(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185056
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ポリウレタン系フォーム用の乳化剤
(51)【国際特許分類】
C08L 71/02 20060101AFI20221206BHJP
C08K 5/06 20060101ALI20221206BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20221206BHJP
C08G 18/28 20060101ALI20221206BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20221206BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20221206BHJP
【FI】
C08L71/02
C08K5/06
C08G18/00 F
C08G18/28 015
C08G18/48 041
C08G101:00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157609
(22)【出願日】2022-09-30
(62)【分割の表示】P 2019524333の分割
【原出願日】2017-11-10
(31)【優先権主張番号】62/420,658
(32)【優先日】2016-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー エリザベス アントリン アル-ラシド
(72)【発明者】
【氏名】ウード バンゼベアク
(72)【発明者】
【氏名】ステファニー リン ブリットン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ブランドル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】あらゆる状態で安定なポリオール組成物を提供する。また、製造条件下で8時間未満、典型的には2時間未満の期間内に均一にブレンドすることができるポリオール混合物組成物、すなわち安定なポリオール混合物も提供される。
【解決手段】ポリオール混合物は、ポリオキシエチレン含有量が異なる少なくとも2種のポリオールと、触媒と、以下の式:RO(CH2CH2O)nH[式中、Rは、C1~C31線状または分岐状アルキルであり、nは、1以上の整数である]の少なくとも1種のエトキシル化アルコールとを含み、ここで、少なくとも1種のエトキシル化アルコールは、約3.7以上の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種のイソシアネート反応性ポリオールと、
b)以下の式:RO(CH2CH2O)nH
[式中、Rは、C1~C31線状または分岐状アルキルであり、
nは、1以上の整数である]の少なくとも1種のエトキシル化アルコールと
を含む組成物であって、ここで、少なくとも1種のエトキシル化アルコールは、約15.7以上の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する、組成物。
【請求項2】
請求項1記載の組成物を少なくとも1種のイソシアネートと反応させることによって、気泡性または非気泡性ポリウレタンを製造する方法。
【請求項3】
反応組成物が、触媒、炭酸塩、硫酸塩、複素環式芳香族アミド、シリカ、相変化材料もしくは相間移動材料、アミン、再生可能な充填剤または熱可塑性充填剤からなる群からの少なくとも1種の追加の添加剤および/または補助剤を含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
a)ポリオキシエチレン含有量が異なる少なくとも2種のポリオールと、
b)触媒と、
c)以下の式:RO(CH2CH2O)nH
[式中、Rは、C1~C31線状または分岐状アルキルであり、
nは、1以上の整数である]の少なくとも1種のエトキシル化アルコールと
を含むポリオール混合物であって、ここで、少なくとも1種のエトキシル化アルコールは、約3.7以上の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する、ポリオール混合物。
【請求項5】
Rが、C9~C15線状または分岐状アルキルであり、nが、1以上10以下の整数であり、かつ少なくとも1種のエトキシル化アルコールが、約3.7以上17.9以下の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する、請求項4記載のポリオール混合物。
【請求項6】
少なくとも1種のポリオールが、天然資源から誘導され、第二のポリオールが、ポリオキシレンまたはポリマーポリオールを含有する、請求項5記載のポリオール混合物。
【請求項7】
以下の工程:
a)少なくとも1種のポリオキシプロピレン系ポリオールと、ポリオキシエチレン系ポリオールと、以下の式:RO(CH2CH2O)nH
[式中、Rは、C1~C31線状または分岐状アルキルであり、nは、1以上の整数である]の少なくとも1種のエトキシル化アルコールとを組み合わせる工程であって、ここで、少なくとも1種のエトキシル化アルコールは、約3.7以上の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する、工程と、
b)安定な一相混合物が形成されるまで工程a)の混合物を混合する工程と
を含む、ポリオール混合物を調製する方法。
【請求項8】
Rが、C9~C15線状または分岐状アルキルであり、nが、1以上10以下の整数であり、かつ少なくとも1種のエトキシル化アルコールが、約3.7以上17.9以下の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
ポリオキシエチレン系ポリオールおよびポリオキシエチレン系ポリオールを、さらに天然資源系ポリオールと組み合わせる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
請求項4から6までのいずれか1項記載のポリオール混合物、イソシアネート指数が約80~約150の少なくとも1種のポリイソシアネート、少なくとも1種の発泡剤、少なくとも1種のアミン触媒、少なくとも1種の金属触媒、および少なくとも1種のシリコーン界面活性剤を含むポリウレタンフォーム組成物。
