(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185100
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】劈開技法を用いて基板を除去する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
H01L21/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022163051
(22)【出願日】2022-10-11
(62)【分割の表示】P 2020515181の分割
【原出願日】2018-09-17
(31)【優先権主張番号】62/559,378
(32)【優先日】2017-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】神川 剛
(72)【発明者】
【氏名】スリニヴァス ガンドロトゥーラ
(72)【発明者】
【氏名】ホンジャン リー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】劈開技法を用いて、III族窒化物系半導体層から基板を除去する方法を提供する。
【解決手段】方法は、成長制限マスクを、基板の上または上方に形成し、1つ以上のIII族窒化物系半導体層を、成長制限マスクを使用して、基板の上または上方に成長させ、III族窒化物系半導体層を、支持基板または膜に接合し、その後、基板の表面上で劈開技法を使用して、基板から除去する。III族窒化物基板と、III族窒化物系半導体層に接合される支持基板または膜との間の熱膨張の差異に起因して、III族窒化物系半導体層が基板から除去される前に、応力をIII族窒化物系半導体層に生じさせる。III族窒化物系半導体層を除去された基板は再生利用でき、素子製作のためのコスト節約をもたらすことができる。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、以下の同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された出願の35 U.S.C.Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する。
Takeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、およびHongjian Liによる、「METHOD OF REMOVING A SUBSTRATE WITH A CLEAVING TECHNIQUE」と題され、2017年9月15日に出願された米国仮特許出願第62/559,378号(弁理士整理番号第30794.0659USP1 (UC 2018-086-1)号)。
【0002】
本願は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
本願は、以下の同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された出願に関する。
【0003】
その出願が、Takeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、Hongjian Li、およびDaniel A.Cohenによる、「METHOD OF REMOVING A SUBSTRATE」と題され、2017年5月5日に出願された、同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された米国仮特許出願第62/502,205号(弁理士整理番号第30794.0653USP1 (UC 2017-621-1))の35 U.S.C.Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張するTakeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、 Hongjian Li、およびDaniel A.Cohenによる、「METHOD OF REMOVING A SUBSTRATE」と題され、2018年5月7日に出願された、PCT国際特許出願第PCT/US18/31393号(弁理士整理番号第30794.0653WOU1 (UC 2017-621-2)号)。
【0004】
Takeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、およびHongjian Liによる、「METHOD OF FABRICATING NON-POLAR AND SEMI-POLAR DEVICES USING EPITAXIAL LATERAL OVERGROWTH」と題され、2018年3月30日に出願された米国仮特許出願第62/650,487号(弁理士整理番号第30794.0680USP1 (UC 2018-427-1)号)。
【0005】
それらの全ては、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0006】
(発明の分野)
【0007】
本発明は、劈開技法を用いてIII族窒化物系半導体層からIII族窒化物系基板を除去する方法に関する。
【背景技術】
【0008】
多くの素子製造業者が、自立型バルクGaN基板を使用し、照明、光学記憶装置、および他の目的のためのレーザダイオード(LD)および発光ダイオード(LED)を生産している。GaN基板は、GaN基板上でのホモエピタキシャル成長によって、低い欠陥密度を有する高品質のIII族窒化物系半導体層を得ることが容易であるという点で、魅力的である。
【0009】
しかしながら、典型的に、ハイドライド気相エピタキシ(HVPE)を使用して生産される、GaN基板は、非常に高価である。さらに、非極性および半極性GaN基板は、極性(c面)GaN基板よりはるかに高価である。例えば、2インチの極性GaN基板は、約$1,000/ウエハの費用がかかる一方、2インチの非極性または半極性GaN基板は、約$10,000/ウエハの費用がかかる。
【0010】
結果として、研究者らは、素子が製造された後のGaN基板からIII族窒化物系半導体層を除去することを調査している。そのような技法は、再生利用され得るGaN基板をもたらし、それは、顧客のための非常に安価かつ高品質のGaN基板を提供するであろう。
【0011】
レーザアブレーションまたは他の技法を使用して、ヘテロ界面において、サファイア/GaN、Si/GaN等の異種基板からエピタキシャル層を除去することは、容易である。しかしながら、GaN基板およびIII族窒化物系半導体層は、ヘテロ界面を欠き、それは、GaN基板からIII族窒化物系半導体層を除去することを困難にする。
【0012】
その結果、容易な様式で、III族窒化物系基板または層からIII族窒化物系半導体層を除去する技法の必要性が、存在する。
【0013】
1つの以前の技法では、GaN層は、引っ張り歪の下で金属のストレッサ層によって剥離される。例えば、Applied Physics Express 6 (2013) 112301および米国特許第8,450,184号(特許文献1)(その両方は、参照することによって本明細書に組み込まれる)を参照されたい。具体的に、この技法は、GaN層の中央において剥離することを使用する。
【0014】
しかしながら、剥離面上の表面形態は、粗く、この技法は、剥離位置において制御されることができない。さらに、この除去方法は、除去されている層内の余分な曲がりに起因して、半導体層を損傷し得、それは、意図しない方向の亀裂をもたらし得る。したがって、いかなるそのような損傷および表面粗さも、低減させることが必要である。
【0015】
別の従来の技法は、GaN基板から素子構造を除去するための犠牲層の光電気化学(PEC)エッチングの使用であるが、これは、長い時間を要し、いくつかの複雑なプロセスを伴う。さらに、これらのプロセスからの収率は、業界の期待に到達していない。
したがって、当分野において、特に、GaN薄膜がGaN基板上に成長させられる場合、III族窒化物系半導体層からIII族窒化物系基板を除去する改良された方法の必要性が、存在する。本発明は、この必要性を充足する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第8,450,184号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
上で説明される従来技術における限界を克服し、本明細書を熟読し、理解すると明白であろう他の限界を克服するために、本発明は、劈開技法を用いてIII族窒化物系半導体層からIII族窒化物基板を除去する方法を開示する。方法は、成長制限マスクまたは層上におけるIII族窒化物系半導体層のエピタキシャル側方過成長(ELO);III族窒化物基板と、III族窒化物系半導体層に接触させられた支持基板もしくは膜との間の熱膨張の差異に起因するIII族窒化物系半導体層への応力の印加;および、III族窒化物系基板上における非極性(m面)成長表面上の劈開点からのIII族窒化物系半導体層の劈開を使用する。除去されると、III族窒化物系基板は、再生利用され、素子製作のためのコスト節約をもたらすことができる。方法は、レーザダイオードおよび発光ダイオードの両方の製作における利点、すなわち、III族窒化物系基板の容易な除去、III族窒化物系半導体層への殆どない損傷、平滑な劈開面、ならびに短い加工時間を提供する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
基板を除去する方法であって、前記方法は、
基板の上または上方に成長制限マスクを形成することと、
前記成長制限マスクを使用して、前記基板の上または上方に1つ以上のIII族窒化物系半導体層を成長させることと、
前記III族窒化物系半導体層を支持基板または膜に接触させることと、
劈開技法を使用して、前記基板から前記III族窒化物系半導体層を除去することと
を含む、方法。
(項目2)
前記III族窒化物基板と、前記III族窒化物系半導体層に接触させられた前記支持基板または膜との間の熱膨張の差異によって、前記III族窒化物系半導体層に応力を生じさせることをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記基板は、III族窒化物系基板または異種もしくはヘテロ基板である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記基板は、前記III族窒化物系半導体層が除去された後、再生利用される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記劈開技法は、前記基板のm面表面に対して使用される、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記III族窒化物系半導体層は、前記基板から除去された後、劈開表面を有する、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記劈開表面は、少なくともm面表面を備えている、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記成長制限マスクは、前記III族窒化物系半導体層が前記基板から除去されることに先立って、少なくとも部分的に除去される、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記成長制限マスクは、パターン化されている、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記成長制限マスクは、複数の開口エリアを含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記III族窒化物系半導体層のうちの少なくとも1つは、エピタキシャル側方過成長(ELO)によって成長させられる、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記ELOは、前記III族窒化物系半導体層が合体する前に停止させられる、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記基板から前記III族窒化物系半導体層をはぐことをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目14)
