(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185074
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】作物用乾燥機
(51)【国際特許分類】
F26B 17/14 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
F26B17/14 B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160252
(22)【出願日】2022-10-04
(62)【分割の表示】P 2021136334の分割
【原出願日】2017-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西野 栄治
(57)【要約】 (修正有)
【課題】この発明は、いわゆる効率の良いガンタイプバーナによる乾燥運転ができる作物用乾燥機を提供することを課題とする。
【解決手段】燃焼用空気を供給するバーナ用送風ファン52及び燃料を供給するノズルを有する燃焼バーナ7と、燃焼バーナ7の燃焼面に対向すると共に作物に遠赤外線を照射する遠赤外線放射体16を備えた作物用乾燥機において、燃焼バーナ7は燃焼工程と停止工程を交互に行う間欠燃焼運転を行うよう構成し、燃焼工程時と停止工程時のファン回転数を異なる回転数に制御可能とし、間欠燃焼運転の燃焼工程から停止工程への移行後と、停止工程から燃焼工程への移行時に、バーナ用送風ファン52を運転するものであって、その場合のバーナ送風用ファン52の回転数を設定された低回転領域に制御することを特徴とする作物用乾燥機。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼用空気を供給するバーナ用送風ファン(52)及び燃料を供給するノズル(49)を有する燃焼バーナ(7)と、燃焼バーナ(7)の燃焼面に対向すると共に作物に遠赤外線を照射する遠赤外線放射体(16)を備えた作物用乾燥機において、燃焼バーナ(7)は燃焼工程と停止工程を交互に行う間欠燃焼運転を行うよう構成し、
燃焼工程時と停止工程時のファン回転数を異なる回転数に制御可能とし、
間欠燃焼運転の燃焼工程から停止工程への移行後と、停止工程から燃焼工程への移行時に、バーナ用送風ファン(52)を運転するものであって、その場合のバーナ送風用ファン(52)の回転数を設定された低回転領域に制御することを特徴とする作物用乾燥機。
【請求項2】
乾燥運転を開始する乾燥スイッチ(34)と乾燥運転を停止する停止スイッチ(36)を備え、
停止スイッチ(36)を操作するか、又は作物が到達目標水分値まで乾燥されると燃焼バーナ(7)が停止し、バーナ用送風ファン(52)を高回転領域で所定時間運転して停止することを特徴とする請求項1記載の作物用乾燥機。
【請求項3】
乾燥運転開始から乾燥運転終了の途中で乾燥ムラ解消のための休止乾燥運転に移行するとき、燃焼バーナ(7)を停止すると共に、バーナ用送風ファン(52)を低回転領域で所定時間運転することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の作物用乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物その他の農作物を乾燥する作物用乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
農作物用の乾燥機の燃焼バーナは、ロータリバーナやガンタイプバーナが用いられ、燃料として灯油又は軽油を使用する構成がある(特許文献1)。また、ロータリバーナにおいて、軽油のように使用燃料の粘性が比較的高い場合には、バーナ気化筒の回転数を増加し、灯油のように使用燃料の粘性が比較的低い場合には、バーナ気化筒の回転数を減少するよう制御することによって、使用燃料の粘性の高低にかかわらず液体燃料の気化を適正化し燃焼効率を高める構成がある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-45488号公報
