;骨髄;黒色腫;肝がん;神経芽細胞腫;乳頭腫;膿種;舞踏病;分岐腫;悪性カルチノイド症候群;カルチノイド心疾患およびがん(例えば、ウォーカー、基底細胞、基底扁平上皮、ブラウンピアス、乳管、エールリッヒ腫瘍、クレブス2、メルケル細胞、粘液、気管支原性、扁平上皮細胞、および移行細胞)が含まれる。処理可能な追加のがんの種類には、組織球性障害が含まれます。白血病;悪性組織球症;ホジキン病;免疫増殖性小;非ホジキンリンパ腫;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、有毛細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、形質細胞腫;細網内皮症;黒色腫;軟骨芽細胞腫;軟骨腫;軟骨肉腫;線維腫;線維肉腫;巨細胞腫瘍;組織球腫;脂肪腫;脂肪肉腫;中皮腫;粘液腫;粘液肉腫;骨腫;骨肉腫;脊索腫;頭蓋咽頭腫;胚芽腫;過誤腫;間葉腫;中腎腫;筋肉肉腫;エナメル上皮腫;セメント腫;歯牙腫;奇形腫;胸腺腫;絨毛腫瘍が含まれ得る。
【0096】
本発明の化合物を使用して処理することのできる他のがんには、これらに限定されないが、腺腫;胆管腫;真珠腫;サイクリンドロマ;嚢胞腺がん;嚢胞腺腫;顆粒膜細胞腫瘍;性腺芽腫;肝がん;汗腺腫;島細胞腫瘍;ライディッヒ細胞腫瘍;乳頭腫;セルトリ細胞腫瘍;莢膜細胞腫;平滑筋腫;平滑筋肉腫;筋芽腫;筋腫(myomma);筋肉肉腫;横紋筋腫;横紋筋肉腫;上衣腫;神経節神経腫;神経膠腫;髄芽腫;髄膜腫;神経鞘腫;神経芽細胞腫;神経上皮腫;神経線維腫;神経腫;傍神経節腫;傍神経節腫ノンクロマフィンが含まれる。
【0097】
一実施形態では、本発明の化合物は、血管角膜腫;好酸球増加を伴う血管リンパ過形成;血管腫硬化;血管腫;グロマンギオーマ;血管内皮腫;血管腫;血管周囲細胞腫;血管肉腫;リンパ管腫;リンパ管筋腫;リンパ管肉腫;松果体;癌肉腫;軟骨肉腫;嚢肉腫葉状体;線維肉腫;血管肉腫;平滑筋肉腫;白血球肉腫;脂肪肉腫;リンパ管肉腫;筋肉肉腫;粘液肉腫;卵巣癌;横紋筋肉腫;肉腫;新生物;神経線維腫症;および子宮頸部異形成などのがんの処理のための候補治療薬である。
【0098】
特定の実施形態では、本発明は、固形腫瘍、大腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、膀胱がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、骨髄異形成症候群、脳がん、CNSがん、悪性神経膠腫、神経膠芽腫、肝細胞がん、肝細胞がん、甲状腺がん、肺がん、非がん-小細胞肺がん、血液がん、白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、有毛細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、膵臓がん、黒色腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、膵臓がん、腎細胞がん、腎がん、子宮頸がん、尿路上皮がん、前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん、卵巣がん、乳がんまたはトリプルネガティブ乳がんを処理する方法を提供する。そのような方法によれば、少なくとも1つの式(I)に示す化合物またはその立体異性体, 互変異性体もしくは薬学的に許容される塩の治療有効量を、がんなどの細胞増殖性疾患を診断された対象に投与することができる。あるいは、少なくとも1つの式(I)に係る化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩を含む医薬組成物は、がんと診断された対象に投与することができる。
【0099】
特定の実施形態では、本発明の化合物は、放射性処理または手術などの他の従来のがん治療と組み合わせてがんを有する対象に投与される。放射線治療法は、当該技術分野で周知であり、ガンマ線などのエックス線治療療法および放射性医薬品療法が含まれる。
【0100】
特定の実施形態では、本発明のMnk阻害剤化合物は、少なくとも1つの抗がん剤と共に使用される。化学療法剤には、これらに限定されないが、クロマチン機能の阻害薬、トポイソメラーゼ阻害薬、微小管阻害薬、DNA損傷薬、代謝拮抗薬(葉酸拮抗薬、ピリミジン類似体、プリン類似体、糖修飾類似体など)が含まれるが、これらに限定されない。)、DNA合成阻害剤、DNA相互作用剤(挿入剤など)、およびDNA修復阻害剤が含まれる。
【0101】
化学療法剤の例には、以下のグループが含まれるが、これに限定されない:ピリミジン類似体(5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、カペシタビン、ゲムシタビン、シタラビン)およびプリン類似体、葉酸拮抗薬、関連阻害剤(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、2-クロロデオキシアデノシン(クラドリビン))などの代謝拮抗薬/抗がん剤;そのようなビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン)などの天然物を含む抗増殖/抗有糸分裂剤、例えばタキサンなどの微小管撹乱(パクリタキセル、ドセタキセル)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポチロンおよびナベルビン、エピポドフィロトシン(エトポシド、テニポシド)、DNA損傷薬剤(アクチノマイシン、アムサクリン、アントラサイクリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カンプトテシン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シトキサン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ヘキサメチルメラミンオキサリプラチン、イホスファミド、メルファラン、メルクロレタミン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ニトロソ尿素、プリカマイシン、プロカルバジン、タキソール、タキソテール、テモゾラミド、テニポシド、トリエチレンチオホスホラミドおよびエトポシド(VP16));ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)およびマイトマイシンなどの抗生物質;酵素(L-アスパラギンを全身的に代謝し、独自のアスパラギンを合成する能力を持たない細胞を奪うL-アスパラギナーゼ);抗血小板薬;ナイトロジェンマスタード(メクロレタミン、シクロホスファミドおよび類似体、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、アルキルスルホネート-ブスルファン、ニトロソウレア(カルムスチン(BCNU)および類似体、ストレプトゾシン-(DTIC);葉酸類似体(メトトレキサート)などの抗増殖/抗有糸分裂代謝拮抗剤。