【請求項11】
触媒、炭酸塩、硫酸塩、複素環式芳香族アミド、シリカ、相変化材料もしくは相間移動材料、アミン、再生可能な充填剤または熱可塑性充填剤からなる群からの少なくとも1種の追加の添加剤および/または補助剤をさらに含む、請求項10記載のポリウレタンフォーム組成物。
【請求項12】
以下の工程:
a)請求項4から6までのいずれか1項記載のポリオール混合物、少なくとも1種の発泡剤、少なくとも1種のアミン触媒、少なくとも1種の金属触媒、および少なくとも1種のシリコーン界面活性剤を含むプレミックスを形成する工程と、
b)プレミックスを、イソシアネート指数が約80~約150の少なくとも1種のイソシアネートと接触させる工程と
を含む、ポリウレタンフォームを調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、安定な疎水性・親水性ポリオール分散体、そのような混合物を調製する方法、ポリウレタンフォームの製造におけるそれらの使用、およびポリウレタンフォームから製造された物品に関する。
【0002】
発明の背景
異なる疎水性もしくは極性またはポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン含有量、分子量ならびに構造から製造されたポリウレタンフォームは、緩衝材(例えばマットレス、枕および座席用クッションなど)から包装、断熱および防音、医療用途ならびに自動車におけるカーペットパディングに及ぶ多岐にわたる用途で使用される。ポリオールの異なる疎水性、分子量および構造は、軟質ポリウレタンフォームの製造時に、予混合システムの相分離およびフォーム加工問題、例えばピンホール、裂け目、バンディング、欠陥およびフォーム崩壊などを引き起こす。相分離の問題および加工の困難さは、脂肪アルコールエトキシレートをその場でまたはポリオール混合物もしくはブレンド成分の安定で均質な一相ブレンドで使用可能にすることで解決される。
【0003】
米国特許第4,125,505号明細書(U.S.Pat.No.4,125,505)は、ポリオール成分の1つとして特定の配置を有するポリアルキレンオキシドが、不飽和モノマー、例えばスチレン-アクリロニトリルコポリマーなどから形成される粒状化ポリマーによって、低分子量ポリオールのような本質的に非相溶性の鎖延長剤との相溶性を改善できることを開示している。ポリウレタン製造業者にとっての不利な点は、ポリマーの分散粒子が、直接使用されないと混合物から沈殿する可能性があること、またはその分散粒子から製造されたポリウレタンの機械的性質に意図しない影響を与える可能性があることである。
【0004】
米国特許第5,344,584号明細書(U.S.Pat.No.5,344,584)は、通常互いに混和性ではない2種のイソシアネート反応性化合物の混合物を、カルボン酸エステルまたはカルボキサミドとして酸性基を有する界面活性化合物と混合することを開示している。ポリカルボン酸エステルは、好ましくは、ヒドロキシカルボン酸または開環ラクトンから誘導される。本質的に相溶性ではないポリオール成分に界面活性化合物を添加することで相溶性は改善されるが、常に所望の程度まで改善されるわけではない。さらに、これらのポリカルボン酸エステルもまた、それらの酸性基の可能な反応性のために普遍的に適用可能ではない。
【0005】
米国特許第4,673,696号明細書(U.S.Pat.No.4,673,696)に開示されている、本質的に互いに相溶性ではない短鎖と長鎖のイソシアネート反応性ポリオール成分間の相溶化剤としてエチレン性不飽和エステロールを使用する場合にも制限を伴いがちである。これは特に、エチレン性不飽和エステロールを使用しても望ましくない副反応をもたらす可能性が低い、特定のポリウレタンを製造するためにしかこれらの混合物を使用することができないためである。これらの相溶化剤もまた、常に所望の程度まで相溶性を改善することができるわけではない。
【0006】
独国特許出願公開第102008000243号明細書(DE102008000243)には、ポリオール組成物を相溶化するための試剤として特定のウレタン基およびウレア基含有ポリエーテルを使用することが記載されている。これらの化合物もまた、常に所望の程度まで相溶性を改善することができるわけではない。
【0007】
独国特許出願公開第2341294号明細書(DE2341294)には、ポリオール混合物の相溶性を改善するための界面活性無機材料の使用が記載されている。これらの固体混和剤は、沈降するリスクを孕んでいる。さらに、その中で使用されるアスベストなどの好ましい材料は、健康上のリスクがかなりある。
【0008】
米国特許出願公開第2007/238800号明細書(US2007/238800)には、特定の植物油ポリオールに基づくポリオール配合物のための混和剤として有用なアルキルフェノールエトキシレートが記載されている。これらの乳化剤は、健康を損なうそれらの性質および生態毒性の性質に関して批判的に見なされる必要があるだけでなく、多くの場合、ポリオール混合物に十分な安定化特性を提供しない。
【0009】
米国特許第7,223,890号明細書(U.S.Pat.No.7,223,890B2)には、水とDMC触媒化アルコキシル化ポリオールに加えて、エチレンオキシド単位を有し、そして混合物の水相溶性を改善する化合物を含有するイソシアネート反応性混合物が記載されている。これらの化合物の言及例としては、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーが挙げられる。この開示の中には、互いに相溶性ではないポリオールの相溶性の改善について何ら指摘していない。
【0010】
米国特許出願公開第2006/0189704号明細書(US2006/0189704)には、相溶性向上剤として、ポリオール、水、および反応性水素を有する化合物の3個以上のヒドロキシル基を有するアルコキシレート、例えばグリセロールを少なくとも含有する組成物の相溶性の改善、すなわち相分離の防止が開示されている。これらの相溶性向上剤の存在は、貯蔵時の水とポリオールの分離を妨げる。
【0011】
米国特許出願公開第2008/009209号明細書(US2008/009209)には、ポリ酸、1種以上のポリオールおよび1種以上の反応性撥水剤を含有する硬化性組成物が記載されている。アルキルアミンおよびアルケニルアミンのポリアルコキシレートは、撥水性化合物の列挙された例の中に含まれる。これらの公知の撥水性の硬化性組成物は、ガラス繊維またはミネラルウールを被覆するために使用されるが、混合物中のカルボキシル基対OH基の比については特定の範囲が推奨されている。ポリオール混合物の相溶化は、この公開された米国特許出願の主題のいかなる部分も形成していない。
