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特開2022-185116量子測定デバイスの校正方法、装置、電子デバイス及び媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185116
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】量子測定デバイスの校正方法、装置、電子デバイス及び媒体
(51)【国際特許分類】
   G06N 10/70 20220101AFI20221206BHJP
【FI】
G06N10/70
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2022163754
(22)【出願日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】202111304804.7
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】514322098
【氏名又は名称】ベイジン バイドゥ ネットコム サイエンス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing Baidu Netcom Science Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】2/F Baidu Campus, No.10, Shangdi 10th Street, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】クン・ワーン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】測定ノイズの影響を低減する量子測定デバイスの校正方法、装置、電子デバイス、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラム製品を提供する。
【解決手段】方法は、量子コンピュータのクロストークノイズのオーダを決定し、クロストークノイズのオーダに基づいて校正回路集合を決定し、校正回路集合中のそれぞれの校正回路に基づいて標準的な基底量子状態をそれぞれ作成し、それに基づき、標準的な基底量子状態毎に、測定デバイスを所定の回数繰り返して作動させて標準的な基底量子状態を測定し、得られた標準的な基底量子状態のそれぞれに対応する所定の回数の測定結果を統計して校正データセットを取得し、量子コンピュータのハードウェアトポロジー及び校正データセットに基づいてグローバルジェネレータを決定し、グローバルジェネレータに基づいて校正行列を構築して、校正行列に基づいて量子コンピュータの測定結果を校正する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子コンピュータのクロストークノイズのオーダを決定することと、
前記クロストークノイズのオーダに基づいて、校正回路集合を決定することと、
前記校正回路集合中のそれぞれの校正回路に基づいて標準的な基底量子状態をそれぞれ作成し、これにより、標準的な基底量子状態ごとに、前記測定デバイスを所定の回数繰り返して作動させて前記標準的な基底量子状態を測定することと、
得られた前記標準的な基底量子状態のそれぞれに対応する前記所定の回数の測定結果を統計して、校正データセットを得ることと、
前記量子コンピュータのハードウェアトポロジー及び前記校正データセットに基づいて、グローバルジェネレータを決定することであって、前記グローバルジェネレータは前記クロストークノイズのオーダに基づいて決定された前記量子コンピュータのクロストークノイズを表すことと、
前記グローバルジェネレータに基づいて校正行列を構築して、前記校正行列に基づいて前記量子コンピュータの測定結果を校正することとを含む、量子測定デバイスの校正方法。
【請求項2】
前記量子コンピュータのハードウェアトポロジー及び前記校正データセットに基づいて、グローバルジェネレータを決定することは、
初期化してグローバルジェネレータを取得することと、
前記ハードウェアトポロジー及び前記クロストークノイズのオーダに従って、クロストークノイズが存在する量子ビット集合を決定することと、
前記校正データセットに基づいて量子ビット集合のそれぞれに対応するローカルジェネレータを決定することであって、前記ローカルジェネレータは決定された前記量子ビット集合のクロストークノイズを表すことと、
全ての前記ローカルジェネレータに基づいて前記グローバルジェネレータを反復して更新することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
下記式に基づいて前記量子ビット集合のそれぞれに対応するローカルジェネレータを決定する、請求項2に記載の方法。
【数1】
(ここで、i=0,1,…,2-1であり、kは対応する量子ビット集合の量子ビットの数であり、kは正の整数であり、nは前記量子コンピュータの量子ビット数である。)
【請求項4】
全ての前記ローカルジェネレータに基づいて前記グローバルジェネレータを反復して更新することは、
前記量子ビット集合のそれぞれに対応する校正行列を決定することと、
前記校正行列に基づいて前記量子ビット集合のそれぞれに対応するクロストークノイズ重み係数の集合を決定することと、
前記量子ビット集合のそれぞれに対応するローカルジェネレータ及び対応するクロストークノイズ重み係数の集合に基づいて、前記グローバルジェネレータを反復して更新することとを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
下記式に基づいて前記グローバルジェネレータGを反復して更新する、請求項4に記載の方法。
【数2】
(ここで、kは前記量子ビット集合の量子ビットの数であり、kは正の整数であり、λ及びgはそれぞれ前記量子ビット集合に対応するi番目のクロストークノイズ重み係数及びローカルジェネレータである。)
【請求項6】
下記式に基づいて校正行列Aを構築する、請求項1に記載の方法。
【数3】
(ここで、Gは前記グローバルジェネレータである。)
【請求項7】
下記式に基づいて前記kオーダのクロストークノイズ重み係数を決定する、請求項4に記載の方法。
【数4】
(ここで、antidiag()は行列の全ての逆対角要素を取得することを表す)。
【請求項8】
量子コンピュータのクロストークノイズのオーダを決定するように構成される第1決定ユニットと、
前記クロストークノイズのオーダに基づいて、校正回路集合を決定するように構成される第2決定ユニットと、
前記校正回路集合中のそれぞれの校正回路に基づいて標準的な基底量子状態をそれぞれ作成し、これにより、標準的な基底量子状態ごとに、前記測定デバイスを所定の回数繰り返して作動させて前記標準的な基底量子状態を測定するように構成される測定ユニットと、
得られた前記標準的な基底量子状態のそれぞれに対応する前記所定の回数の測定結果を統計して、校正データセットを得るように構成される統計ユニットと、
前記量子コンピュータのハードウェアトポロジー及び前記校正データセットに基づいて、グローバルジェネレータを決定するように構成される第3決定ユニットであって、前記グローバルジェネレータは前記クロストークノイズのオーダに基づいて決定された前記量子コンピュータのクロストークノイズを表す第3決定ユニットと、
前記グローバルジェネレータに基づいて校正行列を構築して、前記校正行列に基づいて前記量子コンピュータの測定結果を校正するように構成される校正ユニットとを含む、量子測定デバイスの校正装置。
【請求項9】
前記第3決定ユニットは、
初期化してグローバルジェネレータを取得するためのユニットと、
前記ハードウェアトポロジー及び前記クロストークノイズのオーダに従ってクロストークノイズが存在する量子ビット集合を決定するためのユニットと、
