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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185217
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/55 20210101AFI20221207BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20221207BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20221207BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20221207BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221207BHJP
   G03B 15/00 20210101ALN20221207BHJP
   G03B 17/08 20210101ALN20221207BHJP
【FI】
G03B17/55
G03B17/02
G03B17/56 H
G03B30/00
H04N5/225 430
G03B15/00 S
G03B17/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092735
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】井手 寛之
【テーマコード(参考)】
2H100
2H101
2H104
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H100AA41
2H100BB00
2H100CC04
2H100EE00
2H101CC01
2H101CC53
2H104CC00
2H105DD06
2H105DD07
2H105DD08
5C122DA11
5C122EA02
5C122FB01
5C122FB03
5C122GE01
5C122GE11
5C122GE20
5C122GG17
(57)【要約】
【課題】 ヒーターにより、前窓を効率よく加熱することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】 第1のカバーおよび第2のカバーとからなる筐体と、前記筐体の内部に配置されるレンズユニットと、前記第1のカバーに配置され、透明である保護部材と、前記第2のカバーと間隔を隔てて配置され、前記保護部材を加熱する発熱部材と、前記第1のカバーと前記第2のカバーの間に配置される封止部材と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のカバーおよび第2のカバーとからなる筐体と、
前記筐体の内部に配置されるレンズユニットと、
前記第1のカバーに配置され、透明である保護部材と、
前記第2のカバーと間隔を隔てて配置され、前記保護部材を加熱する発熱部材と、
前記第1のカバーと前記第2のカバーの間に配置される封止部材と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記封止部材は、第1の弾性部と第2の弾性部を有し、
前記第1の弾性部は、前記第2のカバーと前記保護部材の間に配置され、
前記第2の弾性部は、前記第1のカバーと前記保護部材の間に配置され、
前記第1の弾性部の弾性力は、前記第2の弾性部の弾性力よりも大きく、前記保護部材を前記1のカバー側へ付勢し、前記第1のカバーと前記保護部材を当接させることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1のカバーと前記第2のカバーの間に配置される延出部と前記第1の弾性部と前記第2の弾性部は、一体成型されたことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記発熱部材を保持する保持部材を備え、
前記保持部材は、前記第2のカバーと間隔を隔てて配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記保持部材は、前記保護部材を保持することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
照明部材と、前記照明部材の光を透過する照明保護部材と、をさらに、備え、
前記照明保護部材は、前記第1のカバーに配置され、前記第1のカバーを介して、前記発熱部材からの熱が伝熱されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1のカバーと前記第2のカバーの熱伝導率は、前記封止部材の熱伝導率より高いことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒーターを備える撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、設置場所を問わず様々な場所で監視カメラが使用されている。一部の車外用の監視カメラには、カメラの前窓に付着した氷雪を溶かすためのヒーターが搭載されている。例えば、特許文献1は、筐体に取り付けられた前窓のヒーター構造について開示している。特許文献1に開示されたヒーター構造は、発熱体であるヒーターがフレームに固定され、そしてフレーム経由で前窓を加熱している。さらに前窓を温めた熱は筐体へ伝熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-145218号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示された構成において、筐体が金属などの高熱伝導材料で構成されていた場合、筐体へ伝熱した熱は、筐体全体へ伝導し、拡散してしまうおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、ヒーターにより、前窓を効率よく加熱することができる撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の撮像装置は、第1のカバーおよび第2のカバーとからなる筐体と、前記筐体の内部に配置されるレンズユニットと、前記第1のカバーに配置され、透明である保護部材と、前記第2のカバーと間隔を隔てて配置され、前記保護部材を加熱する発熱部材と、前記第1のカバーと前記第2のカバーの間に配置される封止部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ヒーターにより、前窓を効率よく加熱することができる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例における監視カメラの斜視図
