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特開2022-185052優性網膜色素変性の治療のためのAAVベクター
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185052
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】優性網膜色素変性の治療のためのAAVベクター
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20221206BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20221206BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20221206BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20221206BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20221206BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20221206BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
C12N15/864 100Z
A61K48/00
A61P27/02
A61K31/7105
A61K35/76
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022156496
(22)【出願日】2022-09-29
(62)【分割の表示】P 2018545818の分割
【原出願日】2017-03-01
(31)【優先権主張番号】62/398,451
(32)【優先日】2016-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/302,122
(32)【優先日】2016-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507371168
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファンデーション インコーポレーティッド
(71)【出願人】
【識別番号】500429103
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】アルフレッド・エス・ルウィン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ダブリュー・ハウスワース
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ティ・マッセンギル
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ベルトラン
(72)【発明者】
【氏名】グスタボ・ディ・アギーレ
(72)【発明者】
【氏名】アルトゥール・シデシヤン
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・ジェイコブソン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】網膜色素変性を治療するための方法および組成物を提供する。
【解決手段】本開示は、対象において内在性rho遺伝子の対立遺伝子(網膜色素変性に関連する変異rho対立遺伝子)の一方または両方の発現を減少させるために、干渉核酸(例えば干渉RNA)を対象に送達するための組成物および方法を提供する。いくつかの実施形態において、干渉核酸に耐性のある置換rho遺伝子もまた、対象に送達される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)配列CUGCCUACAUGUUUCUGCU(配列番号1)のセンス鎖および配列AGCAGAAACAUGUAGGCAG(配列番号2)のアンチセンス鎖;
b)配列CCUACAUGUUUCUGCUGAU(配列番号3)のセンス鎖および配列AUCAGCAGAAACAUGUAGG(配列番号4)のアンチセンス鎖;
c)配列GCAUGGUCAUCAUCAUGGU(配列番号5)のセンス鎖および配列ACCAUGAUGAUGACCAUGC(配列番号6)のアンチセンス鎖;または
d)配列GUGGCAUUCUACAUCUUCA(配列番号7)のセンス鎖および配列UGAAGAUGUAGAAUGCCAC(配列番号8)のアンチセンス鎖:
を含む、合成リボ核酸(RNA)分子。
【請求項2】
RNAが低分子干渉RNA(siRNA)である、請求項1に記載の合成RNA分子。
【請求項3】
RNAが低分子ヘアピン型RNA(shRNA)である、請求項1に記載の合成RNA分子。
【請求項4】
配列UCAAGAG(配列番号9)のRNA、または配列UGUGCUU(配列番号10)のRNAを含むループを有する、請求項3に記載のshRNA。
【請求項5】
RNAが人工マイクロRNA(miRNA)である、請求項1に記載の合成RNA分子。
【請求項6】
人工miRNAが配列UGCUGUUGACAGUGAGCGA(X)UAGUGAAGCCACAGAUGUA(Y)CUGCCUACUGCCUCGGA(配列番号19)のRNAを含み、
a)(X)が配列番号1を含み、(Y)が配列番号2を含む;
b)(X)が配列番号3を含み、(Y)が配列番号4を含む;
c)(X)が配列番号5を含み、(Y)が配列番号6を含む;または
d)(X)が配列番号7を含み、(Y)が配列番号8を含む:
請求項5に記載の人工miRNA。
【請求項7】
さらに5’末端および/または3’末端に不対合突出配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の合成RNA。
【請求項8】
不対合突出配列が反復塩基配列を含む、請求項7に記載の合成RNA。
【請求項9】
反復塩基配列が反復ウラシル(U)塩基を含む、請求項8に記載の合成RNA。
【請求項10】
不対合突出配列がUUである、請求項9に記載の合成RNA。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の合成RNAを含む組成物。
【請求項12】
さらに1つ以上の生理学的に許容される担体および/または1つ以上の生理学的に許容されるアジュバントを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
a)請求項3もしくは4に記載のshRNA;または
b)請求項5もしくは6に記載の人工miRNA
をコードするベクター。
【請求項14】
shRNAが配列番号11~18のいずれか1つから選択される、請求項13に記載のベクター。
【請求項15】
ベクターが発現プラスミドである、請求項13または14に記載のベクター。
【請求項16】
ベクターがウイルスベクターである、請求項13~15のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項17】
ウイルスベクターがアデノ随伴ウイルスベクターである、請求項16に記載のウイルスベクター。
【請求項18】
対象におけるRHO発現を低減させる方法であって、請求項11もしくは12の組成物、または、請求項13~17のいずれか一項に記載のベクターを対象に投与することを含む、方法。
【請求項19】
対象において網膜色素変性(RP)を治療する方法であって、
a)請求項11もしくは12の組成物、または、請求項13~17のいずれか一項に記載のベクター;および
b)a)の組成物またはベクターの干渉RNAが標的とする配列を含有しない、組換えrho遺伝子:
の両方を対象に投与することを含む、方法。
【請求項20】
組換えrho遺伝子がrAAVを用いて送達される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
干渉RNAおよび組換えrho遺伝子が同一のrAAVを用いて送達される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
干渉RNAおよび組換えrho遺伝子が両方とも、単一のプロモーター配列の発現制御下にある、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
干渉RNAおよび組換えrho遺伝子がそれぞれ、別のプロモーター配列の発現制御下にある、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
干渉RNAがshRNAであり、shRNAがRNAポリメラーゼIIIプロモーターの発現制御下にある、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
干渉RNAが人工miRNAであり、人工miRNAがRNAポリメラーゼIIプロモーターの発現制御下にある、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
組換えrho遺伝子が構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターの発現制御下にある、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
対象が哺乳動物である、請求項19~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
哺乳動物がげっ歯類またはイヌである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
哺乳動物がヒトである、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2016年3月1日に出願された米国仮特許出願第62/302,122号、および2016年9月22日に出願された米国仮特許出願第62/398,451号の利益を主張するものであり、これらのそれぞれの内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府の支援
本発明は、国立衛生研究所によって付与された補助金番号R24-EY022012による政府の支援によってなされた。
【背景技術】
【0003】
背景
常染色体優性網膜色素変性(adRP)は、12,000人に1人に発症する失明に至る疾病である。これらの個体のうちかなりの割合が、網膜の光受容細胞の集光性色素タンパク質である、ロドプシンの遺伝子(rho)に変異を有する。この疾患は、いずれかの親からの変異した遺伝子の遺伝が網膜の変性と最終的な失明につながるため、優性である。rhoで特定された100を超える異なる変異が、失明につながる。現在のところ、adRPに対する承認された薬物療法または遺伝子療法の治療はない。従って、adRPおよび関連する症状の、ありとあらゆる原因に関する、有効な治療選択肢が必要である。
【発明の概要】
【0004】
概要
本出願の局面は、対象における(例えば、ヒトにおける)網膜色素変性(例えば、優性網膜色素変性)を治療するための組成物および方法に関連する。いくつかの実施形態において、対象のロドプシン遺伝子(rho遺伝子)の対立遺伝子の一方または両方を、干渉RNA分子を対象(例えば、網膜色素変性を有する対象であって、例としては優性網膜色素変性を有するヒト)に投与することによりサイレンシングする。いくつかの実施形態において、置換rho遺伝子もまた対象に投与して、対象に光受容細胞の機能を回復させる、機能性RHOタンパク質を提供する。いくつかの実施形態において、置換rho遺伝子は、内在性遺伝子の対立遺伝子と比較して1つ以上のヌクレオチド置換を有しており、これが、該置換遺伝子を干渉RNAの効果に対して耐性にする。いくつかの実施形態において、置換rho遺伝子は、rho遺伝子を、干渉RNA分子により仲介される分解に対して耐性にする(「硬化する(hardened)」とも呼ばれる)、1つ以上の(例えば、1、2、3、4、5つ以上の)置換を含む、ヒトrho遺伝子(例えば、野生型ヒトrho遺伝子)である。いくつかの実施形態において、1つ以上のヌクレオチド置換は、rho遺伝子のコード配列に存在する。いくつかの実施形態において、1つ以上のヌクレオチド置換はサイレントである(例えば、RHOタンパク質のアミノ酸配列を変化させない)。いくつかの実施形態において、1つ以上の置換はアミノ酸の変化を導入するが、結果として生じるRHOタンパク質は、(少なくとも部分的な視力または正常な視力を回復または維持するのに)治療的に有効であるために十分に機能する。
【0005】
いくつかの実施形態において、干渉RNAおよび/または置換遺伝子は、任意の好適な技術を用いて対象に送達され得る。いくつかの実施形態において、干渉RNAは、干渉RNAをコードする遺伝子の形態で対象に提供される。いくつかの実施形態において、干渉RNAをコードする遺伝子は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)で対象に提供される。いくつかの実施形態において、置換遺伝子は、rAAVで対象に提供される。いくつかの実施形態において、干渉RNAと置換遺伝子とをコードする遺伝子は、同一のrAAVで提供される(例としては、それらは両方とも、AAV逆位末端反復配列(ITR)が隣接する同一の組換えゲノム上にコードされている)。いくつかの実施形態において、両方の遺伝子は、同一のプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態において、これらの遺伝子は、2つの異なるプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態において、干渉RNAと置換遺伝子とをコードする遺伝子は、異なるrAAVで提供される。
【0006】
いくつかの実施形態において、干渉RNAは:
a)配列CUGCCUACAUGUUUCUGCU(配列番号1)のセンス鎖および配列AGCAGAAACAUGUAGGCAG(配列番号2)のアンチセンス鎖;
b)配列CCUACAUGUUUCUGCUGAU(配列番号3)のセンス鎖および配列AUCAGCAGAAACAUGUAGG(配列番号4)のアンチセンス鎖;
c)配列GCAUGGUCAUCAUCAUGGU(配列番号5)のセンス鎖および配列ACCAUGAUGAUGACCAUGC(配列番号6)のアンチセンス鎖;または
d)配列GUGGCAUUCUACAUCUUCA(配列番号7)のセンス鎖および配列UGAAGAUGUAGAAUGCCAC(配列番号8)のアンチセンス鎖:
を含む、合成リボ核酸(RNA)分子である。
【0007】
いくつかの実施形態において、合成RNA分子は低分子干渉RNA(siRNA)である。いくつかの実施形態において、干渉RNAは低分子ヘアピン型RNA(shRNA)である。いくつかの実施形態において、shRNAは配列UCAAGAGのRNA(配列番号9)、または、配列UGUGCUUのRNA(配列番号10)を有するループを含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、合成RNA分子は、人工マイクロRNA(miRNA)である。いくつかの実施形態において、人工miRNAは、UGCUGUUGACAGUGAGCGA(X)UAGUGAAGCCACAGAUGUA(Y)CUGCCUACUGCCUCGGA(配列番号19)
のRNA配列を有し:
a)(X)nが配列番号1を含み、(Y)nが配列番号2を含む;
b)(X)nが配列番号3を含み、(Y)nが配列番号4を含む;