【0012】
米国特許第5,668,187号明細書(U.S.Pat.No.5,668,187B2)には、発泡剤が、ポリオールとポリイソシアネートとの反応において、更なる反応成分として直接添加される乳化形態の種々の不飽和モノマーのコポリマーを含有する水性エマルジョンを含む、硬質ポリウレタンフォームの製造が開示されている。
【0013】
上記に確認された特許の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
ポリウレタンは、OH反応性ポリオールと少なくとも1種のイソシアネートまたはポリイソシアネートとの反応によって製造される。大規模工業的規模で利用可能なポリイソシアネートの選択は限られているが、使用することができる多数のポリオールまたはOH活性成分がある。これらは、例えば、鎖延長剤または鎖架橋剤として使用されるポリエーテルポリオールからポリエステルポリオールおよびヒドロキシル官能性ポリブタジエンから低分子量ポリオールまでの範囲に及ぶ。
【0015】
典型的には、ポリウレタンは、1種の特定のポリオールをポリイソシアネートと反応させるのではなく、低分子量または比較的高分子量であり得る様々なポリオールの混合物を反応させることによって製造される。多くの場合、使用されるポリオールの混合物は安定ではないが、少なくとも経時的に相分離する傾向にある。この分離は、例えば、ポリオールの異なる分子量、異なるモノマー組成、異なる極性および/または異なる構造上の配置、例えばランダムもしくはブロック状配置または線状もしくは分岐状構造などによって引き起こされる。
【0016】
ポリウレタンフォームの製造には、いくつかの成分または流を型の中にまたは移動するコンベアベルト上に正確にポンプで送り込み、混合し、そして分配することが含まれる。流の数は2~>50である。しかしながら、典型的な配合物は、イソシアネート流と樹脂流とからなる2つの流で構成されている。樹脂流またはポリオール流は、ポリエーテルもしくはポリエステルポリオール、架橋剤(例えばジエタノールアミン、グリセロール)界面活性剤、触媒、水または/および補助発泡剤ならびに他の添加剤の混合物である。イソシアネート流は、トルエンジイソシアネート、種々の形態のジフェニルメタンジイソシアネート、またはこれら2つの混合物、または他の種類のイソシアネートを含む。
【0017】
さらに、分離傾向は、例えば、水などの特定の物質の存在下で増幅されることが知られている。分離はまた、添加剤および/もしくは補助剤の使用によって、または製造中の3種以上のポリオールの存在によって、またはすぐに使用できる混合物として引き起こされるかまたは増幅され得る。
【0018】
その原因とは無関係に、分離傾向は、そのようなポリオール混合物の取扱いおよび加工に関する多様な問題を生む。したがって、そのようなポリオール混合物の貯蔵もしくは輸送、または例えばミキシングヘッド内での短期間の補助剤との混合ですら、ポリオール間の分離傾向のために多くの場合不可能である。したがって、そのようなポリオール混合物が加工され得る前に、ポリオール成分の均一な分散を確実にするためにポリマー成分をより強くまたは再び分散させなければならない。このためにポリウレタン製造業者は混合装置に投資する必要があり、さらに、このことはエネルギー消費の増加につながる。さらに、ポリオール成分の混合が不十分であると、そうした成分から製造されたポリウレタンは所望の性能プロフィールを持たなくなる恐れがある。
【0019】
発明の簡単な概要
本発明は、あらゆる状態で安定なポリオール組成物を提供することによって上記の問題を解決し、これらの組成物は、少なくとも24時間、場合によっては6ヶ月を超えて、他の多くの目的および利益の内において安定である。
【0020】
本発明の別の目的は、製造条件下で8時間未満、典型的には2時間未満の期間内に均一にブレンドすることができるポリオール混合物組成物を提供することである。
【0021】
更なる目的は、本発明の安定なポリオール混合物を調製する方法を提供することである。
【0022】
本発明の更なる目的は、本発明から安定なポリウレタンフォームを製造するための配合物および方法を提供することである。一態様において、本開示は、
a)ポリオキシエチレン含有量が異なる少なくとも2種のポリオールと、
b)触媒と、
c)以下の式:RO(CH2CH2O)nH
[式中、Rは、C1~C31線状または分岐状アルキルであり、
nは、1以上の整数である]の少なくとも1種のエトキシル化アルコールと
を含むポリオール混合物を提供し、ここで、少なくとも1種のエトキシル化アルコールは、約3.7以上の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する。
【0023】
一態様において、本開示は、
a)ポリオキシエチレン含有量が異なる少なくとも2種のポリオールと、
b)触媒と、
c)以下の式:RO(CH2CH2O)nH
[式中、Rは、C9~C15線状または分岐状アルキルであり、
nは、1以上10以下の整数である]の少なくとも1種のエトキシル化アルコールと
を含むポリオール混合物を提供し、ここで、少なくとも1種のエトキシル化アルコールは、約3.7以上17.9以下の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する。
【0024】
別の態様において、本発明は、
a)天然資源から誘導された少なくとも1種のポリオール、およびポリオキシレンまたはポリマーポリオールを含有し、スチレンアクリロニトリル(SAN)もしくはポリウレア分散液(PHD)もしくはポリイソシアネート-ポリオール付加タイプ(PIPA)もしくは他の有機もしくは無機充填剤のような化学充填剤タイプの基剤を伴う第二のポリオールと、
b)触媒と、
c)以下の式:RO(CH2CH2O)nH
[式中、Rは、C9~C15線状アルキルであり、
nは、1以上10以下の整数である]の少なくとも1種のエトキシル化アルコールと
を含むポリオール混合物を開示し、ここで、少なくとも1種のエトキシル化アルコールは、約3.7以上17.9以下の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する。