前記校正データセットに基づいて前記量子ビット集合のそれぞれに対応するローカルジェネレータを決定するためのユニットであって、前記ローカルジェネレータは前記クロストークノイズのオーダに基づいて決定された前記量子ビット集合のクロストークノイズを表すユニットと、
全ての前記ローカルジェネレータに基づいて前記グローバルジェネレータを反復して更新するためのユニットとを含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
下記式に基づいて前記量子ビット集合のそれぞれに対応するローカルジェネレータを決定する、請求項9に記載の装置。
【数5】
(ここで、i=0,1,…,2-1であり、kは対応する量子ビット集合の量子ビットの数であり、kは正の整数であり、nは前記量子コンピュータの量子ビット数である。)
【請求項11】
全ての前記ローカルジェネレータに基づいて前記グローバルジェネレータを反復して更新するユニットは、
前記量子ビット集合のそれぞれに対応する校正行列を決定するためのユニットと、
前記校正行列に基づいて前記量子ビット集合のそれぞれに対応するクロストークノイズ重み係数の集合を決定するためのユニットと、
前記量子ビット集合のそれぞれに対応するローカルジェネレータ及び対応するクロストークノイズ重み係数の集合に基づいて前記グローバルジェネレータを反復して更新するためのユニットとを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
下記式に基づいて前記グローバルジェネレータGを反復して更新する、請求項11に記載の装置。
【数6】
(ここで、kは前記量子ビット集合の量子ビットの数であり、kは正の整数であり、λ及びgはそれぞれ前記量子ビット集合に対応するi番目のクロストークノイズ重み係数及びローカルジェネレータである。)
【請求項13】
下記式に基づいて校正行列Aを構築する、請求項9に記載の装置。
【数7】
(ここで、Gは前記グローバルジェネレータである。)
【請求項14】
下記式に基づいて前記kオーダのクロストークノイズ重み係数を決定する、請求項11に記載の装置。
【数8】
(ここで、antidiag()は行列の全ての逆対角要素を取得することを表す。)
【請求項15】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に接続されたメモリとを含み、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶されており、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されて、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法を前記少なくとも1つのプロセッサに実行させる、電子デバイス。
【請求項16】
コンピュータ命令が記憶されている非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記コンピュータ命令は、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法を前記コンピュータに実行させる、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項17】
プロセッサによって実行されると、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法を実現するコンピュータプログラムを含む、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンピュータの分野に関し、特に量子コンピュータの技術分野に関し、具体的には、量子測定デバイスの校正方法、装置、電子デバイス、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
量子コンピュータ技術はここ数年で飛躍的に発展しているが、予測可能な未来の量子コンピュータでは、ノイズの問題は避けがたい。量子ビットの中の熱の散逸や更に基礎の量子物理過程で発生したランダムな波動が、量子ビットの状態を反転又はランダム化させたり、測定デバイスの計算結果の読み取りに偏差が現れたりすることによって、全て計算過程の失敗を招く可能性がある。
【0003】
具体的には、計器、方法、条件など、さまざまな要素の限界により、量子測定デバイスは正確に動作できず、測定ノイズが発生し、実際の測定値に偏差が生じる。したがって、一般的に、測定結果の無偏推定を実現するためには、測定ノイズの影響を低減する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、量子測定デバイスの校正方法、装置、電子デバイス、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、及びコンピュータプログラム製品を提供する。
本開示の一態様によれば、
量子コンピュータのクロストークノイズのオーダを決定することと、
前記クロストークノイズのオーダに基づいて、校正回路集合を決定することと、
前記校正回路集合中のそれぞれの校正回路に基づいて標準的な基底量子状態をそれぞれ作成し、これにより、標準的な基底量子状態ごとに、前記測定デバイスを所定の回数繰り返して作動させて前記標準的な基底量子状態を測定することと、
得られた前記標準的な基底量子状態のそれぞれに対応する前記所定の回数の測定結果を統計して、校正データセットを得ることと、
前記量子コンピュータのハードウェアトポロジー及び前記校正データセットに基づいて、グローバルジェネレータを決定することであって、前記グローバルジェネレータは前記クロストークノイズのオーダに基づいて決定された前記量子コンピュータのクロストークノイズを表すことと、
前記グローバルジェネレータに基づいて校正行列を構築して、前記校正行列に基づいて前記量子コンピュータの測定結果を校正することとを含む、量子測定デバイスの校正方法を提供する。
【0005】
本開示の別の態様によれば、
量子コンピュータのクロストークノイズのオーダを決定するように構成される第1決定ユニットと、
前記クロストークノイズのオーダに基づいて、校正回路集合を決定するように構成される第2決定ユニットと、
前記校正回路集合中のそれぞれの校正回路に基づいて標準的な基底量子状態をそれぞれ作成し、これにより、標準的な基底量子状態ごとに、前記測定デバイスを所定の回数繰り返して作動させて前記標準的な基底量子状態を測定するように構成される測定ユニットと、
得られた前記標準的な基底量子状態のそれぞれに対応する前記所定の回数の測定結果を統計して、校正データセットを得るように構成される統計ユニットと、
前記量子コンピュータのハードウェアトポロジー及び前記校正データセットに基づいて、グローバルジェネレータを決定するように構成される第3決定ユニットであって、前記グローバルジェネレータは前記クロストークノイズのオーダに基づいて決定された前記量子コンピュータのクロストークノイズを表す第3決定ユニットと、
前記グローバルジェネレータに基づいて校正行列を構築して、前記校正行列に基づいて前記量子コンピュータの測定結果を校正するように構成される校正ユニットとを含む、量子測定デバイスの校正装置を提供する。
【0006】
本開示の別の態様によれば、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサに通信可能に接続されたメモリとを含み、メモリには少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶されており、該命令は少なくとも1つのプロセッサによって実行されて、本開示の前記方法を少なくとも1つのプロセッサに実行させる、電子デバイスを提供する。
【0007】
