IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アーステクニカの特許一覧

<>
  • 特開-粉粒体計測装置及び粉粒体計測方法 図1
  • 特開-粉粒体計測装置及び粉粒体計測方法 図2
  • 特開-粉粒体計測装置及び粉粒体計測方法 図3
  • 特開-粉粒体計測装置及び粉粒体計測方法 図4
  • 特開-粉粒体計測装置及び粉粒体計測方法 図5
  • 特開-粉粒体計測装置及び粉粒体計測方法 図6
  • 特開-粉粒体計測装置及び粉粒体計測方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185219
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】粉粒体計測装置及び粉粒体計測方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3563 20140101AFI20221207BHJP
   B65G 65/40 20060101ALI20221207BHJP
   G01N 21/3554 20140101ALI20221207BHJP
【FI】
G01N21/3563
B65G65/40 B
G01N21/3554
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092742
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】503245465
【氏名又は名称】株式会社アーステクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】上野 明紀
(72)【発明者】
【氏名】小柳 敬太
【テーマコード(参考)】
2G059
3F075
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB09
2G059CC09
2G059DD12
2G059EE01
2G059EE03
2G059EE12
2G059HH01
2G059HH02
2G059HH03
2G059KK02
2G059MM03
3F075AA08
3F075BA01
3F075BB01
3F075CA09
3F075CB02
3F075CB05
3F075DA04
(57)【要約】
【課題】粉粒体を連続的に通過させながら粉粒体を精度良く計測する粉粒体計測装置を提供する。
【解決手段】粉粒体計測装置40は、ケース42と、駆動部43と、仕切り45と、光センサ46と、を備える。ケース42は、粉粒体が投入される投入部、及び、粉粒体を排出する排出部が形成されており、光を透過する光透過部を少なくとも一部に含む側壁を有する。駆動部43は、駆動力を発生させる。仕切り45は、ケース42の内部に配置されており、駆動部43が発生させた駆動力によって、水平面に平行な方向を回転軸線51として回転可能であり、回転軸線51の方向で見たときに放射状となるように複数設けられる。光センサ46は、光透過部の外側の面に固定されており、光透過部を介して粉粒体を光計測する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体が投入される投入部、及び、前記粉粒体を排出する排出部が形成されており、光を透過する光透過部を少なくとも一部に含む側壁を有するケースと、
駆動力を発生させる駆動部と、
前記ケースの内部に配置されており、前記駆動部が発生させた駆動力によって、水平面に平行な方向を回転軸線として回転可能であり、前記回転軸線の方向で見たときに放射状となるように複数設けられた仕切りと、
前記光透過部の外側の面に固定されており、前記光透過部を介して前記粉粒体を光計測する光センサと、
を備えることを特徴とする粉粒体計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粉粒体計測装置であって、
前記仕切りが水平面と平行になるときの当該仕切りの角度を0度及び180度と定義し、
前記仕切りが前記回転軸線から鉛直上向きになるときの当該仕切りの角度を90度と定義し、
前記回転軸線の方向で見たときにおいて、前記仕切りが90度から180度まで移動したときの前記仕切りの移動軌跡と前記光センサの位置とが重なることを特徴とする粉粒体計測装置。
【請求項3】
請求項2に記載の粉粒体計測装置であって、