白金配位錯体(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトタン、アミノグルテチミド;ホルモン、ホルモン類似体(エストロゲン、タモキシフェン、ゴセレリン、ビカルタミド、ニルタミド)およびアロマターゼ阻害剤(レトロゾール、アナストロゾール);抗凝固剤(ヘパリン、合成ヘパリン塩、およびトロンビンの他の阻害剤);線維素溶解剤(組織プラスミノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼなど)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ;抗移動剤;抗分泌剤(ブレベルジン);免疫抑制薬(シクロスポリン、タクロリムス(FK-506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル);抗血管新生化合物(TNP470、ゲニステイン)および成長因子阻害剤(血管内皮成長因子(VEGF)阻害剤、線維芽細胞成長因子(FGF)阻害剤);アンジオテンシン受容体遮断薬;一酸化窒素ドナー;アンチセンスオリゴヌクレオチド;抗体(トラスツズマブ、リツキシマブ);キメラ抗原受容体;細胞周期阻害剤および分化誘導剤(トレチノイン);mTOR阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤(ドキソルビシン(アドリアマイシン)、アムサクリン、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、エニポシド、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、イリノテカン(CPT-11)およびミトキサントロン、トポテカン、イリノテカン、イリノテカン、コルチコステロイド、コルチコステロイド、プレドニゾン、プレニソロン);成長因子シグナル伝達キナーゼ阻害剤;ミトコンドリア機能障害誘発剤、コレラ毒素、リシン、緑膿菌外毒素、百日咳菌アデニル酸シクラーゼ毒素、またはジフテリア毒素、およびカスパーゼ活性化剤などの毒素およびクロマチン破壊剤。
【0102】
特定の実施形態では、本発明に係るMnk阻害剤は、併用療法レジメンの一部として、同じ製剤または異なる製剤で同時に、または別個の薬剤と連続して使用される。
【0103】
それらの対応する塩を含む式(I)に係るMnk阻害剤および式(I)化合物の医薬組成物はまた、患者、好ましくは人の炎症などのサイトカイン媒介障害を処理または予防すると治療薬として有効である。一実施形態では、本発明に係る化合物または組成物は、慢性または急性炎症、慢性炎症性関節炎、関節リウマチ、乾癬、COPD、炎症性腸疾患、敗血症性ショック、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症および喘息からなる群から選択される疾患の処理または予防に特に有用である。
【0104】
本発明のさらなる態様では、本発明の化合物または薬学的に許容される本発明の化合物の製剤は、Mnk活性の阻害剤として提供される。そのような阻害は、Mnkを発現する細胞を化合物または薬学的に許容される製剤と接触させてMnk活性を低下または阻害し、それを必要とする哺乳動物のMnk依存状態の治療効果をもたらすことにより達成される。
【0105】
式(I)に係る化合物または式(I)化合物の組成物の治療有効投与量は、一般に、約1~2000 mg/日、約10~約1000 mg/日、約10~約500 mg/日、約10~約250mg/日、約10~約100 mg/日、または約10~約50mg/日に及ぶであろう。治療有効投与量は、1回または複数回で投与されてもよい。しかしながら、特定の患者に対する本発明の化合物の特定の用量は、年齢、性別、体重、一般的な健康状態、食事、処理を受ける患者の個々の反応、投与時間、処理される疾患の重症度、適用される特定の化合物の活性、投薬形態、投与モードおよび併用薬などの様々な因子に依存することが理解されるであろう。与えられた状況に対する治療有効量は、日常的な実験により容易に決定されるであろうし、通常の臨床医または医師のスキルおよび判断の範囲内である。いずれの場合でも、化合物または組成物は、患者の特有の状態に基づいて治療有効量を送達できる用量および方法で投与されるであろう。
(一般の合成法)
【0106】
方法1
【化2】
【0107】
中間体IVの形成、ここで、X=ハロゲンまたは-OTf、-OTsもしくは-OMsなどの他の脱離基は、酸性条件下で化合物IIをケトンIII、またはIIIa、IIIbまたはIIIcなどのケトン等価物(ketone equivalent)にさらすことにより達成された。より具体的には、XはClまたはBrであるIIを、加熱しながら1,4-ジオキサンおよび濃硫酸中のケトンIIIにさらして、中間体IVを生成する。
【化3】
【0108】
式I化合物は、ブッフバルト-ハートウィッグカップリング、ウルマン型カップリング、または求核芳香族置換により、合成された。よって、カップリングまたは求核芳香族置換に適した条件下における、X=ハロゲンまたは-OTf、-OTsまたは-OMsなどの他の脱離基である中間体IVの式VまたはVaの化合物との接触が、式IまたはIa化合物を与えた。Iaは、脱保護され、Iを生成してもよい。
【0109】
方法2:
【化4】
【0110】
