(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185091
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】癌を治療するための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/58 20060101AFI20221206BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20221206BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221206BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
A61K31/58
A61K31/573
A61P35/00
A61P13/08
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161610
(22)【出願日】2022-10-06
(62)【分割の表示】P 2020193403の分割
【原出願日】2007-08-23
(31)【優先権主張番号】60/921,506
(32)【優先日】2006-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509053307
【氏名又は名称】ヤンセン オンコロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100141195
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 恵美子
(72)【発明者】
【氏名】アラン エイチ.アウエルバクフ
(72)【発明者】
【氏名】アリエ エス.ベルルデグルン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】癌を治療するための方法及び組成物を提供する。
【解決手段】酢酸アビラテロン又はその医薬として許容し得る塩、及びプレドニゾロンを含み、酢酸アビラテロンと、プレドニゾロンとが、治療上有効な量で、組み合わせて又は別々に投与される、医薬組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸アビラテロン又はその医薬として許容し得る塩、及びプレドニゾロンを含む、前立
腺癌を治療するための医薬組成物であって、該酢酸アビラテロン又は該医薬として許容し
得る塩と、該プレドニゾロンとが、治療上有効な量で、組み合わせて又は別々に投与され
る、前記医薬組成物。
【請求項2】
前記酢酸アビラテロン又はその医薬として許容し得る塩の治療上有効な量が、500 mg/
日~1500 mg/日である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記プレドニゾロンの治療上有効な量が、0.25 mg/日~50 mg/日である、請求項2記載
の医薬組成物。
【請求項4】
前記プレドニゾロンの治療上有効な量が、5 mg/日~10 mg/日である、請求項2記載の
医薬組成物。
【請求項5】
前記プレドニゾロンの治療上有効な量が10 mg/日である、請求項4記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記プレドニゾロンが、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム及びプ
レドニゾロンテブタートから選択される、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項7】
酢酸アビラテロン又はその医薬として許容し得る塩、及びプレドニゾロンを含む、不応
性前立腺癌を治療するための医薬組成物であって、該酢酸アビラテロン又は該医薬として
許容し得る塩と、該プレドニゾロンとが、治療上有効な量で、組み合わせて又は別々に投
与される、前記医薬組成物。
【請求項8】
前記酢酸アビラテロン又はその医薬として許容し得る塩の治療上有効な量が、500 mg/
日~1500 mg/日である、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記プレドニゾロンの治療上有効な量が、0.25 mg/日~50 mg/日である、請求項8記載
の医薬組成物。
【請求項10】
前記プレドニゾロンの治療上有効な量が、5 mg/日~10 mg/日である、請求項8記載の
医薬組成物。
【請求項11】
前記プレドニゾロンの治療上有効な量が10 mg/日である、請求項10記載の医薬組成物
。
【請求項12】
前記プレドニゾロンが、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム及びプ
レドニゾロンテブタートから選択される、請求項7記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本明細書中で説明するのは、癌を治療するための方法及び組成物である。より詳細には
、癌を治療するための該方法は、酢酸アビラテロン(すなわち、3β-アセトキシ-17-(3-ピ
リジル)アンドロスタ-5,16-ジエン)などの17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害
薬を、抗癌薬又はステロイドなどの少なくとも1種の追加の治療薬と組み合わせて投与す
ることを含む。さらに、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ、及び抗癌薬又はステ
ロイド、例えばコルチコステロイド、又はより具体的にはグルココルチコイドなどの少な
くとも1種の追加の治療薬を含む組成物を開示する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
癌と診断される人の数は、かなり増加している。特に重要なのは、前立腺癌などのアン
ドロゲン依存性障害、及び乳癌などのエストロゲン依存性障害と診断された個体である。
なぜなら、そのような診断が警戒すべき速度で数を増しているからである。
【0003】
前立腺癌は、現在、最も一般的な非皮膚癌であり、且つ男性における癌関連死亡原因の
中で肺癌に続く第2の主要原因である。器官限局性前立腺癌と診断された患者に対する主
な治療方策は、通常、前立腺切除又は放射線療法である。これらの治療は、高度に侵襲性
であるのみならず、望ましくない副作用を有し、このような局所治療は、転移後の前立腺
癌には有効でない。さらに、局所治療を受けた個体の中の大きなパーセントが、反復性癌
を患う。
【0004】
さらに、女性における乳癌の発生率は、1960年の女性20名毎に1名から2005年の女性8名
毎に1名まで増加している。さらに、乳癌は、白人及びアフリカ系米国人女性の中で最も
一般的な癌である。前立腺癌を治療するのと同様、乳癌と診断された女性に対するほとん
どの選択肢は、高度に侵襲的であり、且つかなりの副作用を有する。このような治療には
、手術、放射線及び化学療法が含まれる。
【0005】
ホルモン療法は、前立腺癌又は乳癌と診断された個体に対するもう1つの治療選択肢で
ある。ホルモン療法は、前立腺癌又は乳癌に対する全身性治療の形態であって、ホルモン
除去薬を使用して、乳癌の増殖を促進すると考えられる体内のエストロゲン及びプロゲス
テロン、並びに前立腺癌の増殖を促進すると考えられるテストステロン及びジヒドロテス
トステロンなどのホルモン類の産生を抑制するか、又はホルモン類の効果を遮断する。さ
らに、ホルモン療法は、手術に比べて侵襲性が低く、化学療法又は放射線に付随する副作
用の多くを有さない。ホルモン療法は、また、単独で又は局所療法に加えて使用すること
ができ、その癌が転移性である個体で有効であることが示されている。
【0006】
ホルモン療法は、侵襲性が低く、且つより進行した段階の癌に使用することができるが
、現在のホルモン療法治療を施された若干の個体は、このような治療に対して有意な応答
を示さない可能性があるか、あるいはどんな応答もまったく示さない可能性がある。さら
に、現在のホルモン療法治療で治療された若干の患者は、再発性又は反復性癌を患う可能
性もある。現在、このような不応性の癌患者に残された治療選択肢は極めて少ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
癌治療で達成された進歩にもかかわらず、限定はされないが前立腺癌及び乳癌などの癌
を治療するためのより効果的な方策に対する必要性が残っている。さらに、現在の抗癌治
療に応答しない患者に対する効果的な抗癌治療の選択肢が求められている。また、その癌
が反復性である患者に対する効果的な抗癌治療の選択肢が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本明細書中で説明するのは、酢酸アビラテロン(すなわち、3β-アセトキシ-17-(3-ピリ
ジル)アンドロスタ-5,16-ジエン)などの治療上有効な量の17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20
-リアーゼ阻害薬を、患者、例えば、それを必要とする患者に、限定はされないが抗癌薬
又はステロイドを含む治療上有効な量の少なくとも1種の追加の治療薬と組み合わせて投
与する、癌の治療方法である。このような方法は、また、現在癌治療を受けている個体を