図2】本発明の実施例における監視カメラの断面図
図3】本発明の実施例における監視カメラの断面図
図4】本発明の実施例における監視カメラの分解図
図5】本発明の実施例におけるヒーターユニットの断面図
図6】本発明の実施例におけるヒーターユニットの分解図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面、図1~6に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態における監視カメラ100の斜視図である。図2図3は、本実施形態における監視カメラ100の断面図である。図2図1のA-A部での断面図である。図3図1のB-B部での断面図である。図4は、本実施形態における監視カメラ100の分解図である。図5は、本実施形態における前窓ユニット120の断面図である。図6は、本実施形態における前窓ユニット120の分解図である。
【0010】
撮像装置の一例としての監視カメラ100は、箱型で車外用の監視カメラである。監視カメラ100は、筐体と、前窓ユニット120と、を備える。なお、本実施形態の監視カメラ100は、屋外で使用することを想定しているが、これに限られない。本発明は、監視カメラ100が、ヒーターを必要とする環境に設置された場合に適応することができる。
【0011】
筐体は、上カバー113と前カバー111とから構成され、例えば、それぞれ、アルミダイカスト製である。上カバー113と前カバー111には、開口部が形成され、上カバー113の開口部に前カバー111が配置され、前カバー111の開口部には前窓131が配置される。また、前カバー111は、上カバー113の前側に配置される。前側とは図2及び図3中の左側で、レンズユニット151の被写体側である。上カバー113は、下カバー114を有する。下カバー114は、天井などに設置される部材であり、メイン基板143等が配置される。なお、上カバー113は第2のカバーに相当する。前カバー111は第1のカバーに相当する。
【0012】
前窓131は、透明な窓部材であり、例えばガラスやポリカーボネート製である。前窓131の内側にはレンズユニット151が配置される。前窓131を介して、レンズユニット151に光が入射される。前窓131は、前カバー111の略中央に配置され、矩形状である。前窓131は、保護部材に相当する。
【0013】
筐体内部にはレンズユニット151、メイン基板141、LED141が配置される。レンズユニット151は、前窓131を介して外部を撮影する。撮影光学系を含むレンズユニット151は、監視カメラ100の内部から外界(被写体)を撮影して映像信号を生成する。レンズユニット151は、鏡筒、鏡筒に固定される固定レンズ、センサーなどから構成される。レンズユニット151により生成された映像信号は、不図示のケーブルなどにより、メイン基板143に伝送される。
【0014】
メイン基板143は、電気基板である。メイン基板143上には、図示しない様々な電気部品が実装される。メイン基板143は、レンズユニット151から出力された映像信号を処理し、処理した映像信号に対して圧縮符号化処理を施す。メイン基板143は圧縮符号化処理を施した映像信号を、例えば、ネットワークを介して外部のカメラ制御装置へ送信する。
【0015】
LED141は、LED基板142に実装される照明部材である。レンズユニット151で撮影した画像や不図示の照度センサーなどから、周辺が暗いと判断された場合、LED141はONになる。LED141から発光された光は、LED窓112を透過して、外部を照射する。LED141から発光される光は、可視光や赤外光である。
【0016】
LED窓112は、透光性の部材であり、例えばポリカーボネート製である。LED窓112は、前カバー111に不図示のねじや接着剤などによって固定される。LED窓112の内側には、LED141が配置される。LED窓112と前カバー111の間は、図示しない防水ゴムや接着剤などによって防水される。また、LED窓112は、前窓131を挟むように、2つ設けられており、矩形状である。LEDは照明部材であり、LED窓112は、照明保護部材に相当する。
【0017】
前窓ユニット120は、上述した前窓131と、ヒーター132と、ヒーター板金133と、ヒーターホルダー134と、ガスケット121から構成される。前窓ユニット120は、筐体である前カバー111と上カバー113の間に組み付けられる。
【0018】
ヒーター132は、中央に開口を有する発熱部材である。ヒーター132は、FPCタイプのヒーターで、パターンは蛇行している。ヒーター132は、図示しないケーブルなどにより、メイン基板143と電気的に接続している。ヒーター132は、図示しない両面テープなどにより、ヒーター板金133に固定される。また、ヒーター132と上カバー113の間には、ヒーターホルダー134とガスケット121が配置される。
【0019】
図示しない温度センサーによって氷点下の温度を検出したり、レンズユニット151が撮影した画像などによって前窓131への雪や氷の付着を検知すると、ヒーター132がONになる。ヒーター132で発生した熱は、前窓131を温め、雪や氷を解かす。さらにヒーター132で発生した熱は、前カバー131を経由して、LED窓112へ伝達する。これによってLED窓112に雪や氷がついても溶かすことができる。
【0020】
