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特開2022-185072マイクロ流体送達構成要素を備えるエアロゾル送達デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185072
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】マイクロ流体送達構成要素を備えるエアロゾル送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/48 20200101AFI20221206BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20221206BHJP
   A24F 40/44 20200101ALI20221206BHJP
【FI】
A24F40/48
A24F40/10
A24F40/44
【審査請求】有
【請求項の数】31
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160014
(22)【出願日】2022-10-04
(62)【分割の表示】P 2020190709の分割
【原出願日】2016-03-09
(31)【優先権主張番号】14/643,626
(32)【優先日】2015-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516097871
【氏名又は名称】アール・エイ・アイ・ストラテジック・ホールディングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ベンソン・シアーズ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エフ・デイビス
(72)【発明者】
【氏名】カレン・ブイ・タラスキー
(72)【発明者】
【氏名】イー-ピン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】エリック・テイラー・ハント
(72)【発明者】
【氏名】アンドリーズ・ドン・セバスティアン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本開示は、マイクロ流体気化器、このような気化器を含み得るエアロゾル送達デバイス、及びエアロゾルを形成するための方法に関する。
【解決手段】マイクロ流体気化器は、液体を保持するように構成された液溜め、液体を気化させるように適合されたヒータ、及び液溜めからヒータへの液体の移動用に構成された毛細管流路、を画定する基板を備えることができる。エアロゾル送達デバイスは、外殻及びマイクロ流体気化器を備えることができる。マイクロ流体気化器及びエアロゾル送達デバイスは、正確かつ再生可能な組成物でエアロゾルを形成するために使用され得る。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を保持するように構成された液溜め、前記液体を気化させるように適合されたヒータ、及び前記液溜めから前記ヒータへの前記液体の移動用に構成された毛細管流路、を画定する基板を備える、マイクロ流体気化器。
【請求項2】
前記基板を覆うカバーをさらに備える、請求項1に記載のマイクロ流体気化器。
【請求項3】
前記カバーの少なくとも一部が、蒸気透過性かつ液体不透過性である、請求項2に記載のマイクロ流体気化器。
【請求項4】
前記基板が、前記液溜めから前記毛細管流路を経る前記ヒータへの前記液体の受動移送用に適合されている、請求項1に記載のマイクロ流体気化器。
【請求項5】
バルブ、ポンプ、ヒータ、電場フォーマ、刺激応答性材料、及びそれらの組合せから成るグループから選択された能動輸送要素をさらに備える、請求項1に記載のマイクロ流体気化器。
【請求項6】
前記液体が、エアロゾル送達デバイスにおける使用に適した、エアロゾル前駆体組成物、またはそれの構成成分である、請求項1に記載のマイクロ流体気化器。
【請求項7】
前記液体が、1つ以上のフレーバを含む、請求項1に記載のマイクロ流体気化器。
【請求項8】
前記1つ以上のフレーバが、ニコチンを含む、請求項7に記載のマイクロ流体気化器。
【請求項9】
前記液体が、エアロゾルフォーマを含む、請求項1に記載のマイクロ流体気化器。
【請求項10】
前記エアロゾルフォーマが、水、グリセリン、プロピレングリコール、及びそれらの組合せから成るグループから選択される、請求項9に記載のマイクロ流体気化器。
【請求項11】
前記基板が、複数のヒータを備える、請求項1に記載のマイクロ流体気化器。
【請求項12】
前記基板が、複数の液溜めを備える、請求項1に記載のマイクロ流体気化器。
【請求項13】
エアロゾルフォーマが入っている第1の液溜め、及び1つ以上のフレーバが入っている第2の液溜めを備える、請求項1に記載のマイクロ流体気化器。
【請求項14】
前記第1の液溜め及び前記第2の液溜めが、前記毛細管流路を介して前記ヒータと流体連通している、請求項13に記載のマイクロ流体気化器。
【請求項15】
前記第1の液溜めが、第1の毛細管流路を介して第1のヒータと流体連通しており、前記第2の液溜めが、第2の毛細管流路を介して第2のヒータと流体連通している、請求項13に記載のマイクロ流体気化器。
【請求項16】
前記基板が、1つ以上の電気接続をさらに備える、請求項1に記載のマイクロ流体気化器。
【請求項17】
前記液溜め及び前記毛細管流路が、前記基板にエッチングされている、請求項1に記載のマイクロ流体気化器。
【請求項18】
前記ヒータが、前記毛細管流路の少なくとも一部の下にある、請求項1に記載のマイクロ流体気化器。
【請求項19】
複数の毛細管流路を備え、前記毛細管流路が前記基板から放射状に延在する、請求項1に記載のマイクロ流体気化器。
【請求項20】
前記毛細管流路の終端に位置付けられた複数のヒータを備える、請求項19に記載のマイクロ流体気化器。
【請求項21】
前記基板が、実質的にチップの形態である、請求項1に記載のマイクロ流体気化器。
【請求項22】
外殻と、
請求項1から21のいずれか一項に記載のマイクロ流体気化器と、を備える、エアロゾル送達デバイス。
【請求項23】
外殻と、
マイクロ流体気化器であって、
基板、
前記基板に形成された複数の液体フレーバ溜め、
前記液体フレーバ溜め内に位置付けられた複数の液体フレーバ、
前記基板に形成された液体エアロゾルフォーマ溜め、
前記液体エアロゾルフォーマ溜め内の液体エアロゾルフォーマ、
ヒータ、
前記液体フレーバ及び前記液体エアロゾルフォーマの前記ヒータへの移動用に構成された複数の毛細管流路、ならびに
1つ以上の電気接続、を備える、マイクロ流体気化器と、を備える、エアロゾル送達デバイス。
【請求項24】
前記複数の液体フレーバが、ニコチンを含む、請求項23に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項25】
前記ニコチンが、第1の液体フレーバ溜め内に位置付けられており、少なくとも1つのさらなる液体フレーバが、第2の液体フレーバ溜め内に位置付けられている、請求項24に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項26】
前記デバイスが、複数のヒータを備える、請求項23に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項27】
第1の毛細管流路が、第1のヒータへの前記液体エアロゾルフォーマの移動用に構成されており、第2の毛細管流路が、第2のヒータへの前記液体フレーバのうちの少なくとも1つの移動用に構成されている、請求項26に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項28】
別々の液体フレーバが、別々の液体フレーバ溜め内に位置付けられている、請求項23に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項29】
前記マイクロ流体気化器が、前記基板を覆うカバーをさらに備える、請求項23に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項30】
前記カバーの少なくとも一部が、蒸気透過性かつ液体不透過性である、請求項29に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項31】
バルブ、ポンプ、ヒータ、電場フォーマ、刺激応答性材料、及びそれらの組合せから成るグループから選択された能動輸送要素をさらに備える、請求項23に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項32】
前記マイクロ流体気化器と流体連通している容器をさらに備え、前記容器が、1つ以上のエアロゾル前駆体構成成分を含む、請求項22から31のいずれか一項に記載のエアロル送達デバイス。
【請求項33】
マイクロコントローラをさらに備える、請求項22から31のいずれか一項に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項34】
前記マイクロコントローラに制御命令を与えるように適合された入力をさらに備える、請求項33に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項35】
前記デバイスが、前記マイクロ流体気化器を備える第1の外殻、及び電源を備える第2の外殻、を備える、請求項22から31のいずれか一項に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項36】
吸い口をさらに備える、請求項22から31のいずれか一項に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項37】
エアロゾルを形成する方法であって、
請求項22から36のいずれか一項に記載のエアロゾル送達デバイスを提供することと、
規定の一定分量の前記液体エアロゾルフォーマ、及び規定の一定分量の前記液体フレーバのうちの少なくとも1つを、前記毛細管流路を経て前記ヒータに移動させる制御信号を、前記マイクロ流体気化器に送達することと、
前記ヒータに、前記ヒータに送達された前記液体エアロゾルフォーマ及び前記液体フレーバを加熱させ、気化させる制御信号を、前記マイクロ流体気化器に送達することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、喫煙物品などのエアロゾル送達デバイスに関し、より具体的には、エアロゾルの発生に電気的に発生させた熱を利用し得るエアロゾル送達デバイス(たとえば、一般的に、電子タバコと呼ばれる喫煙物品)に関する。喫煙物品は、タバコから作られ得るかまたはタバコに由来し得る材料を組み込み得る、あるいはタバコを組み込み得る、エアロゾル前駆体を熱するように構成され得、前駆体は、ヒトの消費用の吸い込み可能な物質を形成することができる。
【背景技術】
【0002】
使用の際、タバコを燃焼させることを必要とする喫煙製品における改善として、またはその代替えとして、多くの喫煙デバイスが何年にもわたって提案されてきた。それらのデバイスの多くは、紙巻きタバコ、葉巻、またはパイプの喫煙に関連した感覚をもたらすが、しかしタバコの燃料からもたらされるかなりの量の不完全燃焼生成物及び熱分解生成物を送達することのないように意図的に設計されてきた。このために、揮発性材料を気化させる、または熱するのに、または、それほどタバコを燃やすことなく紙巻きタバコ、葉巻、もしくはパイプの喫煙感覚を与えようとするのに、電気エネルギーを利用する数多くの喫煙製品、フレーバ発生器、及び薬用吸入器が提案されてきた。たとえば、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている、Robinsonらによる米国特許第7,726,320号、Griffith Jr.らによる米国特許出願公開第2013/0255702号、及び2012年10月8日に出願されたSearsらによる米国特許出願第13/647,000号において説明されている、背景技術に明記の様々な代替的な喫煙物品、エアロゾル送達デバイス、及び発熱源を参照されたい。また、たとえば、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2014年2月3日に出願されたBlessらによる米国特許出願第14/170,838号において、商標名及び商業的供給源により言及されている、様々なタイプの喫煙物品、エアロゾル送達デバイス、及び電動発熱源も参照されたい。
【0003】