前記光センサの高さは、前記回転軸線の高さよりも高く、かつ、前記仕切りが90度のときの当該仕切りの長手方向の中央の高さよりも低いことを特徴とする粉粒体計測装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の粉粒体計測装置であって、
前記光センサによる光計測により取得した計測値を解析する制御部を備え、
前記制御部は、前記光センサによる前記仕切りの計測値を含めずに前記粉粒体の計測結果を作成することを特徴とする粉粒体計測装置。
【請求項5】
請求項4に記載の粉粒体計測装置であって、
前記制御部は、前記光センサによる光計測に基づいて、前記粉粒体の計測値と、前記仕切りの計測値と、を含む全体の計測結果を取得し、
前記制御部は、全体の計測結果から前記仕切りの計測値を除外する処理を行って、前記粉粒体の計測結果を作成することを特徴とする粉粒体計測装置。
【請求項6】
請求項4に記載の粉粒体計測装置であって、
前記制御部は、
前記光センサの計測領域に前記仕切りが存在しないタイミングで計測値を取得し、
前記光センサの計測領域に前記仕切りが存在するタイミングで計測値を取得しないことを特徴とする粉粒体計測装置。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載の粉粒体計測装置であって、
前記ケース内において前記仕切りで区分された空間であって、前記排出部に向かう前記粉粒体を一時的に貯留する空間を貯留空間とし、
前記貯留空間のうち前記回転軸線に平行な方向の長さを幅とし、前記貯留空間のうち前記仕切りに沿って放射方向に延びる方向の長さを径としたときに、前記幅が前記径の0.9倍よりも小さいことを特徴とする粉粒体計測装置。
【請求項8】
粉粒体が投入される投入部、及び、前記粉粒体を排出する排出部が形成されており、光を透過する光透過部を少なくとも一部に含む側壁を有するケースを通過する前記粉粒体を計測する粉粒体計測方法において、
前記ケースの内部に放射状となるように設けられた複数の仕切りを水平面に平行な方向を回転軸線として回転させて前記粉粒体を前記投入部側から前記排出部側に移動させる移動工程と、
前記光透過部の外側の面に固定された光センサを用いて、前記光透過部を介して前記粉粒体を光計測する計測工程と、
を含むことを特徴とする粉粒体計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、粉粒体を計測する粉粒体計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の連続式撹拌処理装置は、処理容器の内部に配置されたアジテータを備える。アジテータは、攪拌羽根を有しており、攪拌羽根を回転させることにより、原料を攪拌等して粒子状の処理物を生成する。粒子状の処理物は、排出口(シュート)を介して整粒機構へ送られる。排出口には、粒子状の処理物の物性を計測する近赤外線センサが設けられている。
【0003】
特許文献2の回転式粉体圧縮成形機は、粉体を圧縮して錠剤を成形する。粉体が送られる経路には粉体が一時的に貯留されるバッファタンク及び粉体を移動させるためのシュートが設けられている。バッファンタンク及びシュートには、粉体の混合度を計測するための近赤外線センサが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-7571号公報
【特許文献2】特開2020-168634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
粉粒体の排出口に光センサを設ける場合、粉粒体が十分に堆積されていないことがあるため、粉粒体の計測の精度が低くなることがある。しかし、粉粒体の計測の精度を高くするためにバッファタンクに光センサを設ける場合、粉粒体を連続的に送ることができなくなったり、粉粒体の処理速度が遅くなったりする。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、粉粒体を連続的に通過させながら粉粒体を精度良く計測する粉粒体計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の粉粒体計測装置が提供される。即ち、粉粒体計測装置は、ケースと、駆動部と、仕切りと、光センサと、を備える。前記ケースは、粉粒体が投入される投入部、及び、前記粉粒体を排出する排出部が形成されており、光を透過する光透過部を少なくとも一部に含む側壁を有する。前記駆動部は、駆動力を発生させる。前記仕切りは、前記ケースの内部に配置されており、前記駆動部が発生させた駆動力によって、水平面に平行な方向を回転軸線として回転可能であり、前記回転軸線の方向で見たときに放射状となるように複数設けられる。前記光センサは、前記光透過部の外側の面に固定されており、前記光透過部を介して前記粉粒体を光計測する。
