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特開2022-185113使用済燃料貯蔵容器の閉じ込め機能確認方法
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  • 特開-使用済燃料貯蔵容器の閉じ込め機能確認方法 図1
  • 特開-使用済燃料貯蔵容器の閉じ込め機能確認方法 図2
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  • 特開-使用済燃料貯蔵容器の閉じ込め機能確認方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185113
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】使用済燃料貯蔵容器の閉じ込め機能確認方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 5/12 20060101AFI20221206BHJP
   G21C 19/32 20060101ALI20221206BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G21F5/12 E
G21C19/32 110
G21F9/36 511P
G21F9/36 501H
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163618
(22)【出願日】2022-10-12
(62)【分割の表示】P 2019021669の分割
【原出願日】2019-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】浪岡 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】清水 仁
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 直己
(72)【発明者】
【氏名】堂守 生剛
(72)【発明者】
【氏名】江草 聡一朗
(57)【要約】
【課題】使用済燃料貯蔵容器の頂部での作業員への負担が大きい作業を減らし、より安全に閉じ込め機能の確認を行うことができる使用済燃料貯蔵容器の閉じ込め機能確認方法を提供する。
【解決手段】使用済燃料貯蔵容器1は、内部に放射性物質を収納して貯蔵するものであって、その開口部にそれぞれ金属ガスケット12によってシールされた一次蓋3および二次蓋4が取り付けられた構造となっている。この使用済燃料貯蔵容器1の閉じ込め機能を確認するための装置は、一次蓋3および二次蓋4の間に設けられた蓋間空間6のガスの圧力を測定する圧力計7と、圧力計7と蓋間空間6とを連絡させる内側配管11と、内側配管11を覆う断熱材10と、を備え、圧力計7は、使用済燃料貯蔵容器1の設置面20に設置されている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に放射性物質を収納して貯蔵する使用済燃料貯蔵容器の閉じ込め機能を確認するための方法であって、
前記使用済燃料貯蔵容器が、その開口部にそれぞれガスケットによってシールされた二重の蓋が取り付けられた構造としたときに、
その容積を前記二重の蓋の間に設けられた蓋間空間の容積に比べて1%以下と小さくした延長配管、および前記延長配管を覆う断熱材を、前記使用済燃料貯蔵容器の設置面に設置されている圧力計と前記蓋間空間とを連絡させるように予め常設しておき、
前記蓋間空間のガスの圧力を測定する
ことを特徴とする閉じ込め機能確認方法。
【請求項2】
請求項1に記載の閉じ込め機能確認方法において、
前記圧力計を、完全に同一仕様の系統を二系統有しているものとする
ことを特徴とする閉じ込め機能確認方法。
【請求項3】
請求項1に記載の閉じ込め機能確認方法において、
前記断熱材の熱伝導率を、0.04[W/m・K]以下とする
ことを特徴とする閉じ込め機能確認方法。
【請求項4】
請求項1に記載の閉じ込め機能確認方法において、
前記延長配管の前記圧力計に近い部分にバルブを更に設ける