代替の方法では、X=ハロゲンまたは-OTf、-OTsまたは-OMsなどの他の脱離基である中間体IVの脱離基Xは、中間体Vまたは保護された中間体Vaを得るためのIの合成で、上記と同様の条件下で、適切なN求核剤で置換されてもよい。Vaは、脱保護され、Vを生成してもよい。
【0111】
式IまたはIa化合物は、ブッフバルト-ハートウィッグカップリング、ウルマン型カップリング、または求核芳香族置換の条件下で、中間体VをX=ハロゲンまたは-OTf、-OTsもしくは-OMsなどの他の脱離基であるピリミジン化合物VIまたはVIaと接触させることで容易に合成される。Iaは脱保護されて、Iを生成してもよい。
【0112】
より具体的な式I化合物の合成法を、以下に記載する。中間体の合成中に保護基「P」が使用されると、または式I化合物が1または複数の保護基を含むと、そのような保護基は当該化学分野における既知の方法により除去されることが理解されるであろう。
【0113】
式I化合物のR1、R2 またはR3基は、当該化学分野で知られた従来の方法により合成の適切な段階で供給され得ることも理解されるであろう。
(実施例)
以下の例は、限定されることなく、例示の目的で提供される。
【0114】
実施例1:(R)-6-((6-アミノ-5-メチルピリミジン-4-イル)アミノ)-1’,8-ジメチル-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-1,5-ジオン(Cpd.No.1Fa)および(S)-6-((6-アミノ-5-メチルピリミジン-4-イル)アミノ)-1’,8-ジメチル-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-1,5-ジオン(Cpd.No.1Fb)
【化5】
【化6】
N-(6-((1’,8-ジメチル-1,5-ジオキソ-1,5-ジヒドロ-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-6-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)シクロプロパンカルボキサミド(3)の合成:
【0115】
N-(6-アミノ-5-メチルピリミジン-4-イル)シクロプロパンカルボキサミド(1, 0.82g, 4.29 mmol), 6-ブロモ-1’,8-ジメチル-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-1,5-ジオン(2,1.40g,4.29mmol)、および炭酸セシウム(2.79 g,8.58 mmol)の1,4-ジオキサン(20 mL)懸濁液をアルゴンで15分間パージした。この混合物に9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン(0.12 g, 0.21 mmol)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(0.10g,0.21mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.20 g,0.21 mmol)および酢酸パラジウム(0.049 g,0.21mmol)を添加した。混合物をさらに5分間パージして、バイアルを密閉した。反応は、100℃で16時間攪拌された。完了後、反応塊を5%メタノールのジクロロメタン(150 mL)溶液で希釈し、セライトのベッドを通過させた。ろ液を濃縮し、粗製物を、3~5%メタノールのジクロロメタン溶液を使用するコンビフラシュ(combiflash)カラムクロマトグラフィーにより精製してN-(6-((1’,8-ジメチル-1,5-ジオキソ-1,5-ジヒドロ-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-6-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)シクロプロパンカルボキサミド(3)を黄色固体として得た。収率:0.96 g,51%;MS (ESI) m/z 438.1 [M+1]+
(R)-6-((6-アミノ-5-メチルピリミジン-4-イル)アミノ)-1’,8-ジメチル-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-1,5-ジオン(Cpd. No. 1Fa)および(S)-6-((6-アミノ-5-メチルピリミジン-4-イル)アミノ)-1’,8-ジメチル-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-1,5-ジオン (Cpd. No. 1Fb)
【0116】
N-(6-((1’,8-ジメチル-1,5-ジオキソ-1,5-ジヒドロ-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-6-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)シクロプロパンカルボキサミド(3, 0.95 g, 2.17 mmol)のテトラヒドロフラン、エタノールおよび水(1:1:1,30 mL)溶液に、水酸化カリウム(1.22 g, 21.71 mmol)を添加した。反応は、60℃で18時間攪拌された。完了後、反応混合物を室温に冷却し、10%メタノールのジクロロメタン溶液(3×50 mL)で抽出した。混ぜ合わせた有機層を水、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、7~8%メタノールのジクロロメタン溶液を使用するコンビフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、6-((6-アミノ-5-メチルピリミジン-4-イル)アミノ)-1’,8-ジメチル-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-1,5-ジオン (rac-1F)をオフホワイト色の固体として得た。収率:555mg, 69%;MS (ESI) m/z 370.4 [M+1]+
【0117】
