(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185163
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】ワイヤー取付装置
(51)【国際特許分類】
B66C 1/44 20060101AFI20221207BHJP
B66C 1/62 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
B66C1/44 J
B66C1/62 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092641
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】八田 実久
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004AA01
3F004AB11
3F004EA27
3F004ZZ00
(57)【要約】
【課題】 被取付物にワイヤーを輪にして取付ける作業を自動で行えるワイヤー取付装置の提供。
【解決手段】 一対のアーム1,1と、アーム1,1が取付けられた支持軸2と、各アーム1,1に取付けたガイドパイプ3,3と、ワイヤー送り出し装置4とを備え、一対のアーム1,1同士を近付けると各アーム1,1に取付けたガイドパイプ3,3が被取付物5に通されて連続し、連続したガイドパイプ3,3にワイヤー送り出し装置4によりワイヤー6を通し、支持軸2を被取付物5から離れる方向に移動させてから回転させることでワイヤー6を輪状に形成する。
【選択図】
図1-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のアームと、アームが取付けられた支持軸と、各アームに取付けたガイドパイプと、ワイヤー送り出し装置とを備え、一対のアーム同士を近付けると各アームに取付けたガイドパイプが被取付物に通されて連続し、連続したガイドパイプにワイヤー送り出し装置によりワイヤーを通し、支持軸を被取付物から離れる方向に移動させてから回転させることでワイヤーを輪状に形成することを特徴とするワイヤー取付装置。
【請求項2】
一対のアームと、アームが取付けられた支持軸と、各アームに取付けたガイドパイプと、ワイヤー送り出し装置とを備え、被取付物にワイヤーを輪状に形成したハンガーを取付けるものであり、支持軸は、被取付物に対して接近離間自在であるとともに回転自在であり、一対のアーム同士を近付けると各アームに取付けたガイドパイプが被取付物に通されて連続し、連続したガイドパイプにワイヤー送り出し装置によりワイヤーを通し、支持軸を被取付物から離れる方向に移動させてから支持軸を回転させることでワイヤーを被取付物に巻き付け、さらに支持軸を被取付物から離れる方向に移動させてから回転させることでワイヤーを輪状に形成することを特徴とするワイヤー取付装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被取付物にワイヤーを輪にして取付けるワイヤー取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
品物に塗装などの表面処理を施す際には、品物に細いワイヤーで輪状に形成したハンガーを取付け、ハンガーにより品物を吊り下げて表面処理を行っている。従来、品物にハンガーを取付ける作業は、作業者が手作業で行っており、この作業に多くの手間と時間がかかっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、被取付物にワイヤーを輪にして取付ける作業を自動で行えるワイヤー取付装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明によるワイヤー取付装置は、一対のアームと、アームが取付けられた支持軸と、各アームに取付けたガイドパイプと、ワイヤー送り出し装置とを備え、一対のアーム同士を近付けると各アームに取付けたガイドパイプが被取付物に通されて連続し、連続したガイドパイプにワイヤー送り出し装置によりワイヤーを通し、支持軸を被取付物から離れる方向に移動させてから回転させることでワイヤーを輪状に形成することを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明によるワイヤー取付装置は、一対のアームと、アームが取付けられた支持軸と、各アームに取付けたガイドパイプと、ワイヤー送り出し装置とを備え、被取付物にワイヤーを輪状に形成したハンガーを取付けるものであり、支持軸は、被取付物に対して接近離間自在であるとともに回転自在であり、一対のアーム同士を近付けると各アームに取付けたガイドパイプが被取付物に通されて連続し、連続したガイドパイプにワイヤー送り出し装置によりワイヤーを通し、支持軸を被取付物から離れる方向に移動させてから支持軸を回転させることでワイヤーを被取付物に巻き付け、さらに支持軸を被取付物から離れる方向に移動させてから回転させることでワイヤーを輪状に形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によるワイヤー取付装置は、一対のアームと、アームが取付けられた支持軸と、各アームに取付けたガイドパイプと、ワイヤー送り出し装置とを備え、一対のアーム同士を近付けると各アームに取付けたガイドパイプが被取付物に通されて連続し、連続したガイドパイプにワイヤー送り出し装置によりワイヤーを通し、支持軸を被取付物から離れる方向に移動させてから回転させることでワイヤーを輪状に形成することで、被取付物にワイヤーを輪にして取付ける作業を自動で行える。
【0007】
請求項2記載の発明によるワイヤー取付装置は、一対のアームと、アームが取付けられた支持軸と、各アームに取付けたガイドパイプと、ワイヤー送り出し装置とを備え、被取付物にワイヤーを輪状に形成したハンガーを取付けるものであり、支持軸は、被取付物に対して接近離間自在であるとともに回転自在であり、一対のアーム同士を近付けると各アームに取付けたガイドパイプが被取付物に通されて連続し、連続したガイドパイプにワイヤー送り出し装置によりワイヤーを通し、支持軸を被取付物から離れる方向に移動させてから支持軸を回転させることでワイヤーを被取付物に巻き付け、さらに支持軸を被取付物から離れる方向に移動させてから回転させることでワイヤーを輪状に形成することで、被取付物にワイヤーを輪にして取付ける作業を自動で行える。しかも、被取付物にワイヤーを巻き付けることで、被取付物に対してワイヤーがずれるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1-1】本発明のワイヤー取付装置により被取付物にワイヤーを輪にして取付ける過程を順に示す図である。
【
図1-2】本発明のワイヤー取付装置により被取付物にワイヤーを輪にして取付ける過程(
図1-1の続き)を順に示す図である。
【
図3】被取付物をワイヤー取付装置から塗装ラインのトロリーに運ぶロボットの動きを示す図である。
【
図4】被取付物を塗装ラインのトロリーに吊り上げた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2は、本発明のワイヤー取付装置の一実施形態を示しており、
図1-1,
図1-2は、同ワイヤー取付装置によりメッシュパネル(被取付物)5にワイヤー6を輪にして取付ける過程を示している。
本ワイヤー取付装置は、フェンス用のメッシュパネル5に塗装を施すために、
図4に示すように、メッシュパネル5の上端部の左右二箇所に、ワイヤーを輪状に形成したハンガー7,7を取付けるものである。ハンガー7,7が取付けられたメッシュパネル5は、
図4に示すように、各ハンガー7をトロリー(搬送装置)8のフック9に引っ掛けて吊り下げられ、トロリー8により塗装ライン内を移動し、その間に塗装が施される。ハンガー7,7が取付けられたメッシュパネル5を、ワイヤー取付装置からトロリー8まで運びフック9,9に吊り上げる作業は、ロボット10(
図3参照)が行う。
【0010】
ワイヤー取付装置は、
図2に示すように、駆動手段11により上下にスライド可能に設けたスライド部12を有し、スライド部12には支持軸2が鉛直に垂下して設けてある。支持軸2の下端部には、水平軸13を支点に回動する一対のアーム1,1を有している。各アーム1,1にはワイヤー6が通されるガイドパイプ3,3が取付けてある。ガイドパイプ3,3は、各アーム1,1の先端部より内側に突出する先端部分3a,3aが硬質となっており、各アーム1,1よりも外側の部分3b,3bは螺旋状に巻いたスプリングにて形成され、可撓性を有している。支持軸2は、モーター14により中心軸回りに回転するようになっている。また、スライド部12の上部には、ワイヤー6を巻いたリール15を回転させてガイドパイプ3にワイヤー6を送り出すワイヤー送り出し装置4を備えている。さらに、ワイヤー送り出し装置4の下方に、ワイヤー6を切断するためのカッター16が設けてある。ワイヤー6は、細いステンレス製の針金を用いている。
【0011】
次に、本ワイヤー取付装置の動作を
図1-1,
図1-2に即して説明する。
まず、
図1-1(a)に示すように、一対のアーム1,1が開いてガイドパイプ3,3の先端部3a,3a同士が離れた状態で支持軸2を下降させる。
次に、
図1-1(b)に示すように、一対のアーム1,1を閉じ、すると左右のガイドパイプ3,3の先端部3a,3aがメッシュパネル5に通されて連続するので、ワイヤー送り出し装置4によりワイヤー6を送り出して、連続した左右のガイドパイプ3,3に1本のワイヤー6を連続して通す(図中の矢印参照)。その後、ワイヤー6はガイドパイプ3,3の上方でカッター16により切断される。
次に、
図1-1(c)に示すように、一対のアーム1,1を開いて左右のガイドパイプ3,3の先端部3a,3a同士を離してから支持軸2を少し上昇させる。