本開示の別の態様によれば、本開示の前記方法をコンピュータに実行させるコンピュータ命令が記憶されている非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
本開示の別の態様によれば、プロセッサによって実行されると本開示の前記方法を実現するコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を提供する。
【0008】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、クロストークノイズのオーダをカスタマイズできるだけではなく、このカスタマイズクロストークノイズのオーダを記述する校正行列をハードウェア適応的に構築することができ、これにより、クロストークノイズをより正確に記述する能力を付与し、「測定校正精度」と「校正リソース消費量」をトレードオフして、ハードウェアの特徴に応じて適切なパラメータの機能を選択し、計算リソースを顕著に節約する。
【0009】
なお、本部分で説明される内容は、本開示の実施例のキーとなる又は重要な特徴を認識することを意図しておらず、本開示の範囲を限定することも意図していない。本開示の他の特徴は、以下の明細書によって容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面は実施例を例示的に示し、明細書の一部を構成し、明細書の記載とともに実施例の例示的な実施形態を説明することに用いられる。示される実施例は例示の目的にのみ使用され、特許請求の範囲を限定するものではない。すべての図面において、同じ図面の符号は、類似するが、必ずしも同じではない要素を示す。
図1】本開示の実施例に係る本明細書に記載の各種方法が実施され得る例示的なシステムの概略図を示す。
図2】本開示の実施例に係る量子測定デバイスの測定ノイズの処理のフローチャートを示す。
図3】本開示の実施例に係る量子測定デバイスの校正方法のフローチャートを示す。
図4】本開示の実施例に係る3つの量子ビットを含むハードウェアトポロジーの概略図を示す。
図5】本開示の実施例に係る校正回路の数と最大クロストークオーダとの関係の概略図を示す。
図6】本開示の実施例に係る量子コンピュータのハードウェアトポロジー及び校正データセットグローバルジェネレータに基づいて決定されるフローチャートを示す。
図7】本開示の実施例に係るグローバルジェネレータの反復更新のフローチャートを示す。
図8】本開示の実施例に係る量子測定デバイスの校正装置の構造ブロック図を示す。
図9】本開示の実施例を実現できる例示的な電子デバイスの構造ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本開示の例示的な実施例を説明するが、以下の説明には、理解を容易にするために本開示の実施例の様々な詳細が含まれるが、このような詳細は単に例示的なものとみなされるべきである。したがって、当業者にとって自明なように、本開示の範囲から逸脱することなく、ここで記載された実施例に様々な変更及び修正が可能である。同様に、以下の説明では、周知の機能及び構造については、明確化及び簡明化のために説明を省略する。
【0012】
本開示では、特に明記しない限り、「第1」、「第2」などの用語を用いて様々な要素を説明する場合、これらの要素の位置関係、タイミング関係又は重要性関係を限定することを意図するものではなく、このような用語は、1つの素子と別の素子とを区別するためのものに過ぎない。いくつかの例では、第1要素と第2要素は、該要素の同じインスタンスを指すことができ、いくつかの場合では、文脈の説明に基づき、それらは、異なるインスタンスを指すこともできる。
【0013】
本開示では、様々な前記例の説明において使用される用語は、特定の例を説明するためのものに過ぎず、限定することを意図するものではない。文脈において特に明記しない限り、要素の数が特に限定されていない場合、該要素は、1つであってもよいし、複数であってもよい。また、本開示で使用される「及び/又は」という用語は、示される項目のいずれか1つ及び全ての可能な組み合わせ形態をカバーする。
【0014】
以下、図面を参照しながら本開示の実施例を説明する。
今まで、使用されている様々なタイプのコンピュータは古典物理学を情報処理の理論基礎とするものであり、伝統コンピュータ又は古典コンピュータと呼ばれる。古典情報システムは、物理的に最も実現されやすいバイナリデータビットでデータ又はプログラムを記憶し、バイナリデータビットはそれぞれ0又は1で表され、1ビットと呼ばれ、最小の情報ユニットとされる。古典コンピュータそのものには避けられない欠陥が存在する。第一には、計算過程のエネルギー消費量について最小制限がある。熱膨張の場合の誤動作を避けるために論理要素又は記憶ユニットに必要な最低エネルギーがkTの数倍以上でなければならない。第二は、情報エントロピーや発熱によるエネルギー消費である。第三には、コンピュータチップの配線密度が高い場合、ハイゼンベルグの不確定性関係に従って、電子位置の不確定量が極めて小さいときに、運動量の不確定量が増大する。電子が縛られなくなり、量子干渉効果が発生し、深刻な場合、このような効果はチップの性能を損なう。
【0015】
量子コンピュータ(quantum computer)は量子力学的性質、法則に従って高速の数学と論理演算、量子情報の記憶及び処理を行う物理デバイスである。あるデバイスの処理や計算の対象が量子情報、運行対象が量子アルゴリズムである場合、このデバイスは量子コンピュータとなる。量子コンピュータは一意な量子ダイナミクス法則(特に量子干渉)に従って情報処理を行う新しいモードである。計算問題の並列処理については、量子コンピュータは古典コンピュータよりも速度に関して絶対的な優位性がある。量子コンピュータは重畳成分毎に行われる変換が古典計算に相当し、これらの古典計算が同時に完了し、振幅が所定の確率で重畳し、量子コンピュータの出力結果が提供され、このような計算は量子並列計算という。量子並列処理は量子コンピュータの効率を大幅に向上させ、古典コンピュータにより担当できない作業を可能とし、例えば、極めて大きい自然数の因数分解である。量子コヒーレンスは本格的に全ての量子超高速アルゴリズムに利用される。したがって、古典状態の量子並列計算の代わりに量子状態を使用することにより、古典コンピュータが比べ物にならない演算速度や情報処理機能が達成されながら、大量の演算リソースが節約される。
【0016】
量子コンピュータ技術の高速発展に伴い、高い計算能力や速い運行速度により、量子コンピュータの適用範囲が広くなりつつある。例えば、化学シミュレーションとは、実際の化学システムのハミルトニアンを物理的に操作可能なハミルトニアンにマッピングした後、パラメータ及び進化時間を変調することで、実際の化学システムを反映し得る固有状態を検索するプロセスである。古典コンピュータにて1つのN電子化学システムのシミュレーションを行う場合、2次元シュレディンガー方程式の求解が関与し、計算量はシステムの電子数の増加に伴い指数関数的に増加する。したがって、化学シミュレーションの課題においては古典コンピュータの作用が極めて限られている。このボトルネックを突破するために、量子コンピュータに備える高い計算能力が必要とされる。変分量子固有値ソルバーアルゴリズム(VQE:Variational Quantum Eigensolver)は量子ハードウェアにて化学シミュレーションを行う高効量子アルゴリズムであり、量子コンピュータにおいて最近最も期待できる用途の1つであり、多くの新しい化学研究の分野を開発する。ただし、現在、量子コンピュータの測定ノイズ率がVQEの能力を明らかに制限しており、したがって、量子測定ノイズの課題を最初に解決しなければならない。
【0017】
