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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185129
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】モジュール式血管カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
A61M25/00 624
A61M25/00 612
A61M25/00 620
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164480
(22)【出願日】2022-10-13
(62)【分割の表示】P 2019518306の分割
【原出願日】2017-10-05
(31)【優先権主張番号】62/404,552
(32)【優先日】2016-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518440682
【氏名又は名称】オーバスネイチ・メディカル・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】コットーネ,ロバート・ジェイ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】それぞれが異なる物理的性質を有するカテーテルモジュールを組み立てる方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの近位管状モジュール110と遠位管状モジュール120とを備えるカテーテルを提供し、各管状モジュールは螺旋状切込みを有する少なくとも1つの部分を有し、隣接する管状モジュールの各対は継手130によって連結され、継手は、(a)第1の管状モジュール上の少なくとも1つのスナップ嵌合接続部140と、隣接する管状モジュールに配置されたスナップ嵌合受け部とを備え、ここでスナップ嵌合接続部は係合時に弾性変形可能であり、さらに、(b)第1の管状モジュールまたは隣接する管状モジュールに配置された舌片要素451と、反対側の第1の管状モジュールまたは反対側の隣接する管状モジュールに配置された溝要素460とを含む少なくとも1つの安定化要素450を備える。
【選択図】図4(a)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の管状モジュールと、前記第1の管状モジュールと継手によって連結された第2の管状モジュールとを備えるカテーテルであって、前記継手が、(a)前記第1の管状モジュール上の少なくとも1つのスナップ嵌合接続部と、前記第2の管状モジュールに配置されたスナップ嵌合受け部とを備え;前記第1の管状モジュールと前記第2の管状モジュールが互いに連結した際に、前記スナップ嵌合接続部と前記スナップ嵌合受け部は、前記第1の管状モジュールと前記第2の管状モジュールの内面および外面と同じ高さであり、同一の径を有する連続的なルーメンを画定し;および、前記スナップ嵌合接続部は片持ち継手を含み、さらに、
(b)前記第1の管状モジュールに配置された舌片要素と、前記第2の管状モジュールに配置された溝要素とを含む少なくとも1つの安定化要素を備え;前記安定化要素は、前記第1および第2の管状モジュールが前記継手において円周方向に回転するのを防止し;前記継手は、前記第1および第2の管状モジュールが互いに枢動するのを防止する、カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年10月5日に出願された米国仮特許出願第62/404,552
号の利益および優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
現在、血管系内の様々な解剖学的部位へのアクセスを可能にするようにそれぞれ設計さ
れた多数の様々な血管カテーテルおよびマイクロカテーテルが存在する。カテーテルの設
計が直面する重要な問題が、カテーテルの長さにわたって押し込み性および柔軟性を制御
することである。医師が、心血管系または神経血管系に見られることが多い様々な複雑か
つ多くの場合蛇行した解剖学的血管系を通してアクセスすることを可能にするために、押
し込み性および柔軟性を制御することが重要である。柔軟性を調整するための1つの方法
が、異なる種類の材料、例えば、それぞれ異なる機能性を有するステンレス鋼および/ま
たはポリマーからカテーテル本体を形成することである。これらの材料は、層状ポリマー
組成物内に配置されたコイル状または編組ワイヤパターンを介して、管状構造に組み合わ
せることができる。別の方法が、カテーテルの円筒直径および壁厚を変えることである。
あるいは、カテーテルの壁に様々な異なる螺旋状切込みを導入し、それによって柔軟性を
増大させることができる。これらの螺旋状切込みは、本質的に連続的でも不連続的でもよ
い。しかし、組み立てが容易なモジュール内に異なる種類の材料とともに異なる切込みパ
ターンを組み合わせたカテーテルは目下存在しない。それぞれが異なる材料から作製され
ている複数のモジュールからカテーテルを組み立てることは、これらの材料の物理的性質
が機能的な組合せを問題にする、すなわちニチノール管にステンレス鋼管を直接融着する
ことができないため困難であり得る。しかし、それぞれが異なる性質を有する異なるモジ
ュールからカテーテルを組み立てれば、様々な種類の血管の解剖学的構造の特定の要件を
満たすようにカテーテルを調整することが可能になるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、それぞれが異なる物理的性質を有するカテーテルモジュールを組み立てる方
法を提供する。特定の解剖学的必要性を満たすように、カテーテルの性質を直接調整する
ことができる。したがって、解剖学的に特有の方法で、カテーテルの柔軟性、塑性変形に
対する抵抗、軸方向トルク伝達、およびカラム強度を特に制御することが可能である。本
発明のモジュール式カテーテルは、ガイドワイヤを支持し、および/または心血管系また
は神経血管系で多くの場合遭遇するように血管狭窄または蛇行した解剖学的構造を通して
薬剤を送達するのに特に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、少なくとも1つの近位管状モジュールと遠位管状モジュールとを
備えるカテーテルを提供し、各管状モジュールは螺旋状切込みを有する少なくとも1つの
部分を有し、隣接する管状モジュールの各対は継手によって連結され、継手は、(a)第
1の管状モジュール上の少なくとも1つのスナップ嵌合接続部と、隣接する管状モジュー
ルに配置されたスナップ嵌合受け部とを備え、ここでスナップ嵌合接続部は係合時に弾性
変形可能であり、さらに、(b)第1の管状モジュールまたは隣接する管状モジュールに
配置された舌片要素と、反対側の第1の管状モジュールまたは反対側の隣接する管状モジ
ュールに配置された溝要素とを含む少なくとも1つの安定化要素を備える。
【0005】
いくつかの実施形態では、螺旋状切込みは、複数の分断された螺旋状切込みを備える。
【0006】
スナップ嵌合接続部は片持ち継手を形成してもよい。さらなる実施形態では、スナップ
嵌合接続部はステム構造および係止構造を備え、係止構造の対辺の間で測定した場合の最
も広い点での係止構造の幅は、ステム構造の幅よりも大きく、スナップ嵌合受け部はステ
ム空洞部および係止空洞部を備え、係止空洞部の対辺の間で測定された最も広い点での係
止空洞部の幅は、ステム空洞部の幅よりも大きい。特定の実施形態では、係止構造は楕円
形に形成することができ、スナップ嵌合受け部は円形に形成された係止空洞部を備える。
スナップ嵌合接続部は、少なくとも1つの近位管状モジュールまたは遠位管状モジュール
のうちの1つと平行に延びる長手方向軸に平行な線に対して約0.1~約90°の範囲の
角度で、片持ち継手で屈曲することができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、スナップ嵌合接続部は、スナップ嵌合受け部に挿入された際
に、次いで挿入後に横方向に展開し、挿入中および挿入後に少なくとも1つの近位管状モ
ジュールまたは遠位管状モジュールのうちの1つの長手方向軸に平行な線に対して平行の
ままである返し構造を形成する。いくつかの実施形態では、返し構造は、2本のシャフト
から形成された矢状構造を備える。
【0008】
いくつかの実施形態では、遠位管状モジュールはニチノールから形成される。あるいは
、遠位モジュールは、304、316、402および440から選択されるSAEグレー
ドのステンレス鋼、17-7析出硬化系ステンレス鋼(PH)またはニッケルコバルト合
金(MP35N)から形成することができる。
【0009】
隣接する管状モジュール間の継手を保護するために、管状カバーによって継手の少なく
とも一部を囲むことができる。
【0010】
カテーテルは、少なくとも1つの近位管状モジュールまたは遠位管状モジュールに配置
されている第1および第2の切込み開口部である少なくとも2つの切込み開口部を備える
ことができる。いくつかの実施形態では、両方の切込み開口部が遠位管状モジュールに配
置される。他の実施形態では、1つの切込み開口部が遠位管状モジュールに配置され、第
2の切込み開口部が少なくとも1つの近位管状モジュールのうちの1つに配置される。い
くつかの実施形態では、管状モジュールの外側の周りにフィラメントが螺旋状に螺合され
る。フィラメントの一端は第1の切込み開口部に配置され、フィラメントの他端は第2の
切込み開口部に配置される。
【0011】
フィラメントは、第1および第2の開口部で定位置に固定することができる。また、フ
ィラメントは、含まれている1つ以上の管状モジュールの周りに時計回りまたは反時計回
りの構成で螺合することができる。フィラメントは、少なくとも1つのリングによって、
近位管状モジュールまたは遠位管状モジュールのうちの1つ以上に固定することができる
。さらに、フィラメントの断面領域は、円形、正方形、三角形、長方形、半円形または台
形とすることができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、2~20個の管状モジュールを備える。
【0013】
いくつかの実施形態では、ジャケットを形成するポリマーを使用して、少なくとも1つ
の近位管状モジュールまたは遠位管状モジュールのうちの1つ以上の少なくとも一部を覆
ってもよい。いくつかの実施形態では、ポリマージャケットは、ナイロン、ポリエーテル
ブロックアミド、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(フッ化エチレンプ
ロピレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、PET(ポリエチレンテレフ
タレート)またはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)から形成されてもよい。
【0014】
本発明によるカテーテルのいくつかの実施形態では、少なくとも1つの近位管状モジュ
ールと遠位管状モジュールとは内側ルーメンを含み、近位または遠位管状モジュールの内
側ルーメンの少なくとも一部は内側ライニングによって被覆される。いくつかの実施形態
では、内側ライニングは、ナイロン、ポリエーテルブロックアミド、PTFE(ポリテト
ラフルオロエチレン)、FEP(フッ化エチレンプロピレン)、PFA(パーフルオロア
ルコキシアルカン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)またはPEEK(ポリエー
テルエーテルケトン)から形成されてもよい。
【0015】
スナップ嵌合接続部とスナップ嵌合受け部とを固定して、隣接する管状モジュール間の
確実な接続を確保する方法がいくつか存在する。例えば、スナップ嵌合接続部とスナップ
嵌合受け部とを互いに接着し、互いに溶接し、互いにはんだ付けすることができる。
【0016】
少なくとも1つの近位管状モジュールと遠位管状モジュールとは、同じ材料から、ある
いは異なる材料から形成することができる。特定の実施形態では、少なくとも1つの近位
管状モジュールのうちの1つ以上はステンレス鋼から形成され、遠位管状モジュールはニ
チノールから形成される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの管状モジュールお
よび遠位管状モジュールのうちの1つ以上はポリマーから形成される。いくつかの実施形
態では、少なくとも1つの近位管状モジュールおよび遠位管状モジュールのうちの1つ以
上は、金属とポリマーとの編組複合体から形成される。
【0017】
いくつかの実施形態では、遠位管状体に隣接する近位管状モジュールの外径は、遠位管
状モジュールの外径と同じである。代替の実施形態では、隣接する近位管状モジュールの
外径は、遠位管状モジュールの外径よりも大きい。
【0018】
いくつかの実施形態では、遠位管状モジュールの内径は、隣接する近位管状モジュール
の内径よりも小さい。あるいは、隣接する近位管状モジュールの内径は、遠位管状モジュ
ールの内径と等しくてよい。
【0019】
少なくとも1つの近位管状モジュールのうちの1つ以上は、遠位管状モジュールと同じ
柔軟性を有することができる。あるいは、遠位管状モジュールは、少なくとも1つの近位
管状モジュールのうちの1つ以上の柔軟性よりも高い柔軟性を有することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、遠位管状モジュールの遠位端はクラウンを有する。いくつか
の実施形態では、クラウンは複数の曲線要素を備える。特定の実施形態では、クラウンは
5~20個の曲線要素を備える。曲線要素は、正弦波形状であってよい。
【0021】
本発明のカテーテルの実施形態では、カテーテルは、遠位管状モジュールのクラウンに
取り付けられている先端部をさらに備える。いくつかの実施形態では、先端部はテーパ状
であり、先端部材料内に含浸された放射線不透過性材料をさらに備える。先端部は、限定
するものではないが、金などの金属から得られ得る。先端部は、円錐状にテーパ状になっ
ている中空管状体として実装することができる。遠位管状モジュールの遠位部分と先端部
との周りに螺旋状にフィラメントを巻き付けてもよく、ジャケットによってフィラメント
および先端部の両方を覆うことができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、カテーテルは親水性潤滑ポリマーによって被覆される。
【0023】
本発明のカテーテルの実施形態はまた、少なくとも1つの近位管状モジュールと遠位管
状モジュールとを備えるカテーテルを提供し、各管状モジュールは螺旋状切込みを有する
少なくとも1つの部分を有し、隣接する管状モジュールの各対は継手によって連結され、
継手は、複数の突出部と、突出部と嵌合する受け部とを有する連結形状を備え、一対の隣
接する管状モジュールの各々は、複数の突出部および複数の受け部のうちの1つ以上を有
する。
【0024】
いくつかの実施形態では、継手の連結形状はジグザグのパターンを備える。あるいは、
継手の連結形状は波形を備える。カテーテル継手はジャケットによって覆われていてもよ
い。
【0025】
本発明のカテーテルのいくつかの実施形態では、遠位管状モジュールは、螺旋状切込み
を有する少なくとも1つの部分を備え、遠位管状モジュールは形状記憶金属から形成され
、管状モジュールの中心ルーメン軸に沿って曲線形状に遠位管状モジュールの区画または
部分が設定され、遠位管状モジュールが曲線形状をとる際に、一定の断面ルーメンが中心
ルーメン軸の周りに維持されるようにする。いくつかの実施形態では、遠位管状モジュー
ルの少なくとも一部はニチノールから形成されてもよい。他の実施形態では、遠位管状モ
ジュールは、304、316、402および440から選択されるSAEグレードのステ
ンレス鋼、17-7析出硬化系ステンレス鋼(PH)、ニッケルコバルト合金(MP35
N)ならびにそれらの混合物からなる群から選択されるステンレス鋼材料から形成される
。あるいは、遠位管状モジュールはポリマーから形成することができる。いくつかの実施
形態では、曲線形状に設定された遠位管状モジュールの部分は、曲線形状に設定されてい
ない遠位管状モジュールの区画に対して約0°~約90°の範囲の角度を維持する。他の
実施形態では、曲線形状に設定された遠位管状モジュールの部分は、曲線形状に設定され
ていない遠位管状モジュールの区画に対して約0°~約180°の範囲の角度を維持する
。曲線部分はガイドワイヤを使用して真っ直ぐにされる。いくつかの実施形態では、使用
されるガイドワイヤはテーパ状である。いくつかの実施形態では、曲線形状に予め設定さ
れた遠位管状モジュールの部分は、ガイドワイヤが管状モジュールから引き抜かれた際に
、曲線形状に設定されていない遠位管状モジュールの区画に対して約45°の角度に移行
する。他の実施形態では、曲線形状に予め設定された遠位管状モジュールの部分は、ガイ
ドワイヤが管状モジュールから引き抜かれた際に、曲線形状に設定されていない遠位管状
モジュールの区画に対して約180°の角度に移行する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1(a)】本発明のモジュール式カテーテルの一実施形態の正面図を示す。