ことを特徴とする閉じ込め機能確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性物質を貯蔵する使用済燃料貯蔵容器の密閉状態を確認するための閉じ込め機能確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キャスクの複数箇所の物理量を簡易かつ安価な構成でモニタリングすることができ、温度と圧力を同時に計測でき、また放射線環境下においても高い耐久性を有するキャスク用モニタリング装置の一例として、特許文献1には、複数のキャスクの周辺に敷設された光ファイバと、圧力測定箇所に配置された圧力センサと、光ファイバを温度測定箇所に密着させる接着テープと、圧力を求めると共に温度を求め、かつ、各測定箇所の分布を特定する測定装置とを備える、ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-48898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原子炉にて燃焼させた使用済燃料は高放射性物質を含んでおり、その崩壊熱が発生するために冷却する必要がある。このため、原子力発電所内のプールで一定期間冷却される。その後、使用済燃料は使用済燃料貯蔵容器に収納され、所定の輸送方法により原子力発電所内外の貯蔵施設に輸送され、そこで貯蔵される。
【0005】
使用済燃料貯蔵容器では、一端が開口部を有する使用済燃料貯蔵容器の胴体に燃料収納バスケットを設け、その上で、使用済燃料を燃料収納バスケットに収納したのち、胴体の開口部に金属ガスケットを用いて一次蓋と二次蓋の二重の蓋を設置することで放射性物質を閉じ込めている。
【0006】
ここで、使用済燃料貯蔵容器は、胴体と一次蓋で囲まれた使用済燃料を収納する内部空間を負圧に、胴体と一次蓋と二次蓋で囲まれた蓋間空間を正圧に管理している。この状態を保持することで、一次蓋に設置した金属ガスケットを通じて一定以上のガスの漏えいが生じたとしても、圧力の高い蓋間空間から圧力の低い使用済燃料を収納した内部空間にガスを流入させることで放射性物質を含むガスが使用済燃料貯蔵容器の外部に漏れることを防止する設計となっている。
【0007】
そのため、蓋間空間から使用済燃料を収納した内部空間にガスが漏れ、使用済燃料を収納した内部空間の負圧を維持できなくなると、反対に放射性物質を含むガスが外部に漏れる可能性が生じる。このため、使用済燃料貯蔵容器の貯蔵期間中は蓋間空間のガスの圧力の変動を定期的に確認することで、蓋間空間からのガスの漏えいを監視して、所定の閉じ込め性能が保たれているか否かを確認している。
【0008】
一般的に、蓋間空間のガスの圧力を測定する圧力計は二次蓋の上部に取り付けられており、使用済燃料貯蔵容器の頂部に設置されている。使用済燃料貯蔵容器は燃料集合体を縦に収納するため、一般的に頂部は地上から6メートル程度の高さにあたる。このため、頂部で作業する場合は高所作業となる。
【0009】
また、圧力計の指示値の変化は蓋間空間のガスの漏えいの程度を示しており、圧力計の指示値は放射性物質を使用済燃料貯蔵容器内に閉じ込めるうえで重要な役割を果たしている。このため、圧力計の精度を保証するために定期的に圧力計を校正している。
【0010】
蓋間空間のガスの圧力を測定する圧力計は二系統有しており、圧力計の校正作業を行う場合は校正する圧力計と蓋間空間の間のバルブを閉じた後、校正する圧力計に圧力試験器を取り付けて、圧力試験器により圧力調整を行うことで校正を実施する。
【0011】
従来は、校正する圧力計が使用済燃料貯蔵容器の頂部に設置されていることから、圧力計の校正作業をするために使用済燃料貯蔵容器の頂部周囲にアクセスすることができるよう昇降設備を設け、使用済燃料貯蔵容器の頂部周囲で作業できるように高所作業用の足場および墜落防止装置を設ける必要があった。
【0012】
これら昇降設備、高所作業用の足場および墜落防止装置を設けるためには、使用済燃料が貯蔵されている放射線管理区域内で設置作業を行う必要があり、作業員は設置作業を行っている時間に被ばくを受ける。これに対し、放射線防護の原則から、作業時間を短くし作業員が受ける被ばく線量を低減することが重要である。
