(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185148
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/24 20060101AFI20221206BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20221206BHJP
H01F 27/255 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H01F27/24 Q
H01F17/04 F
H01F27/255
H01F27/24 H
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165905
(22)【出願日】2022-10-14
(62)【分割の表示】P 2018146696の分割
【原出願日】2018-08-03
(31)【優先権主張番号】10-2017-0180630
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クォン、スン クァン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ユー、ヨン ソク
(57)【要約】
【課題】巻線型コイルを埋め込むコアの内部にエアギャップを最小化した構造を提供する。
【解決手段】本発明は、巻線型コイルと、上記巻線型コイルを埋め込むコアとを含む本体と、上記本体の外部面に配置される外部電極と、を含むコイル部品に関するものである。上記コアは、第1及び第2コアを含み、上記第1及び第2コアが接合面を挟んで互いに結合された構造を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻線型コイルと、前記巻線型コイルの上部及び下部上にそれぞれ配置されて互いに連結される第1及び第2コアとを含む本体と、
前記本体の外部面上に配置され、前記巻線型コイルの両端部に連結される外部電極と、を含み、
前記第1及び第2コアの間には接合面が配置され、
前記接合面は、前記第1及び第2コア内に含まれる樹脂と同種の樹脂で構成される、コイル部品。
【請求項2】
前記樹脂は熱硬化性樹脂である、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂である、請求項2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第1及び第2コアのそれぞれは、磁性粉末と、前記磁性粉末の表面を直接コーティングする樹脂と、を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記磁性粉末のうち互いに隣接する磁性粉末は、前記樹脂のみによって絶縁される、請求項4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記磁性粉末の表面は、前記磁性粉末を構成する組成と同一又は異なる組成を含む無機物層を含まない、請求項4又は5に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記磁性粉末は、Fe、Fe-Ni系合金、Fe-Si系合金、Fe-Si-Al系合金、Fe-Cr-Si系合金、Fe系アモルファス合金、Fe系ナノ結晶合金、Co系アモルファス合金、Fe-Co系合金、Fe-N系合金、MnZn系フェライト、及びNiZn系フェライトのうちから選択された一つ以上を含む、請求項4から6のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記第1及び第2コア内における樹脂以外の残留硬化剤又は残留バインダーの含有量は0wt%である、請求項1から7のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記第1及び第2コアの間にボイド層をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記ボイド層はエアギャップである、請求項9に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記ボイド層の最大層厚は1μmより薄い、請求項9又は10に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記接合面は、前記第1及び第2コア内に含まれる樹脂と同種の樹脂以外に別途の接着剤を含まない、請求項1から11のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項13】