含む不応性癌を有する個体に対する効果的な治療を提供する。したがって、いくつかの実
施態様において、該方法は、患者の不応性癌を治療することを対象とし、治療上有効な量
の17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬を、現在抗癌薬を服用している患者に
投与する。
【0009】
例えば、いくつかの実施態様において、哺乳動物の癌を治療するための方法は、約0.01
mg/kg/日~約100mg/kg/日の量の酢酸アビラテロン、及び約0.1mg/m2~約20mg/m2の量のミ
トキサントロンを投与することを含む。
【0010】
別の実施態様において、哺乳動物の癌を治療するための方法は、約0.01mg/kg/日~約10
0mg/kg/日の量の酢酸アビラテロン、及び約1mg/m2~約175mg/m2の量のパクリタキセルを
投与することを含む。
【0011】
さらに他の実施態様において、哺乳動物の癌を治療するための方法は、約0.01mg/kg/日
~約100mg/kg/日の量の酢酸アビラテロン、及び約1mg/m2~約100mg/m2の量のドセタキセ
ルを投与することを含む。
【0012】
さらに、本明細書中で説明するのは、約0.01mg/kg/日~約100mg/kg/日の量の酢酸アビ
ラテロン、及び約0.01mg~約200mgの量のリュープロリドを投与することを含む、哺乳動
物の癌を治療するための方法であり、ここで、リュープロリドは、約3日~約12カ月間に
わたって投与される。
【0013】
他の実施態様において、哺乳動物の癌を治療するための方法は、約0.01mg/kg/日~約10
0mg/kg/日の量の酢酸アビラテロン、及び約0.01mg~約20mgの量のゴセレリンを投与する
ことを含み、ここで、ゴセレリンは、約28日~約3カ月間にわたって投与される。
【0014】
さらに、別の実施態様において、哺乳動物の癌を治療するための方法は、約0.01mg/kg/
日~約100mg/kg/日の量の酢酸アビラテロン、及び約0.01mg~約20mgの量のトリプトレリ
ンを投与することを含み、ここで、トリプトレリンは、約1カ月間にわたって投与される
。
【0015】
哺乳動物の癌を治療する方法は、また、約0.01mg/kg/日~約100mg/kg/日の量の酢酸ア
ビラテロン、及び約0.1μg/日~約500μg/日の量のセオカルシトール、例えば、約100μg
/日のセオカルシトールを投与することを含むことができる。
【0016】
また、哺乳動物の癌を治療するための方法は、約0.01mg/kg/日~約100mg/kg/日の量の
酢酸アビラテロン、及び約1mg/日~約300mg/日の量のビカルタミドを投与することを含む
ことができる。
【0017】
さらに別の実施態様において、哺乳動物の癌を治療するための方法は、約0.01mg/kg/日
~約100mg/kg/日の量の酢酸アビラテロン、及び約1mg/日~約2000mg/日の量のフルタミド
を投与することを含むことができる。
【0018】
さらに、哺乳動物の癌を治療するための方法は、約50mg/日~約2000mg/日の量の酢酸ア
ビラテロン、及び限定はされないがヒドロコルチゾン、プレドニゾン又はデキサメタゾン
を含む約0.01mg/日~約500mg/日の量のグルココルチコイドを投与することを含むことが
できる。
【0019】
また、本明細書中で説明するのは、治療上有効な量の少なくとも1種の17α-ヒドロキシ
ラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬と、限定はされないが、ミトキサントロン、パクリタキセ
ル、ドセタキセル、リュープロリド、ゴセレリン、トリプトレリン、セオカルシトール、
ビカルタミド、フルタミド、又はステロイド(限定はされないがヒドロコルチゾン、プレ
ドニゾン、又はデキサメタゾンを含む)などの治療上有効な量の少なくとも1種の追加の抗
癌薬との組合せを含む、癌を治療するための組成物である。
【0020】
最後に、酢酸アビラテロン及びグルココルチコイドを、任意選択で担体、希釈剤又は賦
形剤と共に含む単一単位剤形が想定される。また、少なくとも1種の17α-ヒドロキシラー
ゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬及び追加の抗癌薬又はステロイドを含むキットが想定される。
例えば、該キットは、酢酸アビラテロンを収納したバイアル瓶、及びグルココルチコイド
を収納した別のバイアル瓶を含むことができる。
【0021】
(定義)
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、単語「癌」は、身体
における異常細胞の成長、分裂又は増殖を指す。本明細書中に記載の方法及び組成物を用
いて治療できる癌には、限定はされないが、前立腺癌、乳癌、副腎癌、白血病、リンパ腫
、骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、単クローン性免疫グロブリン血症
、良性単クローン性免疫グロブリン血症、重鎖病、骨及び結合組織の肉腫、脳腫瘍、甲状
腺癌、膵臓癌、下垂体癌、眼癌、膣癌、外陰癌、子宮頚癌、子宮癌、卵巣癌、食道癌、胃
癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆嚢癌、胆管癌腫、肺癌、精巣癌、陰茎癌、口腔癌、皮膚
癌、腎臓癌、ウィルムス腫瘍、及び膀胱癌が含まれる。
【0022】
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、用語「治療する」及
び「治療」には、腫瘍、又は原発性、局所性若しくは転移性の癌細胞若しくは組織の根治
、除去、緩和、管理又は制御、及び癌拡大の最小化又は遅延が含まれる。
【0023】
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、用語「患者」は、動
物を意味し、限定はされないが、ヒト、サル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シ
チメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、又はモルモットなどの動
物を含む。一実施態様において、患者は哺乳動物であり、別の実施態様において、患者は
ヒトである。いくつかの実施態様において、患者は、成人の男性又は女性でよい。若干の
実施態様において、患者は、約30~約85歳の男性である。他の実施態様において、患者は
、約30~約85歳の女性である。特定の実施態様において、患者は、癌を有するか、癌にか
かりやすい(例えば、遺伝又は環境要因で)。さらなる実施態様において、患者は、腫瘍を
有するか、腫瘍にかかりやすい(例えば、遺伝又は環境要因で)。他の実施態様において、
患者は、去勢されていても去勢されていなくてもよい。
【0024】
用語「17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬」は、本明細書中で使用される
場合、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ(テストステロン合成に関わる酵素)の阻
害薬、その類似体、その誘導体、その代謝産物、又はその医薬として許容し得る塩を指す
。また、特記しない限り、特定の17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬への言
及は、このような特定の17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬の類似体、誘導
体、代謝産物、又は医薬として許容し得る塩を含むことができる。
【0025】
用語「抗癌薬」は、本明細書中で使用される場合、癌細胞を直接若しくは間接的に死滅
させる、又は癌細胞の増殖を直接若しくは間接的に予防、停止又は低下させる任意の治療
薬を指す。本明細書を通して及び特許請求の範囲中で、句「抗癌薬」は、単数名詞、例え
ば「抗癌薬」又は「その抗癌薬」として記載されるが、句「抗癌薬」は、たった1つの抗
癌薬の組込みに限定されると解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0026】
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、句「治療上有効な量
」は、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬又は治療薬に関して使用される場
合、癌などの本明細書中で開示される疾患又は障害を治療するのに有効な17α-ヒドロキ
シラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬又は治療薬の量を意味する。
【0027】
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、句「不応性癌」は、
抗癌治療に応答していない癌、又は抗癌治療に十分には応答していない癌を意味する。不
応性癌は、また、反復性又は再発性癌を含むことができる。
【0028】
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、句「不応性患者」は
、不応性癌を有する患者を意味する。
【0029】
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、句「再発性癌」は、