エアロゾル送達デバイスにおける使用に、エアロゾル前駆体組成物用の液溜めが設けられるのが望ましく、エアロゾル送達デバイスの形態を改善するために、液溜めが設けられる。このような液溜めを利用して準備されるエアロゾル送達デバイスを提供することも望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,726,320号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/0255702号明細書
【発明の概要】
【0005】
本開示は、蒸気の形成で使用され得るマイクロ流体デバイスに関する。このようなマイクロ流体デバイスは、エアロゾル送達デバイスにおける気化器として特に有用である。本明細書において説明されるようなマイクロ流体気化器は、エアロゾル組成物に対する正確な制御をもたらし、エアロゾル送達デバイスにおいて所望の回数のエアロゾルのふかしを形成するのに必要とされ得る液体量を少なく済ませ、またエアロゾルを提供するのに要求される電力消費量を低減するのに有益であり得る。本開示は、具体的には、本明細書に記載されるマイクロ流体気化器を組み込み得るエアロゾル送達デバイスとともに、蒸気及びエアロゾル形成の方法、マイクロ流体気化器を作る方法、及びエアロゾル送達デバイスを作る方法にさらに関する。
【0006】
いくつかの実施形態において、本開示は、液体を保持するように構成された液溜め、液体を気化させるように適合されたヒータ、及び液溜めからヒータへの液体の移動用に構成された毛細管流路、を画定する基板を備えるマイクロ流体気化器を提供する。マイクロ流体気化器は、それらのうちのいずれか2つ以上が組み合わされ得る、以下の記述に従ってさらに構成され得る。
【0007】
マイクロ流体気化器は、基板を覆うカバーをさらに備えることができる。カバーの少なくとも一部は、蒸気透過性かつ液体不透過性とすることができる。
【0008】
マイクロ流体気化器の基板は、液溜めから毛細管流路を経るヒータへの液体の受動移送用に適合され得る。
【0009】
マイクロ流体気化器は、バルブ、ポンプ、ヒータ、電場フォーマ、刺激応答性材料、及びそれらの組合せから成るグループから選択される能動輸送要素をさらに備えることができる。
【0010】
マイクロ流体気化器内の液体は、エアロゾル前駆体組成物またはそれの構成成分とすることができる。液体は、1つ以上のフレーバを含むことができる。1つ以上のフレーバには、ニコチン、特にタバコ由来のニコチンが含まれ得る。液体は、エアロゾルフォーマを含むことができる。エアロゾルフォーマは、水、グリセリン、プロピレングリコール、及びそれらの組合せから成るグループから選択され得る。
【0011】
マイクロ流体気化器の基板は、複数のヒータを備えることができる。
【0012】
マイクロ流体気化器の基板は、複数の液溜めを備えることができる。
【0013】
マイクロ流体気化器は、エアロゾルフォーマが入っている第1の液溜め、及び1つ以上のフレーバが入っている第2の液溜めを備えることができる。第1の液溜め及び第2の液溜めは、毛細管流路を介してヒータと流体連通しているとすることができる。第1の液溜めは、第1の毛細管流路を介して第1のヒータと流体連通しているとすることができ、第2の液溜めは、第2の毛細管流路を介して第2のヒータと流体連通しているとすることができる。あるいは、第1及び第2の液溜めは、同じヒータと流体連通していてもよい。任意の個数の液溜め、毛細管流路、及びヒータが任意の組合せにおいて使用され得、所与の実施形態における各要素の相対個数は、変わることがある。
【0014】
マイクロ流体気化器の基板は、1つ以上の電気接続ピンをさらに備えることができる。
【0015】
マイクロ流体気化器の基板によって画定された液溜め(複数可)及び/または毛細管流路(複数可)は、基板にエッチングされ得る。液溜め(複数可)及び/または毛細管流路(複数可)は、本明細書においてさらに説明されるような任意のさらなる適切な方法によって基板に形成されてもよい。
【0016】
マイクロ流体気化器のヒータは、毛細管流路の少なくとも一部の下にあることができる。
【0017】
マイクロ流体気化器は、複数の毛細管流路を備えることができる。複数の毛細管流路は、基板から放射状に延在することができる。マイクロ流体気化器は、毛細管流路の終端に位置付けられた複数のヒータを備えることができる。ヒータは、実質的に円盤形状とすることができるか、またはさらなる形状を有してもよい。毛細管流路は、毛細管流路の終端に位置付けられたヒータ内に形成され得る。
【0018】
マイクロ流体気化器の基板は、実質的にチップの形態とすることができる。このような形態因子は、Si及びSiOを含むがそれらに限定されない材料を含んでもよい。
【0019】
いくつかの実施形態において、本開示は、エアロゾル送達デバイスを提供する。エアロゾル送達デバイスは、外殻と、本明細書において説明されるいずれかの実施形態または実施形態の組合せによるマイクロ流体気化器と、を備えることができる。エアロゾル送達デバイスは、それらのうちのいずれか2つ以上が組み合わされてもよい、以下の記述に従ってさらに構成されてもよい。
【0020】
エアロゾル送達デバイスは、マイクロ流体気化器を含む第1の外殻、及び電源を含む第2の外殻を備えることができる。
【0021】
エアロゾル送達デバイスは、吸い口をさらに備えることができる。
【0022】
エアロゾル送達デバイスは、マイクロコントローラをさらに備えることができる。
【0023】
エアロゾル送達デバイスは、マイクロコントローラに制御命令を与えるように適合された入力を備えることができる。入力は、タッチスクリーンとすることができる。入力は、スマートフォンまたはタブレットなどのコンピュータまたはハンドヘルドコンピューティングデバイスにインストールされる、APPまたはその他のコンピュータプログラムとすることができる。入力は、1つ以上の押しボタンを備えることができる。
【0024】
いくつかの実施形態において、エアロゾル送達デバイスは、外殻と、マイクロ流体気化器であって、基板、基板に形成された1つまたは複数の液体フレーバ溜め、液体フレーバ溜め内に位置付けられた1つまたは複数の液体フレーバ、基板に形成された1つまたは複数の液体エアロゾルフォーマ溜め、液体エアロゾルフォーマ溜め(複数可)内の液体エアロゾルフォーマ、1つまたは複数のヒータ、液体フレーバ(複数可)及び液体エアロゾルフォーマのヒータ(複数可)への移動用に構成された複数の毛細管流路、及び1つ以上の電気接続を備える、マイクロ流体気化器と、を備えることができる。エアロゾル送達デバイスは、それらのうちのいずれか2つ以上が組み合わせられてもよい、以下の記述に従ってさらに構成されてもよい。
【0025】
液体フレーバにはニコチンが含まれ得るように、エアロゾル送達デバイスは構成され得る。ニコチンは、第1の液体フレーバ溜め内に位置付けられ得、少なくとも1つのさらなる液体フレーバは、第2の液体フレーバ溜め内に位置付けられ得る。
【0026】
エアロゾル送達デバイスは、複数のヒータを備えることができる。第1の毛細管流路が、液体エアロゾルフォーマの第1のヒータへの移動用に構成され得、また第2の毛細管流路が、液体フレーバのうちの少なくとも1つの第2のヒータへの移動用に構成され得るように、エアロゾル送達デバイスが形成され得る。さらなる実施形態において、複数の毛細管流路が、エアロゾル前駆体組成物(または、E-リキッド)の色々な構成成分の同じヒータへの移動用に構成され得る。
【0027】
別々の液体フレーバが、別々の液体フレーバ溜め内に位置付けられ得るように、エアロゾル送達デバイスは構成され得る。
【0028】
エアロゾル送達デバイスは、マイクロコントローラをさらに備えることができる。エアロゾル送達デバイスは、マイクロコントローラに制御命令を与えるように適合された入力をさらに備えることができる。
【0029】
マイクロ流体気化器が基板を覆うカバーをさらに備えることができるように、エアロゾル送達デバイスは構成され得る。カバーの少なくとも一部が蒸気透過性かつ液体不透過性とすることができるように、エアロゾル送達デバイスは構成され得る。
【0030】
エアロゾル送達デバイスは、バルブ、ポンプ、ヒータ、電場フォーマ、刺激応答性材料、及びそれらの組合せから成るグループから選択された能動輸送要素をさらに備えることができる。能動輸送要素は、基板によって画定され得るか、あるいは、外殻に含まれ、また基板における液体輸送を有効にするために、基板と能動連通していてもよい。
【0031】
エアロゾル送達デバイスは、マイクロ流体気化器と流体連通しており、容器によって、または容器内に保持される1つ以上のエアロゾル前駆体構成成分を含むことのできる、容器をさらに備えることができる。この容器は、マイクロ流体液溜めに対して実質的に直角に位置付けられていてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、本開示は、エアロゾルを形成する方法を提供する。例示的な実施形態として、エアロゾルを形成する方法は、本明細書に説明されるいずれかの実施形態または実施形態の組合せによるエアロゾル送達デバイスを提供することと、規定の一定分量の液体エアロゾルフォーマ、また任意選択で、規定の一定分量の少なくとも1つの液体フレーバを、1つ以上の毛細管流路を経る1つ以上のヒータに移動させる制御信号を、マイクロ流体気化器に伝達することと、ヒータ(複数可)に、ヒータ(複数可)に送達された液体エアロゾルフォーマ及びいずれかの任意選択の液体フレーバを加熱させ、気化させる制御信号を、マイクロ流体気化器に伝達することと、を含むことができる。
【0033】
本発明は、以下の実施形態を含むがこれらに限定されない。
【0034】
実施形態1:液体を保持するように構成された液溜め、液体を気化させるように適合されたヒータ、及び液溜めからヒータへの液体の移動用に構成された毛細管流路、を画定する基板を備える、マイクロ流体気化器。
【0035】
実施形態2:基板を覆うカバーをさらに備える、いずれかの前述または後述の実施形態による、マイクロ流体気化器。
【0036】
実施形態3:カバーの少なくとも一部が、蒸気透過性かつ液体不透過性である、いずれかの前述または後述の実施形態による、マイクロ流体気化器。
【0037】
実施形態4:基板が、液溜めから毛細管流路を経るヒータへの液体の受動移送用に適合されている、いずれかの前述または後述の実施形態による、マイクロ流体気化器。
【0038】
実施形態5:バルブ、ポンプ、ヒータ、電場フォーマ、刺激応答性材料、及びそれらの組合せから成るグループから選択された能動輸送要素をさらに備える、いずれかの前述または後述の実施形態による、マイクロ流体気化器。
【0039】
実施形態6:液体が、エアロゾル送達デバイスにおける使用に適した、エアロゾル前駆体組成物、またはそれの構成成分である、いずれかの前述または後述の実施形態による、マイクロ流体気化器。
【0040】
実施形態7:液体が1つ以上のフレーバを含む、いずれかの前述または後述の実施形態による、マイクロ流体気化器。
【0041】
実施形態8:1つ以上のフレーバにはニコチンが含まれる、いずれかの前述または後述の実施形態による、マイクロ流体気化器。
【0042】
実施形態9:液体がエアロゾルフォーマを含む、いずれかの前述または後述の実施形態による、マイクロ流体気化器。
【0043】
実施形態10:エアロゾルフォーマが、水、グリセリン、プロピレングリコール、及びそれらの組合せから成るグループから選択される、いずれかの前述または後述の実施形態による、マイクロ流体気化器。
【0044】
実施形態11:基板が複数のヒータを備える、いずれかの前述または後述の実施形態による、マイクロ流体気化器。
【0045】
実施形態12:基板が複数の液溜めを備える、いずれかの前述または後述の実施形態による、マイクロ流体気化器。
【0046】
実施形態13:エアロゾルフォーマが入っている第1の液溜め、及び1つ以上のフレーバが入っている第2の液溜めを備える、いずれかの前述または後述の実施形態による、マイクロ流体気化器。
【0047】
実施形態14:第1の液溜め及び第2の液溜めが、毛細管流路を介してヒータと流体連通している、いずれかの前述または後述の実施形態による、マイクロ流体気化器。
【0048】
実施形態15:第1の液溜めが、第1の毛細管流路を介して第1のヒータと流体連通しており、第2の液溜めが、第2の毛細管流路を介して第2のヒータと流体連通している、いずれかの前述または後述の実施形態による、マイクロ流体気化器。
【0049】
実施形態16:基板が1つ以上の電気接続をさらに備える、いずれかの前述または後述の実施形態による、マイクロ流体気化器。
【0050】
実施形態17:液溜め及び毛細管流路が基板にエッチングされている、いずれかの前述または後述の実施形態による、マイクロ流体気化器。
【0051】
実施形態18:ヒータが毛細管流路の少なくとも一部の下にある、いずれかの前述または後述の実施形態による、マイクロ流体気化器。
【0052】
実施形態19:複数の毛細管流路を備え、毛細管流路が基板から放射状に延在する、いずれかの前述または後述の実施形態による、マイクロ流体気化器。