【特許文献2】特開2008-190823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、いわゆる効率の良いガンタイプバーナによる乾燥運転ができる作物用乾燥機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
【0006】
請求項1に記載の発明は、燃焼用空気を供給するバーナ用送風ファン(52)及び燃料を供給するノズル(49)を有する燃焼バーナ(7)と、燃焼バーナ(7)の燃焼面に対向すると共に作物に遠赤外線を照射する遠赤外線放射体(16)を備えた作物用乾燥機において、燃焼バーナ(7)は燃焼工程と停止工程を交互に行う間欠燃焼運転を行うよう構成し、
燃焼工程時と停止工程時のファン回転数を異なる回転数に制御可能とし、
間欠燃焼運転の燃焼工程から停止工程への移行後と、停止工程から燃焼工程への移行時に、バーナ用送風ファン(52)を運転するものであって、その場合のバーナ送風用ファン(52)の回転数を設定された低回転領域に制御することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、乾燥運転を開始する乾燥スイッチ(34)と乾燥運転を停止する停止スイッチ(36)を備え、
停止スイッチ(36)を操作するか、又は作物が到達目標水分値まで乾燥されると燃焼バーナ(7)が停止し、バーナ用送風ファン(52)を高回転領域で所定時間運転して停止することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、乾燥運転開始から乾燥運転終了の途中で乾燥ムラ解消のための休止乾燥運転に移行するとき、燃焼バーナ(7)を停止すると共に、バーナ用送風ファン(52)を低回転領域で所定時間運転することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、いわゆる効率の良いガンタイプバーナによる乾燥運転ができる。
【0010】
また、円滑に休止乾燥に移行できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】穀物乾燥機の乾燥室及び集穀室の側断面図である。
【
図8】(A)は比例燃焼運転のタイムチャート、(B)は間欠燃焼運転のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態としての穀物乾燥機につき、図面に基づき説明する。
【0013】
箱体1の内部には上部から下部に穀物を貯留する貯留室2と、穀物を乾燥する乾燥室3と、集穀室4を設ける。
【0014】
箱体1の前側には穀物を揚穀する昇降機5と、バーナケース6を設け、バーナケース6内に熱風を生成する燃焼バーナ7を設ける。箱体1の後側には排風室8と連通する排風ダクト9を設け、排風ダクト9の後側面に排風ファン10を設ける。排風ファン10の上面には排風戻しダクト11の一端始端側を連結し、排風戻しダクト11の他端終端側を箱体1に連結する。排風戻しダクト11の排風流入口12を排風ファン10の内部と連通し、終端側の排風供給口13を後記熱風室14の上部後ろ側部に連通している。
【0015】
箱体1の上部には昇降機5で揚穀された穀物を横搬送する上部ラセン樋15を設ける。
【0016】
前記貯留室2の下方の乾燥室3に、左右に区分された貯留室2内の穀物をさらに左右に区分する一対の断面Y型穀物流下通路19を形成する。該乾燥室3上半部には左右一対の上側に副排風室8aが形成される。また、乾燥室3の左右中央部には熱風室14を設け、熱風室14内部には遠赤外線放射体16を前後方向に沿うように設けている。熱風室14の左右両側に穀物が流下する前記穀物流下通路19,19が配置され、穀物流下通路19,19の左右外側には排風室8,8を設ける。
【0017】
穀物流下通路19の下端の左右合流部には穀物を繰り出すロータリバルブ17を設け、ロータリバルブ17の下方には穀物を昇降機5へ搬送する下部ラセン18を設ける。
【0018】
前記バーナケース6は外気取り入れ用の外気取り入れスリットを多数形成している。燃焼バーナ7は本実施形態では間欠燃焼型のガンタイプのバーナ7を搭載している。
【0019】