項目1に記載の方法によって製作された素子。
(項目15)
基板を除去する方法であって、前記方法は、
基板の上または上方に1つ以上のIII族窒化物系半導体層を成長させることと、
前記III族窒化物系半導体層を支持基板または膜に接触させることと、
劈開技法を使用して、前記基板から前記III族窒化物系半導体層を除去することと
を含み、
前記劈開技法は、劈開長に対して実施され、前記劈開長は、前記III族窒化物系半導体層から形成される素子のサイズより狭い、方法。
(項目16)
前記劈開技法が実施される前記基板の表面は、前記基板のm面表面である、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記III族窒化物系半導体層は、少なくとも部分的にm面層から成る、項目15に記載の方法。
(項目18)
項目15に記載の方法によって製作された素子。
(項目19)
基板を除去する方法であって、前記方法は、
前記基板の上または上方に1つ以上のIII族窒化物系半導体層を成長させることであって、前記III族窒化物系半導体層は、犠牲層を含む、ことと、
前記犠牲層が露出させられるまで、前記III族窒化物系半導体層をエッチングすることと、
前記犠牲層を選択的にエッチングし、選択的にアンダーカットノッチを形成することと、
前記III族窒化物系半導体層を支持基板または膜に接触させることと、
劈開技法を使用して、前記基板から前記III族窒化物系半導体層を除去することと
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0018】
ここで、図面を参照する(同一の参照番号は、全体を通して対応する部分を表す)。
【0019】
【
図1】
図1は、本発明に従って製作される素子構造の概略図である。
【0020】
【
図2A】
図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、および2(f)は、素子構造の製作中に実施されるステップを図示する概略図である。
【
図2B】
図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、および2(f)は、素子構造の製作中に実施されるステップを図示する概略図である。
【
図2C】
図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、および2(f)は、素子構造の製作中に実施されるステップを図示する概略図である。
【
図2D】
図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、および2(f)は、素子構造の製作中に実施されるステップを図示する概略図である。
【
図2E】
図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、および2(f)は、素子構造の製作中に実施されるステップを図示する概略図である。
【
図2F】
図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、および2(f)は、素子構造の製作中に実施されるステップを図示する概略図である。
【0021】
【
図3A】
図3(a)および3(b)は、成長制限マスクおよび成長制限マスクの開口エリアを図示する。
【
図3B】
図3(a)および3(b)は、成長制限マスクおよび成長制限マスクの開口エリアを図示する。
【0022】
【
図4A】
図4(a)および4(b)は、成長制限マスクの平坦な表面領域および層曲がり領域を図示する。
【0023】
【
図4B】
図4(a)および4(b)は、成長制限マスクの平坦な表面領域および層曲がり領域を図示する。
【0024】
【
図6】
図6は、光学共振器に対して垂直な方向に沿った窒化物半導体レーザバーの断面図である。
【0025】
【
図7A】
図7(a)および7(b)は、レーザファセットが形成される方法およびチップスクライビングが実施される方法を図示する。
【
図7B】
図7(a)および7(b)は、レーザファセットが形成される方法およびチップスクライビングが実施される方法を図示する。
【0026】
【
図8】
図8は、島状III族窒化物系半導体層を除去した後のIII族窒化物系基板の(1-100)表面、および基準としての(0001)表面の走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【0027】
【
図9A】
図9(a)および9(b)は、基板から除去された後の300μmを超える長さを伴うバーである島状III族窒化物系半導体層のSEM画像である。
【
図9B】
図9(a)および9(b)は、基板から除去された後の300μmを超える長さを伴うバーである島状III族窒化物系半導体層のSEM画像である。
【0028】
【
図10-1】
図10(a)、10(b)、10(c)、10(d)、10(e)、10(f)、10(g)、および10(h)は、異なる表面配向上のIII族窒化物系半導体層の概略図ならびにSEM画像である。
【
図10-2】
図10(a)、10(b)、10(c)、10(d)、10(e)、10(f)、10(g)、および10(h)は、異なる表面配向上のIII族窒化物系半導体層の概略図およびSEM画像である。
【
図10-3】
図10(a)、10(b)、10(c)、10(d)、10(e)、10(f)、10(g)、および10(h)は、異なる表面配向上のIII族窒化物系半導体層の概略図およびSEM画像である。
【
図10-4】
図10(a)、10(b)、10(c)、10(d)、10(e)、10(f)、10(g)、および10(h)は、異なる表面配向上のIII族窒化物系半導体層の概略図およびSEM画像である。
【
図10-5】
図10(a)、10(b)、10(c)、10(d)、10(e)、10(f)、10(g)、および10(h)は、異なる表面配向上のIII族窒化物系半導体層の概略図およびSEM画像である。
【0029】
【
図11A】
図11(a)、11(b)、および11(c)は、支持基板としてのテープの使用を図示する。
【
図11B】
図11(a)、11(b)、および11(c)は、支持基板としてのテープの使用を図示する。
【
図11C】
図11(a)、11(b)、および11(c)は、支持基板としてのテープの使用を図示する。
【0030】
【
図12-1】
図12(a)、12(b)、12(c)、12(d)、12(e)、12(f)、12(g)、12(h)、および12(i)は、ELO AlGaN層を図示する。
【
図12-2】
図12(a)、12(b)、12(c)、12(d)、12(e)、12(f)、12(g)、12(h)、および12(i)は、ELO AlGaN層を図示する。
【
図12-3】
図12(a)、12(b)、12(c)、12(d)、12(e)、12(f)、12(g)、12(h)、および12(i)は、ELO AlGaN層を図示する。
【
図12-4】
図12(a)、12(b)、12(c)、12(d)、12(e)、12(f)、12(g)、12(h)、および12(i)は、ELO AlGaN層を図示する。
【0031】
【
図13A】
図13(a)、13(b)、および13(c)は、互いに合体するELO III族窒化物層を図示する。
【
図13B】
図13(a)、13(b)、および13(c)は、互いに合体するELO III族窒化物層を図示する。
【
図13C】
図13(a)、13(b)、および13(c)は、互いに合体するELO III族窒化物層を図示する。
【0032】
【
図14】
図14は、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)の概略図である。
【0033】
【
図15A】
図15(a)、15(b)、15(c)、15(d)、15(e)、および15(f)は、斜エッチングを使用する劈開技法を図示する。
【
図15B】
図15(a)、15(b)、15(c)、15(d)、15(e)、および15(f)は、斜エッチングを使用する劈開技法を図示する。
【
図15C】
図15(a)、15(b)、15(c)、15(d)、15(e)、および15(f)は、斜エッチングを使用する劈開技法を図示する。
【
図15D】
図15(a)、15(b)、15(c)、15(d)、15(e)、および15(f)は、斜エッチングを使用する劈開技法を図示する。
【
図15E】
図15(a)、15(b)、15(c)、15(d)、15(e)、および15(f)は、斜エッチングを使用する劈開技法を図示する。
【
図15F】
図15(a)、15(b)、15(c)、15(d)、15(e)、および15(f)は、斜エッチングを使用する劈開技法を図示する。
【0034】
【
図16A】
図16(a)および16(b)は、マイクロLEDを製作するためのパターン化された基板の使用を図示する。
【
図16B】
図16(a)および16(b)は、マイクロLEDを製作するためのパターン化された基板の使用を図示する。
【0035】
【
図17A】
図17(a)、17(b)、17(c)、17(d)、17(e)、および17(f)は、半導体層の除去における光電気化学(PEC)エッチングの使用を図示する。
【
図17B】
図17(a)、17(b)、17(c)、17(d)、17(e)、および17(f)は、半導体層の除去における光電気化学(PEC)エッチングの使用を図示する。
【
図17C】
図17(a)、17(b)、17(c)、17(d)、17(e)、および17(f)は、半導体層の除去における光電気化学(PEC)エッチングの使用を図示する。
【
図17D】
図17(a)、17(b)、17(c)、17(d)、17(e)、および17(f)は、半導体層の除去における光電気化学(PEC)エッチングの使用を図示する。
【
図17E】
図17(a)、17(b)、17(c)、17(d)、17(e)、および17(f)は、半導体層の除去における光電気化学(PEC)エッチングの使用を図示する。
【
図17F】
図17(a)、17(b)、17(c)、17(d)、17(e)、および17(f)は、半導体層の除去における光電気化学(PEC)エッチングの使用を図示する。
【0036】
【
図18】
図18は、本発明の製作方法によって実施されるステップを図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下の好ましい実施形態の説明では、本発明が実践され得る具体的な実施形態が、参照される。本発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態が利用され、構造的な変更が成され得ることを理解されたい。
(概要)
【0038】