【0025】
さらに別の態様において、本発明は、以下の工程:
a)少なくとも1種のポリオキシプロピレン系ポリオールと、ポリオキシエチレン系ポリオールと、以下の式:RO(CH2CH2O)nH
[式中、Rは、C1~C31線状または分岐状アルキルであり、nは、1以上の整数である]の少なくとも1種のエトキシル化アルコールとを組み合わせる工程であって、ここで、少なくとも1種のエトキシル化アルコールは、約3.7以上の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する、工程と、
b)安定な一相混合物が形成されるまで工程a)の混合物を混合する工程と
を含む、上記ポリオール混合物を製造する方法を提供する。
【0026】
さらに別の態様において、本発明は、以下の工程:
a)少なくとも1種のポリオキシプロピレン系ポリオールと、ポリオキシエチレン系ポリオールと、以下の式:RO(CH2CH2O)nH
[式中、Rは、C9~C15線状または分岐状アルキルであり、nは、1以上10以下の整数である]の少なくとも1種のエトキシル化アルコールとを組み合わせる工程であって、ここで、少なくとも1種のエトキシル化アルコールは、約3.7以上17.9以下の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する、工程と、
b)安定な一相混合物が形成されるまで工程a)の混合物を混合する工程と
を含む、上記ポリオール混合物を製造する方法を提供する。
【0027】
さらに別の態様において、本発明は、以下の工程:
a)少なくとも1種のポリオキシプロピレン系ポリオールおよび/またはポリオキシエチレン系ポリオールを、天然資源系ポリオールおよび以下の式:RO(CH2CH2O)nH
[式中、Rは、C9~C15線状または分岐状アルキルであり、nは、1以上10以下の整数である]の少なくとも1種のエトキシル化アルコールとを組み合わせる工程であって、ここで、少なくとも1種のエトキシル化アルコールは、約3.7以上17.9以下の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する、工程と、
b)安定な一相混合物が形成されるまで工程a)の混合物を混合する工程と
を含む、上記ポリオール混合物を製造する方法を提供する。
【0028】
本発明の別の態様は、イソシアネート指数が約80~約150の少なくとも1種のポリイソシアネート、少なくとも1種の発泡剤、少なくとも1種のアミン触媒、少なくとも1種の金属触媒および少なくとも1種のシリコーン界面活性剤と共に、上記に開示されたポリオール混合物を含むポリウレタンフォーム配合物に関する。
【0029】
更なる態様において、本発明は、上記に開示されたフォーム配合物を用いて製造されたポリウレタンフォームを開示する。
【0030】
なお更なる態様において、本発明は、以下の工程:
a)上記に開示されたポリオール混合物、少なくとも1種の発泡剤、少なくとも1種のアミン触媒、少なくとも1種の金属触媒および少なくとも1種のシリコーン界面活性剤を含むプレミックスを形成する工程と、
b)プレミックスを、イソシアネート指数が約80~約150の少なくとも1種のイソシアネートと接触させる工程と
を含む、ポリウレタンフォームを調製する方法を提供する。
【0031】
発明の詳細な説明
本発明は、式Aとして以下で示される、異なるポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン含有量のポリオールと、少なくとも1種のエトキシル化アルコールとを含むポリオール混合物に関する。この混合物は、少なくとも24時間、場合によっては6ヶ月を超えて、またはそれより長い期間にわたって撹拌せずとも安定であり続けることができる。式Aのエトキシル化アルコールを用いて調製されたフォームは、より高いエアフロー、より良好な耐荷重性、より良好な分布をもたらす軟質発泡機に及ぼす改善された性能および改善された反応性を有するという追加の利点を有する。
【0032】
エトキシル化アルコール
本発明の少なくとも1種のエトキシル化アルコールは、以下の式A:
RO(CH2CH2O)nH A
[式中、Rは、C1~C31線状または分岐状アルキルであり、nは、1以上10以下の整数であることを含む]で示され、この化合物は、約3.7以上17.9以下の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する。
【0033】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、飽和炭素-炭素結合のみを含有する脂肪族炭化水素基を指す。分岐を有するか有せず、かつ不飽和炭素-炭素結合を有しないアルキル基が本発明には適している。
【0034】
式A中のエトキシ単位の数「n」は、1以上の任意の整数であり得る。非限定的な代表例としては、例えば、n=1、n=2、n=3、n=6、n=10が挙げられる。
【0035】
本明細書で使用される「親水性-親油性バランス(HLB)値」という用語は、化合物が親水性または親油性である度合いの尺度である。HLBは、グリフィンによって記載されるように、分子の異なる領域の分子量を用いて計算される:
HLB=20×Mh/M
[式中、Mhは、分子の親水性部分の分子量であり、Mは、分子全体の分子量であり、0~20の任意のスケールで結果が示される]。
【0036】
0のHLB値は、完全に疎水性の分子に対応し、20の値は、完全に親水性の分子に対応する。
【0037】
一例として、C13H27(CH2CH2O)40HのHLB値は、以下のとおり計算される:
HLB=20×Mh/M=20×1761/1944=18.1
[式中、Mhは、親水性部分(CH2CH2O)40Hの分子量であり、Mは、分子全体の分子量である]。
【0038】
本発明に適したHLB値の例としては、3.7、8、15.7、17.9以上のHLB値が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
ポリオール混合物
安定な一相混合物のままではない、異なる分子量またはポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン含有量のポリオールが本発明において使用され得る。
【0040】