c)(X)nが配列番号5を含み、(Y)nが配列番号6を含む;または
d)(X)nが配列番号7を含み、(Y)nが配列番号8を含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、上記または本明細書の他の箇所に記載された合成RNAは、さらに、5’末端および/または3’末端に不対合突出配列を含む。いくつかの実施形態において、不対合突出配列は反復塩基配列を含む。いくかの実施形態において、反復塩基配列は反復ウラシル(U)塩基を含む。いくつかの実施形態において、不対合突出配列はUUである。
【0010】
いくつかの実施形態において、組成物(例えば、対象に投与するための組成物)は、上記または本明細書の他の箇所に記載された干渉RNA(例えば、合成RNA分子)の1つ以上(例えば、2、3、または4つ)を含む。いくつかの実施形態において、組成物(例えば、対象に投与するための組成物)は、上記または本明細書の他の箇所に記載された干渉RNA(例えば、合成RNA分子)の1つ以上(例えば、2、3、または4つ)をコードする核酸(例えば、DNA)を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、組成物はまた、1つ以上の生理学的に許容される担体、および/または1つ以上の生理学的に許容されるアジュバントを含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、ベクターは、1つ以上の(1、2、3、または4つ以上の)、(例えば、上記または本明細書の他の箇所に記載される)shRNAおよび/または人工miRNAをコードする。いくつかの実施形態において、shRNAは、配列番号11~18の1つ以上の配列を有する。
【0013】
いくつかの実施形態において、ベクターは置換rho遺伝子をコードする。
【0014】
いくつかの実施形態において、ベクターは、置換rho遺伝子、並びに/または、1つ以上の、(例えば、上記または本明細書の他の箇所に記載される)shRNA、および/もしくは、人工miRNAをコードする。
【0015】
いくつかの実施形態において、ベクターは発現プラスミドである。いくつかの実施形態において、ベクターは組換えウイルスゲノム(例えば、rAAVゲノム)である。いくつかの実施形態において、ベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターはrAAVゲノムを含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、対象におけるRHO発現を低減させる方法は、1つ以上の干渉RNA、および/または、上記または本明細書の他の箇所に記載される1つ以上の干渉RNAをそれぞれコードする(例えば、発現することができる)1つ以上のベクターを、対象に投与することを含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、対象において網膜色素変性(RP)を治療する方法は、干渉RNAまたは干渉RNAを発現するベクターを含む組成物と、組換えrho遺伝子を含む組成物(例としては、組換えrho遺伝子をコードするベクター)とを、共に投与することを含み、ここで該rho遺伝子は該干渉RNAによる標的化に耐性がある。
【0018】
いくつかの実施形態において、組換えrho遺伝子は、rAAVを用いて送達される。いくつかの実施形態において、干渉RNAおよび組換えrho遺伝子は、同一のrAAVを用いて送達される。いくつかの実施形態において、干渉RNAおよび組換えrho遺伝子が両方とも、単一のプロモーター配列の発現制御下にある。いくつかの実施形態において、干渉RNAおよび組換えrho遺伝子がそれぞれ、別のプロモーター配列(例えば、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターのいずれか)の発現制御下にある。いくつかの実施形態において、干渉RNAおよび/または改変rho遺伝子は、ヒトプロモーターまたは異なる種のプロモーター(例えば、ウイルスプロモーター、原核生物プロモーター、または真核生物プロモーター、例としては、非ヒト霊長類、げっ歯類、イヌ、ネコ、ブタ、または他の種由来のプロモーター)の発現制御下にある(例えば、前記プロモーターに作動可能に連結されている)。いくつかの実施形態において、プロモーターは、RNAポリメラーゼIIIプロモーター(例えば、H1 RNAポリメラーゼIIIプロモーター)または、RNAポリメラーゼIIプロモーター、またはRNAポリメラーゼIプロモーターである。いくつかの実施形態において、干渉RNAはshRNAであり、shRNAはRNAポリメラーゼIIIプロモーター(例えば、H1 RNAポリメラーゼIIIプロモーター)の発現制御下にある。いくつかの実施形態において、干渉RNAは人工miRNAであり、人工miRNAはRNAポリメラーゼIIプロモーターの発現制御下にある。いくつかの実施形態において、組換えrho遺伝子は、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーター(例えば、ヒトプロモーター、眼特異的プロモーター)の発現制御下にある。いくつかの実施形態において、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターは、マウスプロモーター(例えば、マウスオプシン(MOPS)プロモーター)である。
【0019】
いくつかの実施形態において、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態において、哺乳動物はげっ歯類またはイヌである。いくつかの実施形態において、哺乳動物はヒト(例えば、網膜色素変性、例としては優性網膜色素変性を有する、または有することが知られているヒト、例としては有すると診断されたヒト)である。これらの、および他の局面は、以下の図面、実施例、および特許請求の範囲に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図面および以下の簡単な説明は、本明細書に記載される組成物および方法の局面の非限定的な例を提供する。
【0021】
図1図1A図1Cは、FACS(蛍光標識細胞分取)により測定される、GFP標識したヒトロドプシンのノックダウンを示す。本実験は、293T細胞において、3回の生物学的反復試験(biologic replicates)で行った。500ngのGFP標識したヒトRHOcDNAを、異なるsiRNAと同時トランスフェクトした。トランスフェクションは、LIPOFECTAMINE(登録商標)2000トランスフェクション試薬を用いて実施した。コントロールは、Dharmaconより購入した非ターゲティングsiRNAとした。サンプルを72時間インキュベートし、その後フローサイトメトリーで解析し、最初に前方散乱および側方散乱についてゲーティングして生育不能な粒子を除外し、次に、自己蛍光を超えるGFP発現についてゲーティングした。コントロールsiRNAで処理したGFP陽性細胞の数を100%に設定した。
図2図2は、shRNAによるRHOのノックダウンを示す。本実験は、293T細胞において、3回の生物学的反復試験で行った。200ngのGFP標識したヒトロドプシンを、H1プロモーターにより駆動されるshRNA131、765、または820のいずれかを含むpUC57と同時トランスフェクトした。サンプルを72時間インキュベートし、図1と同様に、RHOノックダウンをフローサイトメトリーで測定した。
図3図3は、shRNAが、変異および野生型RHO RNAの両方を切断することを示す。本実験は、293T細胞において2回の生物学的反復試験で、および3回のqRT-PCR反復試験でおこなった。200ngのGFP標識したヒトロドプシン(WT、T17MまたはP23H)を、LIPOFECTAMINE(登録商標)2000を用いて、rAAV-H1-shRNAプラスミド(131(配列番号11)、765(配列番号15)、または820(配列番号17))と同時トランスフェクトした。非ターゲティングshRNAは、無関係の光伝達タンパク質、桿体環状GMP感受性イオンチャネルのサブユニットを分解するように、設計した。サンプルを48時間インキュベートし、その後、qRT-PCR解析のために処理した。
図4図4は、miR30(配列番号28)の配列構成中の、siRNA131センス鎖(配列番号1)およびアンチセンス鎖(配列番号2)を示す。RNAポリメラーゼIIプロモーターから発現させた後、siRNAは前駆体から酵素Droshaによって核内で切り出され、Dicerによって細胞質内で切り出される。
図5図5A図5Cは、イヌの網膜のブレブ(bleb)および非ブレブ領域から取得した生検パンチにおける、ロドプシンの免疫ブロットを示す(図5A)。図5Bは、ヒストンに標準化された、ロドプシンモノマー量の定量化を示す。図5Cは、標準化された量を示す表である。
図6図6A図6Bは、イヌのRHO RNAの絶対数を示す。図6Aは、イヌのRHO RNAの絶対数のプロットである。図6Bは、RNAの絶対数を示す表である。
図7図7A図7Cは、イヌの網膜のブレブおよび非ブレブ領域から取得した生検パンチにおける、ロドプシンの免疫ブロットを示す(図7A)。図7Bは、ヒストンに標準化された、ロドプシンモノマー量の定量化を示す。図7Cは、標準化された量を示す表である。
図8図8A図8Bは、イヌのRHO RNAの絶対数を示す。図8Aは、イヌのRHO RNAの絶対数のプロットである。図8Bは、RNAの絶対数を示す表である。
図9図9は、shRNAと、内在性ヒトRHOmRNAまたは、硬化RHOmRNAの標的配列との間に生じる例示的な塩基対形成を表す。全てのshRNAは、イヌのRHOmRNAの標的配列と、完全に塩基対を形成する。白四角:shRNAと、内在性イヌRHOmRNA並びに硬化RHOmRNAとの間のミスマッチ。濃灰色四角:RNAのグアノシンとウラシルとの間に生じる弱いゆらぎ塩基対形成。薄灰色四角:shRNAと硬化RHOmRNAとの間のみのミスマッチ。配列はそれぞれ、配列番号29-37に上から下に対応する。
図10図10は、shRNA134と、内在性ヒトRHO131mRNAまたは、硬化RHO131mRNAの標的配列との間に生じる例示的な塩基対形成を表す。shRNA131および134の標的配列の近接(proximity)は、同じ硬化RHO131を使用することを可能にする。濃灰色四角:RNAのグアノシンとウラシルとの間に生じる弱いゆらぎ塩基対形成。薄灰色四角:shRNAと硬化RHOmRNAとの間のみのミスマッチ。配列はそれぞれ、配列番号38-40に上から下に対応する。
図11図11は、GFP標識したヒトRHOをコードするプラスミドの例示的なマップを表す。
図12-1】図12A図12Cは、siRNAをコードするプラスミド(図12Aおよび図12B)と、ヒトRHOをコードするプラスミド(図12C)のマップの非限定的な例を示す。
図12-2】図12A図12Cは、siRNAをコードするプラスミド(図12Aおよび図12B)と、ヒトRHOをコードするプラスミド(図12C)のマップの非限定的な例を示す。
図12-3】図12A図12Cは、siRNAをコードするプラスミド(図12Aおよび図12B)と、ヒトRHOをコードするプラスミド(図12C)のマップの非限定的な例を示す。
図13-1】図13A図13Eは、野生型RHO+/+イヌにおける、網膜下に注射された異なるウイルス力価のAAV2/5-sc-H1-shRNA820による、ロドプシンノックダウンのRNAおよびタンパク質の解析を示す。図13Aは、ウェスタンブロット解析およびRNA定量に使用された生検パンチの位置を示す網膜地図を示す。対になった、濃灰色、灰色、ドットの丸は、ウェスタンブロットの各複製のためのブレブ/処理および非ブレブ処理領域における、生検パンチの位置を示しており、一方で、黒丸は、RNA定量のための生検パンチの位置を示す。図13Bは、同じ網膜の非処理領域で測定されたレベルのパーセンテージとして、処理領域内に残存するイヌのロドプシンRNAを示す棒グラフを示す。
図13-2】図13Cは、イヌの網膜の処理(Tx)および非処理(UnTx)領域から取得した生検パンチにおけるロドプシンの量を示す免疫ブロットを示す。ヒストンH3を標準化のために用いた。 棒グラフは、同じ網膜の非処理領域で測定されたレベルのパーセンテージとして、残存するイヌのロドプシンタンパク質を示す。図13Dは、RNAまたはタンパク質の残存率として報告された各実験の数値を示す表である。
図13-3】図13Eは、RNAまたはタンパク質のノックダウン率として報告された各実験の数値を示す別の表である。
図14-1】図14A図14Dは、野生型イヌにおける、異なる力価のAAV2/5-sc-H1-shRNA820の網膜下注射後の、ONLおよびELM/IS/OS完全性の評価を示す。図14Aは、ONLの厚さの図を示す。図14Bは、ELM/IS/OSの標準化強度の図を示す。
図14-2】図14Cは、ONLの厚さの値を示す。
図14-3】図14Dは、ELM/IS/OS層の標準化強度の値を示す。
図15-1】図15A図15Eは、変異RHOT4R/+イヌにおける、網膜下に注射された異なるウイルス力価のAAV2/5-sc-H1-shRNA820による、ロドプシンノックダウンのRNAおよびタンパク質の解析を示す。図15Aは、ウェスタンブロット解析およびRNA定量に使用された生検パンチの位置を示す網膜地図を示す。対になった、濃灰色、灰色およびドットの丸は、ウェスタンブロットの各複製のためのブレブおよび非ブレブ領域における、生検パンチの位置を示しており、一方で、黒丸は、RNA定量のための生検パンチの位置を示す。図15Bは、同じ網膜の非処理領域で測定されたレベルのパーセンテージとして、残存するイヌのロドプシンRNA量を示す棒グラフである。
図15-2】図15Cは、イヌの網膜の処理(Tx)および非処理(UnTx)領域から取得した生検パンチにおけるイヌのロドプシンの量を示す免疫ブロットである。ヒストンH3を標準化のために用いた。棒グラフは、同じ網膜の非処理領域で測定されたレベルのパーセンテージとして、残存するイヌのロドプシンタンパク質量を示す。図15Dは、RNAまたはタンパク質の残存率として報告された各実験の数値を示す表である。
図15-3】図15Eは、RNAまたはタンパク質のノックダウン率として報告された各実験の数値を示す別の表である。
図16図16A図16Dは、変異RHOT4R/+イヌにおいて急性網膜変性を引き起こす短時間の光照射に暴露してから2週間後の、RHOT4R/+イヌの、(異なるウイルス力価のAAV2/5-sc-H1-shRNA820による)処理網膜領域および非処理網膜領域を含むOCT Bスキャンを示す。(図16A)1x1012vg/mlで処理したイヌのOCTスキャン。(図16B)5x1011vg/mlで処理したイヌのOCTスキャン。(図16C)2.5x1011vg/mlで処理したイヌのOCTスキャン。(図16D)1x1011vg/mlで処理したイヌのOCTスキャン。
図17-1】図17A図17Bは、光誘発性網膜変性からの防御を示す、AAV2/5-sc-H1-shRNA820で処理したRHOT4R/+由来の、ONLの厚さの組織分布図を示す。(図17A)非処理の野生型コントロールイヌのONLの厚さの図(左図)、および、5E+11vg/mlでAAV2/5-sc-H1-shRNA820により処理したEM411-OSのONLの厚さの図であり、光誘発性ダメージ後数週間は、処理/ブレブ領域においてONLの厚さが保存されることを示す。白黒曲線は、網膜下注射直後に見られるブレブの境界を示す。下のパネルは、視覚化のために、ONLが濃灰色で色付けされた(中間のバンド)OCT Bスキャンを示す。
図17-2】(図17B)ブレブの外側および内側の部位を、ONLの厚さ測定のために選択した。