排風ファン10は、外筒24内に前後方向に沿った横軸心の回転軸20aにより回転する回転翼20と、回転翼20から排出された排風を整流する固定翼21と、回転翼20を軸支する内筒25と、回転翼20により排出された排風を排風戻しダクト11側に案内する排風案内板22とにより構成している。
【0020】
固定翼21は回転翼20の排風側後方に位置し、捻れ形状の排風整流面を左右両側に備え、背面視で放射状に設定間隔毎に多数設けている。固定翼21の外端は外筒24に取り付け、固定翼21の内端は内筒25に取り付けている。
【0021】
排風戻しダクト11内には排風戻しダクト11内に流入する排風量を増減調節する排風調節弁26を設ける。排風調節弁26は排風調節弁モータ27で左右方向の横軸心回りに回動角度調整可能に構成している。排風戻しダクト11は、排風ファン10の上面から上方向に延びる第一ダクト部11aと、第一ダクト部11aの上端部と箱体1の背面とを接続する前後方向に延びる第二ダクト部11bとから構成し、第一ダクト部11a内に排風調節弁26を設ける。第二ダクト部11bは前広がり状に開口面積を順次大きくする構成としている。
【0022】
遠赤外線放射体16は、大径の第一円筒部30と、小径の第二円筒部31とで構成している。第一円筒部30の後部を狭窄部30aに構成し、該狭窄部に始端側屈曲部を介して接続して第二円筒部31を上方へ導き、前側に折り返し接続している。第一円筒部30と第二円筒部31は共に中空状で、第一円筒部30の上方に所定空間を介して第二円筒鯛31を前後方向平行状に上方に配置している。
【0023】
第一円筒部30の前端開口部を燃焼バーナ7の燃焼部と対向配置し、第二円筒部31の前端を板体で閉鎖し、第二円筒部31の終端側である前側下部に左右両側に向けて開口する開口部31aを所定間隔毎に設けている。
【0024】
前記バーナケース6の前側面には制御部Sを内蔵した操作パネルUを設けている。操作パネルUの正面側には、
図3に示すように張込スイッチ32・通風スイッチ33・乾燥スイッチ34・排出スイッチ35・停止スイッチ36の各運転スイッチを設けている。また、乾燥運転中の熱風温度・測定水分値・乾燥運転の終了までの残時間を順次切換え表示する液晶運転表示パネル45を設けている。
【0025】
また、張込量を設定するための張込量スイッチ37・到達目標水分値を設定する水分設定スイッチ38・張込量スイッチ37及び水分設定スイッチ38の設定数値を表示する設定表示パネル39、設定表示パネル39の設定値を変更する数値増減スイッチ40を設けている。また、乾燥対象の穀物種類を設定する穀物設定スイッチ41・乾燥速度を設定する乾燥速度設定スイッチ42を設けている。
【0026】
前記熱風室14には熱風室14内の温度を検出する熱風温度検出センサ43を、操作パネルUの適所には外気温度を検出する外気温度センサ44を設けている。
【0027】
図4に示すように、制御部Sの入力側には入力インターフェースを経由して各種スイッチ,センサが接続され、出力側には出力インターフェースを経由して各種モータ,駆動手段が接続されている。
【0028】
次に、燃焼制御と排風調節弁26による乾燥制御について説明する。
【0029】
本実施の形態の燃焼バーナ7はいわゆるガンタイプバーナであり、バーナ用送風ファン52で燃焼風を供給し、燃料タンク(図示せず)からポンプ50で繰り出した燃料をノズル49から噴霧し、イグナイタ51で発火し燃焼させる。なお、ポンプ50から燃焼バーナ7への燃料供給量は、比例制御弁53にて流量制御できる構成であり、穀物種類、予め設定スイッチ42で設定した乾燥速度と実際の乾燥速度の差、外気温度等に基づいて、制御部Sは所定単位時間毎にバーナの必要燃焼量を演算し、これに見合う燃料供給量を演算して上記比例制御弁53に燃料供給量指令信号を出力する構成である。なお、燃焼バーナ7は、機器固有の性能等によって予め設定されている燃料供給量Fa(リットル/時)を基準に、これよりも大なる燃料供給量を必要とする場合に、上記比例制御弁53に付与される制御信号に基づいて、必要な燃料供給量Fbに演算される構成としている(比例燃焼運転)。ところが、前記基準の燃料供給量Fa以下を必要とされる場合には、燃焼バーナ7は燃焼工程と燃焼停止工程を交互に行ういわゆる間欠燃焼運転に切り替えられる。そして、間欠燃焼運転における燃焼工程と停止工程の周期T(例えば60秒)を一定として、燃焼工程時間Tb、停止工程時間Tsを変更することによって基準の燃料供給量Fa以下の燃焼状態を調整できる構成としている。