【0009】
本発明の第2の観点によれば、以下の粉粒体計測方法が提供される。即ち、粉粒体計測方法では、ケースを通過する粉粒体を計測する。ケースは、粉粒体が投入される投入部、及び、前記粉粒体を排出する排出部が形成されており、光を透過する光透過部を少なくとも一部に含む側壁を有する。粉粒体計測方法は、移動工程と、計測工程と、を含む。前記移動工程では、前記ケースの内部に放射状となるように設けられた複数の仕切りを水平面に平行な方向を回転軸線として回転させて前記粉粒体を前記投入部側から前記排出部側に移動させる。前記計測工程では、前記光透過部の外側の面に固定された光センサを用いて、前記光透過部を介して前記粉粒体を光計測する。
【発明の効果】
【0010】
これにより、粉粒体を連続的に通過させながら、粉粒体を計測することができる。また、粉粒体は一時的に仕切り部で囲まれる空間に堆積するため、シュートに光センサを設ける構成と比較して、粉粒体の計測の精度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の粉粒体計測装置を含む造粒乾燥装置の全体的な構成を示す図。
図2】第1実施形態の粉粒体計測装置の側面断面図。
図3】第1実施形態の粉粒体計測装置の正面断面図。
図4】光センサによる計測を中断することで仕切りの影響を除外する処理を示すフローチャート。
図5】粉粒体の計測値を抽出することで仕切りの影響を除外する処理を示すフローチャート。
図6】第2実施形態の粉粒体計測装置の側面断面図。
図7】第2実施形態の粉粒体計測装置の正面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。初めに、図1を参照して、第1実施形態の造粒乾燥装置1の全体的な構成を説明する。
【0013】
造粒乾燥装置1は粉体等の原料から粒状体を生成し、粒状体に対して乾燥等を行って造粒品を生成する。以下の説明では、粉体と粒状体を含む粉粒体という用語を用いることがある。
【0014】
図1に示すように、造粒乾燥装置1は、造粒部2と、気体供給部3と、乾燥部4と、回収部5と、気体吸引部6と、を備える。造粒部2及び気体供給部3は、それぞれ、流路を介して乾燥部4と接続されている。乾燥部4は、流路を介して回収部5と接続されている。回収部5は、流路を介して気体吸引部6と接続されている。流路は、例えば配管である。
【0015】
造粒部2は、供給された原料を粒状体に加工する。造粒部2は、フィーダ15と、バインダ供給部17と、造粒装置19と、を有している。フィーダ15は、原料を造粒装置19に供給する。バインダ供給部17は、バインダを造粒装置19に供給する。造粒装置19は、供給された原料及びバインダを用いて、粒状体(被処理物)を生成する。
【0016】
気体供給部3は、高温の気体(空気)を造粒乾燥装置1の乾燥部4側に供給する。気体供給部3は、ブロワ21と、ヒータ23と、を有している。ブロワ21は、外気を吸引して送り出す。ヒータ23は、ブロワ21から送られてきた気体を加熱する。加熱された気体は、乾燥部4に向かって流れる。この気体としては外気(空気)を用いているが、窒素等の不活性ガスを用いても良い。また、ヒータ23の種類は特に限定されない。
【0017】
乾燥部4は、気体供給部3から送られてくる高温の気体(乾燥用気体)を利用して、造粒部2から供給された粒状体を乾燥させる。乾燥部4には、造粒部2からの粒状体と、気体供給部3からの高温の気体と、が混合された混合流体が送られる。乾燥部4は、気流乾燥器を有している。
【0018】
回収部5は、乾燥部4から送られてくる粒状体を製品として回収することができる。回収部5は、本実施形態では、サイクロン25と、バグフィルタ27と、を有している。サイクロン25は、乾燥部4からの混合流体を粒状体と気体とに分離させる。混合流体のうち、粒状体は取出部29に向かって流れ、気体はバグフィルタ27に向かって流れる。サイクロン25からの粉粒体は取出部29で製品として取り出される。バグフィルタ27は、サイクロン25からの気体から、残留している微粉を除去する。微粉が除かれた気体は気体吸引部6に向かって流れる。なお、回収部5の構成は、特に限定されない。例えば、回収部5は、サイクロンを有さず、バグフィルタのみを有するものであっても良い。
【0019】