変分量子固有値ソルバーアルゴリズムVQEの重要な計算過程は期待値Tr[Oρ]の推定であり、ここで、ρは量子コンピュータによって生成されるn量子ビットの量子状態(n-qubit quantum state)であり、n量子ビットの観察可能な量Oは実際の化学システムのハミルトニアンが物理的に操作可能なハミルトニアンにマッピングされたものである。上記の過程は、量子計算から古典情報を抽出するための最も一般的な手段であり、量子情報から古典情報を読み取る重要なステップである。一般には、Oが1つのコンピューティングベースでの対角行列であると仮定してもよく、したがって、理論的には、式(1)によって期待値Tr[Oρ]を算出してもよい。
【0018】
【数1】
【0019】
ここで、O(i)はOの第i行第i列の要素(行列要素のインデックスが0から番号付けられるとする)である。上記の量子計算過程は図1に示すようにしてもよく、ここで、量子コンピュータ101がn量子ビットの量子状態ρを生成し、この該量子状態ρを測定デバイス102で測定し、測定結果を取得する過程をM回実行し、出力結果iの回数Mを統計し、
【0020】
【数2】
【0021】
を推定し、このように、古典コンピュータ103によってTr[Oρ]を推定できる。一例として、測定デバイス102はn(正の整数)個の単一量子ビット測定デバイス1021によってn量子ビットの量子状態ρを測定して、測定結果を取得してもよい。大数の法則によって、Mが十分に大きいときに上記の推定過程が正確であることが確保される。
【0022】
しかし、物理的に実現する際には、機器、方法や条件などの様々な要素による制限のため、測定デバイスが正確に作動できず、測定ノイズが生じてしまい、結果として、実際に推定される値M/M及びρ(i)に偏差があり、式(1)を利用してTr[Oρ]を計算するときのエラーにつながる。その主な問題としては、測定誤差の存在により、出力結果iの統計回数Mが正確ではない。実験的には、量子測定ノイズは主に2つのソースからのものである。1つは、共振器そのものの熱揺らぎ効果や測定過程によるノイズであって、各状態の差別化可能性に影響を与えるものである。もう1つは、量子ビットが励起状態から基底状態に減衰することにより、結果が不正確になることである。したがって、測定ノイズによる影響を如何に低減させて、Tr[Oρ]の不偏推定を達成させるかは解決しなければならない課題となっている。
【0023】
測定デバイスを校正してから、測定デバイスの出力結果を修正するのが一般的であり、その作動の流れは図2に示される。このような測定ノイズの基本的な処理の流れにおいて、実験者は、まず、多くの校正回路(ステップ210)を作成し、次に、これらの校正回路を実際の測定デバイスにおいて運行させて(ステップ220)、測定デバイスの基本情報を検知する。具体的には、図1に示すようなシステムにおいて、量子コンピュータ101によって対応する校正回路を構築して、対応する標準的な基底量子状態を取得する。標準的な基底量子状態を測定デバイス102で複数回測定して、校正データを生成する(ステップ230)。
【0024】
生成した校正データを利用して、1つの校正行列Aを構築してもよく(ステップ240)、該行列はノイズ付き測定デバイスのノイズ情報を記述している。後で特定の量子計算タスクを実行する必要がある場合、まず、計算タスクに対応する量子回路を構築し(ステップS10)、実際のデバイスにおいてタスクに対応するこの量子回路を運行し(ステップS20)、量子回路のノイズ付き出力データ{Mを取得してもよい(ステップS30)。その後、得られた校正行列Aを利用してこれらのノイズ付きデータを後処理する(ステップS40)。
【0025】
【数3】
【0026】
ここで、A-1は校正行列の逆を表す。校正済みの確率分布pで{ρ(i)}を近似し、期待値Tr[Oρ]を計算する(ステップS50)ことにより、期待値の計算精度を向上させる。
【0027】
図2に示す測定ノイズの基本的な処理流れから明らかなように、校正データから校正行列を構築する過程は極めて重要であり、Aの品質は接校正済みの確率分布pに直接影響し、期待値Tr[Oρ]の精度を決定する。
【0028】
現在、校正データから校正行列を生成する過程は、校正行列構造に対する仮定によってテンソル積モデルと非構造化モデルとの2つの種類に分けられる。テンソル積モデルでは、実験者は、図1に示す計算タスクにおいて、n個の量子ビット測定デバイスが互いに影響しないと仮定するので、校正データからこれらの量子ビット測定デバイスの校正行列{A(k=1,…,n、Aは2×2列のランダム行列)を個別に計算し、次に、このn個の行列についてテンソル積(tensor product、数学的には
【0029】
【数4】
【0030】
で表される)を求めると、2×2次元のシステム校正行列が得られる。
【0031】
【数5】
【0032】
以上から、テンソル積モデルでは、校正行列Aについてテンソルを想定すると、校正過程が大幅に簡素化される。ただし、物理実験において、大量の実験データから、量子ビットと共振器が結合されることにより、量子ビットと環境との相互作用が強化され、量子ビットのデコヒーレンス及び位相損失が深刻化し、量子ビット測定結果にクロストーク(crosstalk)が生じることが示唆される。ただし、テンソル積モデルではn個の量子ビット測定デバイスが互いに影響しないと仮定するので、校正行列を正確に記述することができない。
【0033】
量子ビットの間のクロストークの問題を解決するために、非構造化モデルでは、校正行列Aについていずれの構造的な仮定もせずに、校正データから量子測定デバイスの性質を直接導き出す。その具体的な操作流れは、以下のことを含む。校正回路によって標準的な基底量子状態|y>を作成し、ここで、y∈{0,1}である。|y>を入力として、ノイズ付き測定デバイスを合計Nshots回繰り返して運行させ、出力結果がバイナリ文字列xである回数Nx|yを統計し、ここでx∈{0,1}である。定義から以下のことが分かる。
【0034】
【数6】
【0035】
データセット{Nx|yx,yを利用して校正行列の第y列要素を算出する。Axyは2×2行列の第x行第y列要素を表し、その値は以下のとおりである。
【0036】
【数7】
【0037】
全てのx∈{0,1}を網羅すると、校正行列Aの第y列を算出できる。全てのy∈{0,1}を網羅すると、Aの全ての列の要素を算出できる。式(4)は以上のように構築された校正行列Aの第y列が列のランダム性を満たすことを確保する。なお、式(5)は最尤推定(Maximum Likelihood Estimate)方法によって与えられる最適解である。もちろん、繰り返す総回数Nshotsが多いほど、ノイズ行列Aの記述が正確になる。ただし、製造すべき校正回路が多く、計算コストが大きくなる。
【0038】
本開示では、上記の非構造化モデルに対応する流れをCとし、この流れCの入力は量子ビットリスク(即ち1組の量子ビット)であり、これらの量子ビットに対応する校正行列Aが出力される。
【0039】
以上から、非構造化モデルは、テンソル積モデルに存在する問題を効果的に解決できるが、全ての標準的な基底量子状態|y>を入力(y∈{0,1})として網羅し、しかも、量子状態ごとにNshots回作成し出力により得られた統計結果を統計して、システム校正行列Aをキャリブレーションする必要がある。その結果、非構造化モデルでは、作成すべき校正回路の合計数は以下のとおりである。
【0040】
【数8】
【0041】
非構造化モデルでは、作成すべき校正回路の数が量子ビット数nの増大に伴い指数関数的に増加し、計算リソースコストが膨大になる。一方、テンソル積モデルでは、2つの標準的な基底量子状態|0…0>、|1…>だけを入力として作成し、量子状態ごとにNshots回作成し出力により得られた統計結果を統計すれば、合計n個の量子ビット校正行列{Aをキャリブレーションすることができる。したがって、テンソル積モデルでは、作成すべき校正回路の合計数は以下のとおりである。
【0042】
【数9】
【0043】
非構造化モデルに比べて、テンソル積モデルは計算リソースを顕著に節約する。
