(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185175
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】柱状食材製造装置
(51)【国際特許分類】
A21B 5/04 20060101AFI20221207BHJP
A47J 37/04 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
A21B5/04
A47J37/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092666
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】515259546
【氏名又は名称】株式会社 BUC
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】淵岡 弘幸
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA02
4B040AC01
4B040AE04
4B040CA02
4B040CA03
4B040CA04
4B040GD01
(57)【要約】
【課題】市販のガスコンロや炭火コンロなどのように炎を上向きに放出させる加熱装置を用いてバウムクーヘンなどのような柱状食材を作ることができるような柱状食材製造装置を提供する。
【解決手段】ペースト状の生地を収容するトレイ2と、当該トレイ2内の生地を付着させるローラー30と、当該ローラー30を回転可能に軸支する回転軸3bと、当該回転軸3bの両端近傍を保持し、前記トレイ2内の位置と、上向きに熱線を照射させる加熱装置の上方位置との間で前記ローラー30を回動させるアーム4とを設けるようにしたので、市販のガスコンロなどのように上方に向けての炎を噴出させる加熱装置8を設ける。そして、アーム4を垂直方向から加熱装置8側に向けて45度以上傾倒させるようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状食材を収容するトレイと、
当該トレイ内の食材を付着させるローラーと、
当該ローラーを回転可能に軸支する回転軸と、
当該回転軸の両端近傍を保持し、前記トレイ内の位置と、上向きに熱線を照射させる加熱装置の上方位置との間で前記ローラーを回動させるアームと、
を設けたことを特徴とする柱状食材製造装置。
【請求項2】
前記アームが垂直位置から加熱装置側に45度以上回動可能に設けられるものである請求項1に記載の柱状食材製造装置。
【請求項3】
前記アームをトレイ内の位置と加熱装置の上方位置との間で起立状態を保持させておく起立状態保持部材を設けるようにした請求項1に記載の柱状食材製造装置。
【請求項4】
前記アームの回動角度を調整できるようにした調整部を設けた請求項1に記載の柱状食材製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バウムクーヘンなどのような食材を製造する柱状食材製造装置に関するものであり、より詳しくは、上向きに炎を放出する市販のガスコンロなどを用いて、コンパクトかつ低コストに製造できるようにした柱状食材製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バウムクーヘンを製造する場合、下記の特許文献1に示すようなバウムクーヘン製造装置が用いられる。
【0003】
このバウムクーヘン製造装置は、
図6に示すように、バウムクーヘンの生地を収容するトレイ91と、そのトレイ91に収容された生地を外周に付着させるローラー92と、そのローラー92の両端近傍を保持し、略水平状態と起立状態の間で傾倒するアーム93と、アーム93に保持されたローラー92に付着された生地を加熱させる加熱装置94などを備えて構成される。そして、このような製造装置を用いてバウムクーヘンを製造する場合、ローラー92に紙やアルミ箔などを巻き付けた状態で、アーム93をトレイ91側に傾倒させて、ローラー92に生地に付け、アーム93を起立させて加熱装置94側に起立させる。そして、そこで、筐体内でローラー92を回転させながら生地を加熱させ、再び、アーム93を傾倒させてローラー92に生地を付着させ、以下、同様に、アーム93の起立と、加熱を繰り返してバウムクーヘンを製造するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなバウムクーヘン製造装置では、次のような問題がある。
【0006】