ポリオール混合物は、下記のポリオール(A)、下記のポリオール(B)、下記のポリオール(C)、下記のポリオール(D)および下記のポリオール(E)を含み、材料中の全ての活性水素含有化合物に対するポリイソシアネート化合物の割合は、イソシアネート指数で少なくとも80であり、ここで、
ポリオール(A)は、平均2~4個のヒドロキシル基および2500~5000の分子量を有するポリエーテルポリオールである。本発明での使用に適したポリオールには、非限定的な例として、ポリエーテルおよびポリエステルポリオールが含まれる。ポリアルキレンエーテルポリオールには、ポリ(エチレンオキシド)およびポリ(プロピレンオキシド)ポリマーなどのポリ(アルキレンオキシド)ポリマー、ならびにジオールおよびトリオールを含む多価化合物から誘導された末端ヒドロキシル基を有するコポリマーが含まれる。これらには、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、シクロヘキサンジオール、およびスクロースなどの糖類が含まれるが、これらに限定されない。
ポリオール(B)は、「ポリマーポリオール」であり、本発明に従って使用するためのポリオール成分中に含まれていてもよい。ポリマーポリオールは、フォームの耐変形性を増加させるために、例えばフォームの耐荷重性を向上させるために、ポリウレタンフォーム中で使用することができる。ポリウレタンフォームの耐荷重要件に応じて、ポリマーポリオールは、全ポリオール含有量の0~約80重量%を構成してもよい。ポリマーポリオールの例としては、グラフトポリオールおよびポリウレア変性ポリオール(これらは両方とも当該技術分野において公知であり、かつ市販されている)が挙げられるが、これらに限定されない。
ポリオール(C)は、平均2~3個のヒドロキシ基および100~2000の分子量を有するポリエーテルポリオールである。
ポリオール(D)は、再生可能な天然資源に基づくポリオールである。植物油の例としては、ヒマシ油、ダイズ油、オリーブ油、ピーナッツ油、ナタネ油、トウモロコシ油、ゴマ油、綿実油、キャノーラ油、ベニバナ油、アマニ油、ヤシ油、グレープシード油、ブラックキャラウェイ油、カボチャ種子油、ボリジシード油、木の胚芽、杏仁油、ピスタチオ油、アーモンド油、マカダミアナッツ油、アボカド油、シーバックソーン油、麻実油、ヘーゼルナッツ、マツヨイグサ油、ノバラ油、アザミ油、クルミ油、ヒマワリ油、ジャトロファ種子油からのもの、またはそれらの組合せが挙げられる。さらに、藻類などの生物から得られた油も使用され得る。動物性製品の例としては、ラード、牛脂、魚油およびそれらの混合物が挙げられる。植物系および動物系油/脂の組合せも使用され得る。ポリウレタンフォームの製造における使用のために、天然材料は、材料イソシアネート反応性基を与えるためにまたは材料上のイソシアネート反応性基の数を増加させるために変性され得る。好ましくは、そのような反応性基はヒドロキシル基である。天然油系ポリオールを調製するためにいくつかの化学物質が使用され得る。再生可能資源のそのような変性としては、例えば、エポキシ化、ヒドロキシル化、オゾン分解、エステル化、ヒドロホルミル化、またはアルコキシル化が挙げられる。
ポリオール(E)は、分子量が3000~6000、官能価が2~4で、40~80%のポリオキシレン含有量を有するポリオキシレンポリプロピレンポリオールである。
【0041】
本発明の一実施形態において、ポリオール混合物は、約0超~約90pphpのポリオールAを、任意に0~60pphpのポリオールB、任意に10~40pphpのポリオールDと共に含み、場合により、約10~約90pphpのポリオールA、または約10~約40pphpのポリオールBを、約20~約40pphpのポリオールDと共に含む。
【0042】
本発明の別の実施形態において、ポリオール混合物は、約0超~90pphpのポリオールAを、任意に約5~約50pphpのポリオールC、任意に20~70pphpのポリオールEと共に含むか、または約10~約20pphpのポリオールAを、任意に約5~25pphpのポリオールCおよび任意に約25~60pphpのポリオールEと共に含む。
【0043】
本発明の一実施形態において、ポリオール混合物は、約0超~約90pphpのポリオールAを、任意に0~60pphpのポリオールB、任意に10~40pphpのポリオールDと共に含み、場合により、約10~約90pphpのポリオールA、または約10~約40pphpのポリオールBを、約20~約40pphpのポリオールDと共に含む。
【0044】
本発明の別の実施形態において、上記のポリオール混合物は、有効量のエトキシル化アルコールと組み合わされて、均一な混合物が形成されるまで混合される。機械的撹拌または振盪などの任意の従来の混合方法を用いることができる。ポリオールおよびエトキシル化アルコールをポリオールに添加する順序は、安定な混合物の形成に影響を与えない。
【0045】
本発明の別の実施形態において、軟質ポリウレタンフォームを製造する方法は、ウレタン形成触媒、発泡剤および泡安定剤の存在下で、ポリオール混合物および上記の本発明のエトキシル化アルコールをポリイソシアネート化合物と反応させることを含む。
【0046】
ポリオール混合物を室温(20~25℃)で静置し、その外観をよく観察する。安定な混合物とは、肉眼ではっきりと見える層分離のない混合物を意味する。
【0047】
「有効」量のエトキシル化アルコールは、ポリオール混合物を少なくとも24時間、場合によっては6ヶ月を超えて安定に保つのに必要な量である。ポリオール混合物は、少なくとも約0.5pphp、少なくとも約2.0pphpまたは少なくとも約4.0pphpのエトキシル化アルコールを含み得る。
【0048】
典型的な製造条件には、ポリオールを、20m3の容量を有する混合タンク中で、式Aのエトキシル化アルコール溶液と接触させることと、および30ワットの機械撹拌器を用いて毎分約1800回転(rpm)で混合することとが含まれる。
【0049】
フォームの調製
ポリウレタン業界で知られている様々なタイプの任意のフォームまたは気泡材料は、本発明の方法を用いて製造することができる。気泡性または非気泡性ポリウレタン配合物の典型的な成分としては、少なくとも1種のイソシアネート反応性ポリオールまたはその混合物、水などの少なくとも1種の発泡剤、少なくとも1種のポリイソシアネート、少なくとも1種のアミン触媒、少なくとも1種の金属触媒および少なくとも1種のシリコーン界面活性剤が挙げられる。他の添加剤および/または補助剤には、ポリウレタンの種類および用途に応じて、触媒、炭酸塩、硫酸塩、複素環式芳香族アミド、シリカ、相変化材料もしくは相間移動材料、アミン、再生可能な充填剤または熱可塑性充填剤が含まれ得るが、これらに限定されない。例えば、軟質ポリウレタンフォームは、典型的には、表1に示される成分を、示された量で含むであろう。表1に示される成分については、後で詳しく説明する。