ラセミ化合物6-((6-アミノ-5-メチルピリミジン-4-イル)アミノ)-1’,8-ジメチル-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-1,5-ジオン(Cpd. No. 1F)のキラル精製を、15%メタノール/二酸化炭素のアイソクラチック混合物を使用するChiralpak-IA(250 ×21 mm,5μm)カラムを使用するSFCキラルHPLCにより実行した。 ピーク-1: Rt = 17 分, ee = 98.16%; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.82 (bs, 1H), 8.48 (s, 1H),8.12 (s, 1H), 7.98 (s, 1H), 6.50 (s, 2H), 3.33-3.30 (m, 1H), 3.02-2.93 (m, 1H), 2.81-2.79 (m, 1H), 2.46-2.45 (m, 1H), 2.44 (s, 3H), 2.21 (s, 3H), 1.98 (s, 3H), 1.93-1.91 (m, 2H), 1.72-1.68 (m, 1H), 1.49-1.47 (m, 1H)。 ピーク-2:Rt = 19.8分, ee = 96.58%; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.87 (bs, 1H), 8.48 (s, 1H), 8.11 (s, 1H), 7.98 (s, 1H), 6.48 (s, 2H), 3.33-3.30 (m, 1H), 2.99-2.93 (m, 1H), 2.81-2.79 (m, 1H), 2.49-2.48 (m, 1H), 2.44 (s, 3H), 2.21 (s, 3H), 1.98 (s, 3H), 1.93-1.91 (m, 2H), 1.71-1.68 (m, 1H), 1.47 (d, J = 12 Hz, 1H)。
【0118】
実施例2:(R)-4-アミノ-6-((1’,8-ジメチル-1,5-ジオキソ-1,5-ジヒドロ-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-6-イル)アミノ)ピリミジン-5-カルボニトリル(Cpd. No. 2Fa)および(S)-4-アミノ-6-((1’,8-ジメチル-1,5-ジオキソ-1,5-ジヒドロ-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-6-イル)アミノ)ピリミジン-5-カルボニトリル(Cpd. No. 2Fb)
【化7】
【化8】
6-ブロモ-8-メチル-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-1,5-ジオンハイドロクロライド (3)の合成
【0119】
密封管に5-ブロモ-3-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-2-カルボキサミド(1, 10.0 g, 43.2 mmol)、tert-ブチル3-オキソピぺリジン-1-カルボキシレート(2, 10.31 g, 51.8 mmol)および4M塩化水素の1,4-ジオキサン (100 mL)溶液を充填した。反応混合物を110℃で16時間加熱した。完了後、反応混合物を減圧下で濃縮し、固体残渣をエーテルで洗浄し、6-ブロモ-8-メチル-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-1,5-ジオンハイドロクロライド(3)をライトイエロー色の固体として得た。収率: 20.0 g, 93%; MS (ESI) m/z 312.27[M+1]+
6-ブロモ-1’,8-ジメチル-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-1,5-ジオン(4)の合成
【0120】
6-ブロモ-8-メチル-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-1,5-ジオンハイドロクロライド(3, 10.0 g, 28.8 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(75 mL)溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(9.29 g, 72.04 mmol)およびヨウ化メチル(4.50 g, 31.7 mmol)を室温で添加した。反応混合物を室温で3時間攪拌した。その後、反応混合物を氷水で急冷し、固体沈殿物をろ過により分離した。固体は、ジエチルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥し、6-ブロモ-1’,8-ジメチル-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-1,5-ジオン(4)をライトブラウン色の固体として得た。収率:5.3 g, 57%; MS (ESI) m/z 326.2[M+1]+
tert-ブチル (1’,8-ジメチル-1,5-ジオキソ-1,5-ジヒドロ-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-6-イル)カルバメート(5)の合成
【0121】
密閉管中の6-ブロモ-1’,8-ジメチル-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-1,5-ジオン(4, 15.0 g, 46.1 mmol)の1,4-ジオキサン(150 mL)溶液にtert-ブチルカルバメート(7.01 g, 59.0 mmol)および炭酸セシウム(30.0 g, 92.0 mmol)をアルゴン雰囲気下で添加した。反応混合物をアルゴンで15分間パージした後、9,9-ジメチル-4,5-ビス(フェニルホスフィノ)キサンテン(2.66 g, 4.6 mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(4.1 g, 4.60 mmol)を添加した。混合物をアルゴンでさらに5分間パージし、反応混合物を100℃で16時間加熱した。完了後、反応塊を真空下で濃縮し、粗化合物を得て、粗化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3~5%メタノールのジクロロメタン溶液)により精製し、tert-ブチル(1’,8-ジメチル-1,5-ジオキソ-1,5-ジヒドロ-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-6-イル)カルバメート(5)をダークブラウン色の固体として得て、さらに精製することなく次のステップで使用した。収率: 9.0 g, 54%; MS (ESI) m/z 363.14[M+1]+