【0013】
また、使用済燃料貯蔵容器の頂部まで昇降することや地上から6メートル程度の高さでの高所作業を行うことで墜落の可能性が懸念される。さらには、放射線防護服を装備することで作業性および視界が悪くなり転落の可能性が高くなることから、作業員への負担が大きい作業である。
【0014】
本発明は上述の課題を解決するものであり、使用済燃料貯蔵容器の頂部での作業員への負担が大きい作業を減らし、より安全に閉じ込め機能の確認を行うことができる使用済燃料貯蔵容器の閉じ込め機能確認方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、内部に放射性物質を収納して貯蔵する使用済燃料貯蔵容器の閉じ込め機能を確認するための方法であって、前記使用済燃料貯蔵容器が、その開口部にそれぞれガスケットによってシールされた二重の蓋が取り付けられた構造としたときに、その容積を前記二重の蓋の間に設けられた蓋間空間の容積に比べて1%以下と小さくした延長配管、および前記延長配管を覆う断熱材を、前記使用済燃料貯蔵容器の設置面に設置されている圧力計と前記蓋間空間とを連絡させるように予め常設しておき、前記蓋間空間のガスの圧力を測定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、使用済燃料貯蔵容器の頂部での作業員への負担が大きい作業を減らし、より安全に閉じ込め機能の確認を行うことができるようになる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の監視対象となる使用済燃料貯蔵容器の斜視図である。
図2】使用済燃料貯蔵容器に備え付けた一次蓋と二次蓋の蓋間空間の構造の一部と、実施形態の使用済燃料貯蔵容器の閉じ込め機能確認装置の概要とそとの接続状態を示した一部断面図である。
図3】実施形態の使用済燃料貯蔵容器の閉じ込め機能確認装置の設置状態の様子と、圧力計の校正作業の概略を示した図である。
図4】実施形態の使用済燃料貯蔵容器の閉じ込め機能確認装置における配管の断面の状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の使用済燃料貯蔵容器の閉じ込め機能確認方法の実施形態について図1乃至図4を用いて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0019】
最初に、本発明における監視対象である使用済燃料貯蔵容器の概要について図1および図2を用いて説明する。図1は、使用済燃料貯蔵容器1の一部破断斜視図である。図2図1の使用済燃料貯蔵容器1のうち、一次蓋3と二次蓋4の間の蓋間空間6の構造の一部や閉じ込め機能確認装置の概要を示した断面図である。
【0020】
図1に示すように、使用済燃料貯蔵容器1は、胴体2、一次蓋3、二次蓋4から構成されており、胴体2の上部開口部に一次蓋3と二次蓋4という二重の蓋が設置される。これにより、使用済燃料貯蔵容器1では、図2に示すように、胴体2と一次蓋3で囲まれた使用済燃料を収納した内部空間5と、胴体2と一次蓋3と二次蓋4で囲まれた蓋間空間6と、が形成される。
【0021】
また、図2に示すように、一次蓋3および二次蓋4は胴体2と金属ガスケット12を介して設置されており、この金属ガスケット12によって一次蓋3と胴体2との間や、二次蓋4と胴体2との間がそれぞれシールされている。
【0022】
原子力発電所で発生した使用済燃料は使用済燃料貯蔵容器1の内部空間5内に収納され、一次蓋3および二次蓋4にて密封される。
【0023】
その上で、使用済燃料貯蔵容器1では、その放射性物質の閉じ込め機能の設計は、使用済燃料を収納している内部空間5を負圧に、蓋間空間6を正圧にしている。例えば、使用済燃料を収納した内部空間5を負圧に、蓋間空間を正圧になるようにガス(例えば、ヘリウム)を充填する。
【0024】
これにより、金属ガスケット12を通じて万が一ガスの漏えいが生じても、圧力の高い蓋間空間6から圧力の低い使用済燃料を収納した内部空間5に流れるため、放射性物質を含むガスが使用済燃料貯蔵容器1の外部に漏れることを防止する設計である。
【0025】