【0050】
【0051】
本発明によるポリウレタン配合物に使用されるポリイソシアネートの量は限定されないが、それは典型的には当業者に知られている範囲内であろう。例示的な範囲は、上記の表に示され、「NCO指数」(イソシアネート指数)を参照することによって示される。当該技術分野において公知であるように、NCO指数は、イソシアネートの当量数を活性水素の総当量数で割って100を掛けたものとして定義される。NCO指数は、以下の式:
NCO指数=[NCO/(OH+NH)]×100
によって表される。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態において、触媒、発泡剤、架橋剤、界面活性剤および任意にポリウレタン形成に通常使用される1種以上の添加剤をポリオール混合物中に組み合わせることができる。そのような混合物は、続いて有機イソシアネートと接触させてポリウレタンフォームを形成することができ、これもまた任意に当該技術分野において公知の他の添加剤の存在下で行ってよい。
【0053】
軟質フォームを製造することに加えて、本発明はまた、自動車産業における多くの用途(例えば、計器盤、ヘッドライナーおよび内装品)に一般的に利用されているような半軟質フォームを調製するためにも使用することができる。
【0054】
ポリウレタンフォームの特定の例示的な種類は、上記および本明細書の他の箇所で論じられているが、任意の種類のポリウレタンフォームが本発明に従って調製され得ることが理解されるべきである。
【0055】
触媒
本明細書に開示されるポリウレタン配合物は、ポリウレタンフォームの製造に知られているかまたは使用されている任意の触媒および触媒の組合せを含むことができる。有用な触媒の例としては、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、第三級アミン、またはトリメチルアミン、トリエチレンジアミン、ビス-(ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス-(ジメチル-(アミノ-N-プロピル)-メチルアミン、N-メチルモルホリン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミンおよびN、N-ジメチルアミノエタノールなどの第三級アミンを生成する物質が挙げられる。アルキルカルボン酸スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレートおよび第一スズオクトエートなどの金属化合物も適用可能である。例示的な触媒は、DABCO 33LV(登録商標)(Evonik Corp.)およびDABCO(登録商標)T-9(Evonik Corp.)である。必要に応じて、他の多くの種類の触媒を上記に列挙したものの代わりに用いることができる。典型的には、本発明によるフォームを製造するための触媒の添加量は、0超~約2pphp、より典型的には0超~約1pphp、最も典型的には0超~約0.5pphpの範囲になるであろう。しかしながら、任意の有効量を使用することができる。「pphp」という用語は、ポリオール100重量部当たりの重量部を意味する。
【0056】
発泡剤
ポリウレタンフォームの製造は、重合中にポリウレタンマトリックスにボイドを生成させるための発泡剤を含ませることによって促進され得る。当該技術分野において公知の任意の発泡剤を使用することができる。適切な発泡剤としては、発熱重合反応中に蒸発する低沸点の化合物が挙げられる。そのような発泡剤は、一般的に不活性であり、ひいては重合反応中に分解または反応しない。不活性発泡剤の例としては、塩化メチレン、二酸化炭素、クロロフルオロカーボン、水素化フルオロカーボン、水素化クロロフルオロカーボン、アセトン、およびシクロペンタン、イソペンタン、n-ペンタンなどの低沸点炭化水素、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。他の適切な発泡剤としては、イソシアネート化合物と反応してガスを生成する化合物、例えば水が挙げられる。
【0057】
有機イソシアネート
適切な有機イソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、フェニレンジイソシアネート(PDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、および4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の一態様において、2,4-TDI、2,6-TDI、またはそれらの任意の混合物を使用してポリウレタンフォームが製造される。他の適切なイソシアネート化合物は、「粗製MDI」として商業的に知られているジイソシアネート混合物である。一例は、Dow Chemical社からPAPIの名称で市販されており、他の異性体および類似の高級ポリイソシアネートと共に約60%の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを含有する。
【0058】
ポリエステルポリオール上の1個以上のヒドロキシルを置換カルバメート基に変換するためのポリイソシアネートとポリエーテルまたはポリエステルポリオールとの部分的に予備反応させた混合物を含む、これらのイソシアネート化合物の「プレポリマー」も適している。ポリエーテルおよびポリエステルポリオールから誘導された適切なプレポリマーは、当該技術分野において周知である。
【0059】
他の任意成分
本発明によるフォームを製造するために、他の様々な成分を配合物に含めることができる。任意成分の例としては、気泡安定剤、架橋剤、鎖延長剤、顔料、充填剤、予備重合反応生成物およびこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