tert-ブチル(R)-(1’,8-ジメチル-1,5-ジオキソ-1,5-ジヒドロ-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-6-イル)カルバメート(5A)およびtert-ブチル (S)-(1’,8-ジメチル-1,5-ジオキソ-1,5-ジヒドロ-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-6-イル)カルバメート(5B)のキラル分離
【0122】
ラセミ化合物tert-ブチル(1’,8-ジメチル-1,5-ジオキソ-1,5-ジヒドロ-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-6-イル)カルバメート(5, 8.0 g)を0.2%トリエチルアミンのメタノール/二酸化炭素(40:60)溶液のアイソクラチック勾配を使用するChiralpak-IGカラム(250 × 21 mm, 5μm)を使用するキラル-SFCにより精製した。精製後、ピーク-1をRt=8.0分(2.4 g, ee= 99.82%)で分離し、ピーク-2をRt=12.8分(3.4 g, ee=99.60%)で分離した。ピーク 1およびピーク-2の絶対立体化学は帰属されなかった。わかりやすくするために、ピーク-1は、tert-ブチル(R)-(1’,8-ジメチル-1,5-ジオキソ-1,5-ジヒドロ-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-6-イル)カルバメート(5A)として不規則に(または無作為に;randomly)帰属され、ピーク-2はtert-ブチル(S)-(1’,8-ジメチル-1,5-ジオキソ-1,5-ジヒドロ-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-6-イル)カルバメート(5B)として不規則に帰属された。
(R)-6-アミノ-1’,8-ジメチル-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-1,5-ジオン(6A)の合成
【0123】
tert-ブチル(R)-(1’,8-ジメチル-1,5-ジオキソ-1,5-ジヒドロ-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-6-イル)カルバメート (5A, 2.40 g, 6.6 mmol)のジクロロメタン(20 mL)溶液に4M塩化水素の1,4-ジオキサン(20 mL)溶液を添加した。反応混合物は、室温で3時間攪拌された。完了した後、反応塊は、真空下で濃縮され、粗化合物を重炭酸ナトリウムの飽和溶液で懸濁した。水相をジクロロメタンで抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をジエチルエーテルで洗浄し、所望の化合物(R)-6-アミノ-1’,8-ジメチル-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-1,5-ジオン(6A)をライトブラウン色の固体として得た。収率: 1.7 g, 98%; MS (ESI) m/z 263.3[M+1]+
(R)-4-アミノ-6-((1’,8-ジメチル-1,5-ジオキソ-1,5-ジヒドロ-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-6-イル)アミノ)ピリミジン-5-カルボニトリル (Cpd. No. 2Fa)の合成
【0124】
(R)-6-アミノ-1’,8-ジメチル-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-1,5-ジオン(6A, 1.70 g, 6.4 mmol)のtert-ブタノール(25 mL)溶液に4-アミノ-6-クロロピリミジン-5-カルボニトリル(7, 1.0 g, 6.4 mmol)およびp-トルエンスルホン酸(1.10 g, 6.4 mmol)を添加した。反応混合物を密封管中で120℃で15時間加熱した。その後、反応混合物を濃縮し、残渣を20%イソプロパノール/クロロホルム(100 mL)に溶解した。有機相を飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した。コンビフラッシュを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5~7%メタノールのジクロロメタン溶液)で残渣を精製し、(R)-4-アミノ-6-((1’,8-ジメチル-1,5-ジオキソ-1,5-ジヒドロ-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-6-イル)アミノ)ピリミジン-5-カルボニトリル(Cpd. No. 2Fa)を白色固体として得た。収率: 0.61 g, 25%。MS (ESI) m/z 381.13[M+1]+; ee = 97.94%; Rt=19.96分, メタノール/二酸化炭素(40:60)のアイソクラチック勾配を使用するChiralpak IC (4.6 × 250 mm, 5μm)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.02 (s, 1H), 8.58 (s, 1H), 8.49 (s, 1H), 8.34 (s, 1H), 7.79 (bs, 2H), 3.31-3.28 (m, 1H), 2.98-2.94 (m, 1H), 2.82-2.81 (m, 1H), 2.45 (s, 3H), 2.23 (s, 3H), 1.99-1.94 (m, 2H), 1.72-1.70 (m, 1H), 1.50 (d, J = 12.76 Hz, 1H).