本発明は、異種またはヘテロ基板を支持基板として使用して、エピタキシャルに成長させられたIII族窒化物系半導体層からIII族窒化物系基板を除去する方法を開示し、具体的に、III族窒化物系基板が再生利用され得るように、劈開技法を用いてIII族窒化物系半導体層からIII族窒化物系基板を除去する方法を開示する。
【0039】
それが成長制限マスクを通したIII族窒化物層の成長を可能にする限り、GaN等の任意のIII族窒化物系基板が、使用され得る。代替実施形態では、サファイア(Al2O3)、SiC、LiAlO2、Si等の異種またはヘテロ基板が、III族窒化物系基板に取って代わり得る。
【0040】
III族窒化物系半導体層およびIII族窒化物系基板は、化学式BwAlxGayInzN(式中、0≦w≦1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、およびw+x+y+z=1である)を有する、(B,Al,Ga,In)N半導体に関連する任意の組成物または材料を指す。さらに、本発明の範囲内の組成物および材料は、ある量のドーパントおよび/または他の不純物材料および/またはMg、Si、O、C、H等の他の包含材料をさらに含み得る。
【0041】
島状III族窒化物系半導体層が、開口エリアにおいてIII族窒化物系基板上に、および/または、開口エリアにおける中間層を通してエピタキシャルに成長させられる。III族窒化物系半導体層の品質は、極めて高く、III族窒化物系半導体層から成る素子も、極めて高品質である。しかしながら、III族窒化物系基板からIII族窒化物系半導体層を除去することは、困難である。
【0042】
III族窒化物系半導体層は、III族窒化物系基板の表面上の劈開点において劈開技法を使用して、III族窒化物系基板から非常に容易に除去され得ることが、発見されている。
【0043】
この基板除去技法において、1つの技法は、成長制限マスクを使用することであり、マスクは、SiO2、SiN、HfO2、Al2O3、MgF、AlN等の誘電膜または無反応性金属である。SiO2/AlN、AlN/SiO2、SiO2/SiN、SiN/SiO2等の上記材料から選択された多層構造を使用することが、可能である。成長制限マスクと、マスク上にELOによって成長させられた任意の後続のIII族窒化物系半導体層との間の界面は、弱い接合強度を有する。
【0044】
III族窒化物系半導体層とIII族窒化物系基板との間の接合面面積は、それが素子サイズ未満であるように制御される。したがって、基板から層を除去することは、容易である。
【0045】
さらに、島状III族窒化物系半導体層は、互いに合体せず、内部歪みが、解放されている。これは、いかなる亀裂の発生も回避することになる。
【0046】
加えて、これらの方法は、GaN面の中で劈開することが最も容易な面であるm面における劈開の特性を使用する。代替実施形態では、基板の他の面も、使用され得る。
【0047】
この方法は、劈開技法の開始時に使用するための劈開点も決定する。一実施形態では、劈開点は、基板上の成長制限マスクの縁にある。
【0048】
この方法は、基板を除去する前、フッ化水素酸(HF)、緩衝HF(BHF)、または別のエッチング液を使用してマスクを溶解させることも行う。その後、III族窒化物系半導体層は、低温融解させられた金属および/またははんだを使用して支持基板に接合され、金属は、後、エッチング液によって溶解させられる。
【0049】
III族窒化物系基板と異なる熱膨張を有する支持基板を使用することが、可能である。両基板は、接合の後、次いで、加熱される。基板間の熱膨張の差異に起因して、応力が、支持基板に接合されるIII族窒化物系半導体層に生じる。
【0050】
膜が、基板からIII族窒化物系半導体層を除去するために使用される場合、膜は、常時、III族窒化物系半導体層に接合されているわけではない。除去は、少なくとも膜を半導体層と接触させることによって達成されることができる。膜は、ダイカットするためにすでに市販となっているポリマー膜であり得る。膜を使用して、除去プロセスは、繰り返して実施されることができる。言い換えると、半導体層が、1つのステップで除去されることができない場合でも、このステップは、数回実施されることができる。多くの他の除去方法は、繰り返し可能ではない。
【0051】
この応力は、III族窒化物系半導体層とIII族窒化物系基板との間の劈開点に生じる。劈開は、成長制限マスクの縁にある劈開点の片側から開始し、劈開点の反対側まで進む。
【0052】
島状III族窒化物系半導体層の幅であるチップサイズは、概して、劈開表面に沿った劈開長より広い。結果として、より少ない力または圧力が、半導体層を除去するために使用されることができる。これは、素子の劣化および収率の低下を回避する。
【0053】
劈開技法は、劈開技法を開始するためのトリガを使用する。トリガは、熱膨張の差異から生じる応力であり得るが、他のトリガも、同様に使用され得る。例えば、超音波等の機械的な力が、劈開技法のためのトリガとして使用されることができる。
【0054】
機械的な力が、使用される場合、III族窒化物系基板の除去は、m面の劈開に起因して、迅速に、かつ非常に弱い応力を用いて達成される。さらに、劈開点は、楔形状であり得、それは、劈開することを単純化する。劈開点の形状は、高い収率を達成するために重要である。
【0055】
さらに、III族窒化物系半導体層が、基板から除去されるとき、力が膜または支持基板と半導体層との間の熱膨張の差異を使用して生じさせられることができる。これは、以下の利点を有する:1)力が、均一に印加されること、2)力の強度および速度が、温度を変化させることによって制御されることができること。したがって、方法は、大量生産のために容易に採用されることができる。
【0056】
劈開性を使用し、基板から半導体層を除去するときに考慮されなければならない別の側面は、半導体層に均一かつ十分に衝撃を加える方法である。劈開長が、広い場合でも、GaN結晶の劈開性を利用して除去される素子は、劈開を開始するために衝撃を必要とする。力が半導体エピ層に均一に加えられ得るように、熱膨張係数の差異を利用することが、効果的である。ポリマー膜が、使用される場合、ポリマー膜と半導体層との間の熱膨張係数の差異は、大きく、それは、力を強くする。
【0057】
ポリマー膜を使用する別の方法は、ポリマー膜が、温度変化なしに半導体層を除去するために、一方向に拡張させられることができることである。ポリマー膜を拡張させることは、衝撃を劈開点に加えることができる。
【0058】
これらの方法を使用して、素子層が、例えば、2インチを超える大きいサイズのウエハを含むIII族窒化物系基板およびウエハから容易に除去されることができる。AlGaN層を必要とする素子に関して、これは、特に、高AI含有層の場合に非常に有用である。
(第1の実施形態)
【0059】
概して、本発明は、III族窒化物系半導体素子およびIII族窒化物系半導体素子を製造する方法を説明する。
【0060】
第1の実施形態では、方法は、基板上に直接または間接的に複数の開口エリアを伴う成長制限マスクを形成するステップであって、基板は、III族窒化物系半導体である、ステップと、成長が成長制限マスクの開口エリアに平行な方向に拡張するように、成長制限マスクを使用して、基板上に複数の島状III族窒化物系半導体層を成長させるステップであって、島状III族窒化物系半導体層の各々は、素子を形成する、ステップと、素子の露出させられた表面上にp電極を堆積させるステップと、素子のp電極を支持基板に接合すること、またはp電極を膜に接触させることを行うステップと、湿式エッチング技法を使用して、少なくとも部分的に成長制限マスクを溶解させるステップと、熱膨張および劈開技法を使用して、素子からIII族窒化物系基板を分離するステップと、劈開するステップによって露出させられた素子の表面上にn電極を堆積させるステップと、支持基板を分割することによって素子を分離するステップとを含む。最終結果は、光電子素子であり得る1つ以上のIII族窒化物系半導体素子のみならず、再生利用および再利用され得るIII族窒化物系基板も含む。
具体的に、方法は、以下のステップを含む。
(1.基板、ELO+III族窒化物系半導体層)
【0061】
このステップは、バルクGaN基板101等のIII族窒化物系基板101を提供することを図示する
図1に説明される。本実施形態では、GaN系基板101は、(000-1)方向に向かう1度のミスカットを伴うm面である成長表面を有する。
【0062】
成長制限マスク102が、GaN系基板101の上または上方に形成される。具体的に、成長制限マスク102は、基板101と直接接触するように配置されるか、または、それは、有機金属気相成長法(MOCVD)等によって成長させられた中間層を間接的に通して配置され、中間層は、基板101上に堆積させられたIII族窒化物系半導体から作製される。
【0063】
成長制限マスク102は、絶縁体層、例えば、SiO2膜から形成されることができ、それは、例えば、プラズマ化学蒸着(CVD)法、スパッタ、イオンビーム蒸着(IBD)等によってベース基板上に堆積させられ、SiO2膜は、次いで、所定のフォトマスクおよびエッチングを使用するフォトリソグラフィによってパターン化され、開口エリア103のみならず、非成長領域104(パターン化される場合とそうではないことも)も含む。
【0064】
GaN系層105等のエピタキシャルIII族窒化物層105が、GaN基板101および成長制限マスク102上にELOによって成長させられる。ELO GaN系層105の成長は、GaN系基板101上の開口エリア103内に最初に生じ、次いで、開口エリア103から成長制限マスク102の上で側方に生じる。ELO GaN系層105の成長は、隣接する開口エリア103におけるELO GaN系層105が、成長制限マスク102の上で合体し得る前、停止させられ、または中断される。この中断された成長は、隣接するELO GaN系層105間に非成長領域104をもたらす。
【0065】
追加のIII族窒化物半導体素子層106が、ELO GaN系層105の上または上方に堆積させられ、活性領域106a、電子遮断層(EBL)106b、およびクラッディング層106cのみならず、他の層も含み得る。
【0066】
非成長領域104によって分離されたELO GaN系層105および追加のIII族窒化物系半導体素子層106は、島状III族窒化物系半導体層109と称される。島状III族窒化物半導体層109の各々は、別個の素子110に加工され得る。
【0067】
(2.湿式エッチングによって成長制限マスクを溶解させること)
【0068】
図2(a)は、GaN系基板101の上または上方に、次いで、成長制限マスク102の上で側方に成長させられたELO GaN系層105の別の図である。
図2(b)に示されるように、SiO
2系成長制限マスク102の一部または全ては、BHF、HF、もしくは別のエッチング液等の化学溶液を使用して随意に溶解させられる。これは、素子110が、下記により詳細に説明されるように、より容易にGaN基板101から劈開されることを可能にする。
【0069】
(3.p電極堆積)
【0070】
図2(c)に示されるように、透明導電性酸化物(TCO)クラッディング層202が、素子110上に堆積させられ、ZrO
2電流限定層203およびp電極204の堆積が、続き得る。
【0071】
(4.支持基板を接合すること)
【0072】
図2(d)に示されるように、素子110が、p電極204との金属間接合またははんだ付け技法を使用して、支持基板201にフリップチップ接合される。一実施形態では、支持基板201は、Cu基板であり、p電極204へのその後の接合のために、パターン化されたTi/Au電極が、電子ビーム蒸着、スパッタ、熱蒸着等によってCu基板201上に製作され得る。