【0053】
実施形態20:毛細管流路の終端に位置付けられた複数のヒータを備える、いずれかの前述または後述の実施形態による、マイクロ流体気化器。
【0054】
実施形態21:基板が実質的にチップの形態である、いずれかの前述の実施形態による、マイクロ流体気化器。
【0055】
実施形態22:外殻と、請求項いずれかの前述の実施形態によるマイクロ流体気化器と、を備える、エアロゾル送達デバイス。
【0056】
実施形態23:デバイスが、マイクロ流体気化器を含む第1の外殻、及び電源を含む第2の外殻を備える、いずれかの前述または後述の実施形態による、エアロゾル送達デバイス。
【0057】
実施形態24:吸い口をさらに備える、いずれかの前述または後述の実施形態による、エアロゾル送達デバイス。
【0058】
実施形態25:マイクロコントローラをさらに備える、いずれかの前述または後述の実施形態による、エアロゾル送達デバイス。
【0059】
実施形態26:マイクロコントローラに制御命令を与えるように適合された入力をさらに備える、いずれかの前述または後述の実施形態による、エアロゾル送達デバイス。
【0060】
実施形態27:マイクロ流体気化器と流体連通している容器をさらに備え、容器が1つ以上のエアロゾル前駆体構成成分を含む、いずれかの前述または後述の実施形態による、エアロゾル送達デバイス。
【0061】
実施形態28:外殻と、マイクロ流体気化器であって、基板、基板に形成された複数の液体フレーバ溜め、液体フレーバ溜め内に位置付けられた複数の液体フレーバ、基板に形成された液体エアロゾルフォーマ溜め、液体エアロゾルフォーマ溜め内の液体エアロゾルフォーマ、ヒータ、液体フレーバ及び液体エアロゾルフォーマのヒータへの移動用に構成された複数の毛細管流路、及び1つ以上の電気接続を備える、マイクロ流体気化器と、を備える、エアロゾル送達デバイス。
【0062】
実施形態29:複数の液体フレーバにはニコチンが含まれる、いずれかの前述または後述の実施形態による、エアロゾル送達デバイス。
【0063】
実施形態30:ニコチンが、第1の液体フレーバ溜め内に位置付けられており、少なくとも1つのさらなる液体フレーバが、第2の液体フレーバ溜め内に位置付けられている、いずれかの前述または後述の実施形態による、エアロゾル送達デバイス。
【0064】
実施形態31:デバイスが複数のヒータを備える、いずれかの前述または後述の実施形態による、エアロゾル送達デバイス。
【0065】
実施形態32:第1の毛細管流路が、液体エアロゾルフォーマの第1のヒータへの移動用に構成されており、第2の毛細管流路が、液体フレーバのうちの少なくとも1つの第2のヒータへの移動用に構成されている、いずれかの前述または後述の実施形態による、エアロゾル送達デバイス。
【0066】
実施形態33:別々の液体フレーバが、別々の液体フレーバ溜め内に位置付けられている、いずれかの前述または後述の実施形態による、エアロゾル送達デバイス。
【0067】
実施形態34:マイクロコントローラをさらに備える、いずれかの前述または後述の実施形態による、エアロゾル送達デバイス。
【0068】
実施形態35:マイクロコントローラに制御命令を与えるように適合された入力をさらに備える、いずれかの前述または後述の実施形態による、エアロゾル送達デバイス。
【0069】
実施形態36:マイクロ流体気化器が、基板を覆うカバーをさらに備える、いずれかの前述または後述の実施形態による、エアロゾル送達デバイス。
【0070】
実施形態37:カバーの少なくとも一部が、蒸気透過性かつ液体不透過性である、いずれかの前述または後述の実施形態による、エアロゾル送達デバイス。
【0071】
実施形態38:バルブ、ポンプ、ヒータ、電場フォーマ、刺激応答性材料、及びそれらの組合せから成るグループから選択された能動輸送要素をさらに備える、いずれかの前述または後述の実施形態による、エアロゾル送達デバイス。
【0072】
実施形態39:マイクロ流体気化器と流体連通している容器をさらに備え、容器が1つ以上のエアロゾル前駆体構成成分含む、いずれかの前述または後述の実施形態による、エアロゾル送達デバイス。
【0073】
実施形態40:エアロゾルを形成する方法であって、いずれかの前述の実施形態によるエアロゾル送達デバイスを提供することと、規定の一定分量の液体エアロゾルフォーマ及び規定の一定分量の液体フレーバのうちの少なくとも1つを、毛細管流路を経てヒータに移動させる制御信号を、マイクロ流体気化器に伝達することと、ヒータに、ヒータに送達された液体エアロゾルフォーマ及び液体フレーバを加熱させ、気化させる制御信号を、マイクロ流体気化器に伝達することと、を含む、方法。
【0074】
本開示のこれら及びその他の特徴、態様及び利点は、以下に簡潔に説明される添付図面と併せて、以下の発明を実施するための形態を読むことから明らかになるであろう。本発明は、上述の実施形態のうちの2つ、3つ、4つ、またはそれより多い実施形態の任意の組合せとともに、本開示に明記されるいずれか2つ、3つ、4つ、またはそれより多い特徴もしくは要素の任意の組合せを、そのような特徴または要素が本明細書における特定の実施形態説明において明示的に組み合わされているか否かに関係なく、含む。その様々な態様及び実施形態のいずかにおける、開示された本発明のいずれの分離可能な特徴または要素も、文脈から判断して明らかにそうではないと分からない限り、組合せ可能であることを意図としていると見なされるべきであるように、本開示は、全体論的に読まれることを意図としている。
【0075】
このように、本開示を上記の一般項目において説明したが、ここで、必ずしも正確な縮尺率ではない以下の添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1】本開示の実施形態例による、カートリッジと、マイクロ流体気化器を含む制御本体と、を備えるエアロゾル送達デバイスの部分切断図である。
図2】本開示の実施形態例による、吸い口付き外殻及びマイクロ流体気化器を備える、エアロゾル送達デバイスの部分切断図である。
図3】本開示の実施形態例による、マイクロ流体気化器の部分分解図である。
図4】本開示の実施形態例による、さらなるマイクロ流体気化器の部分分解図である。
図5】本開示の実施形態例による、複数の液溜めを備えるマイクロ流体気化器の上面図である。
図6】本開示の実施形態例による、1つのヒータの周りに放射状に位置付けられた複数の液溜めを備えるマイクロ流体気化器の上面図である。
図7】本開示の実施形態例による、複数の液溜め及び複数の専用ヒータを備えるマイクロ流体気化器の上面図である。
図8】本開示の実施形態例による、そこから放射状に延在する複数の毛細管流路を有する液溜めを備え、それの終端に位置付けられた複数のヒータを有する、マイクロ流体液溜めの斜視図である。
図9】ヒータ床に形成された加熱要素を覆い、微小穿孔を含むヒータカバー(図を分かりやすくするために、ヒータから取り外した状態で示される)を有する、毛細管流路を有する、ほぼ円盤形態のヒータの上面図であり、ヒータは、本開示の実施形態例に従っている。
【発明を実施するための形態】
【0077】
ここで、本開示は、それの例示的な実施形態に関連して以下により十分に説明される。本開示が、詳細かつ完璧になるように、また、当業者に本開示の範囲を完全に伝えるように、これらの例示的な実施形態が説明される。確かに、本開示は、多くの色々な形態で具体化されてもよく、本明細書に明記された実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、本開示が該当の法的要件を満たすように、これらの実施形態が提供される。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される際、単数形「a」、「an」、「the」は、文脈から判断して明らかにそうでないと分からない限り、複数指示対象を含む。
【0078】
以下に説明されるように、本開示の実施形態は、エアロゾル送達システムに関する。本開示によるエアロゾル送達システムは、電気エネルギーを使用して、材料を加熱し(好ましくは、それほど材料を燃焼させることなく、かつ/または材料のそれほどの化学変質もなく)、吸い込み可能な物質を形成し、このようなシステムの構成要素は、ハンドヘルドデバイスと見なされるほど小型であるのが最も好ましい物品形態を有する。すなわち、好ましいエアロゾル送達システムの構成要素の使用は、煙、すなわち、タバコの燃焼または熱分解の副生成物からの煙の発生をもたらさないが、むしろ、これらの好ましいシステムの使用は、そこに組み込まれたいくつかの構成成分の揮発または気化からもたらされる蒸気の発生をもたらす。好ましい実施形態において、エアロゾル送達システムの構成要素は、電子タバコとして特徴付けられてもよく、それらの電子タバコは、タバコ及び/またはタバコ由来の構成成分を組み込むのが最も好ましく、したがって、エアロゾル形態でタバコ由来の構成成分を送達する。
【0079】
いくつかの好ましいエアロゾル送達システムのエアロゾル発生ピースは、それのいずれの構成成分もそれほど燃焼させることなく、タバコに火を点けて燃やす(したがって、タバコの煙を吸い込む)ことによって使用される、紙巻きタバコ、葉巻、またはパイプを吸うことの感覚(たとえば、吸い込み吐き出し儀式、味またはフレーバの種類、官能的効果、体感、使用儀式、見えるエアロゾルによって与えられるものなどの視覚的合図、及び同様のもの)のうちの多くをもたらし得る。たとえば、本開示のエアロゾル発生ピースの使用者は、喫煙者が従来のタイプの喫煙物品を使用するのとそっくりに、そのピースを加えて使用し、そのピースによって発生するエアロゾルの吸い込み用のそのピースの片端を吸い、おまかせの時間間隔でふかすまたは吸う、ことなどができる。
【0080】
本開示のエアロゾル送達デバイスはまた、蒸気発生物品または薬剤送達物品であるとして特徴付けられ得る。したがって、このような物品またはデバイスは、1つ以上の物質(たとえば、フレーバ及び/または医薬品有効構成成分)を吸い込み可能な形態または状態で提供するように適合され得る。たとえば、吸い込み可能な物質は、実質的に蒸気の形態とすることができる(すなわち、その臨界点よりも低い温度において気相にある物質)。あるいは、吸い込み可能な物質は、エアロゾルの形態とすることができる(すなわち、気体中の微細固体粒子または液滴の懸濁物)。簡単にするために、本明細書において使用される際の「aerosol(エアロゾル)」という用語は、可視であってもなくても、また煙のようだと思われる可能性のある形態であってもなくても、ヒトが吸い込むのに適した形態またはタイプの蒸気、気体、及びエアロゾルを含むことを意図としている。
【0081】
本開示のエアロゾル送達デバイスは、ハウジングと呼ばれ得る、外装体または外殻内に設けられたいくつかの構成要素を一般に含む。外装体または外殻の全体設計は、変わることがあり、エアロゾル送達デバイスの全体サイズ及び全体形状を画定することのできる外装体の形式または構成も、変わることがある。通常、紙巻きタバコまたは葉巻の形状に似ている細長い本体は、1つの一体のハウジングから形成され得るか、または、細長いハウジングが、2つ以上の分離可能な本体で形成され得る。たとえば、エアロゾル送達デバイスは、実質的に管形状とすることができる細長い外殻または本体を備えることができ、したがって従来の紙巻きタバコまたは葉巻の形状に似ていることがある。1つの実施形態において、エアロゾル送達デバイスの構成要素のすべては、1つのハウジング内に含まれる。あるいは、エアロゾル送達デバイスは、接合される、また分離可能である2つ以上のハウジングを備えることができる。たとえば、エアロゾル送達デバイスは、片端に、1つ以上の再使用可能な構成要素(たとえば、充電式電池、及びその物品の動作を制御するための様々な電子機器)を含むハウジングを備える制御本体を、またもう一方の端に、それに着脱可能に取り付けられた使い捨て部分(たとえば、フレーバやエアロゾルフォーマなどの1つ以上のエアロゾル前駆体構成成分を含む使い捨てカートリッジ)を含む外装体または外殻を、具備することができる。
【0082】
本開示のエアロゾル送達デバイスは、実質的に管形状ではないが、実質的により大きな寸法に形成され得る、外側ハウジングまたは外殻で形成され得る。ハウジングまたは外殻は、吸い口を含むように構成され得、かつ/または、液体エアロゾルフォーマなどの消費可能要素を含むことができ、また気化器を含むことのできる別個の外殻(たとえば、カートリッジ)を受け容れるように構成されてもよい。
【0083】
