(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185243
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】プローブユニット
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1455 20060101AFI20221207BHJP
【FI】
A61B5/1455
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092778
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 規弘
(72)【発明者】
【氏名】上田 之雄
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK01
4C038KL07
4C038KX04
(57)【要約】
【課題】低負荷且つ着脱容易なプローブユニットを提供する。
【解決手段】プローブユニット4は、可撓性を有する本体部5と、本体部5に取り付けられると共に被検体Hに向けて光Lを照射するための光出射部2p(第1光出射部)が露出される第1表面61s(第1面)を有する第1プローブ6と、第1プローブ6に対向するように本体部5に取り付けられると共に、被検体Hの内部を伝播した光Lを検出するための光入射部3p(第1光入射部)が露出される第2表面71s(第2面)を有する第2プローブ7と、遮光性を有すると共に弾性材料を含み、光出射部2pの出射軸A1を囲うように第1表面61sに取り付けられた第1遮光部材8と、遮光性を有すると共に弾性材料を含み、光入射部3pの入射軸A2を囲うように第2表面71sに取り付けられた第2遮光部材9と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の内部のヘモグロビン動態を計測するために用いられるプローブユニットであって、
可撓性を有する本体部と、
前記本体部に取り付けられると共に前記被検体に向けて光を照射するための第1光出射部が露出される第1面を有する第1プローブと、
前記第1プローブに対向するように前記本体部に取り付けられると共に、前記被検体の内部を伝播した光を検出するための第1光入射部が露出される第2面を有する第2プローブと、
遮光性を有すると共に弾性材料を含み、前記第1光出射部の出射軸を囲うように前記第1面に取り付けられた第1遮光部材と、
遮光性を有すると共に弾性材料を含み、前記第1光入射部の入射軸を囲うように前記第2面に取り付けられた第2遮光部材と、
を備えるプローブユニット。
【請求項2】
前記第1プローブ及び前記第2プローブのそれぞれは、前記本体部に対して回動可能に設けられている、
請求項1記載のプローブユニット。
【請求項3】
前記第1プローブの前記第1面は、前記被検体の内部を伝播した光を検出するための第2光入射部をさらに露出し、
前記第2プローブの前記第2面は、前記被検体に向けて光を照射するための第2光出射部をさらに露出し、
前記第1遮光部材は、前記第1光出射部の出射軸及び前記第2光入射部の入射軸を囲うように前記第1面に取り付けられており、
前記第2遮光部材は、前記第1光入射部の入射軸及び前記第2光出射部の出射軸を囲うように前記第2面に取り付けられている、
請求項1又は2記載のプローブユニット。
【請求項4】
前記第1遮光部材は、前記第1プローブの前記第1光出射部と前記第2光入射部との間に介在する第1部分を含み、
前記第2遮光部材は、前記第2プローブの前記第1光入射部と前記第2光出射部との間に介在する第2部分を含む、
請求項3記載のプローブユニット。
【請求項5】
形状記憶部材を備え、
前記本体部は、前記第1プローブを支持する第1支持部と、前記第2プローブを支持する第2支持部と、前記第1支持部と前記第2支持部とを連結する連結部と、を含み、
前記形状記憶部材は、前記連結部に設けられている、
請求項1~4のいずれか一項記載のプローブユニット。
【請求項6】
前記本体部は、
互いに重ね合わされた複数の層部材と、
前記複数の層部材を互いに着脱可能に固定するための固定部材と、を含む、
請求項1~5のいずれか一項記載のプローブユニット。
【請求項7】
前記第1プローブ及び前記第2プローブは、光ファイバを含み、
前記本体部は、前記光ファイバが挿通されると共に前記光ファイバを保持するファイバ保持部を含む、
請求項1~6のいずれか一項記載のプローブユニット。
【請求項8】
前記本体部は、ゴムスポンジによって構成されている、
請求項1~7のいずれか一項記載のプローブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、患者の血中又は組織中の組織酸素飽和度の測定に用いられ得る近赤外センサが記載されている。このセンサは、近赤外光を発生する光源と、光源から発生して患者の身体の一部を透過した後の近赤外光を検出する光検出器と、が配置された回路基板を含むセンサパッドを備えている。センサパッドは、回路基板に設けられた底層をさらに含む。底層には、センサパッドを患者に接着するための接着剤が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のセンサを用いて組織酸素飽和度の測定を行う際には、底層に設けられた接着剤を利用して、センサパッドを直接的に患者に接着することが考えられる。しかし、組織酸素飽和度の測定の対象となる患者が例えば早産児である場合、皮膚が未熟であったり皮膚が形成されていなかったりする場合がある。この場合、センサパッドを接着剤により直接的に患者に接着する方式では、患者への負荷が大きいうえに着脱が容易でない。
【0005】
そこで、本発明は、低負荷且つ着脱容易なプローブユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るプローブユニットは、被検体の内部のヘモグロビン動態を計測するために用いられるプローブユニットであって、可撓性を有する本体部と、本体部に取り付けられると共に被検体に向けて光を照射するための第1光出射部が露出される第1面を有する第1プローブと、第1プローブに対向するように本体部に取り付けられると共に、被検体の内部を伝播した光を検出するための第1光入射部が露出される第2面を有する第2プローブと、遮光性を有すると共に弾性材料を含み、第1光出射部の出射軸を囲うように第1面に取り付けられた第1遮光部材と、遮光性を有すると共に弾性材料を含み、第1光入射部の入射軸を囲うように第2面に取り付けられた第2遮光部材と、を備える。
【0007】