【0073】
(5.劈開および随意の熱膨張によって基板を除去すること)
【0074】
図2(e)に示されるように、支持基板201が、随意に加熱され、それによって、熱膨張210が、劈開点205を露出し、劈開技法が、使用され、素子サイズ207未満であり得る劈開長206に沿った劈開点205において基板101から素子110を除去する。劈開技法は、素子110の劈開表面208と基板101の劈開表面209とを露出する。劈開表面208、209は、m面ファセットを含み得るか、または、劈開表面208、209は、全体として、m面であり得、および/または、劈開表面208、209は、m面以外のファセットを含み得る。
【0075】
(6.n電極の堆積)
【0076】
図2(f)に示されるように、TCOおよびTi/Al、Ti/Au、Hf/Al/Mo/Au等から成り得るn電極211が、素子110の背面側に堆積させられる。
(7.素子を分離すること)
【0077】
チップスクライビングが、素子110を分離するために実施され得る。
【0078】
本発明のこれらおよび他の側面が、下記により詳細に説明される。
(用語の定義)
本発明では、以下の用語が、定義される。
(III族窒化物系基板)
【0079】
一実施形態では、III族窒化物系基板101は、GaN系基板101である。しかしながら、III族窒化物系基板101が、成長制限マスク102を通したELO III族窒化物系層105の成長を可能にする限り、任意のIII族窒化物系基板101が、使用され得る。
【0080】
さらに、III族窒化物系基板101は、バルクIII族窒化物系結晶から、{1-100}、{20-21}、{20-2-1}面、または任意の他の面上でスライスされ得る(バルクGaN結晶からスライスされた非極性(1-100)m面GaN基板101等)。
(成長制限マスク)
【0081】
成長制限マスク102は、SiO2、SiN、SiON、Al2O3、AlN、AlON、MgF等の誘電層、またはW、Mo、Ta、Nb、Pt等の耐熱金属を備えている。成長制限マスク102は、上記材料から選択される積層構造であり得る。成長制限マスク102は、上記材料から選定されるスタック層構造でもあり得る。
【0082】
一実施形態では、成長制限マスク102の厚さは、約0.05~3μmである。マスク102の幅は、好ましくは、20μmより大きく、より好ましくは、幅は、40μmより大きい。
【0083】
成長制限マスク102の2つの例が、
図3(a)および3(b)に示される。
【0084】
上で記載されるように、成長制限マスク102は、ストライプ102aにパターン化され、ストライプ102a間に開口エリア103を含む。
図3(a)に示される一実施形態では、開口エリア103は、長さaおよび幅bを有する。開口エリア103の各々の長さaは、GaN系基板101の1-100方向に平行な第1の方向にあり、開口エリア103の各々の幅bは、GaN系基板101の11-20方向に平行な第2の方向にあり、開口エリア103は、第1の間隔p1で周期的に間隔を置かれ、第2の方向に延びている。開口エリア103の各々の幅bは、典型的に、一定であるが、必要に応じて変更され得る。成長制限マスク102のストライプ102aの各々の幅Lは、L=p1-bである。
【0085】
図3(b)に示される別の実施形態では、開口エリア103の各々の長さおよび幅は、
図3(a)に類似の方向に配列されるが、長さは、異なり得、隣接する開口エリア103は、隣接する開口エリア103の端部が第1の方向に所定の距離qに対して長手方向に重複するような様式で、第1の方向に第2の間隔p2だけオフセットされ、第2の方向に第1の間隔p1の半分だけシフトされる。この配列は、GaN系基板101の1-100方向における開口エリア103の両端部の盛り上がりを防止する。
【0086】
これらの実施形態の両方において、開口エリア103の長さaは、約200~2,000μmであり、幅bは、約0.5~20μmであり、開口エリア103の間隔p1およびp2は、約6~120μmであり、マスク部分の幅Lは、p1-bであり、それによって、p1=55μmかつb=5μmの場合、Lは、50μmであり、開口エリア103の端部の互いの重複長qは、約35~40μmである。しかしながら、他の値も、使用され得る。
(ELO III族窒化物系層)
【0087】
一実施形態では、ELO III族窒化物系層105は、ELO GaN系層105である。しかしながら、任意のIII族窒化物系半導体が、ELO III族窒化物系層105として使用され得る。
【0088】
図4(a)および4(b)は、それぞれ、
図3(a)および3(b)の成長制限マスク102を使用した、ELO GaN系層105の成長を図示する。
【0089】
成長制限マスク102を使用して、ELO GaN系層105は、気相堆積法、例えば、MOCVD法によって、(0001)面配向の島状形状に成長させられる。
【0090】
GaN系基板101の表面が、成長制限マスク102の開口エリア103において露出させられ、ELO GaN系層105が、その上に成長制限マスク102に対して垂直および側方の両方に連続的に選択的に成長させられる。成長は、ELO GaN系層105が、成長制限マスク102上の隣接するELO GaN系層105と合体する前に停止させられ、隣接するELO GaN系層105間に非成長領域104をもたらす。
【0091】
GaN系半導体の(0001)面成長に関して、面に対して平行な側方成長の率は、11-20方向に最も大きく、1-100方向に最も小さい。
図3(a)および3(b)に示される成長制限マスク102では、開口エリア103の長手方向が、1-100方向であるので、GaN系半導体の成長率は、開口エリア103の両端部において小さく、1-100方向に互いに対向するELO GaN系層105は、合体せず、互いから分離されたままである。ELO GaN系層105の1-100方向の長さは、開口エリア103の長さとほぼ等しくなる。
【0092】
ELO GaN系層105の厚さは、それが、1つ以上の平坦な表面領域107、および非成長領域104に隣接するそれらの縁における層曲がり領域108の幅を決定するので、重要である。平坦な表面領域107の幅は、好ましくは、少なくとも5μm、より好ましくは、10μm以上、最も好ましくは、20μm以上である。
【0093】
ELO GaN系層105の成長比率は、GaN系基板101の0001軸に平行な垂直方向の成長率に対するGaN系基板101の11-20軸に平行な側方方向の成長率の比率である。好ましくは、ELO GaN系層105の成長比率は、高く、成長条件を最適化することによって、ELO GaN系層105の成長比率は、1 0.2~4に制御されることができる。c面の場合、ELO GaN系層105の比率が、4である場合、ELO GaN系層105は、厚さが約5μmのみであるが、20μmの平坦な表面領域107の幅を得る。他方、m面の場合、ELO GaN系層105の比率は、c面未満であり、例えば、約0.2~2である。本発明は、両方の場合において、エピ層を除去することを可能にする。
【0094】
ELO GaN系層105の高比率を得るために、ELO GaN系層105の成長温度は、好ましくは、約950℃より高く、MOCVDチャンバ内の圧力は、好ましくは、約100トルより低い。さらに、Ga原子の移動を促進するために、V/III比率は、好ましくは、高い。
【0095】
最も低い成長率を伴う対向する面におけるELO GaN系層105間の距離が大きいとき、以下の欠点が、生じる。その成長率が最低である1-100方向のELO GaN系層105間の領域における成長制限マスク102のマスク部分では、生ガスが、消費されず、したがって、ガス濃度が、増加し、1-100方向の濃度勾配が、生成され、濃度勾配による拡散によって、多量のガスが、ELO GaN系層105の1-100方向に縁部分に供給される。その結果として、ELO GaN系層105の1-100方向の縁部分の厚さが、他の部分と比較して増加し、隆起形状をもたらす。隆起形状は、素子に構造的な不都合をもたらすだけではなく、フォトリソグラフィ等の以下の製造プロセスにおける問題も生じる。
【0096】
隆起形状を防止するために、ELO GaN系層105は、可能な限り近いこと、したがって、成長の開始から生ガスの面内均一性を生じさせないことが、必要である。
図3(b)に示される成長制限マスク102では、11-20方向に互いに隣接する開口エリア103が、開口エリア103が長さqに対して対向端部で重複するような様式で形成される。
【0097】
結果として、ガス濃度の面内均一性が、ELO GaN系層105を成長させることによってもたらされる生ガスの消費によって得られる。最後に、これは、島状III族窒化物系半導体層109の厚さに均一性をもたらす。
(追加のIII族窒化物系半導体層)
【0098】
追加のIII族窒化物系半導体層106の成長条件は、ELO III族窒化物系層105と同一のMOCVD条件を使用することができる。例えば、GaN層の成長は、950~1,150℃の温度および30kPaの圧力において行われる。GaN層の成長のために、トリメチルガリウム(TMGa)およびアンモニア(NH3)が、生ガスとして使用され、水素(H2)および窒素(N2)が、キャリアガスとして使用され、AlGaN層の成長のために、トリエチルアルミニウム(TMAl)が、生ガスとして使用され、InGaN層の成長のために、トリメチルインジウム(TMIn)が、生ガスとして使用される。
(平坦な表面領域)
【0099】
平坦な表面領域107が、両側において層曲がり領域108によって境を限られる。さらに、平坦な表面領域107は、成長制限マスク102および開口エリア103の上または上方にある。
【0100】
半導体素子110の製作は、平坦な表面領域107上で主に実施される。平坦な表面領域107は、平坦な表面領域107内の各半導体層105、106の厚さの高い均一性を有する。
【0101】
半導体素子110の製作が、層曲がり領域108上で部分的に実施される場合、問題はない。より好ましくは、層曲がり層108は、素子110が完成される前にエッチングすることによって除去される。
(層曲がり領域)
【0102】
図5に示されるように、層曲がり領域108は、追加のIII族窒化物半導体素子層106の成長に続いて、素子110内に留まる曲げられた活性領域501をもたらし得る。
【0103】
曲げられた活性領域501を含む層曲がり領域108が、LEDチップである素子110内に留まる場合、活性領域からの放出された光の一部が、再吸光される。結果として、層曲がり領域108を除去することが、より好ましくあり得る。
【0104】
曲げられた活性領域501を含む、層曲がり領域108が、LDチップである素子110内に留まる場合、レーザモードは、低屈折率(例えば、それが、InGaN層であるとき)に起因して、層曲がり領域108によって影響を及ぼされ得る。結果として、層曲がり領域108を除去することが、より好ましくあり得る。
【0105】
層曲がり領域108が、LDチップである素子110内に留まる場合、隆起ストライプ構造の縁は、層曲がり領域108の縁から少なくとも1μm以上であるべきである。
【0106】
別の観点から、平坦な表面領域107のエピタキシャル層は、開口エリア103を除き、開口エリア103のエピタキシャル層より低い欠陥密度を有する。したがって、隆起ストライプ構造は、開口エリア103を除き、平坦な表面領域107内にあるべきである。
(島状III族窒化物系半導体層)
【0107】