気体吸引部6は、回収部5側からの気体を吸引することで、粒状体を気体とともに混合流体として移送させることができる。気体吸引部6は、ブロワ31を有している。ブロワ31は、回収部5側の流路の気体を吸引する。ブロワ31に吸引された気体は、大気中に排出される。
【0020】
造粒部2と乾燥部4を接続する流路には、粉粒体計測装置40が設けられている。粉粒体計測装置40は、通過する粉粒体の水分(具体的には水分量又は含水率)を計測する。これにより、乾燥部4に投入される前の粉粒体の水分の程度を確認できる。また、同様の構成を有する粉粒体計測装置40が、サイクロン25と取出部29の間にも設けられている。この粉粒体計測装置40は、取出部29から取り出される粉粒体の水分が適切な範囲にあるか否かを確認する。
【0021】
なお、粉粒体計測装置40は、粉粒体の水分に代えて、粉粒体の他の物性(特定の材料の含有率、又は、混合率)を計測する構成であってもよい。
【0022】
次に、図2及び図3を参照して、粉粒体計測装置40について詳細に説明する。
【0023】
上述したように粉粒体計測装置40は流路に設けられている。図2に太線の矢印で示すように、粉粒体は上から供給されて下から排出される。粉粒体が供給されてから排出されるまでの間に、粉粒体の水分が計測される。図2及び図3に示すように、粉粒体計測装置40は、ホッパ41と、ケース42と、駆動部43と、仕切り45と、光センサ46と、制御部47と、を備える。
【0024】
ホッパ41は、上方から供給された粉粒体を受け止めて下方のケース42へ案内する。ホッパ41は、上方に近づくにつれて開口面積が大きくなるように広がる形状である。本実施形態のホッパ41は、シャッター機構(下方に粉粒体を供給する状態としない状態を切り替える機構)を有していないが、シャッター機構を有していてもよい。
【0025】
ケース42は、ホッパ41の下方に配置されている。ケース42の上部には投入口421が形成されている。ケース42の投入口421は、ホッパ41の下面に接続されている。これにより、ホッパ41を介してケース42に粉粒体が供給される。ケース42の下部には排出口422が形成されている。粉粒体は排出口422から下方に排出されて次の工程へ流される。
【0026】
また、ケース42は、投入口421と排出口422を接続する壁部である側壁42aを備える。側壁42aの一部は、光(特に、可視光、近赤外光、近紫外光等)を透過する光透過部42bとして構成される。具体的には、例えば金属製の側壁42aの一部を開口部を形成し、その開口部に光透過部42bを嵌め込んで固定される。光透過部42bは、強度及び光透過性を考慮すればサファイヤガラスが好ましいが、異なる材料(石英ガラス又はアクリル等)であってもよい。
【0027】
駆動部43は、電動モータであり、外部から供給された電力を用いて駆動力を発生させて、駆動軸43aを回転させる。駆動部43は、駆動力を発生可能であれば、電動モータに限られない。
【0028】
仕切り45は、板状の部材であり、ケース42の内部に複数配置されている。図3に示すように、複数の仕切り45は、駆動軸43aを中心として放射状となるように配置されている。仕切り45と駆動軸43aは連結されており、駆動部43が発生させた駆動力によって、回転軸線51を回転中心として仕切り45が回転駆動される。回転軸線51は水平面に平行であり、鉛直方向に直交する。
【0029】
仕切り45は、基本的には定速で回転駆動される。また、隣接する2つの仕切り45は、ケース42の内壁面とともに貯留空間を形成する。投入口421から供給された粉粒体は、この貯留空間に堆積されながら下方へ送られて、排出口422から排出される。仕切り45を設けて低速で回転駆動することにより、投入口421に投入される粉粒体の量にバラツキがあったとしても、それを平滑化して排出口422から排出できる。
【0030】
光センサ46は、粉粒体の物性を計測する。本実施形態では近赤外線分光を用いて粉粒体を計測するが、別の方法(例えばラマン分光)を用いて粉粒体を計測してもよい。光センサ46は、ケース42の内部ではなく外部から粉粒体を計測する。これにより、光センサ46の汚れを防止したり、配線を単純化したりできる。具体的には、光センサ46は、光透過部42bを介して粉粒体に近赤外線を照射し、その反射光を受光する。光センサ46が受光した光をスペクトル解析することで、粉粒体の水分を計測できる。
【0031】
光センサ46は、光軸方向が回転軸線51に実質的に平行となる向きでケース42に取り付けられている。実質的に平行とは、厳密に平行な場合だけでなく数度程度の差異がある場合も含む。これにより、仕切り45の影響を軽減して粉粒体を計測できる。また、光センサ46は仕切り45と一体的に回転しないように(言い換えれば仕切り45が回転しても光センサ46の位置が変わらないように)側壁42aに取り付けられている。