ある期間抗癌治療に応答性であったが、このような治療にもはや応答しないか、このよう
な治療にもはや十分には応答しないようになった癌を意味する。
【0030】
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、句「反復性癌」は、
患者が、早くから癌と診断された、治療を受けていた、又は以前に非癌性と診断された後
に元に戻った癌を意味する。
【0031】
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、用語「誘導体」は、
その化学的改変が、該化合物の1つ以上の官能基で行われる、化学的に改変された化合物
を指す。誘導体は、該誘導体が由来する化合物の薬理学的活性を保持又は改善する可能性
がある。
【0032】
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、用語「類似体」は、
構造的には別のものに類似しているが、組成をわずかに異にする(ある原子を異なる元素
の原子で置き換えること、又は特定官能基が存在することなど)化合物を指す。
【0033】
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、句「医薬として許容
し得る塩」は、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬の生物学的有効性を維持
している17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬の任意の塩を指す。医薬として
許容し得る塩には、限定はされないが、酢酸塩、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸
塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン
酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩
、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩
、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マ
レイン酸塩、ブチン-1,4-二酸塩、ヘキシン-1,6-二酸塩、安息香酸塩、クロル安息香酸塩
、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩
、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フィルアセテート(phylacetate)
、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ-ヒドロキシ酪酸
塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、アルカンスルホン酸塩(例えば、メタンスルホン酸塩又
はメシル酸塩)、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-ス
ルホン酸塩、及びマンデル酸塩が含まれる。いくつかの公式に認められた塩は、Remingto
nの文献「製薬の化学と実際(The Science and Practice of Pharmacy)」(Mack Publ.Co.,
Easton)中に列挙されている。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(発明の詳細な説明)
癌を治療するための本明細書に記載の方法は、哺乳動物、好ましくはヒトに、抗癌薬又
はステロイド、特に、グルココルチコイドなどの少なくとも1種の治療薬に加えて、17α-
ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬を投与することを含む。本明細書に記載の組成
物は、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬、及び抗癌薬又はステロイド、特
に、コルチコステロイド又はグルココルチコイドなどの少なくとも1種の追加の治療薬を
含む。さらに別の抗癌薬の投与、放射線療法、化学療法、光力学療法、手術、又はその他
免疫療法などの他の抗癌治療を、該方法及び組成物と一緒に使用できる。
【0035】
(17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬)
参照によりその全体が本明細書中に組み込まれている、Barrieらの米国特許第5604213
号に記載されるように、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬は、癌、特に、
前立腺癌及び乳癌などのそれぞれアンドロゲン依存性及びエストロゲン依存性障害などの
ホルモン依存性障害の治療で有用であることが示されている。
【0036】
いくつかの実施態様において、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬は、17-
(3-ピリジル)アンドロスタ-5,16-ジエン-3β-オール;17-(3-ピリジル)アンドロスタ-3,5,
16-トリエン;17-(3-ピリジル)アンドロスタ-4,16-ジエン-3-オン;17-(3-ピリジル)エスト
ラ-1,3,5[10],16-テトラエン-3-オール;17-(3-ピリジル)-5α-アンドロスタ-16-エン-3α
-オール;17-(3-ピリジル)-5α-アンドロスト(androst)-16-エン-3-オン;17-(3-ピリジル)
-アンドロスタ-4,16-ジエン-3,11-ジオン;17-(3-ピリジル)-アンドロスタ-3,5,16-トリエ
ン-3-オール;6α-及び6β-フルオロ-17-(3-ピリジル)アンドロスタ-4,16-ジエン-3-オン;
17-(3-ピリジル)アンドロスト-4,16-ジエン-3,6-ジオン;3α-トリフルオロメチル-17-(3-
ピリジル)アンドロスト-16-エン-3β-オール;又はそれらの酸付加塩及び3-エステル、並
びにその代謝産物、類似体、誘導体、又は医薬として許容し得る塩でよい。
【0037】
いくつかの実施態様において、17α-ヒドロキシラーゼ/C
17,20-リアーゼ阻害薬は、式(
I)の構造を有することができ:
【化1】
式中、
Xは、限定はされないが、アンドロスタン-3α-又は3β-オール;アンドロスト-5-エン-3
α-又は3β-オール;アンドロスト-4-エン-3-オン;アンドロスト-2-エン;アンドロスト-4-
エン;アンドロスト-5-エン;アンドロスタ-5,7-ジエン-3α又は3β-オール;アンドロスタ-
1,4-ジエン-3-オン;アンドロスタ-3,5-ジエン;アンドロスタ-3,5-ジエン-3-オール;エス
トラ-1,3,5[10]-トリエン;エストラ-1,3,5[10]-トリエン-3-オール;5α-アンドロスタン-
3-オン;アンドロスト-4-エン-3,11-ジオン;6-フルオロアンドロスト-4-エン-3-オン;又は
アンドロスタン-4-エン-3,6-ジオンでよいステロイドの残基A、B及びC環を表し;そのそれ
ぞれは、構造的に許されるなら、次の方式の1つ以上でさらに誘導体化されることができ
、その方式には、限定はされないが、3-エステルを形成すること;5,6-、6,7-、7,8-、9,1
1-及び11,12-位のいずれかに1つ以上の炭素又は炭素環二重結合を有すること;3-オキシム
として;3-メチレンとして;3-カルボキシレートとして;3-ニトリルとして;3-ニトロとして
;3-デゾキシ誘導体として;A、B又はC環に1つ以上のヒドロキシ、ハロ、C
1~4-アルキル、
トリフルオロメチル、C
1~4-アルコキシ、C
1~4-アルカノイルオキシ、ベンゾイルオキシ
、オキソ、メチレン又はアルケニル置換基を有すること;或いは19-norであること;が含ま
れ;
Rは、水素原子、又は1~4個の炭素原子を有するアルキル基を表し;
R
14は、水素原子、ハロゲン原子、又は1~4個の炭素原子のアルキル基を表し;
R
15置換基のそれぞれは、独立に、水素原子、又は1~4個の炭素原子のアルキル若しく
はアルコキシ基、ヒドロキシ基、又は2~5個の炭素原子のアルキルカルボニルオキシ基を
表すか、又は一緒になってオキソ若しくはメチレン基を表すか、R
14と1つのR
15基が一緒
になって二重結合を表し、且つ残りのR
15基が、水素原子、又は1~4個の炭素原子を有す
るアルキル基を表し;且つ
R
16は、水素原子、ハロゲン原子、又は1~4個の炭素原子を有するアルキル基を表し、
遊離塩基又は医薬として許容し得る酸付加塩の形態であるが、3β-アセトキシ-17-(3-ピ
リジル)アンドロスタ-5,14,16-トリエン、3β,15α-及び3β,15β-ジアセトキシ-17-(3-
ピリジル)アンドロスタ-5,16-ジエン及び3β-メトキシ-17-(3-ピリジル-5α-アンドロス
ト-16-エンを除く。
適切な阻害薬には、式(I)の代謝産物、誘導体、類似体、又は医薬として許容し得る塩も
含まれる。
【0038】
別の実施態様において、17α-ヒドロキシラーゼ/C
17,20-リアーゼ阻害薬は、式(I)の構
造
【化2】
を有することができ、式中、Rは、水素、又は1~4個の炭素原子を有する低級アシル基を
表す。適切な阻害薬には、式(I)の誘導体、類似体、又は医薬として許容し得る塩も含ま
れる。
【0039】