上で記載されるように、III族窒化物系半導体層は、ELO III族窒化物系層105と、追加のIII族窒化物系半導体層106とを含み、それらは、島状III族窒化物系半導体層109と集合的に称される。
【0108】
島状III族窒化物系半導体層109の側面は、典型的に、(1-10a)面(aは、任意の整数である)、(11-2b)面(bは、任意の整数である)、またはこれらと結晶学的には同等である面を伴って形成されるか、または、島状III族窒化物系半導体層の側面は、(1-10a)面(aは、任意の整数である)を含む。
【0109】
島状III族窒化物系半導体層109は、概して、n型層、非ドープ層、およびp型層の中の少なくとも1つの層を含む3つ以上の層を含む。島状III族窒化物系半導体層109は、特に、GaN層、AlGaN層、AlGaInN層、InGaN層等を含み得る。
【0110】
素子110が、複数の島状III族窒化物系半導体層109を有する場合、互いに隣接する島状III族窒化物系半導体層109間の距離は、概して、30μm以下、好ましくは、10μm以下であるが、これらの値に限定されない。島状III族窒化物系半導体層109間の距離は、好ましくは、非成長領域104の幅である。
【0111】
ELO GaN系層105と追加のIII族窒化物系半導体素子層106との組み合わせられた厚さは、例えば、1~70μmの範囲に及び得るが、これらの値に限定されない。ELO GaN系層105と追加のIII族窒化物系半導体素子層106との組み合わせられた厚さは、成長制限マスク102の表面から追加のIII族窒化物系半導体素子層106の上側表面まで測定される。
(素子)
【0112】
半導体素子110は、例えば、ショットキーダイオード、発光ダイオード、半導体レーザダイオード、光ダイオード、トランジスタ等を含み得るが、これらの素子に限定されない。本発明は、特に、マイクロLED、および、端面発光レーザおよび垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)等のレーザダイオードのために有用である。
【0113】
図6は、この例では、レーザダイオードを含む素子110の一実施形態の断面図である。具体的に、III族窒化物半導体レーザダイオードは、すなわち、述べられる順序で別の層の上に置かれる以下の層から成る:成長制限マスク102、ELO GaN系層105、5x InGaN/GaN多重量子井戸(MQW)活性領域106a、AlGaN EBL106b、p-GaNクラッディング層106c、ZrO
2電流制限層203、p電極204。半導体層105、106は、上記順序で成長させられる任意の窒化物系III-V族化合物半導体から形成され得ることに留意されたい。
【0114】
図6の断面図は、隆起ストライプ構造から成る光学共振器に対して垂直な方向に沿ったレーザバーを示す。隆起ストライプ構造は、p-GaNクラッディング層106cと、p電極204とから成り、水平方向に光閉込めを提供する。隆起ストライプ構造の幅は、約1.0~20μmであり、典型的に、10μmである。
【0115】
一実施形態では、p電極204は、以下の材料のうちの1つ以上のものから成り得る:Pd、Ni、Ti、Pt、Mo、W、Ag、Au等。例えば、p電極204は、Pd-Ag-Ni-Au(3-50-30-300nmの厚さを伴う)を備え得る。これらの材料は、電子ビーム蒸着、スパッタ、熱蒸着等によって堆積させられ得る。それは、p-GaN層上のITO電極も使用し得る。
(ファセット)
【0116】
図7(a)および7(b)は、レーザダイオード素子110のためのファセットを作製する方法を図示する。
【0117】
図7(a)は、
図3(a)の成長制限マスク102に基づく非成長領域104、ELO
GaN系層105、平坦な表面領域107、および層曲がり領域108を示す。
図7(b)は、
図7(a)の丸が付けられた部分の拡大図であり、
図7(a)のELO GaN系層105上の隆起ストライプ構造701およびエッチングされたミラー領域702を示す。エッチングされたミラー領域702は、光共振長に基づいて位置する。
【0118】
GaNエッチングのためのエッチングプロセスは、ArイオンビームおよびCl2周囲ガスを使用する。エッチング深度は、約1μm~約4μmである。エッチングされたミラーファセット702は、以下の群から選択された誘電膜によってコーティングされ得る:SiO2、Al2O3、AlN、AlON、SiN、SiON、TiO2、Ta2O5、Nb2O5、Zr2O等。このエッチングプロセスは、上記材料から選択される単層または多層構造のために採用されることができる。
【0119】
ファセットは、従来のレーザダイオードのために利用される劈開方法によって作製されることもできる。
(支持基板)
【0120】
支持基板201は、元素半導体、化合物半導体、金属、合金、窒化物系セラミック、酸化物系セラミック、ダイヤモンド、炭素、プラスチック等から成り得、これらの材料から作製される単層構造または多層構造を備え得る。はんだ等の金属または有機接着剤が、素子110への支持基板201の接合のために使用され得、必要に応じて選択される。
【0121】
従来の接合技法が、支持基板201を素子110に接合するために採用されることができる。
【0122】
一般的に、フリップチップ接合の最も一般的なタイプは、熱圧縮接合およびウエハ融着/接合である。ウエハ融着は、InP系素子において広く採用されている。しかしながら、熱圧縮接合は、それが金属間接合を使用し、熱伝導性を大いに改善するという利点も有するので、概して、ウエハ融着よりはるかに単純である。
【0123】
Au間圧縮接合は、群を抜いて単純な接合であり、非常に強い接合をもたらす。Au/Sn共晶接合は、非常に大きい接合強度を提供する。
【0124】
圧縮接合の前、素子110の表面の活性化を実施することが、より好ましい。表面の活性化は、Arおよび/またはO2のプラズマ処理を使用することによって達成される。III族窒化物系素子110は、次いで、圧力下で150~300℃において支持基板201に接合される。
(追加の支持基板)
【0125】
別の実施形態では、第2の支持基板(図示せず)が、素子110からのGaN系基板101の除去において使用され得る。方法は、素子110からGaN系基板101を除去するステップの前または後、第1の支持基板201を素子110の露出させられた表面に接合するステップと、第2の支持基板をGaN系基板101の露出させられた表面に接合するステップとを含む。典型的に、後にGaN系基板101に接合される第2の支持基板は、適切なエッチング液を使用して、第2の支持基板とGaN系基板101との間の低温融解させられた金属および/またははんだ接合層を溶解させることによって、除去されることができる。
【0126】
第1の支持基板201のように、第2の支持基板も、元素半導体、化合物半導体、金属、合金、窒化物系セラミック、酸化物系セラミック、ダイヤモンド、炭素、プラスチック等から成り得、これらの材料から作製される単層構造または多層構造を備え得る。はんだ等の金属または有機接着剤が、第2の支持基板を基板101に接合するために使用され得、必要に応じて選択される。
(基板除去)
【0127】
島状III族窒化物系半導体層109からGaN系基板101を除去するために使用され得る2つの技法が、存在する。
【0128】
1つの技法は、支持基板201のみを使用することである。成長制限マスク102とELO GaN系層105との間の界面は、弱い接合強度を有する。したがって、支持基板201を使用してGaN系基板101から島状III族窒化物系半導体層109をはぐことは、容易である。
【0129】
別の技法は、構造を湿式エッチングのための溶媒の中に浸漬し、基板101を除去することである。一実施形態では、成長制限マスク102は、SiO2であり、それは、GaN系基板101を除去することの前、BHF、HF、または他のエッチング液を使用して溶解させられる。この技法の利点は、基板101が、(非常に優しく)除去され、SiO2の広いエリアが溶媒によって非常に容易かつ迅速に溶解させられるとき、機械的な損傷が生じないことである。
【0130】
その後、構造が、加熱され、III族窒化物系基板101から支持基板201および素子110を分離する。例えば、Cu支持基板201は、GaN基板101より高い膨張係数(CTE)を有する。
図2(e)に示されるように、加熱に起因する支持基板201の拡張が大きいほど、より強い応力が、劈開点205に生じさせられる。その後、劈開することが、劈開点205において、島状III族窒化物系半導体層109の反対側に向かって、素子サイズ207未満である劈開表面206の長さに対して、開始する。
【0131】
除去プロセスは、温度が降下するときにも生じ得る。劈開プロセスがいつ開始するかは、重要ではない。
【0132】
図8は、ELO GaN系層105を除去するための劈開することが実施された後、破線の丸によって示されるGaN系基板101の非極性(1-100)m面表面のSEM画像を示す。
図8は、基準として、極性(0001)c面表面のSEM画像も示す。いくつかの極小の段が、非極性(1-100)m面表面上に見られることができるが、しかしながら、劈開することが実施された後の非極性(1-100)m面表面の表面形態が、極性(0001)c面表面より平滑であることも、見られることができる。
【0133】
図9(a)は、GaN系基板101から除去された後、300μmを超える長さを伴うバーである島状III族窒化物系半導体層109のSEM画像である。
図9(b)は、島状III族窒化物系半導体層109の除去に続く、素子110の劈開表面208のSEM画像であり、素子110の劈開表面208は、開口エリア103に本質的に合致し、劈開表面208は、平滑な表面形態を有する。
【0134】
図10(a)は、非極性(1-100)面の±15度のミスカットを図示し、それらは、それぞれ、半極性(20-21)および(20-2-1)面に沿った成長をもたらし、
図10(b)、10(c)、および10(d)は、それぞれ、非極性(1-100)m面、半極性(20-21)面、および半極性(20-2-1)面上に成長させられた島状III族窒化物系半導体層109が除去された後のGaN系基板101の表面の画像である。
【0135】
GaN系基板101の劈開表面209のこれらのSEM画像は、非常に高い平坦性をもたらす開口エリア103に対応する。2つの半極性(20-21)および(20-2-1)基板の表面上により多数の段特徴が存在することに留意されたい。
【0136】
さらに、半極性(20-21)、(20-2-1)、(30-31)、(30-3-1)、(1-101)、(1-10-1)等の面である表面等、m面ではないGaN系基板101の表面を使用することも、少なくとも部分的に非極性(1-100)m面ではない劈開表面209をもたらす。
【0137】
図10(e)に示されるように、劈開表面角度が、レーザ顕微鏡によって測定される。(20-21)の場合、矢印を用いてこの画像に示される小さい平坦部分が、15°の角度を示し、すなわち、(20-21)は、約±3°の範囲内の変動を伴って、m面から15°傾斜させられている。したがって、小さい平坦部分は、m面である。さらに、小さい平坦部分は、開口エリア103に沿って整列させられている。この場合、劈開することを使用して基板から半導体層を除去することは、容易である。
【0138】
図10(f)に示されるように、小さい平坦部分のサイズは、開口エリア103の幅に応じて変化させられている。開口エリア103の幅が、より広いとき、小さい平坦部分の長さは、より長い。開口エリア103の幅は、より広いが、それは、同じ方法を使用して除去されることができる。
【0139】