本開示のエアロゾル送達デバイスは、動力源(すなわち、電源)、少なくとも1つの制御構成要素(たとえば、物品のその他の構成要素、たとえば、マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサに対する電流の流れ電源を制御することによってなど、発熱用の動力を作動する、制御する、調整する、止めるための手段)、ヒータまたは発熱部材(たとえば、単独でもしくは1つ以上のさらなる要素と組み合わせて、普通「噴霧器」と呼ばれ得る、電気抵抗加熱要素またはその他の構成要素)、エアロゾル前駆体組成物(たとえば、普通は、一般に「スモークジュース」、「E-リキッド」及び「E-ジュース」と呼ばれる成分など、十分な熱を加えることでエアロゾルを生み出すことのできる液体)、エアロゾル吸い込みの際にエアロゾル送達デバイスを吸うことを可能にする吸い口または口領域(たとえば、生成されたエアロゾルが、吸うときにそこから引き出され得るような、物品を貫通する規定の空気流路)、のある組合せを備えるのが最も好ましい。
【0084】
本開示のエアロゾル送達システム内の構成要素のより特定の形式、構成及び配置は、以下に提供されるさらなる開示に照らして、明らかになるであろう。また、本開示の背景技術セクションにおいて言及されたそれらの典型的な製品など、市販の電子エアロゾル送達デバイスを検討した上で、様々なエアロゾル送達システム構成要素の選択及び配置が理解され得る。
【0085】
本開示によるエアロゾル送達デバイス100の実施形態の一例が図1において提供される。そこに示された切断図に見られるように、エアロゾル送達デバイス100は、機能関係において永続的または着脱可能に並べられ得る制御本体102及びカートリッジ104を備えることができる。制御本体102とカートリッジ104との間の係合は、圧入(示されるように)、ネジ込み、締り嵌め、磁石、または同様の方法とすることができる。具体的には、本明細書においてさらに説明されるような接続部品が使用され得る。たとえば、制御本体は、カートリッジ上のコネクタに係合するように適合されている結合具を含んでもよい。
【0086】
特定の実施形態において、制御本体102及びカートリッジ104のうちの1つまたは両方は、使い捨てであるまたは再使用可能であるとされてもよい。たとえば、制御本体は、取り替え可能電池または充電式電池を有してもよく、このように、典型的な電気コンセントへの接続、カーチャージャ(すなわち、紙巻きタバコライタ受容部)への接続、さらにユニバーサルシリアルバス(USB:Universal Serial Bus)ケーブルを通してなどのコンピュータへの接続、を含む任意のタイプの再充電テクノロジーと組み合わせられ得る。たとえば、片端にUSBコネクタ、もう一方の端に制御本体コネクタを含むアダプタが、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2013年3月15日に出願された、Novakらによる米国特許出願第13/840,264号に開示されている。さらに、いくつかの実施形態において、カートリッジには、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2012年9月5日に出願された、Changらによる米国特許出願第13/603,612号に開示されているような、一回使用のカートリッジが含まれ得る。
【0087】
図1に示されるように、制御本体102は、制御構成要素106(たとえば、マイクロコントローラ)、流量センサ108、電池110、及びLED112を含むことのできる制御本体外殻101で形成され得、このような構成要素は、可変的に並べられ得る。LEDに加えて、またはその代わりにさらなる表示器(たとえば、触覚フィードバック構成要素、オーディオフィードバック構成要素、または同様の構成要素)が含まれ得る。視覚的合図を与える追加の典型的なタイプの構成要素、または発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)構成要素などの表示器、ならびにそれらの構成及び使用は、参照により本明細書に組み込まれている、Sprinkelらによる米国特許第5,154,192号、Newtonによる米国特許第8,499,766号、Scatterdayによる米国特許第8,539,959号、及び2014年2月5日に出願された、Searsらによる、米国特許出願第14/173,266号において説明されている。
【0088】
カートリッジ104は、特に、マイクロ流体気化器130を含むことができる。このような気化器は、本明細書において別段に説明されるような多種多様な構成を呈することができる。
【0089】
カートリッジ外殻103には(たとえば、口端に)、カートリッジ104からの形成されたエアロゾルの流出を可能にする開口部128があってもよい。このような構成要素は、カートリッジにあり得る構成要素を代表するものであり、本開示に含まれるカートリッジ構成要素の範囲を制限することを意図とするものではない。
【0090】
カートリッジ104は、集積回路、メモリ構成要素、センサ、または同様のものが含まれ得る、1つ以上の電子構成要素150も含み得る。電子構成要素150は、制御構成要素106と、かつ/または、有線手段または無線手段によって外部デバイスと、通信するように適合され得る。電子構成要素150は、カートリッジ104またはその基部140内のどこにでも位置付けられ得る。
【0091】
制御構成要素106と流量センサ108とは、別個に示されているが、空気流量センサがそれに直接取り付けられた状態での電子回路基板として、制御構成要素と流量センサとが組み合わされ得ることが分かる。さらに、電子回路基板が制御本体の中心軸に長手方向に平行であることができることから、電子回路基板は、図1の図に対して、水平に位置付けられ得る。いくつかの実施形態において、空気流量センサは、自回路基板、またはそれに空気流量センサが取り付けられ得るその他の基部要素を備えてもよい。
【0092】
制御本体102及びカートリッジ104は、それらの間の流体係合を容易にするように適合された構成要素を含み得る。図1に示されるように、制御本体102は、その中に空洞125を有する結合具124を含むことができる。カートリッジ104は、結合具124に係合するように適合された基部140を含むことができ、また、空洞125内に嵌るように適合された突出部141を含むことができる。このような係合は、制御本体102とカートリッジ104との間の安定した接続を容易にすることができるとともに、制御本体内の電池110及び制御構成要素106と、カートリッジ内のマイクロ流体気化器130との間に電気接続を確立することもできる。さらに、制御本体外殻101は、結合具の周りの、またそれが結合具の空洞125を貫通する外殻の中への、さらに突出部141を経てカートリッジ141の中への周囲空気の通過を可能にする、それが結合具124に接続する外殻内の切込みであり得る、空気取入口118を含むことができる。
【0093】
本開示による有用な結合具及び基部は、それの開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている、2013年3月15日に出願された、Novakらによる米国特許出願第13/840,264号において説明されている。たとえば、図1に見られるような結合具は、基部140の内周142と嵌合するように構成された外周126を画定し得る。1つの実施形態において、基部の内周は、結合器の外周の半径とほぼ等しい、またはそれよりわずかに大きい半径を画定し得る。さらに、結合具124は、基部の内周において画定されている1つ以上の凹部178に係合するように構成された、外周126にある1つ以上の突起部129を画定し得る。しかしながら、結合具の基部を結合するのに、構造、形状、及び構成要素のその他の様々な実施形態が採用されてもよい。いくつかの実施形態において、カートリッジ104の基部140と制御本体102の結合具124との間の接続は、実質的に永続的であってもよい一方、その他の実施形態では、たとえば、制御本体が、使い捨てかつ/または詰め替え可能であり得る1つ以上の追加のカートリッジで再使用され得るように、それら間の接続が解除可能であってもよい。
【0094】
エアロゾル送達デバイス100は、いくつかの実施形態では、実質的にロッドのようであっても、または実質的に管形状であっても、または実質的に円筒形状であってもよい。その他の実施形態において、さらなる形状及び寸法、たとえば、長方形もしくは三角形の断面、または同様のものが含まれる。
【0095】
使用中、使用者が物品100を吸うと、空気流がセンサ108により検出され、マイクロ流体気化器130が作動させられ、マイクロ流体気化器内にあるエアロゾル前駆体組成物が気化される。物品100の口端を吸うことで、周囲空気が空気取込口118に入れられ、結合具124内の空洞125及び基部140の突出部141における中央開口部を通過させられる。カートリッジ104では、吸われたた空気が形成された蒸気と結合し、エアロゾルを形成する。エアロゾルは、マイクロ流体気化器から離れ、物品100の口端にある口の開口部128の外に素早く動かされる。
【0096】
本開示による、エアロゾル送達デバイス200のさらなる例示的な実施形態が、図2に示される部分断面において図示される。エアロゾル送達デバイス200は、ほぼ長方形の形状であるが、所望により任意のさらなる形状を呈してもよい、またデバイスのさらなる要素を収容するように適切にサイズ調整される、外殻201を含む。外殻201内にはまた、電池210、マイクロコントローラ206、及びセンサ208がある。このような実施形態におけるエアロゾル送達デバイス200は、蒸気室235内に位置付けられ得るマイクロ流体気化器230を含むことができる。具体的には、マイクロ流体気化器230は、接続ポート237を介してマイクロ流体気化器の電気的取り付けを可能にする、1つ以上の電気接続ピン(図2には図示せず)を含むことができる。したがって、マイクロ流体気化器230は、着脱可能かつ取り替え可能とすることができる。エアロゾル送達デバイス200は、デバイスの使用者への、形成されたエアロゾルの通過用に吸い口220を含むことができる。吸い口220は、エアロゾル通路222を介して蒸気室に(または、直接、マイクロ流体気化器に)流体接続されてもよく、吸い口は、エアロゾル通路の中に、またはエアロゾル送達デバイス200内のさらなる空洞もしくは陥凹部の中に引込み可能とすることができる。
【0097】
本明細書においてさらに説明されるように、マイクロ流体気化器は、1つ以上のエアロゾル前駆体構成成分(または、完全なエアロゾル前駆体組成物)を入れるための少なくとも1つの液溜めをそれ内に画定する基板を備えることができる。いくつかの実施形態において、液溜めは、マイクロ流体気化器に流体接続して設けられてもよく、マイクロ流体気化器基板によって画定されたいずれの液溜めに対しても補足的であってもよい。その他の実施形態において、マイクロ流体気化器基板は、液溜めをなくしてもよく、別個の液溜めが、マイクロ流体気化器と流体接続して設けられてもよい。たとえば、図2に示されるように、容器266が、液体輸送要素268を介して、マイクロ流体気化器230と流体接続している。容器266は、それ内に、またはそれによって液体構成成分を保持するのに適した任意の形態であってもよい。たとえば、容器は、それ内に保持されたいずれのエアロゾル前駆体構成成分に対しても実質的に不透過性であり、またそれらと非反応であるボトル、または壁を有するその他の壁付き要素であってもよい。さらなる例として、容器266は、それ内に液体エアロゾル前駆体構成成分が吸収されるか、吸収されるか、あるいはそれ内に、またはそれによって保存される、繊維質材料であってもよい。液体輸送要素268は、容器266からマイクロ流体気化器230に液体を輸送するのに適した任意の形態であり得る。たとえば、液体輸送要素268は、繊維質である、微粒子である、あるいはそれの長さに沿って液体を毛管作用により運ぶのに適した、芯であってもよい。さらなる実施形態において、液体輸送要素268は、毛細管流路であってもよく、したがって、そこを通る液体の移動の際に毛管作用を促進するのに適切にサイズ調整されている、実質的に流管の形態であってもよい。またさらなる実施形態において、液体輸送要素268は、毛細作用が低減されるか、または実質的に無であるようにサイズ調整されてもよく、液体輸送が、1つ以上のポンプまたは同様のものによって促進されてもよい。さらに、液体輸送要素268内に、1つ以上のバルブがあってもよい。容器266は、マイクロ流体気化器230との任意の空間的配置であってもよい。ある実施形態において、容器266は、マイクロ流体気化器230に対して、実質的に直角とすることができる。さらに、複数の容器が使用されてもよい。液体輸送要素268は、マイクロ流体気化器230上のヒータまたは加熱ゾーンに、かつ/またはマイクロ流体気化器の基板によって画定されている液溜めに(容器266が、マイクロ流体気化器によって画定されている液溜めの代わりに使用されているか、またはそれを補足しているかに応じて)、直接に液体を輸送してもよい。
【0098】