すなわち、上述のようなバウムクーヘン製造装置は、起立位置に設けられたローラー92に対して側方から熱線を照射するようにしているため、その加熱装置94からの熱がトレイ91上に照射されてしまい、生地が加熱されてしまう。このため、従来では、アーム93を起立させた後、扉95を閉めてトレイ91への加熱を防止するようにしているが、このよう扉95を設けた場合、内部が視認しにくくなるばかりでなく、扉95を設けるためコストが掛かってしまう。
【0007】
また、従来では加熱装置94も一体的に設けるようにしているが、このような加熱装置94をあらかじめ設けておくと、装置が大型化してしまい、コストが高くなる。このとき、一般家庭のガスコンロなどを用いることができれば、装置をコンパクトにして、コストも大幅に低減させることができるようになる。
【0008】
そこで、本発明は上記課題に着目してなされたもので、市販のガスコンロや炭火コンロなどを用いてバウムクーヘンなどのような食材を作ることができるような柱状食材製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、液状食材を収容するトレイと、当該トレイ内の食材を付着させるローラーと、当該ローラーを回転可能に軸支する回転軸と、当該回転軸の両端近傍を保持し、前記トレイ内の位置と、上向きに熱線を照射させる加熱装置の上方位置との間で前記ローラーを回動させるアームとを設けるようにしたものである。
【0010】
このように構成すれば、市販のガスコンロなどのように上方に向けて熱線を照射させる加熱装置を用いることができるため、装置の部品点数を減らしてコンパクトかつ低コストに製品を仕上げることができるようになる。また、上方に熱線を照射させる加熱装置を利用できるようにすることで、トレイ内の生地が加熱してしまうようなことがなくなる。
【0011】
また、このような発明において、好ましくは前記アームを垂直位置から加熱装置側に45度以上回動させるようにする。
【0012】
このように構成すれば、加熱装置との距離を調整することができ、生地を最適な状態に加熱させることができるようになる。
【0013】
さらに、前記アームの回動角度を調整できるようにした調整部を設けるようにする。
【0014】
このように構成すれば、加熱装置との最適な距離にアームの回動角度を調整して加熱させることができるようになる。
【0015】
また、前記アームをトレイ内の位置と加熱装置の上方位置との間で起立状態を保持させておくための起立状態保持部材を設けるようにする。
【0016】
このように構成すれば、加熱作業を中断するような場合や、焼きあがった食材を取り出す際に、食材を加熱装置から離した位置に保持させておくことができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、液状食材を収容するトレイと、当該トレイ内の食材を付着させるローラーと、当該ローラーを回転可能に軸支する回転軸と、当該回転軸の両端近傍を保持し、前記トレイ内の位置と、上向きに熱線を照射させる加熱装置の上方位置との間で前記ローラーを回動させるアームとを設けるようにしたので、市販のガスコンロなどのように上方に向けて熱線を照射させる加熱装置を用いることができるため、装置の部品点数を減らしてコンパクトかつ低コストに製品を仕上げることができるようになる。また、上方に熱線を照射させる加熱装置を利用できるようにすることで、トレイ内の生地が加熱してしまうようなことがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施の形態における柱状食材製造装置の概略斜視図
【
図2】同形態におけるアームを起立させた状態の側面概略図
【
図3】同形態におけるアームをトレイ側に傾倒させた状態の側面概略図
【
図4】同形態におけるアームを加熱装置側に傾倒させた状態の側面概略図
【
図6】従来例におけるバウムクーヘン製造装置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の位置実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
この実施の形態における柱状食材製造装置1は、市販のガスコンロなどのような加熱装置8を用いて円柱状のバウムクーヘンを製造できるようにしたものであって、
図1に示すように、ペースト状の生地を収容するためのトレイ2と、そのトレイ2に収容された生地を外周表面に付着させるようにしたローラー30を有する回転軸3bと、その回転軸3bの両端近傍を保持し、トレイ2の内部と加熱装置8の上方との位置の間で傾倒可能に設けられたアーム4とを備えるようにしたものである。そして、上方に向けて炎を放出させる加熱装置8を用いて生地を加熱させ、バウムクーヘンを製造できるようにしたものである。以下、本実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