前記本体は、幅方向において対向する第1側面及び第2側面、長さ方向において対向する第1端面及び第2端面、厚さ方向において対向する上面及び下面を含み、前記本体は、幅と長さがそれぞれ5.0mm及び5.0mmの5050サイズで構成される、請求項1から12のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項14】
前記第1コア内の樹脂と前記第2コア内の樹脂は、少なくとも一部領域で直接接触する、請求項1から13のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項15】
前記接合面は硬化したエポキシを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項16】
前記接合面は所定の厚さを有する帯状である、請求項1から15のいずれか一項に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関するものであり、具体的に巻線型パワーインダクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、電子製品の小型化及び多機能化の傾向に伴って、インダクタ素子にも小型化が要求されている。特に、スマートフォンのような携帯機器は、機能の多様化により、より高い電流を必要とする。かかる携帯機器は、DC-DCコンバータのような電源回路を用いて内部回路に必要な様々な電圧の動作電源を得ている。そして、かかる回路に使用されるインダクタの場合、磁気飽和を抑制できる特性と、高いインダクタンスを有する高透磁率の材料を必要とする。インダクタのインダクタンスが透磁率に比例するため、高透磁率の材料を使用すると、高インダクタンスのインダクタを製作することができ、低透磁率の材料を使用する場合に比べて、少ないターン数でも同等レベルの特性値を得ることができる。ところが、高透磁率の材料を使用しても、インダクタ内にエアギャップ(air gap)が発生する場合、磁気抵抗(magnetic resistance)が増加して透磁率の減少をもたらす。もちろん、高透磁率の材料を使用する場合、低透磁率の材料を使用する場合に比べてエアギャップによる影響が相対的に少ないため、緩やかな透磁率の減少幅を見せるが、透磁率の向上のために高透磁率材料を選択することに限界がある場合には、エアギャップを最小化する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする様々な課題の一つは、巻線型コイルを埋め込むコアの内部にエアギャップを最小化した構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一例によるコイル部品は、巻線型コイルと、上記巻線型コイルの上部及び下部上にそれぞれ配置されて互いに連結される第1及び第2コアとを含む本体と、上記本体の外部面上に配置され、上記巻線型コイルの第1及び第2端部にそれぞれ連結される第1及び第2外部電極と、を含む。上記第1及び第2コアの間には、接合面が配置されるが、上記接合面は、上記第1及び第2コア内に含まれる樹脂と同種の樹脂を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明の様々な効果の一効果は、インダクタンス及び透磁率を最大化し、且つチップのサイズを最小化することができる構造を有するコイル部品を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】(a)~(c)は従来技術によるコイル部品を示す図である。
【
図2】本発明の一例によるコイル部品の本体を組み立てる前の状態を示す概略的な分解斜視図である。
【
図3】本発明の一例によるコイル部品の本体を組み立てた後の状態を示す概略的な斜視図である。
【
図6】(a)は本発明のコイル部品における第1及び第2コアの境界周辺を示す拡大図であり、(b)は
図1の方式に従って製造した従来のコイル部品における第1及び第2コアの境界周辺を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下では、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)されることがあり、図面上において同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0009】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。
【0010】
さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に異なる趣旨の説明がされていない限り、他の構成要素を除外する趣旨ではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0011】