図18図18は、異なるウイルス力価のAAV2/5-sc-H1-shRNA820を網膜下注射した、変異RHOT4R/+網膜の処理(Tx)および非処理(UnTx)領域における、組織学(HE染色)および免疫組織化学を示す(ロドプシンは緑に染色され、図18の下図では薄い染色として現れている;ヒト錐体アレスチンは赤に染色され、図18の下図では灰色の染色として現れている)。
図19図19A図19Fは、変異RHOT4R/+イヌにおける、5x1011vg/mlの力価で網膜下に注射されたAAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820による、ロドプシンのノックダウンおよび置換のRNAおよびタンパク質の解析を示す。図19Aは、ウェスタンブロット解析およびRNA定量に使用された生検パンチの位置を示す網膜地図を示す。対になった、濃灰色、灰色、ドットの丸は、ウェスタンブロットの各複製のための処理(Tx)および非処理(UnTx)領域における、生検パンチの位置を示しており、一方で、黒丸は、RNA定量のための生検パンチの位置を示す。図19Bは、イヌの網膜の処理(Tx)および非処理(UnTx)領域から取得した生検パンチにおける総ロドプシン量(イヌ+ヒトRHO820)を示す免疫ブロットを示す。ヒストンH3を標準化のために用いた。棒グラフは、処理および非処理領域におけるイヌのロドプシンタンパク質の残存率を示す。EM424-ODおよびEM425-ODの処理領域におけるより低い分子量のバンド(変異T4R RHOタンパク質に対応する)の消失に留意されたい。図19Cは、タンパク質定量のために用いられるパンチの各対に対する数値を示す表である。図19Dは、非処理領域で測定されるイヌのRHO RNAのパーセンテージとして、処理領域における残存するイヌのロドプシンRNAを示す棒グラフである。図19Eは、非処理領域で測定されるイヌのRHO RNAのパーセンテージとして、処理領域におけるヒト RHO820を示す棒グラフである。図19Fは、RNA定量のために用いられるパンチの各対に対する数値を示す表である。
図20図20A図20Cは、5x1011/vg/mlの力価で、AAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820により処理した、変異RHOT4R/+網膜の領域における、光誘発性網膜変性からの防御を示す、インビボ網膜イメージングを示す。図20Aは、光照射の2週間後の、変性から防御された網膜領域(白矢印によって区切られた境界)を示す、正面の(en face)cSLO合成画像を示す。薄灰色矢印は、図20Bで示されたOCT Bスキャンの処理領域の範囲内の位置を示し、濃灰色矢印は、図20Cで示されたOCT Bスキャンの非処理領域の範囲内の位置を示す。図20Bは、注射前、注射の11週間後、および注射の13週間後/光照射の2週間後の、処理領域の範囲内のOCT Bスキャンを示す。ONLの厚さは、ウイルスベクター注射後の両方の時点における処理領域全体に渡って、保存されている。図20Bおよび図30Vは、注射前、注射の11週間後、および注射の13週間後/光照射の2週間後の、非処理領域の範囲内のOCT Bスキャンを示す。ONLは、注射の11週間後まで保存されているが、光照射の2週間後には完全に失われている。
図21図21は、光誘発性網膜変性からの防御を示す、5x1011/vg/mlの力価でAAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820により処理した2つのRHOT4R/+由来の、ONLの厚さの組織分布図を示す。
図22図22は、5x1011/vg/mlの力価で、AAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820を網膜下に注射した、変異RHOT4R/+網膜の処理、移行ゾーン、および非処理領域における、免疫組織化学を示す(ロドプシンは緑に染色され、図22の図では薄い染色として現れている;ヒト錐体アレスチンは赤に染色され、図22の図では灰色の染色として現れている)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
本出願の局面は、対象において(例えば、優性網膜色素変性を有する対象において)、網膜色素変性を治療するために有用な方法および組成物を提供する。
【0023】
いくつかの実施形態において、(例えば、変異のまたは正常な)内在性ロドプシンの発現を、RNA干渉を用いて減少させるか、または、抑制して、失われたタンパク質を、RNA阻害物質の標的部位を除去するように操作された正常タンパク質の遺伝子を送達することによって置換する。
【0024】
いくつかの実施形態において、単一のアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが、RNA物質(例えば、低分子ヘアピン型RNAまたは人工microRNA)および組換えrho遺伝子の両方を送達するために用いられる。
【0025】
いくつかの実施形態において、低分子ヘアピン型RNA、人工microRNA(a-miR)および/またはRNA酵素(リボザイム)は、マウス、ヒト、およびイヌに共通の配列を標的とすることによってロドプシンmRNAを分解するように設計することができる。これらの分子は、ヒト患者で機能し得る阻害物質を開発するために、細胞培養、マウス、および/またはイヌにおいて阻害を試験するのに有用であり得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、ヒトおよびイヌの両方のロドプシンmRNAを標的とする低分子干渉核酸(例えば、RNA)が提供される。いくつかの実施形態において、ヒトおよびイヌのロドプシン(RHO)mRNAを消化する4つの低分子干渉RNAが、ヒトおよび動物において内因的に生成されるロドプシンを枯渇させる目的で提供される。いくつかの実施形態において、これらの干渉RNAは、RHOの変異によって引き起こされる、網膜色素変性の優性遺伝型を有する対象において、ロドプシンの発現を標的とする。これらの変異のいくつかは、有毒な形態のタンパク質をもたらし、その合成は網膜の変性を防ぐためにサイレンシングされなければならない。
【0027】
いくつかの実施形態において、干渉核酸(例えば、RNA)は、変異rho遺伝子に特異的な配列を標的とするように設計される(例えば、干渉核酸は、変異rho遺伝子に存在し、野生型rho遺伝子に存在しない配列に相補的である)。しかし、いくつかの実施形態において、干渉核酸は、(例えば、干渉核酸により標的とされない他の位置に1つ以上の変異を有する)変異内在性rho遺伝子の野生型配列を標的とするように設計される。さらなる実施形態において、干渉核酸に耐性である機能的(例えば、野生型)rho遺伝子が、対象におけるRHO活性を回復させ、それによって、干渉核酸が標的とする変異内在性rho対立遺伝子に関連する疾患または障害の1つ以上の症状を治療するために、提供される。
【0028】
いくつかの実施形態において、1つ以上の干渉RNAは、プロモーター(例えば、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、または、他の好適な構成的プロモーターもしくは誘導性プロモーター)により駆動される低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、または、プロモーター(例えば、RNAポリメラーゼIIプロモーター、または、他の好適な構成的プロモーターもしくは誘導性プロモーター)により駆動される人工microRNA(miRNA)のいずれかとして、アデノ随伴ウイルス(AAV)を用いて送達され得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、同じベクターが、正常なロドプシンをコードするが、ウイルスにより発現されたsiRNAの作用に対して耐性がある、遺伝子(cDNA)を発現する。
【0030】
干渉RNAの非限定的な例を、表1~4に提示する。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】
【0031】
いくつかの実施形態において、硬化された、正常な(例えば、野生型の)ロドプシン(rho)遺伝子は、ヒトrho遺伝子に基づく配列を有し得(例えば、アクセッション番号NG_009115.1で示される配列;配列番号41とも示される配列を有する)、または、mRNAもしくはそのタンパク質コード部分(例えば、配列番号41の9970-11706に連結した8895-9134に連結した8613-8778に連結した7238-7406に連結したヌクレオチド5001-5456によってコードされるmRNA、またはそのタンパク質コード部分、例としては、配列番号41の9970-10080に連結した8895-9134に連結した8613-8778に連結した7238-7406に連結したヌクレオチド5096-5456からなるコード配列)に基づく配列を有し得る。いくつかの実施形態において、正常なrho遺伝子の配列は、治療される対象における変異内在性rho遺伝子の発現を減少させるために、ノックダウン物質として用いられる1つ以上の干渉RNAに対して、置換rho遺伝子を耐性にする1つ以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上の)変異を含むように、改変される。しかしながら、いくつかの実施形態において、改変されていない正常な(例えば、野生型の)配列を有する組換えrho遺伝子が、治療される対象において標的とされる内在性rho遺伝子または対立遺伝子とは異なる配列を有する場合、および、用いられるノックダウン物質が、内在性rho遺伝子または対立遺伝子を標的とし提供される組換えrho遺伝子を標的としないように設計されている場合に、改変されていない正常な(例えば、野生型の)配列を有する組換えrho遺伝子が用いられ得る。いくつかの実施形態において、治療される対象とは異なる種由来のrho遺伝子が用いられ得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、rho遺伝子(例えば、改変rho遺伝子)は、治療される対象と同じ種由来であり得る。いくつかの実施形態において、組換えrho遺伝子における1つ以上の改変は、コード配列の核酸配列を変化させるが、コードされるタンパク質は変化させない(例えば、それらはサイレント変異であり、例としては、コードされるアミノ酸を変化させることなく、2つ以上の異なるヌクレオチドのうちの1つを含み得る、コドンの第3の位置での変異である)。いくつかの実施形態において、組換えrho遺伝子は、野生型rho遺伝子のイントロン配列を含まない。いくつかの実施形態において、組換えrho遺伝子は、干渉RNAに対して耐性があるように改変されたrho遺伝子のmRNA(またはそのタンパク質コード部分)をコードする。いくつかの実施形態において、組換えrho遺伝子は、干渉RNAに対して耐性があるように改変された野生型コード配列を含む。いくつかの実施形態において、改変された野生型コード配列は、野生型rhomRNAに由来しない上流および/または下流のmRNA配列と共に、提供される。いくつかの実施形態において、組換え置換rho遺伝子は配列番号42を含む。配列番号42(以下に示す)は、820と呼ばれる干渉RNAの一例(本明細書に記載されるsiRNA820またはshRNA820)に、耐性がある。本明細書に記載される820干渉RNA配列は、図9に示すように内在性ヒトrhomRNAの対応する配列を標的とするが、配列番号42は、それを820干渉RNAによる標的化に耐性とする4つの置換(以下で下線および太字で示し、配列番号41の、位置9014、9017、9020および9023に対応する)を含む。配列番号42のコード配列は、配列番号42の位置88から開始する。いくつかの実施形態において、送達される組換えrho遺伝子は、配列番号42のコード配列を含み得る(例えば、配列番号42の位置88から開始する)が、異なる上流のmRNA配列を伴うことができる。いくつかの実施形態において、組換えrho遺伝子は1つ以上の他の配列の改変を(さらに、または、代替として)有して、さらなる、または、代替の干渉RNA(例えば、本明細書において配列が提供されている他の干渉RNA)に耐性となることができる。いくつかの実施形態において、対象における内在性rhoコード配列の異なる領域を標的とする1つ以上の干渉RNAが用いられ得る。
【0032】
配列番号42(改変「硬化」組換えヒトrho遺伝子の非限定的な例)
【表5】
【0033】
従って、本明細書の組成物は、治療を必要とする対象に投与することができる。いくつかの実施形態において、対象は、1つ以上の脳および/または眼の症状、疾患、または障害を有するか、有することが疑われる。いくつかの実施形態において、対象は、本明細書に開示される症状、疾患、および障害の1つ以上を有するか、有することが疑われる。いくつかの実施形態において、対象は、(例えば、眼または網膜の疾患または障害に関連するか、それを引き起こす)1つ以上の内在性変異rho対立遺伝子を有する。いくつかの実施形態において、対象は、(例えば、優性網膜色素変性を引き起こす)少なくとも1つの優性変異rho対立遺伝子を有する。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。いくつかの実施形態において、対象は非ヒト霊長類である。非ヒト霊長類の対象の非限定的な例には、マカク(例えば、カニクイザルまたはアカゲザル)、マーモセット、タマリン、クモザル、ヨザル、サバンナモンキー、リスザル、ヒヒ、ゴリラ、チンパンジー、およびオランウータンが含まれる。他の例示的な対象には、イヌおよびネコなどの飼い慣らされた動物(domesticated animal);ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギおよびニワトリなどの家畜;並びにマウス、ラット、モルモット、およびハムスターなどの他の動物が含まれる。
【0034】
いくつかの実施形態において、細胞または対象に投与されるrAAV粒子の用量は、10~1014個の粒子/mLもしくは10~1015個の粒子/mLの範囲のオーダーであってよく、または、いずれかの範囲の間の任意の値であってよく、例としては、約10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、または1014個の粒子/mLなどである。一実施形態において、1013個の粒子/mLよりも多いrAAV粒子が投与される。いくつかの実施形態において、対象に投与されるrAAV粒子の用量は、10~1014ベクターゲノム(vgs)/mLもしくは10~1015vgs/mLの範囲のオーダーであってよく、または、いずれかの範囲の間の任意の値であってよく、例としては、約10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、または1014vgs/mLなどである。一実施形態において、1013vgs/mLよりも多いrAAV粒子が投与される。rAAV粒子は、治療される特定の疾患または障害の治療を達成するために必要とされ得るように、単回投与として投与され得るか、または2回以上の投与に分割され得る。いくつかの実施形態において、0.0001mL~10mL(例えば、0.0001mL、0.001mL、0.01mL、0.1mL、1mL、10mL)が、1回の投与で対象に送達される。
【0035】