エアロゾル送達デバイスには、入力要素が含まれてもよい。このために、任意選択で存在し、またエアロゾル送達デバイス200の外面から使用可能であるとして、破線によって表されたタッチスクリーン209が、図2に示される。使用者に、デバイスの機能を制御するのを可能にさせるために、かつ/または使用者への情報の出力用に、タッチスクリーン(または、その他の入力)が含まれてもよい。図2にはタッチスクリーン209が示されているが、エアロゾル送達デバイスは、1つの実施形態に限定されるものではない。むしろ、デバイスの機能を制御するための入力として、任意の構成要素または構成要素の組合せが利用され得る。たとえば、1つ以上の押しボタンが使用されてもよい。さらなる例として、エアロゾル送達デバイスの特定の移動に基づくジェスチャ認識用に適合された構成要素が、入力として使用され得る。参照により本明細書に組み込まれている、Henryらによる2014年12月9日に出願された、米国特許出願第14/565,137号を参照されたい。
【0099】
いくつかの実施形態において、入力は、スマートフォンまたはタブレットなどのコンピュータもしくはコンピューティングデバイスを含んでもよい。具体的には、エアロゾル送達デバイスは、USBコードまたは同様のプロトコルの使用を介してなど、コンピュータまたはその他のデバイスに配線されてもよい。エアロゾル送達デバイスはまた、無線通信を介して、入力としての機能を果たすコンピュータまたはその他のデバイスと通信し得る。たとえば、それの開示が参照により本明細書に組み込まれている、Ampoliniらによる2014年7月10日に出願された、米国特許出願第14/327,776号において説明されているような、読み取り要求を介してデバイスを制御するためのシステム及び方法を参照されたい。このような実施形態では、エアロゾル送達デバイスに制御命令を入力するのに、APPまたはその他のコンピュータプログラムが、コンピュータまたはその他のコンピューティングデバイスに接続して使用されてもよく、このような制御命令には、たとえば、含まれるニコチン含有量及び/またはさらなるフレーバの含有量を選択することによって、特定の組成のエアロゾルを形成する能力が含まれる。
【0100】
本開示による、エアロゾル送達デバイスの様々な構成要素は、当技術分野において説明される、また市販されている構成要素から選択され得る。本開示によって使用され得る電池の例は、それの開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている、Peckerarらによる米国特許出願公開第2010/0028766号において説明されている。
【0101】
エアロゾル送達デバイスは、エアロゾル発生が望まれる場合の(たとえば、使用中、吸うときに)発熱要素への電力の供給の制御用にセンサまたは検出器を組み込むことができる。したがって、たとえば、エアロゾル送達デバイスが、使用中、吸われていないときに発熱要素への電源を切るための、また吸っている最中に発熱要素による熱の発生を作動させる、または引き起こすために電源を入れるためのやり方または方法が提供される。追加的な典型的なタイプの検知機構または検出機構、それの構造及び構成、それの構成要素、ならびにそれの一般的な操作方法が、参照により本明細書に組み込まれている、Sprinkel,Jr.による米国特許第5,261,424号、McCaffertyらによる米国特許第5,372,148号、及びFlickによるPCT WO2010/003480において説明されている。
【0102】
エアロゾル送達デバイスは、吸っている最中の発熱要素への電力量を制御するための制御機構を組み込むのが最も好ましい。典型的なタイプの電子構成要素、それの構造及び構成、それの特徴、ならびにそれの一般的な操作方法が、参照により本明細書に組み込まれている、Gerthらによる米国特許第4,735,217号、Brooksらによる米国特許第4,947,874号、McCaffertyらによる米国特許第5,372,148号、Fleischhauerらによる米国特許第6,040,560号、Nguyenらによる米国特許第7,040,314号、Panによる米国特許第8,205,622号、Fernandoらによる米国特許出願公開第2009/0230117号、Collettらによる米国特許出願公開第2014/0060554号、Ampoliniらによる、2013年3月15日に出願された米国特許出願第13/837,542号、及びHenryらによる2014年3月13日に出願された米国特許出願第14/209,191号、において説明されている。
【0103】
様々な実施形態において、本開示は、エアロゾル送達デバイス内のマイクロ流体気化器の使用が、加熱ゾーンに液体エアロゾル前駆体の望ましい量を正確に輸送する(かつ分配する)のを可能にすることができるという点で、特に有益である。多くの従来のエアロゾル送達デバイス(たとえば、電子タバコ)は、繊維質芯と抵抗加熱コイルとの組合せを利用して、液溜め(通常、繊維質マット)から繊維質芯を介して抵抗加熱コイルへ液体を毛管作用により自然に動かすことによって、蒸気を形成する。液体が抵抗加熱コイルによって気化されるにつれ、益々液体が液溜めからヒータに毛管作用により自然に動く。このようなデバイスは、蒸気形成の不正確な制御、すなわち、所望の時点で加熱ゾーンへエアロゾル前駆体の一吸い相当を輸送することができないこと、に悩まされる。このようなデバイスは、要求に応じてエアロゾルを提供し、電池における不必要なエネルギー消費を回避するために、エアロゾル前駆体液体を素早く気化させるのに必要とされるだけの正確なエネルギー量を分配することができないことにも同じように悩まされる。
【0104】
本開示の実施形態によるマイクロ流体気化器は、知られているデバイスに欠けている蒸気情報における正確さをもたらすことができる。本明細書において使用される際、「microfluidic(マイクロ流体)」という用語は、ミリリットル以下、マイクロリットル以下、ナノリットル以下、またはピコリットル以下など、少量の液体の移送を指すことを意図としている。液溜めからヒータに少ない正確な量で液体を移動させる能力は、蒸気形成を高めるとともに不必要な電力消費を低減することをもたらすことができる。
【0105】
いくつかの実施形態において、マイクロ流体気化器は、気化器の特定の構成要素を画定する基板を備えることができる。具体的には、基板は、液体(たとえば、エアロゾル前駆体組成物またはそれの構成成分)を保持するように構成されている液溜め、液体を気化させるように適合されたヒータ、及び液溜めからヒータへの液体の移動用に構成された毛細管流路、を画定することができる。基板は、液体と気化に必要な加熱レベルとに対して十分に不活性である任意の材料で形成され得る。具体的には、基板は、エアロゾル前駆体組成物の構成成分(エアロゾルフォーマ、フレーバ、及び同種のものを含む)と化学的に非反応であるのが好ましい。基板は、使用状態下で、熱的かつ機械的に安定であることも好ましい。たとえば、基板は、約100℃以上、約150℃以上、約200℃以上、約300℃以上、約400℃以上、または約500℃以上の温度において温度安定である材料で形成されてもよい。その他の実施形態において、支持層は、約100℃~約750℃、約125℃~約650℃、または約150℃~約500℃の温度範囲で温度安定であるとすることができる。いくつかの実施形態において、支持層は、セラミック材料、具体的には、シリコンベースの材料で形成され得る。支持層材料の1つの具体的な例は、窒化ケイ素材料である。しかしながら、ガラスまたは石英などのその他の材料が使用され得る。環状オレフィンコポリマー(COC:Cyclic Olefin Copolymer)など、特定の熱可塑性材料も使用され得る。
【0106】
基板は、多種多様な形状を呈することができる。いくつかの実施形態において、基板は、実質的にチップ形状であり得るが、このような形状は必要とされない。「chip shaped(チップ形状)」という用語は、ほぼ平らであり、両方が厚みより大きな長さと幅を有する形状を言うことを意図としている。チップ形状の基板は、実質的に正方形または長方形であってもよいが、その他の形状(たとえば、円形、楕円形、三角形、またはその他の多面形状)も、ほぼ平らであれば、チップ形状と見なされてもよい。このような例示的な形状に照らすと、マイクロ流体気化器は、いくつかの実施形態において、「ラボオンアチップ」として特徴付けられ得る。これにより、基板には、液体の気化に必要とされる複数の要素が含まれ得る。いくつかの実施形態において、基板は、比較的薄い厚み、たとえば、約1mm~約20mm、約1.5mm~15mm、または約2mm~10mmで済ませることができる。いくつかの実施形態において、基板は、約0.5cm~約50cm、約1cm~約45cm、約2cm~約40cm、または約3cm~30cmの表面積を有することができる。
【0107】
マイクロ流体気化器330の1つの実施形態が図3に示される。示された実施形態では、マイクロ流体気化器330は、実質的にチップ形状である基板345を備える。ヒータ355は、基板345によって画定され、多様な仕方で基板上に位置付けられ得る。たとえば、ヒータ355は、基板345の上面345aに、または基板の底面345bに置かれてもよい。基板345の底面345bに置かれる場合、基板は、液体の気化を実現するのに十分に熱伝導性であるのが好ましい。いくつかの実施形態において、ヒータ355は、基板内の窪みまたはその他の陥凹部内に位置付けられるなど、基板345に埋め込まれてもよい。示された実施形態では、ヒータ355は、基板345に形成された窪み内に位置付けられ、熱伝導層347に覆われている(図3では、熱伝導層の下に位置付けられたヒータ355を見せるために、部分的に透明であるように示されている)。
【0108】
いくつかの実施形態において、ヒータは、マイクロヒータとして特徴付けられてもよい。具体的には、マイクロヒータは、微小電気機械システム(MEMS:Micro-Electro-Mechanical Systems)ベースのヒータとして特徴付けられ得る。MEMSベースのヒータは、以前には、風センサ、湿度センサ、及びガスセンサなどの超小型のマイクロセンサにおいて使用されていた。このようなMEMSベースのマイクロヒータは、抵抗器に電流を印加することにより熱を放射することができ、低電力入力要件や非常に短い応答時間などの利点をもたらすことができる。MEMSベースのマイクロヒータは、現在説明されているように、それが、低電圧及び/または低電力デバイス機能を提供することができる一方、液体エアロゾル前駆体組成物を気化させるのに十分高い熱範囲までの急速加熱をもたらすこともできることから、マイクロ流体気化器において非常に有利である。
【0109】
本明細書において有用なマイクロヒータは、薄膜ヒータまたはホットフィルムヒータとして説明され得る。これは、具体的には膜の形態で提供され得る導電性材料、すなわち導電層を備えることができる、マイクロヒータの物理的性質を特に記述するものであり得る。ある実施形態では、導電性材料がパターン化され得る。言い換えれば、導電性材料は、特定のパターンでマイクロヒータ内に存在することができ、したがって、仕上がったマイクロヒータの物理的性質に相当し、マイクロヒータを作る方法に限定されない。導電層の厚みは、変わる場合があり、たとえば、約1000μm以下、約500μm以下、約200μm以下、約100μm以下、約50μm以下、約10μm以下、または約5μm以下の場合がある。その他の実施形態において、導電層は、約0.1μm~約500μm、約0.5μm~約200μm、約1μm~約100μm、または約2μm~約50μmの厚みを有する場合がある。
【0110】
マイクロヒータにおいて使用される導電性材料には、導電性であるとともに、上述のサイズ範囲での薄膜形成に適するいずれの材料も基本的に含まれ得る。たとえば、導電性材料は、元素金属、金属合金、シリコン(単結晶シリコン及びポリシリコンを含む)、セラミックス、炭素、炭化物、窒化物、及びそれらの組合せから成るグループから選択され得る。より具体的な実施形態において、導電性材料は、プラチナ、金、銀、銅、アルミニウム、タングステン、亜鉛、パラジウム、ニッケル、チタン、ニクロム、炭化ケイ素、ポリシリコン、単結晶シリコン、窒化チタン、及び同種のもので形成され得る。特定の実施形態において、プラチナなどの元素金属は、優れた酸化抵抗と長期安定性を示すことから特に有益とすることができる。より脆く安定性が劣るホットワイヤよりも好まれ得る、本開示による薄膜マイクロヒータは、高レベルの丈夫さや安定性を示すことができる。
【0111】
マイクロ流体気化器におけるマイクロヒータの使用は、いくつかの実施形態において、マイクロ流体気化器の少なくともマイクロヒータ部分を形成するのに使用される材料が半導体であってもよい(または、それと一致する特性を有してもよい)という点で、特に有益である場合がある。したがって、マイクロヒータを形成するのに使用される半導体は、その電気特性を優先して変調または調整するようにドープされ得る。