図10(g)の画像は、除去後の種々の面の劈開表面を示す。
【0140】
図10(h)は、劈開面のためのGaN結晶の極性c面表面の使用を図示する。
図8に上で記載されるように、劈開するステップが実施された後の非極性(1-100)m面表面の表面形態は、基準として示される極性(0001)c面表面より平滑である。それにもかかわらず、極性c面表面が、劈開することのために使用され得、本明細書に説明される方法の最適化が、表面形態を改良するはずである。
【0141】
したがって、m面以外のGaN系基板101が使用される場合でも、GaN系基板101のm面である劈開表面209を用いた劈開技法を使用して、GaN系基板101から島状III族窒化物系半導体層109を除去することは、容易である。III族窒化物のm面は、安定した面であり、劈開するために容易である。島状III族窒化物系半導体層109は、過度の応力が生じさせられる前に劈開され得るので、島状III族窒化物系半導体層109の破壊が、抑制されることができる。この方法を使用することは、GaN系基板101から島状III族窒化物系半導体層109を除去するための高収率を達成する。
【0142】
さらに、III族窒化物系基板101は、島状III族窒化物系半導体層109が、除去された後、再生利用されることができ、基板101の表面は、研磨機によって再度研磨され得る。再生利用プロセスは、繰り返して行われることができ、それは、III族窒化物系半導体素子を製作するコストを下げる。
(支持膜)
【0143】
図11(a)および11(b)に示されるような別の実施形態では、支持膜1101が、支持基板201の代替物として使用され得る。本実施形態では、20~200μmの厚さを伴う、ポリイミドテープ、ポリマーテープ、粘着テープ、UVテープ等であり得るテープ1101の層が、
図11(a)に示されるように、p電極層204の表面にロール塗布され、テープ1101をGaN系基板101から206の劈開長にわたって優しく引き離すと、破砕が、劈開点205に生じ、
図11(b)に示されるように、劈開表面208および209を露出させる。剥離の後、素子110を含む島状III族窒化物系半導体層109の過度の曲がりを防止するために、テープ1101の外側部分が、島状III族窒化物系半導体層109をフレーム(図示せず)に固定するために使用され得る。
【0144】
図11(c)は、テープ1101を使用してGaN系基板101から除去された後の島状III族窒化物系半導体層109のSEM画像である。
【0145】
支持膜1101を使用し、半導体層109を除去することにおいて、温度は、例えば、約150度を超過することはできず、そうでなければ、支持膜1101は、融解させられ、軟化させられ得る。しかしながら、温度は、例えば、約0度以下に下げられることができ、それによって、支持膜1101は、硬質化し、収縮し、それは、半導体層109と支持膜1101との間の熱係数の差異から半導体層109に強い応力を生じさせることができる。
【0146】
支持膜1101がポリマー膜である一実施形態では、ポリマー膜の構造は、二重または三重層もしくはそれを上回るものを備え得る。一例では、ポリマー膜は、約80μmの厚さを有し得、ポリ塩化ビニル(PVC)から成り得る。ポリマー膜は、例えば、約38μmの厚さを有する、基材を有し得、ポリエチレンテレフタラート(P.E.T.)から作製され得る。ポリマー膜は、例えば、約15μmの厚さを有する粘着層を有し得、アクリルUV感受性接着剤から作製され得る。UV感受性接着剤が、UV光にさらされると、接着剤の粘着性が、大幅に低減される。例えば、基板101からIII族窒化物系素子110を除去することの後、UV感受性接着剤は、UV光にさらされ得、それは、支持膜1101を除去し易くする。
(n電極の堆積)
【0147】
再び、
図2(f)を参照すると、n電極211が、島状III族窒化物系半導体層109の背面側上に設置される。典型的に、n電極211は、以下の材料から成るが、これらの材料に限定されない:Ti、Hf、Cr、Al、Mo、W、Au。
【0148】
例えば、n電極211は、Ti-Al-Pt-Au(30-100-30-500nmの厚さを伴う)から成り得るが、それらの材料に限定されない。これらの材料の堆積は、電子ビーム蒸着、スパッタ、熱蒸着等によって実施され得る。
【0149】
別のオプションは、電極211のためにITOおよびZnOを使用することであるが、電極211は、それらの材料に限定されない。
(チップ分割方法)
【0150】
再び、
図7(a)および7(b)を参照すると、チップ分割方法は、2つのステップを有する。第1のステップは、島状III族窒化物系半導体層109をスクライビングすることである。第2のステップは、レーザスクライビング等を使用して、支持基板201を分割することである。
【0151】
図7(a)および7(b)に示されるように、チップスクライビング線703が、ダイヤモンドスクライビング機械またはレーザスクライビング機械によって製作される。チップスクライビング線703は、島状III族窒化物系半導体層109の背面側に製作される。チップスクライビング線703は、実線または破線であり得る。
【0152】
次いで、支持基板201も、レーザスクライビングによって分割され、LD素子110を得る。チップスクライビング線が製作されるとき、隆起ストライプ構造を回避することが、より良好である。
(第2の実施形態)
【0153】
第2の実施形態は、基板101の面を除き、第1の実施形態に類似する。本実施形態は、基板101上の成長表面として非極性(1-100)m面以外の面を使用する観点から説明される。例えば、成長表面として、例えば
図10(c)および10(d)に示されるような半極性(20-21)または(20-2-1)面を有する半極性基板101が、使用され得る。その後、素子110が、第1の実施形態と同一の方法を使用して、半極性基板101から除去される。
【0154】
他の実施形態では、(30-31)、(30-3-1)、(10-11)、(10-1-1)等の他の面も、使用され得る。
【0155】
この方法は、III族窒化物系基板101の代わりとしてヘテロ基板が使用されるときにも、利用されることができる。ヘテロ基板は、限定ではないが、サファイア(m面)、LiAlO2(LAO)、m面SiC、Si等を含み得る。
(第3の実施形態)
【0156】
第3の実施形態は、ELO III族窒化物系層105の組成を除き、第1の実施形態に類似する。具体的に、本実施形態は、
図12(a)-12(i)に示されるように、ELO III族窒化物系層105としてAlGaNを使用する。
【0157】
図12(a)-12(f)は、非極性(1-100)面、および半極性(20-21)および(20-2-1)面に沿ったストライプのSEM画像を含む。示されるサンプル全てが、GaN基板101を使用する。これらの実施例では、ELO AlGaN層105は、成長させられた後、2~3%のAl組成、8~12μmの厚さを有し、亀裂は有していない。
【0158】
図12(g)は、m面GaN基板101と、成長制限マスク102と、ELO n-AlGaN層105とを含む近UV LED素子のために使用される構造の概略図である。素子構造は、活性領域106aと、電子遮断層106bと、p-AlGaNクラッディング層106cとを含む。
【0159】
図12(h)は、GaN系基板101を除去し、n電極211を堆積させた後の
図12(g)の構造の概略図である。本実施形態は、高品質および低欠陥密度のGaN系基板101ならびにELO n-AlGaN層105を利用し、低欠陥密度および高結晶品質の半導体層105、106を得ることができる。
【0160】
m面劈開を使用することによって、GaN系基板101が、次いで、近UV素子110から除去されることができる。これは、GaN系基板101が、UV光を吸光するので、近UVまたはUV素子にとって好ましい。
【0161】
図12(i)は、m面AlN系基板101上にSiNから成る成長制限マスク102を使用して成長させられるELO AlGaN層105の概略図である。この場合、ELO
AlGaN層105は、高いAl含有量を有する。
【0162】
ELO AlGaN層105は、合体しないので、熱膨張の差異から生じさせられる歪みが、ELO AlGaN層105から効率的に解放される。その後、島状AlGaN層109(図示せず)が、例えば、AlGaN/GaN基板101とともに、ELO AlGaN層105の界面において除去されることができる。
【0163】
ELO AlGaN層105は、近UVまたは深UV LEDのために有用であろう。しかしながら、GaN系基板101は、GaNのバンドギャップに起因して、365nmより短い光を吸光し、したがって、近UVおよび深UV LEDのためには好適ではないであろう。この方法も、UV光を吸光するGaN系基板101を除去し得るので、それは、UVおよび近UV LEDのために好適であろう。さらに、この方法は、深UV LEDのために好適であろうAlN系基板101とともに利用されることができる。
(第4の実施形態)
【0164】
第4の実施形態は、ELO III族窒化物層105が、互いに合体する点で、第1の実施形態と異なる。このプロセスは、
図13(a)、13(b)、および13(c)に示され、島状III族窒化物系半導体層109は、m面GaN基板101上に堆積させられた少なくともELO GaN系層105と、III族窒化物活性領域106aと、p-AlInGaN層106cとから成る。
【0165】
本実施形態は、例えば、1μm以下の小サイズのGRL1301を使用し、それは、成長制限層(GRL)1301を埋めることが容易であるので、成長制限マスク102の変形物である。より厚いELO GaN系層105が、例えば、1μmを上回るより大きいサイズのGRL1301を埋めるために必要である。
【0166】
小サイズのGRL1301は、以下の寸法を有し得る:幅が、約0.8~5μmであり、厚さが、約0.1~1μmである。小サイズのGRL1301を形成することによって、ELO GaN系層105の厚さは、1μm以下と同程度に薄く作製されることができる。
【0167】
薄いELO GaN系層105は、VCSELおよび他の素子のために有用である。例えば、
図14のVCSEL1401は、第1の分散ブラッグ反射器(DBR1)1402と、ELO GaN系層1403と、活性領域1404と、p-AlInGaN層1405と、SiO
2層1406と、ITO層1407と、第2のDBR2 1408と、n電極1409とから成る。さらに、VCSEL1401は、好ましくは、大きい光学損失を回避するために、短い空洞長1410を有する。
【0168】
この点について、開口エリア103は、劈開技法に起因して、極めて平坦である。DBRが堆積させられる場合、非常に平坦な表面が、要求される。m面の劈開性を利用することが、より好ましい。したがって、DBRを堆積させるための場所が劈開表面205の少なくとも一部を含むべきであることが、より好ましい。
【0169】
劈開することの前、
図13(b)に説明されるように、島状III族窒化物系半導体層109をエッチングすることが、より良好であり得る。この例では、エッチングが、GRL1301を露出させている。レーザアブレーションも、GRL1301を露出させるために使用されることができる。
【0170】
本実施形態を使用して、島状III族窒化物系半導体層109が、GaN系基板101から容易な様式で除去されることができる。
図13(c)に示されるように、エピタキシャル層109を除去するとき、テープ1101が、使用されることができる。その後、
図14に示されるようなVCSEL1401が、従来の方法によって製作されることができる。