テンソル積モデルと非構造化モデルを比較すると、量子測定デバイスの校正の場合に存在するトレードオフ関係が明らかになり、すなわち、量子測定クロストークを高精度で記述するには、より多くの校正回路を作成し、より多くの計算リソースを消費する必要がある。一方、テンソル積モデル及び非構造化モデルは、このトレードオフ関係の2つの極端を表しており、テンソル積モデルでは、測定クロストークが全く考慮されておらず、作成すべき校正回路の数が最も少なく、非構造化モデルでは、全ての可能な測定クロストークが考慮されており、作成すべき校正回路の数が最も多い。
【0044】
そこで、両方の間にある、既存の計算リソースの数に応じて記述可能な測定クロストーク精度を動的に決定することが急務となっている。
したがって、本開示の実施例によれば、量子測定デバイスの校正方法が提供されている。図3に示すように、この量子測定デバイスの校正方法300は、量子コンピュータのクロストークノイズのオーダを決定すること(ステップ310)と、クロストークノイズのオーダに基づいて、校正回路集合を決定すること(ステップ320)と、校正回路集合中のそれぞれの校正回路に基づいて標準的な基底量子状態をそれぞれ作成し、これにより、標準的な基底量子状態ごとに、測定デバイスを所定の回数繰り返して作動させて標準的な基底量子状態を測定すること(ステップ330)と、得られた標準的な基底量子状態のそれぞれに対応する所定の回数の測定結果を統計して、校正データセットを得ること(ステップ340)と、量子コンピュータのハードウェアトポロジー及び校正データセットに基づいて、グローバルジェネレータを決定することであって、グローバルジェネレータはクロストークノイズのオーダに基づいて決定された量子コンピュータのクロストークノイズを表すこと(ステップ350)と、グローバルジェネレータに基づいて校正行列を構築し、校正行列に基づいて量子コンピュータの測定結果を校正すること(ステップ360)とを含む。
【0045】
本開示の実施例によれば、クロストークノイズのオーダをカスタマイズできるだけではなく、該カスタマイズクロストークノイズのオーダを記述する校正行列をハードウェア適応的に構築することができ、これにより、クロストークノイズをより正確に記述する能力を付与し、「測定校正精度」と「校正リソース消費量」をトレードオフして、ハードウェアの特徴に応じて適切なパラメータの機能を選択し、計算リソースを顕著に節約する。
【0046】
本開示の実施例では、まず、量子コンピュータのクロストークノイズのオーダを決定する。具体的には、所与のk量子ビットについて、入力基底状態を作成して測定し、得られた出力状態が入力状態と全く反対すれば(即ちk個の量子ビットは全て反転される)、このk個の量子ビットの間でkオーダのクロストークノイズが存在する。直感的には、kオーダのクロストークノイズは、このk個の量子ビットが全て関連付けられていることを意味する。ここで、考慮すべきクロストークノイズのオーダは作業者によって(例えばデバイスの性能に基づいて)指定されてもよい。例えば、考慮すべき最大クロストークノイズのオーダKが指定されてもよく、ここでは、全てのkオーダ(k=1,2,…,K)クロストークノイズが考慮されなければならない。又は、特定のオーダ又はいくつかのオーダ(即ち1つ又は複数のkオーダ)のクロストークノイズだけを考慮するように指定してもよい。ここでは制限しない。
【0047】
いくつかの実施例では、量子ビット集合S={Q,…,Qk-1}中のk個の量子ビットのkオーダのクロストークノイズを記述する必要があるとすれば、非構造化モデルの流れCにより得られた校正データセットに基づいて、さらにこの校正データセットから計算された2×2の校正行列Aに基づくようにしてもよい。該行列の2個の逆対角要素はk量子ビットの出力状態と入力状態が完全に反対する確率、即ちk個の量子ビットが全て反転する確率を記述する。
【0048】
いくつかの実施例では、校正行列Aについて行列対数が求められ、得られた行列の2個の逆対角要素は集合Sのkオーダのクロストークノイズ重み係数
【0049】
【数10】
【0050】
を定義する。該重み係数は、Sで表されるk個の量子ビットが存在するkオーダのクロストークノイズを完全に記述する。
【0051】
【数11】
【0052】
ここで、antidiag(A)は行列の全ての逆対角要素を(左下から右上角への順で)選択することを表し、log(A)は行列対数の演算を表す。
重み係数の定義から分かるように、kオーダのクロストークノイズは2個の要素で記述され、各重み係数λは特定のk個の量子ビットの反転エラーを記述する。いくつかの実施例では、該エラーは2×2のジェネレータgによって記述されてもよい。
【0053】
【数12】
【0054】
ここで、
【0055】
【数13】
【0056】
は排他的論理和演算を表し、
【0057】
【数14】
【0058】
は正の整数iをバイナリで展開した後ビット反転を行うことを表し、nは量子コンピュータの量子ビット数である。直観的には、gは、「標準的な基底量子状態|i>が入力されると、ビット文字列i、又は完全に反転されたビット文字列
【0059】
【数15】
【0060】
が出力される」というイベントを記述する。なお、式(9)で定義されるジェネレータgは、デフォルトでテンソルがn量子ビット空間全体に与えられるので、2×2の行列となる。i∈{0,…,2-1}を網羅すると、2個のジェネレータ(即ちローカルジェネレータ)が得られる。要するに、k個の量子ビットの間のkオーダのクロストークノイズは以下の二タプル(two-tuples)で完全に記述されてもよい。
【0061】
【数16】
【0062】
一例として、k=2の場合、S={Q,Q}という2つの量子ビットの2オーダのクロストークノイズの記述が必要になる。非構造化モデルに基づいて校正データセットから4×4の校正行列Aを算出してもよい。
【0063】
【数17】
【0064】
式(11)中、4個の逆対角要素だけが例示されており、残りの要素は無関係のものである。上記の記述を分析すると、表1に示されることが分かる。
【0065】
【表1】
【0066】
ここで、校正行列の4つの逆対角要素は2つの量子ビットの量子状態の入力と出力が完全に反転する確率を完全に記述し、即ち、2オーダのクロストークノイズを記述することが示される。
【0067】
上記のkオーダのクロストークが存在するk個の量子ビットはシステムのn量子ビット測定デバイスにおける一部の量子ビットのサブセットである。
k個の量子ビットの間に存在するクロストークノイズ及びその強度をどのように記述するかについて説明を行った後、ハードウェアにおいてどのk個の量子ビットについてkオーダのクロストークノイズを分析する必要があるかを判断する。理解できるものとして、ハードウェアにおけるk個ずつの量子ビットの間にkオーダのクロストークノイズが存在すると仮定し、n個の量子ビットを含有するハードウェアにとっては、kオーダのクロストークノイズの総数を組み合わせ数
【0068】
【数18】
【0069】
で表すのが最も簡単な判断方法である。
ただし、上記の判断方法では、ハードウェア自体のトポロジー構造が考慮されていない。一例として、2つの量子ビットが相互接続されておらず、かつかなり離れている場合、実験データにより、この2つのバイトの間のクロストークが極めて弱い。したがって、本開示の実施例に係る方法は、量子コンピュータハードウェア自体のトポロジー構造と組み合わせて、量子測定デバイスにおいてどのk個の量子ビットの間でkオーダのクロストークノイズを考慮すべきであるかを決定する。一般には、n個の量子ビットを有するハードウェアトポロジーは単純な無向グラフΩ=(V,E)で記述されてもよく、ここで、Vはノード集合(ハードウェアにおける量子ビットに対応する)であり、Eは辺集合(ハードウェアにおける量子ビットの相互接続性を記述する)である。図4には、3つの量子ビットを含むハードウェアトポロジー図が示されており、これに対応する単純な無向グラフは、Ω=(V,E), V={Q0,Q1,Q2}, E={(Q0,Q1),(Q1,Q2)}である。