本実施例において、ヒーター132の制御は、ヒーター132のON/OFFの2つを切り替える構成である。また、ヒーター132の発熱モードを、前窓131の氷着のみを溶かす消費電力の小さいON1、前窓131とLED窓112両方の氷着を溶かす消費電力の大きいON2として、ON1/ON2/OFFの3つを切り替える構成でもよい。この場合、ON1とON2の切り替えは、LED141のON/OFFに起因して、制御される。
【0021】
ヒーター板金133は、ヒーター132で発生した熱が、ヒーター132面上で均一になるように拡散する熱拡散部材である。ヒーター板金133は、例えばアルミの板金であり、中央に開口を有する。
【0022】
ヒーターホルダー134は、前窓131とヒーター132とヒーター板金133を保持する保持部品である。ヒーターホルダー134は、例えば、スナップフィットにより、前窓131とヒーター132とヒーター板金133を保持する。ヒーターホルダー134は、例えばプラスチック製であり、中央に開口を有する。ヒーターホルダー134はプラスチック製、ガスケット121はシリコンゴム製なので、アルミなどと比べて熱伝導率が低く、ヒーター132と上カバー113間の断熱効果がある。ヒーターホルダー134と上カバー113の間には断熱領域に相当する間隙125が形成される。すなわち、ヒーターホルダー134と上カバー113は間隔を隔てて配置される。間隙125中の空気は、熱伝導率が0.02W/m・K程度であり、プラスチックやゴムなどよりもさらに熱伝導率が低く、断熱効果がより高くなる。なお、ヒーター132はヒーターホルダー134に保持されなくてもよい。この場合、ヒーター132と上カバー113に間隙を形成すればよい。
【0023】
また、ヒーターホルダー134と上カバー113の間に間隙125があることで、前窓131に石が当たっても、間隙125分、前窓131が退避することができる。退避構造により、前窓131に加わる衝撃を低減することができ、監視カメラ100の耐衝撃性能が向上する。また、前窓ユニット120の移動可能量よりも、筐体に前窓ユニット120を組み付けた時の第2の弾性部123の変形量の方が大きい。そのため、被衝撃時、前窓131が退避しても、第2の弾性部は、前カバー111と前窓131間の防水性能を維持することができる。ヒーターホルダー134は、保持部材に相当する。
【0024】
ガスケット121は、雨水などが筐体内部へ侵入することや異物が筐体内部へ侵入することを防ぐ弾性部材である。ガスケット121は、上カバー113と前カバー111の間に配置され、前カバーの熱が上カバー113に移動しないようにする役割もある。ガスケット121は、封止部材に相当する。ガスケット121は、例えばシリコンゴム製である。シリコンゴムの熱伝導率は、0.2W/m・K程度であり、アルミなどの金属と比べると低い。ガスケット121は、前窓131とヒーター132とヒーター板金133を保持するヒーターホルダー134の全周を覆うように構成される。ガスケット121には、第1の弾性部122と第2の弾性部123と延出部124が設けられる。第1の弾性部122は、開口部の周囲を囲う一連のリブ形状である。第1の弾性部122は、ヒーターホルダー134と上カバー113間を塞ぐことで、防水する。第2の弾性部123は、開口部の周囲を囲う一連のリブ形状である。第2の弾性部123は、前窓131と前カバー112間を塞ぐことで、防水する。また、前窓ユニット120が筐体に組み付けられた時、ガスケット121の第1の弾性部122と第2の弾性部123が弾性変形して、筐体内部へ水が浸入しないように密閉し、防水する。
【0025】
第1の弾性部122の弾性力は、第2の弾性部123の弾性力よりも大きい。例えば、第1の弾性部122のリブ形状の幅を第2の弾性部123のリブ形状よりを太く構成することで、大きな弾性力を得る。第1の弾性部122の弾性力が大きいので、前窓ユニット120は、図2(または図3)中左側へ付勢される。つまり、前窓131は、前カバー側へ付勢される。前窓ユニット120の位置は、前窓131と前カバー111が当接することによって決まる。前窓131と前カバー111が当接することで、熱的に接続する。前カバー111の前窓131との当接部には、前窓131への傷付き防止のために薄いシート材などを貼っていてもよい。
【0026】
延出部124は、ガスケット121の周囲に延出した平面形状を有する。延出部124は、前カバー111と上カバー113の間に配置され、前カバー111と上カバーの間を断熱する。延出部124は、上カバー113と前カバー111間の防水部としても機能する。第1の弾性部122と第2の弾性部123と延出部124が設けられたガスケットは、一体成型される。一体成型することで部品点数が増えず、部品コストや組立コストを削減することができる。ガスケット121とヒーター132とヒーター板金133とヒーターホルダー134は、レンズユニット151の撮影を妨げないように中央部に開口を有する。
【0027】
以上のように、ガスケット121の延出部124が上カバー113と前カバー111の間を断熱する構造になっている。また、ヒーター132を保持するヒーターホルダー134と上カバー113の間には断熱領域(間隙125)がある。これにより、ヒーター132は、前窓131を効率的に加熱することができる。また、これらの断熱構造により、短時間でかつ少ない消費電力で、前窓131が温められ、氷や雪を解かすことができる。同様に、LED窓112も、前カバー131を経由して、ヒーターの熱により加熱される。また、ガスケット121の延出部124が上カバー113と前カバー111の間を断熱する構造になっている。また、ヒーター132を保持するヒーターホルダー134と上カバー113の間には断熱領域(間隙125)がある。これにより、ヒーター132は、LED窓112を効率的に加熱することができる。
【0028】
以上により、前窓131とLED窓112を効率に温めることが可能な監視カメラを提供することができる。本発明はこの実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0029】
100 監視カメラ
111 前カバー
112 LED窓
113 上カバー
120 前窓ユニット
121 ガスケット
124 延出部
131 前窓
132 ヒーター
134 ヒーターホルダー
141 LED
151 レンズユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6