【0030】
図5の燃焼量-ファン回転数関係グラフに一例を示すように、前記の燃焼バーナ7の比例燃焼運転においては、バーナ用送風ファン52の回転数も燃料供給量の大小変更と比例的に増減制御される構成としている。また、間欠燃焼運転時、燃焼工程においては、該燃焼量-ファン回転数表の最低回転数Raを選択して回転制御する構成である。そして、間欠燃焼運転における停止工程では、予め設定した回転数を選択して回転させる構成として、間欠燃焼運転中継続してバーナ用送風ファン52を回転連動するよう構成している。なお、間欠燃焼運転における燃焼工程と停止工程のファン回転数は同一回転でもよく、異なる回転数としてもよい。
【0031】
次に、穀物の乾燥運転について説明する。
【0032】
オペレータが張込スイッチ32をON操作すると、昇降機5及び上部ラセン15が駆動されて張込穀物を順次貯留室2内に張込む。そして、張込運転が終了すると、オペレータは張込量スイッチ37で張込穀粒量を設定し、水分設定スイッチ38で到達目標水分値(例えば14%)を設定し、穀物設定スイッチ41で対象穀物を設定し、乾燥速度設定スイッチ42で乾燥速度を設定する。
【0033】
次いで、乾燥スイッチ34をON操作すると乾燥運転が開始され、ロータリバルブ17、下部ラセン18、昇降機5、上部ラセン15の循環系が駆動を開始すると共に、燃焼バーナ7が燃焼を開始する。燃焼バーナ7で生成される熱風は排風ファン10の吸引作用で遠赤外線放射体16の内部を通過し、第二円筒部31の終端側前側部の開口部31a,31a…から熱風室14に流入する。そして、熱風室14から網体で形成される穀物流下通路19内に流入し、穀物に作用する。そして、穀物から水分を奪った熱風は排風室8へ流入し、次いで排風ダクト9を経て排風ファン10により機外へ排風として排出される。
【0034】
熱と水分を帯びた排風の一部は排風戻しダクト11を経て熱風室14に供給され、乾燥作業に再利用される。穀物は熱風と、遠赤外線放射体16から発生する遠赤外線の作用と、排風戻しダクト11から戻された排風により乾燥される。
【0035】
排風調節弁26は設定された張込穀物量及び乾燥速度と、水分計54で測定される穀物水分値、外気温度等の条件に基づいて調節動作がなされる。例えば、乾燥初期には穀温を上昇させるべく機外排風の排風戻しダクト11側へ戻す割合を高くし、乾燥運転の継続により、水分計53で測定される水分値が低下するにつれて排風戻しダクト11側へ戻す割合を徐々に低下させ、到達目標水分値に近づくとほとんど全ての排風を機外に排出するように排風調節弁26を制御する。
【0036】
本実施の形態では、排風調節弁26が全開の場合、すなわち、最も多くの排風量を排風戻しダクト11を経て熱風室14に供給した場合でも、排風が排風案内板22のスリット22aを通過したり、排風案内板22を取り付けていない部分の固定翼21の間を通過したりするため、熱風室14に供給される戻り排風の割合は全機外排風量の約4割程度である。
【0037】
次いで
図6のフローチャートに基づき、燃焼バーナ7が比例燃焼運転し又は間欠燃焼運転するバーナ運転制御につき説明する。前記乾燥スイッチ34をON操作すると、各部スイッチ、センサの状況を読み込む(S101,S102)。制御部Sは、穀物種類、水分値、乾燥速度等に基づいて燃料供給量Fを算出し、その算出燃料供給量Fが予め設定した基準の燃料供給量Faと比較される。算出燃料供給量Fが基準の燃料供給量Faを越える場合には(S103)、比例制御弁53に算出燃料供給量Fに見合う燃料供給信号が出力され(S104)、さらに後述の要領でバーナ用送風ファン52の回転数が演算されて、比例燃焼運転BLが実行される(S106)。一方前記S103で算出燃料供給量Fが基準の燃料供給量Fa以下の場合は、比例制御弁53に予め設定した最低燃料供給量Fmnの供給信号が出力されると共に(S107)、バーナ用送風ファン52の回転数が低領域で設定され回転すべく出力される(S108)。更に、周期Tに対する燃焼工程時間Tbが演算され(S109)、間欠燃焼運転が実行される(S110)。このように、算出された燃料供給量Fと基準の燃料供給量Faとの比較に基づいて、比例燃焼運転をするか間欠燃焼運転をするかが判定される構成としたから、低燃焼域から高燃焼域に亘って広い範囲で加熱状況を変更調整できる。