いくつかの実施形態において、rAAVウイルス力価は、1x1010~5x1013vg/mlの範囲である。いくつかの実施形態において、rAAVウイルス力価は、1x1010、2.5x1010、5x1010、1x1011、2.5x1011、5x1011、1x1012、2.5x1012、5x1012、1x1013、2.5x1013、または5x1013vg/mLであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルス力価は、1x1010vg/mL未満である。いくつかの実施形態において、rAAVウイルス力価は、1x1015vg/mLを超える。一実施形態において、rAAV粒子は、5x1013vgs/mLを超える。いくつかの実施形態において、rAAVウイルス力価は、本明細書にさらに記載される方法によって(例えば、網膜下に、または、硝子体内に)投与される。
【0036】
rAAV粒子は、治療される特定の疾患または障害の治療を達成するために必要とされ得るように、単回投与として投与され得るか、または2回以上の投与に分割され得る。いくつかの実施形態において、本出願で記載される組成物の1~500マイクロリットルが、対象の片眼または両眼に投与される。例としては、いくつかの実施形態において、約1、約10、約50、約100、約200、約300、約400、または約500マイクロリットルが、各眼に投与され得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、より少量またはより多量が投与され得ることが、理解されるべきである。
【0037】
いくつかの実施形態において、本開示は、単独で、または1つ以上の他の療法様式と組み合わせて、細胞または動物へ投与するための、特に、ヒト細胞、組織、およびヒトに発症する疾患を治療するための、薬学的に許容される溶液中の、本明細書に開示される1つ以上のrAAVベースの組成物の製剤を提供する。
【0038】
必要であれば、rAAV粒子または核酸ベクターは、例えば、タンパク質、またはポリペプチド、または様々な薬学的に活性な物質などの、他の物質と組み合わせて投与することもでき、治療的ポリペプチド、生理活性フラグメント、またはそれらの変異体の1つ以上の全身または局所投与を含む。実際、追加の物質が標的細胞または宿主組織との接触において重大な有害作用を引き起こさないと考えると、含まれ得る他の成分には、実質的に制限はない。従って、rAAV粒子は、特定の場合に必要とされる様々な他の物質と共に、送達され得る。これらの組成物は、宿主細胞、または他の生物学的起源から精製され得るか、あるいは、本明細書に記載されるように化学的に合成され得る。
【0039】
例えば、経口、非経口、静脈内、鼻腔内、関節内および筋肉内投与、並びに製剤化を含む、様々な治療レジメンにおいて本明細書に記載される特定の組成物を使用するのに好適な投薬および治療レジメンの開発のように、薬学的に許容される賦形剤およびキャリア溶液の製剤化は、当業者に周知である。
【0040】
通常、活性成分のパーセンテージはもちろん変化してもよいが、これらの組成物は、治療物質(例えば、rAAV粒子または宿主細胞)の少なくとも約0.1%以上を含有してもよく、好都合に、製剤全体の重量または用量の約1または2%~約70%または80%以上であってもよい。当然のことながら、各治療的に有用な組成物中における治療物質(例えば、rAAV粒子)の量は、化合物の所与の単位用量において好適な投与量が得られるように調製されてもよい。溶解性、生物学的利用率、生物学的半減期、投与のルート、産物有効期間などのような要因ならびに他の薬理学的考慮は、これらの医薬製剤を調製する当業者によって企図されるであろうし、また、そのため、様々な投薬量および治療レジメンは望ましくてもよい。
【0041】
ある状況では、皮下に、眼内に、硝子体内に、非経口的に、皮下に、静脈内に、脳室内に、筋肉内に、髄腔内に、経口的に、腹腔内に、経口もしくは経鼻吸入により、または、1つ以上の細胞、組織、もしくは器官への直接注射により、本明細書に開示される好適に製剤化された薬学的組成物中のrAAV粒子または宿主細胞を送達することが望ましい。
【0042】
rAAV粒子または宿主細胞組成物の、注射用の使用のための好適な薬学的形態は、無菌水溶液または分散液を含む。いくつかの実施形態において、形態は無菌であり、容易な注射可能性(syringability)が存在する程度まで流動性である。いくつかの実施形態において、形態は、製造および保存の条件下で安定であり、細菌および真菌などの微生物のコンタミネーション作用に対して守られる。キャリアは、例としては、水、生理食塩水、エタノール、ポリオール(たとえばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール、およびその他同種のもの)、それらの好適な混合物、並びに/または、植物油を含有する、溶媒または分散媒であることができる。適切な流動度は、例としては、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合には必要とされる粒度の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持されてもよい。
【0043】
「キャリア」という用語は、rAAV粒子または宿主細胞と共に投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。これらの薬学的キャリアは、水および油などの滅菌液であり得、油には、ミネラルオイルなどの石油、ピーナッツ油、大豆油、およびゴマ油などの植物油、動物油、または合成による油が含まれる。生理食塩水および水性デキストロースおよびグリセロール溶液も液体キャリアとして使用することができる。
【0044】
本開示の組成物は、治療される対象に、標準的なルートで投与され得、肺、鼻腔内、経口、吸入、非経口(例えば、静脈内、局所、経皮、皮内、経粘膜、腹腔内、筋肉内、関節内(intracapsular)、眼窩内、硝子体内、心臓内、経気管、皮下、表皮下、関節腔内(intraarticular)、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内注射)のルートを含むが、これらに限定されない。
【0045】
本開示の組成物は、様々なルートで眼に送達され得る。それらは、眼への局所的適用によって、または、眼内注射(例としては、硝子体(硝子体内注射)または網膜下(網膜下注射)の光受容細胞間隙(inter-photoreceptorspace)への眼内注射)によって、眼内へ送達され得る。いくつかの実施形態において、それらは桿体光受容細胞に送達される。あるいは、それらは、眼の周囲の組織に挿入または注射することによって局所的に送達されてもよい。それらは、経口ルートまたは皮下、静脈内もしくは筋肉内注射によって全身的に送達されてもよい。あるいは、それらは、カテーテルまたはインプラントによって送達されてもよく、当該インプラントは、シラスティックメンブレンもしくはファイバーなどの膜、生分解性ポリマー、またはタンパク質性材料を含む、多孔質、非多孔質またはゼラチン状材料から作製される。それらは、症状の発生に先立って、その発症を予防するために、例としては、眼の手術中、または病的状態の発生直後、または急性もしくは長期の症状の発症中に投与することができる。
【0046】
注入可能な水溶液の投与のために、例としては、溶液は必要に応じて好適に緩衝されてよく、液体希釈剤は最初に十分な生理食塩水またはグルコースで等張にされてよい。これらの特定の水溶液は、特に、静脈内、筋肉内、硝子体内、皮下、および腹腔投与に好適である。これに関連して、使用することができる滅菌水性溶媒は、本開示に照らして当業者に知られている。例としては、一投与量を、1mlの等張性NaCl溶液に溶解して、1000mlの皮下点滴液に添加するか、または、提案された注入部位に注入する(例としては、“Remington's Pharmaceutical Sciences” 15th Editionの、1035-1038ページおよび1570-1580ページを参照されたい)。治療される対象の症状に応じて、投与量の多少の変動が必然的に生じるであろう。いずれにしても、投与担当者は、個々の対象に対する適切な投与量を決定するだろう。さらに、ヒト投与のためには、製剤は無菌性、発熱原性、並びに、一般的な安全性および純度の基準を満たさなければならない(例えば、FDA Office of Biologicsの基準に従う)。
【0047】
滅菌注射溶液は、rAAV粒子または宿主細胞を、必要に応じて上記に列挙したいくつかの他の成分と共に、適切な溶媒中に必要量加え、必要に応じてその後濾過滅菌することによって調製する。一般に、分散液は、種々の滅菌された活性成分を、塩基性分散媒および上記に列挙したもの以外の他の必要成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製する。滅菌注射液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分と任意の追加の所望の成分とを、予め滅菌濾過したその溶液から産生する、真空乾燥および凍結乾燥技術である。
【0048】
rAAV粒子、核酸ベクター、または宿主細胞組成物の量と、当該組成物の投与の時間は、本教示の利益を有する当業者の専門範囲内である。しかしながら、当該開示された組成物の治療的に有効な量の投与は、当該治療を受けている患者への単回投与によって、例としては治療上の利点を提供するのに十分な数の感染粒子の単回注射などによって、達成され得る。あるいは、いくつかの状況では、比較的短期間または比較的長期間にわたり、rAAV粒子または宿主細胞組成物の複数回または連続的投与を提供することが望ましい場合があり、これはこれらの組成物の投与を監督する医師によって決定され得ることである。
【0049】
いくつかの実施形態において、桿体細胞は、細胞のロドプシン遺伝子発現のサイレンシングの際に、構造的に無傷のままであり、および/または、生存可能である。いくつかの実施形態において、細胞のロドプシン遺伝子発現がサイレンシングされた桿体細胞は、正常にロドプシンを含有する短縮された外節を有する。いくつかの実施形態において、外節の長さは、維持されるか、発現が本出願に記載される組成物を用いたサイレンシングに耐性である、外因的に加えられた(硬化)ロドプシン遺伝子を用いて、(例えば、部分的または完全に)回復され得る。
【0050】
組成物は、rAAV粒子または宿主細胞を、単独で、または、天然のもしくは組換えの起源から得られ得るか、または、化学的に合成され得る、1つ以上のさらなる活性成分と組み合わせて、含むことができる。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、同じ組成物で、または、同じ治療レジメンの一部として、ボルテゾミブまたはヒドロキシ尿素などのプロテアソーム阻害物質と組み合わせて、投与される。
【0051】
本明細書で使用される場合、疾患を「治療する」とは、対象が経験する疾患または障害の少なくとも1つの徴候または症候の頻度または重症度を低減することを意味する。上記の組成物は、通常、有効量、すなわち、所望の結果を生み出すことができる量で、対象に投与される。所望の結果は、投与される活性物質に依存するであろう。例としては、rAAV粒子の有効量は、異種核酸を、宿主の器官、組織、または細胞に移入することができる量であってよい。
【0052】
本開示の方法において利用される組成物の毒性および有効性は、標準的な薬学的手順によって決定することができ、培養細胞または実験動物のいずれかを用いて、LD50(集団の50%に致命的な用量)を決定する。毒性と有効性との用量比は治療指数であり、LD50/ED50比として表すことができる。大きな治療指数を示す組成物が好ましい。有毒な副作用を示すものが使用されることがあるが、これらの副作用の潜在的な損傷を最小限にする送達システムを設計するように注意すべきである。本明細書に記載される組成物の投与量は、一般的に、毒性がほとんどまたは全くないED50を含む範囲内にある。投与量は、用いられる投与形態および利用される投与ルートに応じて、この範囲内で変動し得る。
【0053】
本開示の局面は、目的の遺伝子を含む1つ以上の核酸ベクターを様々な組織、器官および/または細胞に送達するための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子に関する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、例えば、1つ以上のアミノ酸置換を含む、本明細書に記載されるrAAVカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、目的の遺伝子は、目的のポリペプチドまたはタンパク質(例えば、治療的ポリペプチドまたはタンパク質)をコードする。いくつかの実施形態において、目的の遺伝子は、目的のRNA(例えば、治療的mRNA、siRNA、shRNA、microRNA、アンチセンスRNA、tRNA、rRNA、またはリボザイム)をコードする。いくつかの実施形態において、目的の遺伝子は置換遺伝子(例えば、眼特異的遺伝子、機能性遺伝子、機能性rho遺伝子)である。いくつかの実施形態において、目的の遺伝子は、目的のRNA(例えば、microRNA、siRNA、shRNA)および目的の置換遺伝子(例えば、眼特異的遺伝子、機能性遺伝子、機能性rho遺伝子)を、含むか、コードする。いくつかの実施形態において、機能性rho遺伝子は、目的のRNA(例えば、microRNA、siRNA、shRNA)によって分解されないようにさせる、サイレントヌクレオチド置換を含むrho遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、目的のRNAおよび目的の置換遺伝子は、同一のプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態において、目的のRNAおよび目的の置換遺伝子は、別のプロモーターの制御下にある。任意の好適なプロモーターを用いることができ、例としては、ウイルスプロモーター(例えば、CMVまたは他のウイルスプロモーター)、微生物(例えば、酵母または細菌)、または真核生物(例えば、哺乳動物)プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
組換えAAV(rAAV)粒子は、最低でも、(a)目的の遺伝子(例えば、目的のRNAおよび/または目的の置換遺伝子)をコードする配列を含む1つ以上の異種核酸領域、および(b)1つ以上の異種核酸領域に隣接する逆位末端反復(ITR)配列(例えば、野生型ITR配列、または操作されたITR配列)を含む1つ以上の領域を含み得る。いくつかの実施形態において、核酸ベクターは、4kb~5kbの大きさ(例えば、4.2~4.7kbの大きさ)である。当該核酸ベクターは、本明細書に記載される修飾カプシドパク質を含み得るウイルスカプシド、例えばAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、またはAAV5カプシドによってカプシド形成され得る。いくつかの実施形態において、核酸ベクターは環状である。いくつかの実施形態において、核酸ベクターは一本鎖である。いくつかの実施形態において、核酸ベクターは二本鎖である。いくつかの実施形態において、二本鎖核酸ベクターは、例としては、核酸ベクターの別の領域に相補的な核酸ベクターの領域を含有し、核酸ベクターの二本鎖の形成を開始させる、自己相補型ベクターであってよい。
【0055】