さらに別の実施態様において、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬は、そ
のアルカノイルオキシ基が2~4個の炭素原子を有する3β-アルカノイルオキシ-17-(3-ピ
リジル)アンドロスタ-5,16-ジエンでよい。
【0040】
好ましい実施態様において、17α-ヒドロキシラーゼ/C
17,20-リアーゼ阻害薬は、次の
構造式を有する酢酸アビラテロン又は3β-アセトキシ-17-(3-ピリジル)アンドロスタ-5,1
6-ジエン、及びその医薬として許容し得る塩を含む。
【化3】
【0041】
酢酸アビラテロンの好ましい塩、及びこのような塩の製造方法も、参照によりその全体
が本明細書中に組み込まれているHuntの米国特許仮出願第60/603559号に開示されている
。好ましい塩には、限定はされないが、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、アルカンスルホン
酸塩(例えば、メタンスルホン酸塩又はメシル酸塩)、及び酒石酸塩が含まれる。特に重要
なのは、次の構造式を有する、酢酸アビラテロンのメシル酸塩(すなわち、3β-アセトキ
シ-17-(3-ピリジル)アンドロスタ-5,16-ジエンメシル酸塩)である。
【化4】
【0042】
17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬は、当業者に周知の任意の方法に従っ
て製造できる。例えば、このような阻害薬は、参照により本明細書中に組み込まれている
Barrieらの米国特許第5604213号及び米国特許第5618807号に開示されている方法に従って
合成できる。17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬の別の製造方法も参照によ
り本明細書中に組み込まれているBuryの米国特許仮出願第60/603558号に開示されている
。
【0043】
癌を有する哺乳動物に投与される17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬の量
は、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬を、単独で投与するか、追加の抗癌
薬などの追加の抗癌治療と組み合わせて投与するかのいずれにせよ、癌を治療するのに十
分である量である。
【0044】
(追加の治療薬)
17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬に加えて抗癌薬として使用することの
できる適切な化合物には、限定はされないが、ホルモン除去薬、抗アンドロゲン薬、分化
促進薬、抗腫瘍薬、キナーゼ阻害薬、代謝拮抗薬、アルキル化薬、抗生物質、免疫学的薬
剤、インターフェロン型薬剤、インターカレーション剤、増殖因子阻害薬、細胞周期阻害
薬、酵素、トポイソメラーゼ阻害薬、生物学的応答調節剤、有糸分裂阻害薬、マトリック
ス金属プロテアーゼ阻害薬、遺伝子治療薬、及び抗アンドロゲン薬が含まれる。癌を有す
る哺乳動物に投与される追加の抗癌薬の量は、単独で投与するか、又は17α-ヒドロキシ
ラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬と組み合わせて投与するかのいずれにせよ、癌を治療する
のに十分である量である。以下に、上記部類の抗癌薬の若干例を列挙する。該例は、すべ
てを包括するものではなく、例示を目的とし、限定を目的としたものではない。下記例の
多くは、複数部類の抗癌薬中に列挙される場合があり、かついかなる意味でもそれらが列
挙されている部類に限定されるものではない。
【0045】
適切なホルモン除去薬には、限定はされないが、アンドロゲン除去薬及びエストロゲン
除去薬が含まれる。好ましい実施態様において、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアー
ゼ阻害薬は、デスロレリン、リュープロリド、ゴセレリン又はトリプトレリンなどのホル
モン除去薬と一緒に投与される。本明細書を通して及び特許請求の範囲中で、句「ホルモ
ン除去薬」は、単数名詞、例えば「ホルモン除去薬」又は「そのホルモン除去薬」として
記載されるが、句「ホルモン除去薬」は、たった1つのホルモン除去薬の組入れに限定さ
れると解釈すべきではない。癌を有する哺乳動物に投与されるホルモン除去薬の量は、単
独で投与するか、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬と組み合わせて投与す
るかのいずれにせよ、癌を治療するのに十分である量である。
【0046】
適切な抗アンドロゲン薬には、限定はされないが、ビカルタミド、フルタミド及びニル
タミドが含まれる。癌を有する哺乳動物に投与される抗アンドロゲン薬の量は、単独で投
与するか、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬と組み合わせて投与するかの
いずれにせよ、癌を治療するのに十分である量である。
【0047】
別の実施態様において、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬は、分化促進
薬と一緒に投与できる。適切な分化誘導薬には、限定はされないが、ポリアミン阻害薬;
ビタミンD及びその類似体(カルシトリオール、ドキセルカルシフェロール及びセオカルシ
トールなど);ビタミンAの代謝産物(ATRA、レチノイン酸、レチノイドなど);短鎖脂肪酸;
酪酸フェニル;及び非ステロイド性抗炎症薬;が含まれる。癌を有する哺乳動物に投与され
る分化促進薬の量は、単独で投与するか、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害
薬と組み合わせて投与するかのいずれにせよ、癌を治療するのに十分である量である。
【0048】
別の好ましい実施態様において、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬は、
抗腫瘍薬と一緒に投与することができ、該抗腫瘍薬には、限定はされないが、チューブリ
ン相互作用薬、トポイソメラーゼ阻害薬、並びに薬剤、アシトレチン、アルストニン、ア
モナフィド、アンフェチニル(amphethinile)、アムサクリン、アンキノマイシン、アンチ
ネオプラストン、グリシン酸アフィジコリン、アスパラギナーゼ、バッカリン、バトラシ
リン、ベンフルロン、ベンゾトリプト、ブロモホスファミド、カラセミド、塩酸カルメチ
ゾール、クロルスルファキノキサロン(chlorsulfaquinoxalone)、クランフェヌール(clan
fenur)、クラビリデノン、クリスナトール、クラデルム(curaderm)、シタラビン、シトシ
チン、ダカルバジン、ダテリプチニウム、ジヘマトポルフィリンエーテル、ジヒドロレン
ペロン、ジナリン、ジスタマイシン、ドセタキセル、エリプラビン、酢酸エリプチニウム
、エポチロン、エルゴタミン、エトポシド、エトレチナート、フェンレチニド、硝酸ガリ
ウム、ゲンクワダフニン(genkwadaphnin)、ヘキサデシルホスホコリン、ホモハリントニ
ン(homoharringtonine)、ヒドロキシ尿素、イルモフォシン、イソグルタミン、イソトレ
チノイン、ロイコレグリン、ロニダミン、メルバロン、メロシアニン(merocyanlne)誘導
体、メチルアニリノアクリジン、ミナクチビン、ミトナフィド、ミトキドン、ミトキサン
トロン、モピダモール、モトレチニド、N-(レチノイル)アミノ酸、N-アシル化-デヒドロ
アラニン、ナファザトロム、ノコダゾール誘導体、オクレオチド、オキザノシン、パクリ
タキセル、パンクラチスタチン、パゼリプチン、ピロキサントロン、ポリヘマトポルフィ
リン、ポリプレン酸、プロビマン、プロカルバジン、プログルミド、ラゾキサン、レテリ
プチン、スパトール、スピロシクロプロパン誘導体、スピロゲルマニウム、ストリポルジ
ノン、スーパーオキシドジスムターゼ、テニポシド、サリブラスチン、トコトリエノール
、トポテカン、ウクライン、硫酸ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビネス
トラミド、ビノレルビン、ビントリプトール、ビンゾリジン、及びウィタノリドが含まれ
る。癌を有する哺乳動物に投与される抗腫瘍薬の量は、単独で投与するか、17α-ヒドロ
キシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬と組み合わせて投与するかのいずれにせよ、癌を治療
するのに十分である量である。
【0049】
17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬は、p38阻害薬及びCDK阻害薬を含むキ
ナーゼ阻害薬、TNF阻害薬、金属マトリックスプロテアーゼ阻害薬(MMP)、COX-2阻害薬(セ
レコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ、バルデコキシブ及びエトリコキシブを含む
)、SOD模擬体、又はαvβ3阻害薬と一緒に使用することもできる。癌を有する哺乳動物に
投与されるキナーゼ阻害薬の量は、単独で投与するか、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-
リアーゼ阻害薬と組み合わせて投与するかのいずれにせよ、癌を治療するのに十分である
量である。
【0050】