(第5の実施形態)
【0171】
第5の実施形態は、GRL1301またはELO III族窒化物系層105を使用していないことを除き、第4の実施形態に類似する。このプロセスは、
図15(a)、15(b)、15(c)、15(d)、15(e)、および15(f)に示される。
【0172】
図15(a)に示されるように、GaN系基板101のm面表面上にIII族窒化物系半導体層106を成長させた後、p電極204が、
図15(b)に示されるように、III族窒化物系半導体層106上に堆積させられる。III族窒化物系半導体層106は、
図15(c)に示されるように、エッチング1501される。テープ1101が、
図15(d)に示されるように、p電極204に取り付けられ、III族窒化物系半導体層106が、
図15(e)に示されるように、劈開点205においてテープ1101をはぐことによって、基板101から除去される。そのような構造を形成することによって、強い歪み集中1502が、
図15(e)に示される劈開点205に生じさせられる。
【0173】
GaN系基板101を除去するときに高収率を得るために、乾式斜エッチング1501が、
図15(c)、15(d)、および15(e)に示されるように使用されることができる。乾式斜エッチング1501は、
図15(f)に示されるように、構造を、乾式エッチングチャンバ内に傾斜させられた様式で位置付けることによって、実施されることができる。
【0174】
本実施形態は、この方法がエッチング1501の深度によって劈開点205を決定し得るので、VCSEL、二重誘電クラッディングレーザ等のために非常に有用である。
(第6の実施形態)
【0175】
第6の実施形態は、開口エリア103の形状を除き、第1、第2、および第3の実施形態に類似する。本実施形態は、マイクロLEDを製作するために使用される。
【0176】
パターン化された基板101が、
図16(a)および16(b)に示される。パターン化された基板101は、六角形孔、または円形、三角形、長方形等の孔等の他の形状等の小サイズの開口エリア103を含むことができる。この例では、パターン化された基板101は、複数の開口部103を伴う成長制限マスク102を使用して得られる。
【0177】
図16(a)は、一実施形態における開口エリア103の(すなわち、開口部を形成する六角形の)直径d1を図示する。本実施形態では、d1の値は、0.5~20μmであり、より好ましくは、d1のための値は、約2μmである。
【0178】
図16(b)は、別の実施形態における開口エリア103の(すなわち、開口部を形成する六角形の)直径d2を図示する。本実施形態では、d2の値は、5~60μmであり、より好ましくは、d1のための値は、約15μmである。
【0179】
LED製作プロセスが、上記実施形態を説明する方法において使用されることができる。
(第7の実施形態)
【0180】
第7の実施形態は、光電気化学(PEC)エッチング技法の使用を除き、第3の実施形態に類似する。本実施形態は、
図17(a)-17(f)に図示され、それらは、半導体素子を製造する方法を説明し、方法は、III族窒化物基板101を提供するステップと、III族窒化物系基板101の上に1つ以上のInAlGaN系層1701を成長させるステップと、InAlGaN系層1701の上に1つ以上のInAlGaN犠牲層1702を成長させるステップと、1つ以上の追加のInAlGaN系半導体層1703、1704および1705を成長させ、半導体素子110を形成するステップと、素子110を処理するステップと、InAlGaN系層1701をエッチングし、InAlGaN犠牲層1702を露出させるステップと、犠牲InAlGaN層1702内にアンダーカットノッチ1706を形成するステップと、支持基板201にInAlGaN系層1703、1704、1705を接合するステップと、劈開によってIII族窒化物基板101を除去するステップとを含む。
特に、方法は、以下のステップを含む。
【0181】
1.InAlGaN犠牲層1702を露出させる。
図17(a)に示されるように、InAlGaN犠牲層1702は、InAlGaN層1701と1703との間に成長させられる。半導体素子110が、InAlGaN層1703、1704、1705から成る。例えば、素子110は、n型GaNと、InGaN/GaN多重量子井戸(MQW)と、p型GaNとから成るLEDを含み得る。
【0182】
2.エッチングし、InAlGaN犠牲層1702を露出させる。
図17(b)に示されるように、乾式エッチングが、実施され、InAlGaN犠牲層1702を露出させる。加えて、斜エッチングが、劈開するためにより良好である。
【0183】
3.InAlGaN犠牲層1702内にアンダーカットノッチ1706を形成する。
図17(c)に示されるように、InAlGaN犠牲層1702は、完全にではなく、部分的にエッチングされ、アンダーカットノッチ1706が、形成される。
【0184】
4.接合材料を使用して、支持基板201を素子110に接合する。
図17(d)に示されるように、素子110のp電極1707が、金属間接合またははんだ付け技法を使用して、Si、Cu等から成るキャリアウエハ等の支持基板201にフリップチップ接合される。支持膜1101も、使用され得る。
【0185】
5.劈開し、III族窒化物系基板101を除去する。
図17(e)に示されるように、劈開することが、劈開点205において実施され、素子サイズ207未満である劈開長206に沿って、素子110をIII族窒化物系基板101から除去する。m面の少なくとも一部が、劈開するために使用される。
図17(f)は、基板101が除去された、素子110を示す。
(InAlGaN犠牲層)
【0186】
本実施形態では、InAlGaN犠牲層1702は、In、Al、Ga、Nを含み、Mg、Si、Zn、O、C、H等の不純物も含む。InAlGaN犠牲層1702は、紫外線(UV)光源の波長より大きいバンドギャップを有する。例えば、405nmUV光が、使用され、犠牲層1702のバンドギャップは、3.06eVより大きい。この場合、犠牲層1702は、PECエッチング中、UV光を吸光し、電子および正孔を発生させることができる。
(犠牲層のエッチング)
【0187】
本実施形態では、エッチング領域は、InAlGaN犠牲層1702を露出させるために乾式エッチングおよび/または湿式エッチングによってエッチングされる場所である。斜エッチングが、劈開することのために役立ち得るので、実施される。
(InAlGaN犠牲層内のアンダーカットノッチ)
【0188】
本実施形態では、InAlGaN犠牲層1702内のアンダーカットノッチ1706が、バンドギャップ選択PECエッチングによって形成されることができる。
【0189】
本実施形態においても、III族窒化物材料のための劈開面は、非極性m面または半極性面である。したがって、少なくとも部分的なm面が、劈開するために使用され、それは、劈開が容易に生じ、かつ平滑な表面をもたらすことに役立つ。
(PECエッチングによって基板を除去すること)
【0190】
図17(a)に示されるように、非極性m面または半極性平面配向を伴うバルクIII族窒化物基板101が、提供される。MOCVDを使用する成長が、基板101上で実施され、n型InAlGaN1701、In
xAl
yGa
1-(x+y)N犠牲層1702、n型InAlGaN1703、InGaN/GaN MQW活性領域1704、およびp型InAlGaN1705を製作する。
【0191】
トリメチルガリウム(TMGa)、トリメチルインジウム(TMIn)、およびトリエチルアルミニウム(TMAl)が、III族元素源として使用される。アンモニア(NH3)が、窒素を供給するための生ガスとして使用される。水素(H2)および窒素(N2)が、キャリアガスとして使用される。生理食塩水およびビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム(Cp2Mg)が、n型およびp型ドーパントとして使用される。圧力が、50~760トルであるように設定される。GaN成長温度は、900~1,250℃の範囲に及び、InAlGaN犠牲層成長温度は、800~1,150℃である。
【0192】
InxAlyGa1-(x+y)N犠牲層1702の厚さは、1~100nmである。xおよびyの組成は、0~1であり、x+yも、PECエッチングによって決定されるような0~1の範囲に及ぶ。
【0193】
例えば、405nmの紫外線(UV)LEDアレイが、PECエッチングのために使用され得る。したがって、犠牲InxAlyGa1-(x+y)N層1702が、PECエッチング中にUV光を吸光し、電子および正孔を発生させ得るように、3.06V未満のInxAlyGa1-(x+y)N犠牲層1702のバンドギャップが、所望される。
【0194】
InxAlyGa1-(x+y)N/GaNスタックも、犠牲層1702として使用され得る。例えば、5nmの厚さのIn0.08Ga0.92N層が、犠牲層1702として使用されることができる。
【0195】
別の実施例は、レーザアブレーションを使用して、アンダーカットノッチ1706を形成することである。405nmレーザが、この例において使用され得、サンプルが、ウエハ位置を慎重に制御することによって、レーザ源にさらされる。
【0196】
斜エッチングが、反応性イオンエッチング(RIE)等の乾式エッチングによって実施され得る。例えば、SiCl4が、RIEのためのエッチングガスとして使用され得る。エッチング角は、0~90度であり、それは、劈開プロセスのために有用である。エッチング深度は、InxAlyGa1-(x+y)N犠牲層1702を露出させるために、10nm~20μmである。
【0197】
PECエッチングが、InGaN犠牲層1702の領域内にアンダーカットノッチ1706を形成するために実施される。サンプルが、KOH溶液中に浸漬され、405nmUV LEDアレイから光を吸光する。次いで、InAlGaN犠牲層1702が、PECによって分解し始めるであろう。InAlGaN犠牲層1702は、完全にではなく、部分的にエッチングされ、アンダーカットノッチ1706を形成する。例えば、素子の幅は、100μmであり、InAlGaN犠牲層1702内のアンダーカットノッチ1706のサイズは、1~45μmの範囲に及び得る。
【0198】
実施形態では、
図17(e)に示されるように、チップサイズは、劈開長より広い。これは、半導体層がさらにより少ない力または圧力を用いて容易に除去されることを可能にする。より少ない力または圧力の使用は、素子の劣化および収率の低下を回避する。
(プロセスステップ)
【0199】
図18は、III族窒化物系半導体層から素子を形成した後、本発明の一実施形態に従ってIII族窒化物系基板が再生利用され得るように、III族窒化物系半導体層からIII族窒化物系基板を除去する方法を図示するフローチャートである。
【0200】
ブロック1801は、ベース基板101を提供するステップを表す。一実施形態では、ベース基板101は、GaN系基板101等のIII族窒化物系基板101である。
【0201】
ブロック1802は、基板101上に中間層を堆積させる、随意のステップを表す。一実施形態では、中間層は、GaN系層等のIII族窒化物系層である。
【0202】
ブロック1803は、基板101の上または上方、すなわち、基板101自体の上または中間層の上に成長制限マスク102を形成するステップを表す。成長制限マスク102は、複数のストライプ102aと、開口エリア103とを含むようにパターン化される。
【0203】