このプローブユニットでは、被検体に向けて光を照射するための第1光出射部が露出される第1プローブに対して、被検体の内部を伝播した光を検出するための第1光入射部が露出される第2プローブが対向するように、第1プローブ及び第2プローブが可撓性を有する本体部に取り付けられている。このため、被検体の内部のヘモグロビン動態を計測する際には、本体部を撓ませて第1プローブと第2プローブとの距離を拡大した状態で第1プローブと第2プローブとで被検体を挟むようにすれば、本体部の撓みを解除することにより、容易に、被検体に対してプローブユニットを装着できる(着脱容易である)。また、このプローブユニットでは、第1プローブの第1面には、第1光出射部の光出射軸を囲むように第1遮光部材が配置されており、第2プローブの第2面には、第1光入射部の光入射軸を囲むように第2遮光部材が配置されている。このため、プローブユニットを被検体に装着したとき、弾性材料を含む第1遮光部材及び第2遮光部材が被検体に接触することによって、少なくとも第1プローブ及び第2プローブのみが被検体に接触することが抑制される。この結果、第1プローブ及び第2プローブのみが被検体に接触する場合と比較して、被検体への負荷が低減される。なお、例えば第2プローブが被検体に接触しない場合、第1光入射部と被検体との間に生じた空間を介して、外部からの検出対象でない光が第1光入射部に入射するおそれがある。これに対して、このプローブユニットでは、プローブユニットを被検体に装着したときに、第1遮光部材と被検体とによって第1光出射部の周りに遮光空間が形成されると共に、第2遮光部材と被検体とによって第1光入射部の周りに遮光空間が形成される。したがって、検出対象でない光の入射が抑制される。
【0008】
本発明に係るプローブユニットでは、第1プローブ及び第2プローブのそれぞれは、本体部に対して回動可能に設けられていてもよい。この場合、被検体の形状又は大きさに応じて第1プローブ及び第2プローブの角度を調整することができる。これにより、第1プローブから被検体への光の入射角、及び、被検体から第2プローブへの光の入射角を適切に設定することが可能となる。
【0009】
本発明に係るプローブユニットでは、第1プローブの第1面は、被検体の内部を伝播した光を検出するための第2光入射部をさらに露出し、第2プローブの第2面は、被検体に向けて光を照射するための第2光出射部をさらに露出し、第1遮光部材は、第1光出射部の出射軸及び第2光入射部の入射軸を囲うように第1面に取り付けられており、第2遮光部材は、第1光入射部の入射軸及び第2光出射部の出射軸を囲うように第2面に取り付けられていてもよい。この場合、第1プローブ及び第2プローブを用いて2チャンネルの測定が可能となる。
【0010】
本発明に係るプローブユニットでは、第1遮光部材は、第1光出射部と第2光入射部との間に介在する第1部分を含み、第2遮光部材は、第1光入射部と第2光出射部との間に介在する第2部分を含んでもよい。この場合、第1光出射部から出射された光が、被検体の表面で反射し、直接、第2光入射部に入射することを抑制できる。また、第2光出射部から出射された光が、被検体の表面で反射し、第1光入射部に入射することを抑制できる。したがって、検出対象でない光の入射が抑制される。
【0011】
本発明に係るプローブユニットでは、形状記憶部材を備え、本体部は、第1プローブを支持する第1支持部と、第2プローブを支持する第2支持部と、第1支持部と第2支持部とを連結する連結部と、を含み、形状記憶部材は、連結部に設けられていてもよい。この場合、第1プローブを第1支持部によって支持できると共に、第2プローブを第2支持部によって支持できる。また、形状記憶部材によって連結部の形状を保つことができる。
【0012】
本発明に係るプローブユニットでは、本体部は、互いに重ね合わされた複数の層部材と、複数の層部材を互いに着脱可能に固定するための固定部材と、を含んでもよい。この場合、着脱可能に固定された複数の層部材の組み合わせにより、本体部の構成の自由度を高めることができる。
【0013】
本発明に係るプローブユニットでは、第1プローブ及び第2プローブは、光ファイバを含み、本体部は、光ファイバが挿通されると共に光ファイバを保持するファイバ保持部を含んでもよい。この場合、光ファイバをファイバ保持部によって保持することができる。これにより、光ファイバの位置ずれを抑制することができる。
【0014】
本発明に係るプローブユニットでは、本体部は、ゴムスポンジによって構成されていてもよい。この場合、本体部の弾性力により被検体への負担を軽減できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、低負荷且つ着脱容易なプローブユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る生体測定装置を示す模式的な図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されたプローブ装置の模式的な平面図である。
【
図4】
図4の(a)は、
図2に示された第1プローブの模式的な平面図であり、
図4の(b)は、
図2に示された第2プローブの模式的な平面図である。
【
図5】
図5の(a)は、
図4におけるVa-Va線断面図であり、
図5の(b)は、
図4におけるVb-Vb線断面図である。
【
図6】
図6の(a)は、
図2に示された第1プローブを示す平面図であり、
図6の(b)は、
図2に示された第1プローブを示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図2に示された第1遮光部材を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係るプローブ装置を被検体に装着した状態を示す図である。
【
図9】
図9は、
図8の一部を拡大して示す模式的な断面図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係るプローブユニットが適用されるプローブ装置の一部を拡大して示す模式的な断面図である。
【
図11】
図11(a)及び(b)は、第2実施形態に係るプローブ装置を示す模式的な図である。
【
図12】
図12は、変形例に係る第1プローブを示す模式的な平面図である。
【
図14】
図14は、変形例に係るプローブ装置を示す模式的な図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態に係るプローブ装置の変形例を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照してプローブユニットの一実施形態について説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素同士、或いは、相当する要素同士には、互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
[第1実施形態]
【0018】
図1は、第1実施形態に係る生体測定装置を示す模式的な図である。
図1に示されるように、生体測定装置100は、生体光学特性計測装置1Aとプローブ装置1Bとを備えている。このような生体測定装置100は、近赤外分光法を用いて生体内の物質を非侵襲的に測定するものであって、プローブ装置1Bを被検体Hに装着した状態において、プローブ装置1Bから被検体Hの被測定部位(例えば脳深部)に向けて光を照射すると共に、被検体Hから出射される光をプローブ装置1Bで検出することにより、生体光学特性計測装置1Aによって被検体Hの被測定部位の光学特性(例えば吸光特性)の測定結果が得られるように構成されている。
【0019】
一例として、生体測定装置100は、被検体Hの血流を測定するための装置であって、生体透過性の高い近赤外(例えば波長700nm~1200nm)の2波長以上の検査光を被検体Hに照射すると共に、被検体Hを透過した光を検出することにより、光の減衰量や時間的拡散から、被検体H内のヘモグロビン動態(例えば酸素化ヘモグロビン、脱酸素化ヘモグロビン、組織酸素飽和度)を測定することができる。被検体Hは、任意の生体であるが、一例として人の小児(早産児)である。