別の実施態様において、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬は、代謝拮抗
薬と一緒に投与できる。適切な代謝拮抗薬は、限定はされないが、5-FU-フィブリノーゲ
ン、アカンサス葉酸(acanthifolic acid)、アミノチアジアゾール、ブレキナールナトリ
ウム、カルモフール、シクロペンチルシトシン、リン酸ステアリン酸シタラビン、シタラ
ビン複合体、デザグアニン、ジデオキシシチジン、ジデオキシグアノシン、ジドックス、
ドキシフルリジン、ファザラビン、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、5-フルオロ
ウラシル、N-(2'-フラニジル)-5-フルオロウラシル、イソプロピルピロリジン、メトベン
ザプリム、メトトレキサート、ノルスペルミジン、ペントスタチン、ピリトレキシム、プ
リカマイシン、チオグアニン、チアゾフリン、トリメトレキサート、チロシンキナーゼ阻
害薬、及びウリシチンから選択できる。癌を有する哺乳動物に投与される代謝拮抗薬の量
は、単独で投与するか、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬と組み合わせて
投与するかのいずれにせよ、癌を治療するのに十分である量である。
【0051】
別の実施態様において、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬は、アルキル
化薬と一緒に投与できる。適切なアルキル化薬は、限定はされないが、アルド-ホスファ
ミド類似体、アルトレタミン、アナキシロン、ベストラブシル、ブドチタン、カルボプラ
チン、カルムスチン、クロルアンブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シプラタ
ート(cyplatate)、ジフェニルスピロムスチン、二白金細胞増殖抑制薬、エルムスチン、
リン酸エラムスチンナトリウム、フォテムスチン、ヘプスルファム(hepsul-fam)、イフォ
スファミド、イプロプラチン、ロムスチン、マフォスファミド、ミトラクトール、オキサ
リプラチン、プレドニムスチン、ラニムスチン、セムスチン、スピロムスチン、タウロム
スチン、テモゾロミド、テロキシロン、テトラプラチン、及びトリメラモールから選択で
きる。癌を有する哺乳動物に投与されるアルキル化薬の量は、単独で投与するか、17α-
ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬と組み合わせて投与するかのいずれにせよ、癌
を治療するのに十分である量である。
【0052】
別の好ましい実施態様において、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬は、
抗生物質と一緒に投与できる。適切な抗生物質は、限定はされないが、アクラルビシン、
アクチノマイシンD、アクチノプラノン、アドリアマイシン、アエロプリシニン(aeroplys
inin)誘導体、アムルビシン、アントラサイクリン、アジノマイシンA、ビスカベリン、硫
酸ブレオマイシン、ブリオスタチン-1、カリケマイシン、クロモキシマイシン、ダクチノ
マイシン、ダウノルビシン、ジトリサルビシンB、デキサメタゾン、ドキソルビシン、ド
キソルビシン-フィブリノーゲン、エルサミシン-A、エピルビシン、エルブスタチン、エ
ソルビシン、エスペラミシン-A1、エスペラミシン-A1b、フォストリエシン、グリドバク
チン、グレガチン-A、グリンカマイシン、ヘルビマイシン(herbimycin)、コルチコステロ
イド(ヒドロコルチゾンなど)、イダルビシン、イルジン、カズサマイシン、ケサリロジン
(kesarirhodin)、メノガリル、マイトマイシン、ネオエナクチン、オキサリシン、オキサ
ウノマイシン、ペプロマイシン、ピラチン、ピラルビシン、ポロスラマイシン、プレドニ
ゾン、プレドニゾロン、ピリンダニシンA、ラパマイシン、リゾキシン、ロドルビシン、
シバノミシン(sibanomicin)、シウェンマイシン(siwenmycin)、ソランギシン-A、スパル
ソマイシン、タリソマイシン、テルペンテシン、スラジン、トリクロザリンA、及びゾル
ビシンから選択できる。癌を有する哺乳動物に投与される抗生物質の量は、単独で投与す
るか、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬と組み合わせて投与するかのいず
れにせよ、癌を治療するのに十分である量である。
【0053】
別法として、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬は、また、その他の抗癌
薬と一緒に使用することができ、該抗癌薬には、限定はされないが、アセマンナン、アク
ラルビシン、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アルトレタミン、
アミフォスチン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、アンセスチム、ベキ
サロテン、ブロクスウリジン、カペシタビン、セルモロイキン、セトロレリックス、クラ
ドリビン、クロトリマゾール、ダクリズマブ、デクスラゾキサン、ジラゼプ、ドコサノー
ル、ドキシフルリジン、ブロモクリプチン、カルムスチン、シタラビン、ジクロフェナッ
ク、エデルフォシン、エドレコロマブ、エフロルニチン、エミテフール、エキセメスタン
、エクシスリンド(exisulind)、ファドロゾール、フィルグラスチム、フィナステリド、
リン酸フルダラビン、フォルメスタン、フォテムスチン、硝酸ガリウム、ゲムシタビン、
グリコピン、ヘプタプラチン、イバンドロン酸、イミキモド、イオベングアン、イリノテ
カン、イルソグラジン、ランレオチド、レフルノミド、レノグラスチム、硫酸レンチナン
、レトロゾール、リアロゾール、ロバプラチン、ロニダミン、マソプロコール、メラルソ
プロール、メトクロプラミド、ミフェプリストン、ミルテフォシン、ミリモスチム、ミト
グアゾン、ミトラクトール、モルグラモスチン、ナファレリン、ナルトグラスチン、ネダ
プラチン、ニルタミド、ノスカピン、オプレルベキン、オサテロン、オキサリプラチン、
パミドロン酸、ペガスパルガーゼ、ポリ硫酸ペントサンナトリウム、ペントスタチン、ピ
シバニール、ピラルビシン、ポルフィマーナトリウム、ラロキシフェン、ラルチトレキセ
ド、ラスブリケース、リツキシマブ、ロムルチド、サルグラモスチン、シゾフィラン、ソ
ブゾキサン、ソネルミン、スラミン、タソネルミン、タザロテン、テガフール、テモポル
フィン、テモゾロミド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、サリドマイド、チマル
ファシン、チロトロピンα、トポテカン、トレミフェン、トラスツズマブ、トレオスルフ
ァン、トレチノイン、トリロスタン、トリメトレキサート、ウベニメックス、バルルビシ
ン、ベルテポルフィン、ビノレルビンが含まれる。癌を有する哺乳動物に投与される抗癌
薬の量は、単独で投与するか、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬と組み合
わせて投与するかのいずれにせよ、癌を治療するのに十分である量である。
【0054】
17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬は、また、コルチコステロイド又はグ
ルココルチコイドなどのステロイドと一緒に投与又は組み合わせることができる。17α-
ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬及びステロイドは、同一又は異なる組成物とし
て投与できる。適切なステロイドの非制限的例には、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、
又はデキサメタゾンが含まれる。癌を有する哺乳動物に投与されるステロイドの量は、単
独で投与するか、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬と組み合わせて投与す
るかのいずれにせよ、癌を治療するのに十分である量である。
【0055】
一実施態様において、本明細書中で提供されるのは、酢酸アビラテロンとステロイド(
特にコルチコステロイド、より詳細にはグルココルチコイド)との双方を含む方法及び組
成物である。本開示の範囲に包含されるステロイドには、限定はされないが、(1)ヒドロ
コルチゾン(コルチゾール;シプリオナート(例えば、CORTEF)経口薬;リン酸ナトリウム塩
注射薬(HYDROCORTONE PHOSPHATE);コハク酸ナトリウム塩(例えば、A-HYDROCORT、Solu-CO
RTEF);酢酸コルチゾン経口薬又は注射薬の形態など)、(2)デキサメタゾン(例えば、デカ
ドロン経口薬;デカドロン-LA注射薬など)、(3)プレドニゾロン(例えば、Delta-CORTEF、
酢酸プレドニゾロン(ECONOPRED)、リン酸プレドニゾロンナトリウム(HYDELTRASOL)、プレ
ドニゾロンテブタート(HYDELTRA-TBAなど))、又は(4)プレドニゾン(例えば、DELTASONEな
ど)、並びにこれらの組合せが含まれる(例えば、「グッドマン及びギルマンの治療の薬学
的基礎(Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics)」(第10版、2