(S)-6-アミノ-1’,8-ジメチル-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-1,5-ジオン(6B)の合成
【0125】
tert-ブチル(S)-(1’,8-ジメチル-1,5-ジオキソ-1,5-ジヒドロ-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-6-イル)カルバメート (5B, 3.40 g, 9.3 mmol)のジクロロメタン(30 mL)溶液を4M塩化水素の1,4-ジオキサン(30 mL)溶液に添加した。反応混合物を室温で3時間攪拌した。完了後、反応塊を真空下で濃縮し、粗化合物を重炭酸ナトリウムの飽和溶液に懸濁した。水相をジクロロメタンで抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をジエチルエーテルで洗浄し、所望の化合物(S)-6-アミノ-1’,8-ジメチル-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-1,5-ジオン(6B)をライトブラウン色の固体として得た。収率: 2.1 g, 85%; MS (ESI) m/z 263.3[M+1]+
(S)-4-アミノ-6-((1’,8-ジメチル-1,5-ジオキソ-1,5-ジヒドロ-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-6-イル)アミノ)ピリミジン-5-カルボニトリル (Cpd. No. 2Fb)の合成
【0126】
(S)-6-アミノ-1’,8-ジメチル-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-1,5-ジオン(6B, 2.0 g, 7.6 mmol)のtert-ブタノール(30 mL)溶液を4-アミノ-6-クロロピリミジン-5-カルボニトリル(7, 1.17 g, 7.6 mmol) およびp-トルエンスルホン酸(1.30 g, 7.6 mmol)に添加した。反応混合物を密閉管中で120℃で15時間加熱した。その後、反応混合物を濃縮し、残渣を20%イソプロパノール/クロロホルム(100 mL)に溶解した。有機相を重炭酸ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、乾燥し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をコンビフラッシュを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5~7%メタノールのジクロロメタン溶液)で精製し、(S)-4-アミノ-6-((1’,8-ジメチル-1,5-ジオキソ-1,5-ジヒドロ-2H-スピロ[イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3,3’-ピぺリジン]-6-イル)アミノ)ピリミジン-5-カルボニトリル(Cpd. No. 2Fb)を白色固体として得た。収率: 0.49 g, 18%. MS (ESI) m/z 381.17[M+1]+; ee = 95.58%, Rt = 8.89分, メタノール/二酸化炭素(40:60)のアイソクラチック勾配を使用するChiralpak IC (4.6 × 250 mm, 5μm)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.02 (s, 1H), 8.58 (s, 1H), 8.49 (s, 1H), 8.34 (s, 1H), 7.79 (bs, 2H), 3.29-3.28 (m, 1H), 2.94-2.91 (m, 1H), 2.81-2.80 (m, 1H), 2.45 (s, 3H), 2.22 (s, 3H), 1.93-1.88 (m, 2H), 1.72-1.70 (m, 1H), 1.49 (d, J = 12.76 Hz, 1H)。
実施例3:
【0127】
適切な反応物を利用して、一般的な方法1または2に従って、以下の化合物を作ることができる。
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【0128】
実施例4:6’-((6-アミノ-5-クロロピリミジン-4-イル)アミノ)-8’-メチル-2’H-スピロ[シクロヘキサン-1,3’-イミダゾ[1,5-a]ピリジン]-1’,5’-ジオンハイドロクロライド(Cpd. No. 4A)
【化14】
化合物4a は、米国特許第9,382,248号の実施例223に記載の手順に従って調製することができる。
(生物学的研究)
peIF4E シグナル伝達細胞アッセイ
【0129】
リン酸化eIF4Eを、CisBio peIF4E HTRF(登録商標)分析キット(CisBio, カタログNo. 64EF4PEG)を使用して分析する。細胞は、適切な増殖培地(90 μL)の96-ウェル組織培養処理プレートに播種される。化合物(10X)を細胞培養培地で3倍連続希釈を使用して希釈し、細胞に加える。プレートを37℃で2時間インキュベートする。細胞上清は、上清(または上澄み;supernatant)を吸引するか、プレートをはじいて慎重に除去する。すぐに、50 μLの補充された溶解緩衝液(1X)を添加し、振とうしながら室温で少なくとも30分間インキュベートする。上下にピペッティングして均一化した後、細胞溶解液16 μLを96-ウェル細胞培養プレートから384-ウェル小容量白色プレートに移す。予備混合した抗体溶液 (vol/vol) 4 μL を検出緩衝液で調製し、添加する。プレートをプレート・シーラーで覆い、室温で一晩インキュベートする。Wallac Victor2で2つの異なる波長での蛍光発光(665nmおよび620nm)を読み取る。発光比を阻害率に変換し、GraphPad Prismソフトウェアに取り込む。50%までの酵素活性の阻害を達成するのに必要な化合物濃度(IC50)を、20μM~0.1 nMの範囲の濃度を使用して算出する(12点カーブ)。IC50値をGraphPad Prism 5で使用可能な非線形回帰モデルを使用して決定する。