【0070】
ハードウェアにおいて特定のk個の量子ビットの間でkオーダのクロストークノイズが存在すると仮定すれば、このk個の量子ビットに対応するノード集合だけが単純な無向グラフにおけるkオーダ接続のサブグラムである。直観的には、このk個の量子ビットに対応するノードが無向グラフにおいて互いに接続されていれば、これらの間にkオーダのクロストークノイズが存在し得ることが考えられる。図4に示すように、この無向グラフで記述されるハードウェアでは、そのkオーダのクロストークノイズは以下のようなカテゴリを有してもよい。(1)1オーダのクロストークノイズを考慮したもの、即ち、量子ビット(Q0)、(Q1)、(Q2)、(Q3)。1オーダのクロストークノイズだけを考慮すれば、ノイズモデルはテンソル積モデルに縮退され、即ち、マルチバイトクロストークノイズを考慮する必要が全くない。(2)2オーダのクロストークノイズを考慮するもの、即ち、量子ビットペア(Q0,Q1)及び(Q1,Q2)。直観的には、この2組の量子ビットはハードウェア構造で隣接しており、制御信号同士が干渉する可能性が高い。一方、量子ビットペア(Q0,Q2)が隣接していないので、2オーダクロストークがない。(3)3オーダのクロストークノイズを考慮したもの、即ち、量子ビットペア(Q0,Q1,Q2)。
【0071】
現在のデバイスハードウェアにおいてどのk個の量子ビットの間でkオーダのクロストークノイズが存在し得るかを判定した後、ノイズの強度を計算するために、校正回路を作成して(即ち非構造化モデルの流れCにおける第1ステップ)、校正データセット{Nx|yx,yを取得する。
【0072】
最大クロストークノイズのオーダKを考慮することが指定されている実施例では、量子測定デバイスの最大Kオーダのクロストークノイズ(もちろんK≦n)を記述しようとすると仮定すれば、全てのkオーダ(k=1,2,…,K)クロストークの重み係数が校正データセットに基づいて取得され得るように、校正回路を準備する必要がある。テンソル積モデルでは、k=1の場合に必要な校正回路の数:2×Nshotsが与えれている。クロストークノイズのオーダが増大するに伴い、全ての重み係数を計算するのに十分なデータを収集するために、より多くの校正回路が必要となる。したがって、表2に示す校正回路集合を構築してもよく、これらの校正回路によって収集される校正データは最大Kオーダのクロストークノイズの重み係数の計算に有用である。
【0073】
【表2】
【0074】
表2に示すように、計算したところ、必要とされる様々な校正回路の数は以下のように表されてもよい。
【0075】
【数19】
【0076】
校正回路ごとに、ノイズ付き測定デバイスをNshots回運行させる必要があり、したがって、校正回路の総数は以下のように表されてもよい。
【0077】
【数20】
【0078】
図5はテンソル積モデル、非構造化モデル、及び上記した実施例における校正回路数と最大クロストークオーダとの間の関係の概略図を示している。記述すべき最大クロストークオーダが増大するに伴い、必要な校正回路数が指数関数的に増加することが分かる。Kが小さい場合、必要な校正回路の増加が緩やかであるものの、測定デバイスのクロストークノイズを記述するのに十分である。実験者は、この図と実際のデバイスのクロストークノイズ強度とを組み合わせることで、適切な最大クロストークノイズのオーダKを選択してもよい。
【0079】
いくつかの例では、前記所定の回数Nshotsは実験者によってデバイスの性質に応じて予め設定されてもよく、ここでは限定されない。
前記のとおり、n量子ビット測定デバイスにおけるk量子ビットサブセットの間のkオーダのクロストークノイズは二タプル(two-tuples)
【0080】
【数21】
【0081】
によって完全に記述されてもよい。2個のローカルジェネレータg及びこれらに対応する重み係数λに基づいて、反復によりn量子ビット測定デバイスに対応するグローバルジェネレータを決定してもよい。
【0082】
いくつかの実施例によれば、図6に示すように、量子コンピュータのハードウェアトポロジー及び校正データセットに基づいてグローバルジェネレータを決定することは、初期化してグローバルジェネレータを取得すること(ステップ610)と、ハードウェアトポロジー及びクロストークノイズのオーダに従って、クロストークノイズが存在する量子ビット集合を決定すること(ステップ620)と、校正データセットに基づいて量子ビット集合のそれぞれに対応するローカルジェネレータを決定することであって、ローカルジェネレータは決定された量子ビット集合のクロストークノイズを表すこと(ステップ630)と、全てのローカルジェネレータに基づいてグローバルジェネレータを反復して更新すること(ステップ640)とを含んでもよい。
【0083】
いくつかの実施例によれば、図7に示すように、全てのローカルジェネレータに基づいてグローバルジェネレータを反復して更新することは、量子ビット集合のそれぞれに対応する校正行列を決定すること(ステップ710)と、校正行列に基づいて量子ビット集合のそれぞれに対応するクロストークノイズ重み係数の集合を決定すること(ステップ720)と、量子ビット集合のそれぞれに対応するローカルジェネレータ及び対応するクロストークノイズ重み係数の集合に基づいて、グローバルジェネレータを反復して更新すること(ステップ730)とを含んでもよい。
【0084】
いくつかの実施例によれば、下記式に基づいて前記グローバルジェネレータGを反復して更新する。
【0085】
【数22】
【0086】
ここで、kは前記量子ビット集合の量子ビットの数であり、kは正の整数であり、λ及びgはそれぞれ前記量子ビット集合に対応するkオーダのクロストークノイズ重み係数及びローカルジェネレータである。
【0087】
本開示の一実施例によれば、最大クロストークノイズのオーダK、即ち、オーダーがK及びK以下のクロストークノイズが考慮される。したがって、校正行列Aは以下のステップによって決定されてもよい。
【0088】
ステップ1、最大クロストークノイズのオーダKを設定し、表1に従って校正回路集合を構築する。全てのkオーダ(k=1,2,…,K)クロストークの重み係数が校正データセットに基づいて取得され得るように、校正回路を準備する必要がある。
【0089】
ステップ2、校正回路集合中のそれぞれの校正回路(これにより作成される標準的な基底量子状態を|y>とする)を、合計Nshots回運行させ、出力結果がバイナリ文字列xである回数Nx|yを統計し、ここで、x,y∈{0,1}である。ステップ2が終了すると、校正データセット{N_{x|y}}_{x,y}が得られる。
【0090】
ステップ3、グローバルジェネレータGを初期化して2×2の全零行列とする。
ステップ4、k=1,2,…,Kについて、以下のサブステップによってkオーダのクロストークノイズ記述データを生成し、Gに累加する。
【0091】
ステップ4の第1サブステップ:ハードウェアトポロジーに従って全てのkオーダ接続サブグラム{S}を生成し、サブグラムを全て「未処理」とする。
ステップ4の第2サブステップ:未処理サブグラムSを問い合わせた結果、ノードの数はkであり、k個の量子ビットに対応する。データセット{N_{x|y}}_{x,y}及び式(9)を利用して、このk個の量子ビットの2個のローカルジェネレータ
【0092】
【数23】
【0093】
を算出し、式(8)を利用してこのk個の量子ビットに対応する重み係数
【0094】
【数24】
【0095】
を算出する。
ステップ4の第3サブステップ:グローバルジェネレータGを更新する。
【0096】
【数25】
【0097】
ステップ4の第4サブステップ:Sを「処理済み」とした後、ステップ4の第2サブステップに移行する。全てのサブグラムが「処理済み」であれば、ステップ5に移行する。
ステップ5、グローバルジェネレータGに基づいて、以下の式により校正行列Aを算出する。