【0020】
生体光学特性計測装置1Aは、例えば時間分解計測法、位相差計測法、あるいはCW法に基づき、生体の光学特性、すなわち生体組織の吸光特性を計測するものである。この生体光学特性計測装置1Aは、光源部C1、光検出部C2、生体光学特性計測部C3、演算処理部C4、及び制御部C5を備えている。
【0021】
光源部C1は、計測法によって発生する光が異なり、例えば、時間分解計測法の場合はパルス光を発生し、位相差計測法の場合はサイン波に変調された光を発生し、CW法の場合は連続光を発生し、複数の波長にて行う場合もある。光源部C1としては、発光ダイオード、レーザダイオード、及び各種パルスダイオードなど、様々なものが挙げられる。そして、光源部C1から出力された光は、光源部C1に接続される照射ユニット2(後述)に入力され、被検体Hへと照射される。
【0022】
光検出部C2は、検出ユニット3(後述)に接続され、検出ユニット3から出力された光を検出するためのものである。この光検出部C2は、生体光学特性計測部C3に接続され、検出した光の光強度などを示す光検出信号を生体光学特性計測部C3に出力する。光検出部C2には、光電子増倍管(PMT:Photomultiplier Tube)のほか、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、PINフォトダイオード、MPPC(Multi-Pixel Photon Counter)など、様々なものを使用することができる。
【0023】
また、光検出部C2は、光源部C1から照射される光の波長を十分に検出できる分光感度特性を有するのが望ましい。特に、被験者の脳深部を透過してきた散乱光、若しくは脳内から発せられる蛍光は微弱である場合、高感度、あるいは高利得の光検出部を使用することが望ましい。
【0024】
生体光学特性計測部C3においては、被験者の中でのプローブ光の強度変化、または波形変化などから生体組織の吸光特性を決定する。決定された吸光特性データは、演算処理部C4に送信される。演算処理部C4では、光源部C1の波長毎にたてられた下記式(1)の連立方程式を解くことによって、被験者脳内部の酸素化ヘモグロビン濃度CHb及び脱酸素化ヘモグロビン濃度CHbO2を決定することができる。下記式(1)において、μaは吸収係数であり、εは吸光係数であり、Cは濃度である。
μa,λ=εHb02,λCHbо2+εHb,λCHb…(1)
【0025】
更に、演算処理部C4では、決定された酸素化ヘモグロビン濃度及び脱酸素化ヘモグロビン濃度から組織酸素飽和度SO2を導出する。一方、制御部C5では、光源部C1、光検出部C2、生体光学特性計測部C3、及び演算処理部C4の制御を行っている。
【0026】
ここで、早産児にあっては、頭蓋内出血は急性期の管理において重要な問題である。早産児においては、未熟な組織が周囲に存在する上位下胚層からの出血が大半である。早産児は脳血管の自動調節機能が未熟であり、血圧変動が脳血液灌流に影響して脳室内出血を起こしやすい。そのため、脳室内出血が起きるとヘモグロビン動態も変化するため、生体測定装置を用いた被検体Hのヘモグロビン動態の頻繁な測定が望まれている。したがって、プローブ装置の着脱を容易化することが望ましい。
【0027】
一方で、早産児の皮膚は、機能的にも構造的にも未熟であり、在胎30週未満では2~3層、在胎24週未満では形成されていない。また、早産児の管理には、呼吸・循環動態の変動を最小限にするために、プローブ装置の被検体Hへの接触時間を最小限にすることが求められる。すなわち、プローブ装置を被検体Hに装着することによる被検体Hへの負荷を低減することも望まれている。これに対して、本実施形態に係る生体測定装置100は、少なくともこれらの課題を解決すべく特有の構成を備えている。引き続いて、プローブ装置1Bの各部の詳細について説明する。
【0028】
図2は、
図1に示されたプローブ装置の模式的な平面図である。
図3は、
図2におけるIII-III線断面図である。
図1~3に示されるように、プローブ装置1Bは、照射ユニット2と検出ユニット3とを有するプローブユニット4を備えている。照射ユニット2は、被検体Hに向けて光を照射するためのものである。照射ユニット2の入力端は、光源部C1に接続されており、照射ユニット2の出力端は、プローブユニット4に保持されている。プローブ装置1Bが被検体Hに装着された状態において、照射ユニット2は、光源部C1から供給された光を出力端から被検体Hに向かって照射することができる。
【0029】
検出ユニット3は、被検体Hの内部を伝播した光を検出するためのものである。検出ユニット3の出力端は、光検出部C2に接続されており、検出ユニット3の入力端は、プローブユニット4に保持されている。プローブ装置1Bが被検体Hに装着された状態において、検出ユニット3は、被検体Hの内部を伝播してきた光を入力端から検出し、その検出した光を光検出部C2に出力することができる。
【0030】
プローブユニット4は、上記のとおり、照射ユニット2及び検出ユニット3(以下、単に「照射・検出ユニット」と称することがある)を有する。
図1に示されるように、プローブユニット4は、被検体Hを挟み込むように配置される。
図2に示されるように、プローブユニット4は、本体部5と、照射ユニット2を有する第1プローブ6と、検出ユニット3を有する第2プローブ7と、第1遮光部材8と、第2遮光部材9と、形状記憶部材10と、を有している。
【0031】
本体部5は、プローブユニット4の基体をなす部分である。本実施形態において、本体部5は、全体として略U字型を呈する。本体部5は、例えばゴムスポンジによって構成されており、可撓性を有する。本体部5は、第1支持部51と、第2支持部52と、連結部53と、を有している。
【0032】
本体部5の構成材料としては、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、シリコンゴム(Si)、及びスチレン・ブタジエンゴム(SBR)等、様々なものが用いられ得る。また、本体部5は、連泡スポンジ、フッ素ゴムスポンジ、ポリウレタンゴムスポンジ等によって構成されてもよい。また、本体部5は、ポリウレタンフォーム、ポリエチレン・EVA(Ethylene-Vinyl Acetate)フォームによって構成されてもよい。また、本体部5を3Dプリンタで造形する場合、本体部5の構成材料として、いわゆるゴムライク樹脂を使用してもよい。このように、本体部5の材料は、3Dプリンタで使用可能な材料から選択され得る。
【0033】
第1支持部51及び第2支持部52は、互いに略平行に一方向に沿って長尺状に延びるように配置されている。第1支持部51は、その長手方向の一端部51aと他端部51bとを有する。第2支持部52は、その長手方向の一端部52aと他端部52bとを有する。
【0034】
連結部53は、第1支持部51と第2支持部52とを連結している。より具体的には、連結部53は、第1支持部51及び第2支持部52の長手方向に交差する方向に沿って長尺状に延び、第1支持部51の他端部51bと第2支持部52の他端部52bとを接続している。これにより、第1支持部51、第2支持部52、及び連結部53が一体化され、本体部5が全体としてU字状に形成されることとなる。なお、第1支持部51、第2支持部52、及び、連結部53は、全体として1つの円弧を形成するように(被検体Hの被測定部位の1つである頭部に沿うように)湾曲されている。