本発明の実施は、ポリウレタン製造業者が1つ以上の利点を実現することを可能にし得る。これらの利点としては、a)ポリウレタン製造に容易に使用することができるポリオール混合物;b)ポリウレタンを製造するための他の成分の加工により多くの時間を可能にする安定なポリオール混合物を形成するのに必要な時間およびエネルギーが減少すること、c)本発明により製造されたポリウレタンフォームはより高いエアフローを示すこと;d)製造されたフォームの他の物性が本発明を用いることによって悪影響を受けないことが挙げられる。
【0061】
本発明を以下の実施例の文脈でさらに説明するが、これらの実施例は説明のために提示されるものであって、限定するためのものではない。
【0062】
本発明は、a)少なくとも1種のイソシアネート反応性ポリオールと、b)以下の式RO(CH2CH2O)nH[式中、Rは、C1~C31線状または分岐状アルキルであり、nは、1以上の整数である]の少なくとも1種のエトキシル化アルコールとを含む組成物に関し、ここで、少なくとも1種のエトキシル化アルコールは、約15.7以上の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する。
【0063】
本発明はまた、組成物を少なくとも1種のイソシアネートと反応させることによって気泡性または非気泡性ポリウレタンを製造する方法に関する。
【0064】
好ましくは、反応組成物は、触媒、炭酸塩、硫酸塩、複素環式芳香族アミド、シリカ、相変化材料もしくは相間移動材料、アミン、再生可能な充填剤または熱可塑性充填剤からなる群からの少なくとも1種の追加の添加剤および/または補助剤を含む。
【0065】
本発明は、a)ポリオキシエチレン含有量が異なる少なくとも2種のポリオールと、b)触媒と、c)以下の式RO(CH2CH2O)nH[式中、Rは、C1~C31線状または分岐状アルキルであり、nは、1以上の整数である]の少なくとも1種のエトキシル化アルコールとを含むポリオール混合物に関し、ここで、少なくとも1種のエトキシル化アルコールは、約3.7以上の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する。
【0066】
好ましくは、Rは、C9~C15線状または分岐状アルキルであり、nは、1以上10以下の整数であり、かつ少なくとも1種のエトキシル化アルコールは、約3.7以上17.9以下の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する。
【0067】
好ましくは、少なくとも1種のポリオールは、天然資源から誘導され、第二のポリオールは、ポリオキシレンまたはポリマーポリオールを含有する。
【0068】
本発明はまた、a)少なくとも1種のポリオキシプロピレン系ポリオールと、ポリオキシエチレン系ポリオールと、以下の式:RO(CH2CH2O)nH[式中、Rは、C1~C31線状または分岐状アルキルであり、nは、1以上の整数である]の少なくとも1種のエトキシル化アルコールとを組み合わせる工程であって、ここで、少なくとも1種のエトキシル化アルコールは、約3.7以上の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する、工程と、b)安定な一相混合物が形成されるまで工程a)の混合物を混合する工程とを含む、ポリオール混合物を製造する方法に関する。
【0069】
好ましくは、Rは、C9~C15線状または分岐状アルキルであり、nは、1以上10以下の整数であり、かつ少なくとも1種のエトキシル化アルコールは、約3.7以上17.9以下の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する。
【0070】
好ましくは、ポリオキシエチレン系ポリオールおよびポリオキシエチレン系ポリオールは、さらに天然資源系ポリオールと組み合わされる。
【0071】
本発明はまた、a)ポリオキシエチレン含有量が異なる少なくとも2種のポリオールと、b)触媒と、c)以下の式RO(CH2CH2O)nH[式中、Rは、C1~C31線状または分岐状アルキルであり、nは、1以上の整数である]の少なくとも1種のエトキシル化アルコール(ここで、少なくとも1種のエトキシル化アルコールは、約3.7以上の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する)と、イソシアネート指数が約80~約150の少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種の発泡剤と、少なくとも1種のアミン触媒と、少なくとも1種の金属触媒と、少なくとも1種のシリコーン界面活性剤とを含むポリオール混合物を含むポリウレタンフォーム組成物に関する。
【0072】
好ましくは、ポリウレタンフォーム組成物は、ポリオール混合物を含み、ここで、Rは、C9~C15線状または分岐状アルキルであり、nは、1以上10以下の整数であり、かつ少なくとも1種のエトキシル化アルコールは、約3.7以上17.9以下の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する。
【0073】
好ましくは、ポリウレタンフォーム組成物は、ポリオール混合物を含み、ここで、少なくとも1種のポリオールは、天然資源から誘導され、第二のポリオールは、ポリオキシレンまたはポリマーポリオールを含有する。
【0074】
好ましくは、ポリウレタンフォーム組成物はさらに、触媒、炭酸塩、硫酸塩、複素環式芳香族アミド、シリカ、相変化材料もしくは相間移動材料、アミン、再生可能な充填剤または熱可塑性充填剤からなる群からの少なくとも1種の追加の添加剤および/または補助剤を含む。
【0075】
本発明はまた、a)請求項4から6までのいずれか1項記載のポリオール混合物、少なくとも1種の発泡剤、少なくとも1種のアミン触媒、少なくとも1種の金属触媒および少なくとも1種のシリコーン界面活性剤を含むプレミックスを形成する工程と、b)プレミックスを、イソシアネート指数が約80~約150の少なくとも1種のイソシアネートと接触させる工程とを含む、ポリウレタンフォームを調製する方法に関する。
【0076】
実施例
実施例1
天然油-ポリオールとポリエーテルポリオールとの混合物の安定性
天然油ポリオールとポリエーテルポリオールとの混合物を、以下の手順を用いて室温(20~25℃)で調製した。1000mLのビーカーに、20~80gのポリオール(A)、0~60gのポリオールB、20~80gのポリオール(D)、触媒、界面活性剤、および試験される様々な量のエトキシル化アルコールを添加した。成分の量を表2に示す。次いで混合物を、直径90mmの機械撹拌器を用いて1150rpmで60秒間または均一な混合物が形成されるまで撹拌した。次いで混合物を20mLのガラスバイアルに移し、バイアルを6ヶ月まで静置した。混合物中の層分離についてバイアルを定期的に目視検査した。上記の現象が観察された場合、分散は不安定と記録する。観察されなかった場合、分散は安定していると記録した。安定性の結果を表3に列挙する。