まず、トレイ2は、ペースト状の生地を収容できるようにしたものであって、中央部分を凹ました舟形形状に構成される。このトレイ2を取り付ける場合、対向して設けられた側壁プレート5に二本の棒状部材3aを平行に取り付け、その二本の棒状部材3aにトレイ2のフランジ部21を載置させて取り付けるようにしている。そして、このようにフランジ部21を用いてトレイ2を載置させることにより、トレイ2をすぐに取り外して生地を補充できるようにするとともに、二本の棒状部材3aに沿って左右方向にスライドさせることにより、最適な加熱位置に合わせて、ローラー30の位置とともにトレイ2の左右位置を調整できるようにしている。
【0022】
一方、ローラー30は、このトレイ2に収容可能な幅を有するものであって、棒状の回転軸3bに取り付けられる。そして、回転軸3bの側方に設けられたハンドル31を用いて、ローラー30を回転軸3bとともに回転させるようにしている。なお、このようにローラー30を回転軸3bに取り付ける場合、火に近い位置では、ハンドル31を持つ手が熱くなる可能性があるため、ハンドル31から離れた位置にローラー30を取り付けたい場合がある。そこで、このローラー30を回転軸3bに対して軸方向に沿って調整できるようにしている。このように取り付け位置を調整する場合、ローラー30の軸方向に沿った端面に、回転軸3bに固定できるようにした端部固定部材32を設けておき、この端部固定部材32にネジを通して回転軸3bに固定させるようにしている。
【0023】
このローラー30は、回転軸3bを介して左右のアーム4の先端側に設けられ、アーム4を介してトレイ2内の位置と加熱装置8の上方位置との間で回動できるようになっている。このアーム4は、L字状に起立した側壁プレート5の上端近傍に回動可能に取り付けられ、その回動軸を中心として傾倒可能に取り付けられる。また、このアーム4にローラを取り付ける場合、アーム4の先端側にU字状の溝41を形成しておき、そこに回転軸3bを挟み込むための板バネ42を配置しておき、板バネ42に挟み込んだ状態で回転軸3bを回動させるようにしている。
【0024】
ところで、このようにアーム4を傾倒させてローラー30の生地を加熱させる場合、上方に向けて燃える炎の火力や、バウムクーヘンの径の大きさに応じて、ローラー30と炎との距離を調整しておく必要がある。そのため、垂直方向と基準として、加熱装置8側に、45度から135度(好ましくは60度から135度)の範囲内でアーム4を傾倒角度を調整する調整部6を設けるようにしている。このようにすれば、トレイ2と加熱装置8との距離を離してトレイ2内の生地が加熱されてしまうことを防ぐことができるとともに、加熱装置8側にローラー30を近づけて加熱させることができるようになる。この調整部6としては、側壁プレート5の縁部を回り込ませるようにしたストッパー61を設け、このストッパー61にアーム4の下縁を当接させることによって、傾倒角度を調整できるようにしている。このストッパー61の角度を調整する場合は、ストッパー61の略中央部分に取り付けられたボルト62を、側壁プレート5に設けられた円弧状の長穴63に通し、ナットで側壁プレート5を挟み込んでストッパー61の角度を固定できるようにする。そして、ストッパー61を最適な角度に固定することで、加熱装置8側に傾倒したアーム4の下縁を当接させ、アーム4の傾倒角度を調整させるようにしている。
【0025】
また、このようにアーム4を傾倒させて生地を加熱させた後、完成したバウムクーヘンをアーム4から取り外す必要がある。しかしながら、上述のような構成では、アーム4をトレイ2内の位置か、あるいは、加熱装置8の上方の位置でしか停止させておくことができない。このため、この実施の形態では、アーム4を略起立状態に保持しておくための起立状態固定部7を設けるようにしている。この起立状態固定部7は、
図5に示すように、略V字状をなすように設けられた第一フック71と第二フック72とを備えて構成される。そして、この起立状態固定部7を回動軸に沿って側壁プレート5に近づけ、第一フック71を側壁プレート5の縁を回り込ませるようにして当接させる。また、他方の第二フック72をアーム4の下側の縁を回り込ませるようにして当接させ、その状態で、アーム4の重みによって、アーム4の起立状態を維持させるようにしている。一方、このアーム4の起立状態を解除する場合は、一旦、アーム4を持ち上げて係止状態を解除し、その状態で、起立状態固定部7を側壁プレート5から離して、第一フック71や第二フック72の係止状態を解除させるようにする。
【0026】
次に、このように構成された柱状食材製造装置1の組立方法、および、バウムクーヘンの製造方法について説明する。