次に、
図1―1(d)に示すように、一対のアーム1,1を閉じて左右のガイドパイプ3,3の先端部3a,3a同士を突き合せる。
次に、
図1-1(e)に示すように、支持軸2を回転させる。すると、同図の部分拡大図に示すように、メッシュパネル5の上側に隣接してワイヤー6の捩れ部17aが形成され、これによりワイヤー6がメッシュパネル5に巻き付けられて固定される。
次に、
図1-2(f)に示すように、再び一対のアーム1,1を開いて左右のガイドパイプ3,3の先端部3a,3a同士を離してから支持軸2を上昇させる。
次に、
図1-2(g)に示すように、左右のガイドパイプ3,3の先端部3a,3aの間の下方位置に、ロボット10のアーム(治具)18が前後方向から差し入れられる。
次に、
図1-2(h)に示すように、一対のアーム1,1を閉じて左右のガイドパイプ3,3の先端部3a,3a同士をアーム18の上方で突き合せる。
次に、
図1-2(i)に示すように、支持軸2を回転させる。すると、同図の部分拡大図に示すように、ロボット10のアーム18の上側に隣接する位置でワイヤー6が捩れて捩れ部17bが形成され、これによりワイヤー6が輪状に形成されたハンガー7が出来上がる。
この時点でメッシュパネル5は、ハンガー7でロボット10のアーム18に吊り下げられた状態になっているので、
図1-2(j)に示すように、ロボット10が移動することでメッシュパネル5がワイヤー取付装置から搬出される。
【0012】
その後、
図3(a)に示すように、ロボット10が所定のトロリー8の位置までメッシュパネル5を運び、
図3(b)に示すように、ロボット10のアーム18,18を下降させてトロリー8のフック9,9にハンガー7,7を引っ掛ける。そうすると、
図3(c)に示すように、メッシュパネル5はハンガー7,7によりトロリー8のフック9,9に吊り下げられ、ロボット10はワイヤー取付装置の位置に戻る。
【0013】
上述した実施形態では、ハンガー7の下端部と上端部の2箇所に捩れ部17a,17bが形成されているが、捩れ部は少なくとも1箇所形成してあればよい(請求項1に係る発明)。例えば、被取付物に形成された孔にワイヤー6を通すような場合には、下側の捩れ部17aを形成する工程(
図1-1の(c)~(e))を省略することができる。ただし、下側の捩れ部17aを形成することで、長尺材のような被取付物にワイヤー6をずれないように固定して取付けることができる。
【0014】
以上に述べたように本ワイヤー取付装置は、一対のアーム1,1と、アーム1,1が取付けられた支持軸2と、各アーム1,1に取付けたガイドパイプ3,3と、ワイヤー送り出し装置4とを備え、一対のアーム1,1同士を近付けると各アーム1,1に取付けたガイドパイプ3,3が被取付物(メッシュパネル)5に通されて連続し、連続したガイドパイプ3,3にワイヤー送り出し装置4によりワイヤー6を通し、支持軸2を被取付物5から離れる方向に移動させてから回転させることでワイヤー6を輪状に形成することで、被取付物5にワイヤー6を輪にして取付ける作業を自動で行える。
【0015】
また本ワイヤー取付装置は、一対のアーム1,1と、アーム1,1が取付けられた支持軸2と、各アーム1,1に取付けたガイドパイプ3,3と、ワイヤー送り出し装置4とを備え、被取付物5にワイヤー6を輪状に形成したハンガー7を取付けるものであり、支持軸2は、被取付物5に対して接近離間自在であるとともに回転自在であり、一対のアーム1,1同士を近付けると各アーム1,1に取付けたガイドパイプ3,3が被取付物5に通されて連続し、連続したガイドパイプ3,3にワイヤー送り出し装置4によりワイヤー6を通し、支持軸2を被取付物5から離れる方向に移動させてから支持軸2を回転させることでワイヤー6を被取付物5に巻き付け、さらに支持軸2を被取付物5から離れる方向に移動させてから回転させることでワイヤー6を輪状に形成することで、被取付物5にワイヤー6を輪にして取付ける作業を自動で行える。しかも、被取付物5にワイヤー6を巻き付けることで、被取付物5に対してワイヤー6がずれるのを防止できる。
【0016】
さらに本ワイヤー取付装置は、支持軸2の下方位置に進退自在な治具(ロボットのアーム)18を有し、治具18を基準にしてワイヤー6を捩じることで、ワイヤー6を正確にしっかりと捩じることができる。
【0017】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。被取付物の種類は問わない。被取付物にワイヤーを輪にして取付ける目的は、特に限定されるものではなく、その目的に応じてワイヤーの種類や輪の大きさ等を適宜変更することができる。アームやガイドパイプの形状、材質等は、適宜変更することができる。支持軸は、横方向に移動するものであってもよい。
【符号の説明】
【0018】
1 アーム
2 支持軸
3 ガイドパイプ
4 ワイヤー送り出し装置
5 メッシュパネル(被取付物)
6 ワイヤー
7 ハンガー