図1(b)】図1(a)に示す実施形態の一部の拡大図を示す。
図2(a)】図1(a)に示す実施形態の側面図を示す。
図2(b)】本発明による近位および遠位管状モジュールの一方または両方に組み込まれた分断された螺旋状切込みパターンの一実施形態を示す。
図2(c)】本発明による分断された螺旋状切込みパターンの別の実施形態を示す。
図2(d)】本発明による分断された螺旋状切込みパターンの別の実施形態を示す。
図2(e)】本発明による管状モジュールを連結するために使用されるスナップ嵌合継手の平面図を示す。
図2(f)】本発明による分断された螺旋状切込みパターンの別の実施形態を示す。
図2(g)】本発明による分断された螺旋状切込みパターンの別の実施形態を示す。
図2(h)】本発明による分断された螺旋状切込みパターンの別の実施形態を示す。
図2(i)】本発明による分断された螺旋状切込みパターンの別の実施形態を示す。
図3】本発明による分断された螺旋状切込みパターンの一実施形態の平坦図を示す。
図4(a)】本発明の一実施形態によるスナップ嵌合接続部およびスナップ嵌合受け部を有するスナップ嵌合継手の一実施形態の係合平坦二次元図を示す。
図4(b)】分離された図4(a)のスナップ嵌合継手を示す。
図5(a)】本発明によるスナップ嵌合接続部とスナップ嵌合受け部とを含むスナップ嵌合継手の別の実施形態の第2の実施形態の平坦二次元図を示す。
図5(b)】図5(a)に示すスナップ嵌合継手のスナップ嵌合接続部の図を示す。
図6(a)】本発明による近位管状モジュール、遠位管状モジュールおよびスナップ嵌合継手の一実施形態の斜視図を示す。
図6(b)】図に示す実施形態の別の角度の斜視図を示す。
図6(c)】本発明の一実施形態による管状モジュールの端部にあるスナップ嵌合接続部の拡大平面図を示す。
図6(d)】2つの管状モジュールを接続している図6(a)~図6(c)に示すスナップ嵌合継手の斜視図を示す。
図6(e)】本発明の一実施形態による管状モジュール間のスナップ嵌合継手を固定するために使用される安定化要素の斜視図を示す。
図6(f)】非連結状態の図6(a)~図6(d)のスナップ嵌合継手の斜視図を示す。
図6(g)】本発明の一実施形態によるスナップ嵌合継手の別の正面図を示す。
図6(h)】安定化要素が明確に描かれている図6(g)のスナップ嵌合継手の側面図(約90°回転)を示す。
図6(i)】図6(g)および図6(h)のスナップ嵌合継手の別の側面図(約270°回転)を示す。
図6(j)】図6(g)~図6(i)のスナップ嵌合継手の底面図(約180°回転)を示す。
図6(k)】本発明の一実施形態の本発明による管状モジュールの一実施形態の長手方向軸に垂直な平面における断面図を示す。
図6(l)】組み立て過程でスナップ嵌合受け部が本発明の一実施形態によるモジュールの長手方向軸に対してある角度で片持ち状に支持されている、本発明による管状モジュール間のスナップ嵌合継手の側面平坦図を示す。
図6(m)】図6(l)のスナップ嵌合継手の斜視平坦図と、組み立て過程での図6(l)のスナップ嵌合継手の底面平坦図とを示す。
図6(n)】組み立て過程での図6(l)および図6(m)のスナップ嵌合継手の上面平坦図を示す。
図6(o)】組み立て過程での図6(l)~図6(n)に示すスナップ嵌合の底面反転図を示す。
図6(p)】組み立て過程での本発明の一実施形態による、図6(l)~図6(o)に示す片持ち状に支持されたスナップ嵌合継手の拡大側面図を示す。
図6(q)】組み立て過程での図6(l)~図6(q)の片持ち状に支持されたスナップ嵌合継手の拡大斜視図を示す。
図6(r)】組み立て過程での図6(l)~図6(q)の片持ち状に支持されたスナップ嵌合継手の分解斜視図を示す。
図6(s)】組み立て過程での図6(r)に示す図に対して反時計回りに90°の角度から見た、片持ち状に支持されたスナップ嵌合継手の別の分解斜視図を示す。
図6(t)】係止された位置でのスナップ嵌合接続部および受け部の面取りを示す、カテーテルの長手方向軸に垂直な平面におけるスナップ嵌合継手の断面図を示す。
図7(a)】本発明の一実施形態による、2つの管状モジュールを連結しているスナップ嵌合継手の側面の顕微鏡写真を示す。
図7(b)】図7(a)に示す写真に対して長手方向軸の周りで約60°回転させた場合の図7(a)のスナップ嵌合継手の顕微鏡写真を示す。
図7(c)】図7(b)に示す写真に対して長手方向軸の周りで約60°回転させた場合の図7(a)および図7(b)のスナップ嵌合継手の顕微鏡写真を示す。
図7(d)】図7(a)~図7(c)のスナップ嵌合継手の上面図の顕微鏡写真を示す。
図7(e)】図7(d)に示す写真に対して長手方向軸の周りで約60°回転させた場合の図7(a)~図7(d)のスナップ嵌合継手の顕微鏡写真を示す。
図7(f)】図7(d)に示す写真に対して長手方向軸の周りで約30°回転させた場合の図7(a)~図7(d)のスナップ嵌合継手の顕微鏡写真を示す。
図8(a)】連結正弦波形状を使用する、本発明による2つの管状モジュールを連結するための(わずかに分離された)継手の別の実施形態の一図を示す。
図8(b)】長手方向軸の周りで約30°回転させた場合の図8(a)に示す継手の別の図を示す。
図8(c)】図8(a)および図8(b)の(分離された)継手の斜視図を示す。
図8(d)】連結状態にある図8(a)~図8(c)に示す継手の斜視図を示す。
図8(e)】連結三角形状を使用する、本発明による2つの管状モジュールを連結するための(わずかに分離された)継手の別の実施形態の側面図を示す。
図8(f)】長手方向軸の周りで約30°回転させた場合の図8(e)に示す継手の別の図を示す。
図8(g)】図8(e)および図8(f)の(分離された)継手の斜視図を示す。
図8(h)】連結状態にある図8(e)~図8(g)に示す継手の斜視図を示す。
図9(a)】本発明の一実施形態による、長手方向軸の平面における本発明による2つの接続管状モジュールの壁厚を示す断面図を示す。
図9(b)】本発明の一実施形態による2つの接続管状モジュールの壁厚の別の実施形態の断面図を示す。
図9(c)】本発明の一実施形態による2つの接続管状モジュールの壁厚のさらに別の実施形態の断面図を示す。
図10(a)】一方の管状モジュール(近位側)の外径が、それが接続されている管状モジュール(遠位側)の外径よりも大きい一実施形態の側面図を示す。
図10(b)】図10(a)に示す実施形態の長手方向断面図を示す。
図10(c)】図9(c)に示す管状モジュールの実施形態の側面図を示す。
図10(d)】図9(c)および図10(c)の実施形態の斜視長手方向断面図を示す。
図11(a)】本発明の一実施形態によるフィラメントが管状モジュールの周りに巻き付けられている側面図を示す。
図11(b)】本発明の一実施形態による、巻き付けられたフィラメントを有する管状モジュールの側面図の写真を示す。
図11(c)】本発明の一実施形態による、巻き付けられたフィラメントを有する湾曲した管状モジュールの写真を示す。
図11(d)】図11(a)に示す実施形態の断面図を示す。
図11(e)】図11(a)および図11(d)の実施形態の斜視断面図を示す。
図12(a)】本発明の一実施形態による切込み開口部を含む管状モジュールの側面図を示す。
図12(b)】切込み開口部を横切る垂直平面における12(a)に示す実施形態の斜視断面図を示す。
図12(c)】本発明の一実施形態による切込み開口部を有する管状モジュールの写真を示す。
図12(d)】切込み開口部の縁部を描くために回転させた図12(c)に示す管状モジュールの写真を示す。
図13】切込み開口部を終結させる巻き付けられたフィラメントを有する管状モジュールの別の図を示す。
図14】略L字形の第2の切込み開口部とクラウンとを有する遠位管状モジュールの端部の側面図を示す。
図15(a)】図14の遠位管状モジュール、および第2の切込み開口部に挿入されたフィラメントを有する先端部の斜視図を示す。
図15(b)】図15(a)の破線で囲まれた部分の拡大図である。
図15(c)】第2の切込み開口部に挿入されたフィラメントを有する図14の遠位管状モジュールの別の斜視図を示す。
図16(a)】本発明の一実施形態による遠位管状モジュールに取り付けられた細長い先端部を有するモジュール式カテーテルの断面図を示す。
図16(b)】図16(a)の破線で囲まれた部分の拡大図である。
図16(c)】図16(a)および図16(b)に示す実施形態の側面図である。
図16(d)】本発明によるモジュール式カテーテルとともに使用することができる先端部の別の実施形態の斜視図を示す。
図16(e)】遠位管状モジュールのクラウン面の斜視図を示す。
図16(f)】付加的な表面特徴を伴わず取付部分の減少した表面積を示す斜視図を示す。
図17(a)】管状モジュールの周りにフィラメントが巻き付けられ、管状モジュールに取り付けられた先端部にねじが切られ、ガイドワイヤが先端部から出ている一実施形態の斜視端面図を示す。
図17(b)】図17(a)に示す実施形態の側面図を示す。
図17(c)】図17(b)に示す断面図を示す。
図18(a)】本発明によるリエントリーカテーテル血管切開先端部の一実施形態の斜視図を示す。
図18(b)】本発明によるリエントリーカテーテル血管切開先端部の別の実施形態の斜視図を示す。
図18(c)】本発明によるリエントリーカテーテル血管切開先端部の別の実施形態の斜視図を示す。
図18(d)】本発明によるリエントリーカテーテル血管切開先端部の別の実施形態の斜視図を示す。
図19(a)】本発明による、サイドポート出口を有し、上から下に向けた配向でウイングを有する血管切開先端部に連結された遠位管状モジュールの一実施形態の側面図を示す。
図19(b)】90°回転させた場合の図19(a)に示す実施形態の斜視図を示す。
図19(c)】図19(b)の破線で囲まれた部分の拡大図を示す。
図19(d)】本発明の一実施形態による、サイドポート出口を有する遠位管状モジュールの側面図を示す。
図19(e)】図19(d)に示す遠位管状モジュールの上面図を示す。
図19(f)】図19(d)および図19(e)に示す遠位管状モジュールの底面図を示す。
図19(g)】図19(d)~図19(f)の遠位管状モジュールの斜視図を示す。
図20(a)】本発明の一実施形態による、形状記憶を有する柔軟な引掛部分を有する遠位管状モジュールの側面図を示す。
図20(b)】図20(a)の遠位管状モジュールの端面図を示す。
図21(a)】本発明の別の実施形態による、材料形状記憶を用いた柔軟な曲線部分を有する遠位モジュールの側面図を示す。
図21(b)】図21(a)の遠位管状モジュールの端面図を示す。
図22】本発明の一実施形態による、材料形状記憶を用いた柔軟な曲線部分を有する遠位管状モジュールの一部の側面図を示す。
図23】管状モジュールおよび先端部を貫通するガイドワイヤによって真っ直ぐにされた曲線部分を有する遠位管状モジュールを示す断面図である。
図24】曲線部分がその曲線形状をとり始めることを可能にする、ガイドワイヤの引き抜きを示す断面図である。
図25図24に続く断面図であり、側枝アクセスに適合した曲線部分を示す。
図26】形状記憶曲線部分が側枝にアクセスする、動脈内の本発明の一実施形態による遠位管状モジュールの一部を示す断面図である。
図27】形状記憶曲線部分が側枝にアクセスする、動脈内の本発明の一実施形態による遠位管状モジュールの一部を示す動脈の断面図である。
図28(a)】大動脈および側枝動脈を有する動脈系の例示的な部分の断面図を示し、本発明による形状記憶曲線部分とガイドワイヤとを有するモジュール式カテーテルが大動脈内に配置されている。
図28(b)】ガイドワイヤが引き抜かれて、曲線部分が屈曲形状をとることを可能にする図28(a)の図を示す。
図28(c)】側枝内にアクセスするためにガイドワイヤと先端部とが整列している図28(b)の図を示す。
図28(d)】側枝に挿入されたカテーテルの先端部および側枝を通ってカテーテルの先端部から延出するガイドワイヤの側面図を示す。
図28(e)】カテーテルがガイドワイヤを介して側枝を通って前進した図28(d)の図を示す。
図29(a)】大動脈および側枝動脈を有する動脈系の例示的な部分の断面図を示し、本発明による屈曲形状の形状記憶曲線部分とガイドワイヤとを有するモジュール式カテーテルが大動脈内に配置されている。
図29(b)】カテーテルが後方に引き抜かれ、側枝の開口部に向かって先端部を曲げるようにトルクをかけられた後の図29(a)の図を示す。
図29(c)】カテーテルの先端部が側枝内にさらに前進した図29(b)の図を示す。
図29(d)】ガイドワイヤが挿入され、カテーテルがガイドワイヤを介して側枝を通って前進した後の図29(c)の図を示す。
図30(a)】大動脈と、大動脈から離れた側枝動脈と、第1の側枝から離れた第2の側枝とを有する動脈系の例示的な部分の断面図を示す。動脈系を通るカテーテルの経路を示す。
図30(b)】図30(a)の断面図を示し、本発明によるモジュール式カテーテルが第2の側枝の開口部を越えて第1の側枝を通って前進した図30(a)の図を示す。
図30(c)】ガイドワイヤが引き抜かれた後に、遠位管状モジュールの曲線部分が屈曲することを可能にしている図30(b)の断面図を示す。
図30(d)】第2の分岐部にモジュール式カテーテルの先端部と曲線部分の一部とが進入している断面図を示す。
図30(e)】ガイドワイヤを介して第2の分岐部を通って前進したカテーテルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1(a)および図1(b)を参照すると、カテーテル100は、概して近位110お
よび遠位120の管状モジュールと呼ばれる少なくとも2つの管状モジュール110、1
20から形成される。各管状モジュールは、少なくとも1つの螺旋状切込み部分を有する
ことができる少なくとも1つの部分を有する。螺旋状切込み部分は、管状モジュールの全
長に沿って延びてもよく、または管状モジュールの1つ以上の部分に沿ってのみ配置され
てもよい。螺旋状切込みは、連続的でもよく、または分断された螺旋状パターンを形成し
てもよい。特定の実施形態では、2つよりも多い管状モジュール、例えば、2、3、4、
5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、
20~、または最大n個の管状モジュールが互いに連結されてもよい。複数の管状モジュ
ール、例えば、2つよりも多い管状モジュールが存在する場合、追加の管状モジュールは
、近位管状モジュールの延長部として機能するか作用する。管状モジュールはハイポチュ
ーブから形成されてもよく、ハイポチューブは特定の実施形態では管状モジュールの一端
に配置された模様付き切込みを含んでもよい。管状モジュールは、同じまたは異なる材料
から形成されてもよく、同じまたは異なる外径または内径を有してもよい。例えば、管状
モジュールは、類似の金属(類似の物理的性質、例えば、最大引張強度(UTS)、%伸
び率または弾性率を有する金属)、2種類の金属、ポリマーから作製することができるか
、ポリマーと金属との組合せから形成することができる。
【0028】
一実施形態では、管状モジュールは、同じまたは異なる隣接する管状モジュールの一端
に配置された複数のスナップ嵌合接続部およびスナップ嵌合受け部によって、互いに接合
されてもよい。
【0029】
スナップ嵌合接続部の構造は様々であってよい。例えば、一実施形態では、スナップ嵌
合接続部は、ステム構造および係止構造を備える。係止構造の対辺の間で測定した場合の
最も広い点での係止構造の幅は、ステムの対辺の間で測定した場合のその最も広い点での
ステム構造の幅よりも大きい。係止構造の形状は様々であってよい。一実施形態では、係
止構造は楕円形であるが、第2の実施形態では、その形状は円形または半円形である。正
方形、長方形、台形、菱形または三角形を含む係止構造の他の形状も本発明に包含される
【0030】
スナップ嵌合受け部は、ステム空洞部と係止空洞部とを備え、反対側の管状モジュール
または隣接する管状モジュール上のスナップ嵌合接続部の反対側に配置される。スナップ
嵌合受け部の構造は、スナップ嵌合接続部の幾何学的構造に対応する切出し像である。
【0031】
図1(a)および(b)は、カテーテル100の構造の概要を示す。図示の実施形態で
は、2つの管状モジュール、近位管状モジュール110および遠位管状モジュール120
が存在する。本明細書で使用される場合、用語「近位」および「遠位」は、管状モジュー
ルのハブ190への近さまたは心血管系への近さを意味する。言い換えれば、近位管状モ
ジュールが、カテーテルの長さに沿って測定した場合に、ハブ190に比較的近く、心臓
から比較的遠くに配置されるのに対して、遠位モジュールは、心臓ひいては冠動脈に対し
て比較的近くに配置される。しかし、これらの用語は相対位置を示すに過ぎず、管状モジ
ュールの構造、長さ、形状または数に関して限定するものではない。
【0032】
近位および遠位管状モジュールは、類似の金属、異なる金属、ポリマー、またはポリマ
ーと金属との組合せから作製することができる。使用され得る材料の例には、ステンレス
鋼(SST)、ニッケルチタン(ニチノール)またはポリマーが挙げられる。使用され得
る他の金属の例には、超弾性ニッケルチタン、形状記憶ニッケルチタン、Ti-Ni、ニ
ッケルチタン、約55~60重量%のNi、Ni-Ti-Hf、Ni-Ti-Pd、Ni
-Mn-Ga、300~400シリーズ、例えば304、316、402、440のSA