【0038】
図6において、停止スイッチ36をON操作すると、又は到達目標水分値まで乾燥されると燃焼バーナ7及び運転各部は停止されるが(S111,S112)、バーナ用送風ファン52は高領域回転出力され、所定時間ファン52は運転を継続する(S113~S115)。停止スイッチ36のON操作時、比例燃焼運転であるか、間欠燃焼運転かを問わず、共にS112~S115を実行するもので、このように構成すると、迅速に燃焼バーナを冷却することができる。
【0039】
次いで、
図7に基づいてバーナ用送風ファン52制御について説明する。乾燥スイッチ34ON操作後、制御部Sは燃焼バーナ7の運転が比例燃焼運転であるか、間欠燃焼運転であるか判定し(S201,S202)、比例燃焼制御と判定されると、算出された燃料供給量Fを読み込む(S203)。そして
図5に示すような、燃焼量-ファン回転数関係グラフをメモリから呼出す(S204)。この燃焼量-ファン回転数関係グラフからファン回転数を算出し、バーナ用送風ファン52を駆動する送風ファンモータ55に回転数出力する(S205~S207)。
【0040】
前記S202で間欠燃焼運転と判定された場合、燃焼工程か停止工程かが判定される(S208)。燃焼工程と判定されると、以下燃料供給量の読込み(S209)、燃焼量-ファン回転数関係グラフをメモリから呼出す(S210)。この燃焼量-ファン回転数関係グラフから最低ファン回転数Rmnを算出し(S211)、バーナ用送風ファン52を駆動する駆動モータ55に回転数出力する(S212)。そして燃焼工程時間Tb経過するまでバーナ用送風ファン52を回転させる(S213,S214)。上記S208で停止工程と判定されると、燃焼バーナ7への燃料供給は遮断されて燃焼は停止するが、ファン回転数として予め設定記憶された回転数、例えば最低ファン回転数Rmnを呼び出し、バーナ用送風ファン52を停止工程時間Ts経過するまで回転する(S215~S218)。
【0041】
その後は、停止スイッチ36の操作ON又は到達目標水分値まで乾燥されると燃焼バーナ7は停止し(S219,S210)、以後は
図6におけるS112~S115を実行する(S220~S223)。
【0042】
なお、前記S202の燃焼バーナ運転が比例燃焼運転であるか間欠燃焼運転であるかの判定は、演算される燃料供給量が基準の燃料供給量を越えるか否かによるものとし、前記S208の燃焼工程であるか停止工程であるかの判定は、S218の時間経過直後の場合には燃焼工程を実行すべく判定し、S214の時間経過直後の場合は燃焼工程を実行すべく判定する。
【0043】
ところで、乾燥制御において、通常の乾燥運転の途中に、乾燥ムラの解消を目的に、休止乾燥運転を行う乾燥制御方法がある。休止乾燥運転は、燃焼バーナ7を停止するが、この休止乾燥運転中に前記バーナ用送風ファン52を所定回転領域で所定時間運転継続するよう構成している。このときに、休止乾燥運転の直前の燃焼が間欠燃焼運転の場合、バーナ用送風ファン52は所定以下の低回転領域による所定時間の運転を行い、比例燃焼運転の場合には、所定以上の高回転領域による所定時間の運転を行う。このため、円滑に休止乾燥に移行できる。
【0044】
図8に示すタイムチャートは、比例燃焼運転と間欠燃焼運転の熱風温度の平均化処理と表示出力の状況を示す。
図8(A)は比例燃焼運転時の燃料供給量、熱風温度、該熱風温度の移動平均値MRn(n=1,2…)及び該移動平均値MRnの表示出力を示すもので、所定周期Td毎に移動平均値MRnの表示の更新が実行される。一方
図8(B)は間欠燃焼運転時の燃料供給量、熱風温度、移動平均値MIn(n=1,2…)及び該移動平均値MIn表示の一例を示している。
【0045】
移動平均値表示は、比例燃焼運転の時も間欠燃焼運転の時も共に、周期Td毎に実行される。従って、比例燃焼運転中又は間欠燃焼運転中に関わらず、オペレータはこの共通の周期Tdを覚えておけばよく、異常判定等の判定に際して、次回目視を逃すことがなく異常等の当該判定を迅速になしうる。
【0046】