【0032】
ここで、光計測の精度を向上させるためには、ある程度の分量の粉粒体が堆積している箇所を計測する必要がある。更に、できる限り光センサ46が仕切り45を計測しないようにする必要がある。以下、具体的な光センサ46の配置について説明する。
【0033】
図3に示すように、仕切り45が水平面と平行となるときの仕切りの角度を0度及び180度と定義する。更に、仕切り45が回転軸線51を基端として鉛直上向きとなるときの角度を90度と定義する。それぞれの仕切り45は、0度、90度、180度を経由して、再び0度に戻るように回転する。
【0034】
本実施形態の粉粒体計測装置40では、貯留空間の中心が0度を向くときには、この貯留空間に粉粒体は供給されない。その後、仕切り45が回転するにつれて貯留空間に粉粒体が供給される。粉粒体が貯留空間に供給されるピークは、貯留空間の中心が90度を向くとき又はその前後を向くときである。そして、貯留空間の中心が180度を向くときには、この貯留空間に新たな粉粒体は供給されない。つまり、貯留空間に十分な粉粒体が存在するのは、貯留空間の中心が90度から180度を向くときである。
【0035】
本実施形態では、回転軸線51の方向で粉粒体計測装置40を見たときにおいて、仕切り45が90度から180度まで移動したときの仕切りの移動軌跡(1/4の円形状)と光センサ46の位置とが重なる。これにより、貯留空間に多くの粉粒体が存在する箇所において粉粒体の光計測を行うことができる。なお、好ましくは、仕切り45が100度から150度まで移動したときの仕切りの移動軌跡と光センサ46の位置とが重なる。
【0036】
また、粉粒体の計測を精度良く行うためには、光センサ46の高さも重要である。例えば光センサ46の位置が高過ぎる場合、光センサ46の計測領域に粉粒体が存在しない可能性があるので、適切に粉粒体を計測できないことがある。一方で、光センサ46の位置が低過ぎる場合、光センサ46が仕切り45を計測する時間が長くなる。
【0037】
図3に示すように、本実施形態では、光センサ46の高さH1は、回転軸線51の高さよりも高く、かつ、仕切り45が90度のときの当該仕切り45の長手方向の中央の高さH2よりも低い。これにより、粉粒体を適切に計測できる。なお、仕切り45の長手方向とは、仕切り45の半径方向(回転軸線51から放射状に広がる方向)のことである。
【0038】
次に、仕切り45の影響を除外して光センサ46の計測値を処理する方法について説明する。
【0039】
上述した適切な位置に光センサ46を配置した場合であっても、光センサ46の計測範囲を仕切り45は横切ることは避けられないため、この影響を除外する必要がある。以下、仕切り45の影響を除外する2つの方法について説明する。
【0040】
第1の方法は、仕切り45が光センサ46の計測範囲に重なるタイミングにおいて、光センサ46による計測を中断する方法である。制御部47は駆動部43を制御するため、その制御情報又は図略のエンコーダで取得した情報に基づいて、仕切り45の位置を特定可能である。
【0041】
制御部47は、仕切り45が光センサ46の計測領域に重なるタイミングでないと判定している間においては(図4のS101)、光センサ46による粉粒体の計測を実行する(S102)。次に、制御部47は、光センサ46の計測値に基づいて、粉粒体の水分を算出する(S103)。仕切り45が計測領域に重なる前まではこの処理が繰り返される。
【0042】
その後、制御部47は、仕切り45が光センサ46の計測領域に重なるタイミングであると判定した場合(S101)、光センサ46にその旨の信号を送信示して、光センサ46による計測を中断する(S104)。
【0043】
その後、仕切り45が光センサ46の計測領域から外れた後に、再びステップS102及びS103の処理が行われて粉粒体の水分が算出される。以上の処理を繰り返し行うことにより、連続して送られる粉粒体の水分をリアルタイムで計測することができる。また、第1の方法では、制御部47は光センサ46の全ての計測値を用いて、粉粒体の水分を算出すれば良いので、演算が簡単になる。
【0044】
本実施形態では、仕切り45が光センサ46の計測領域にあるタイミングで光センサ46の計測を中断したが、このタイミングで光センサ46から制御部47へ入力される計測値を遮断して受信しないようにしてもよい。
【0045】