Eグレードのステンレス鋼(SST)、MP35Nおよび17-7析出硬化系(PH)ス
テンレス鋼、他のバネ鋼もしくは他の高張力材料または他の生体適合性金属材料が挙げら
れる。好ましい一実施形態では、材料は超弾性または形状記憶ニッケルチタンであり、別
の好ましい実施形態では、材料はステンレス鋼である。
【0033】
本発明の近位および遠位モジュールは、全体として、または選択された部分に限り、一
般に「形状記憶合金」と呼ばれる超弾性合金を含むことができる。そのような形状記憶合
金から作製された要素は、それらが普通の金属から作製された場合に永久変形するであろ
う程度まで変形された後に、それらの元の形状を回復する能力を有する。本発明に有用な
超弾性合金には、Elgiloy(登録商標)およびPhynox(登録商標)バネ合金
(Elgiloy(登録商標)合金は、ペンシルベニア州レディングのCarpente
r Technology Corporationから入手可能、Phynox(登録
商標)合金は、フランス、アンフィーのMetal Imphyから入手可能)、Car
penter Technology corporationおよびペンシルベニア州
ラットローブのLatrobe Steel Companyから入手可能なSAEグレ
ード316ステンレス鋼およびMP35N(ニッケルコバルト)合金、ならびにカリフォ
ルニア州サンタ・クララのShape Memory Applicationsから入
手可能な超弾性ニチノールが挙げられる。これらの合金のうちの1つ以上に関する詳細情
報は、米国特許第5,891,191号に開示されている。
【0034】
用語「超弾性」は、比較的低い引張強度を有し、比較的低い温度で安定であるマルテン
サイト相と、比較的高い引張強度を有し、マルテンサイト相よりも高い温度で安定である
オーステナイト相との少なくとも2つの相を含む超弾性の性質を有する合金を指す。超弾
性特性は、一般に、金属を潰し変形させ、ニチノールをマルテンサイト相に変化させる応
力を生じさせることによって金属を変形させることを可能にする。さらに正確には、マル
テンサイト相からオーステナイト相への変態が完了する温度以上の温度で超弾性特性を示
すニチノールなどの金属の試験片に応力が加えられると、試験片は、合金にオーステナイ
ト相からマルテンサイト相への応力誘起相変態が起こる特定の応力レベルに達するまで弾
性的に変形する。相変態が進行するにつれて、合金では歪みが著しく増加するが、対応す
る応力の増加はほとんどまたは全く伴わない。オーステナイト相からマルテンサイト相へ
の変態が完了するまで、応力は本質的に一定のままであるが、歪みは増加する。その後、
さらに変形を引き起こすためには、さらに応力を増加させる必要がある。マルテンサイト
金属は、さらに応力を加えるとまず弾性的に降伏し、次に永久的な残留変形を伴って可塑
的に降伏する。永久変形が生じる前に試験片にかかる負荷が取り除かれると、マルテンサ
イト試験片は弾性的に回復し、オーステナイト相に戻る。応力の減少は、まず歪みを減少
させる。応力の減少がマルテンサイト相がオーステナイト相に戻るレベルに達すると、試
験片の応力レベルは本質的に一定のままである(しかし、オーステナイト相に完全に戻る
までは、オーステナイト結晶構造がマルテンサイト結晶構造に変態する一定の応力レベル
よりも低い)。すなわち、対応する応力がごくわずかに減少すると歪みが著しく回復する
。オーステナイトに完全に戻った後、さらに応力が減少することにより弾性歪みが減少す
る。負荷がかかると比較的一定の応力で著しい歪みを生じ、負荷が取り除かれると変形か
ら回復するこの能力は、一般に超弾性と呼ばれる。
【0035】
上述のように、好適な超弾性合金には、本質的に49~53原子%のNiからなるニッ
ケルチタン(ニチノール)、本質的に38.5~41.5重量%のZnからなるCu-Z
n合金、1~10重量%のX(X=Be、Si、Sn、AlまたはGa)を含むCu-Z
n-X合金、および本質的に36~38原子%のAlからなるNi-Al合金が挙げられ
る。ニチノールが特に好ましい。ニチノールの機械的性質は、Ti-Ni合金の一部を0
.01~30.0原子%の別の元素X(X=Cu、PdまたはZr)で置き換えること、
または冷間加工の縮小率および/または最終熱処理の条件を選択することによって、所望
通りに変えることができる。使用される超弾性合金の座屈強度(負荷が増加した際の降伏
応力)は5~200kg/mm(22℃)、好ましくは8~150kg/mmであり
、回復応力(負荷が減少した際の降伏応力)は3~180kg/mm(22℃)、好ま
しくは5~130kg/mmである。あるいは、管状モジュールはポリマーから形成さ
れてもよい。ポリマーの例には、ポリイミド、PEEK、ナイロン、ポリウレタン、ポリ
エチレンテレフタレート(PET)、ラテックス、HDHMWPE(高密度高分子量ポリ
エチレン)および熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0036】
管状モジュールは、例えば、超弾性金属のパイプを形成し、次いで、ノッチまたは穴が
形成されることになっているパイプの部分を除去することによって作製されてもよい。レ
ーザ(例えば、YAGレーザ)、放電、化学エッチング、機械的切断、またはこれらの技
術のいずれかを組み合わせて使用することによって、ノッチ、穴または切込みをパイプに
形成することができる。参照によりその全体が本明細書に組み込まれるMoriuchi
らの米国特許第5,879,381号を参照されたい。
【0037】
加熱による変形、および所定の形状、例えば曲線形状への変形の後、管状モジュールを
冷却することができる。次いで、管状モジュールをデリバリーシステム内で変形状態に拘
束して、動脈内への挿入を容易にする。超弾性管状モジュールは、管状モジュールに対す
る物理的拘束を取り除くと、その元の変形していない形状、すなわち曲線に戻ることがで
きる。
【0038】
一実施形態では、近位管状モジュール110は316SSTから作製され、遠位管状モ
ジュール120は17-7SSTから作製される。別の実施形態では、近位管状モジュー
ル110は17-7SSTから作製され、遠位管状モジュール120はニチノールから作
製される。近位管状モジュール110または遠位管状モジュール120のいずれも、同様
に材料の編組組成物から作製されてもよい。他の実施形態では、近位管状モジュール11
0または遠位管状モジュール120のいずれも、ケーブルまたは編組ワイヤから作製され
てもよい。
【0039】
各管状モジュール110、120は、連続的および不連続的な螺旋状切込みパターンの
両方を含むいくつかの異なる種類の螺旋状切込みパターンを有してもよい。同じまたは異
なる管状モジュール上に、異なる螺旋状切込みパターンが分布されてもよい。
【0040】
螺旋状切込み部分は、押し込み性、耐キンク性、回転応答性のための軸方向トルク伝達
、および/または破損までのトルクによって測定した場合、屈曲柔軟性の段階的な移行を
もたらす。例えば、螺旋状切込みパターンは、管状モジュールの1つ以上の領域の柔軟性
を増加させるように変化するピッチを有してもよい。螺旋状切込みのピッチは、2つの隣
接するねじ山の同じ半径方向位置にある点の間の距離によって測定することができる。一
実施形態では、螺旋状切込みがカテーテルの近位位置から遠位端へと進むにつれてピッチ
が増大してもよい。別の実施形態では、螺旋状切込みがカテーテル上の近位位置からカテ
ーテルの遠位端へと進むにつれてピッチが減少してもよい。この場合、カテーテルの遠位
端は比較的柔軟性であり得る。螺旋状切込みのピッチおよび切込みならびに切り込まれて
いない経路を調整することによって、カテーテル、すなわち管状モジュールの押し込み性
、耐キンク性、トルク、柔軟性および耐圧縮性が調整されてもよい。このように、異なる
剛性または柔軟性を有する管状モジュールを組み合わせることができる。例えば、比較的
剛性の管状モジュールと、比較的柔軟な管状モジュールとを組み合わせることができる。
この組合せと、比較的剛性または比較的柔軟な管状モジュールとをさらに組み合わせるこ
とができる。
【0041】
様々な剛性(逆に、柔軟性)を有する管状モジュールを組み合わせることによって、特
に血管の解剖学的構造が蛇行している場合に、または慢性完全閉塞(CTO)など、血管
系の内腔が部分的もしくは完全に損なわれているか閉塞している場合に、カテーテルが多
種多様な血管系内を行き来することができる。モジュール構造はまた、管状モジュールの
ルーメンのキンクまたは狭窄または崩壊を伴うことなく、カテーテルの長さにわたってト
ルクを効果的に伝達する能力をもたらす。様々な剛性または柔軟性を有する管状モジュー
ルのこの組合せにより、カテーテルの柔軟性をその長さにわたって調整することが可能に
なる。さらに、様々な剛性によって、モジュール部分の柔軟性をより剛性の高いものから
より柔軟性の高いものへと変化させてから、再び剛性へと戻すことができる。カテーテル
の長さにわたって柔軟性/剛性をこのように調整することによって、カテーテルが様々な
解剖学的内腔内へ、および内腔閉塞部を横切って前進し、機能することが可能になる。
【0042】
カテーテルの長さにわたる柔軟性/剛性の調整は、いくつかの方法で達成することがで
きる。例えば、螺旋状切込みパターン変数(ピッチ、分断)を変化させ、螺旋状切込みパ
ターン間で推移させることによって、管状モジュールの柔軟性/剛性を制御してもよい。
さらに、螺旋状切込みパターンは、管状モジュールが屈曲しているか湾曲している際に、
ルーメンの断面径を維持することを可能にする。異なる切込みパターンを有する螺旋状切
込み部分が、管状モジュールの長さに沿って分布されてもよい。螺旋状切込みパターンは
、モジュールの長さに沿って連続的または不連続的であってよい。例えば、モジュールの
長さに沿って1、2、3、4、5、6、7~n個の螺旋状切込み部分があってもよい。螺
旋状切込み部分は連続的でも分断されてもよい。各部分内に一定の切込みパターンが存在
してもよいが、管状モジュール内の様々な部分にわたって、例えばピッチに関して、切込
みパターンが変化してもよい。各部分はまた、特定の部分内に可変ピッチパターンを含ん
でもよい。各螺旋状切込み部分は、例えば、約0.05mm~約10mmの範囲内、例え
ば、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.
7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.5mm、2.0mm、2.5mm、
3.0mm、3.5mm、4.0mmなどの一定のピッチを有してもよい。ピッチはまた
各部分内で異なっていてもよい。異なる螺旋状切込み部分のピッチは同じでも異なってい
てもよい。あるいは、カテーテルは、カテーテルの長さに沿って連続的に変化する螺旋状
切込みパターンを有する管状モジュールから形成されてもよい。モジュール内の螺旋状切
込み部分の向きまたは巻き方もまた、螺旋状切込み部分内で異なっていてもよい。
【0043】
螺旋状切込みの幅は、例えば、約1ミクロン~約100ミクロンの範囲で変えることが
できる。
【0044】
分断された螺旋状切込み部分では、螺旋の各旋回または回転が特定の数の切込み(Nc
)(例えば、1.5、2.5、3.5、4.5、5.5など)を含むように、分断された
螺旋状パターンを設計することができる。Ncは、2、3、4、5~nなどの整数、なら
びに2.2、2.4、2.7、3.1、3.3などの他の実数にすることもできる。所与
のNcでは、各回転が、範囲αの切込みのない部分に隣接する範囲βの切込み部分をそれ
ぞれ備えるNc個の反復パターンを有するように、切込みのない範囲αおよび切込み範囲
βをα=(360-(β×Nc))/Ncとして選択することができる。例えば、Nc=
1.5、2.5および3.5では、以下の表がαおよびβについて様々な実施形態の選択
例を示す。
【表1】
【0045】
図1(a)は、2つの管状モジュール、すなわち近位管状モジュール110および遠位
管状モジュール120が互いに接合されているカテーテルの一実施形態を示す。図示の実
施形態では、先端部170が、遠位管状モジュール120の遠位端でクラウン160に取
り付けられている。2つの管状モジュールは継手130で互いに接続される。継手130
は、図1(b)に示すようにスナップ嵌合接続部140とスナップ嵌合受け部150とに
よって形成され、スナップ嵌合接続部140は、スナップ嵌合受け部150内に係止され
るかスナップ嵌めされる。管状モジュールは中空であり、内側ルーメンおよび外壁を有す
る。カテーテル100の一端にハブ190を配置することができ、中間管状部分180が
ハブ190と近位管状モジュール110とを接続する。任意の種類のハブをカテーテルと
ともに使用することができる。
【0046】
図2(b)~(i)は、図2(a)に示す近位および遠位管状モジュールの様々な部分
に使用され得る管状モジュールの螺旋状切込み部分の実施形態を示す。遠位管状モジュー
ル120は、分断された螺旋状切込み部分210(図2(b)に拡大して示す)、220
図2(c)に拡大して示す)および230(図2(d)に拡大して示す)を備える。近
位管状モジュール110は、分断された螺旋状切込み部分240(図2(f)に拡大して
示す)、250(図2(g)に拡大して示す)、260(図2(h)に拡大して示す)お
よび270(図2(i)に拡大して示す)を備える。近位管状モジュールと遠位管状モジ
ュールとの間の継手130を図2(e)に示す。図示の実施形態では、スナップ嵌合接続
部およびスパン嵌合受け部は管状モジュールの外面と面一であり、すなわち、スナップ嵌
合接続部および受け部の外側部分は、管状モジュールの外径を越えて突出していないこと
に留意されたい。
【0047】
図2(a)~図2(i)に示す実施形態では、分断された螺旋状切込みは不連続的なも
のとして表されている。これらの螺旋状切込みの一実施形態の詳細図が図3に示されてお
り、図3は、分断された螺旋状切込みパターンを有する広げられた(または平坦化された
)管状モジュールの一部を示している。管状モジュールの螺旋状切込み管部分は、分断さ
れた螺旋状切込み経路幅330によって実質的に画定され分離された隣接する旋回310
、320を有する単一の螺旋状リボン部分を示す。螺旋状切込み経路幅330は、開放ま
たは切込み部分340および切込みのない部分350を交互に含む。螺旋状経路幅330
は、切込み部分340と切込みのない部分350とから交互に構成され、管状部分の円周
に対して角度が付けられている(言い換えれば、図3に示すピッチ角φは90°未満であ
る)。
【0048】
図3に示すように、螺旋状に配向された切込みのない部分350はそれぞれ弧状の範囲
「α」を有し、螺旋状に配向された切込み部分はそれぞれ弧状の範囲「β」を有する。角
度αおよびβは、度で表すことができる(各完全な螺旋状の旋回は360°である)。切
込みのない部分は、隣接する切込みのない部分350が長手方向軸Lに平行な方向に沿っ
て互いに軸方向に整列しないように(または「互い違いになるように」)分布させること
ができる。図3に示すように、分断された螺旋状切込み幅330の一旋回おきの切込みの
ない部分350は、軸方向に整列させることができる。
【0049】
各管状モジュールの螺旋状切込みパターンは、連続的な螺旋状切込み部分、分断された
螺旋状切込み部分、または両方の種類の螺旋状切込みパターンの混成から形成することが
でき、様々なパターンが任意の順序で配置される。分断された切込み螺旋状モジュールは
、屈曲構成にある間、小さな半径の鋭い屈曲であっても、同心のルーメン領域を維持する
能力を有する。同心のルーメンを維持する能力により、ルーメンを変形させることなく、
管状ルーメン内のいずれの方向でも滑らかなワイヤ移動が可能になる。さらに、螺旋状切
込み区画にニチノールなどの超弾性材料を使用することにより、ルーメンを永久変形させ
ることなく、様々な血管経路を通して区画が急な曲線で屈曲することが可能になる。
【0050】
各管状モジュールの長さは様々であってよい。例えば、近位管状モジュール110の長
さは、約100cm~約140cm、約120cm~約140cm、約125cm~約1
35cmまたは約50cm~100cmの範囲であってよい。遠位管状モジュール120
の長さは、約15cm~約35cm、約10cm~約25cm、約20cm~約45cm
、約30cm~約50cm、約5cm~約15cmまたは約1~5cmの範囲であってよ
い。
【0051】
特定の実施形態では、遠位管状モジュールはマイクロカテーテルに形成されてもよい。
マイクロカテーテルは、ガイドワイヤを介して遠隔血管系にナビゲートすることができる
。マイクロカテーテルは、病変部を横切り、病変部を横切ってガイドワイヤおよび/また
は造影剤を送達し、続いて、例えば、病変部を横切って介入治療要素を展開し、血流を直
ちに回復させることができ得る。介入治療要素は、ステント、コイル、フローダイバータ
ー、血流回復要素、血栓除去要素、回収要素、吸引器またはスネアであってよい。
【0052】
図4(a)~(b)および図5(a)~(b)は、本発明による管状モジュールを連結
するために使用することができるスナップ嵌合接続部およびスナップ嵌合受け部の2つの
異なる好ましい実施形態を示す。実施形態は、管状モジュールが平面的に平坦化されてい
る二次元表示で示されている。図4(a)では、スナップ嵌合接続部140およびスナッ