【0130】
これらの分析の結果を以下の表1-1~表1-3に示す。このため、0.001 μM未満のIC50値には「+++」としてラベルを付し、0.001~0.01 μMのIC50値には「++」としてラベルを付し、0.01 μMを超えるIC50値には「+」としてラベルを付す(NAは「有用でない」を意味する)。
(MNK阻害は免疫チェックポイント受容体およびリガンド(または配位子;ligand)の発現を減少させる)
【0131】
T細胞受容体(TCR)シグナル伝達が活性化すると、T細胞は増殖し、サイトカイン(例えば、IL-2)を産生し、免疫チェックポイント受容体の発現を誘導する。プログラムされた死1(PD-1)は、活性化T細胞の表面ならびに骨髄細胞上に発現する抑制性チェックポイント受容体である。PD-1のリガンド、すなわちプログラムされた死リガンド-1 (PD-L1, B7-H1/CD274)は、T細胞または通常の上皮細胞によって発現しないが、抗原提示細胞により発現し、いくつかのがんで過剰発現する。PD-1のPD-L1との相互作用は、T細胞に対する抗増殖効果をもたらし、T細胞の消耗及びアポトーシスを引き起こす。活性化T細胞および腫瘍細胞におけるMNKの役割を研究するために、免疫チェックポイント制御の分子に対するMNK阻害剤の効果を調べた。
(PD-1 (CD279)発現)
【0132】
PD-1発現に対するMNK阻害剤の効果を調べるために、T細胞受容体(TCR)シグナル伝達を介して活性化されると、PD-1を発現するジャーカット細胞(クローンE6.1, ATCC, 形質転換T細胞)を使用した。簡単に言えば、ジャーカット細胞は、1X Pen/Strepおよび10%FBSを有する1X RPMIで増殖させ、その後、1μg/mL PHA(シグマ)および50ng/mL PMA(シグマ)の存在下で、約3×106ジャーカット細胞を活性化した。試験細胞をMNK阻害剤の様々な濃度(0、0.01、0.1、1、3および10 μM)で同時に処理した。48時間後、培養上清を収集し、人IL-2 ELISA DuoSet (R&Dシステムズ, ミネアポリス, MN)を使用してIL-2の存在についてサンドイッチELISAを用いて調べた。ジャーカット細胞上のPD-1のレベルを人FcRブロックとインキュベートすることによって調べ、その後、アルフィコシアニン(APC)結合抗PD-1抗体(試験100μl容量当たり5μl, Biolegend, サンディエゴ, CA)と4℃で25分間接触させ、細胞を洗浄することなく固定可能な死細胞染色液(1:10,000; BD Biosciences, サンノゼ, CA)を添加し、4℃で10分間さらにインキュベートした。細胞をフロー緩衝液で2回洗浄し、最後に細胞を4℃で15分間、固定緩衝液で固定した。固定の後、細胞をフロー緩衝液で2回洗浄し、フロー緩衝液に再懸濁し、BD Accuri C6 フロー・サイトメーターを使用して蛍光を評価した。データをC6サイトメーター・ソフトウェア(BD Biosciences, サンノゼ, CA)またはAttune Nxtサイトメーター(Invitrogen, カールスバッド, CA)を使用して分析した。
【0133】
PHAおよびPMAを有するジャーカットT細胞の活性化は、非誘導細胞(Unstim)と比較して刺激されたジャーカット細胞の約25~30%の細胞表面上でPD-1の発現を誘導し、IL2サイトカイン産生がそれぞれ1000倍増加しました。PHA/PMA活性化ジャーカットT細胞をMNK阻害剤で処理すると、免疫抑制受容体PD-1の発現が濃度依存的に減少し、対照と比較して最高濃度で最大50%減少した。さらに、MNK阻害剤によるMNK阻害は、IL-2レベルで測定されるサイトカイン産生を変化させなかったため、PD-1のこの減少は、ジャーカットT細胞活性化自体のブロックによるものではない。最後に、様々な異なるMNK阻害剤によるMNK阻害は、細胞の生存率に影響しなかった。実際、T細胞アッセイにおける様々な異なるMNK阻害剤は、細胞の生存率に影響せずに、免疫チェックポイント阻害剤をダウンレギュレートする能力を示した。これらのアッセイの結果は、以下の表1-1~表1-3に記載されている。このため、PD-1陽性細胞の阻害の割合(10 μM)の50%を超えると「+++」のラベルが付され、10%~50%では「++」のラベルが付され、および10%未満では「+」のラベルが付される(NAは「有用ではない」を意味する)。
(水溶性)
【0134】
溶解性、溶媒への溶質の溶解現象が均一な系を与えることは、所望の(予想される)薬理反応のために全身循環(または体循環;systemic circulation)で化合物を所望の濃度を達成するための重要なパラメータの一つである。良好な水溶性を有する化合物は、対象への投与後の高い溶解速度のために、良好な生体内生物学的利用能をもたらすため、望ましい。良好な水溶性を有する化合物は、製剤開発、製剤製造、および製剤の安定の容易さにも寄与する。
(高スループットの熱力学的溶解手順)
【0135】