001年)参照)。
【0056】
特定の実施態様において、約50mg~約300mgの量の酢酸アビラテロン、及び約0.5mg~約
3.0mgの量のステロイド(例えば、任意選択で賦形剤、担体、希釈剤などを含む単一組成物
でのグルココルチコイド)を含む、単一単位固形経口剤形が想定される。例えば、単一単
位剤形は、約250mgの酢酸アビラテロン、及び約1.0mg、1.25mg、1.5mg、又は2.0mgのステ
ロイド(限定はされないが、コルチコステロイド又はグルココルチコイドなど)を含むこと
ができる。
【0057】
(17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬及び追加の治療薬の投与)
17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬、及び抗癌薬又はステロイドなどの追
加の治療薬は、当業者に周知の任意の方法で投与できる。いくつかの実施態様において、
17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬及び追加の治療薬は、投与する前は別々
の組成物でよい。別法として、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬及び追加
の治療薬を組み合わせて、投与のための単一組成物とすることができる。
【0058】
17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬及び追加の治療薬は、逐次的又は同時
的に投与できる。逐次的に投与する場合、投与順序には、順応性がある、例えば、17α-
ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬アセテートは、追加の治療薬の投与に先立って
投与できる。或いは、追加の治療薬の投与を、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ
阻害薬の投与に先行させることができる。
【0059】
それらの薬剤を、別々の組成物として投与するか、1つの組成物の状態で投与するかの
いずれにしても、各組成物は、投与するのに医薬として適切であるのが好ましい。さらに
、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬及び治療薬は、別々に投与されるなら
、同一又は異なる投与方式で投与できる。投与方式の例には、非経口(例えば、皮下、筋
内、眼窩内、嚢内、髄腔内、胸骨内、静脈内、皮内、腹膜内、肛門内、動脈内、鞘内、経
粘膜、関節内、及び胸膜内);経皮(例えば、局所)、硬膜外、及び粘膜(例えば、鼻腔内)注
射又は点滴;並びに経口、吸入、経肺、及び直腸投与が含まれる。特定の実施態様におい
て、双方とも経口である。
【0060】
例えば、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬は、経皮で投与することがで
き、追加の治療薬は非経口で投与できる。或いは、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リア
ーゼ阻害薬は、錠剤、キャプレット又はカプセルなどの経口で投与することができ、一方
、追加の治療薬は、静脈内で投与できる。このような静脈内で投与される治療薬には、限
定はされないが、Taxotere(登録商標)などのドセタキセル注射薬、Paclitaxel(登録商標)
などのパクリタキセル注射薬、及びNovantrone(登録商標)などのミトキサントロン注射薬
が含まれる。また、追加の治療薬は、リュープロリドデポー並びに例えばViadur(登録商
標)及びLupron Depot(登録商標)などの埋込み薬;トリプトレリンデポー薬、例えば、Trel
star(登録商標);ゴセレリン埋込み薬、例えばZoladex(登録商標);などのデポー薬又は埋
込み薬の形態であり得る。
【0061】
17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬の適切な1日当たり投与量は、治療すべ
き状態の重症度の本質、個々の阻害薬、投与経路、並びに個々の患者の年齢、体重及び応
答を含む様々な要因によって決まる。17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬の
適切な1日当たり投与量は、一般に1回投与又は複数回投与で約0.0001mg/kg/日~約1000mg
/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約200mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約200mg/kg/日、
又は約0.01mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲でよい。
【0062】
若干の実施態様において、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬は、約0.004
mg/日~約5,000mg/日、又は約0.04mg/日~約3,000mg/日、又は約0.4mg/日~約1500mg/日
の量で投与できる。いくつかの実施態様において、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リア
ーゼ阻害薬は、1回又は複数回投与で、約0.1mg/日~約2000mg/日、又は約1mg/日~約2000
mg/日、又は約50mg/日~約2000mg/日、又は約100mg/日~約1500mg/日、又は約5mg/日~約
1,000mg/日、又は約5mg/日~約900mg/日、又は約10mg/日~約800mg/日、又は約15mg/日~
約700mg/日、又は約20mg/日~約600mg/日、又は約25mg/日~約500mg/日の量で投与できる
。
【0063】
いくつかの実施態様において、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬は、ミ
トキサントロン、パクリタキセル又はドセタキセルなどの追加の抗癌薬と一緒に投与され
る。例えば、哺乳動物の癌を治療するための方法は、ある量の酢酸アビラテロン及びある
量のミトキサントンを投与することを含む。例えば、酢酸アビラテロンは、約0.01mg/kg/
日~約100mg/kg/日の量で投与することができ、ミトキサントロンは、約0.1mg/m2~約20m
g/m2の量で投与できる。好ましくは、ミトキサントロンは、21日毎に1回、約10~約20分
間にわたって投与される。
【0064】
また、哺乳動物の癌を治療するための方法は、ある量の酢酸アビラテロン及びある量の
パクリタキセルを投与することを含む。一実施態様において、酢酸アビラテロンは、約0.
01mg/kg/日~約100mg/kg/日の量で投与することができ、かつパクリタキセルは、約1mg/m
2~約175mg/m2の量で投与できる。好ましくは、パクリタキセルは、3カ月毎に1回、約2~
約5時間にわたって投与される。
【0065】
さらに、哺乳動物の癌を治療するための方法は、ある量の酢酸アビラテロン及びある量
のドセタキセルを投与することを含む。例えば、酢酸アビラテロンは、約0.01mg/kg/日~
約100mg/kg/日の量で投与することができ、かつドセタキセルは、約1mg/m2~約100mg/m2
の量で投与できる。好ましくは、ドセタキセルは、3週間毎に1回、約1~約2時間にわたっ
て投与される。
【0066】
いくつかの実施態様において、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬は、ホ
ルモン除去薬(限定はされないが、リュープロリド、ゴセレリン、又はトリプトレリンが
含まれる)を含む抗癌薬と一緒に投与される。例えば、哺乳動物の癌を治療するための1つ
の治療法は、また、ある量の酢酸アビラテロン及びある量のリュープロリドを投与するこ
とを含む。酢酸アビラテロンの量は、約0.01mg/kg/日~約100mg/kg/日でよく、かつリュ
ープロリドの量は、約3日~約12カ月間にわたって約0.01mg~約200mgの量でよい。好まし
くは、リュープロリドは、約3日~約12カ月間にわたって約3.6mgのリュープロリド量で投
与される。
【0067】
さらに、哺乳動物の癌を治療するための方法は、ある量の酢酸アビラテロン及びある量
のゴセレリンを投与することを含む。例えば、酢酸アビラテロンの量は、約0.01mg/kg/日
~約100mg/kg/日でよく、かつゴセレリンの量は、約28日~約3カ月間にわたって約0.01mg
~約20mgでよい。好ましくは、ゴセレリンは、約28日~約3カ月間にわたって約3.6mg~約
10.8mgの量で投与される。
【0068】
いくつかの実施態様において、哺乳動物の癌を治療するための方法は、ある量の酢酸ア
ビラテロン及びある量のトリプトレリンを投与することを含む。例えば、酢酸アビラテロ
ンの量は、約0.01mg/kg/日~約100mg/kg/日でよく、かつトリプトレリンの量は、約1カ月
間にわたって約0.01mg~約20mgでよく、好ましくは、トリプトレリンは、約1カ月間にわ
たって約3.75mgの量で投与される。
【0069】
また、一実施態様において、哺乳動物の癌を治療するための方法は、ある量の酢酸アビ
ラテロン及びある量のセオカルシトールを投与することを含む。例えば、該方法は、約0.