第2の方法は、光センサ46による計測は中断せずに、制御部47によるデータ処理で、不要な計測値を除外する方法である。
【0046】
初めに、制御部47は、光センサ46から計測値を受領する(S201)。制御部47が光センサ46から受領した計測値には、光センサ46が粉粒体を計測して得られた計測値(以下、粉粒体の計測値)と、光センサ46が仕切り45を計測して得られた計測値(以下、仕切り45の計測値)と、が含まれている。
【0047】
制御部47は、光センサ46から受信した計測値から、仕切り45の計測値を除外して、粉粒体の計測値を抽出する(S202)。本実施形態では近赤外分光を行うため、計測領域にある物質に応じた波長の光が吸収され、残りの光を光センサ46が受光する。つまり、計測領域に粉粒体がある場合と計測領域に仕切り45がある場合とでは、光センサ46が受光する光のスペクトルが全く異なるはずである。従って、制御部47は、スペクトルに基づいて、粉粒体の計測値と仕切り45の計測値を区別できるので、光センサ46から受信した計測値から、仕切り45の計測値を除外して、粉粒体の計測値を抽出できる。
【0048】
制御部47は、ステップS202で抽出した粉粒体の計測値に基づいて、粉粒体の水分を算出する(S203)。以上の処理を繰り返し行うことにより、連続して送られる粉粒体の水分をリアルタイムで計測することができる。また、第2の方法では、制御部47は仕切り45が計測領域に重なるタイミングを推測する処理を省略できる。
【0049】
次に、図6及び図7を参照して、第2実施形態の粉粒体計測装置40について、第1実施形態と比較しながら説明する。
【0050】
第2実施形態の粉粒体計測装置40は、第1実施形態の粉粒体計測装置40と構成及び動作原理は同じであるが、サイズの比率が異なる。以下では、図2図3図6図7に示すように、貯留空間のうち回転軸線51に平行な方向の長さを幅とし、貯留空間のうち仕切り45に沿って放射方向に延びる方向の長さを径する。また、第1実施形態の粉粒体計測装置40の貯留空間の幅を幅w1と称し、径を径d1と称する。同様に、第2実施形態の粉粒体計測装置40の貯留空間の幅を幅w2と称し、径を径d2と称する。
【0051】
第2実施形態の粉粒体計測装置40の幅w2は、第1実施形態の粉粒体計測装置40の幅w1よりも小さい。更に、第2実施形態の粉粒体計測装置40の径d2は、第1実施形態の粉粒体計測装置40の径d1よりも大きい。第2実施形態の粉粒体計測装置40は、幅w2を小さくする代わりに径d2を大きくして、貯留空間の容量を維持した構成である。
【0052】
幅を小さくする利点は、貯留空間に投入される粉粒体の量が少なくても光センサ46による計測を適切に行えることである。光センサ46による粉粒体の計測を行うためには、光センサ46が配置された位置まで粉粒体が堆積する必要がある。光センサ46の高さH2を一定とした場合、貯留空間の幅が小さいほど少ない粉粒体で粉粒体の高さが高くなり易い。つまり、貯留空間の幅が狭いほど、光センサ46が配置された位置まで堆積するのに必要な粉粒体の量が少ない。従って、粉粒体を貯めるために回転速度を低下させる必要がなく、粉粒体を継続して計測できる。
【0053】
例えば、第1実施形態の幅w1は、径d1の0.9倍程度である。第1実施形態の粉粒体計測装置40においても粉粒体を十分に検出できることが発明者らにより確かめられている。従って、粉粒体計測装置40の幅は、径の0.9倍よりも小さいことが好ましい。また、第2実施形態の幅w2は、径d2の0.5倍程度である。投入される粉粒体の量が少ない場合は、第2実施形態の粉粒体計測装置40の形状であることが好ましい。従って、粉粒体計測装置40の幅は、径の0.5倍以上0.9倍以下であることが更に好ましい。あるいは、投入される粉粒体の量が更に少ない場合は、粉粒体計測装置40の幅は、径の0.5倍より小さいことが好ましい。
【0054】
なお、光センサ46の高さは、粉粒体計測装置40の径の長さに応じて定めてもよい。例えば、粉粒体計測装置40の径の1/5倍以上、径の半分以下とすることができる。粉粒体計測装置40の径の長さに応じて光センサ46の高さを定める場合、径の長さが長くなるほど光センサ46の高さが高くなる。その結果、光センサ46の前を仕切り45が通過する時間割合を減らすことができるので、計測可能な時間を長くすることができる。
【0055】