ここで、蓋間空間6から使用済燃料を収納した内部空間5にガスが漏れることで使用済燃料を収納した内部空間5の圧力が上昇し、負圧を維持できなくなると、使用済燃料を収納した内部空間5から蓋間空間6を通じて使用済燃料貯蔵容器1の外部にガスが流れ、放射性物質を含むガスが漏えいする可能性が生じる。そのため、蓋間空間6のガスの圧力の低下を確認し、蓋間空間6のガスの漏えいの程度を監視する必要がある。
【0026】
このために、使用済燃料貯蔵容器1では、二次蓋4の穴を介して蓋間空間6に接続した圧力計7により、閉じ込められた蓋間空間6のガスの圧力を測定する。
【0027】
蓋間空間6からのガスの漏えいは、蓋間空間6のガスの圧力を測定する圧力計7の指示値の傾向より分かることから、圧力計7の指示値の記録を集積室に送信し、放射線管理区域外から状態を監視する。
【0028】
更に、圧力計7の指示値は、蓋間空間6からのガスの漏えいの程度を判定する一指標であることから、その指示値の精度は重要である。このため、定期的に圧力計7を校正する必要がある。
【0029】
ここで、圧力計の校正作業は、放射線管理区域外から遠隔的に実施することができないため、使用済燃料貯蔵容器1を貯蔵している放射線管理区域に入域して行う必要がある。
【0030】
この際、使用済燃料貯蔵容器1に収納している使用済燃料から放射線が発生していることから、放射線管理区域内に入域することで作業員が被ばくする。
【0031】
更に、従来では、蓋間空間6のガスの圧力を測定する圧力計は使用済燃料貯蔵容器1の頂部に設置されており、一般的に使用済燃料貯蔵容器1を縦置きに貯蔵することから、頂部は地上から6メートル程度の高さになり、圧力計の校正作業を行うために使用済燃料貯蔵容器1の頂部周囲までの昇降設備、高所作業用の足場および落下防止装置を設ける必要があった。
【0032】
このように高所作業の安全を確保したうえで、使用済燃料貯蔵容器1の頂部まで移動し、圧力計の校正作業を行う必要があった。
【0033】
更に、他の使用済燃料貯蔵容器1の運用の妨げになることから、圧力計の校正作業が終了次第、昇降設備、高所作業用の足場および落下防止装置の撤去を行う。
【0034】
上述のとおり、圧力計の校正作業には放射線管理区域内で長時間の作業をすることから作業員の被ばく線量が多くなり、また、放射線防護服を装備することで作業性および視界が悪く転落の可能性が高くなる。これらのことから、作業員への負担が大きい作業である。
【0035】
放射線防護の原則から、作業時間を短くし作業員が受ける被ばく線量を低減することが重要である。そのため、圧力計7の校正作業にかかる時間を低減し、作業員への被ばく線量を小さくすることが可能な本発明の使用済燃料貯蔵容器の閉じ込め機能確認装置について図2乃至図4を用いて以下説明する。図3は、使用済燃料貯蔵容器設置面近傍で圧力計7の校正作業を行う場合の状態を示した図である。図4は、配管の断面の状態を示した断面図である。
【0036】
図2乃至図4に示すように、本発明の閉じ込め機能確認装置は、一次蓋3および二次蓋4の間に設けられた蓋間空間6のガスの圧力を測定する圧力計7と、圧力計7と蓋間空間6とを連絡させる内側配管11と、内側配管11を覆う断熱材10と、を備えている。
【0037】
これにより、蓋間空間6のガスの圧力を測定する圧力計7を内側配管11および断熱材10を備える配管8によって接続することで、図2および図3に示すように、圧力計7を使用済燃料貯蔵容器1の設置面20に設置し、使用済燃料貯蔵容器1の設置面20の近傍で圧力試験器9を取り付けることで校正作業を行えるようにしている。
【0038】
また、図3に示すように、蓋間空間6のガスの圧力を測定する圧力計7は、完全に同一仕様の系統を二系統有している。
【0039】
ここで、圧力計7と蓋間空間6を繋ぐ配管8を設置面20まで延長すると、配管8が外気と接する面積が大きくなり、配管8中のガスの温度が変化し、蓋間空間6のガスの圧力を示している圧力計7の指示値が敏感に変動することが考えられる。特に、使用済燃料貯蔵容器1は約6mと長いため、その影響が大きいと考えられる。圧力計7の指示値が外気の温度影響により敏感変動することによって、圧力計7の指示値のみで蓋間空間6に充填してあるガスが漏えいしたかどうかの判断が困難になることが考えられる。