【0035】
第1プローブ6は、第1支持部51の一端部51aに取り付けられている。換言すれば、第1支持部51は、一端部51aにおいて第1プローブ6が取り付けられることにより第1プローブ6を支持している。第2プローブ7は、第2支持部52の一端部52aに取り付けられている。換言すれば、第2支持部52は、一端部52aにおいて第2プローブ7が取り付けられることにより第2プローブ7を支持している。
【0036】
第1支持部51の一端部51aは、連結部53の長手方向に沿って第2支持部52の一端部52aと対向している。したがって、第1プローブ6と第2プローブ7とは、互いに対向するように配置されることとなる。また、第1支持部51の一端部51a及び第2支持部52の一端部52aのそれぞれには、第1プローブ6及び第2プローブ7の取り付けに利用される締結具Fが挿通される。締結具Fは例えば樹脂製のネジである。
【0037】
形状記憶部材10は、連結部53に設けられている。形状記憶部材10は、一例として、連結部53の長手方向に沿って延びる長尺矩形状を呈している。形状記憶部材10は、連結部53(すなわち本体部5)の形状を保持するための部材である。形状記憶部材10は、例えば形状記憶樹脂によって構成されている。形状記憶部材10は、連結部53に埋設されている。本実施形態において、形状記憶部材10の弾性率は、本体部5の弾性率よりも大きくなっている。
【0038】
より具体的には、本体部5は、互いに重ね合わされた複数(ここでは2つ)の層部材5a,5bを含み、形状記憶部材10は層部材5aと層部材5bとの間に挟まれることにより連結部53に埋設されている。層部材5aと層部材5bとは、互いに略同一の形状を有している。層部材5a,5bの積層方向からみて、層部材5a,5bの外形は本体部5の外形を規定している(本体部5の外形と一致している)。
【0039】
また、本体部5は、複数の層部材5a,5bを互いに着脱可能に固定するための固定部材54,55を含む。固定部材54,55は、一例として、面ファスナである。固定部材54,55が面ファスナである場合、固定部材54,55は、複数の層部材5a,5bを互いに着脱可能に構成することができると共に、本体部5の曲げ強度を向上させることができる。層部材5a,5bは、層部材5a,5bの間に配置された固定部材54,55によって互いに張り合わされている。固定部材54は、第1支持部51の他端部51bに配置されており、固定部材55は、第2支持部52の他端部52bに配置されている。
【0040】
したがって、固定部材54と固定部材55とは、互いの間に連結部53及び形状記憶部材10が介在されており、互いに離間している。さらに、形状記憶部材10は、固定部材54,55のそれぞれから離間している。これにより、固定部材54と形状記憶部材10との間、及び、固定部材55と形状記憶部材10との間には、それぞれ、間隙G(ファイバ保持部)が形成されている。
【0041】
固定部材54と形状記憶部材10との間に形成された間隙Gには、照射ユニット2の光ファイバ21が挿通されている。光ファイバ21は、間隙Gに挿通された状態において層部材5aと層部材5bとが互いに固定されることにより、層部材5a,5bと固定部材54と形状記憶部材10とに挟み込まれることによって本体部5に保持されている。固定部材55と形状記憶部材10との間に形成された間隙Gには、検出ユニット3の光ファイバ31が挿通されている。光ファイバ31としては、光ファイバ21と同一のものが用いられてもよく、異なるものが用いられてもよい。光ファイバ31は、間隙Gに挿通された状態において層部材5aと層部材5bとが互いに固定されることにより、層部材5a,5bと固定部材55と形状記憶部材10とに挟み込まれることによって保持されている。このように、本体部5は、照射ユニット2の光ファイバ21及び検出ユニット3の光ファイバ31を保持するためのファイバ保持部としての間隙Gを有している。
【0042】
第1プローブ6は、第1支持部51の一端部51aに取り付けられて支持されている。第1プローブ6は、本体部5(第1支持部51)に対して回動可能に設けられている。ここでは、第1プローブ6は、第1支持部51と共に締結具Fが挿通されることにより、本体部5(第1支持部51)に取り付けられている。これにより、第1プローブ6は、締結具Fを回転軸として本体部5に対して回動可能とされる。
【0043】
第2プローブ7は、第1プローブ6と対向するように第2支持部52の一端部52aに取り付けられて支持されている。第2プローブ7は、本体部5(第2支持部52)に対して回動可能に設けられている。第2プローブ7は、第2支持部52と共に締結具Fが挿通されることにより、本体部5(第2支持部52)に取り付けられている。これにより、第2プローブ7は、締結具Fを回転軸として本体部5に対して回動可能とされる。
【0044】
第1遮光部材8は、被検体Hにプローブ装置1Bが装着された状態において、被検体Hと第1プローブ6との間に介在される緩衝部材である。第1遮光部材8は、例えば両面テープといった接着部材によって第1プローブ6に着脱可能に取り付けられている。また、第2遮光部材9は、被検体Hにプローブ装置1Bが装着された状態において、被検体Hと第2プローブ7との間に介在される緩衝部材である。第2遮光部材9は、例えば両面テープといった接着部材によって第2プローブ7に着脱可能に取り付けられている。第1遮光部材8及び第2遮光部材9の詳細については、後述する。
【0045】
上述したように、第1プローブ6及び第2プローブ7を本体部5に取り付けるための締結具Fは、一例として樹脂製のネジであり金属を含まずに構成され得る。これと共に、プローブ装置1Bの他の部分(例えば、照射・検出ユニット自体やプローブユニット4の各部)も構成材料として金属を含まずに構成され得る。この場合、プローブ装置1BをMRI(Magnetic Resonance Imaging)との同時計測に使用することが可能となる。
【0046】
引き続いて、
図4~
図7を用いて、第1プローブ6、第2プローブ7、第1遮光部材8、第2遮光部材9、及びその周辺構造について説明する。まず、第1プローブ6側の構成について説明する。
【0047】
図4の(a)は、
図2に示された第1プローブの模式的な平面図であり、
図4の(b)は、
図2に示された第2プローブの模式的な平面図である。
図5の(a)は、
図4におけるVa-Va線断面図であり、
図5の(b)は、
図4におけるVb-Vb線断面図である。
図6の(a)は、
図2に示された第1プローブを示す平面図であり、
図6の(b)は、
図2に示された第1プローブを示す斜視図である。
図7は、
図2に示された第1遮光部材を示す斜視図である。なお、
図6に示す例では、第1プローブの構成のうち、照射ユニット2を省略している。
【0048】
図4の(a)、及び