01mg/kg/日~約100mg/kg/日の量の酢酸アビラテロン、及び約0.1μg/日~約500μg/日の
量(約100μg/日など)のセオカルシトールを投与することを含む。
【0070】
別の実施態様において、哺乳動物の癌を治療するための方法は、ある量の酢酸アビラテ
ロン及びある量のビカルタミドを投与することを含む。例えば、該方法は、約0.01mg/kg/
日~約100mg/kg/日の量の酢酸アビラテロン、及び約1mg/日~約300mg/日の量のビカルタ
ミドを投与することを含む。
【0071】
さらに別の実施態様において、哺乳動物の癌を治療するための方法は、ある量の酢酸ア
ビラテロン及びある量のフルタミドを投与することを含む。例えば、該方法は、約0.01mg
/kg/日~約100mg/kg/日の量の酢酸アビラテロン、及び約1mg/日~約2000mg/日の量のフル
タミドを投与することを含む。
【0072】
さらに、哺乳動物の癌を治療するための方法は、ある量の17α-ヒドロキシラーゼ/C17,
20-リアーゼ阻害薬(酢酸アビラテロンなど)、及び限定はされないが、ある量のグルココ
ルチコイド(限定はされないが、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン又はデキサメタゾンが
含まれる)を投与することを含むことができる。例えば、該方法は、約50mg/日~約2000mg
/日の量の酢酸アビラテロン、及び約0.01mg/日~約500mg/日の量のヒドロコルチゾンを投
与することを含むことができる。他の例で、該方法は、約500mg/日~約1500mg/日の量の
酢酸アビラテロン、及び約10mg/日~約250mg/日の量のヒドロコルチゾンを投与すること
を含むことができる。
【0073】
癌を治療するための方法は、また、ある量の17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ
阻害薬(酢酸アビラテロンなど)、及びある量のグルココルチコイド(プレドニゾンなど)を
投与することを含むことができる。例えば、該方法は、約50mg/日~約2000mg/日の量の酢
酸アビラテロン、及び約0.01mg/日~約500mg/日の量のプレドニゾンを投与することを含
むことができる。また、該方法は、約500mg/日~約1500mg/日の量の酢酸アビラテロン、
及び約10mg/日~約250mg/日の量のプレドニゾンを投与することを含むことができる。
【0074】
さらに、癌を治療するための方法は、また、ある量の17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-
リアーゼ阻害薬(酢酸アビラテロンなど)、及びある量のグルココルチコイド(デキサメタ
ゾンなど)を投与することを含むことができる。例えば、該方法は、約50mg/日~約2000mg
/日の量の酢酸アビラテロン、及び約0.01mg/日~約500mg/日の量のデキサメタゾンを投与
することを含むことができる。また、該方法は、約500mg/日~約1500mg/日の量の酢酸ア
ビラテロン、及び約0.5mg/日~約25mg/日の量のデキサメタゾンを投与することを含むこ
とができる。
【0075】
(17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬及び追加の治療薬を含む組成物)
いくつかの実施態様において、組成物は、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻
害薬、好ましくは酢酸アビラテロンと、前に列挙した任意の治療薬との組合せを含むこと
ができる。17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬と追加の治療薬が、別々の組
成物で投与されるか、単一の組成物として投与されるかのいずれにせよ、それらの組成物
は、各種の形態を取り得る。例えば、組成物は、意図した投与経路に応じて、溶液、懸濁
液、エマルジョン、錠剤、丸剤、カプセル、粉末又は徐放性製剤の形態を取り得る。
【0076】
局所又は経皮投与の場合、組成物は、溶液、ゲル、軟膏、クリーム、懸濁液、又は膏薬
として製剤できる。
【0077】
経口投与の場合、組成物は、治療される予定の患者が経口で摂取するための、錠剤、丸
剤、糖衣錠、トローチ、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして
製剤できる。
【0078】
組成物は、また、カカオバター又はその他のグリセリドなどの従来的坐薬基剤を含む坐
薬若しくは滞留浣腸などの直腸又は膣用組成物として製剤できる。
【0079】
前述の製剤に加えて、組成物は、デポー調合物としても製剤できる。このような長期作
用性製剤は、埋込み(例えば、皮下又は筋内)で、又は筋内注射で投与できる。したがって
、例えば、治療薬は、適切なポリマー性又は疎水性材料(例えば、許容し得るオイル中の
エマルジョンとして)又はイオン交換樹脂を用いて、或いは難溶性誘導体、例えば難溶性
塩として製剤できる。
【0080】
さらに、組成物は、該組成物を含む固体ポリマーの半透性マトリックスなどの徐放性シ
ステムを使用して送達できる。各種形態の徐放性材料が確立されており、かつ当業者に周
知である。徐放性カプセルは、それらの化学的性質に応じて、数時間、数日間、数週間、
数カ月にわたって組成物を放出できる。例えば、徐放性カプセルは、100日間又はそれ以
上にわたって組成物を放出できる。組成物の化学的性質及び生物学的安定性に応じて、安
定化のためのさらなる戦略を採用できる。
【0081】
組成物は、さらに、医薬として許容し得る担体を含むことができる。用語「担体」は、
治療薬と一緒に投与される、希釈剤、補助剤(例えば、フロイントのアジュバンド(完全及
び不完全))、賦形剤、又はビヒクルを含むことができる。
【0082】
非経口投与の場合、組成物は、次の担体、すなわち、滅菌希釈剤(注射用水、生理食塩
水、不揮発性オイル、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は
その他の合成溶媒など);抗菌剤(ベンジルアルコール又はメチルパラベンなど);酸化防止
剤(アスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウムなど);キレート化剤(エチレンジアミン四酢酸
など);緩衝剤(酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩など);及び張性調節剤(塩化ナトリウム又
はデキストロースなど);の中の1つ以上を含むことができる。非経口調合物は、ガラス又
はプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、或いは複数回投与用のバイアル瓶中に
封入できる。
【0083】
経口固形製剤の場合、適切な担体には、糖類、例えば、乳糖、蔗糖、マンニトール及び
ソルビトールなどの増量剤;トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米穀デンプン、馬鈴
薯デンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、脂肪及びオイルなどのセルロー
ス調合物;顆粒化剤;及び微結晶セルロース、トラガカントゴム又はゼラチンなどの結合剤
;架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはその塩(アルギン酸ナトリウ
ムなど)、プリモゲル(Primogel)、又はコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネ
シウム又はステロテス(Sterotes)などの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進
剤;蔗糖又はサッカリンなどの甘味剤;或いはペパーミント、サリチル酸メチル、又はオレ
ンジ風味料などの風味剤;が含まれる。所望なら、固形剤形は、標準的技術を使用して糖
被覆又は腸溶性被覆を施すことができる。
【0084】
静脈内投与の場合、適切な担体には、生理食塩水、静菌水、リン酸緩衝化生理食塩水(P
BS)が含まれる。いずれの場合も、組成物は、無菌でなければならず、且つシリンジで容
易に注射できる程度まで流動性であるべきである。組成物は、製造及び貯蔵の条件下で安
定でなければならず、且つ細菌及びカビなどの微生物の汚染作用から保護されなければな