以下では、本発明の一例によるコイル部品を説明するが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0012】
図1(a)~(c)は従来技術によるコイル部品を示す。具体的に、
図1(a)は金型を活用して第1及び第2コアを圧着することにより、巻線型コイルを第1及び第2コアの内部に埋め込む工程を示し、
図1(b)は下部に配置された第1コアのみを別に示したものであり、
図1(c)は第1及び第2コアが結合された構造を示す概略的な斜視図である。
【0013】
図1(a)を参照すると、金型又はパンチを用いて第1コア511及び第2コア512の間に所定の巻線型コイル52を固定させる工程を行う。この際、第1及び第2コアの間には接合面513が不可避に形成される。
【0014】
かかる接合面513は、
図1(b)に示されたように、第1及び第2コアを接合させるための接着剤513aによって発生したものである。上記接着剤513aは、当業者が適宜選択することができ、第1及び第2コアを接合させることができる材料であれば、制限されずに使用することができる。ところが、上記接着剤513aは、第1及び第2コアを接合した後でも、第1及び第2コアの間にそのまま残るのが一般的である。
【0015】
図1(c)を参照すると、第1及び第2コア511、512の間には、接合面513が所定の厚さを有して残存する。しかし、この接合面は、コイルから発生する磁束の流れを円滑にせず、且つ磁束の漏れを発生させる結果を招く。また、上記接合面の周辺には、所定の厚さを有するエアギャップが生成される可能性が高いが、かかるエアギャップによってインダクタンスが低下し得る。
【0016】
また、上記接合面及びその周辺におけるエアギャップは、実際に製品を使用する環境でも磁性粉末間の絶縁信頼性に問題を引き起こすことがある。尚、高圧を利用して第1及び第2コアを成形する際に、金型と接触する部分において磁性粉末をコーティングするコーティング層の一部が損傷し、このように損傷したコーティング層によって、使用環境においてインダクタンスが低下する。このため、製造環境でも特性低下の問題を引き起こすことがある。
【0017】
本発明の一例によるコイル部品100は、
図1に示された従来のコイル部品から発生し得る上記問題を解消するために、第1及び第2コアを接合する構造を変更したものである。したがって、以下では第1及び第2コアの接合面を中心に説明する。
【0018】
図2は本発明の一例によるコイル部品100の本体1を組み立てる前の状態を示す概略的な分解斜視図である。
【0019】
図2を参照すると、本体1は、巻線型コイル2を基準に、上面を覆う第1コア11と、下面を覆う第2コア12と、を含む。第1及び第2コアの組み立てには、第1及び第2コアが互いに分離されないようにする媒介体が求められる。例えば、第1及び第2コアを高圧のみで固定させる場合、十分な固定力を確保できないことは言うまでもなく、第1及び第2コアの内部において磁性粉末がコーティングされるコーティング層が損傷する恐れがある。一方、第1及び第2コアを接着剤により固定させる場合には、接着剤の周辺に形成されるエアギャップ、又は残存する接着剤が原因で、磁束の流れが阻害される恐れがある。
【0020】
図2を参照すると、第1コア11の上面には溶媒(solvent)3が位置する。かかる溶媒3は、第1及び第2コア内に含まれる樹脂を溶解させる機能を果たすものであれば十分であり、具体的な溶媒の種類には制限がない。上記溶媒3は、最終のコイル部品からはすべて除去されるため、結果的に第1コア内の樹脂と第2コア内の樹脂は、直接接着されることができる。
【0021】
一方、
図3は本発明の一例によるコイル部品の本体を組み立てた後の、最終のコイル部品100を示す概略的な斜視図である。
図3を参照すると、第1及び第2コア11、12の間には接合面13が形成される。かかる接合面13は、上述した
図1の接合面513とは区別される。
図1の接合面513は、残存する接着剤であって、第1及び第2コアと異なる組成の物質により形成されたものであるのに対し、
図3の接合面13は、第1及び第2コアの樹脂が溶媒3により溶解した後、硬化して形成されたものである。つまり、
図3の接合面13及びその周辺ではいかなる接合剤も検出されない。
【0022】
上記コイル部品は、上記本体内における巻線型コイル2の両端部に連結される外部電極をさらに含み、上記外部電極によって上記コイル部品を外部部品と電気的に連結させることができる。
【0023】
図4は
図3のA領域を拡大した概略的な断面図である。以下では、
図4を参照して、第1及び第2コアの内部及び接合面をより詳細に説明する。