そして、周期Tdによる表示出力タイミングの直前の移動平均値MRn又はMInを採用して運転表示パネル45に表示する。ところで、間欠燃焼運転の際の移動平均値MInについては、以下のように算出処理される。熱風温度検出センサ43からの検出データは燃焼工程中のみとし停止工程中の検出データは採用しない。周期Td毎に移動平均値MInを表示するが、周期Tdによる表示出力タイミングの直前の移動平均値MInを採用して運転表示パネル45に表示する。
図8(B)のMI1やMI5は直ちにその値が表示されるが、MI3やMI7は連続して表示される。
図8(B)の矢印は、表示出力に基づいて採用表示される関係を示す。
【0047】
なお、
図13に示すように、移動平均値でなく、単純平均値を採用してもよい。この場合には、例えば、間欠燃焼運転中の燃焼工程時に平均温度を測定し、停止工程中に表示出力する構成でも良い。
【0048】
図9の例は、作物用乾燥機の燃焼バーナ7に標準的に使用される灯油燃料の場合を示すが、灯油に代替して軽油を使用することもできる。軽油を使用する場合の燃焼量-ファン回転数関係グラフを
図11点線で示す。粘性の高い軽油の場合には、灯油(
図11中実線)に対してファン回転数がやや高く設定される。また、前記最低燃料供給量Fmnは、灯油の最低燃料供給量Fmnに対して軽油の最低燃料供給量F´mnをやや大に設定する。つまり、粘性の高い軽油の場合は、最低側の燃料供給状態を制限することにより、ノズル49の燃料詰まりを未然に防止できる。
【0049】
なお、本実施例では、最低燃料供給量Fmn又はF´mnの実行は、間欠燃焼運転中であるから、軽油の場合は灯油の場合に比較して燃焼工程時間Tbをプラス側補正して燃料供給量を相違させている。間欠燃焼運転を採用しない場合には、比例燃焼運転中においても同様に構成できる。
【0050】
前記のように、前記最低燃料供給量Fmnは、灯油の最低燃料供給量Fmnに対して軽油の最低燃料供給量F´mnをやや大に設定されていて、ΔFmnの差異をおいている。このため、粘性の高い軽油の場合は、最低側の燃料供給状態を灯油よりもΔFmn分高く設定することにより、ノズル49の燃料詰まりを未然に防止できる。
【0051】
制御部Sは、灯油・軽油選択スイッチ46を備え、灯油を選択設定すると、前記
図11の燃焼量-ファン回転数のうち実線側が採用され、燃料供給量制御及びこれに対応するファン回転数制御を実行し、軽油を選択設定すると、
図11の点線側が採用されるものである。なお、燃料供給量制御は、前記ノズル47へ選択された灯油又は軽油が比例制御弁53へ制御部Sからの燃料供給信号によるものであり、ファン回転数制御は、バーナ用送風ファン52を駆動する送風ファンモータ55へ制御部Sからのファン回転数信号の出力によるものである。
【0052】
図12に燃料選択及び乾燥制御について説明する。乾燥スイッチ34をON操作し、各部スイッチ、センサの状況を読み込む(S201,202)。スイッチのうち、灯油・軽油選択スイッチ32の選択出力を入力する(S203)。乾燥開始にあたって、予め初期燃料供給量と初期ファン回転数を呼び出す(S204,S205)。この状態で初期燃焼運転、即ち燃焼バーナ7を点火し燃焼させる(S206)。同時にS203の入力に基づき、選択燃料が灯油選択であるか否か判定され(S207)、灯油選択のときは、
図11の燃焼量-ファン回転数のうち灯油を示す実線側が採用され、燃料供給量に応じて比例燃焼運転又は間欠燃焼運転が実行される(S209)。
【0053】
前記S207で軽油が選択されたと判定されると、
図11の燃焼量-ファン回転数のうち軽油を示す点線側が採用され(S210)、燃焼バーナ7等運転実行されるものである。
【0054】
燃焼バーナ7が作動中の乾燥運転中、熱風温度検出センサ43による熱風温度Tbと予め設定した設定熱風温度Tcとの差分より燃料供給量Fが演算される(S211,S212)。ここで演算された燃料供給量Fが灯油の最低燃料供給量Fmnであるか、軽油の最低燃料供給量F´mnであるかどうか判定され(S213,S214)、供給出力される(S215,S216)。上記S213で最低燃料供給量でない場合は、演算された供給量Fが出力される(S217)。
【0055】
そして、穀物水分が所定仕上の水分に達したか又は停止スイッチ36がON操作されると(S218)、燃焼バーナ7及びバーナ用送風ファン52は停止出力される(S219,S220)。