プ嵌合受け部150によって、この実施形態ではSSTから形成されている近位管状モジ
ュール110が、この実施形態ではニチノールから形成されている隣接する遠位管状モジ
ュールに継手130で接続されている。スナップ嵌合接続部140およびスナップ嵌合受
け部150に加えて、スナップ嵌合接続部/スナップ嵌合受け部140、150の両側に
2つの安定化要素450、451が配置されてもよい。図示の実施形態では、安定化要素
は長方形の形状であるが、安定化要素の形状は長方形の形状に限定されない(例えば台形
、正方形または三角形)。
【0053】
2つの隣接する管状モジュールを接続する複数のスナップ嵌合接続部およびスナップ嵌
合受け部が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10~n個の範囲で存在してもよい。
スナップ嵌合接続部および/またはスナップ嵌合受け部は、近位および/または遠位管状
モジュールのいずれかに配置することができる。例えば、スナップ嵌合接続部が遠位管状
モジュール上にあり得、スナップ嵌合受け部が近位管状モジュール上にあり得るか、ある
いは、スナップ嵌合接続部が近位管状モジュール上にあり得、スナップ嵌合受け部が遠位
管状モジュール上にあり得る。スナップ嵌合接続部とスナップ嵌合受け部とは、隣接する
管状モジュール上で対を形成する。
【0054】
安定化要素は、管状モジュールが独立して回転するのを防ぎ、同心整列を維持し、カテ
ーテルの長さに沿って近位および遠位モジュールを横切るトルクの伝達を可能にすること
ができる。それによって、モジュール式カテーテルのねじれおよび剪断応力の管理が改善
される。材料の剪断応力と歪みとの比は、モジュールの弾性定数(G)である。加えられ
たトルクが材料の内部応力によって均衡化される場合、剪断応力から生じる断面上のトル
クは以下の通りである。
【0055】
トルク(T)=Gθ/L×J
式中、θは回転角であり、Lは部分の長さであり、Jは「断面二次極モーメント(po
lar second moment of area)」として知られている。
【0056】
カテーテルなどの中空シャフトに関して、Jの式は以下の通りである。
【0057】
J=π(D-d)/32
式中、Dおよびdはカテーテル(すなわち管状モジュール)の外径および内径である。こ
れらの方程式は、カテーテルに沿って安全に伝達されて過度のねじれを防ぐことができる
トルクの量の指標をもたらす。
【0058】
安定化要素は、反対側の管状モジュール上の対応する溝460、461に嵌合する舌片
要素450、451として実装することができる。またこの実施形態では、スナップ嵌合
接続部140は、遠位管状モジュール120上に形成された片持ち継手を形成する。図示
の実施形態では、スナップ嵌合接続部140は、ステム部分420によって近位管状モジ
ュールの本体に接続された円形係止部分410を含む。近位管状モジュール110は、円
形部分410を受容するための円形部分430およびステム部分420を受容するための
長方形440部分を含む空間または受け部である対応するスナップ嵌合受け部150を含
む。図4(b)は、図4(a)の2つの管状モジュール110、120および継手130
を分解図で示す。スナップ嵌合受け部150にスナップ嵌合接続部140を挿入すること
によって、管状モジュールが互いに接合される。
【0059】
図5(a)および(b)は、スナップ嵌合継手の別の実施形態を示す。この実施形態で
は、スナップ嵌合接続部510は2つのアーム530、540を有し、各アーム530、
540は、一端に配置されたそれぞれ三角形または台形形状のヘッド(矢印または返し形
とも呼ばれる)550、560を有する。アーム530、540は弾力性を有し、管状モ
ジュールの長手方向軸570に対して横方向に枢動する余裕を有する。図5(b)では、
スナップ嵌合接続部510は、アーム530、540が管状モジュールの長手方向軸57
0に対して横方向に変位している開位置に示されている。アーム530、540は、スナ
ップ嵌合受け部520に挿入されると内側に枢動し、アームと管状モジュールの長手方向
軸との間の角度が減少する。挿入後、三角形状のヘッド550、560は、図5(a)に
示すように再び外側に移動するか撓み、スナップ嵌合受け部520にスナップ嵌合接続部
510を固定する。他の実施形態では、ねじり継手および環状スナップ継手を含むスナッ
プ嵌合継手用の他の設計を使用することができる。
【0060】
図6(a)~図6(j)は、図4(a)および(b)に示す実施形態の様々な斜視図を
示し、ここで近位管状モジュール110および遠位管状モジュール120は、安定化舌片
および溝要素450、460とともに、スナップ嵌合接続部140およびスナップ嵌合受
け部150を使用して互いに連結されている。図6(a)~図6(j)に示す実施形態で
は、安定化要素450およびスナップ嵌合接続部140は、単一の管状モジュール120
の一端に配置されている。他の実施形態では、スナップ嵌合接続部140および安定化要
素450は、複数の管状モジュールに配置され使用される。あるいは、各管状モジュール
は、様々な異なるスナップ嵌合接続部を含むことができる。例えば、図4(a)に示すス
ナップ接続部140は、図5(b)に示すスナップ接続部510と組み合わせることがで
きる。さらに、図6(g)に示す実施形態は、継手130全体またはその一部のみのため
の管状カバー445を示し、管状カバー445は、ポリマーまたは他の材料、例えば金属
から作製することができる。
【0061】
上述のように、遠位または近位管状モジュール110、120のいずれかに配置するこ
とができるスナップ嵌合接続部140は、近位または遠位管状モジュールのいずれかの一
端に片持ち継手610で取り付けることができるステム構造420(図6(c))から形
成されてもよい。取付部は、弾性変形可能な片持ち継手610を形成し、図6(l)にさ
らに示すように、その周りで、ステム構造420および係止構造410が、第1または第
2の管状モジュールの長手方向軸620に平行な線に対して約0°~約90°の範囲の角
度θで屈曲することができる。図6(l)~(o)は、持ち上げられた位置にある片持ち
継手610のスナップ嵌合接続部410の平坦図(管状モジュールが切断され、広げられ
、平らに置かれている)を示す。図6(l)は、持ち上げられた片持ち継手の側面図また
は矢状図である。図6(m)は、管状モジュールの外面を斜めから見た継手を示す。図6
(n)は上面外部から見た継手を示し、図6(o)は管状モジュールの内面から見た継手
を示す。図6(p)~(s)は、スナップ嵌合接続部140が持ち上げられた位置にある
片持ち継手610の斜視図を示す。
【0062】
スナップ嵌合接続部140に加えて、少なくとも1つの安定化要素は、管状モジュール
の1つに450のような舌片要素と、接続モジュールに460のような溝要素とを備える
。安定化要素450は、近位または遠位管状モジュール110、120の端部の円周の周
りでスナップ接続部に対して横方向に配置されてもよい(舌片要素451および溝要素4
61を含む第2の安定化要素も、いくつかの図に示されている(例えば図6(s))。安
定化要素は、限定するものではないが、長方形、台形、正方形、円形または三角形を含む
様々な異なる形状をとってもよい。機能的には、安定化要素450の役割は図6(d)~
(j)に示されている。スナップ嵌合接続部およびスナップ嵌合受け部140、150が
互いに接合されると、安定化要素の形状は、近位および遠位管状モジュール110、12
0が、管状モジュールが接続された継手130で円周方向に回転するのを防止するように
機能する。1つの安定化要素があってもよく(図6(e))、あるいは2つ以上の安定化
要素(図6(j))、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10~n個までの安定化要
素があってもよい。安定化要素は、カテーテルの長手方向の長さに沿った力(トルク)の
伝達を可能にする。
【0063】
2つの管状モジュールを互いに固定するために使用されるスナップ嵌合接続部の形状は
様々であってよい。例えば、一実施形態では、近位管状モジュール110のスナップ嵌合
接続部150は、ステム構造440とともに楕円形の形態の受け部430を有し、スナッ
プ嵌合接続部140は、楕円形の形態の相補的形状410と、スナップ嵌合受け部150
に直接嵌合するステム構造420とを有する。この接合は、管状モジュール110、12
0が互いに接続されている図6(d)~図6(j)、および2つの管状モジュールが分解
図で示されているか、互いに分離されている図6(a)~図6(b)に示されている。図
6(d)~(j)は、いくつかの異なる図からスナップ嵌合継手を示す。図6(d)~(
j)では、安定化要素450およびスナップ接続部140は、遠位管状部材の周りに互い
に対して横方向に配置されている。
【0064】
スナップ嵌合接続部のための他の形状は、個々にまたは他の形状と組み合わせて、半円
形、長円形、三角形、台形または不規則を含めて本明細書に包含される。これらの設計で
は、対辺の間で測定された係止構造410の最大幅は、ステム構造420の幅よりも大き
い。この構成は、スナップ嵌合受け部内にスナップ嵌合接続部140を固定し、まずスナ
ップ嵌合接続部を外すことなくそれらが互いから引き離されるのを防止する。
【0065】
遠位管状モジュール120のスナップ嵌合接続部140の縁部および近位管状モジュー
ル110のスナップ嵌合受け部150の縁部は、図6(t)に示すように、スナップ嵌合
接続部およびスナップ嵌合受け部が確実に接続され、患者に挿入された後に分離したり外
れたりしないように面取りされてもよい。面取りの角度θは、近位および遠位管状モジュ
ールの長手方向軸に沿って形成された線に対して約0°~約90°の範囲であってよい。
角度θは、約5°~約90°、約20°~約70°または40°~約60°の範囲であっ
てよい。スナップ嵌合接続部およびスナップ嵌合受け部はまた、接着剤、はんだ付け、レ
ーザ溶接、リング内への溶接もしくは封入、または継手を覆うジャケット(管状)の固定
によって接合することができる。これらの改造により、スナップ嵌合が面外に持ち上がる
のを防止する。
【0066】
本発明の実施形態によるスナップ嵌合接続部とスナップ嵌合受け部との間の継手の顕微
鏡写真を示す図7(a)~(f)に示すように、スナップ嵌合接続部140とスナップ嵌
合受け部150との間の継手は面一であってよく、すなわち、スナップ嵌合接続部の表面
は、スナップ嵌合受け部の外面(外径)よりも上には突出せず、管状モジュールの外面と
同じ高さである。
【0067】
図8(a)~(h)は、近位管状モジュール110と遠位管状モジュール120との間
の継手の種類の他の実施形態を示す。これらの実施形態では、近位および遠位管状モジュ
ール110、120は、継手135で互いに連結する突出部810、830および受け部
820、840を含む連結形状を有する。図8(a)~(d)に示す実施形態では、突出
部810、830および受け部820、840は、波、正弦波、蛇行または曲線要素の形
態をとる。別の実施形態、図8(e)~(h)では、連結形状137は、三角形またはジ
グザグパターンの形態の突出部815、835および受け部825、845を備える。使
用される突出部および受け部の連結形状はいずれも同じであり得るか、あるいは近位およ
び/または遠位管状モジュール上に複数の種類の突出部および受け部が存在してもよい。
【0068】
一般に、実施形態は、1つ以上、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10~n個の
突出部および受け部を含むことができる。例えば、図8(a)~(h)に示す実施形態で
は、3つの突出部と対応する受け部とが存在する。機能的には、突出部、例えば810、
830および受け部、例えば820、840は、近位および遠位管状モジュール110、
120が、管状モジュールが接続された継手で円周方向に回転するのを防止する。管状の
ジャケットによって連結形状の継手を覆って、継手を固定するのを助けることができる。
【0069】
図9(a)~(c)の断面図に示すように、近位および遠位管状モジュール110、1
20は、同じまたは異なる内径または外径を有してもよい。近位管状モジュール110ま
たは遠位管状モジュール120の外径は、約0.5mm~約1mmの範囲であってよい。
近位管状モジュール110または遠位管状モジュール120の内径は、約0.10mm~
約3.5mmの範囲であってよい。
【0070】
図9(a)に示すように、近位管状モジュール110の内径910と遠位管状モジュー
ル120の内径920とは、同じでもほぼ同じでもよい。さらに、近位管状モジュール1
10の外径930と遠位管状モジュール120の外径940とは、同じでもほぼ同じでも
よい。
【0071】
あるいは、図9(b)に示すように、近位管状モジュール110および遠位管状モジュ
ール120は、同じ内径911、921を有してもよいが、それぞれ異なる外径931、
941を有する(図9(b))。この特定の実施形態では、近位管状モジュール110は
、遠位管状モジュール120の外径941よりも大きい外径931を有する。これは、図
10(a)および図10(b)に示す実施形態で、さらに説明される。この実施形態では
、近位管状部材110と遠位管状部材120との間の継手では、近位管状部材110およ
び遠位管状部材120は、それらの外径931、941の差により、互いに対して90°
の角度を形成する。図10(a)は、遠位管状モジュール120の外径941と比較した
場合の近位管状モジュール110の外径931の差を示す。図10(b)は、図10(a
)の断面図を示す。ここに示す実施形態では、近位細管911と遠位管状モジュール92
1の両方の内径は同じである。
【0072】
さらに別の実施形態では、近位管状モジュール110は、遠位管状モジュール120の
内径922および外径942それぞれよりも大きい内径912および外径932の両方を
有することができる(図9(c))。この差は図10(c)および図10(d)にさらに
示されており、これらは図9(c)に示す実施形態の部分および拡大断面図を示している
。この実施形態では、近位管状部材110と遠位管状部材120との間の継手130では
、継手130での遠位管状モジュール120の内径922および外径942は、近位管状
モジュール110の内径912および外径932と最初は同じである。継手では、遠位管
状モジュール120の内径922および外径942が近位管状モジュール110の内径9
12および外径932よりも小さくなるまで、遠位管状モジュール120の内径922お
よび外径942の大きさが減少する。内径922および外径942の大きさの減少は、線
形または非線形であってよい。
【0073】
近位管状モジュール110または遠位管状モジュール120は、その長さにわたって変
化する直径、例えばテーパ状構成を有することができる。任意の方向にテーパ成形するこ
とができるか、管状モジュールの一部に沿ってのみテーパが存在してもよい。
【0074】
近位管状モジュール110および遠位管状モジュール120の壁厚は、例えば、遠位先
端部に向かって柔軟性を増大させるように変化してもよい。図9(a)に示す実施形態で
は、近位管状モジュール110の壁厚950は、遠位管状モジュール120の壁厚960
と同じでよい。図9(b)および図10(b)に示す実施形態では、近位管状モジュール
110の壁厚951は、遠位管状モジュール120の壁厚961よりも大きい。しかし、
この実施形態では、近位および遠位管状モジュール110、120の内径911、921
が同じままであるのに対して、近位および遠位管状モジュール110、120の外径93
1、941は異なっている。図9(c)、図10(c)および図10(d)では、近位管
状モジュールの壁厚952は、遠位管状モジュールとの継手でテーパ状になっている。同
様に、遠位モジュールの壁厚962は、近位管状モジュールとの継手でテーパ状になって
いる。壁の厚さはテーパ状であってよい。例えば、壁厚952、962は、継手130か
ら離れるにつれて大きくなり、互いに同じでも異なってもよい。1つの管状モジュールか
らの内径または外径のいかなる変化にも、1つの管状モジュールから次の管状モジュール
へのテーパ状であってよい移行を組み入れる。
【0075】
材料、および柔軟性に関する構造的要件に応じて、任意の点での管状モジュールの壁厚
は、例えば、約0.05mm~2mm、例えば、0.05mm~約1mm、約0.1mm
、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8
mm、0.9mm、1.0mmなど、様々であってよい。管状モジュールの内径は、例え
ば、約0.1mm~約2mm、または約0.25mm~約1mm、例えば、約0.2mm
、約0.3mm、約0.4mm、約0.5mm、約0.6mm、約0.7mm、約0.8
mm、約0.9mm、約1mm、約2mm、約2.5mm、約3mmの厚さなど、様々で
あってよい。管状モジュールの外径もまた、例えば、約0.2mm~約3mm、例えば、
約0.2mm、約0.3mm、約0.4mm、約0.5mm、約0.6mm、約0.7m
m、約0.8mm、約0.9mm、約1mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.3m
m、約1.4mm、約1.5mm、約1.6mm、約1.7mm、約1.8mm、約1.