【0098】
【数26】
【0099】
上記のステップによって、本開示の実施例に従って、多くともKオーダクロストークを記述する校正行列Aは、後続のノイズ付きデータのエラー訂正用のために得られる。
本開示の別の実施例によれば、オーダ数がkのクロストークノイズだけが考慮される。したがって、校正行列Aは以下のステップによって決定されてもよい。
【0100】
ステップ1、クロストークノイズのオーダkを設定し、表1に従って校正回路集合を構築する。
ステップ2、校正回路集合中のそれぞれの校正回路(これにより作成される標準的な基底量子状態を|y>とする)を、合計Nshots回運行させ、出力結果がバイナリ文字列xである回数Nx|yを統計し、ここで、x,y∈{0,1}である。ステップ2が終了すると、校正データセット{N_{x|y}}_{x,y}が得られる。
【0101】
ステップ3、グローバルジェネレータGを初期化して2×2の全零行列とする。
ステップ4、以下のサブステップによってkオーダのクロストークノイズ記述データを生成する。
【0102】
ステップ4の第1サブステップ:ハードウェアトポロジーに従ってkオーダ接続サブグラム{S}を生成し、サブグラムを全て「未処理」とする。
ステップ4の第2サブステップ:未処理サブグラムSを問い合わせた結果、ノードの数はkであり、対応するk個の量子ビットに対応する。データセット{N_{x|y}}_{x,y}及び式(9)を利用してこのk個の量子ビットの2個のローカルジェネレータ
【0103】
【数27】
【0104】
を算出し、式(8)を利用してこのk個の量子ビットに対応する重み係数
【0105】
【数28】
【0106】
を計算する。
ステップ4の第3サブステップ:グローバルジェネレータGを更新する。
【0107】
【数29】
【0108】
ステップ4の第4サブステップ:Sを「処理済み」とした後、ステップ4の第2サブステップに移行する。全てのサブグラムが「処理済み」であれば、ステップ5に移行する。
ステップ5、グローバルジェネレータGに基づいて、以下の式により校正行列Aを算出する。
【0109】
【数30】
【0110】
上記のステップによって、本開示の実施例に従って、オーダ数kのクロストークノイズが特定されている校正行列Aが、後続のノイズ付きデータのエラー訂正用のために得られる。
【0111】
本開示の実施例によれば、図8に示すように、量子測定デバイスの校正装置800がさらに提供されおり、この量子測定デバイスの校正装置800は、量子コンピュータのクロストークノイズのオーダを決定するように構成される第1決定ユニット810と、前記クロストークノイズのオーダに基づいて、校正回路集合を決定するように構成される第2決定ユニット820と、前記校正回路集合中のそれぞれの校正回路に基づいて標準的な基底量子状態をそれぞれ作成し、これにより、標準的な基底量子状態ごとに、前記測定デバイスを所定の回数繰り返して作動させて前記標準的な基底量子状態を測定するように構成される測定ユニット830と、前記標準的な基底量子状態のそれぞれに対応する前記所定の回数の測定結果を統計して、校正データセットを得るように構成される統計ユニット840と、前記量子コンピュータのハードウェアトポロジー及び前記校正データセットに基づいて、グローバルジェネレータを決定するように構成される第3決定ユニット850であって、前記グローバルジェネレータは前記クロストークノイズのオーダに基づいて決定された前記量子コンピュータのクロストークノイズを表す第3決定ユニット850と、前記グローバルジェネレータに基づいて校正行列を構築して、前記校正行列に基づいて前記量子コンピュータの測定結果を校正するように構成される校正ユニット860とを含む。
【0112】
ここでは、量子測定デバイスの校正装置800の上記の各ユニット810~860の操作は、それぞれ、前述したステップ310~360の操作と類似しているので、ここでは詳しく説明しない。
【0113】
本開示の実施例によれば、電子デバイス、読み取り可能な記憶媒体、及びコンピュータプログラム製品がさらに提供されている。
図9を参照して、本開示のサーバ又はクライアントとして使用可能な電子デバイス900の構造ブロック図を説明し、これは、本開示の各態様に適用できるハードウェアデバイスの例であってもよい。電子デバイスは、例えば、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、メインフレームコンピュータ、及びその他の適切なコンピュータなど、様々な形式のデジタル電子のコンピュータデバイスを示すことを意図している。電子デバイスは、例えば、パーソナルデジタルアシスタント、セルラー電話、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、及びその他の類似の計算装置など、様々な形式の移動装置を示してもよい。本明細書に示されている部材、それらの接続と関係、及びそれらの機能は単なる例であるが、本明細書に説明及び/又は要求される本開示の実現を限定することを意図しない。
【0114】
図9に示すように、デバイス900は、読み取り専用メモリ(ROM)902に記憶されたコンピュータプログラム又は記憶ユニット908からランダムアクセスメモリ(RAM)903にロードされたコンピュータプログラムに従って、様々な適切な動作や処理を実行することができる計算ユニット901を含む。RAM 903には、デバイス900の動作に必要な様々なプログラム及びデータが記憶されてもよい。計算ユニット901、ROM 902及びRAM 903は、バス904を介して互いに接続されている。入力/出力(I/O)インターフェース905もバス904に接続されてもよい。
【0115】
デバイス900の複数の部材はI/Oインターフェース905に接続され、入力ユニット906、出力ユニット907、記憶ユニット908及び通信ユニット909を含む。入力ユニット906はデバイス900に情報を入力しうる任意のタイプのデバイスであってもよく、入力ユニット906は、入力した数字又は文字情報を受信したり、電子デバイスのユーザ設定及び/又は機能制御に関連するキー信号入力を生成したりすることができ、そして、マウス、キーボード、タッチスクリーン、トラックパッド、トラックボール、ジョイスティック、マイク、及び/又はリモコンを含んでもよいが、これらに限定されない。出力ユニット907は、情報を表示できる任意のタイプのデバイスであってもよく、そして、ディスプレイ、スピーカー、ビデオ/オーディオ出力端末、振動器及び/又はプリンタを含んでもよいが、これらに限定されない。記憶ユニット908は、磁気ディスク、光ディスクを含んでもよいが、これらに限定されない。通信ユニット909は、デバイス900が例えばインターネットのコンピュータネットワーク及び/又は各種の電信ネットワークを介して他のデバイスと情報/データを交換することを可能とし、そして、モデム、ネットワークカード、赤外線通信デバイス、無線通信トランシーバ及び/又はチップセット、例えば、ブルートゥースTMデバイス、802.11デバイス、WiFiデバイス、WiMaxデバイス、セルラー通信デバイス及び/又は類似のものを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0116】