【0040】
そこで、上述のように、配管8は外気の温度影響を受けないような断熱構造とすることが望まれる。具体的には、図4に示すように、二重配管の内側配管11と外側の配管8との間に熱抵抗が大きい断熱材10を敷きつめることで、外気の影響を受けずに蓋間空間6のガスの圧力を示させる。
【0041】
二重配管の内側配管11と外側の配管8との間に敷き詰める断熱材10の熱伝導率は例えば0.04[W/m・K]以下とすることが望ましい。この断熱材10は、例えばヘリウム用の高分子材などを用いることができる。
【0042】
なお、内側配管11および断熱材10からなる配管8としては、特殊ナイロンなどで覆われたチューブなどを用いても、内側配管11および配管8に金属配管、断熱材10に上述のようなヘリウム用高分子材などを用いたりするなど、上述の外気の影響を受けない仕様であればよく、その仕様は特に限定されない。
【0043】
また、蓋間空間6と圧力計7を繋いだ内側配管11の容積を蓋間空間6の容積に比べて小さくすることが望ましい。例えば、蓋間空間6に比して1%以下にすることが望ましい。これにより、蓋間空間6と圧力計7を繋いだ配管8を延長したことによる蓋間空間6の容積への影響を極力小さくし、蓋間空間6からのガスの漏えい量を計算するときの誤差を小さくすることが望ましい。
【0044】
このような閉じ込め機能確認装置により、圧力計7の校正作業を行う場合は、2系統のうちの一方の校正対象となる圧力計7と蓋間空間6の間の内側配管11のうち圧力計7に近い部分に設けられているバルブ13を閉じた後、校正する圧力計7に圧力試験器9を取り付けて、圧力試験器9により圧力調整を行うことで校正を実施する。
【0045】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0046】
上述した本実施形態における使用済燃料貯蔵容器1の閉じ込め機能を確認するための装置は、一次蓋3および二次蓋4の間に設けられた蓋間空間6のガスの圧力を測定する圧力計7と、圧力計7と蓋間空間6とを連絡させる内側配管11と、内側配管11を覆う断熱材10と、を備え、圧力計7は、使用済燃料貯蔵容器1の設置面20に設置されている。
【0047】
本発明によれば、蓋間空間6のガスの圧力を示す圧力計7の校正作業を使用済燃料貯蔵容器1の設置面20近傍で行うことができるため、使用済燃料貯蔵容器1の頂部までの昇降設備、高所作業用の足場および落下防止装置を設置する必要がなくなる。このため、校正作業の前後準備に要する作業時間が短くなり、従来と同等の計測精度が確保されたうえで作業員が校正作業の開始から完了までに受ける被ばく線量を従来に比べて大きく低減することができる。また、高所作業がなくなることから、高所作業での転落災害の危険性をなくすことができる。
【0048】
また、内側配管11の容積を、蓋間空間6の容積に比べて小さくするため、内側配管11を接続したことによる蓋間空間6の容積への影響を小さくすることができる。また、蓋間空間6からのガスの漏えい量を計算するときの誤差を小さくすることができる。更に、蓋間空間6の封入作業に要する時間が長くなることを最小限にとどめることができる。
【0049】
更に、断熱材10の熱伝導率を0.04[W/m・K]以下とすることで、内側配管11による圧力値の測定結果の変動をより確実に抑制することができる。
【0050】
また、内側配管11は、圧力計7に近い部分にバルブ13を更に有することで、校正作業時におけるバルブ操作をより容易に行うことができるとともに、高所作業をより減らすことができる。
【0051】
<その他>
なお、本発明は上記の実施形態に限られず、種々の変形、応用が可能なものである。上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。
【符号の説明】
【0052】
1…使用済燃料貯蔵容器
2…胴体
3…一次蓋
4…二次蓋
5…使用済燃料を収納した内部空間
6…蓋間空間
7…圧力計
8…配管
9…圧力試験器
10…断熱材
11…二重配管の内側配管(延長配管)
12…金属ガスケット
13…バルブ
20…設置面
図1
図2
図3
図4