図5の(a)に示されるように、照射ユニット2は、光ファイバ21と光ファイバ21に設けられた嵌合部22とを含む。光ファイバ21は、照射ユニット2の出力端側の一部において被覆から露出されており、嵌合部22は光ファイバ21における当該被覆から露出された部分を覆うように設けられている。嵌合部22は、一例として樹脂によって構成されている。嵌合部22は、端面22sを有している。光ファイバ21は、嵌合部22の端面22sと異なる側面から嵌合部22の内部へ挿通されて端面22sに至っている。嵌合部22の端面22sには、光ファイバ21の端面21sが露出されている。ここでは、光ファイバ21の端面21sは、嵌合部22の端面22sと面一になっている。光源部C1からの光は、光ファイバ21の端面21sから出射される。したがって、光ファイバ21の端面21sは、照射ユニット2の光出射部2p(第1光出射部)を構成している。光ファイバ21は、光出射部2pの出射軸A1に沿って光を出射する。
【0049】
図5の(a)に示されるように、第1プローブ6は、保持部61と取付部62とを有している。保持部61は、照射ユニット2を保持するための部分である。取付部62は、第1プローブ6を本体部5に取り付けるための部分である。第1プローブ6は、この取付部62が本体部5の層部材5aと層部材5bとの間に配置され、且つ、この取付部62に対して本体部5(第1支持部51)と共に締結具Fが挿通されることにより、本体部5に取り付けられる。保持部61は、取付部62を介して第1プローブ6が本体部5に取り付けられた状態において、本体部5の第1プローブ6が取り付けられる部分(第1支持部51)と反対側に臨む第1表面61s(第1面)を有している。
【0050】
保持部61は、第1表面61sと交差する第1方向からみて略円形状を呈する。すなわち、第1表面61sはここでは円形状である。保持部61には、第1表面61sに開口する凹部63及び溝部64が形成されている。凹部63は、ここでは第1表面61sの略中心に設けられており、溝部64は凹部63から保持部61の外縁に至るように延在している。凹部63の形状は、照射ユニット2の嵌合部22の外形と略同一とされている。保持部61では、この凹部63に嵌合部22が嵌合されることにより照射ユニット2が保持される。このとき、光ファイバ21の端面21sが第1表面61sに露出される。一例として、第1表面61sと端面21sとは面一である。
【0051】
このように、第1プローブ6は、本体部5に取り付けられると共に本体部5と反対側に臨む第1表面61sを有しており、被検体Hに向けて光を照射するための照射ユニット2の光出射部2p(光ファイバ21の端面21s)が第1表面61sに露出している。なお、溝部64には、照射ユニット2の光ファイバ21が配置される。
【0052】
図4の(a)及び
図7に示されるように、第1遮光部材8は、保持部61の第1表面61sの外形に沿った外形を有している。一例として第1遮光部材8は、円環状を呈する。第1遮光部材8は、内周面8aと、外周面8bと、を有している。第1遮光部材8は、遮光性を有すると共に弾性材料を含む。ここでは、第1遮光部材8は、遮光性を有する弾性材料により形成されている。第1遮光部材8の材料は、一例として、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、シリコンゴム(Si)、及びスチレン・ブタジエンゴム(SBR)等であり、当該材料によってスポンジ状に形成されていてもよい。第1遮光部材8の材料として、本体部5の材料と同一の材料を用いることが可能である。第1遮光部材8の厚さは、周方向において概ね一定である。
【0053】
第1遮光部材8は、第1プローブ6の保持部61の第1表面61sに交差する第1方向からみて、照射ユニット2の光出射部2pを囲うように第1表面61sに取り付けられている。つまり、第1遮光部材8は、光出射部2pの出射軸A1を囲うように第1表面61sに取り付けられている。より具体的には、
図4の(a)及び
図5の(a)に示されるように、第1遮光部材8は、第1方向からみたとき、外周面8bが第1表面61sの外縁部に位置し、且つ、内周面8aの内側に照射ユニット2の光出射部2pが位置するように、第1表面61sに取り付けられている。本実施形態において、第1遮光部材8の外径は、第1表面61sの外径と略一致している。また、第1遮光部材8の内径は、凹部63の外径よりも大きくなっている。
【0054】
続いて、第2プローブ7側の構成について説明する。なお、第2プローブ7は、上述した第1プローブ6と同様の構成を有するが、第1プローブ6と同様に説明を行う。
図4の(b)、及び
図5の(b)に示されるように、検出ユニット3は、光ファイバ31と光ファイバ31に設けられた嵌合部32とを含む。光ファイバ31は、検出ユニット3の出力端側の一部において被覆から露出されており、嵌合部32は、光ファイバ31における当該被覆から露出された部分を覆うように設けられている。嵌合部32は、一例として樹脂によって構成されている。嵌合部32は、端面32sを有している。光ファイバ31は、嵌合部32の端面32sと異なる側面から嵌合部32の内部へ挿通されて端面32sに至っている。嵌合部32の端面32sには、光ファイバ31の端面31sが露出されている。ここでは、光ファイバ31の端面31sは、嵌合部32の端面32sと面一になっている。被検体Hからの光は、光ファイバ31の端面31sから入射される。したがって、光ファイバ31の端面31sは、検出ユニット3の光入射部3p(第1光入射部)を構成している。光ファイバ31には、光入射部3pの入射軸A2に沿って光が入射する。
【0055】
図5の(b)に示されるように、第2プローブ7は、保持部71と取付部72とを有している。保持部71は、検出ユニット3を保持するための部分である。取付部72は、第2プローブ7を本体部5に取り付けるための部分である。第2プローブ7は、この取付部72が本体部5の層部材5aと層部材5bとの間に配置され、且つ、この取付部72に対して本体部5(第2支持部52)と共に締結具Fが挿通されることにより、本体部5に取り付けられる。保持部71は、取付部72を介して第2プローブ7が本体部5に取り付けられた状態において、本体部5の第2プローブ7が取り付けられる部分(第2支持部52)と反対側に臨む第2表面71s(第2面)を有している。
【0056】
保持部71は、第2表面71sと交差する第2方向からみて略円形状を呈する。すなわち、第2表面71sはここでは円形状である。保持部71には、第2表面71sに開口する凹部73及び溝部74が形成されている。凹部73は、ここでは第2表面71sの略中心に設けられており、溝部74は凹部73から保持部71の外縁に至るように延在している。凹部73の形状は、検出ユニット3の嵌合部32の外形と略同一とされている。保持部71では、この凹部73に嵌合部32が嵌合されることにより検出ユニット3が保持される。このとき、光ファイバ31の端面31sが第2表面71sに露出される。一例として、第2表面71sと端面31sとは面一である。
【0057】
このように、第2プローブ7は、第1プローブ6に対向するように本体部5に取り付けられると共に本体部5と反対側に臨む第2表面71sを有しており、被検体Hの内部を伝播した光を検出するための検出ユニット3の光入射部3p(光ファイバ31の端面31s)が第2表面71sに露出している。なお、溝部74には、検出ユニット3の光ファイバ31が配置される。
【0058】
図4の(b)及び