ブロック1804は、エピタキシャル側方過成長を使用して成長制限マスク102の上または上方に1つ以上のIII族窒化物系層105を成長させるステップを表し、III族窒化物層105のエピタキシャル側方過成長は、成長制限マスク102の開口エリア103に平行な方向に拡張し、エピタキシャル側方過成長は、III族窒化物層105が成長制限マスク102のストライプ102a上で合体する前に停止させられる。一実施形態では、ELO III族窒化物系層105は、ELO GaN系層105である。
【0204】
ブロック1805は、ELO III族窒化物系層105上に1つ以上の追加のIII族窒化物系半導体素子層106を成長させるステップを表す。ELO III族窒化物系層105に加えて、これらの追加のIII族窒化物系半導体素子層106は、島状III族窒化物系半導体層109のうちの1つ以上のものを生じさせる。
【0205】
ブロック1806は、島状III族窒化物系半導体層109を支持基板201または膜1101に接合するステップを表す。島状III族窒化物系半導体層109が、p電極204との金属間接合またははんだ付け技法を使用してその上に堆積させられる金属もしくははんだ204を用いて支持基板201にフリップチップ接合されるが、膜1101が、p電極204にロール塗布される。
【0206】
ブロック1807は、基板101の表面上で劈開技法を使用して、基板101から島状III族窒化物系半導体層109を除去するステップを表し、それは、基板101から島状III族窒化物系半導体層109を機械的に分離またははぐことを含む。
【0207】
劈開技法が実施される基板101の表面は、基板101のm面表面209であり、島状III族窒化物系半導体層109は、基板101から除去された後、劈開表面208を有し、劈開表面208は、少なくともm面表面を含む。島状III族窒化物系半導体層109も、少なくとも部分的に、m面層から成る。
【0208】
劈開技法は、基板101の表面上で、劈開長206にわたって、劈開点205において実施され、劈開長206は、島状III族窒化物系半導体層109から形成される素子110のサイズ207より狭くあり得る。
【0209】
成長制限マスク102は、劈開技法が実施される前、溶媒によって少なくとも部分的に溶解させられ得る。加えて、このステップは、基板101と、支持基板201または島状III族窒化物系半導体層109に接合される膜1101との間の熱膨張の差異に起因して、島状III族窒化物系半導体層109に応力を生じさせ、劈開点205を露出させることを含み得る。
【0210】
ブロック1808は、基板101のリフトオフによって露出させられた島状III族窒化物系半導体層109の背面側にn電極211を堆積させるステップを表す。
【0211】
ブロック1809は、チップスクライビングし、素子110を分離するステップを表す。このステップは、レーザダイオード素子110のためのファセットのエッチングも含み得る。
【0212】
ブロック1810は、方法の結果として生じる生成物を表し、すなわち、方法に従って製作された1つ以上のIII族窒化物系半導体素子のみならず、素子から除去され、再生利用および再利用のために利用可能である基板101も表す。
(利点および恩恵)
本発明は、いくつかの利点および恩恵を提供する。
【0213】
・III族窒化物のm面の劈開を利用することは、基板101からIII族窒化物系半導体層109を除去するとき、高収率を達成した。
【0214】
・高価なIII族窒化物系基板101は、基板101が素子110層から除去された後、再利用されることができる。
【0215】
・非常に低い欠陥密度を伴う同一または類似材料の基板101を使用して、高品質の素子110層が、得られ得る。
【0216】
・基板101および素子層108の両方のために同一または類似材料を使用することは、素子110層における歪みを低減させることができる。
【0217】
・基板101および素子110層の両方のために同一または類似する熱膨張を伴う材料を使用することは、エピタキシャル成長中の基板101の曲がりを低減させることができる。
【0218】
・ミスカット配向を伴うバルク結晶から基板101をスライスすることは、素子110層間の厚さの均一性を維持し、より高い収率を生産する。
【0219】
・ELOによって成長させられた層105は、高品質である。
【0220】
・ELO層105は、互いに合体せず、内部歪みが、解放され、それは、いかなる亀裂の発生も回避することに役立つ。AlGaN層である素子110層に関して、それは、特にAl高含有層の場合、非常に有用である。
【0221】
・島状III族窒化物系半導体層109は、隔離して形成され、そのため、引っ張り応力または圧縮応力が、他の島状III族窒化物系半導体層109に及ばない。
【0222】
・さらに、成長制限マスク102およびELO層105は、化学的に接合されず、そのため、ELO層105および追加の層106内の応力は、成長制限マスク102とELO層105との間の界面にもたらされるスライドによって緩められることができる。
【0223】
・島状III族窒化物系半導体層109の各々の間の非成長領域104の存在は、可撓性を提供し、基板101は、外部力が加えられると、容易に変形させられ、曲げられることができる。したがって、基板101内にわずかな反り、湾曲、または変形が生じる場合であっても、それは、小さい外部力によって容易に補正され、亀裂の発生を回避することができる。結果として、真空チャックによる基板101の取り扱いが、可能になり、それは、半導体素子の製造プロセスをより容易に実行されるようにする。
【0224】
・非成長領域104は、成長制限マスク102の大きいエリアを溶解させることを容易にする。
【0225】
・高品質半導体結晶の素子110層が、基板101の湾曲を抑制することによって成長させられることができ、さらに、素子110層が、非常に厚いときであっても、亀裂等の発生が、抑制されることができ、それによって、大面積半導体素子が、容易に実現されることができる。
【0226】
・素子110の熱管理が、支持基板201上のフリップチップ接合に起因して、有意に改善される。
【0227】
・素子110のサイズが、商業的に利用可能な素子と比較されると、約10倍縮小される。
【0228】
・この製作方法は、大サイズウエハ(>2インチ)にも容易に採用されることができる。
(修正および代替)
【0229】
いくつかの修正および代替が、本発明の範囲から逸脱することなく成されることができる。
【0230】
例えば、本発明は、他の配向のIII族窒化物系基板とともに使用され得る。具体的に、基板は、基底非極性m面{10-10}群、および{20-2-1}面等の少なくとも2つの非ゼロのh、i、またはkミラー係数と、非ゼロのlミラー係数とを有する、半極性面群であり得る。(20-2-1)の半極性基板は、平坦なELO成長の幅広い面積により、特に、有用である。
【0231】
本発明によると、成長制限マスクのストライプのある開口部から成長制限マスク上に横方向に成長する島状III族窒化物系半導体層の結晶化度は、非常に高く、高品質の半導体結晶から作製されるIII族窒化物系半導体層が、得られることができる。
【0232】
さらに、III族窒化物系基板を使用して、2つの利点が、得られ得る。1つの利点は、サファイア基板を使用することより非常に低い欠陥密度を伴う等、高品質の島状III族窒化物系半導体層が、得られ得ることである。エピ層および基板の両方のために類似または同一材料を使用することによる別の利点は、それが、エピタキシャル層内の歪みを低減させ得ることである。さらに、類似または同一の熱膨張のおかげで、方法は、エピタキシャルな成長中、基板の曲がり量を低減させることができる。上記のような効果は、生産収率が、温度の均一性を改善させるために、高くあり得ることである。
【0233】
他方、サファイア(m面)、LiAlO2、SiC、Si等の異種またはヘテロ基板が、使用され、III族窒化物系半導体層を成長させることができる。異種またはヘテロ基板は、劈開点における弱い接合強度に起因して、除去することが容易である。
【0234】
その結果、本発明は、III族窒化物系半導体から成る、基板と、基板上に直接または間接的に配置される1つ以上のストライプのある開口部を伴う成長制限マスクと、(1-100)面配向における成長制限マスクを使用して基板上に成長させられる1つ以上の島状III族窒化物系半導体層とを開示し、成長マスクのストライプのある開口部は、III族窒化物系半導体層の0001方向に平行な方向に延びている。
【0235】
ミスカット配向を伴うGaNバルク結晶から基板をスライスすることは、島状III族窒化物系層間の厚さの均一性を維持する。
【0236】
一実施形態では、成長制限マスクは、スパッタまたは電子ビーム蒸着もしくはPECVD(プラズマ強化化学蒸着)によって堆積させられるが、それらの方法に限定されない。
【0237】
さらに、複数の島状III族窒化物系半導体層が、成長させられると、これらの層は、互いから分離され、すなわち、分離して形成され、それによって、各III族窒化物系半導体層内で発生させられる引っ張り応力または圧縮応力が、III族窒化物系半導体層内に限定され、引っ張り応力または圧縮応力の影響が、他のIII族窒化物系半導体層上に及ばない。しかしながら、島状III族窒化物系半導体層が分離されることは、必要ではない。
【0238】
さらに、成長制限マスクおよびIII族窒化物系半導体層が、化学的に接合されないので、III族窒化物系半導体層内の応力は、成長制限マスクとIII族窒化物系半導体層との間の界面に引き起こされるスライドによって、緩められることができる。
【0239】
さらに、島状III族窒化物系半導体層の各々の間の間隙の存在は、可撓性を有する複数の島状III族窒化物系半導体層の列を有する基板をもたらし、したがって、外部力が加えられると、それは、容易に変形させられ、曲げられ得る、
【0240】
したがって、基板内にわずかな反り、湾曲、または変形が生じる場合でも、それは、小さい外部力によって容易に補正され、亀裂の発生を回避することができる。結果として、真空チャックによる基板の取り扱いが、可能であり、それは、半導体素子の製造プロセスをより容易に実行されるようにする。
【0241】
説明されるように、高品質の半導体結晶から作製される島状III族窒化物系半導体層は、基板の湾曲を抑制することによって成長させられることができ、さらに、III族窒化物系半導体層が、非常に厚いときでも、亀裂等の発生が、抑制されることができ、それによって、大面積の半導体素子が、容易に実現されることができる。
【0242】
最後に、本発明は、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)、ショットキー障壁ダイオード(SBD)、または金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)等の異なる光電子素子構造を製作するために使用され得る。本発明は、マイクロLED、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)、端面発光レーザダイオード(EELD)、および太陽電池等の他の光電子素子を製作するためにも使用され得る。
(結論)
【0243】
ここで、本発明の好ましい実施形態の説明を結論付ける。本発明の1つ以上の実施形態の前述の説明は、例証および説明の目的のために提示されている。包括的であること、または本発明を開示される精密な形態に制限することは、意図されていない。多くの修正および変形例が、上記の教示に照らして可能である。本発明の範囲は、本発明を実施するための形態によってではなく、むしろ、本明細書に添付の請求項によって制限されることが意図されている。
【外国語明細書】