【0024】
図4を参照すると、第1及び第2コア11、12は磁性粉末41と、上記磁性粉末の表面をコーティングする樹脂42とで構成される。上記磁性粉末41は、磁性特性を有するものであれば、制限されずに使用することができ、例えば、Fe、Fe-Ni系合金、Fe-Si系合金、Fe-Si-Al系合金、Fe-Cr-Si系合金、Fe系アモルファス合金、Fe-Co系合金、Fe-N系合金、MnZn系フェライト、NiZn系フェライトなどから選択された1種以上で形成されることができる。つまり、上記磁性粉末は、磁性特性を有する粒子であれば、制限されずに選択できることを意味する。上記磁性粉末は、別途の酸化層がなく樹脂によって直接コーティングされる。ここで、別途の酸化層とは、コーティングされた磁性粉末を絶縁させるための別途の無機物層を意味し、例えば、磁性粉末の内部にあった組成の一部が表面に拡散して、酸素と反応することによって形成されるコーティング層をすべて含む。
【0025】
また、上記第1及び第2コア内では、磁性粉末及び樹脂以外の残留硬化剤又は残留バインダーの含有量が0wt%である。これは、第1及び第2コアを構成する樹脂以外に、追加の硬化剤又はバインダーが外部から添加されなかったことを意味する。上記硬化剤又はバインダーなどは、所定の含有量で不可避に残存するのが一般的である。しかし、本発明のコイル部品は、磁性粉末をコーティングしている樹脂を硬化剤及びバインダーとして活用するため、追加の硬化剤とバインダーを適用しない。
【0026】
上記磁性粉末は、それと隣接する他の磁性粉末との間に樹脂42以外の他の絶縁層を介在させない。これにより、小型化の傾向にあるコイル部品において、磁性粉末間の距離を最小化して、コイル部品の透磁率を最大限にする。
【0027】
上記樹脂42は、熱硬化性樹脂であって、エポキシ樹脂が好ましい。上記樹脂42がエポキシ樹脂の場合、要求される磁性粉末の特性に応じて様々な形態のエポキシ樹脂が採択され、一例として、高抵抗の絶縁特性が要求される場合には、ベンゼン環のないエポキシ樹脂を採択することができる。
【0028】
上記磁性粉末の表面が樹脂によってコーティングされるとともに、互いに隣接する磁性粉末の間に上記樹脂のみが配置される構造を形成する方式には制限がないが、例えば、第1コアの全体又は第2コアの全体を100wt%としたとき、磁性粉末に対する樹脂の重量比を1%以上5%以下とすることが好ましい。そして、所望の特性を発揮する磁性粉末を選定した後、上記磁性粉末と樹脂をV型混合機、ボール、ミル、ビーズミル、各種の回転ミキサーを用いて、乾式或いは湿式で攪拌混合する。この際、混合は5分から200時間まで選択的に行う。上記攪拌として湿式撹拌を利用する場合には、流動層乾燥機や噴霧乾燥機などを用いて乾燥させることもできる。
【0029】
続いて、上記工程によって得られた第1コア及び第2コアを接着させるために、第1及び第2コアの形成時に使用した樹脂を溶解させる溶媒を用意する。上記溶媒は、第1及び第2コア内の樹脂に応じて異なる種類の溶媒を選択することができ、当業者は、製造環境及び工程要件などを考慮して適宜選択する。
【0030】
上記溶媒を、第1コアの表面のうち第2コアと接触する面に配置させて、上記第1コアの上面における樹脂の少なくとも一部と、それと対向する第2コアの下面における樹脂の少なくとも一部とが互いに接合されるようにする。上記溶媒は、第1及び第2コア内の樹脂が溶解しながら、第1及び第2コアを接着させる駆動力として作用できるものである。上記溶媒による溶解により、第1及び第2コアが接合される駆動力が作用し、その結果、第1コアの上面及び第2コアの下面における樹脂が共に硬化することにより、一体化したコアが形成される。もちろん、上記コアの内部には、巻線型コイルが埋め込まれている状態である。
【0031】
上記溶媒を適用させる以前の第1及び第2コアは、樹脂が既に磁性粉末をコーティングしている状態であるため、粘度が低い溶媒を薄く塗布するだけで第1及び第2コアの間の接着力を維持することができる。
【0032】
上記接合面13の成分を分析すると、樹脂を溶解させた後の溶媒は残存せず、且つ溶媒以外に外部から追加された接着剤などもまったくないため、第1及び第2コア内からは、硬化した樹脂以外のいかなる成分も検出されない。但し、上記接合面は、第1コアの上面を除外した領域において磁性粉末をコーティングする樹脂、及び第2コアの下面を除外した領域において磁性粉末をコーティングする樹脂とは異なって、溶解後に再硬化した樹脂によって形成された層である。ここで、上記接合面を「層」と呼ぶ理由は、上記接合面13がL-Wの断面を基準に帯(strip)状に配置されるためである。上記接合面の層厚は大きく制限されず、均一である必要もないが、最大層厚が1μmより小さいことが好ましい。