【0027】
まず、この柱状食材製造装置1を組み立てる場合、左右の側壁プレート5を対向させ、その状態で二本の棒状部材3aを取り付ける。また、これと同様に、他の棒状部材3aやアーム4などを取り付けて側壁プレート5を起立させるようにする。
【0028】
そして、この状態で、回転軸3bにローラー30を取り付け、その回転軸3bの軸方向に沿ってローラー30の位置を最適な位置に固定する。そして、そのローラー30に銀紙などを巻き付け、これをアーム4の先端に設けられたU字状の溝41の板バネ42に挟み込ませる。
【0029】
このようにして、柱状食材製造装置1を組み立てた後、棒状部材3aの上にトレイ2を載せ、そのトレイ2にペースト状の生地を入れる。このとき、トレイ2の位置については、ローラー30の位置に対応させるようにしておく。
【0030】
このようにした状態で、柱状食材製造装置1をガスコンロなどの加熱装置8の近くに設置し(
図1や
図4の状態)、火を付ける。
【0031】
そして、この状態でアーム4をトレイ2側に傾倒させてローラー30を生地に漬け、ハンドル31を回してローラー30の外周表面に生地を巻き付ける。
【0032】
そして、このように生地を付けた後、今度は、アーム4を加熱装置8側に傾倒させ、最適な角度に固定された調整部6のストッパー61に当接させる。
【0033】
そして、このようにストッパー61に当接させた状態でアーム4を固定し、その状態で、ハンドル31を回転させて、ローラー30に付着した生地を加熱させる。そして、表面の加熱が終わったら、再び、アーム4をトレイ2側に傾倒させて生地をローラー30に付着させる。
【0034】
以下、同様に生地の付着と加熱を繰り返すようにするが、生地が厚くなると、炎との距離が近くなってしまう。このような場合は、調整部6のストッパー61の位置を調整し、炎との距離を離すようにする。
【0035】
そして、バウムクーヘンの焼き付けが終わった場合、起立状態固定部7を側壁プレート5に接触するようにスライドさせ、第一フック71と第二フック72を側壁プレート5とアーム4の縁に当接させてアーム4を起立させる。
【0036】
そして、その状態で回転軸3bをアーム4から取り外し、ローラー30に巻き付けられた銀紙ごとバウムクーヘンを軸方向に抜き出す。
【0037】
そして、バウムクーヘンの中空部の銀紙を抜き取り、適当なサイズにカットしてバウムクーヘンを提供できるようにする。
【0038】
このように上記実施の形態によれば、ペースト状の生地(液状の食材)を収容するトレイ2と、当該トレイ2内の生地を付着させるローラー30と、当該ローラー30を回転可能に軸支する回転軸3bと、当該回転軸3bの両端近傍を保持し、前記トレイ2内の位置と、上向きに熱線を照射させる加熱装置8の上方位置との間で前記ローラー30を回動させるアーム4とを設けるようにしたので、市販のガスコンロなどのように上方に向けての炎を噴出させる加熱装置8を用いることができるため、装置の部品点数を減らしてコンパクトかつ低コストに製品を仕上げることができるようになる。また、上方に熱線を照射させる加熱装置8を利用できるようにすることで、トレイ2内の生地が加熱してしまうようなことがなくなる。
【0039】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0040】
例えば、上記実施の形態では、バウムクーヘンを製造する場合について説明したが、柱状の食材として、ロールケーキやケバブなどの製造に適用するようにしてもよい。
【0041】
また、上記実施の形態では、アーム4を加熱装置8側に大きく傾倒させるようにしたが、このようにした場合、回転軸3bを中心としてバランスが崩れて倒れてしまう可能性があるため、トレイ2を、製造されるべきバウムクーヘンよりも重くするか、机などに吸盤などを用いて付着させるようにしておいてもよい。あるいは、トレイ2を載せる軸部材3aを他の軸部材3aより重くするか、接地面に加熱装置8側に延びる足51(
図4参照)を設けて、転倒を防止できるようにしてもよい。
【0042】
さらに、上記実施の形態では、傾倒角度を調整する場合、円弧状の長穴63の範囲内でストッパー61の角度を調整してアーム4の角度を調整するようにしたが、これ以外の方法で傾倒角度を調整できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1・・・柱状食材製造装置
2・・・トレイ
30・・・ローラー
3a・・・棒状部材
3b・・・回転軸
4・・・アーム
41・・・溝
42・・・板バネ
5・・・側壁プレート
6・・・調整部
61・・・ストッパー
62・・・ボルト
63・・・長穴
7・・・起立状態固定部
8・・・加熱装置