計算ユニット901は、処理能力及び計算能力を有する様々な汎用及び/又は専用の処理コンポーネントであってもよい。計算ユニット901のいくつかの例には、中央処理ユニット(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、様々な専用の人工知能(AI)計算チップ、機械学習モデルアルゴリズムを実行する様々な計算ユニット、デジタル信号プロセッサ(DSP)、及び任意の適切なプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラなどが含まれるが、これらに限定されない。計算ユニット901は、上記した様々な方法及び処理、例えば、方法300を実行する。例えば、いくつかの実施例では、方法300は、記憶ユニット908などの機械読み取り可能な媒体に物理的に含まれるコンピュータソフトウェアプログラムとして実現されてもよい。いくつかの実施例では、コンピュータプログラムの一部又は全部は、ROM 902及び/又は通信ユニット909を介してデバイス900にロード及び/又はインストールすることができる。コンピュータプログラムがRAM 903にロードされ、計算ユニット901によって実行されると、上記した方法300の1つまたは複数のステップを実行することができる。オプションとして、別の実施例では、計算ユニット901は、他の任意の適切な方式(例えば、ファームウェア)によって方法300を実行するように構成されてもよい。
【0117】
本明細書に記載のシステム及び技術の様々な実施形態は、デジタル電子回路システム、集積回路システム、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け標準製品(ASSP)、システムオンチップシステム(SOC)、複雑なプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせにおいて実現されてもよい。これらの様々な実施形態は、1つ又は複数のコンピュータプログラムにおいて実施され、この1つ又は複数のコンピュータプログラムは、少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサを含むプログラム可能なシステムで実行及び/又は解釈され得、このプログラム可能なプロセッサは専用又は汎用のプログラム可能なプロセッサであってもよく、ストレージシステム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置からデータ及び命令を受信し、データ及び命令をこのストレージシステム、この少なくとも1つの入力装置、及びこの少なくとも1つの出力装置に送信することができる。
【0118】
本開示の方法を実施するためのプログラムコードは1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせでプログラミングすることができる。これらのプログラムコードは汎用コンピュータ、専用コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ又はコントローラに提供することができ、それにより、プログラムコードはプロセッサ又はコントローラにより実行されると、フローチャート及び/又はブロック図に規定された機能/動作が実施される。プログラムコードは完全に機械で実行されてもよく、部分的に機械で実行されてもよく、独立したソフトウェアパッケージとして一部が機械で実行され、もう一部が遠隔機械で実行されるか、又は完全に遠隔機械又はサーバで実行されてもよい。
【0119】
本開示の文脈において、機械読み取り可能な媒体はプログラムを含む又は記憶した有形媒体であってもよく、このプログラムは、命令実行システム、装置又はデバイスにより使用されるか、又はそれらと組み合わせて使用されてもよい。機械読み取り可能な媒体は、機械読み取り可能な信号媒体又は機械読み取り可能な記憶媒体であってもよい。機械読み取り可能な媒体は、電子的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線、又は半導体のシステム、装置又はデバイス、又は以上の任意の組み合わせを含むことができるが、これらに限られない。機械読み取り可能な記憶媒体のより具体的な例は、1つ又は複数のワイヤによる電気接続、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光記憶デバイス、磁気記憶デバイス、又は上記の任意の適切な組み合わせを含む。
【0120】
ユーザと対話できるように、ここで記載されるシステム及び技術をコンピュータに実施することができ、このコンピュータは、ユーザに情報を表示するための表示装置(例えば、CRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニター)、ユーザが入力をコンピュータに提供するすることを可能とするキーボード及びポインティング装置(例えば、マウスやトラックボール)を有する。他の種類の装置も、ユーザとの対話を提供することができ、例えば、ユーザに提供するフィードバックは、任意の形式の感覚フィードバック(例えば、視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、又は触覚的フィードバック)であってもよく、そして、ユーザからの入力は、任意の形式(音響入力、音声入力、又は触覚入力を含む)で受信できる。
【0121】
ここで記載されるシステム及び技術は、バックエンドコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えば、データサーバとして)、又はミドルウェアコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えば、アプリケーションサーバ)、又はフロントエンドコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えば、グラフィカルユーザインターフェース又はWEBブラウザーを備えたユーザコンピュータが挙げられ、ユーザはこのグラフィカルユーザインターフェース又はこのWEBブラウザーを介してここで記載されるシステム及び技術の実施形態と対話できる)、又はこのようなバックエンドコンポーネント、ミドルウェアコンポーネント、又はフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせを含むコンピューティングシステムにおいて実施されてもよい。システムのコンポーネントは、任意の形式又は媒体のデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)を介して相互に接続されてもよい。通信ネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、及びインターネットが含まれる。
【0122】
コンピュータシステムには、クライアントとサーバが含まれてもよい。クライアントとサーバは通常、互いに遠く離れており、通信ネットワークを介して対話する。クライアントとサーバの関係は、対応するコンピュータで実行され、互いにクライアント-サーバの関係を持つコンピュータプログラムによって生成される。サーバは、クラウドサーバ、分散システムサーバ、又はブロックチェーンと組み合わせたサーバにすることができる。
【0123】
なお、上記の様々な形式のプロセスを用いて、ステップを改めて並べ替えたり、追加したり、削除したりすることができる。例えば、本開示に記載の各ステップは、本開示で開示された技術的解決手段の所望の結果が達成できる限り、並行して実施しても、順次実施しても、異なる順次で実施してもよく、本明細書ではそれについて限定しない。
【0124】
なお、図面を参照して本開示の実施例又は例を説明したが、上記の方法、システム及びデバイスは例示的な実施例又は例に過ぎず、本発明の範囲はこれらの実施例又は例により限定されず、授権された特許請求の範囲及びその同等の範囲により限定される。実施例又は例における各要素は、省略されたり、他の同等の要素に置き換えたりすることができる。さらに、各ステップは本開示に記載のものと異なる順番に従って実行してもよい。さらに、各種の方式で実施例又は例の各要素を組み合わせることができる。重要なことは、技術の発展に伴い、ここで記載される多くの要素は本開示以降に現れる同等の要素により置き換えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】