【0112】
導電層に加え、本開示によるマイクロヒータは、支持層を備えることができる。具体的には、導電層が、このような支持層上にパターン化されてもよい。支持層は、ヒータの作動温度下で温度安定である材料で形成されるのが好ましい。たとえば、支持層は、約150℃以上、約200℃以上、約300℃以上、約400℃以上、または約500℃以上の温度において温度安定であるとすることができる。その他の実施形態において、支持層は、約125℃~約750℃、約150℃~約650℃、または約175℃~約500℃の温度範囲で温度安定とすることができる。いくつかの実施形態において、支持層は、セラミック材料、具体的にはシリコンベースの材料で形成され得る。支持層材料の1つの具体的な例は、窒化ケイ素材料である。しかしながら、ガラスまたは石英など、その他の材料が使用され得る。環状オレフィンコポリマー(COC)など、ある熱可塑性材料も使用され得る。支持層は、絶縁材料で形成され得るか、または絶縁層を含むことができる。本開示による、有用であり得る例示的なマイクロヒータは、参照により本明細書に組み込まれている、Collettらによる米国特許第8,881,737号において説明されている。
【0113】
熱伝導層347は、熱伝導層がヒータに関する作動温度下で温度安定であるような、また、熱放射性かつ/または熱伝導性である材料で形成される。たとえば、熱伝導層347は、約100℃以上、約150℃以上、約200℃以上、約400℃以上、または約500℃以上の温度において温度安定であるとすることができる。その他の実施形態において、熱伝導層は、約100℃~約750℃、約150℃~650℃、または約175℃~約500℃の温度範囲において温度安定であるとすることができる。いくつかの実施形態において、熱伝導層は、エアロゾル前駆体組成物またはそれの構成成分と直接接触しているとすることができる。したがって、エアロゾル前駆体材料に含まれてもよい様々な化合物と、実質上、化学的に非反応であることが熱伝導層にとっては好ましい。実質上、化学的に非反応であることは、エアロゾル前駆体組成物に、ヒータの導電層と直接接触していることを可能にさせるために、熱伝導層とエアロゾル前駆体材料の構成成分との間のいずれの化学反応も、熱伝導層が破られないように十分に制限されるということを意味する。あるいは、このフレーズは、熱伝導層にある化合物が、消費者による吸入用に形成されたエアロゾルと結合するために放出されないように、熱伝導層とエアロゾル前駆体材料の構成成分との間のいずれの化学反応も、十分に制限されるということを意味することができる。いくつかの実施形態において、熱伝導層は、セラミック材料、具体的にはシリコンベースの材料で形成され得る。熱伝導層材料の1つの具体的な例は、二酸化ケイ素材料である。しかしながら、ガラスまたは石英など、その他の材料が使用され得る。
【0114】
図3に示されたマイクロ流体気化器330の基板345は、エアロゾル前駆体組成物367(または、それの要素)を保持するように構成されている液溜め365をさらに含むことができる。液溜めは、具体的には、基板345に形成された窪みまたはその他の陥凹部とすることができる。その他の実施形態において、マイクロ流体気化器330は、多層構造を有してもよい(図4を参照)。
【0115】
図3には、1つのみ液溜めが示されているが、複数の液溜めが含まれてもよいことが分かる。さらに、エアロゾル化用の液体は、複数の液溜めに別々に保存されてもよい。
【0116】
エアロゾル前駆体組成、または蒸気前駆体組成は、変わることがある。エアロゾル前駆体は、様々な成分または構成成分の化合物または混合物から構成されるのが最も好ましい。エアロゾル発生ピースによって発生した主流エアロゾルの全体化学組成を制御するために、特定のエアロゾル前駆体構成成分の選択、及び使用されるそれらの構成成分の相対量が改められてもよい。本質的にほぼ液体であるとして特徴付けられ得るエアロゾル前駆体が、特に興味深い。たとえば、典型的なほぼ液体のエアロゾル前駆体は、溶液、混和性構成成分の混合物、または懸濁または分散された構成成分を組み込む液体の形態を有し得る。典型的なエアロゾル前駆体は、本開示に特徴的である、エアロゾル発生ピースの使用中に経験されるそれらの状態の下、熱を受けて気化されることができ、それにより、吸い込み可能である蒸気及びエアロゾルを生み出すことができる。
【0117】
電子タバコとして特徴付けられるエアロゾル送達システムでは、エアロゾル前駆体は、タバコまたはタバコ由来の構成成分を組み込むことが最も好ましい。ある面で、タバコは、細かく挽かれた、粉にされた、または粉末にされたタバコラミナなど、タバコの一部またはピースとして提供されてもよい。別の面で、タバコは、タバコの水溶性構成成分のうちの多くを組み込む噴霧乾燥抽出物など、抽出物の形態で提供されてもよい。あるいは、タバコ抽出物が、比較的高いニコチン含有量の抽出物の形態を有してもよく、その抽出物は、タバコ由来の少量のその他の抽出された構成成分も組み込む。別の面で、タバコ由来であるいくつかのフレーバ剤など、タバコ由来の構成成分が、比較的純粋な形態で提供されてもよい。ある面で、タバコ由来である、また高純度化された、または基本的に純粋な形態で採用され得る構成成分は、ニコチン(たとえば、医薬品グレードのニコチン)である。
【0118】
エアロゾル前駆体は、いわゆる「エアロゾルフォーマ」を組み込み得る。このような材料は、本開示に特徴的であるエアロゾル発生ピースの通常の使用中に経験されるそれらの状態の下、熱を受けて気化されると、可視エアロゾルを生み出す能力を有する。このようなエアロゾル形成材料には、様々なポリオールまたは多価アルコール(たとえば、グリセリン、プロピレングリコール、及びそれらの混合物)が含まれる。本開示の多くの実施形態は、水、水分または水性液体として特徴付けられ得るエアロゾル前駆体構成成分を組み込む。あるエアロゾル発生ピースの通常の使用の状態の下、それらのピース内に組み込まれた水は、気化し、生成されるエアロゾルの一部を生み出すことができる。したがって、本開示の目的では、エアロゾル前駆体内にある水は、エアロゾル形成材料であると考えられてもよい。
【0119】
本開示のエアロゾル送達システムによって生成され、吸われる主流エアロゾルの官能特性または性質を変える多種多様の任意選択のフレーバ剤または材料を採用することが可能である。たとえば、エアロゾルのフレーバ、香り及び官能特性を変えるのに、このような任意選択のフレーバ剤がエアロゾル前駆体内で使用されてもよい。いくつかのフレーバ剤が、タバコ以外のソースから提供されてもよい。例示的なフレーバ剤は、本質的に自然または人工的であってもよく、濃縮物またはフレーバパッケージとして採用されてもよい。
【0120】
例示的なフレーバ剤には、バニリン、エチルバニリン、クリーム、茶、コーヒー、果物(たとえば、リンゴ、サクランボ、イチゴ、桃、またライムやレモンを含む柑橘系フレーバ)、メープル、メントール、ミント、ペパーミント、スペアミント、ウインターグリーン、ナツメグ、クローブ、ラベンダー、カルダモン、ジンジャー、はちみつ、アニス、セージ、シナモン、ビャクダン、ジャスミン、カスカリア、ココア、リコリス、また紙巻きタバコ、葉巻及びパイプタバコのフレーバリングに従来使用されているタイプ及び特性のフレーバリングやフレーバパッケージ、が含まれる。異性化糖などのシロップも採用され得る。最終エアロゾル前駆体混合物の調合の前に、いくつかのフレーバ剤がエアロゾル形成材料内に組み込まれてもよい(たとえば、いくつかの水溶性フレーバ剤が、水の中に組み込まれることがあり、メントールがプロピレングルコール内に組み込まれることがあり、またいくつかの複雑なフレーバパッケージがプロピレングリコール内に組み込まれることがある)。ニコチンを含むいくつかのタバコ抽出物が、1つ以上のエアロゾルフォーマと組み合わされ得るフレーバとして特徴付けられ得る。
【0121】
エアロゾル前駆体は、酸性特性または基本特性を示す成分も含んでもよい(たとえば、有機酸、アンモニウム塩または有機アミン)。たとえば、ある有機酸(たとえば、レブリン酸、コハク酸、乳酸、及びピルピン酸)が、ニコチンを組み込むエアロゾル前駆体調合物に、好ましくは、ニコチンと等モル(総有機酸含有量に基づいて)になるまでの量で含まれてもよい。たとえば、エアロゾル前駆体は、ニコチン1モル当たり約0.1~約0.5モルのレブリン酸、ニコチン1モル当たり約0.1~約0.5モルのコハク酸、ニコチン1モル当たり約0.1~約0.5モルの乳酸、ニコチン1モル当たり約0.1~約0.5モルのピルビン酸、またはそれらの様々な置換や組合せを、存在する有機酸の総量が、エアロゾル前駆体中に存在するニコチンの総量と等モルになる濃度まで、含んでもよい。
【0122】
1つの非限定的な例として、典型的なエアロゾル前駆体が、重量ベースで、約70%~約90%のグリセリン、多くは約75%~約85%のグリセリン、約5%~約20%の水、多くは約10%~約15%の水、約1%~約10%のプロピレングリコール、多くは約4%~約8%のプロピレングリコール、約0.1%~約6%のニコチン、多くは約1.5%~約5%のニコチン、及び最高約6%の量の任意選択のフレーバ剤、多くは約0.1%~約5%のフレーバ剤、の混合物の形態を有することができる。たとえば、典型的なエアロゾル前駆体が、重量ベースで、約76%を超えるグリセリン、約14%の水、約7%のプロピレングリコール、約1%~約2%のニコチン、及び約1%未満の任意選択のフレーバ剤、を組み込む調合物の形態を有してもよい。たとえば、典型的なエアロゾル前駆体が、重量ベースで、約75%を超えるグリセリン、約14%の水、約7%のプロピレングリコール、約2.5%のニコチン、及び約1%未満の任意選択のフレーバ剤、を組み込む調合物の形態を有してもよい。たとえば、典型的なエアロゾル前駆体が、重量ベースで、約75%を超えるグリセリン、約5%の水、約8%のプロピレングリコール、約6%のニコチン、及び約6%未満の任意選択のフレーバ剤、を組み込む調合物の形態を有してもよい。
【0123】
別の非限定的な例として、典型的なエアロゾル前駆体が、重量ベースで、約40%~約70%のグリセリン、多くは約50%~約65%のグリセリン、約5%~約20%の水、多くは約10%~約15%の水、約20%~約50%のプロピレングリコール、多くは約25%~約45%のプロピレングリコール、約0.1%~約6%のニコチン、多くは約1.5%~約5%のニコチン、約0.5%~約3%、多くは約1.5%~約2%のメントール、及び最高約6%の量の任意選択の追加的なフレーバ剤、多くは約0.1%~約5%のフレーバ剤、の混合物の形態を有することができる。たとえば、典型的なエアロゾル前駆体が、重量ベースで、約50%のグリセリン、約11%の水、約28%のプロピレングリコール、約5%のニコチン、約2%のメントール、及び約4%のその他のフレーバ剤を組み込む調合物の形態を有してもよい。
【0124】
典型的なタイプのエアロゾル前駆体構成成分及び調合物は、それらの開示が参照により本明細書に組み込まれている、Robinsonらによる米国特許第7,217,320号、Zhengらによる米国特許出願公開第2013/0008457号、Chongらによる米国特許出願公開第2013/0213417号、及びCollettらによる米国特許出願公開第2014/0060554号においても明記され、特徴付けられている。採用されてもよいその他のエアロゾル前駆体には、R.J.Reynolds Vapor社によるVUSE(登録商標)製品、Lorillard TechnologiesによるBLU(商標)製品、Mistic EcigsによるMISTIC MENTHOL製品、及びCN Creative LtdによるVYPE製品に組み込まれたエアロゾル前駆体が含まれる。Johnson Creek Enterprises LLCから入手可能であった電子タバコ用のいわゆる「スモークジュース」も望ましい。
【0125】
エアロゾル送達システム内に組み込まれているエアロゾル前駆体量は、エアロゾル発生ピースが、許容可能な感覚や望ましい動作特性をもたらす程度の量である。たとえば、多くの面で、タバコの煙の見かけに似ている可視主流エアロゾルの発生をもたらすために、十分な量のエアロゾル形成材料(たとえば、グリセリン及び/またはプロピレングルコール)が採用されることが非常に好ましい。エアロゾル発生システム内のエアロゾル前駆体量は、エアロゾル発生ピース当たりに望まれる吸い回数などの要因に左右され得る。通常、エアロゾル送達システム内、具体的にはエアロゾル発生ピース内に組み込まれるエアロゾル前駆体量は、約2g未満、一般的には約1.5g未満、多くは約1g未満、また約0.5g未満のこともよくある。
【0126】