9mm、約2.0mm、約2.5mm、約3mmの厚さを含め、様々であってよい。管状
モジュール壁の壁厚、内径および外径はそれぞれ、管状モジュールの長さにわたって一定
であるか、管状モジュールの長さに沿って変化してもよい。
【0076】
管状モジュール間の継手は、ポリマーなどのジャケットまたはスリーブによって被覆さ
れるか覆われてもよい。図10(a)~図10(d)は、コーティングが2つの別個の部
分、近位管状モジュール110の遠位端、および継手130を覆うコーティング1010
と、遠位管状モジュール120の遠位部分を覆うか被覆する第2のコーティング1020
とを備える実施形態を示す。コーティング1010、1020は、同じでも異なってもよ
い。他の実施形態では、単一のコーティング(すなわち、ジャケットコーティングまたは
スプレーコーティング)を使用することができる。このジャケットまたはスリーブはさら
に、継手の要素を互いに接合し、近位管状モジュール110および遠位管状モジュール1
20が互いに分離するのを防止する。カテーテル100全体またはカテーテル100の一
部のみ、例えば、近位または遠位管状モジュールを被覆することができる。コーティング
またはジャケットは、カテーテルの長さに沿って流体用の導管を提供することができる。
コーティングはまた、2つの管状モジュールが互いに接続されている継手130のみを覆
うように制限されてもよい。あるいは、リングによって継手を覆って、継手130を固定
することができる。図10(e)および図10(f)に概略的に示すように、継手はまた
、接続された管状モジュールをしっかり覆い接合する圧着金属によって覆われてもよい。
図10(e)は圧着金属1035によって覆われた継手135を示し、図10(f)は圧
着金属1036によって覆われた継手137を示す。
【0077】
さらに、近位および遠位管状モジュールの内壁、すなわちルーメンは、管状モジュール
を保護し、ガイドワイヤおよびバルーンなどの追加の器具装置をカテーテルの管を通して
遠位位置まで搬送するのを容易にする内側ライニングによって被覆することができる。内
側ライニングは、近位または遠位管状モジュールの一部に沿って延びることができるか、
管状モジュールの全長にわたって延びることができる。
【0078】
ジャケットおよび内側ライニングは、例えば、多層の単一の共押出ポリマー管状構造に
よって管壁を囲み、管状構造を熱収縮させるか、浸漬塗布法を介して管壁を被覆すること
によって、ポリマーから作製することができる。ポリマージャケットの材料は、ナイロン
、ポリエーテルブロックアミド、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(フ
ッ化エチレンプロピレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、PET(ポリ
エチレンテレフタレート)またはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)であってよい
。さらに、遠位管部分120(またはカテーテル100の全長)は、親水性ポリマーコー
ティングによって被覆されて、潤滑性および追従性(trackability)を向上
させてもよい。親水性ポリマーコーティングは、限定するものではないが、高分子電解質
および/または非イオン性親水性ポリマーを含むことができ、高分子電解質ポリマーは、
ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)塩、ポリ(メタクリルアミド-コ-アクリル酸
)塩、ポリ(アクリルアミド-コ-メタクリル酸)塩などを含むことができ、非イオン性
親水性ポリマーは、ポリ(ラクタム)、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ
ウレタン、アクリル酸およびメタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、ポリビニル
アルコール、ポリビニルエーテル、シナピン酸無水物系コポリマー(snapic an
hydride based copolymer)、ポリエステル、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、ヘパリン、デキストラン、ポリペプチドなどであってよい。例えば、米国
特許第6,458,867号および米国特許第8,871,869号を参照されたい。浸
漬塗布法によって、または管の外面および内面にコーティングをスプレーすることによっ
て、コーティングを施すことができる。
【0079】
スプレーコーティング法では、ノズル装置を使用して装置の表面にコーティング製剤が
塗布される。この装置は、コーティング製剤を収容するためのチャンバと、チャンバと流
体連通する開口部とを有し、開口部を通してコーティング製剤を分注し、表面に堆積させ
ることができる。カテーテルの管状モジュールの表面にコーティング製剤を塗布するため
に、ノズル装置のチャンバに配合物を入れ、導体を用いて高電圧を用いて帯電させる。チ
ャンバ内のコーティング製剤が帯電すると、導体と同じ電荷を帯びる。その結果、配合物
と導体とは互いに反発する。この反発力により、ノズルの開口部を通してコーティング製
剤を放出して、液滴の流れを作り出す。コーティング製剤を噴霧するために、追加のガス
源を使用することができる。
【0080】
管状モジュール110、120の一方または両方は、フィラメント1100をさらに含
むことができる。図11(a)~図11(e)は、遠位管状モジュール120の周りに巻
き付けられたフィラメント1100を描いている。図11(a)~図11(c)では、フ
ィラメント1100は遠位管状モジュール120の周りに螺旋状に巻き付けられている。
図11(a)および図11(b)は、カテーテル、すなわち管状モジュールを真っ直ぐな
構成で示し、図11(c)は、カテーテル、すなわち管状モジュールを湾曲した構成で示
す。一般に、フィラメント1100は、遠位管状モジュール120の外面に配置され、遠
位管状モジュール120の全部または一部を取り囲む。フィラメント1100は、遠位管
状モジュール120の周りを螺旋状に進み、管状モジュールの外面に螺旋構造を形成する
。特定の実施形態では、近位管状モジュールの周りに螺旋状フィラメントを巻き付けるこ
とができる。フィラメントは、管状モジュールの周りに時計回りまたは反時計回りに巻き
付けられてもよい。
【0081】
フィラメント1100は、様々な異なる方法で管状モジュールに接着するか取り付ける
ことができる。一実施形態では、フィラメント1100は、管状モジュールにしっかりと
連結され、その周りの1つ以上のバンドまたはカバーと管状モジュールとを適合させる。
他の実施形態は、管状モジュールの中または上にフィラメントを楔で留めるか、引っ掛け
るか、取り付けるか、接合するか、接着することを含むことができる。図11(a)は、
遠位管状モジュール120にフィラメント1100をしっかりと固定するバンド1102
、1104を示す。さらに、いくつかの実施形態では、管状モジュールのうちの1つ以上
を覆うジャケットは、フィラメント1100も同様に覆う。このカバーは、管状モジュー
ルに対してフィラメントを定位置にしっかりと固定する。
【0082】
ジャケットの上に滑らかなコーティングまたはフィルムを追加して、血管を通るカテー
テルの移動を容易にしてもよい。滑らかなコーティングは、例えば、シリコーンまたはヒ
ドロゲルポリマーなど、例えば、ビニルポリマー、ポリアルキレングリコール、アルコキ
シポリエチレングリコールまたは未架橋ヒドロゲル、例えば、ポリエチレンオキシド(P
EO)のポリマーネットワークから構成することができる。
【0083】
図11(d)および図11(e)などの他の実施形態では、フィラメント1100は、
管状モジュールのうちの1つ以上のコーティング1020に螺合されている。図11(d
)および図11(e)は、遠位管状モジュール120の外面に取り付けられたフィラメン
トの断面図を示す。図11(d)および(e)に示すように、フィラメント1100の断
面図は円形であってよい。あるいは、フィラメント1100の断面は、異なる形状、例え
ば、正方形、長方形、三角形、六角形、半円形または長円形を有してもよい。フィラメン
ト1100は、例えば、新生プラーク領域および標的血管の再狭窄区画など、細いテーパ
直径の血管、または動脈壁内の閉塞区画を通してねじ込む(またはねじって外す)ために
使用されてもよい。フィラメント1100が血管および/または閉塞区画と接触し、カテ
ーテルにトルクが加えられると、フィラメントは、標的血管に到達するために、中間血管
およびプラークを通るカテーテルの前進運動を容易にする。例えば、カテーテルシステム
100を回転させる際に、フィラメント1100を使用して、石灰化したアテローム性プ
ラークの穿孔または削孔を容易にすることができる。フィラメント1100は、回転運動
を直線運動に変換し、トルクを直線力に変換し、それによって、特に比較的石灰化が進ん
だ領域に、カテーテルが血管を通って進むことをさらに容易にする。フィラメント110
0はまた、血管の壁に対して締付力を作り出すことによって、血管内の特定の位置にカテ
ーテルを固定するなどの固定機構として使用することもできる。カテーテルを除去するに
は、血管の壁が剥がれないようにするために、カテーテルを同じねじ様の動きを用いて反
対方向に後退させなければならない。円形断面は、その丸みを帯びた表面のために、動脈
壁への損傷を最小限に抑える。螺旋状ねじ山のピッチ角は一定のままであってよい。螺旋
状ねじ山区画をモジュールの外側に接着させることにより、螺旋状区画の長さにわたって
ピッチ角を一定に保つことが可能になる。
【0084】
フィラメントは、管状モジュール110、120と同じ材料でも異なる材料でもよい。
あるいは、いくつかの実施形態では、フィラメント1100はポリマー製であり得る。
【0085】
近位管状モジュール110および遠位管状モジュール120は、図12(a)~図12
(d)および図14に示すように、壁を貫通する少なくとも1つの追加の切込み開口部を
含むことができる。切込み開口部は、同じまたは異なる管状モジュール上にあってよい。
【0086】
図12(a)~(d)に示される第1の切込み開口部1200は、分断された螺旋内に
配置することができる。第1の切込み開口部1200は、管状モジュールの長手方向軸1
400に対して直角に配向され得るか、または長手方向軸1400に対してある角度で配
置され得る。図13に示すように、フィラメント1100は、第1の切込み開口部120
0で管状モジュールに取り付けることができる。
【0087】
図14に示すように、第2の切込み開口部1300は、概して「L」の形態に成形され
てもよく、先端部170が管状モジュール120に固定されるクラウン160の近くまた
はクラウン160に隣接して、管状モジュール120の遠位端に配置される。一実施形態
では、第1の切込み開口部1200および第2の切込み開口部1300は、同じ管状モジ
ュールに配置される。図15(a)~(c)に示すように、フィラメント1100は、第
2の切込み開口部1300に取り付けることができる。
【0088】
切込み開口部1200、1300の壁は面取りされるか、角が削られてもよい。面取り
の角度θは、管状モジュールの長軸1400に対して約20°~約70°または約40°
~約60°の範囲であってよい。切込み開口部1200、1300の形状は様々であって
よく、楕円形、正方形、L字形(図14の1300を参照)、V字形、曲線状または円形
であってよい。
【0089】
図14図15(a)~図15(c)および図16(a)~図16(f)は、遠位管状
モジュール120の遠位端がクラウン160を有する一実施形態を示す。クラウン160
は、正弦波形状または概して波形(蛇行)形状とすることができる複数の閉じた曲線要素
から作製されてもよい。一実施形態では、例えば、5~20個の範囲の複数の曲線要素が
あってよい。図15(a)~(c)は、先端部170が遠位管状モジュール120に取り
付けられている実施形態を示す。フィラメント1100は、遠位管状モジュール120の
遠位端160の切込み開口部1300に取り付けられる。遠位管状モジュール120およ
び先端部170は、ジャケット175によって覆われてもよい。ジャケットは、遠位管状
モジュール120の遠位端160に先端部170を固定するように作用することができる
【0090】
図16(a)~(d)に示す一実施形態では、先端部170に遠位管状モジュール12
0の遠位端160を取り付けることができる。先端部は、中空管状体を備えてもよく、図
16(a)および図16(b)に示すように円錐状にテーパ状になっていてもよい。さら
に、先端部の中空管状体にねじを切ることができる。先端部170はジャケット175に
よって被覆されてもよい。図16(c)は比較的細長い先端部171の図を示し、図16
(d)は比較的短い先端部172の図を示す。先端部は、カテーテルまたは近位もしくは
遠位管状モジュールと比較して、テーパ状、デュロメータ、剛性、形状、長さ、放射線不
透過性、輪郭および組成の点で異なるように構成されてもよい。先端部は、形状記憶を有
する超弾性合金から作製することができる。先端部の形状は熱処理により設定することが
できる。例えば、先端部は、金などの放射線不透過性材料から作製されてもよいか、放射
線不透過性材料を組み込んでもよい。
【0091】
図16(e)および(f)に示すように、クラウン160の曲線構造(例えば、突起)
により、クラウンの表面積(SA1)は、遠位管状モジュールの遠位端の表面積(SA2
)よりも大きくなり得る。クラウンの比較的大きな表面積は、クラウン160と先端部1
70との間の比較的大きな表面積の接触、ひいては結合を可能にする。
【0092】
図17(a)~(c)に示すように、フィラメント1100は、近位または遠位管状モ
ジュール110、120の両方の周りに螺旋状に巻き付けることができ、また先端部17
0の周りに螺旋状に巻き付け続けることができる。図17(b)に示すように、先端部が
ねじ山を含む中空管である実施形態では、フィラメントは先端部のねじ山に嵌合すること
ができる。フィラメント1100は、先端部170の全部または一部のみの周りを進んで
もよい。フィラメントは、モジュールの周りに時計回りまたは反時計回りの螺旋状に巻き
付けられてもよい。他の実施形態では、それ自体のねじ構造を有する先端部が製造されて
もよい。先端部のフィラメントはジャケットによって覆われてもよい。
【0093】
図19(a)および図19(b)に示す別の実施形態では、クラウン160の突起と直
接係合するかどうかにかかわらず、遠位管状モジュールの遠位端にリエントリー先端部を
連結することができる。カテーテルリエントリーの詳細な説明は、参照によりその全体が
本明細書に組み込まれる「Vascular Re-entry Catheter」と
題され、共同所有および譲渡された米国特許出願第14/854,242号に見出される
。モジュール式カテーテルをリエントリー先端部とともに使用すると、切開面の作成後に
真腔にリエントリーすることを含む処置に使用することができる。
【0094】
リエントリー先端部の例を図18(a)~図18(d)に示す。図18(a)は、滑ら
かな表面と、リエントリー先端部の両側に配置された2つのウイングとを有するリエント
リー先端部1810である。図18(b)は、先端部の全体直径の周りのその表面にくぼ
みを有するリエントリー先端部1820である。図18(c)は、先端部の全体直径の周
りのその表面のくぼみと、リエントリー先端部の両側に配置された2つのウイングとを有
するリエントリー先端部1830である。図18(d)1840は、滑らかな表面を有し
、ウイングがないリエントリー先端部である。
【0095】
図19(b)~図19(c)に示すように、モジュール式カテーテルシステム100は
、少なくとも1つのサイドポート1900をさらに備えることができる。図19(a)お
よび図19(d)に示すように、いくつかの実施形態は、2つのサイドポート1900a
、1900bを有する。3つ以上のサイドポートを使用することができる。複数のサイド
ポートを有する実施形態では、サイドポートはいずれも、カテーテルシステム100の長
さに沿って直線的に整列させることができる。他の実施形態では、サイドポートはカテー
テルシステム100の直径の周りに整列させることができる。サイドポートは、カテーテ
ルシステム100の長さに沿って均等に離間させることができるか、特定の位置に離間さ
せることができる。別の実施形態では、サイドポートは遠位管状モジュール120上にの
み配置される。
【0096】
図19(a)を参照すると、サイドポート1900aおよび1900bは、互いに約1
80°、例えば約180°(±10°)離れて、半径方向にずらして配置され得る。リエ
ントリー先端部1810も、約180°の間隔を置いて配置されたウイング1811、1
812を含む。一般に、ウイングに対するサイドポートの半径方向の変位は、約0°~9
0°、例えば、10°、20°、30°、50°、70°および80°の範囲であってよ
い。一実施形態では、サイドポートの位置は、ウイングから約90°半径方向にずれてい
てもよい。このようにして、2つのウイング1811および1812が動脈の内膜下空間
内に安定した構成で配置された際に、ポート1900aは動脈の真腔に向いているか対向
してもよく、ポート1900bが反対側に面してもよい。
【0097】