図7に示されるように、第2遮光部材9は、保持部71の第2表面71sの外形に沿った外形を有している。一例として第2遮光部材9は、円環状を呈する。第2遮光部材9は、内周面9aと、外周面9bと、を有している。第2遮光部材9は、遮光性を有すると共に弾性材料を含む。ここでは、第2遮光部材9は、遮光性を有する弾性材料により形成されている。第2遮光部材9の材料は、一例として、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、シリコンゴム(Si)、及びスチレン・ブタジエンゴム(SBR)等であり、当該材料によってスポンジ状に形成されていてもよい。第2遮光部材9の材料として、本体部5の材料と同一の材料を用いることが可能である。第2遮光部材9の厚さは、周方向において概ね一定である。
【0059】
第2遮光部材9は、第2プローブ7の保持部71の第2表面71sに交差する第2方向からみて、検出ユニット3の光入射部3pを囲うように第2表面71sに取り付けられている。つまり、第2遮光部材9は、光入射部3pの入射軸A2を囲うように第2表面71sに取り付けられている。より具体的には、
図4の(b)及び
図5の(b)に示されるように、第2遮光部材9は、第1方向からみたとき、外周面9bが第2表面71sの外縁部に位置し、且つ、内周面9aの内側に検出ユニット3の光入射部3pが位置するように、第2表面71sに取り付けられている。本実施形態において、第2遮光部材9の外径は、第2表面71sの外径と略一致している。また、第2遮光部材9の内径は、凹部73の外径よりも大きくなっている。
【0060】
引き続いて、以上のように構成される生体測定装置100を使用した生体測定方法について説明する。
図8は、第1実施形態に係るプローブ装置を被検体に装着した状態を示す図である。
図9は、
図8の一部を拡大して示す模式的な断面図である。
図9では、第1プローブ6側の構成についてのみ図示されている。
【0061】
図8,9に示されるように、この方法では、まず、プローブ装置1Bを被検体Hの被測定部位(ここでは頭部)に装着する。一例として、プローブ装置1Bは、照射ユニット2の光出射部2p及び検出ユニット3の光入射部3pが被検体Hの左右のこめかみに配置されるように装着される。このとき、第1プローブ6と第2プローブ7との間隔を拡大するように本体部5を撓ませて、第1プローブ6と第2プローブ7との間に被検体Hを位置させる。その状態において、本体部5の撓みを解放して第1プローブ6と第2プローブ7との間隔を縮小させる。これにより、本体部5の弾性力を利用して、プローブ装置1Bが被検体Hに装着される。第1プローブ6の第1表面61sには第1遮光部材8が取り付けられており、第2プローブ7の第2表面71sには第2遮光部材9が取り付けられている。このため、プローブ装置1Bを被検体Hに装着した際には、少なくとも第1遮光部材8と第2遮光部材9とが被検体Hに接触することとなる。
【0062】
すなわち、第1プローブ6と被検体Hとの間には第1遮光部材8が介在され、第2プローブ7と被検体Hとの間には第2遮光部材9が介在されている。ここでは、第1プローブ6側においては、第1遮光部材8が被検体Hの表面Hsと接していると共に、第1プローブ6の第1表面61s及び照射ユニット2の光出射部2pは被検体Hの表面Hsから離間している。また、第2プローブ7側においては、第2遮光部材9が被検体Hの表面Hsと接していると共に、第2プローブ7の第2表面71s及び検出ユニット3の光入射部3pは被検体Hの表面Hsから離間している。一例として、照射ユニット2の光出射部2pと被検体Hの表面Hsとの間隔Ds(及び、検出ユニット3の光入射部3pと被検体Hの表面Hsとの間隔)は1mm程度である。
【0063】
このように、ここでは、プローブ装置1Bは、第1遮光部材8及び第2遮光部材9のみにおいて被検体Hに接触している。このような接触状態は、例えば第1遮光部材8及び第2遮光部材9の厚さを調整することにより制御可能である。すなわち、第1遮光部材8及び第2遮光部材9の厚さを相対的に厚くすることにより、第1遮光部材8及び第2遮光部材9のみを被検体Hに接触させることができる一方で、第1遮光部材8及び第2遮光部材9の厚さを相対的に薄くすることにより、第1遮光部材8及び第2遮光部材9に加えて、照射ユニット2の光出射部2pや検出ユニット3の光入射部3pを被検体Hに接触させることもできる。
【0064】
なお、プローブ装置1Bを被検体Hに装着したときに、プローブ装置1Bが被検体Hを挟み込む力を適切に設定すべく、プローブユニット4のサイズを選択することができる。すなわち、一例として、被検体Hの被測定部位の大きさが4.5cm~5.5cmである場合、自然な状態における光出射部2pと光入射部3pとの距離であるSD間距離が4cm程度であるもの選択し、被検体Hの被測定部位の大きさが5.5cm~6.5cmである場合、SD間距離が5cm程度であるものを選択し、被検体Hの被測定部位の大きさが6.5cm~7.5cmである場合、SD間距離が6cm程度であるものを選択しつつ、SD間距離を1cm程度拡げつつプローブ装置1Bを被検体Hに装着することができる。なお、自然な状態とは、被検体Hを挟み込んでおらず、プローブ装置1Bに外力が与えられていない状態である。
【0065】
プローブ装置1Bでは、以上のような接触状態が実現されることにより、第1プローブ6と被検体Hとの間に、第1プローブ6、第1遮光部材8、及び被検体Hによって、外来光から遮光された遮光空間Sが形成される。同様に、第2プローブ7と被検体Hとの間には、第2プローブ7、第2遮光部材9、及び被検体Hによって、外来光から遮光された遮光空間Sが形成される。なお、上述したように、第1プローブ6及び第2プローブ7は、本体部5に対して回動可能とされている。したがって、プローブ装置1Bを被検体Hに装着したときに第1プローブ6及び第2プローブ7が回動することにより、第1プローブ6及び第2プローブ7の姿勢が被検体Hの形状(頭部の形状)に沿うように調整される。
【0066】
続いては、以上のようにプローブ装置1Bが被検体Hに装着された状態において、生体光学特性計測装置1Aの制御部C5の制御のもとで、光源部C1から照射ユニット2に光Lが提供される。この光Lは、第1プローブ6の照射ユニット2の光出射部2pから出射されて被検体Hに向けて照射される。ここでは、生体測定装置100では被検体Hのヘモグロビン動態の測定のために時間分解計測法が実施される。したがって、ここでは、パルス光であり、互いに波長の異なる複数(例えば3つ)の光Lが順次に照射される。光Lの波長は、一例として760nm、800nm、及び、830nmである。
【0067】
そして、被検体Hの内部を伝播した光Lは、第2プローブ7の検出ユニット3によって検出され、生体光学特性計測装置1Aの光検出部C2に出力される。その後、この検出結果(光Lの減衰量や時間的拡散等)に基づいて、生体光学特性計測装置1Aの生体光学特性計測部C3及び演算処理部C4によって被検体Hの頭蓋内における酸素化ヘモグロビン、脱酸素化ヘモグロビン、及び、組織酸素飽和度等が導出される。このように、本実施形態では、生体測定装置100は、いわゆる透過型計測を行う。この透過型計測では、被検体Hの深部を伝播した光を検出するため、被検体Hの深部のヘモグロビン動態を計測することができる。
【0068】