以上に説明したように、本実施形態の粉粒体計測装置40は、ケース42と、駆動部43と、仕切り45と、光センサ46と、を備える。ケース42は、粉粒体が投入される投入部、及び、粉粒体を排出する排出部が形成されており、光を透過する光透過部42bを少なくとも一部に含む側壁42aを有する。駆動部43は、駆動力を発生させる。仕切り45は、ケース42の内部に配置されており、駆動部43が発生させた駆動力によって、水平面に平行な方向を回転軸線51として回転可能であり、回転軸線51の方向で見たときに放射状となるように複数設けられる。仕切り45が回転することにより、粉粒体が投入口421側から排出口422側へ送られる(移動工程)。光センサ46は、光透過部42bの外側の面に固定されており、光透過部42bを介して粉粒体を光計測する(計測工程)。以上により粉粒体計測方法が行われる。
【0056】
これにより、粉粒体を連続的に通過させながら、粉粒体を計測することができる。また、粉粒体は一時的に仕切り部で囲まれる貯留空間に堆積するため、シュートに光センサを設ける構成と比較して、粉粒体の計測の精度を高くすることができる。
【0057】
本実施形態の粉粒体計測装置40において、仕切り45が水平面と平行になるときの仕切り45の角度を0度及び180度と定義する。仕切り45が回転軸線51から鉛直上向きになるときの仕切り45の角度を90度と定義する。回転軸線51の方向で見たときにおいて、仕切り45が90度から180度まで移動したときの仕切り45の移動軌跡と光センサ46の位置とが重なる。
【0058】
これにより、仕切りで囲まれる貯留空間に粉粒体が十分に堆積している箇所において光計測を行うことができるので、粉粒体の計測の精度を高くすることができる。
【0059】
本実施形態の粉粒体計測装置40において、光センサ46の高さH1は、回転軸線51の高さよりも高く、かつ、仕切り45が90度のときの仕切り45の長手方向の中央の高さH2よりも低い。
【0060】
これにより、粉粒体は下から堆積するため、比較的下方で光計測を行うことにより、粉粒体の計測の精度を高くすることができる。
【0061】
本実施形態の粉粒体計測装置40は、光センサ46による光計測により取得した計測値を解析する制御部47を備える。制御部47は、光センサ46による仕切り45の計測値を含めずに粉粒体の計測結果を作成する。
【0062】
これにより、仕切り45の計測結果を用いずに粉粒体の性質を計測することができるので、粉粒体の計測の精度を高くすることができる。
【0063】
本実施形態の粉粒体計測装置40において、制御部47は、光センサ46による光計測に基づいて、粉粒体の計測値と、仕切り45の計測値と、を含む全体の計測結果を取得する。制御部47は、全体の計測結果から仕切り45の計測値を除外する処理を行って、粉粒体の計測結果を作成する。
【0064】
これにより、光センサ46の制御を簡単にすることができる。
【0065】
本実施形態の粉粒体計測装置40において、光センサ46の計測領域に仕切り45が存在しないタイミングで計測値を取得する。光センサ46の計測領域に仕切り45が存在するタイミングで計測値を取得しない。
【0066】
これにより、計測値から計測結果を算出する処理の演算量を少なくすることができる。
【0067】
本実施形態の粉粒体計測装置40では、ケース42内において仕切り45で区分された空間であって、排出部に向かう粉粒体を一時的に貯留する空間を貯留空間とする。貯留空間のうち回転軸線51に平行な方向の長さを幅とし、貯留空間のうち仕切り45に沿って放射方向に延びる方向の長さを径としたときに、幅は径の0.9倍よりも小さい。
【0068】
これにより、比較的幅が小さい構成とすることができるので、粉粒体の投入量が少ない場合であっても、粉粒体を適切に計測することができる。
【0069】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0070】
上記実施形態の光透過部42bは側壁42aに取り付けられているが、ケース42の全体又は光センサ46が取り付けられる面の全体を光透過部として構成してもよい。
【0071】
上記実施形態で示したフローチャートは一例であり、一部の処理を省略したり、一部の処理の内容を変更したり、新たな処理を追加したりしてもよい。例えば、図4及び図5のフローチャートでは、光センサ46による計測が行われる毎に粉粒体の水分を算出するが、これに代えて、所定時間の計測値を記憶しておき、所定時間で計測された粉粒体の水分の平均値を算出してもよい。
【符号の説明】
【0072】
40 粉粒体計測装置
41 ホッパ
42 ケース
42a 側壁
42b 光透過部
43 駆動部
45 仕切り
46 光センサ
47 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7