サイドポートは、形状が対称であってよく、円形、半円形、卵形、半卵形、長方形また
は半長方形であってよい。サイドポートは、同じ形状および大きさ(すなわち、表面積)
を有してもよいか、互いに異なっていてもよく、リエントリーワイヤまたは別の医療装置
がポートを通過することを可能にするように構成される。ポートの寸法は、例えば、約0
.05mm~約1.0mmの範囲の直径を有する様々な種類の医療装置またはワイヤを収
容するように調整されてもよい。Erglisら、Eurointervention
2010:6,1-8。遠位管部分120は、所望に応じて、その長さ方向に沿って半径
方向に分布された3、4、5、6、7、8~n個のポートなどの3つ以上の出口ポートを
含むことができる。
【0098】
サイドポートは面取りされてもよい。サイドポートの面取りされた構成は、屈曲した先
端部を有するリエントリーワイヤがサイドポートから滑らかに出て後退するのを容易にす
ることができる。面取りの角度θは、10°~約90°、約20°~約70°または40
°~約60°を含む約0°~約90°の範囲であってよい。
【0099】
一実施形態では、血管内腔内でのカテーテル100の位置決めをX線撮影によって視覚
化するのを支援するために、少なくとも2つの放射線不透過性マーカーが遠位管状部分1
20に沿って配置される。マーカーは、放射線不透過性材料、例えば、ワイヤコイルまた
はバンドの形態の金属白金、白金-イリジウム、Ta、金など、蒸着堆積物、ならびに放
射線不透過性粉末または充填剤、例えば、ポリマーマトリックス中に包埋または封入され
た硫酸バリウム、三酸化ビスマス、次炭酸ビスマスなどを含むことができる。あるいは、
マーカーは、放射線不透過性ポリウレタンなどの放射線不透過性ポリマーから作製するこ
とができる。マーカーは、遠位管状部分の外側シースを取り囲むためのバンドの形態であ
ってよい。
【0100】
バンドとして構成された放射線不透過性マーカーを使用して、遠位管部分120が対象
の解剖学的構造内で操作されている間にサイドポートの位置を決定するのを容易にするこ
とができる。マーカーはまた、対応するサイドポートとの特定の整列を形成する部分的な
バンドまたはパッチとして構成することができる。例えば、1つのマーカーをサイドポー
ト1900aと軸方向に整列させることができ、第2のマーカーをサイドポート1900
bと軸方向に整列させることができる。したがって、サイドポート1900aおよび19
00bの半径方向に対向する構成と同様に、マーカーも互いに半径方向に対向している。
このようにして、マーカーの視覚化を使用して、それぞれのサイドポートの向きを決定す
ることができる。マーカーは、ポートの向きの決定を容易にするために、異なる形状、例
えば、部分的に円周状のバンド、または任意の他の所望の形状に構成することができる。
【0101】
マーカーはまた、それぞれのサイドポート1900aおよび1900bの周囲を囲む表
面パッチとして構成することもできる。そのような実施形態では、視覚化することができ
るマーカーの位置はサイドポートの位置に直接対応する。
【0102】
マーカーは、それらが適切なX線撮影による支援によって視覚化することができるよう
に、十分な大きさおよび好適な構成/構造(例えば、放射線不透過性材料の種類、放射線
不透過性材料の充填量など)を有する必要がある。
【0103】
管状モジュールの部分の可変性の柔軟性はまた、側枝アクセスが必要とされるか、中枢
神経系などで蛇行した血管系に遭遇する外科的処置を容易にする。素管の材料の機械的性
質、管の寸法(OD/ID)、壁厚、管に沿った切込みパターンから生じる切込み管の機
械的性質(材料組成、UTS、%伸び率、弾性率)からの多種多様な組合せと、材料と機
械的性質との他の組合せ(UTS、切込みピッチ角、切込み幅、螺旋状切込み円弧長、お
よび次の螺旋状円弧切込みとの間の切り込まれていない螺旋状間隔を定義する式)とを使
用する能力を考えると、これらはいずれも、設計者が切込み管の走行長にわたって規定さ
れた様々な機械的性質を調整できるようにする。剛性、柔軟性、および形状記憶性の使用
などの結果として得られるそのような性質は、予め設定された曲線形状を画定し、プログ
ラム可能かつ変更可能である。
【0104】
さらに、そのような誘導された形状記憶形態は、遠位管状区画の切込みおよび形状処理
部分に沿って抵抗負荷力を介して真っ直ぐにするか縮小し、維持して、管の形状設定部分
を配向させて、カテーテルを血管標的まで前進させることを可能にするであろう直線状の
同心同軸構成に戻すために、さらに大きな力を必要とするであろう。
【0105】
管状モジュールの多種多様な構造的形状の組合せを作り出すために一緒に構築されたそ
のような変数。これらの構造的形状は、曲線形状のバネ定数を超える機械的変形特性を示
すワイヤ追従、例えばガイドワイヤを介して管状モジュールを前進させることによって、
容易に一時的に直列に縮小させることができる。この一時的な変形は、ガイドワイヤを介
して、血管の解剖学的構造を通してカテーテル(管状モジュール)を前進させることを可
能にする。簡単に言えば、成形曲線部分のバネ定数は、それが追従しているワイヤ区画の
それよりも小さい。保持ガイドワイヤ区画のバネ定数が設定された曲線形状のバネ定数よ
りも小さくなると、追加の他の外力または血管の閉じ込めによる影響を受けない限り、切
込み形状の管区画はその所定の形状に戻る。
【0106】
本発明の遠位モジュールは、形状記憶を適用することによって、屈曲したり、引っ掛か
ったり、あるいは曲線形状の定位置に設定されたりする部分を含むことができる。上述し
たように、ニチノールを含む超弾性合金は、この性質を有し、加熱によって変形すること
ができる。図20(a)および図20(b)は、この特徴を含む本発明によるカテーテル
の遠位端の側面図および端面図をそれぞれ示す。側面図に示すように、遠位管状モジュー
ル2020の一部は、その遠位端で屈曲する曲線部分2030を含む。屈曲部は、湾曲、
正弦曲線、非線形部分、角状、山、谷、波状、曲線および螺旋状のうちの少なくとも1つ
であってよい。屈曲部は可変剛性を有することができる。屈曲部は、細長部材の残りの部
分よりも大きい剛性係数を有することができる。
【0107】
曲線部分は、管状モジュールの長手方向軸(L、図21(a))に対して約0°~約1
80°屈曲することができる。この部分の曲線形状は様々であってよく、平坦、単純湾曲
、複雑湾曲、逆湾曲または二重湾曲を含んでもよい。曲線部分の長さは様々であってよく
、管状モジュールの一部のみまたは全体の長さを包含してもよい。図20(a)に示す実
施形態では、曲線部分2030は、ガイドワイヤなどの力を加えてその構成を真っ直ぐに
するか、そうでなければその構成を変化させない限り45°をとる。管状モジュールのル
ーメンに挿入され管状モジュールのルーメンと同軸であるガイドワイヤなどの様々な手段
を介して力が加えられてもよい。図20(b)の端面図は、遠位管状モジュールのルーメ
ン2050を示す。ルーメンのこの断面は、曲線部分2030の屈曲中に一定のままであ
る。この一定の断面ルーメンは、血管系を通るワイヤおよび他の装置の通過を容易にする
【0108】
カテーテルは、管状モジュールのルーメンを通過することができるガイドワイヤを含む
ことができる。管状モジュールは、ガイドワイヤを介して動脈内に通すことができる。ガ
イドワイヤは典型的には比較的細く、約0.254mm~0.457mmほどの直径を有
する。ガイドワイヤは、ガイドワイヤの近位端からガイドワイヤの遠位端へ回転を伝達す
ることができる。この伝達により、医師が、患者の動脈の分岐部を通してガイドワイヤを
制御可能に操縦し、冠動脈内の目的の標的部位までカテーテルを操作することが可能にな
る。さらに、ガイドワイヤの遠位端は、ガイドワイヤの遠位部分が、鋭く湾曲し蛇行した
冠状の解剖学的構造を通過することを可能にするのに十分に柔軟である必要がある。
【0109】
血管形成術に使用される一般的なガイドワイヤ構成の中には、米国特許第4,545,
390号に示されている種類のガイドワイヤがある。そのようなワイヤは、テーパ状の遠
位部分と、テーパ状の遠位部分の周りに取り付けられた螺旋状コイルとを有する、典型的
にはステンレス鋼から形成された細長い可撓性シャフトを含む。シャフトの略テーパ状の
遠位部分は、コイルのためのコアとして作用し、医師が患者の血管を通してガイドワイヤ
を制御可能に操縦することができるように、血管の解剖学的構造の曲線をたどりながら、
ガイドワイヤの近位端から遠位端まで依然として回転を伝達することができるように構成
された、遠位部分の柔軟性が増大したガイドワイヤをもたらす。ガイドワイヤの特性は、
ガイドワイヤの遠位先端部としての構造の詳細の影響を著しく受ける。例えば、ある種類
の先端部構造では、テーパ状コアワイヤは、螺旋状コイルを貫通してコイルの遠位先端部
まで完全に延び、コイルの遠位先端部で滑らかに丸みを帯びた先端溶接部に直接取り付け
られる。そのような構造は、典型的には、狭い狭窄部を通してガイドワイヤを押し込もう
と試みる際に使用するのに特に適した比較的堅い先端部をもたらす。高度なカラム強度に
加えて、そのような先端部はまた優れたねじり特性を示す。
【0110】
別の種類の先端部構造では、テーパ状コアワイヤは先端溶接部の手前で終端する。その
ような構造では、一方の(近位)端部でコアワイヤに、他方の(遠位)端部で先端溶接部
に、非常に薄い金属リボンを取り付けるのが一般的である。リボンは、コイルが破損した
場合に、コアワイヤと遠位先端溶接部との間の接続を維持するための安全要素として機能
する。リボンはまた、ガイドワイヤを操作し操縦する際に望ましいように、リボンに形成
された屈曲部を保持して、先端部を屈曲構成に維持するのに役立つ。さらに、先端溶接部
の手前でコアワイヤを終端させることによって、コアワイヤの遠位端部と先端溶接部との
間の螺旋状コイルの区画が極めて柔軟かつ可撓性に富むものとなる。可撓性先端部は、血
管系が高度に蛇行し、ガイドワイヤが血管への外傷を最小限に抑えながら蛇行した解剖学
的構造に順応しかつ追従することができなければならない状況に望ましい。別の種類の先
端部構造では、成形リボンと同じ機能を果たすがコアワイヤと一体の単一片として機能す
るように、コアワイヤの最も遠位の区画を平らに打ち伸ばす(平らに落とし込む)。平ら
に落とし込まれた区画の先端部は先端溶接部に取り付けられる。
【0111】
ガイドワイヤは当技術分野で周知であり、本発明のカテーテルを使用するためのガイド
ワイヤの適切な選択は、介入的心臓病専門医または介入的放射線科医などの医療専門家に
よって行われ得る。
【0112】
図21(a)および図21(b)は、本発明によるカテーテルの遠位端の別の実施形態
の側面図および端面図を示す。この実施形態では、遠位管状モジュール2120は、その
遠位端に、曲線部分2130が遠位管状モジュールの残りの部分(すなわち、水平軸)に
接続する点から先端部2140まで自然に90°屈曲する曲線部分2130を含む。曲線
部分は、力を加えてその構成を真っ直ぐにしたり、他の方法で変化させたりしない限り、
90°屈曲する。図21(b)の端面図は、遠位管状モジュールのルーメン2150を示
す。このルーメンは、遠位管状モジュール内で一定の断面を維持することができ、ルーメ
ンは曲線部分2130内で維持される。
【0113】
図22は、本発明によるカテーテルの遠位端のさらに別の実施形態の側面図を示す。こ
の実施形態では、遠位細管モジュール2220の曲線部分2230は、先端部2240が
遠位管状モジュールの方を向き、遠位管状モジュールの長手方向軸Lとほぼ平行に整列す
るように、さらに約180°まで屈曲する。
【0114】
図23図25は、管状モジュールがガイドワイヤとともに曲線部分を含む手順の3つ
の部分を示す。本発明とともに任意の従来のガイドワイヤが使用されてもよい。例えば、
ガイドワイヤの中心コアは、ステンレス鋼、Durasteel(商標)またはニチノー
ル/Lastinite(登録商標)から形成されてもよい。ガイドワイヤをポリマース
リーブまたはコイルバネ先端部によって覆い、滑らかなコーティングによって被覆しても
よい。
【0115】
図23は、管状モジュール2320および先端部2340を貫通するガイドワイヤ23
10上に遠位管状モジュール2320を通すことによって真っ直ぐにされた曲線部分23
30を有する遠位管状モジュールを示す断面図である。示されるように、ガイドワイヤ2
310は、遠位管状モジュール2320の端部を貫通し、形状記憶曲線部分2330を通
過し、管状モジュールの先端部2340を越える。この位置では、ガイドワイヤ2310
は、遠位管状モジュール2320の長手方向軸(L)に対して曲線部分2330を整列さ
せるか真っ直ぐに保ち、曲線部分がその形状記憶に従って屈曲するのを防止する。言い換
えれば、曲線部分2330のバネ定数は、遠位管状モジュール2320が追従しているガ
イドワイヤ2310区画のバネ定数のそれよりも小さい。保持ガイドワイヤ2330区画
のバネ定数が曲線部分2330のバネ定数よりも小さい場合、曲線部分2330は、追加
の他の外力または血管の閉じ込めによる影響を受けない限り、その所定の形状に戻る。
【0116】
図24では、ガイドワイヤ2310は、先端部2340から、遠位管状モジュール23
20の予め設定された曲線部分2330内の距離(L1)を左方向に(矢印で示すように
)引き抜かれている。図24に示すように、ガイドワイヤ2310が引き抜かれると、予
め設定された曲線部分2330は屈曲し始め、上述のようにその所定の形状をとる。
【0117】
図25では、ガイドワイヤ2310は、曲線部分2330内の図24に示す位置からさ
らに引き抜かれている(すなわち、L2>L1)。その結果、曲線部分2330は、先端
部2340が向く方向と遠位管状モジュール2320の長手方向軸Lとの間の角度(Ψ)
が90°よりも大きくなるように、その形状記憶に従って屈曲し続ける。屈曲の範囲は、
長手方向軸Lに対して約0°~約180°の範囲である。この実施形態では、この位置に
ある遠位管状モジュールの遠位端は、「シェパードフック」の形状に構成され、この構成
では、動脈系の側枝にアクセスするように、または蛇行した血管系内にアクセスするよう
に良好に適合される。
【0118】
図26は、側枝動脈アクセスに適用することができるような形状記憶を有する曲線部分
を有するカテーテルおよび遠位管状モジュールの一例を示す。図には、大動脈分岐部26
02と、大動脈2602に合流し分岐する側枝動脈2604とが示されている。遠位管状
モジュール2620を含むカテーテルの遠位端が、予め設定された曲線部分2630およ
び先端部2640とともに示されている。図では、ガイドワイヤ2610は曲線部分26
30から引き抜かれており、曲線部分が管状モジュールの長手方向軸に対して約180°
まで屈曲することを可能にしている(前出の図23図25のLを参照)。
【0119】
遠位管状モジュール2620を含むカテーテルが動脈内で横方向に動かされると、曲線
部分2630は側枝2604に入ることができる。ハブを回転させることによってカテー
テルにトルク力を加えてもよく、それによって近位および遠位管状モジュールを中心軸の
周りで回転させることができることに留意されたい。
【0120】
図28(a)は、単一の側枝動脈(側枝とも呼ばれる)2804とともに主血管280
2を備える動脈系の断面図を示す。図示の例では、大動脈2802の直径は、第1の側枝
2804の直径よりも大きい。遠位管状モジュール2820が動脈2802内に配置され
て示されており、ここで遠位管状モジュールは側枝動脈2804を越えて延びる。ガイド
ワイヤ2810は、遠位管状モジュール2820の端部と先端部2840とを越えて延び
る。ガイドワイヤ2810はテーパ部2814を含む。上述のように、ガイドワイヤ28
10は、遠位管状モジュール2820の予め設定された曲線部分2830を真っ直ぐにす
る。
【0121】
図28(b)は、ガイドワイヤ2810が遠位管状モジュール2820から部分的に引
き抜かれ、曲線部分2830が屈曲するのを可能にすることを示す。先端部2840とガ
イドワイヤ2810のテーパ状端部2814とは、曲線部分2830の屈曲に従って位置
を変え、動脈2804の側枝に入るか、側枝2804に入ることができるように先端部2
840を配置する。
【0122】
図28(c)では、ガイドワイヤ2810が遠位管状モジュール2820からさらに引
き抜かれている。先端部2840とガイドワイヤ2814のテーパ状端部とは、側枝28
04の軸と整列している。
【0123】
図28(d)では、ガイドワイヤ2814のテーパ状端部は、先端部2840を越えて
側枝2804内に延びている。次いで、図28(e)では、遠位管状モジュール2820
がガイドワイヤ2810を介して側枝2804を通って下方に進められる。
【0124】
図29(a)は、動脈側枝へのアクセスを可能にするための別の方法を示す。示される
ように、予め設定された曲線部分2930と先端部2940とを含む遠位管状モジュール
2920が、ガイドワイヤが引き抜かれた状態で大動脈2902内に配置されている。予
め設定された曲線部分2930と先端部2940とは、大動脈2902と側枝2904と
の接合部を越えて(前進方向に)配置されている。予め設定された曲線部分2930の形
状記憶のため、この部分と先端部とは、屈曲して、またはシェパードフック位置に示され
ている。図示の例では、先端部は長手方向軸と平行に、後進方向に180°屈曲している