以上説明したように、プローブユニット4では、被検体Hに向けて光Lを照射するための光出射部2pが露出される第1プローブ6に対して、被検体Hの内部を伝播した光Lを検出するための光入射部3pが露出される第2プローブ7が対向するように、第1プローブ6及び第2プローブ7が可撓性を有する本体部5に取り付けられている。このため、被検体Hの内部のヘモグロビン動態を計測する際には、本体部5を撓ませて第1プローブ6と第2プローブ7との距離を拡大した状態で第1プローブ6と第2プローブ7とで被検体Hを挟むようにすれば、本体部5の撓みを解除することにより、容易に、被検体Hに対してプローブユニット4(及び照射・検出ユニット)を装着できる(着脱容易である)。
【0069】
また、プローブユニット4では、第1プローブ6の第1表面61sには、光出射部2pの出射軸A1を囲むように第1遮光部材8が配置されており、第2プローブ7の第2表面71sには、光入射部3pの入射軸A2を囲むように第2遮光部材9が配置されている。このため、プローブユニット4を被検体Hに装着したとき、弾性材料を含む第1遮光部材8及び第2遮光部材9が被検体Hに接触することによって、少なくとも第1プローブ6及び第2プローブ7のみが被検体Hに接触することが抑制される。この結果、第1プローブ6及び第2プローブ7のみが被検体Hに接触する場合と比較して、被検体Hへの負荷が低減される。なお、例えば第2プローブ7が被検体Hに接触しない場合、検出ユニット3の光入射部3pと被検体Hとの間に生じた空間を介して、外部からの検出対象でない光が光入射部3pに入射するおそれがある。これに対して、このプローブユニット4では、プローブユニット4を被検体Hに装着したときに、第1遮光部材8と被検体Hとによって光出射部2pの周りに遮光空間Sが形成されると共に、第2遮光部材9と被検体Hとによって光入射部3pの周りに遮光空間Sが形成される。したがって、検出対象でない光の入射が抑制される。
【0070】
また、プローブユニット4では、第1プローブ6及び第2プローブ7のそれぞれは、本体部5に対して回動可能に設けられている。このため、被検体Hの形状又は大きさに応じて第1プローブ6及び第2プローブ7の角度を調整することができる。これにより、第1プローブ6から被検体Hへの光の入射角、及び、被検体Hから第2プローブ7への光の入射角を適切に設定することが可能となる。
【0071】
また、プローブユニット4は、形状記憶部材10を備え、本体部5は、第1プローブ6を支持する第1支持部51と、第2プローブ7を支持する第2支持部52と、第1支持部51と第2支持部52とを連結する連結部53と、を含み、形状記憶部材10は、連結部53に設けられている。このため、第1プローブ6を第1支持部51によって支持できると共に、第2プローブ7を第2支持部52によって支持できる。また、形状記憶部材10によって連結部53の形状を保つことができる。
【0072】
また、プローブユニット4では、本体部5は、互いに重ね合わされた複数の層部材5a,5bと、複数の層部材5a,5bを互いに着脱可能に固定するための固定部材54,55と、を含む。このため、着脱可能に固定された複数の層部材5a,5bの組み合わせにより、本体部5の構成の自由度を高めることができる。
【0073】
また、プローブユニット4では、第1プローブ6及び第2プローブ7は、光ファイバ21,31を含み、本体部5は、光ファイバ21,31が挿通されると共に光ファイバ21,31を保持する間隙Gを含む。このため、光ファイバ21,31を間隙Gによって保持することができる。これにより、光ファイバ21,31の位置ずれを抑制することができる。
【0074】
また、プローブユニット4では、本体部5は、ゴムスポンジによって構成されている。このため、本体部5の弾性力により被検体Hへの負担を軽減できる。
【0075】
なお、プローブユニット4は、構成材料として金属を含まないように構成され得る。この場合、プローブ装置1Bを被検体Hに装着した際に、金属製の部材が被検体Hに接触することを抑制できる。また、このような構成によれば、プローブ装置1Bを装着した状態で、MRIによる計測が可能となる。
[第2実施形態]
【0076】
引き続いて、
図10、11を用いて、第2実施形態に係る生体測定装置100について説明する。第2実施形態に係る生体測定装置100は、第1実施形態に係る生体測定装置100と比較して、プローブ装置1Bに代えてプローブ装置1Dを備える点で相違している。プローブ装置1Dでは、プローブユニット4が、二対の照射・検出ユニットを有している。より具体的には、第2実施形態に係るプローブユニット4では、第1プローブ6及び第2プローブ7のそれぞれが、照射ユニット2及び検出ユニット3のそれぞれを有している。
【0077】
すなわち、ここでは、第1プローブ6が、被検体Hの内部を伝播した光Lを検出するための別の検出ユニット3を有している。当該別の検出ユニット3の光入射部3p(第2光入射部)は、第1表面61sに露出している。また、第2プローブ7が、被検体Hに向けて光Lを照射するための別の照射ユニット2を有している。当該別の照射ユニット2の光出射部2p(第2光出射部)は、第2表面71sに露出している。それぞれの照射・検出ユニットの態様は第1実施形態と同様である。
【0078】
また、第1遮光部材8が、第1表面61sに交差する第1方向からみて、照射ユニット2の光出射部2p及び検出ユニット3の光入射部3pを囲うように第1表面61sに取り付けられており、第2遮光部材9は、第2表面71sに交差する第2方向からみて検出ユニット3の光入射部3p及び照射ユニット2の光出射部2pを囲うように第2表面71sに取り付けられている。つまり、第1遮光部材8は、照射ユニット2の光出射部2pの出射軸A1及び検出ユニット3の光入射部3pの入射軸A2を囲うように第1表面61sに取り付けられており、第2遮光部材9は、検出ユニット3の光入射部3pの入射軸A2及び照射ユニット2の光出射部2pの出射軸A1を囲うように第2表面71sに取り付けられている。すなわち、プローブ装置1Dでは、1つの第1遮光部材8及び第2遮光部材9が、照射・検出ユニットの光入出射部を囲うようにされている。
【0079】
そして、第1遮光部材8が、第1方向からみて照射ユニット2の光出射部2pと検出ユニット3の光入射部3pとの間に介在する部分(第1部分)8pを含み、第2遮光部材9が、第2方向からみて照射ユニット2の光出射部2pと検出ユニット3の光入射部3pとの間に介在する部分(第2部分)9pを含む。部分8pは、光出射部2pと光入射部3pとの間を通るように、内周面8aの互いに対向する領域間に掛け渡されて設けられている。また、部分9pは、光出射部2pと光入射部3pとの間を通るように、内周面9aの互いに対向する領域間に掛け渡されて設けられている。
【0080】
これにより、プローブ装置1Dを被検体Hに装着したとき、光出射部2p及び光入射部3pのそれぞれの周囲に対して、部分8p又は部分9pで仕切られて互いに独立した遮光空間S1,S2が形成されることとなる。
【0081】
引き続いて、以上のように構成される第2実施形態に係る生体測定装置100を使用した生体測定方法について説明する。この方法では、上記のプローブ装置1Dを被検体Hに装着する。装着方法は第1実施形態に係るプローブ装置1Bと同様である。
【0082】
続いては、以上のようにプローブ装置1Dが被検体Hに装着された状態において、生体光学特性計測装置1Aの制御部C5の制御のもとで、光源部C1から第1プローブ6の照射ユニット2に光L1が提供されると共に、光源部C1から第2プローブ7の照射ユニット2に光L2が提供される。この光L1は、第1プローブ6の照射ユニット2の光出射部2pから出射されて被検体Hに向けて照射される。ここでは、生体測定装置100では被検体Hのヘモグロビン動態の測定のために時間分解計測法が実施される。したがって、ここでは、パルス光であり、互いに波長の異なる複数(例えば3つ)の光L1が順次に照射される。光L1の波長は、一例として760nm、800nm、及び、830nmである。