複数の液溜めが利用される場合、エアロゾル前駆体組成物の個々の構成成分の多様な組合せが液溜めに保存されてもよい。いくつかの実施形態において、実質的に完全なエアロゾル前駆体組成物が、2つ以上の別々の液溜めに保存されてもよい。いくつかの実施形態において、エアロゾルフォーマ(たとえば、グリセリン、プロピレングルコール、及び水)が、1つ以上の液溜めに保存されてもよく、1つ以上のフレーバが、1つ以上のさらなる液溜めに保存されてもよい。いくつかの実施形態において、エアロゾルフォーマが、1つ以上の液溜めに保存されてもよく、主要フレーバとしてのニコチンが、1つ以上のさらなる液溜めに保存されてもよく、任意選択の追加的なフレーバが、1つ以上の任意選択の追加的な液溜めに保存されてもよい(任意選択のフレーバは、ニコチン及び/またはエアロゾルフォーマと組み合わせられてもよいが)。別々の液溜めに保存される材料のその他の組合せも含まれ、材料を別々に保存するこのような能力は、提供されるエアロゾル組成物の正確な制御をもたらすことができる。具体的には、液体が、マイクロ流体気化器を含むエアロゾル送達システム上で、所望のエアロゾル組成物を特定の一吸いで提供するのに必要とされる特定の液溜めのみから吸われるように、思い通りにエアロゾル組成物が調整されてもよい。この能力は、図4に関して以下にさらに説明される。
【0127】
戻って図3を参照すると、基板は、複数の毛細管流路375をさらに備える。所望の量のエアロゾル形成物を提供するのに必要である正確な量のエアロゾル前駆体組成物367の液溜め365からヒータ355への送達をもたらすのに、1つ以上の毛細管流路375が利用されてもよいことが分かる。毛細管流路375の向きは、変わることがある。たとえば、毛細管流路は、真っすぐよりむしろ湾曲していても、または角度が付いていてもよい。複数の毛細管流路375が、合流しても、あるいは分岐効果で結合してもよい。たとえば、液溜めから出る1つの毛細管流路が、ヒータに接触する前または後に、複数の毛細管流路に分岐してもよい。現在説明されている例示的な実施形態を基に見付けられ得る毛細管流路のその他の構成も、本開示に含まれる。
【0128】
図3では、毛細管流路375は、熱伝導層347において終端するとして示される。いくつかの実施形態において、熱伝導層347が、下にあるヒータ355にわたって、送達されたエアロゾル前駆体組成物367を放散するように適合されてもよい。したがって、熱伝導層347は、熱伝導層の面が基板の上面345aより位置的に低くなるように、基板345に(たとえば、ヒータ355が位置付けられている窪みまたは陥凹部の中に)少なくとも部分的に凹設されてもよい。その他の実施形態において、毛細管流路375が、熱伝導層347に少なくとも部分的にわたって延在してもよい。さらなる実施形態において、熱伝導層347がなくてもよく、基板345の上面345aがヒータ355にわたり、跨って延在してもよい。したがって、基板345に形成された毛細管流路375は、基板内または基板の下のヒータ355の位置に少なくとも部分的にわたって延在してもよい。このように、いくつかの実施形態では、ヒータは、1つ以上の毛細管流路の少なくとも一部の下にあることができる。
【0129】
マイクロ流体気化器330は、受動マイクロ流体移送及び能動マイクロ流体移送のうちのうちの1つまたは両方に基づき、動作し得る。受動マイクロ流体移送は、毛細管流路を通って、またはそれに沿って液体を移送するのに、表面力または毛細管力に依存し得る。したがって、望まれる受動移送レベルを実現するために、様々な要因(たとえば、液体粘度、液体密度、液体の表面張力、毛細管流路における接触角、毛細管流路における表面構造、及び流路の形状寸法)が調整され得る。受動マイクロ流体移送では、液体が気化され、ヒータから離れるにつれ、液体は、液溜めからヒータに自由に移り得る。
【0130】
能動マイクロ流体移送は、液体移送の際、毛細管力に少なくとも部分的に依存し得るが、特定の液溜めから気化用のヒータへの、特定の量の特定の液体のみの直接移送に、外部要因も適用される。本明細書に説明されるような、マイクロ流体気化器に含まれ得る能動輸送要素は、たとえば、バルブ、ポンプ、ヒータ、電場フォーマ、刺激応答性ポリマー、及びそれらの組合せから成るグループから選択されてもよい。たとえば、望まれる場合のみ、液体が毛細管作用により(または、その他の作用力を加えることにより)流れることを可能にするのに、バルブがコマンドに応じて開閉されてもよく、毛細管力単独によって可能になる程度を超えて液体流量を上げるのに、マイクロポンプが使用されてもよく、毛細管流路の周りの範囲を加熱して、液体流量に影響を及ぼす熱勾配をもたらすのに、ヒータが使用されてもよく、液体移送に影響を及ぼす場を確立するのに、電場フォーマが使用されてもよく、液体移送が、印加された熱、電場、または同様のものを受けての毛細管流路の形状、伝導性、及び同様のものの変化など、毛細管流路の性質における変化に影響され得るように、刺激応答性材料(たとえば、スマートポリマー)が、流路形成及び/または基板形成において使用されてもよい。
【0131】
図3では、マイクロ流体気化器330に組み込まれ得る能動輸送要素を例示するのに、バルブ377が毛細管流路375のそれぞれに示される。バルブ377は、液溜め365から気化用のヒータ355へのエアロゾル前駆体組成物367の移動を可能にするように開かれ得る。
【0132】
毛細管流路は、多様な方法によって形成され得る。たとえば、流路は、基板にエッチングまたはインプリントされてもよい。その他の実施形態において、基板に流路を加えるのに、成膜やボンディングが使用されてもよく、または、ポリジメチルシロキサン(PDMS:PolyDiMethylSiloxane)リソグラフィなどのソフトリソグラフィ技法が使用されてもよい。またさらなる実施形態において、ステレオリソグラフィ、フォトリソグラフィ、電気メッキ、射出成形、及びエンボス加工などの方法を使用して、流路が形成または加えられてもよい。
【0133】
マイクロ流体気化器330には、基板345を覆い、それにより、エアロゾル前駆体組成物367を液溜め365及び毛細管流路375内に保持するのにカバー385が含まれる。カバー385は、液体の流出を防ぐが、形成された蒸気のその中の通過を可能にするようにサイズ調整されるのが好ましい複数の微小穿孔387を含む。カバー385は、実質的にメッシュの形態であってもよい。カバー385は、基板を形成する際の使用に適した任意の材料など、熱安定であり化学的に非反応である任意の材料で形成されてもよい。
【0134】
マイクロ流体気化器330は、ヒータ355、及びこのような制御を必要とし得る、マイクロ流体気化器の任意のさらなる構成要素(たとえば、バルブ377)の制御を可能にするために、複数の電気接続ピン395及び必要な電気配線(図示せず)も含む。いずれのタイプの電気コンタクトも、利用されてよい。電気接続ピン395は、エアロゾル送達デバイスなどのさらなるデバイスとの接続を容易にするように標準形式であってもよい。図2を参照すると、たとえば、図3のマイクロ流体気化器330は、マイクロ流体気化器が接続ポート237に差し込まれ得るような形式の電気コンタクトピン395を含み得る。このように、マイクロ流体気化器330は、実質的に、エアロゾル形成の際にエアロゾル送達デバイスに挿入され、その後、取り外され、取り替えられるように適合されているプラグアンドプレイデバイスであり得る。電気コンタクトピン395と接続ポート237との間の嵌合は、プッシュ/プッシュまたはプッシュ/プルであり得る。その他の実施形態において、マイクロ流体気化器330は、取り外しや取り替えが目的とはされないように、エアロゾル送達デバイス内に位置付けられてもよい。たとえば、マイクロ流体気化器が、ハウジング内の制御構成要素にハード配線されてもよく、または電気コネクタとともに外殻に含まれてもよく、外殻は、消費者によって開けられるようには構成されない(たとえば、図1におけるカートリッジ外殻103内)。
【0135】
多層マイクロ流体気化器430が図4に示される。そこでは、基板445は、基層448及び中間層446で形成される。両方の層は、別段に上に説明されたような材料で形成され得る。ヒータ455は、基層448に取り付けられ、中間層446に形成された第1の窓446aに対応する。熱伝導層447は、液体のヒータ455への通過を防ぐように、第1の窓446a内に位置付けられる。第2の窓446bも中間層446に形成され、エアロゾル前駆体組成物(または、それの構成成分)が保存され得る液溜め465を形成する。複数の毛細管流路475が中間層446に形成され、第1の窓446aと第2の窓446bとの間に流体接続をもたらす。組み立てられる際、中間層446は、第2の窓446b及び基層448によって形成された液溜め465に保存された液体が層間から滲出することのないように、基層448に接触して、それに封着される、接着される、あるいはそれに接続される。次いで、液体エアロゾル前駆体組成物を液溜め465及び毛細管流路475内に保持するために、カバー485が中間層446全体に掛けられる。マイクロバルブ477は、毛細管流路475内に位置付けられる。カバー485は、カバーの少なくとも一部が蒸気透過性であるが、しかし液体不透過性であるように、微小穿孔を含む。
【0136】
マイクロ流体気化器530のまたさらなる実施形態が図5に示される。それの上面図(説明を簡単にするために、任意選択のカバー層を省いた状態の)に見られるように、基板545には、複数の液溜め、1つのヒータ555、主毛細管流路575a、またそれぞれの液溜めを主毛細管流路に接続する複数の分岐毛細管流路575bが設けられる。例として、液溜め565a及び565bには、エアロゾルフォーマ組成物(たとえば、グリセリン、プロピレングルコール、及び水)が満たされ得、液溜め565cには、ニコチンとエアロゾルフォーマ担体との組合せが満たされ、液溜め565d~565gには、それぞれ、異なるフレーバが満たされ、液溜め565hには、ただの水が満たされる。複数のフレーバ溜めの使用で、少量の濃縮溶液の使用を可能にすることができる。複数のマイクロバルブ577は、分岐毛細管流路575bのそれぞれに位置付けられる。
【0137】
使用中、図5に示されるようなマイクロ流体気化器530は、色々なフレーバ組合せの正確な制御を可能にし得る。いくつかの実施形態において、エアロゾル送達デバイスに含まれる場合、使用者は、入力(たとえば、図2に示されたタッチスクリーン209を参照)を使用して、特定の組成を有するエアロゾルの形成を命令してもよい。たとえば、使用者は、特定のニコチン含有量(重量で0%~所定の閾値量)のエアロゾルの形成を求める、また特定の追加のフレーバを含めるよう求める命令を入力してもよい。このような例では、マイクロ流体気化器530は、液溜め565a及び565bのうちの1つまたは両方からエアロゾルファーマを、液溜め565cからニコチンを、また液溜め565d~565gから必須のフレーバを、送達するであろう。エアロゾル送達デバイスの使用中に(または、特定のマイクロ流体気化器の使用中に)、1つの組合せが選択されてもよく、または、マイクロ流体気化器を含むエアロゾル送達デバイスにおける一吸いまたは一吸いの任意の組合せごとに、異なる組合せのフレーバ(ニコチン分を含む)が指示されてもよい。必要であれば、使用者は、システムから前のフレーバを取り除くために、かつ/または気化器流路及び/またはヒータ領域をきれいにするために、液溜め565hからヒータに水を送達するよう、マイクロ流体気化器530に命令してもよい。
【0138】
マイクロ流体気化器630のさらなる例示的な実施形態が図6に示される。ほぼ円形の基板645には、複数の液溜め665a~665f、複数の毛細管流路675a~675f、及びヒータ655が設けられる。例示的な実施形態において、液溜め665a及び665bには、エアロゾルフォーマ組成物(たとえば、グリセリン、プロピレングルコール、及び水)が満たされ得、液溜め665cには、ニコチンとエアロゾルフォーマ担体との組合せが満たされ、液溜め665d~665fには、それぞれ、異なるフレーバが満たされる。特に所望の組成のエアロゾルを形成するのに、エアロゾルフォーマ、ニコチン、及びさらなるフレーバの任意の組合せが、ヒータ655に提供され得る。毛細管流路675a~675fを通した流体送達の能動制御が、別段に本明細書において説明されるようないずれかの方法を利用して実現され得る。したがって、基板645には、マイクロバルブ、マイクロポンプ、または同様のものが含まれ得る。
【0139】