。予め設定された屈曲は、他の角度(例えば、45°、90°、120°など)でもあり
得る。この位置から遠位管状モジュール2920を引き抜くと、トルク力2945を加え
て、遠位管状モジュール2920を時計回りまたは反時計回りに回転させることができる
。次いで、遠位管状モジュール2920を側枝2904に挿入することができる。
【0125】
図29(c)は、図29(b)に示す位置から側枝2904内にさらに進入した遠位管
状モジュール2920および先端部2940を示す。図29(c)では、先端部は側枝2
904の軸との整列に近づく。
【0126】
図29(d)は、第1の側枝2904を通る遠位管状モジュール2920の継続的な前
進を示す。ガイドワイヤ2910を使用して、曲線部分2930を真っ直ぐにして、カテ
ーテルが側枝2804の内腔を通って進むことを可能にすることができる。遠位管状モジ
ュールの設計された柔軟性のために、遠位管状モジュールは鋭い回転角度2924に適応
するように屈曲することができる。
【0127】
要するに、両方の単一側枝アクセス方法では、遠位管状モジュールの予め設定された曲
線部分がフックのように使用されて、側枝内へ前進するための確実な固定を作り出し、最
終的に複数の動脈血管および側枝を通してカテーテルを前進させることを可能にする。
【0128】
図30(a)は、大動脈3002、側枝動脈3004、および側枝3004から出てく
る副側枝3006を含む動脈系を示す。大動脈3002および2つの側枝3004、30
06を通してカテーテルを前進させるための経路3008が示されている。図30(b)
は、図28(a)~図28(e)および図29(a)~図29(d)に関して上述した方
法で側枝3004を貫通する遠位管状モジュール3020を示す。先端部3040とガイ
ドワイヤ3014のテーパ状端部とは、第2の分岐部3006の軸に対してほぼ直角に延
びる。図30(c)では、ガイドワイヤ3010は部分的に引き抜かれており、トルク力
3045、3046が遠位管状モジュール3020に加えられている。カテーテルの構造
のために、先端部3040および曲線部分3030に(湾曲した矢印3046によって示
されるように)トルクが伝達される。トルク力は、第1の分岐部3004の軸から離れる
方向に先端部3040を曲げる。図30(d)に示すように、トルク力と横方向運動との
組合せにより、先端部3040が第2の側枝3006にアクセスすることができる。図3
0(e)では、ガイドワイヤ3010は遠位管状モジュール3020および先端部304
0を通って前進し、遠位管状モジュール3020が、ガイドワイヤ3010によって画定
された経路を介して搬送されることを可能にする。
【0129】
本発明によるカテーテルシステムのモジュール構造のため、様々な処置に使用するため
にカテーテルシステムの遠位管状モジュールを変えることによって、一群のマイクロカテ
ーテルを作り出すことができる。マイクロカテーテルとは、典型的には、標的病変までガ
イドワイヤを追従するためにガイドワイヤに装着することができるシングルルーメン装置
である。典型的な外径(OD)は、シャフトの近位部分の約1.30mmからシャフトの
遠位部分または先端部の約0.70mmまでの範囲である。遠位管状モジュールのルーメ
ンの内径は様々であってよく、マイクロカテーテルとして使用される場合、テーパ状であ
ってよい。遠位管状モジュールの追従性および押し込み性は、上記のように変動し得る。
遠位管状モジュールは、順行性手技または逆行性手技での使用、末梢血管アクセス手技で
の使用、またはリエントリーカテーテルとしての使用など、特定の解剖学的課題に対処す
るように設計することができる。遠位管状モジュールおよび近位管状モジュールは、近位
管状モジュールが様々な遠位管状モジュールのうちの1つに取り付けられている状態で事
前に組み立てることができる。あるいは、遠位管状モジュールと近位管状モジュールとを
別個にし、使用直前に組み立てることができる。
【0130】
製造に異なる材料を使用することなどによって、遠位管状モジュールの設計を変えるこ
とができる。また、一定の内径を維持しながら外径を単純に直列段階的に減少させること
によって、管状モジュール材料を機械加工または研削して管状モジュールの長さに沿って
壁厚を変えることによって、または管状モジュール材料をレーザ切断、除去、機械加工も
しくは研削して管状モジュール表面に沿って特定の設計特徴、例えば、特定の位置でもし
くは規定された長さに沿って管状モジュール材料から彫り込まれたねじ山設計を作成する
ことによって、直列に積層された可変壁厚を変えることができる。遠位管状モジュール1
20の設計はまた、管状モジュールの長さに沿って積層された分断された螺旋状切込みパ
ターンを使用することによって変えることができる。これらの分断された螺旋状切込みパ
ターン式変数は、例えば、螺旋状切込みに沿った切込みおよび非切込み角度の分断された
螺旋状切込みパターンの式を有する、切込みピッチ角、レーザ切込み経路幅、または管状
モジュールの長さに沿った積層可変切込みパターンを含むことができる。
【0131】
モジュール式カテーテルシステムの使用の別の特定の例は、マイクロカテーテル装置を
作製するためのものであろう。そのようなマイクロカテーテルは、管状モジュールの1つ
としてベースマイクロカテーテルを備え得る。このベースマイクロカテーテルは順行性ア
プローチのために使用することができ、狭い病変部にアクセスし、バックアップワイヤに
よる支持を有する。第2の管状モジュールは、様々なマイクロカテーテルのうちの1つで
あり得る。これらの装置は末梢血管および神経血管の動脈にアクセスすることができ、多
くの疾患管理用途に使用することができ、本明細書に提供される例のみに限定されるべき
ではない。
【0132】
[実施例]
試験方法
近位管状モジュールおよび遠位管状モジュールは、様々な柔軟性、キンク性(kink
ability)、破損までのトルク、トルク性(torqueability)、追従
性、押し込み性、通過性および回転応答性を有することができる。柔軟性、キンク性、破
損までのトルク、トルク性、追従性、押し込み性、通過性および回転応答性を試験するた
めの様々な試験がある。当技術分野で既知のこれらの性質に関する様々な標準試験が、例
えば、http://www.protomedlabs.com/medical-d
evice-testing/catheter-testing-functiona
l-performanceに開示されている。
【0133】
近位管状モジュールおよび遠位管状モジュールは、同じ柔軟性または異なる柔軟性を有
することができる。柔軟性とは、折れずに屈曲する性質である。管状モジュールの柔軟性
は、使用される材料、分断された螺旋状パターン、壁厚、内径および外径ならびに他の変
数に依存する。柔軟性は、以下の試験方法のうちの1つによって決定することができる。
柔軟性を試験する1つの方法では、近位ロードセルを使用して、特定の屈曲角度にわたっ
て、機能を喪失することなく、または蛇行した解剖学的構造を損傷することなく、前進お
よび後退する装置の能力を測定する。あるいは、ローラシステムを使用して、装置がキン
クせずに耐えることができる最小の曲率半径を決定することができる。さらに、片持ち梁
を用いて試験を実施して、50°の傾斜度でF=[M×(%SR)]/(S×100)(
式中、F=柔軟性、M=総曲げモーメント、%SR=スケール読取平均およびS=スパン
長さ)を計算することによって、力および曲げ角度を測定することができる。柔軟性を試
験するもう1つの方法は、1点および4点屈曲試験を使用して、装置の一端が焼き付けら
れ、他端が一定速度で移動するプレートによって押された際に力Fおよび曲げ変位fを検
出するZWICK005試験機を使用して変位制御下で柔軟性を評価することである。最
も高い測定データは、方程式E×I=(F×L)/(3×f)(Nmm)(式中、I
=慣性モーメント、E=ヤング率、L=屈曲長、f=曲げ変位およびF=点力およびE×
I=柔軟性)によって決定された柔軟性を表す。
【0134】
近位管状部材および遠位管状部材は、同じまたは異なる破損までのトルクまたは破断ま
でのトルクを有することができる。破損までのトルクとは、カテーテル構成要素の塑性変
形、破壊または破断が生じる前に管状部材が耐えることができるねじり力または回転力の
量である。破損までのトルクを試験する1つの方法は、装置を比較的近位の位置で回転さ
せ、装置が蛇行した解剖学的構造を通して導かれる間に遠位端を固定することによって、
装置の破損までのトルク量および回転数を測定する近位および遠位トルクセンサの使用に
よるものである。破損までのトルクを計算する別の試験方法は、37±2℃の水中に設定
した時間浸漬した直後のトルク強度を試験することによる。ガイドワイヤを定位置に配置
した状態で、二次元形状に拘束されている適合するガイディングカテーテルに装置を挿入
して、カテーテルの最遠位10cmがガイド先端部を越えて露出され、トルクゲージに取
り付けられて回転を防止するまでの冠動脈の解剖学的構造へのアクセスを再現することが
できる。カテーテル本体の残りの部分は、歪み、破損、破断、破壊、キンクまたはその他
の損傷がカテーテルに沿ってもしくはカテーテル先端部に生じるまで、または設定された
回転数の間、360°ずつ回転させる。
【0135】
近位管状部材および遠位管状部材は、同じまたは異なるトルク性を有することができる
。トルク性とは、回転力が一端に加えられた際に、管状モジュールの一端から管状モジュ
ールの他端までに失われるトルクまたは回転の量である。トルク性を試験する1つの方法
は、近位および遠位トルクセンサを使用して、装置を比較的近位の位置で回転させ、装置
が蛇行した解剖学的構造を通して導かれる間に遠位端を固定することによって、装置を通
して伝達されるトルクの量を測定することである。トルク性を試験する別の方法は、臨床
的な蛇行した経路をシミュレートする、医学博士Shinsuke Nantoによって
設計されたPTCAトレーナー、T/N:T001821-2などのPTCAトレーニン
グ用の動脈シミュレート装置を使用することによる。カテーテル先端部に取り付けられ、
ダイヤルの穴を通して挿入されたインジケータ。カテーテル本体を回転子、例えばT/N
:T001923に接続し、時計回りに90°ずつ1080°まで回転させる。カテーテ
ル先端部のインジケータに取り付けられたダイヤルによって測定された角度を使用して、
本体の回転角と先端部の回転角との比を計算する。これは、回転中に失われるトルクの量
に相当する。
【0136】
近位管状モジュールおよび遠位管状モジュールは、同じ追従性または異なる追従性を有
することができる。追従性を試験する1つの方法は、近位ロードセルを使用して、ガイド
付属品に支持されてまたは支持されることなく、蛇行した解剖学的構造を通して装置を前
進させる力を測定することである。
【0137】
近位管状モジュールおよび遠位管状モジュールは、同じまたは異なる押し込み性を有す
ることができる。押し込み性を試験する1つの方法は、近位および遠位ロードセルを使用
して、既知の力が近位端に加えられている際に装置の遠位先端部が受ける力の量を測定す
ることである。
【0138】
近位管状モジュールおよび遠位管状モジュールは、同じまたは異なる通過性を有するこ
とができる。通過性を試験する1つの方法は、近位ロードセルを使用して、機能を喪失す
ることなく、または蛇行した解剖学的構造を損傷することなく、特定の病変部位を前進お
よび後退するカテーテル装置の能力を測定することである。さらに、ローラシステムは、
装置が損傷なく耐えることができる最悪の障害を決定することができる。
【0139】
近位管状モジュールおよび遠位管状モジュールは、同じまたは異なる回転応答性を有す
ることができる。回転応答性を試験する1つの方法は、近位および遠位回転エンコーダを
使用して、装置を比較的近位の位置で回転させ、装置が蛇行した解剖学的構造を通して導
かれる間に遠位端を自由に保つことによって、装置を通して伝達される回転量を測定する
ことである。
【0140】
本発明の範囲は、上記に具体的に示され記載されたものによって限定されない。当業者
は、構成、構造および寸法ならびに材料の図示された例に対する好適な代替物があること
を認識するであろう。本出願における任意の参考文献の引用および考察は、単に本発明の
説明を明確にするために提供されており、任意の参考文献が本明細書に記載の本発明に対
する先行技術であることを承認するものではない。本明細書において引用され考察された
参考文献はいずれも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本発明の特定の実
施形態を示し説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく変更および
修正を加えることができることが当業者には明らかであろう。前述の説明および添付の図
面に記載された事項は、例示としてのみ提供され、限定としては提供されない。
図1(a)-(b)】
図2(a)-(i)】
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5(a)】
図5(b)】
図6(a)】
図6(b)】
図6(c)】
図6(d)】
図6(e)】
図6(f)】
図6(g)】
図6(h)】
図6(i)】
図6(j)】
図6(k)】
図6(l)】
図6(m)】
図6(n)】
図6(o)】
図6(p)】
図6(q)】
図6(r)】
図6(s)】
図6(t)】
図7(a)-(f)】
図8(a)】
図8(b)】
図8(c)】
図8(d)】
図8(e)】
図8(f)】
図8(g)】
図8(h)】
図9(a)】
図9(b)】
図9(c)】
図10(a)】
図10(b)】
図10(c)】
図10(d)】
図10(e)】
図10(f)】
図11(a)】
図11(b)】
図11(c)】
図11(d)】
図11(e)】
図12(a)】
図12(b)】
図12(c)】
図12(d)】
図13
図14
図15(a)-(c)】
図16(a)-(b)】
図16(c)】
図16(d)】
図16(e)】
図16(f)】
図17(a)】
図17(b)】
図17(c)】
図18(a)-(d)】
図19(a)-(c)】
図19(d)-(g)】
図20(a)-(b)】
図21(a)-(b)】
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28(a)】
図28(b)】
図28(c)】
図28(d)】
図28(e)】
図29(a)】
図29(b)】
図29(c)】
図29(d)】
図30(a)】
図30(b)】
図30(c)】
図30(d)】
図30(e)】
【手続補正書】
【提出日】2022-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
図1(a)】本発明のモジュール式カテーテルの一実施形態の正面図を示す。
図1(b)】図1(a)に示す実施形態の一部の拡大図を示す。
図2(a)】図1(a)に示す実施形態の側面図を示す。
図2(b)】本発明による近位および遠位管状モジュールの一方または両方に組み込まれた分断された螺旋状切込みパターンの一実施形態を示す。
図2(c)】本発明による分断された螺旋状切込みパターンの別の実施形態を示す。
図2(d)】本発明による分断された螺旋状切込みパターンの別の実施形態を示す。
図2(e)】本発明による管状モジュールを連結するために使用されるスナップ嵌合継手の平面図を示す。
図2(f)】本発明による分断された螺旋状切込みパターンの別の実施形態を示す。
図2(g)】本発明による分断された螺旋状切込みパターンの別の実施形態を示す。
図2(h)】本発明による分断された螺旋状切込みパターンの別の実施形態を示す。
図2(i)】本発明による分断された螺旋状切込みパターンの別の実施形態を示す。
図3】本発明による分断された螺旋状切込みパターンの一実施形態の平坦図を示す。
図4(a)】本発明の一実施形態によるスナップ嵌合接続部およびスナップ嵌合受け部を有するスナップ嵌合継手の一実施形態の係合平坦二次元図を示す。
図4(b)】分離された図4(a)のスナップ嵌合継手を示す。
図5(a)】本発明によるスナップ嵌合接続部とスナップ嵌合受け部とを含むスナップ嵌合継手の別の実施形態の第2の実施形態の平坦二次元図を示す。
図5(b)】図5(a)に示すスナップ嵌合継手のスナップ嵌合接続部の図を示す。
図6(a)】本発明による近位管状モジュール、遠位管状モジュールおよびスナップ嵌合継手の一実施形態の斜視図を示す。
図6(b)】図に示す実施形態の別の角度の斜視図を示す。
図6(c)】本発明の一実施形態による管状モジュールの端部にあるスナップ嵌合接続部の拡大平面図を示す。
図6(d)】2つの管状モジュールを接続している図6(a)~図6(c)に示すスナップ嵌合継手の斜視図を示す。
図6(e)】本発明の一実施形態による管状モジュール間のスナップ嵌合継手を固定するために使用される安定化要素の斜視図を示す。
図6(f)】非連結状態の図6(a)~図6(d)のスナップ嵌合継手の斜視図を示す。
図6(g)】本発明の一実施形態によるスナップ嵌合継手の別の正面図を示す。
図6(h)】安定化要素が明確に描かれている図6(g)のスナップ嵌合継手の側面図(約90°回転)を示す。
図6(i)】図6(g)および図6(h)のスナップ嵌合継手の別の側面図(約270°回転)を示す。
図6(j)】図6(g)~図6(i)のスナップ嵌合継手の底面図(約180°回転)を示す。