rAAV粒子は、任意の誘導体またはシュードタイプを含む、任意のAAV血清型(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、2/1、2/5、2/8、または2/9)であってよい。本明細書で用いられる場合、rAAVウイルスベクター(例えば、rAAV粒子)の血清型は、組換えウイルスのカプシドタンパク質の血清型を指す。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV2ではない。いくつかの実施形態において、rAAV粒子はAAV2である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子はAAV6である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、本明細書に記載されるrAAVカプシドタンパク質を含むAAV6血清型である。誘導体およびシュードタイプの非限定的な例には、rAAV2/1、rAAV2/5、rAAV2/8、rAAV2/9、AAV2-AAV3ハイブリッド、AAVrh.10、AAVhu.14、AAV3a/3b、AAVrh32.33、AAV-HSC15、AAV-HSC17、AAVhu.37、AAVrh.8、CHt-P6、AAV2.5、AAV6.2、AAV2i8、AAV-HSC15/17、AAVM41、AAV9.45、AAV6(Y445F/Y731F)、AAV2.5T、AAV-HAE1/2、AAVクローン32/83、AAVShH10、AAV2(Y->F)、AAV8(Y733F)、AAV2.15、AAV2.4、AAVM41、およびAAVr3.45が含まれる。これらのAAV血清型および誘導体/シュードタイプ、並びに、これらの誘導体/シュードタイプの生産方法は、当業界で知られている(例えば、Mol Ther. 2012 Apr;20(4):699-708. doi: 10.1038/mt.2011.287. Epub 2012 Jan 24. The AAV vector toolkit: poised at the clinical crossroads. Asokan A1, Schaffer DV, Samulski RJ.を参照されたい)。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、(a)ある血清型(例えば、AAV2)由来のITRを含む核酸ベクター、および、(b)別の血清型(例えば、AAV1、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9またはAAV10)由来のカプシドタンパク質からなるカプシドを含む、シュードタイプ化rAAV粒子である。シュードタイプ化rAAVベクターの生産および使用方法は、当業界で知られている(例えば、Duan et al., J. Virol., 75:7662-7671, 2001; Halbert et al., J. Virol., 74:1524-1532, 2000; Zolotukhin et al., Methods, 28:158-167, 2002; および Auricchio et al., Hum. Molec. Genet., 10:3075-3081, 2001を参照されたい)。
【0056】
rAAV粒子および核酸ベクターを生産する方法もまた、当業界で知られており、市販されている(例えば、Zolotukhin et al. 生産 and purification of serotype 1, 2, and 5 recombinant adeno-associated viral vectors. Methods 28 (2002) 158-167、米国特許出願公開第US20070015238号および第US20120322861号(これらは参照により本明細書に組み込まれる)、並びに、ATCCおよびCell Biolabs,Inc.から入手可能なプラスミドおよびキットを参照されたい)。例としては、当該核酸ベクターを含有するプラスミドは、例えば、rep遺伝子(例えば、Rep78、Rep68、Rep52およびRep40をコードする)およびcap遺伝子(例えば、本明細書に記載される改変VP3を含む、VP1、VP2、およびVP3をコードする)を含有する、1つ以上のヘルパープラスミドと組み合わせて、産生細胞株にトランスフェクトされてよく、それにより、rAAV粒子はパッケージされ、続いて精製できるようになる。
【0057】
いくつかの実施形態において、1つ以上のヘルパープラスミドは、rep遺伝子および(例えば、本明細書に記載されるrAAVカプシドタンパク質をコードする)cap遺伝子を含む第1のヘルパープラスミドと、E1a遺伝子、E1b遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子、およびVA遺伝子を含む第2のヘルパープラスミドとを含む。いくつかの実施形態において、rep遺伝子は、AAV2またはAAV6に由来するrep遺伝子であり、cap遺伝子はAAV2またはAAV6に由来し、本明細書に記載される改変カプシドタンパク質を生産するために、遺伝子への改変を含むことができる。ヘルパープラスミドと、これらのプラスミドの作製方法は、当業界で知られており、市販されている(例えば、PlasmidFactory, Bielefeld, Germany のpDM、pDG、pDP1rs、pDP2rs、pDP3rs、pDP4rs、pDP5rs、pDP6rs、pDG(R484E/R585E)、およびpDP8.apeプラスミド、Vector Biolabs, Philadelphia, PA; Cellbiolabs, San Diego, CA; Agilent Technologies, Santa Clara, Ca; および Addgene, Cambridge, MAから入手可能な他の製品およびサービス、pxx6;Grimm et al. (1998), Novel Tools for production and Purification of Recombinant Adenoassociated Virus Vectors, Human Gene Therapy, Vol. 9, 2745-2760; Kern, A. et al. (2003), Identification of a Heparin-Binding Motif on Adeno-Associated Virus Type 2 Capsids, Journal of Virology, Vol. 77, 11072-11081.; Grimm et al. (2003), Helper Virus-Free, Optically Controllable, and Two-Plasmid-Based production of Adeno-associated Virus Vectors of Serotypes 1 to 6, Molecular Therapy,Vol. 7, 839-850; Kronenberg et al. (2005), A Conformational Change in the Adeno-Associated Virus Type 2 Capsid Leads to the Exposure of Hidden VP1 N Termini, Journal of Virology, Vol. 79, 5296-5303;および Moullier, P. and Snyder, R.O. (2008), International efforts for recombinant adeno-associated viral vector reference standards, Molecular Therapy, Vol. 16, 1185-1188を参照されたい)。
【0058】
例示的で、非限定的な、rAAV粒子の生産方法を、次に記載する。ネイティブプロモーターの転写制御下に、所望のAAV血清型のrepおよびcapORF、並びに、アデノウイルスVA、E2A(DBP)および、E4遺伝子を含む、1つ以上のヘルパープラスミドを生産するか、得る。capORFはまた、本明細書に記載される改変カプシドタンパク質を生産するために1つ以上の改変を含む。HEK293細胞(ATCC(登録商標)から入手可能)に、CaPO4媒介トランスフェクション、ポリエチレンイミン(PEI)などの脂質またはポリマー分子を介して、ヘルパープラスミドと、本明細書に記載される核酸ベクターを含有するプラスミドとを、トランスフェクトする。その後、HEK細胞を、少なくとも60時間培養して、AAV粒子の生産を可能にする。または、別の例では、Sf9ベース安定産生細胞株を、核酸ベクターを含有する単一組換えバキュロウイルスに感染させる。さらに、別の例では、HEK293またはBHK細胞株を、核酸ベクターを含有するHSV、並びに、場合により、ネイティブプロモーターの転写制御下に、本明細書に記載されるrepおよびcapORFと、アデノウイルスVA、E2A(DBP)、およびE4遺伝子とを含有する1つ以上のヘルパーHSVに感染させる。その後、HEK293、BHK、またはSf9細胞を、少なくとも60時間培養して、rAAV粒子の生産を可能にする。その後、rAAV粒子は、当業界で知られるか、あるいは、本明細書に記載される任意の方法を用いて、例えば、イオジキサノールステップ勾配、CsCl勾配、クロマトグラフィー、またはポリエチレングリコール(PEG)沈殿により、精製することができる。
【0059】
本開示はまた、開示されるrAAV粒子または核酸ベクターの少なくとも1つを含む宿主細胞を企図している。これらの宿主細胞は、哺乳動物の宿主細胞、好ましくはヒト宿主細胞を含み、細胞培養または組織培養のいずれかで単離され得る。遺伝子組換え動物モデル(例えば、マウス)の場合、形質転換した宿主細胞は、非ヒト動物自体の体内に含まれ得る。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、CD36赤芽球バースト形成細胞(BFU-E)または赤芽球コロニー形成単位(CFUE-E)前駆細胞などの、赤血球系列の細胞である。
【0060】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物(例えば、目的のsiRNA、shRNA、および/または置換遺伝子)は、ナノ粒子に製剤化される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物(例えば、目的のsiRNA、shRNA、および/または置換遺伝子)は、脂質ナノ粒子に製剤化される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物(例えば、目的のsiRNA、shRNA、および/または置換遺伝子は、脂質-ポリカチオン複合体に製剤化され、カチオン性脂質ナノ粒子と呼ばれる。脂質ナノ粒子の形成は、当業界で知られる、および/または、米国特許出願公開第20120178702号(その全体が、参照により本明細書に組み込まれる)に記載される方法によって、達成され得る。非限定的な例として、ポリカチオンは、カチオン性ペプチドまたはポリペプチド(限定されないが、ポリリジン、ポリオルニチンおよび/またはポリアルギニンなど)、および、国際公開番号第WO2012013326号、または米国特許出願公開第US20130142818号(これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるカチオン性ペプチドを含んでよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物(例えば、目的のsiRNA、shRNA、および/または置換遺伝子)は、非カチオン性脂質(限定されないが、コレステロールまたはジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)など)を含む脂質ナノ粒子に製剤化される。
【実施例0061】
実施例1:RHOをノックダウンする低分子干渉RNA(siRNA)の特定
Khvorovaらが記載した低分子干渉RNA(siRNA)の設計原理4、5を使用して、14個のsiRNAを、イヌのsiRNAを特異的に切断するように設計した。そのうち12個は、ロドプシンのヒトmRNAも標的とする。先に進む前に、NCBI Blastユーティリティ(blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)を使用して、siRNAの2~19位をNCBIヒトRefSeqデータベースに対してスクリーニングした。潜在的siRNAのうち2つは、網膜で発現される可能性のある他の遺伝子とよく一致したため、除外した。10種類のsiRNAのRNAバージョンを、コントロールとして使用する非ターゲティングsiRNAと一緒に、GE Healthcare Dharmaconに注文した。これらを、緑色蛍光蛋白質と融合したヒトRHO(GFP、図11に例示的なプラスミドマップを表す)を発現する細胞において試験し、緑色蛍光細胞の減少を、蛍光標識細胞分取(FACS)で測定した。その原理は、RHO mRNAの切断がGFPの生産を減少させることであった。全てのsiRNAはsiRNAの最新の設計原理に基づいて設計されたが、試験した10個のうち3個のみが30%以上の減少に至った(図1A~C)。
【0062】
これらのsiRNAがRNAポリメラーゼIIIプロモーターから発現され、AAVによって送達される低分子ヘアピン型RNAとして有効であることを確認するために、shRNAのDNA配列をクローニングして3つのsiRNAを発現させた(図2)。興味深いことに、siRNA131(配列番号1)が最も有効なsiRNAであったが、試験した当該shRNAは最も効果が低かったため、siRNAを用いたRHOの相対的ノックダウンは、shRNAを用いたRHOの相対的抑制を正確に予測しなかった。RNAとしてのsiRNAの単純なトランスフェクションは、転写およびプロセシングによって同じsiRNAを生産するように設計されたshRNAの有効性を正確には予測できないであろう。
【0063】
shRNAが野生型(正常)および変異RHOの両方を切断するのに有効であることを確認するために、AAVベクターにクローニングした3個の同じshRNAを、野生型および2個の異なる変異RHOmRNAを消化する能力について、定量的逆転写PCR(qRT-PCR)をアッセイとして用いて、試験した(図3)。
【0064】
表5は、センス鎖、ループ、アンチセンス鎖および突出を含む、RHOを切断することができると特定されたshRNA配列に対応するRNA配列を示す。各配列には太字と下線で強調表示された2つの別のループ配列が表されており、イタリック体と下線で強調表示された突出が表されている。
【表6】
【0065】
siRNAはまた、例えば図4の構造の人工microRNAとして送達され得る。図4の例示的なmicroRNAは、RHO131のセンス鎖(100)およびアンチセンス(101)を含む(それぞれ、配列番号1および2)。この発現様式の利点は、siRNAの生産が特定のプロモーター配列の使用によって細胞型特異的にされ得ることである。この場合、ヒトロドプシン遺伝子の近位プロモーターまたはヒトロドプシンキナーゼプロモーターは、光受容細胞への発現を制限するために使用されるであろう。
【0066】
実施例2:RHO+/+イヌにおけるRHOノックダウン(KD)の解析
イヌ2190(rcd1 キャリア)は、表6に示した濃度で、AAV2/5-sc-H1-shRNA-Rho13の網膜下注射を受けた。イヌは注射後8週間で屠殺した。いくつかの3mmの神経網膜生検パンチを、それぞれの眼から、ブレブ(ブレブ)および非ブレブ領域の両方から回収した。
【表7】
【0067】