実質的には、上記接合面13の層厚Tは、第1コア内の磁性粉末と第2コア内の磁性粉末との間の最短距離として定義することができる。したがって、上記接合面13の最大層厚が1μm以上である場合は、磁性粉末間の距離が高透磁率特性を維持できないほど離隔している状態を意味する。一方、具体的には示していないが、上記接合面13は、第1及び第2コアの全体境界面に形成されるのではなく、一部領域のみで本体の長さ方向及び/又は幅方向に延長され、所定の厚さを有する帯状に形成される。上記帯状を有する接合面と同一の平面上には、樹脂で構成された接合面が配置されず、第1コアにおける磁性粉末の一面と、第2コアにおける磁性粉末の一面とが互いに接触する空間が形成される。第1コアにおける磁性粉末の一面と、第2コアにおける磁性粉末の一面とが互いに接触するとは、第1及び第2コアが接合面を介在させることなく、直接接触する場合を意味する。
【0033】
一方、
図5は
図4の一変形例による断面図であって、
図5のコイル部品には、接合面の周辺にボイド層6が形成される。上記ボイド層6は、実際にコイル製品を製造する際に発生し得るエアギャップである。上述したように、かかるエアギャップは、磁気抵抗を増加させる主要原因となり得るため、最小化することが好ましいが、不可避に形成される層である。従来の方式により接着剤ペーストを用いて第1及び第2コアを結合させる場合には、十分な接着力を確保するために、接着剤ペーストを比較的厚く塗布するしかなく、その結果、エアギャップも比較的厚く形成されることは避けられなかった。しかし、
図5のコイル部品における接合面13の周辺のボイド層6は、その厚さが1μm未満とかなり薄い。これは、実質的にインダクタンスの低下に大きな影響を及ぼさない程度である。このように、ボイド層6の厚さをナノスケールで制御できる理由は、第1及び第2コアを構成する樹脂を溶解させることができる溶媒を適用することで、樹脂の一部を接合面として直接活用することができ、追加の接着剤を第1及び第2コアの境界面に適用する必要がないためである。上記ボイド層6が薄く構成されることについては、
図6を通じてより詳細に説明する。
【0034】
図6(a)は本発明のコイル部品における第1及び第2コアの境界周辺を示す拡大図であり、
図6(b)は
図1の方式に従って製造した従来のコイル部品における第1及び第2コアの境界周辺を示す拡大図である。
図6(a)及び
図6(b)はコイル部品のサイズが5050(幅:5.0mm、長さ:5.0mm)定格サイズである場合を示す。
【0035】
図6(a)を参照すると、薄い帯状の接合面を通じて第1コアと第2コアとの間の境界を区別することができる。但し、第1コアと第2コアとの間のエアギャップは最小化し、第1コア及び第2コア自体内に形成されるエアギャップともその程度が区別されないことが分かる。
【0036】
しかし、
図6(b)の場合は、従来のコイル部品における第1及び第2コアの境界がエアギャップにより明確に区別される。具体的には、上記境界周辺に約23.13μmのエアギャップ層が形成されたことが分かる。したがって、
図6(b)における従来のコイル部品の場合、エアギャップによってインダクタンスが大きく低下することが明らかである。
【0037】
本発明のコイル部品によると、高透磁率材料の開発が活発に進んでいるにも関わらず、高透磁率及び高インダクタンスを有するコイル部品を開発することが難しい現状において、別途の接着剤を追加することなく、第1及び第2コア内に含まれる樹脂を溶解させた後、再硬化させて接合面を形成することにより、磁気抵抗を最小化して高インダクタンスのコイル部品を提供することができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【0039】
一方、本発明で用いられた「一例」または「他の一例」という表現は、互いに同一の実施例を意味せず、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されるものである。しかし、上記提示された一例は、他の一例の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一例で説明された事項が他の一例で説明されていなくても、他の一例でその事項と反対であるか矛盾する説明がない限り、他の一例に関連する説明であると理解されることができる。
【0040】
なお、本発明で用いられた用語は、一例を説明するために説明されたものであるだけで、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は文脈上明確に異なる意味でない限り、複数を含む。
【符号の説明】
【0041】
100、100' コイル部品
1 本体
11 第1コア
12 第2コア
13 接合面
3 溶媒
2 巻線型コイル
6 ボイド層