【0077】
【0078】
【0079】
実施例2
異なる分子量およびポリオキシレン含有量を有するポリオールの安定性試験
実施例1の手順に従ってポリオール混合物を調製するために、異なるアルキル基、エトキシ単位、ひいては明確なHLB値を有するエトキシル化アルコールを用いた。ポリオール混合物中の成分の量を表4に示す。形成された混合物の安定性に及ぼすエトキシル化アルコールの効果を、実施例1の目視検査方法に従って比較し、その結果を表5に列挙する。試験した全てのエトキシル化アルコールは以下の式に適合する:
RO(CH2CH2O)nH[式中、Rは、線状または分岐状アルキルであり、nは、1以上10以下の整数である]。
【0080】
【0081】
【0082】
Tomadol(登録商標)23-1、Tomadol(登録商標)1-3、Tomadol(登録商標)900およびTomadol(登録商標)901は、Evonik Corp.からのものであり、脂肪アルコールポリアルキレングリコールエーテルを有するPropetal 160は、Zschimmer and Schwarzからのものであり、ポリエチレングリコールポリマーは、200~5000のMWを有し、Neodol 91は、Shell Chemicalからのものであった。サンプル1~4は、特定の「R」および「平均n」の範囲内に含まれる構造を有する化合物の混合物を含み得る。「R」は、線状アルキル基の炭素数の範囲を示し、「平均n」は、各サンプル中のエトキシ単位の範囲または平均数である。Genapolタイプは、Clairantの製品であった。
【0083】
エトキシル化アルコールを含まないポリオール混合物は2時間に満たない内に不安定になった。式HO-(CH2CH2O)4Hを有するDow ChemicalからのCARBOWAX(商標)ポリエチレングリコール(PEG)200などの他の化合物は、ポリオール混合物中に組み合わせても、混合物を安定化しなかった。
【0084】
この実施例は、特定の構造要件を満たすエトキシル化アルコールのみが少なくとも24時間にわたって疎水性および親水性ポリオール分散液を安定化し得ることを説明する。
【0085】
実施例3
エトキシル化アルコールを含む場合と含まない場合のポリウレタンフォームの物性
ASTM 3574に従って物性を測定した。実施例1のサンプル1の物性を測定し、表6に示す。
【0086】
【0087】
表6のデータは、本発明のエトキシル化アルコールを含めても発泡速度に影響を及ぼさないことを示している。それはまた、得られたポリウレタンフォームの物性に悪影響を及ぼさない。
【0088】
実施例4
実施例1の手順に従ってポリオールA50重量%とポリオールC50重量%とのポリオール混合物を調製するために、異なるアルキル基、エトキシ単位、ひいては明確なHLB値を有するエトキシル化アルコールを用いた。形成された混合物の安定性に及ぼす効果を、実施例1の目視検査方法に従って比較し、その結果を表7に列挙する。試験した全てのエトキシル化アルコールは以下の式に適合する:
RO(CH2CH2O)nH[式中、Rは、線状または分岐状アルキルであり、nは、1以上10以下の整数である]。
【0089】
【0090】
本発明を上記の実施例を参照して説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更がなされてもよく、それらの要素の代わりに等価物を用いてもよいことは当業者によって理解されるだろう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために多くの修正を加えることができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために企図された最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲内にある全ての実施形態を含むことが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリオキシエチレン含有量が異なる少なくとも2種のポリオールと、
b)触媒と、
c)以下の式:RO(CH2CH2O)nH
[式中、Rは、C9~C15線状または分岐状アルキルであり、
nは、1以上の整数である]の少なくとも1種のエトキシル化アルコールと
を含むポリオール混合物であって、ここで、少なくとも1種のエトキシル化アルコールは、3.7以上17.9以下の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する、ポリオール混合物。
【請求項2】
少なくとも1種のポリオールが、天然資源から誘導され、第二のポリオールが、ポリオキシレンまたはポリマーポリオールを含有する、請求項1記載のポリオール混合物。
【請求項3】
以下の工程:
a)少なくとも1種のポリオキシプロピレン系ポリオールと、ポリオキシエチレン系ポリオールと、以下の式:RO(CH2CH2O)nH
[式中、Rは、C9~C15線状または分岐状アルキルであり、nは、1以上の整数である]の少なくとも1種のエトキシル化アルコールとを組み合わせる工程であって、ここで、少なくとも1種のエトキシル化アルコールは、3.7以上17.9以下の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する、工程と、
b)安定な一相混合物が形成されるまで工程a)の混合物を混合する工程と
を含む、ポリオール混合物を調製する方法。
【請求項4】
ポリオキシプロピレン系ポリオールおよびポリオキシエチレン系ポリオールを、さらに天然資源系ポリオールと組み合わせる、請求項3記載の方法。
【請求項5】
以下の工程:
a)請求項1または2記載のポリオール混合物、少なくとも1種の発泡剤、少なくとも1種のアミン触媒、少なくとも1種の金属触媒、および少なくとも1種のシリコーン界面活性剤を含むプレミックスを形成する工程と、
b)プレミックスを、イソシアネート指数が80~150の少なくとも1種のイソシアネートと接触させる工程と
を含む、ポリウレタンフォームを調製する方法。