本明細書に記載されるAAV2/5-sc-H1-shRNA 構築物の非限定的な例はまた、AAV2/5-sc-MOP500 rGFP-shRNA構築物とも呼ばれ得る。AAV2/5は、該shRNAをコードする核酸が、AAV2 ITRに隣接しており、AAV5カプシドタンパク質を含むrAAV粒子で提供されることを指す。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される任意の干渉RNAと、本明細書に記載される任意の組換えrho遺伝子は、あるrAAV粒子内(例えば、AAV5 カプシドタンパク質を含む)の、同じAAV核酸上(例えば、AAV2 ITRに隣接する)で提供され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される任意の干渉RNAと、本明細書に記載される任意の組換えrho遺伝子は、異なるrAAV粒子でカプシド形成された(例えば、AAV5カプシドタンパク質を含むもの、または、異なるAAV血清型由来のカプシドタンパク質を有するもの)、異なるAAV核酸上(例えば、AAV2 ITRに隣接するもの、または、異なるAAV血清型由来のITRに隣接するもの)で提供され得る。
【0068】
ウェスタンブロット解析:
各眼の2つの生検パンチ(ブレブ領域または非ブレブ領域のいずれかを表す)を、50μlのLewin緩衝液A(プロテアーゼ阻害物質を含む)中で、氷上で15分間インキュベートした。サンプルを40%振幅、15秒/10秒オフ×8パルスで超音波処理した。次に、サンプルを遠心分離し、ペレットを廃棄した。上清中のタンパク質濃度をBradford法により測定した。総タンパク質のうち1μgをイムノブロットして、ロドプシンを可視化し(使用した抗体:Millipore MAB5356、ODYSSEY(登録商標)ブロッキングバッファーで1:1000に希釈)、抗ヒストン個抗体(Abcam ab1791、1:3000に希釈)をローディングコントロールとして用い(図5A)、シグナルを標準化した(図5B)。ブレブ領域と非ブレブ領域との間のRHOタンパク質量の比較は、実験デザインと一致しなかった(図5C)。
【0069】
イヌの網膜におけるイヌのロドプシンRNAの絶対定量:
リボザイム治療後の網膜に存在するロドプシンRNAの絶対量を定量するために、Q-PCR標準曲線法を用いて、絶対定量を行った。イヌのRHOcDNAの既知量の希釈系列を用いて、標準曲線を構築した。各サンプル中のイヌのRHO RNAの総量を、この標準曲線に基づいて計算した(図6A)。
【0070】
イヌのRHOの部分的ノックダウンは、AAV2/5-sc-H1-shRNA-Rho131で見られる。使用した最高濃度では、タンパク質レベルは37%低下し、RNAはほぼ50%減少する(図6B
【0071】
実施例:RHO+/+イヌにおけるRHOノックダウンのさらなる解析
イヌ2194(rcd1キャリア)は、表7に示した濃度で、AAV2/5-sc-H1-shRNA-Rho810の網膜下注射を受けた。イヌは注射後8週間で屠殺した。いくつかの3mmの神経網膜生検パンチを、それぞれの眼から、ブレブ(ブレブ)および非ブレブ領域の両方から回収した。
【表8】
【0072】
ウェスタンブロット解析:
各眼の2つの生検パンチ(ブレブ領域または非ブレブ領域のいずれかを表す)を、50μlのLewin緩衝液A(プロテアーゼ阻害物質を含む)中で、氷上で15分間インキュベートした。サンプルを40%振幅、15秒/10秒オフ×8パルスで超音波処理した。次に、サンプルを遠心分離し、ペレットを廃棄した。上清中のタンパク質濃度をBradford法により測定した。総タンパク質のうち1μgをイムノブロットして、ロドプシンを可視化し(使用した抗体:Millipore MAB5356、ODYSSEY(登録商標)ブロッキングバッファーで1:1000に希釈)、抗ヒストン個抗体(Abcam ab1791、1:3000に希釈)をローディングコントロールとして用い(図7A)、シグナルを標準化した(図7B)。ブレブ領域と非ブレブ領域との間のRHOタンパク質量の比較は、実験デザインと一致しなかった(図7C)。
【0073】
イヌの網膜におけるイヌのロドプシンRNAの絶対定量:
リボザイム治療後の網膜に存在するロドプシンRNAの絶対量を定量するために、Q-PCR標準曲線法を用いて、絶対定量を行った。イヌのRHOcDNAの既知量の希釈系列を用いて、標準曲線を構築した。各サンプル中のイヌのRHO RNAの総量を、この標準曲線に基づいて計算した(図8A)。
【0074】
イヌRHORNAおよびタンパク質の完全なノックダウンが、1×1012vg/mlというより低用量でも、AAV2/5-sc-H1-shRNA-Rho820で見られる(図8B)。
【0075】
実施例4:置換遺伝子の硬化mRNA
いくつかの実施形態において、置換遺伝子(例えば、置換RHO)のmRNAは、「硬化させる」(すなわち、siRNAによる分解に耐性を持たせる)ために、1つ以上の位置で改変され得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のサイレントヌクレオチド置換が、内在性遺伝子(例えば、rho遺伝子)をノックダウンするために提供されるsiRNAに関連する置換遺伝子に含まれ得る。図9および図10は、置換RHOmRNAに導入され得るヌクレオチド置換の非限定的な例を提供する。置換rho遺伝子は、これらの置換の1つ以上を含むことができることを理解されたい。
【0076】
図9は、各shRNAと、内在性ヒトRHOmRNAまたは硬化RHOmRNAの標的配列との間で生じる塩基対形成の描写を示す。全てのshRNAは、イヌのRHOmRNAの標的配列と、完全に塩基対を形成する。白四角:shRNAと、内在性イヌRHOmRNA並びに硬化RHOmRNAとの間のミスマッチ。濃灰色四角:RNAのグアノシンとウラシルとの間に生じる弱いゆらぎ塩基対形成。薄灰色四角:shRNAと硬化RHOmRNAとの間のみのミスマッチ。
【0077】
図10は、shRNA134と、内在性ヒトRHO131mRNAまたは硬化RHO131mRNAの標的配列との間で生じる塩基対形成の描写を示す。shRNA131および134の標的配列の近接は、同じ硬化RHO131を使用することを可能にする。濃灰色四角:RNAのグアノシンとウラシルとの間に生じる弱いゆらぎ塩基対形成。薄灰色四角:shRNAと硬化RHOmRNAとの間のみのミスマッチ。
【0078】
実施例5:siRNAと置換遺伝子のコード
いくつかの実施形態において、DNAベクターにコードされたsiRNAを提供することが望ましい場合がある。図12Aおよび図12Bは、DNAベクターにコードされたsiRNA(例えば、shRNA)の非限定的な例を表す。いくつかの実施形態において、図12Aおよび図12Bに示す例示的なプラスミドマップにさらに表されているように、DNAベクターはさらに、siRNA(例えばshRNA)に隣接する逆位末端反復(ITR)配列をコードし得る。いくつかの実施形態において、ITR配列が隣接するsiRNAをコードするDNAベクターは、siRNAを含む組換えAAV粒子の生産において用いられ得る。
【0079】
いくつかの実施形態において、DNAベクターにコードされた置換RHOmRNAを提供することが望ましい。図12Cは、DNAベクターにコードされた置換RHOmRNAの非限定的な例を表す。いくつかの実施形態において、図12Cに示す例示的なプラスミドマップにさらに表されているように、DNAベクターはさらに、置換RHO mRNA(例えば、ヒトRHO)に隣接するITR配列をコードし得る。いくつかの実施形態において、ITR配列が隣接する置換RHOmRNAをコードするDNAベクターは、ヒトrhoを含む組換えAAV粒子の生産において用いられ得る。いくつかの実施形態において、ITR配列に隣接する、置換rho遺伝子と1つ以上の干渉RNAをコードする1つ以上の配列とを共に含む同様のDNAベクターが、提供され得る。いくつかの実施形態において、干渉RNAおよび/または置換rho遺伝子は、プロモーター(例えば、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、またはH1RNAポリメラーゼIIIプロモーター、または本出願に記載される他のプロモーター)に作動可能に結合している。図12A図12Cに表される干渉RNAおよび/または置換rho遺伝子は、H1RNAポリメラーゼIIIプロモーターの制御下にある。図12A図12Cの構築物はまた、MOP500-rGFP(GFPの逆配列(rGFP、それゆえ発現されない)の上流の、マウス桿体オプシンプロモーター(MOP500)の-385/+86部分)を含み、H1構築物またはMOP500構築物とも呼ばれ得る。しかしながら、MOP500(例えば、MOP500-rGFP)部分は、必要ではない。従って、プラスミドまたはrAAV核酸は、本明細書に記載される干渉RNAおよび/または改変rho遺伝子を、それぞれ、同じ、または異なるプロモーター(例えば、H1プロモーター)の制御下で、マウスオプシンプロモーターを有さずに、および/または、任意のGFPコード配列を(いずれの向きでも)有さずに、コードすることができる。
【0080】
実施例6:野生型RHO+/+イヌにおける、shRNA820でのRHOノックダウンの解析
実施例6は、野生型イヌにおいて網膜下注射後にロドプシン発現を効率的に抑制するshRNA820ノックダウン試薬を保有するAAV2/5のウイルス力価の特定、AAV2/5-sc-H1-shRNA820による網膜下注射後の、光受容細胞を含有する層(ONL)は保存されるが、ロドプシンを含有する層が減少することの、野生型イヌにおけるインビボ網膜イメージングによる証明、変異RHOT4R/+イヌ、RHO-ADRPの自然発生モデルにおいて、網膜下注射後にロドプシン発現を効率的に抑制するshRNA820ノックダウン試薬を保有するAAV2/5のウイルス力価の特定、変異RHOT4R/+イヌにおいて、光受容細胞に、光誘発性網膜変性からの防御を付与するAAV2/5-sc-H1-shRNA820のウイルス力価の特定、ロドプシン発現の効率的ノックダウンが桿体において外節の欠損を引き起こすという証明を含む。外節の保存は光伝達にとって重要であるため(桿体が光を電気信号に変換するメカニズム)、RHO-ADRPのための最適な治療は、天然のRHOを減少させるが、外節構造は保存するべきである。これらの結果は、ノックダウン手法が十分ではないことを実証しており、ノックダウンおよび置換戦略の組み合わせの使用を主張している。
【0081】
5匹の野生型RHO+/+イヌは、以下の表8に示したように、1x1011~5x1012の範囲のウイルス濃度で、両眼にAAV2/5-sc-H1-shRNA-Rho820の網膜下注射を受けた。
【表9】
【0082】
注射の6~8週間後に、インビボ網膜イメージング(cSLO/OCT)を行い、次いで、イヌを屠殺した。いくつかの3mm神経網膜生検パンチを、両眼から(イヌ2194)またはOS眼のみから(他のイヌ)、ブレブ/処理および非ブレブ/非処理領域の両方において回収して、ウェスタンブロットによりイヌのロドプシンの発現レベルを、qPCR解析によりRHO RNAの発現レベルを測定した。OD眼を固定し、最適な切断温度の培地に包埋し、組織学および免疫組織化学染色のために処理した。
【0083】
ウェスタンブロット解析:
最大で3組の生検パンチ(ブレブ領域または非ブレブ領域のいずれかを表す)を、50μlのLewin緩衝液A(プロテアーゼ阻害物質を含有)中で、氷上で15分間インキュベートした。サンプルを40%振幅、15秒/10秒オフ×8パルスで超音波処理した。次に、サンプルを遠心分離し、ペレットを廃棄した。上清中のタンパク質濃度をBradford法により測定した。サンプルは、-20℃で保管した。ロドプシンを可視化するために、総タンパク質のうち1μgをゲルにロードした(使用した抗体:Millipore MAB5356、ODYSSEYブロッキングバッファーで1:1000に希釈)。抗ヒストンH3抗体(Abcam ab1791、1:3000に希釈)を、ローディングコントロールとして用いて、シグナルを標準化した。
【0084】
イヌの網膜におけるイヌのロドプシンRNAの絶対定量:
shRNA820治療後の網膜に存在するロドプシンRNAの絶対量を決定するために、Q-PCR標準曲線法を用いて、絶対定量を行った。イヌのRHOcDNAの既知量の希釈系列を用いて、標準曲線を構築した。総cDNAのうち0.1ナノグラムを定量に使用した。各サンプル中のイヌのRHO RNAの総量を、この標準曲線に基づいて計算した。
【0085】
異なるウイルス力価のAAV2/5-sc-H1-shRNA820を注射した野生型RHO+/+イヌの目の網膜の完全性のインビボ網膜イメージングによる評価。
異なる力価のAAV2/5-sc-H1-shRNA820の網膜下注射後6~8週間の、網膜のONLの完全性を評価するのに、cSLO/OCTによるインビボ網膜イメージングを用いた。ONLの厚さの組織分布図は、すべての力価でのこの層の保存を示した。外境界膜(ELM)、内節(IS)および外節(OS)のセグメンテーションは、1x1012および5x1012vg/mlの力価を注射した眼のブレブ領域に対応する領域におけるシグナル強度の低下を明らかにした。これらの結果は、これらの結果は、RHOサイレンシングの結果としての光受容細胞OSおよびISの短縮を示唆し、インビボでのRHOノックダウンの有効性を評価するために使用され得る。図13A図13Eは、野生型RHO+/+イヌにおける、網膜下に注射された異なるウイルス力価のAAV2/5-sc-H1-shRNA820による、ロドプシンノックダウンのRNAおよびタンパク質の解析を示す。図13Aは、ウェスタンブロット解析およびRNA定量に使用された生検パンチの位置を示す網膜地図を示す。対になった、濃灰色、灰色、ドットの丸は、ウェスタンブロットの各複製のためのブレブ/処理および非ブレブ処理領域における、生検パンチの位置を示しており、一方で、黒丸は、RNA定量のための生検パンチの位置を示す。図13Bは、同じ網膜の非処理領域で測定されたレベルのパーセンテージとして、処理領域内に残存するイヌのロドプシンRNAを示す棒グラフを示す。図13Cは、イヌの網膜の処理(Tx)および非処理(UnTx)領域から取得した生検パンチにおけるロドプシンの量を示す免疫ブロットを示す。ヒストンH3を標準化のために用いた。棒グラフは、同じ網膜の非処理領域で測定されたレベルのパーセンテージとして、残存するイヌのロドプシンタンパク質を示す。図13D図13Eは、各実験の数値を示す表を示す(RNAまたはタンパク質の残存率、あるいはRNAまたはタンパク質のノックダウン率として、それぞれ報告されている)。
【0086】
図14A図14Dは、野生型イヌにおける、異なる力価のAAV2/5-sc-H1-shRNA820の網膜下注射後の、ONLおよびELM/IS/OS完全性の評価を示す。図14Aは、ONLの厚さの図を示す;図14Bは、ELM/IS/OSの標準化強度の図を示す;図14Cは、ONLの厚さの値を示す;および、図14Dは、ELM/IS/OS層の標準化強度の値を示す。これらの結果は、RHOサイレンシングの結果としての光受容細胞OSおよびISの短縮を示唆し、インビボでのRHOノックダウンの有効性を評価するために使用され得る。
【0087】
イヌのRHORNAおよびタンパク質の完全なノックダウンが、1x1012vg/mlの低さのウイルス力価で、AAV2/5-sc-H1-shRNA820を網膜下に注射した野生型イヌで見られた。最も高いウイルス濃度であってもONLの厚さの減少は見られず、ロドプシンのノックダウンが光受容細胞死を誘導しないことを示唆した。ロドプシンの100%KDを誘導する高いウイルス力価で注射した眼の処理/ブレブ領域において、ELM/IS/OS層のOCT反射率の減少が見られる。この知見は、これらの層の薄さに適合し、ノックダウン効率のインビボ結果測定として使用することができる。
【0088】
実施例7:RHOT4R/+変異イヌにおける、shRNA820によるRHOノックダウンの解析