【0056】
なお、前記S207で軽油が選択されたと判定されると、
図11の燃焼量-ファン回転数のうち軽油を示す点線側が採用される(S213)。以下S209~S212の手順で燃焼バーナ7等運転が実行されるものである。
【0057】
なお、前記S204,S205において、燃料種類の相違に関係なく所定の燃料供給量及びバーナファン回転数を採用したが、灯油又は軽油毎に異なる初期燃料供給量及び初期ファン回転数を設定するようにしてもよい。
【0058】
図11におけるように、同じ燃焼量、即ち燃料供給量において、灯油のファン回転数に対して軽油のファン回転数をやや大に設定することにより、一次空気の不足を防ぎ、安定した燃焼を行える。
【0059】
上記のように、本実施例では、制御部Sに使用燃料として灯油を選択したか又は軽油を選択したかを出力する燃料種類出力手段として、灯油・軽油選択スイッチ46によって行う構成としたが、灯油・軽油を識別する識別センサによる構成でもよい。識別センサとしては、無色透明の灯油と薄黄色(又は薄黄緑)の軽油の色を認識できる色彩識別手段を備える構成としてもよい。
【0060】
次いで、
図10に基づき、比例燃焼制御に伴う供給量増減出力の具体例について、熱風温度Tbの検出出力との関係を説明する。燃料供給量F(燃料は灯油、軽油を問わない)は、設定熱風温度Tcに対する検出熱風温度Tbとの差に基づき、比例制御弁53には燃料増減出力される。すなわち、設定熱風温度Tcに対して熱風温度検出センサ43の検出による熱風温度Tbが低い場合には燃料増加信号が出力され、高い場合には燃料減少信号が出力される。そして、この燃料増加信号又は燃料減少信号は、単位時間t(例えば、1分)に単位量q(例えば0.1リットル/時)毎を段階的に増加又は減少するよう構成している。例えば、検出熱風温度Tbと設定熱風温度Tcとの差ΔTbによって、現在燃料供給量よりも+4q増加の演算がなされた場合であっても、一挙に+4qの供給量増加するのではなく、単位時間t毎に1q,2×q…のように増加させる制御を実行する。なお、減少出力の場合にも増加側と同様に単位時間t事毎に供給量減少-q,-2×qを出力するよう構成している。
【0061】
燃焼バーナ7としてガンタイプバーナを採用する場合は、燃料増減に対する反応が速く一挙に燃料供給量を増加すると熱風温度が急上昇し、乾燥農産物に過度の熱風を供給することとなって品質上好ましくない。しかしながら、上記のように単位時間当たりの燃料供給量の増減を単位量に設定して段階的に変更することによって、品質の低下を引き起こさない。
【0062】
制御部Sは、前記単位時間t毎に燃料供給量変更要求を出力し、この要求信号が出力されると、設定熱風温度Tcと検出熱風温度Tbとの差から燃料供給量を演算し、比例制御弁53への供給量増減を出力する。
図10に示すように、この要求信号は、単位時間tの前半において実行され、単位時間tの間はこの供給量増減出力を維持する。また制御部Sは、熱風温度検出要求を出力し、この要求信号を受けると、逐次変更する熱風温度Tbを検出する熱風温度検出センサ43からの検出出力を受け入れる構成である。この熱風温度検出要求は前記単位時間tの後半に実行するよう構成し、つまり変更出力によって前記供給量が増減出力された直後の熱風温度Tbの変動状況を把握できるようになっている。単位時間tの後半のt/2時間内で温度上昇又は低下を確認でき、過度の温度上昇や本来低下すべきが低下に至らない状況を把握でき、穀物損傷を防止し、火災等の事故を未然に防止できる。
【0063】
なお、
図10の熱風温度Tbの変化特性を示すタイムチャートにおいて、設定熱風温度Tcの上下に所定幅±αの閾値を設けて、この閾値±α内に入ると増減制御を抑制する公知の構成としている。
【符号の説明】
【0064】
7 燃焼バーナ
8 排風室
10 排風ファン
14 熱風室
16 遠赤外線放射体
46 灯油・軽油選択スイッチ(燃料種類出力手段)
49 ノズル
52 バーナ用送風ファン
53 比例制御弁
Fa 基準燃料供給量
MRn 熱風温度平均値(比例燃焼運転時)
MIn 熱風温度平均値(間欠燃焼運転時)
Fmn 最低燃料供給量(灯油)
F´mn 最低燃料供給量(軽油)