いくつかの実施形態において、マイクロ流体気化器は、複数のヒータを含むことができる。たとえば、図7の実施形態では、基板745は、4つのそれぞれの毛細管流路775a~775dを介して4つのそれぞれの液溜め765a~765dと流体接続している4つのヒータ755a~755dを画定する。この実施形態では、液溜め765aは、蒸気フォーマを含み、液溜め765bは、ニコチン組成物を含み、液溜め765cは、第1のさらなるフレーバ構成成分を含み、液溜め765dは、第2のさらなるフレーバ構成成分を含む。この方法では、正確な量の蒸気フォーマ、ニコチン、及びさらなるフレーバ構成成分がそれらのそれぞれのヒータに送られ、カスタム蒸気を形成することができる。図7には示されていないが、1つ以上の能動輸送要素(たとえば、マイクロバルブまたはマイクロポンプ)が、本明細書において別段に説明されるようないずれの方法でも含まれ得ることが分かる。入力構成要素(図2におけるタッチスクリーン209など)の使用を通して、消費者は、エアロゾル送達デバイスの一吸いに望まれる正確なニコチン量と、その一吸いに望まれる正確なフレーバ強度を定め得る。さらに、各構成要素が自ヒータを利用するので、前の異なるフレーバ付けの一吸いからのヒータ上の残滓から起こるクロスフレーバリングの可能性が回避され得る。複数のヒータが利用される場合、ヒータは、並列または直列であり得る。複数のヒータが使用される場合、2つ以上のヒータ用に、独立した回路構成要素も利用され得る。
【0140】
先に説明された例示的な実施形態において、液溜め(複数可)、毛細管流路(複数可)、及びヒータ(複数可)は、すべて基板に直接形成される。さらなる実施形態において、毛細管流路(複数可)及びヒータ(複数可)は、それらが、液溜めを形成する基板から外側に延在するという点で、基板により画定され得る。したがって、マイクロ流体気化器は、1つ以上の毛細管流路が基板から放射状に延在するという点において特徴付けられ得る。また、1つ以上のヒータが、毛細管流路の終端に位置付けられてもよい。
【0141】
図8は、基板845が実質的に管の形態であるように細長いマイクロ流体気化器830の実施形態を示す。円形断面を有する管が示されているが、基板は、任意の所望の形状を呈し得る。基板845は、それに形成された室を有するように中が空洞であることが好ましく、室は、エアロゾル前駆体組成物を保存するための液溜め865である。複数のヒータ855は、基板845の周りに放射状に並べられ、複数の毛細管流路875を介して、それ内の液溜め865と流体接続している。使用中、基板845内の液溜め865からのエアロゾル前駆体組成物は、毛細管流路875を経て、毛細管流路の終端に位置付けられているヒータ855に行くことができる。ヒータ855は、蒸気はそこを通過してもよいが、液体がそこを通過するのを防ぐように、微小穿孔を含む少なくとも1つの壁を含むことができる。
【0142】
図8におけるヒータ855は、実質的に円盤形状であるが、その他の形状も含まれる。ヒータは、液体エアロゾル前駆体組成物が毛細管流路875を通過して、加熱要素と加熱接触し、ヒータから逃げ得る蒸気を形成することをもたらす多様な構造を有し得る。
【0143】
実質的に円盤の形状であるヒータ955の1つの例示的な実施形態が図9に示される。そこでは、ヒータ955は、そこを通して毛細管流路975aが開く床981を有する。ヒータ床981は、本明細書において別段に述べられるような任意の熱安定かつ化学的に非反応な材料で形成され得る。毛細管コイル975bは、液体が毛細管流路から毛細管コイルを通過するように、毛細管流路975aと相互に接続している。毛細管コイル内の液体が気化され得るように、毛細管コイル975bの下には、毛細管コイルと加熱配置にある加熱要素985がある。加熱要素985は、加熱をもたらすのに適しているとして本明細書において別段に述べられるような任意の材料で形成され得る。たとえば、プリント加熱要素が利用され得る。使用中、液溜め(図8を参照)からの液体エアロゾル前駆体組成物は、毛細管流路975aを通過し、次いで、毛細管コイル975b中に分散される。加熱要素985の加熱時に、毛細管コイル975b内の液体が気化する。ヒータカバー988は、ヒータ955の残りの要素全体に位置付けられ、その時点で蒸気相材料がヒータカバーを通過し得る気化まで、毛細管コイル975b内に液体を保持し得る。蒸気透過性かつ液体不透過性である任意のカバー構造が利用され得る。
【0144】
別の例示的な実施形態として、図9における毛細管コイル975bは、ヒータ床981を通して開いている毛細管流路975aから放射状に延在する複数のほぼ線形の毛細管流路枝と取り替えられ得る。ほぼ線形の流路枝は、ヒータ955の外周(または縁)990において開いており、そこからの形成された蒸気の流出を可能にし得る。このような実施形態では、ヒータカバー988(または、単にヒータの上面)は、有孔であるよりも、むしろ中空でなくてもよい。しかしながら、ヒータ955の外周990は、蒸気透過性かつ液体不透過性である微小穿孔層または同様の材料で覆われてもよい。
【0145】
図8に示されるような実施形態では、複数のヒータ855は、個々に作動させられ得る(たとえば、1つのヒータの作動は、エアロゾルの一吸いをもたらす)。あるいは、ヒータ855の組合せがほぼ一斉に作動させられ、エアロゾルの一吸いをもたらしてもよい。さらなる実施形態において、基板845は、同じまたは異なる組成物を保持し得る、複数の液溜めに分割され得る。図8では、破線866が、基板845が4つの液溜めに分割されている任意選択の実施形態を示し、各それぞれの液溜めは、一組の放射状に延在する毛細管流路875及び関連のヒータ855を有する。
【0146】
本開示のエアロゾル送達システムに組み込まれ得る、さらに他の特徴、制御装置または構成要素は、参照により本明細書に組み込まれている、Harrisらによる米国特許第5,967,148号、Watkinsらによる米国特許第5,934,289号、Countsらによる米国特許第5,954,979号、Fleischhauerらによる米国特許第6,040,560号、Honによる米国特許第8,365,742号、Fernandoらによる米国特許第8,402,976号、Fernandoらによる米国特許出願公開第2010/0163063号、Tuckerらによる米国特許出願公開第2013/0192623号、Levenらによる米国特許出願公開第2013/0298905号、Kimらによる米国特許出願公開第2013/0180553号、Sebastianらによる米国特許出願公開第2014/0000638号、Novakらによる2013年3月15日に出願された米国特許出願第13/840,264号、及びDePianoらによる2013年3月15日に出願された米国特許出願第13/841,233号、において説明されている。
【0147】
物品の先の使用説明は、本明細書に提供されたさらなる開示に照らして当業者には明らかになり得る、若干の修正を通して、本明細書において説明された様々な実施形態に適用され得る。しかしながら、上記の使用説明は、物品の使用を制限することを意図としているものではないが、本開示のすべての必要な開示要件を満たすように提供されている。先の発明を実施するための形態及び関連の図面に提示された教示の利益を受ける、本開示がふさわしい当業者には、本開示の多くの修正形態やその他の実施形態が思い浮かぶであろう。したがって、本開示が、本明細書に開示されている特定の実施形態に限定されるものではなく、修正形態やその他の実施形態が、添付の特許請求の範囲に含まれることを意図としていることが理解されるべきである。本明細書には特定の用語が採用されているが、それらは、包括的かつ説明的な意味合いでのみ使用されており、限定目的のものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気化器であって、
画定された複数の毛細管流路を有する基板であって、前記毛細管流路は、気化のための液体組成物の輸送のために配置されている、基板と、
前記基板を覆うように配置されたメッシュであって、前記メッシュは、前記基板の毛細管流路によって輸送される液体が気化されるときに形成される蒸気を透過できるように、複数の穿孔を含む、メッシュと、
を備える、気化器。
【請求項2】
前記基板が、複数の層を備える、請求項1に記載の気化器。
【請求項3】
前記メッシュが、熱安定である材料で形成される、請求項1に記載の気化器。
【請求項4】
前記メッシュが、化学的に非反応である材料で形成される、請求項1に記載の気化器。
【請求項5】
前記メッシュの複数の穿孔が、そこを通る液体の通過を実質的に防止するように大きさが決められる、請求項1に記載の気化器。
【請求項6】
前記基板と前記メッシュとが配置される外殻をさらに備える、請求項1に記載の気化器。
【請求項7】
前記外殻が、電気コネクタを含む、請求項6に記載の気化器。
【請求項8】
前記外殻が、そこを通るエアロゾルの通過のために配置された開口部を含む、請求項6に記載の気化器。
【請求項9】
ヒータをさらに備える、請求項1に記載の気化器。
【請求項10】
前記ヒータが、薄膜である、請求項9に記載の気化器。
【請求項11】
前記ヒータが、約500μm以下の厚みを有する、請求項9に記載の気化器。
【請求項12】
前記ヒータが、前記基板の表面に位置付けられる、請求項9に記載の気化器。
【請求項13】
前記ヒータが、導電性材料をさらに備える、請求項1に記載の気化器。
【請求項14】
前記基板が液溜めを画定する、請求項1に記載の気化器。
【請求項15】
請求項1に記載の気化器を受け容れるように構成されたエアロゾル送達デバイス。
【請求項16】
前記エアロゾル送達デバイスが、電池、マイクロコントローラ、およびセンサのうちの1つ以上を備える、請求項15に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項17】
制御命令を前記コントローラに提供するように適合された入力をさらに備える、請求項16に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項18】
前記エアロゾル送達デバイスが、前記気化器が挿入可能な室を備える、請求項15に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項19】
前記室が、前記気化器と電気的に接続するように構成された接続ポートを含む、請求項18に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項20】
エアロゾル送達デバイスであって、
エアロゾル前駆体組成物を保存するための室と、
少なくとも1つのヒータと、
前記エアロゾル前駆体組成物を前記少なくとも1つのヒータに通過させるための毛細管流路と
を画定する基板を含む気化器を備え、
前記少なくとも1つのヒータが、蒸気は通過するが液体は通過しないように構成されている、エアロゾル送達デバイス。
【請求項21】
前記少なくとも1つのヒータが、前記毛細管流路の終端に位置付けられている、請求項20に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項22】
前記少なくとも1つのヒータが、微小穿孔を含む壁として構成されている、請求項20に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項23】
形成されたエアロゾルの通過のための吸い口をさらに備える、請求項20に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項24】
前記吸い口が、前記気化器に流体接続され、オプションで、前記吸い口が、エアロゾル通路を介して前記気化器に流体接続される、請求項23に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項25】
前記エアロゾル送達デバイスが、前記気化器に流体接続した液溜めを備え、好ましくは、前記液溜めが、容器として構成され、さらに好ましくは、前記容器が、1つ以上の壁によって画定される、請求項20に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項26】
前記エアロゾル送達デバイスを前記液溜めから前記気化器に移動させるための1つ以上の流管をさらに備える、請求項25に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項27】
前記基板が、前記エアロゾル前駆体組成物が前記毛細管流路を通る受動移送を介して前記少なくとも1つのヒータに通過するように構成される、請求項20に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項28】
前記基板が、1つ以上の電気接続をさらに備える、請求項20に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項29】
前記気化器が含まれる外殻をさらに備える、請求項20に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項30】
前記外殻が第1の外殻であり、前記エアロゾル送達デバイスが、電源を備える第2の外殻をさらに備える、請求項29に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項31】
前記第2の外殻がマイクロコントローラも備える、請求項30に記載のエアロゾル送達デバイス。