4匹のRHOT4R/+イヌは、以下の表9に示したウイルス濃度で、両眼にAAV2/5-sc-H1-shRNA-Rho820の網膜下注射を受けた。
【表10】
【0089】
注射の8週間後に、cSLO/OCTを実施し、光誘発性網膜変性を誘発するために、全てのイヌでOS眼に対して光照射(1mW/cmで1分)を実施した。光照射の2週間後に全てのイヌについてcSLO/OCTを再度実施し、治療によって与えられたレスキュー効果を評価した。イヌを屠殺し、いくつかの3mm神経網膜生検パンチを、OD眼から、ブレブ/処理および非ブレブ/非処理領域の両方から回収して、ウェスタンブロットによりイヌのロドプシンの発現レベルを、qPCR解析によりRHO RNAの発現レベルを測定した。OS眼を固定して、最適な切断温度の培地に包埋し、組織学および免疫組織化学染色のために処理した。
【0090】
ウェスタンブロット解析:
各OS眼由来の、3組の生検パンチ(ブレブ/処理または非ブレブ/非処理網膜領域のいずれかを表す)を、50μlのLewin緩衝液A(プロテアーゼ阻害物質を含有)中で、氷上で15分間インキュベートした。サンプルを40%振幅、15秒/10秒オフ×8パルスで超音波処理した。次に、サンプルを遠心分離し、ペレットを廃棄した。上清中のタンパク質濃度をBradford法により測定した。サンプルは、-20℃で保管した。ロドプシンを可視化するために、総タンパク質のうち1μgをゲルにロードした(使用した抗体:Millipore MAB5356、ODYSSEYブロッキングバッファーで1:1000に希釈)。抗ヒストンH3抗体(Abcam ab1791、1:3000に希釈)を、ローディングコントロールとして用いて、シグナルを標準化した。
【0091】
イヌの網膜におけるイヌのロドプシンRNAの絶対定量:
ShRNA820治療後の網膜に存在するロドプシンRNAの絶対量を決定するために、Q-PCR標準曲線法を用いて、絶対定量を行った。イヌのRHOcDNAの既知量の希釈系列を用いて、標準曲線を構築した。総cDNAのうち0.1ナノグラムを定量に使用した。各サンプル中のイヌのRHO RNAの総量を、この標準曲線に基づいて計算した。
【0092】
異なるウイルス力価のAAV2/5-shRNA820を注射した変異RHOT4R/+イヌの眼における、光誘発性ダメージからの光受容細胞レスキューの、インビボ網膜イメージングによる評価。
1x1012から1x1011vg/mlの範囲のウイルス力価で、網膜下に注射した変異RHOT4R/+イヌ由来の眼を、注射の8週間後(光照射前)に、cSLO/OCTイメージングにより調べた。ブレブ/処理領域におけるONLの厚さは保存され、shRNA820がその期間に光受容細胞の損失を引き起こさなかったことを示唆した。RHO T4R突然変異体において急性の網膜変性を引き起こすが、野生型イヌでは引き起こさないことが以前に示された強度(1mW/cmの角膜放射照度)での白色光の1分間の照射を、処理/ブレブ領域におけるAAV2/5-sc-H1-shRNA820によって与えられる防御レベルを評価するために使用した。周囲の非ブレブ/非処理領域を、各眼に対する内部標準として使用した。光照射の2週間後、網膜を再度イメージングし、1x1012および5x1011vg/mlの力価で注射した眼のブレブ/処理領域において、ONLの厚さの良好な保存を示した。非常に緩やかなレスキューが2.5x1011vg/mlの力価において見られ、1x1011vg/mlの力価では見られなかった。
【0093】
図15A図15Eは、変異RHOT4R/+イヌにおける、網膜下に注射された異なるウイルス力価のAAV2/5-sc-H1-shRNA820による、ロドプシンノックダウンのRNAおよびタンパク質の解析を示す。図15Aは、ウェスタンブロット解析およびRNA定量に使用された生検パンチの位置を示す網膜地図を示す。対になった、濃灰色、灰色およびドットの丸は、ウェスタンブロットの各複製のためのブレブおよび非ブレブ領域における、生検パンチの位置を示しており、一方で、黒丸は、RNA定量のための生検パンチの位置を示す。図15Bは、同じ網膜の非処理領域で測定されたレベルのパーセンテージとして、残存するイヌのロドプシンRNA量を示す棒グラフである。図15Cは、イヌの網膜の処理(Tx)および非処理(UnTx)領域から取得した生検パンチにおけるイヌのロドプシンの量を示す免疫ブロットである。ヒストンH3を標準化のために用いた。棒グラフは、同じ網膜の非処理領域で測定されたレベルのパーセンテージとして、残存するイヌのロドプシンタンパク質量を示す。図15D図15Eは、各実験の数値を示す表である(RNAまたはタンパク質の残存率、あるいはRNAまたはタンパク質のノックダウン率として、それぞれ報告されている)。
【0094】
図16A図16Dは、変異RHOT4R/+イヌにおいて急性網膜変性を引き起こす短時間の光照射に暴露してから2週間後の、RHOT4R/+イヌの、(異なるウイルス力価のAAV2/5-sc-H1-shRNA820による)処理網膜領域および非処理網膜領域を含むOCT Bスキャンを示す。(図16A)1x1012vg/mlで処理したイヌのOCTスキャン。(図16B)5x1011vg/mlで処理したイヌのOCTスキャン。(図16C)2.5x1011vg/mlで処理したイヌのOCTスキャン。(図16D)1x1011vg/mlで処理したイヌのOCTスキャン。図17A図17Bは、光誘発性網膜変性からの防御を示す、AAV2/5-sc-shRNA820で処理したRHOT4R/+由来の、ONLの厚さの組織分布図を示す。(図17A)非処理の野生型コントロールイヌのONLの厚さの図(左図)、および、5E+11vg/mlでAAV2/5-sc-shRNA820により処理したEM411-OSのONLの厚さの図であり、光誘発性ダメージ後数週間は、処理/ブレブ領域においてONLの厚さが保存されることを示す。白黒曲線は、網膜下注射直後に見られるブレブの境界を示す。下のパネルは、視覚化のために、ONLが濃灰色で色付けされた(中間のバンド)OCT Bスキャンを示す。(図17B)ブレブの外側および内側の部位を、ONLの厚さ測定のために選択した。
【0095】
イヌのRHORNAおよびタンパク質の完全なノックダウンが(ウェスタンブロットにより)、1x1012および5x10vg/mlのウイルス力価で、AAV2/5-shRNA-Rho820により、見られた。光受容細胞の細胞体を含む外顆粒層(ONL)の完全なレスキューは、1x1012および5x1011vg/mlのウイルス力価でAAV2/5-shRNA-Rho820により達成された。
【0096】
異なるウイルス力価のAAV2/5-sc-H1-shRNA820を注射した変異RHOT4R/+イヌの眼における、光誘発性ダメージからの光受容細胞の防御の、組織学および免疫組織化学による評価。
1x1012から1x1011vg/mlの範囲のウイルス力価で、網膜下に注射し、続いて、ある強度(1mW/cmの角膜放射照度)で、白色光により1分間光照射した(注射の8週間後)、上表に示した同一の変異RHOT4R/+イヌ由来の眼を調べた。この照射量は、RHO T4R変異体において急性の網膜変性を引き起こすが、野生型イヌでは引き起こさないことが以前に示されている。組織学および免疫組織学を用いて、処理/ブレブ領域におけるAAV2/5-sc-H1-shRNA820によって与えられる防御レベルを評価した。周囲の非ブレブ/非処理領域を、各眼に対する内部標準として使用した。ロドプシン(RHO)およびヒト錐体アレスチン(hCA)に対する抗体を用いて、桿体外節および錐体の形態の完全性を評価した。図18は、異なるウイルス力価のAAV2/5-sc-H1-shRNA820を網膜下に注射した、変異RHOT4R/+網膜の処理(Tx)および非処理(UnTx)領域における、組織学(HE染色)および免疫組織化学を示す(ロドプシンは緑に染色され、図18の下図ではより薄い染色として現れている;ヒト錐体アレスチンは赤に染色され、図18の下図では灰色の染色として現れている)。光照射の2週間後、1x1012および5x1011vg/mlの力価で注射した眼のブレブ/処理領域において、ONLの厚さの良好な保存がみられたが、2.5x1011vg/mlではONLの厚さはわずかに減少し、1x1011vg/mlの力価では防御が見られなかった。1x1012および5x1011vg/ml力価でのロドプシン発現の非常に効率的なノックダウンと一致して、ロドプシン発現の減少と組み合わせて、桿体細胞OSの長さの減少がHE切片で見られた
【0097】
イヌのRHORNAおよびタンパク質の完全なノックダウンが(ウェスタンブロットにより)、1x1012および5x10vg/mlのウイルス力価で、AV2/5-sc-H1-shRNA820により、見られた。光受容細胞の細胞体を含む外顆粒層(ONL)の完全な防御は、1x1012および5x1011vg/mlのウイルス力価でAAV2/5-sc-H1-shRNA820により達成された。効率的なRHOノックダウンの結果としての桿体の外節構造の損失は、処理された桿体が外節を保持し、機能性を維持できるように、ノックダウンと置換戦略の組み合わせの必要性を主張する。
【0098】
実施例8
本実施例は、RHO-ADRPを用いた遺伝子療法をサポートするデータを提供する。shRNA820ノックダウン試薬と置換試薬RHO820(=硬化ヒトRHOmRNA)の両方を組み合わせたAAV2/5ベクター構築物(AAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820)を、変異RHOT4R/+イヌで試験すること、内在性のイヌのRHOの効率的ノックダウン、および、置換硬化ヒトRHO(RHO820)の効率的発現をもたらす、AAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820のウイルス力価を特定すること、AAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820が、変異RHOT4R/+イヌにおける光受容細胞に光誘発性網膜変性からの防御を付与するという証明、およびAAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820で処理した網膜領域において桿体外節の保存が達成されているという証明を含む。
【0099】
RHOT4R/+変異イヌにおける、shRNA820およびRHO820による、RHOノックダウンおよび置換の解析:
2匹のRHOT4R/+イヌは、以下の表(表10)に示したウイルス濃度で、両眼にAAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820の網膜下注射を受けた。
【表11】
【0100】
注射の11週間後に、インビボ網膜イメージング(cSLO/OCT)を実施し、光誘発性網膜変性を誘発するために、両方のイヌでOS眼に対して光照射(1mW/cmで1分)を実施した。照射の2週間後に全てのイヌについてcSLO/OCTを再度実施し、治療によって与えられたレスキュー効果を評価した。イヌを屠殺し、いくつかの3mm神経網膜生検パンチを、OD眼から、ブレブ/処理および非ブレブ/非処理領域の両方から回収して、ウェスタンブロットによりロドプシンの発現レベルを、qPCR解析によりイヌおよびヒトのRHO RNAの発現レベルを測定した。OS眼を固定して、最適な切断温度の培地に包埋し、組織学および免疫組織化学染色のために処理した。
【0101】
ウェスタンブロット解析:
各OD眼由来の、3組の生検パンチ(ブレブ/処理または非ブレブ/非処理網膜領域のいずれかを表す)を、50μlのLewin緩衝液A(プロテアーゼ阻害物質を含有)中で、氷上で15分間インキュベートした。サンプルを40%振幅、15秒/10秒オフ×8パルスで超音波処理した。次に、サンプルを遠心分離し、ペレットを廃棄した。上清中のタンパク質濃度をBradford法により測定した。サンプルは、-20℃で保管した。ロドプシンを可視化するために、総タンパク質のうち1μgをゲルにロードした(使用した抗体:Millipore MAB5356、ODYSSEYブロッキングバッファーで1:1000に希釈)。該抗体は、イヌのRHOおよびヒトのRHOを共に検出することに留意されたい。Asn2でのグリコシル化の喪失のために、変異T4Rロドプシンは、免疫ブロットで検出できるより低い分子量(MW)を有するので、野生型の(イヌまたはヒトの)RHOタンパク質と区別することができる。従って、ヘテロ接合変異体RHOT4R/+からのRHO免疫ブロットは、野生型(高分子量)RHOタンパク質および変異T4R(低分子量)RHOタンパク質に対応する2つのバンドを示す。抗ヒストンH3抗体(Abcam ab1791、1:3000に希釈)を、ローディングコントロールとして用いて、シグナルを標準化した。
【0102】
イヌの網膜におけるイヌおよびヒトのロドプシンRNAの絶対定量:
AAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820による治療後の網膜に存在する、内在性のイヌのロドプシンRNAおよびヒトのRHO820RNAの絶対量を決定するために、Q-PCR標準曲線法を用いて、絶対定量を行った。イヌおよびヒトのRHOcDNAの既知量の希釈系列を用いて、標準曲線を構築した。総cDNAのうち0.1ナノグラムを定量に使用した。各サンプル中のイヌのRHOおよびヒトRHO820のRNAの総量を、この標準曲線に基づいて計算した。
【0103】
図19A図19Fは、変異RHOT4R/+イヌにおける、5x1011vg/mlの力価で網膜下に注射されたAAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820による、ロドプシンのノックダウンおよび置換のRNAおよびタンパク質の解析を示す。対になった、濃灰色、灰色、ドットの丸は、ウェスタンブロットの各複製のための処理(Tx)および非処理(UnTx)領域における、生検パンチの位置を示しており、一方で、黒丸は、RNA定量のための生検パンチの位置を示す。図19Bは、イヌの網膜の処理(Tx)および非処理(UnTx)領域から取得した生検パンチにおける総ロドプシン量(イヌ+ヒトRHO820)を示す免疫ブロットを示す。ヒストンH3を標準化のために用いた。棒グラフは、処理および非処理領域におけるイヌのロドプシンタンパク質の残存率を示す。EM424-ODおよびEM425-ODの処理領域におけるより低い分子量のバンド(変異T4R RHOタンパク質に対応する)の消失に留意されたい。図19Cは、タンパク質定量のために用いられるパンチの各対に対する数値を示す表である。図19Dは、非処理領域で測定されるイヌのRHO RNAのパーセンテージとして、処理領域における残存するイヌのロドプシンRNAを示す棒グラフである。図19Eは、非処理領域で測定されるイヌのRHO RNAのパーセンテージとして、処理領域におけるヒト RHO820を示す棒グラフである。図19Fは、RNA定量のために用いられるパンチの各対に対する数値を示す表である。
【0104】
5x1011vg/mlで、AAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820を網膜下に注射した変異RHOT4R/+イヌの眼における、光誘発性ダメージからの光受容細胞の防御の、インビボ網膜イメージングによる評価:
5x1011vg/mlのウイルス力価で、網膜下に注射した2匹の変異RHOT4R/+イヌ由来の眼を、注射前、注射の11週間後(光照射前)、および光ダメージの2週間後に、cSLO/OCTイメージングにより調べた。RHO T4R突然変異体において急性の網膜変性を引き起こすが、野生型イヌでは引き起こさないことが以前に示された強度(1mW/cm2の角膜放射照度)での白色光の1分間の照射を、処理/ブレブ領域におけるAAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820ベクターによって与えられる防御レベルを評価するために使用した。ブレブ/処理領域におけるONLの厚さは、注射後の全ての時点で保存され、当該ベクター構築物が毒性がないこと、および、その期間に光受容細胞の損失がないことを示唆した。周囲の非ブレブ/非処理領域を、各眼に対する内部標準として使用した。光照射の2週間後、注射した両方の眼の、ブレブ/処理領域において、ONLの厚さが完全に保存されていた。
【0105】
図20A図20Cは、5x1011/vg/mlの力価で、AAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820により処理した、変異RHOT4R/+網膜の領域における、光誘発性網膜変性からの防御を示す、インビボ網膜イメージングを示す。図20Aは、光照射の2週間後の、変性から防御された網膜領域(白矢印によって区切られた境界)を示す、正面の(en face)cSLO合成画像を示す。薄灰色矢印は、図20Bで示されたOCT Bスキャンの処理領域の範囲内の位置を示し、濃灰色矢印は、図20Cで示されたOCT Bスキャンの非処理領域の範囲内の位置を示す。図20Bは、注射前、注射の11週間後、および注射の13週間後/光照射の2週間後の、処理領域の範囲内のOCT Bスキャンを示す。ONLの厚さは、ウイルスベクター注射後の両方の時点における処理領域全体に渡って、保存されている。図20Bおよび図30Vは、注射前、注射の11週間後、および注射の13週間後/光照射の2週間後の、非処理領域の範囲内のOCT Bスキャンを示す。ONLは、注射の11週間後まで保存されているが、光照射の2週間後には完全に失われている。図21は、光誘発性網膜変性からの防御を示す、5x1011/vg/mlの力価でAAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820により処理した2つのRHOT4R/+由来の、ONLの厚さの組織分布図を示す。
【0106】
5x1011vg/mlの力価で、AAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820を注射した変異RHOT4R/+イヌの眼における、光誘発性ダメージからの光受容細胞の防御の、組織学および免疫組織化学による評価:
5x1011/vg/mlの力価で、網膜下にAAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820を注射し、続いて、ある強度(1mW/cmの角膜放射照度)で、白色光により1分間光照射した(注射の11週間後)、上表に示した同一の変異RHOT4R/+イヌ由来の眼を調べた。この照射量は、RHO T4R変異体において急性の網膜変性を引き起こすが、野生型イヌでは引き起こさないことが以前に示されている。
【0107】
免疫組織学を用いて、処理/ブレブ領域におけるAAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820によって与えられる防御レベルを評価した。周囲の非ブレブ/非処理領域を、各眼に対する内部標準として使用した。 ロドプシン(RHO)およびヒト錐体アレスチン(hCA)に対する抗体を用いて、桿体外節および錐体の形態の完全性を評価した。光照射の2週間後、5x1011vg/mlの力価で注射した眼のブレブ/処理領域において、ONLの厚さの優れた保存が達成された。さらに、網膜をノックダウン試薬shRNA820で処理した場合とは対照的に、AAV2 / 5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820構築物では桿体外節の保存が達成された。
【0108】
図22は、5x1011/vg/mlの力価で、AAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820を網膜下に注射した、変異RHOT4R/+網膜の処理(Tx)、移行ゾーン、および非処理(UnTx)領域における、免疫組織化学を示す(ロドプシンは緑に染色され、図22の図ではより薄い染色として現れている;ヒト錐体アレスチンは赤に染色され、図22の図では灰色の染色として現れている)。処理領域では、外顆粒層(ONL)の厚さ、および桿体外節(OS)が完全に保存されているが、非処理領域では、全ての桿体が失われ、錐体細胞体は、一列に減少している。処理領域と非処理領域との間に、はっきりとした境界が、移行ゾーンで見られる。
【0109】
イヌのRHORNAおよびタンパク質の完全なノックダウンが(ウェスタンブロットにより)、ウイルス力価5x1011vg/mlでのAAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820により、達成されている。イヌの網膜における正常なRHOのレベルと比較した場合、硬化RHO820による効率的な置換は、mRNA(118~130%)およびタンパク質(30~33%)のレベルの両方で達成される。光受容細胞の細胞体を含む外顆粒層(ONL)の完全な防御は、ウイルス力価5×1011vg/mlでのAAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820により達成される。RHO820による効率的RHO置換の結果としての、桿体外節の完全な保存は、ウイルス力価5×1011vg/mlでのAAV2/5-sc-HOP-RHO820-H1-shRNA820により達成される。
【0110】
参考文献
1.Mao H, Gorbatyuk MS, Rossmiller B, Hauswirth WW, Lewin AS. Long-Term Rescue of Retinal Structure and Function by Rhodopsin RNA Replacement with a Single Adeno-Associated Viral Vector in P23H RHO Transgenic Mice. Hum Gene Ther. 2012;23:356-366.
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3.Gorbatyuk M, Justilien V, Liu J, Hauswirth WW, Lewin AS. Suppression of mouse rhodopsin expression in vivo by AAV mediated siRNA delivery. Vision Res. 2007;47:1202-1208.
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6.Jensen SMR, Schmitz A, Pedersen FS, Kjems J+, Bramsen JB. Functional Selection of shRNA Loops from Randomized Retroviral Libraries. PLoS ONE. 2012;7:e43095.
7.Zhou H, Xia XG, Xu Z. An RNA polymerase II construct synthesizes short-hairpin RNA with a quantitative indicator and mediates highly efficient RNAi. Nucleic Acids Res. 2005;33:e62-e70.
【0111】
均等物
本発明のいくつかの実施形態が本明細書で記載および例示される一方で、当業者は、本明細書に記載の機能を実行するための、および/または、結果および/または1つ以上の効果を得るための、様々な他の手段および/または構造を容易に想到することができる。また、これらの変形および/または改変は、本明細書に記載される発明の実施形態の範囲内であると見なされる。さらに通常は、当業者は本明細書に記載される全てのパラメータ、寸法、材料及び形態が例示的であること、及び、実際のパラメータ、寸法、材料および/または形態は、本発明の教示が用いられる特定の適用に基づいていることを容易に認識しているであろう。当業者は、本明細書に記載される特定の発明の実施形態の多くの均等物を理解するであろうし、あるいは、通常の実験のみを用いて確認することが可能である。したがって、前述の実施形態は単なる例として提示されていることが理解されるべきであり、また添付の請求の範囲及びその均等物の範囲内において、本発明の実施形態は、明細書に記載され、請求の範囲に記載された以外の方法で実施することができることが理解されるべきである。本開示の発明の実施形態は、本明細書に記載の個別の特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法を対象とするものである。さらに、これらの特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法の任意の組み合わせも本開示の発明の範囲内に含まれ、それは、特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法が互いに矛盾したものでない場合に限る。
【0112】
本明細書中で定義され用いられる全ての定義は、辞書の定義、参照することにより本明細書に組み込まれる文献中の定義、及び/又は定義された用語の普通の意味を制御すると理解されるべきである。
【0113】
本明細書中に開示された全ての参考文献、特許および特許出願は、それぞれが引用されている対象事項に関して参照により組み込まれ、場合によっては、その全体を含んでもよい。
【0114】
本明細書および請求の範囲において用いられる不定冠詞「a」および「an」は、明示的に反する記載がない限り、「少なくとも1つ」という意味に理解されるべきである。
【0115】
本明細書および特許請求の範囲において用いられる「および/または」という語句は、そのように結合された要素、すなわちある場合には結合的に(conjunctively)存在し、他の場合には非結合的(disjunctively)に存在する要素の、「一方または両方」という意味に理解されるべきである。「および/または」と記載された複数の要素は、同じように、すなわち、そのように結合された要素の「1つ以上」と解釈されるべきである。具体的に特定された要素と関連するかどうかにかかわらず、「および/または」節によって具体的に特定された要素以外の他の要素が、場合により存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「含む」のような非制限的(open-ended)言語と併せて使用される場合、「Aおよび/またはB」への言及は、一実施形態では、Aのみ(場合によりB以外の要素を含む);別の実施形態では、Bのみ(場合により、A以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(必要に応じて他の要素を含む)などを、指すことができる。
【0116】
本明細書および特許請求の範囲において用いられる場合、「または」は上記で定義した「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例として、リスト中の項目を分離する場合、「または」または「および/または」は包括的であると解釈されるべきであり、すなわち、いくつかの要素または要素のリストの少なくとも1つを含むが複数も含み、場合により追加のリストに示していない項目を含むと解釈されるべきである。明示的にこれと反する用語、例えば「1つだけ」もしくは「正確に1つ」、または、特許請求の範囲において使用される場合「~からなる」の用語のみが、いくつかの要素または要素のリストの正確に1つの要素を含むことを指すであろう。一般的に、本明細書で使用される「または」という用語は、「どちらか(either)」、「1つ(one of)」、「1つだけ(only one of)」、または「正確に1つ(exactly one of)」などの排他的な用語によって先行される場合にのみ、排他的な選択肢(すなわち、「どちらか一方であるが両方でない」)を示すと解釈されるであろう。特許請求の範囲において用いられる場合、「実質的に~からなる」は、特許法の分野で用いられる通常の意味有するであろう。
【0117】
本明細書および特許請求の範囲において用いられる場合、1つ以上の要素のリストを参照して「少なくとも1つの(at least one)」という語句は、要素のリスト内の1つ以上の任意の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであり、必ずしも要素のリスト内に具体的に列挙されたそれぞれの、および全ての要素の少なくとも1つを含む必要はなく、また、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外しない。この定義はまた、「少なくとも1つの」という語句が指し示す要素のリスト内で具体的に特定された要素以外の要素が、その具体的に特定された要素と関連するかどうかにかかわらず、場合により存在することを可能にする。従って、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、同等であるが、「AまたはBの少なくとも1つ」または、同等であるが、「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態において、少なくとも1つの(場合により2つ以上を含む)Aで、Bが存在しない(場合によりB以外の要素を含む);別の実施形態では、少なくとも1つの(場合により2つ以上を含む)Bで、Aが存在しない(場合により、A以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、少なくとも1つの(場合により2つ以上を含む)A、および、少なくとも1つの(場合により2つ以上を含む)B(場合により他の要素を含む)などを指すことができる。
【0118】
明示的に反する記載がない限り、2つ以上のステップまたは作用を含む本明細書に記載される任意の方法において、本方法のステップまたは作用の順番は、本方法のステップまたは作用が列挙される順番に必ずしも限定されないこともまた、理解されるべきである。
【0119】
上記の明細書および請求の範囲において、全ての移行句は非制限的であると理解されるべきであり、移行句とは例えば、「含む」、「有する」、その他同種のものなどである。非制限的とはすなわち、それを含むがそれに限定されることはないということを意味する。「~からなる」および「実質的に~からなる」という移行句のみが、それぞれ制限的あるいは半制限的な移行句であり、特許審査手続の米国特許庁マニュアル第2111.03項に記載されている。別の実施形態では、非制限的移行句(例えば、「含む」)を使用してこの文書に記載された実施形態もまた、非制限的移行句によって記載された特徴「~からなる」および「実質的に~からなる」と考えられることが認められるべきである。例としては、本開示が「AおよびBを含む組成物」を記載する場合、本開示はまた、別の実施形態「AおよびBからなる組成物」および「実質的にAおよびBからなる組成物」を企図している。
図1
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【配列表】
2022185052000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-10-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書および図面に記載されている発明。
【外国語明細書】