96-ウェルプレートで、各化合物の10 mM DMSOストック(50~100 uL)をSPE-96プレートドライヤー(上部流速= 50 L/分、温度=60℃、下部流速=20L/分、温度=80℃)を使用する加熱窒素フロー下で乾燥した。DMSOが完全に除去された後、残りの材料を脱イオン水、空腹状態(または絶食状態;fasted state)模擬腸液(FaSSIF, pH 6.5)および空腹状態模擬胃液(FaSSGF, pH 1.6)を含む試験溶媒に溶解した。遊離塩基として調製した化合物を1当量のTFAを添加した条件と添加しなかった条件で評価した。水溶液の理論最大濃度は10 mMであった。各ウェルに蓋をして、室温または37℃で18時間インキュベートした。インキュベーション期間中の溶液の混合は、750 rpmでプレートを振とうするか、StirStix(ステンレス鋼キャピラリー)を加えて、回転式磁気タンブルスターラーを使用して混合物を攪拌することで行った。インキュベーション期間の後、各ウェルのアリコートをろ過した。HPLC-UVによる既知の濃度の標準との比較後に、すべてのサンプルの溶解度を定量化した。
【0136】
水溶性の結果を以下の表1-1~表1-3に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0137】
本発明者らは、(i)前記化合物におけるイミダゾピリジンを3-または4-ピぺリジンで置換することにより、および(ii)前記化合物におけるピリミジンを低級アルキル、ハロゲンまたはシアノで置換することによりMnk阻害剤化合物の溶解速度を比較化合物4aよりも著しく改善できることを予想外に見出した。そのような置換または構造的特徴は、前記分子におけるキラリティを誘発する。
【0138】
本発明の化合物の水溶性の改善は、胃のまたは胃液(gastric or stomach fluid)などの低pH環境で特に重要である。例えば、表1-1~表1-3に示すように、化合物3D、3K、3L、3X、3Y、rac-1F、1Fa、1Fb、rac-2F、2Faおよび2Fbは、pH値1.6を有する空腹時の模擬胃液(FaSSGF)で優れた溶解性を示した。
【0139】
重要なことに、改善された水溶性に加えて、3-および4-ピぺリジン-置換化合物は、pEIF4Eシグナル伝達を阻害する能力の形態で、抗がん効力も保持している。いくつかの場合、表1-1~表1-3でわかるように、これらの3-および4-ピぺリジン-置換化合物がPD-1を阻害する能力において抗がん効力がさらに明らかになる。
【0140】
上述の様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。本明細書で言及されているか、および/またはアプリケーション・データ・シートにリストされている米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許公開のすべては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。必要に応じて、実施形態の態様を変更して、様々な特許、出願、および出版物の概念を採用して、さらなる実施形態を提供することができる。
【0141】
上記の詳細な説明に照らして、これらおよび他の変更を実施形態に加えることができる。一般に、以下の請求項において、使用される用語は、請求項を明細書および請求項に開示された特定の実施形態に限定するものと解釈されるべきではなく、すべての可能なじっし形態とそのような請求項が与えられる均等物の全範囲を含むと解釈されるべきである。したがって、請求項は開示により限定されない。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】
から選択される、化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項2】
前記化合物は、
【化2】
である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
前記化合物は、
【化3】
である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
前記化合物の前記薬学的に許容された塩は、アセテート、メシレート、スルフェート、シトレート、オキサレート、ハイドロクロライド、ジハイドロクロライド、イソチオネート、ラクテート、およびラウレートからなる群から選択される有機酸塩または無機酸塩である、請求項1に記載の薬学的に許容された塩。
【請求項5】
(i)治療的に有効な量の請求項1に記載の少なくとも一方の化合物またはその薬学的に許容される塩と、(ii)薬学的に許容されるキャリア、希釈剤、または賦形剤との組み合わせを含んでなる、医薬組成物。
【請求項6】
治療を要する哺乳動物(ただし、人間を除く)のMnk依存状態を治療する方法であって、
治療的に有効な量の請求項1に係る少なくとも一方の化合物、またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩を前記哺乳動物に投与することを含んでなり、
前記Mnk依存状態が、がんまたは炎症である、方法。
【請求項7】
治療を要する哺乳動物(ただし、人間を除く)において、固形腫瘍、大腸がん、膀胱がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、CNSがん、悪性神経膠腫、膠芽腫、肝細胞がん、甲状腺がん、肺がん、非小細胞がん、小細胞肺がん、黒色腫、骨髄腫、膵臓がん、膵臓がん腫、腎細胞がん腫、子宮頸がん、尿路上皮がん、前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん、卵巣がん、乳がん、トリプルネガティブ乳がん、白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、有毛細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、または骨髄異形成症候群を治療する方法であって、治療的に有効な量の請求項1に係る化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩を前記哺乳動物に投与することを含んでなる、治療方法。
【外国語明細書】