図6(k)】本発明の一実施形態の本発明による管状モジュールの一実施形態の長手方向軸に垂直な平面における断面図を示す。
図6(l)】組み立て過程でスナップ嵌合受け部が本発明の一実施形態によるモジュールの長手方向軸に対してある角度で片持ち状に支持されている、本発明による管状モジュール間のスナップ嵌合継手の側面平坦図を示す。
図6(m)】図6(l)のスナップ嵌合継手の斜視平坦図と、組み立て過程での図6(l)のスナップ嵌合継手の底面平坦図とを示す。
図6(n)】組み立て過程での図6(l)および図6(m)のスナップ嵌合継手の上面平坦図を示す。
図6(o)】組み立て過程での図6(l)~図6(n)に示すスナップ嵌合の底面反転図を示す。
図6(p)】組み立て過程での本発明の一実施形態による、図6(l)~図6(o)に示す片持ち状に支持されたスナップ嵌合継手の拡大側面図を示す。
図6(q)】組み立て過程での図6(l)~図6(q)の片持ち状に支持されたスナップ嵌合継手の拡大斜視図を示す。
図6(r)】組み立て過程での図6(l)~図6(q)の片持ち状に支持されたスナップ嵌合継手の分解斜視図を示す。
図6(s)】組み立て過程での図6(r)に示す図に対して反時計回りに90°の角度から見た、片持ち状に支持されたスナップ嵌合継手の別の分解斜視図を示す。
図6(t)】係止された位置でのスナップ嵌合接続部および受け部の面取りを示す、カテーテルの長手方向軸に垂直な平面におけるスナップ嵌合継手の断面図を示す。
図7(a)】本発明の一実施形態による、2つの管状モジュールを連結しているスナップ嵌合継手の側面の顕微鏡写真を示す。
図7(b)】図7(a)に示す写真に対して長手方向軸の周りで約60°回転させた場合の図7(a)のスナップ嵌合継手の顕微鏡写真を示す。
図7(c)】図7(b)に示す写真に対して長手方向軸の周りで約60°回転させた場合の図7(a)および図7(b)のスナップ嵌合継手の顕微鏡写真を示す。
図7(d)】図7(a)~図7(c)のスナップ嵌合継手の上面図の顕微鏡写真を示す。
図7(e)】図7(d)に示す写真に対して長手方向軸の周りで約60°回転させた場合の図7(a)~図7(d)のスナップ嵌合継手の顕微鏡写真を示す。
図7(f)】図7(d)に示す写真に対して長手方向軸の周りで約30°回転させた場合の図7(a)~図7(d)のスナップ嵌合継手の顕微鏡写真を示す。
図8(a)】連結正弦波形状を使用する、本発明による2つの管状モジュールを連結するための(わずかに分離された)継手の別の実施形態の一図を示す。
図8(b)】長手方向軸の周りで約30°回転させた場合の図8(a)に示す継手の別の図を示す。
図8(c)】図8(a)および図8(b)の(分離された)継手の斜視図を示す。
図8(d)】連結状態にある図8(a)~図8(c)に示す継手の斜視図を示す。
図8(e)】連結三角形状を使用する、本発明による2つの管状モジュールを連結するための(わずかに分離された)継手の別の実施形態の側面図を示す。
図8(f)】長手方向軸の周りで約30°回転させた場合の図8(e)に示す継手の別の図を示す。
図8(g)】図8(e)および図8(f)の(分離された)継手の斜視図を示す。
図8(h)】連結状態にある図8(e)~図8(g)に示す継手の斜視図を示す。
図9(a)】本発明の一実施形態による、長手方向軸の平面における本発明による2つの接続管状モジュールの壁厚を示す断面図を示す。
図9(b)】本発明の一実施形態による2つの接続管状モジュールの壁厚の別の実施形態の断面図を示す。
図9(c)】本発明の一実施形態による2つの接続管状モジュールの壁厚のさらに別の実施形態の断面図を示す。
図10(a)】一方の管状モジュール(近位側)の外径が、それが接続されている管状モジュール(遠位側)の外径よりも大きい一実施形態の側面図を示す。
図10(b)】図10(a)に示す実施形態の長手方向断面図を示す。
図10(c)】図9(c)に示す管状モジュールの実施形態の側面図を示す。
図10(d)】図9(c)および図10(c)の実施形態の斜視長手方向断面図を示す。
図10(e)】圧着金属1035によって覆われた継手135を示す。
図10(f)】圧着金属1036によって覆われた継手137を示す。
図11(a)】本発明の一実施形態によるフィラメントが管状モジュールの周りに巻き付けられている側面図を示す。
図11(b)】本発明の一実施形態による、巻き付けられたフィラメントを有する管状モジュールの側面図の写真を示す。
図11(c)】本発明の一実施形態による、巻き付けられたフィラメントを有する湾曲した管状モジュールの写真を示す。
図11(d)】図11(a)に示す実施形態の断面図を示す。
図11(e)】図11(a)および図11(d)の実施形態の斜視断面図を示す。
図12(a)】本発明の一実施形態による切込み開口部を含む管状モジュールの側面図を示す。
図12(b)】切込み開口部を横切る垂直平面における12(a)に示す実施形態の斜視断面図を示す。
図12(c)】本発明の一実施形態による切込み開口部を有する管状モジュールの写真を示す。
図12(d)】切込み開口部の縁部を描くために回転させた図12(c)に示す管状モジュールの写真を示す。
図13】切込み開口部を終結させる巻き付けられたフィラメントを有する管状モジュールの別の図を示す。
図14】略L字形の第2の切込み開口部とクラウンとを有する遠位管状モジュールの端部の側面図を示す。
図15(a)】図14の遠位管状モジュール、および第2の切込み開口部に挿入されたフィラメントを有する先端部の斜視図を示す。
図15(b)】図15(a)の破線で囲まれた部分の拡大図である。
図15(c)】第2の切込み開口部に挿入されたフィラメントを有する図14の遠位管状モジュールの別の斜視図を示す。
図16(a)】本発明の一実施形態による遠位管状モジュールに取り付けられた細長い先端部を有するモジュール式カテーテルの断面図を示す。
図16(b)】図16(a)の破線で囲まれた部分の拡大図である。
図16(c)】図16(a)および図16(b)に示す実施形態の側面図である。
図16(d)】本発明によるモジュール式カテーテルとともに使用することができる先端部の別の実施形態の斜視図を示す。
図16(e)】遠位管状モジュールのクラウン面の斜視図を示す。
図16(f)】付加的な表面特徴を伴わず取付部分の減少した表面積を示す斜視図を示す。
図17(a)】管状モジュールの周りにフィラメントが巻き付けられ、管状モジュールに取り付けられた先端部にねじが切られ、ガイドワイヤが先端部から出ている一実施形態の斜視端面図を示す。
図17(b)】図17(a)に示す実施形態の側面図を示す。
図17(c)】図17(b)に示す断面図を示す。
図18(a)】本発明によるリエントリーカテーテル血管切開先端部の一実施形態の斜視図を示す。
図18(b)】本発明によるリエントリーカテーテル血管切開先端部の別の実施形態の斜視図を示す。
図18(c)】本発明によるリエントリーカテーテル血管切開先端部の別の実施形態の斜視図を示す。
図18(d)】本発明によるリエントリーカテーテル血管切開先端部の別の実施形態の斜視図を示す。
図19(a)】本発明による、サイドポート出口を有し、上から下に向けた配向でウイングを有する血管切開先端部に連結された遠位管状モジュールの一実施形態の側面図を示す。
図19(b)】90°回転させた場合の図19(a)に示す実施形態の斜視図を示す。
図19(c)】図19(b)の破線で囲まれた部分の拡大図を示す。
図19(d)】本発明の一実施形態による、サイドポート出口を有する遠位管状モジュールの側面図を示す。
図19(e)】図19(d)に示す遠位管状モジュールの上面図を示す。
図19(f)】図19(d)および図19(e)に示す遠位管状モジュールの底面図を示す。
図19(g)】図19(d)~図19(f)の遠位管状モジュールの斜視図を示す。
図20(a)】本発明の一実施形態による、形状記憶を有する柔軟な引掛部分を有する遠位管状モジュールの側面図を示す。
図20(b)】図20(a)の遠位管状モジュールの端面図を示す。
図21(a)】本発明の別の実施形態による、材料形状記憶を用いた柔軟な曲線部分を有する遠位モジュールの側面図を示す。
図21(b)】図21(a)の遠位管状モジュールの端面図を示す。
図22】本発明の一実施形態による、材料形状記憶を用いた柔軟な曲線部分を有する遠位管状モジュールの一部の側面図を示す。
図23】管状モジュールおよび先端部を貫通するガイドワイヤによって真っ直ぐにされた曲線部分を有する遠位管状モジュールを示す断面図である。
図24】曲線部分がその曲線形状をとり始めることを可能にする、ガイドワイヤの引き抜きを示す断面図である。
図25図24に続く断面図であり、側枝アクセスに適合した曲線部分を示す。
図26】形状記憶曲線部分が側枝にアクセスする、動脈内の本発明の一実施形態による遠位管状モジュールの一部を示す断面図である。
図27】形状記憶曲線部分が側枝にアクセスする、動脈内の本発明の一実施形態による遠位管状モジュールの一部を示す動脈の断面図である。
図28(a)】大動脈および側枝動脈を有する動脈系の例示的な部分の断面図を示し、本発明による形状記憶曲線部分とガイドワイヤとを有するモジュール式カテーテルが大動脈内に配置されている。
図28(b)】ガイドワイヤが引き抜かれて、曲線部分が屈曲形状をとることを可能にする図28(a)の図を示す。
図28(c)】側枝内にアクセスするためにガイドワイヤと先端部とが整列している図28(b)の図を示す。
図28(d)】側枝に挿入されたカテーテルの先端部および側枝を通ってカテーテルの先端部から延出するガイドワイヤの側面図を示す。
図28(e)】カテーテルがガイドワイヤを介して側枝を通って前進した図28(d)の図を示す。
図29(a)】大動脈および側枝動脈を有する動脈系の例示的な部分の断面図を示し、本発明による屈曲形状の形状記憶曲線部分とガイドワイヤとを有するモジュール式カテーテルが大動脈内に配置されている。
図29(b)】カテーテルが後方に引き抜かれ、側枝の開口部に向かって先端部を曲げるようにトルクをかけられた後の図29(a)の図を示す。
図29(c)】カテーテルの先端部が側枝内にさらに前進した図29(b)の図を示す。
図29(d)】ガイドワイヤが挿入され、カテーテルがガイドワイヤを介して側枝を通って前進した後の図29(c)の図を示す。
図30(a)】大動脈と、大動脈から離れた側枝動脈と、第1の側枝から離れた第2の側枝とを有する動脈系の例示的な部分の断面図を示す。動脈系を通るカテーテルの経路を示す。
図30(b)】図30(a)の断面図を示し、本発明によるモジュール式カテーテルが第2の側枝の開口部を越えて第1の側枝を通って前進した図30(a)の図を示す。
図30(c)】ガイドワイヤが引き抜かれた後に、遠位管状モジュールの曲線部分が屈曲することを可能にしている図30(b)の断面図を示す。
図30(d)】第2の分岐部にモジュール式カテーテルの先端部と曲線部分の一部とが進入している断面図を示す。
図30(e)】ガイドワイヤを介して第2の分岐部を通って前進したカテーテルを示す。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の管状モジュールと、前記第1の管状モジュールと継手によって連結された第2の管状モジュールとを備えるカテーテルであって、前記継手が、
(a)前記第1の管状モジュール上の少なくとも1つのスナップ嵌合接続部と、前記第2の管状モジュールに配置されたスナップ嵌合受け部とを備え;前記第1の管状モジュールと前記第2の管状モジュールが互いに連結した際に、前記スナップ嵌合接続部と前記スナップ嵌合受け部は、前記第1の管状モジュールと前記第2の管状モジュールの内面と同じ高さであり、同一の径を有する連続的なルーメンを画定し;前記スナップ嵌合接続部は片持ち継手を含み;および、前記第1の管状モジュールと前記第2の管状モジュールが互いに異なる柔軟性を有し、さらに、
(b)前記第1の管状モジュールに配置された舌片要素と、前記第2の管状モジュールに配置された溝要素とを含む少なくとも1つの安定化要素を備え;前記安定化要素は、前記第1および第2の管状モジュールが前記継手において円周方向に回転するのを防止し;前記継手は、前記第1および第2の管状モジュールが互いに枢動するのを防止する、
カテーテル。
【請求項2】
前記第1又は第2の管状モジュールにおける少なくとも1つの部分が、複数の分断された螺旋状切込みを備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記第2の管状モジュールがニチノールから形成される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記第1の管状モジュールが、304、316、402および440から選択されるSAEグレードのステンレス鋼、17-7析出硬化系ステンレス鋼(PH)またはニッケルコバルト合金(MP35N)から形成される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記継手の少なくとも一部が管状カバーによって囲まれる、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
少なくとも2つの切込み開口部、第1および第2の切込み開口部をさらに備え、前記切込み開口部が、前記第1の管状モジュールまたは前記第2の管状モジュールのうちの少なくとも1つに配置される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
フィラメントが前記第1の管状モジュールまたは前記第2の管状モジュールのうちの1つ以上の周りに螺旋状に螺合され、前記フィラメントの一端が前記第1の切込み開口部に配置され、前記フィラメントの他端が前記第2の切込み開口部に配置される、請求項6に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記フィラメントが時計回りの螺旋状に螺合される、請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記フィラメントが反時計回りの螺旋状に螺合される、請求項7に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記フィラメントが、少なくとも1つのリングによって前記第1または第2の管状モジュールに固定される、請求項8に記載のカテーテル。
【請求項11】
2~20個の管状モジュールを備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記2~20個の管状モジュールのうちの1つ以上の少なくとも一部が、ジャケットを形成するポリマーによって覆われる、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記ポリマージャケットが、ナイロン、ポリエーテルブロックアミド、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(フッ化エチレンプロピレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)またはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)から形成される、請求項12に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記第1または第2の管状モジュールの内側ルーメンの少なくとも一部が内側ライニングによって被覆される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記内側ライニングが、ナイロン、ポリエーテルブロックアミド、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(フッ化エチレンプロピレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)またはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)から形成される、請求項14に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記第1の管状モジュールがステンレス鋼から形成され、前記第2の管状モジュールがニチノールから形成される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記スナップ嵌合接続部と前記スナップ嵌合受け部の少なくとも1つの縁部が、5°~90°の範囲の角度で面取りされている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項18】
少なくとも1つの前記スナップ嵌合接続部が、前記第1の管状モジュールから伸び、前記第1の管状モジュールと同じ壁厚を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記安定化要素が、互いに連結した際の前記第1の管状モジュールと前記第2の管状モジュールの内面および外面と同じ高さである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記舌片要素が長方形の形状である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項21】
前記第1又は第2の管状モジュールが曲線形状をとる際に、前記連続的なルーメンの径が中心ルーメン軸の周りに維持される、請求項1に記載のカテーテル。