らない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピ
レングリコール、及び液状ポリエチレングリコールなど)を含む溶媒又は分散媒体、並び
にそれらの適切な混合物でよい。適切な流動性は、例えば、レシチンなどの被覆を使用し
て、分散液の場合には要求される粒子径を維持して、及び界面活性剤を使用して維持する
ことができる。微生物作用の防止は、各種の抗菌及び抗カビ剤、例えば、パラベン、クロ
ロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどを用いて達成できる。多
くの場合、組成物中に、等張剤、例えば、糖類;マンニトール、ソルビトールなどのポリ
オール;塩化ナトリウムを含めることが好ましい。注射可能組成物の長期吸収は、組成物
中に吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含める
ことによってもたらすことができる。
【0085】
また、静脈内投与の場合、組成物は、好ましくは、ハンクス溶液、リンガー溶液、又は
生理食塩水緩衝液などの生理学的に適合性のある緩衝液中の溶液として製剤できる。溶液
は、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤などの製剤用薬剤を含むことができる。好ましい実
施態様において、組成物は、滅菌溶液として製剤される。
【0086】
経粘膜投与の場合、浸透すべき障壁に適切な浸透剤を製剤中で使用できる。このような
浸透剤は、当技術分野で周知であり、例えば、経粘膜投与では、界面活性剤、胆汁酸塩、
及びフシジン酸誘導体が含まれる。経粘膜投与は、経鼻スプレー又は坐薬の使用を介して
達成できる。
【0087】
吸入による投与の場合、組成物は、適切な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン
、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又はその他の
適切な気体を使用して加圧容器又はネブライザーからのエーロゾルスプレーとして製剤で
きる。加圧エーロゾルの場合、投与単位は、計量された量を送達ためのバルブを備えるこ
とによって決めることができる。インへラー又はインサフレーター中で使用するためのゼ
ラチンのカプセル及びカートリッジは、組成物と、乳糖又はデンプンなどの適切な粉末基
剤との粉末混合物を含めて製剤できる。
【0088】
医薬組成物は、従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣形成、研和、乳化、カプセル化、封入
、又は凍結乾燥の工程によって製造できる。
【0089】
17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬及び追加の治療薬を含む組成物の一例
が、酢酸アビラテロンをステロイドと組み合わせて含有する、経口組成物、又は経口投与
に適した組成物である。例えば、経口組成物は、丸剤、錠剤又はカプセルなどの固形剤形
でよい。経口組成物は、約10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300m
g、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、850mg、
900mg、950mg、又は1000mgの酢酸アビラテロンを含むことができる。経口組成物は、約0.
25mg、0.5mg、0.75mg、1.0mg、1.25mg、1.5mg、1.75mg、2.0mg、2.25mg、2.5mg、2.75mg
、3.0mg、3.25mg、3.5mg、3.75mg、4.0mg、4.25mg、4.5mg、4.75mg、5.0mg、7.5mg、10mg
、20mg、30mg、40mg、又は50mgのグルココルチコイドなどのステロイドを含むことができ
る。
【0090】
一実施態様において、経口組成物は、約50mg~約500mgの酢酸アビラテロン、及び約0.2
5mg~約3.5mgの量のヒドロコルチゾン、プレドニゾン又はデキサメタゾンなどのステロイ
ドを含むことができる。他の例で、組成物は、約50mg~約300mgの酢酸アビラテロン、及
び約1.0mg~約2.5mgの量のヒドロコルチゾン、プレドニゾン又はデキサメタゾンなどのス
テロイドを含むことができる。別の実施態様において、組成物は、約50mg~約300mgの酢
酸アビラテロン、及び約0.5mg~約3.0mgのステロイドを含むことができる。例えば、経口
組成物は、250mgの酢酸アビラテロン;1.25mg又は2.0mgのヒドロコルチゾン、プレドニゾ
ン又はデキサメタゾンなどのステロイド;及び1種以上の担体、賦形剤、希釈剤又はさらな
る成分;を含有する錠剤でよい。さらに、経口組成物は、250mgの酢酸アビラテロン;1.25m
g又は2.0mgのヒドロコルチゾン、プレドニゾン又はデキサメタゾンなどのステロイド;及
び1種以上の担体、賦形剤、希釈剤又はさらなる成分;を含有するカプセルでよい。
【0091】
本明細書中に含まれる説明は、例示のためであり、限定することを目的としたものでは
ない。本明細書中に記載の方法及び組成物は、本明細書中に記載の任意の特徴を、単独又
は本明細書中に記載のその他任意の特徴と組み合わせて含むことができる。記載の実施態
様に対して変更及び修正をなし得る。さらに、明白な変更、修正、変形形態が、当業者に
とって思い浮かぶであろう。また、これまで引用されたすべての参考文献は、本開示に関
連するすべての目的に関して、本明細書中にその全体で組み込まれている。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記述された発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
本明細書中に含まれる説明は、例示のためであり、限定することを目的としたものではない。本明細書中に記載の方法及び組成物は、本明細書中に記載の任意の特徴を、単独又は本明細書中に記載のその他任意の特徴と組み合わせて含むことができる。記載の実施態様に対して変更及び修正をなし得る。さらに、明白な変更、修正、変形形態が、当業者にとって思い浮かぶであろう。また、これまで引用されたすべての参考文献は、本開示に関連するすべての目的に関して、本明細書中にその全体で組み込まれている。
本発明は以下の態様を含み得る。
[1]
酢酸アビラテロン又はその医薬として許容し得る塩、及びプレドニゾロンを含む、前立腺癌を治療するための医薬組成物であって、該酢酸アビラテロン又は該医薬として許容し得る塩と、該プレドニゾロンとが、治療上有効な量で、組み合わせて又は別々に投与される、前記医薬組成物。
[2]
前記酢酸アビラテロン又はその医薬として許容し得る塩の治療上有効な量が、500 mg/日~1500 mg/日である、請求項1記載の医薬組成物。
[3]
前記プレドニゾロンの治療上有効な量が、0.25 mg/日~50 mg/日である、請求項2記載の医薬組成物。
[4]
前記プレドニゾロンの治療上有効な量が、5 mg/日~10 mg/日である、請求項2記載の医薬組成物。
[5]
前記プレドニゾロンの治療上有効な量が10 mg/日である、請求項4記載の医薬組成物。
[6]
前記プレドニゾロンが、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム及びプレドニゾロンテブタートから選択される、請求項1記載の医薬組成物。
[7]
酢酸アビラテロン又はその医薬として許容し得る塩、及びプレドニゾロンを含む、不応性前立腺癌を治療するための医薬組成物であって、該酢酸アビラテロン又は該医薬として許容し得る塩と、該プレドニゾロンとが、治療上有効な量で、組み合わせて又は別々に投与される、前記医薬組成物。
[8]
前記酢酸アビラテロン又はその医薬として許容し得る塩の治療上有効な量が、500 mg/日~1500 mg/日である、請求項7記載の医薬組成物。
[9]
前記プレドニゾロンの治療上有効な量が、0.25 mg/日~50 mg/日である、請求項8記載の医薬組成物。
[10]
前記プレドニゾロンの治療上有効な量が、5 mg/日~10 mg/日である、請求項8記載の医薬組成物。
[11]
前記プレドニゾロンの治療上有効な量が10 mg/日である、請求項10記載の医薬組成物。
[12]
前記プレドニゾロンが、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム及びプレドニゾロンテブタートから選択される、請求項7記載の医薬組成物。