【0083】
同様に、光L2は、第2プローブ7の照射ユニット2の光出射部2pから出射されて被検体Hに向けて照射される。ここでは、パルス光であり、互いに波長の異なる複数(光L1と同数であり例えば3つ)の光L2が順次に照射される。光L2の波長は、例えば光L1と同様であり、一例として760nm、800nm、及び、830nmである。光L1の照射と光L2の照射とは、互いに時間的にずらされて行われる。
【0084】
そして、被検体Hの内部を伝播した光L1は、第2プローブ7の検出ユニット3によって検出され、生体光学特性計測装置1Aの光検出部C2に出力される。また、被検体Hの内部を伝播した光L2は、第1プローブ6の検出ユニット3によって検出されて光検出部C2に出力される。その後、この検出結果(光L1,L2の減衰量や時間的拡散等)に基づいて、生体光学特性計測装置1Aの生体光学特性計測部C3及び演算処理部C4によって被検体Hの頭蓋内における酸素化ヘモグロビン、脱酸素化ヘモグロビン、及び、組織酸素飽和度等が導出される。このように、ここでは、まず、2チャンネルの透過型計測が行われる。
【0085】
なお、プローブ装置1Dでは、第1プローブ6の照射ユニット2の光出射部2pと第2プローブ7の検出ユニット3の光入射部3pとを結ぶ直線と、第1プローブ6の検出ユニット3の光入射部3pと第2プローブ7の照射ユニット2の光出射部2pとを結ぶ直線との2直線が、互いに交差しないように(例えば平行となるように)、第1プローブ6及び第2プローブ7における照射・検出ユニットの位置を設定することができる(第1の配置、
図11の(a)参照)。
【0086】
或いは、プローブ装置1Dでは、当該2直線が互いに交差するように、第1プローブ6及び第2プローブ7における照射・検出ユニットの位置を設定してもよい(第2の配置、
図11の(b)参照)。第1の配置を採用した場合には、被検体Hの内部のより広い範囲について、ヘモグロビン動態を計測することができる。第2の配置を採用した場合には、被検体Hの内部のより局所的な範囲について、ヘモグロビン動態を計測することができる。
【0087】
続いて、第2実施形態に係る生体測定装置100では、反射型計測が行われる。すなわち、生体光学特性計測装置1Aの制御部C5の制御のもとで、光源部C1から第1プローブ6の照射ユニット2に光L1が提供されると共に、光源部C1から第2プローブ7の照射ユニット2に光L2が提供される。この光L1は、第1プローブ6の照射ユニット2の光出射部2pから出射されて被検体Hに向けて照射される。同様に、光L2は、第2プローブ7の照射ユニット2の光出射部2pから出射されて被検体Hに向けて照射される。
【0088】
被検体Hの内部を伝播した光L1は、第1プローブ6の検出ユニット3によって検出され、生体光学特性計測装置1Aの光検出部C2に出力される。また、被検体Hの内部を伝播した光L2は、第2プローブ7の検出ユニット3によって検出されて光検出部C2に出力される。その後、この検出結果(光L1,L2の減衰量や時間的拡散等)に基づいて、生体光学特性計測装置1Aの生体光学特性計測部C3及び演算処理部C4によって被検体Hの頭蓋内における酸素化ヘモグロビン、脱酸素化ヘモグロビン、及び、組織酸素飽和度等が導出される。このように、ここでは、2チャンネルの反射型計測が行われる。
【0089】
この反射型計測では、被検体Hの浅部を伝播した光を検出するため、被検体Hの浅部のヘモグロビン動態を計測することができる。したがって、透過型計測で得られた検出結果に対して、反射型計測で得られた検出結果を考慮する(除く)ことにより、被検体Hの深部のヘモグロビン動態をより正確に計測することが可能となる。
【0090】
以上説明したように、第2実施形態に係るプローブユニット4によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することが可能である。さらに、第2実施形態に係るプローブユニット4では、第1プローブ6の第1表面61sは、被検体Hの内部を伝播した光を検出するための光入射部3pをさらに露出し、第2プローブ7の第2表面71sは、被検体Hに向けて光を照射するための光出射部2pをさらに露出し、第1遮光部材8は、光出射部2pの出射軸A1及び光入射部3pの入射軸A2を囲うように第1表面61sに取り付けられており、第2遮光部材9は、光入射部3pの入射軸A2及び光出射部2pの出射軸A1を囲うように第2表面71sに取り付けられている。このため、第1プローブ6及び第2プローブ7を用いて2チャンネルの測定が可能となる。
【0091】
さらに、プローブユニット4では、第1遮光部材8は、光出射部2pと光入射部3pとの間に介在する部分8pを含み、第2遮光部材9は、光入射部3pと光出射部2pとの間に介在する部分9pを含む。このため、光出射部2pから出射された光が、被検体Hの表面Hsで反射し、直接、光入射部3pに入射することを抑制できる。また、光出射部2pから出射された光が、被検体Hの表面Hsで反射し、直接光入射部3pに入射することを抑制できる。したがって、検出対象でない光の入射が抑制される。
【0092】
以上の実施形態は、本発明の一態様を説明したものである。したがって、本発明は、上記のプローブユニット4に限定されず、任意に変形され得る。
【0093】
図12は、変形例に係る第1プローブを示す模式的な平面図であり、
図13は、
図12におけるXIII-XIII線断面図である。
図13に示される例では、構成を一部省略している。例えば、上記実施形態では、照射ユニット2の光出射部2pが、光ファイバ21の端面21sにより構成されており、当該端面21sが第1プローブ6の第1表面61sに露出されていた。しかし、
図12に示されるように、照射ユニット2の光出射部2pは、光ファイバ21に結合された別の光学部材の端面(ここではプリズム81の端面81a)により構成され、当該端面が第1プローブ6の第1表面61sに露出されていてもよい。
【0094】
この場合、プリズム81は、ケース82を介して保持部61の凹部63に嵌合されている。
図13に示されるように、光ファイバ21は、プリズム81の端面81aと異なる側面に接続(接触)させられることにより、プリズム81に結合されている。より具体的には、プリズム81は、端面81aの反対側に設けられた反射面81bと、端面81aと反射面81bとを繋ぐ側面81cと、を有している。光ファイバ21は、第1プローブ6の内部において側面81cに当接されている。これにより、光ファイバ21から出射された光は、プリズム81の側面81cからプリズム81に入射され、反射面81bによって反射されて端面81aへと導かれる。第2プローブ7側の構成についても第1プローブ6側と同様の構成を採用することができる。
【0095】
また、上記実施形態では、周方向に沿って厚さが一定である第1遮光部材8及び第2遮光部材9を例示した。しかし、
図14に示されるように、第1遮光部材8及び第2遮光部材9では、周方向に沿って厚さが変化していてもよい。より具体的には、第1遮光部材8は、相対的に厚い部分83と相対的に薄い部分84とを有しており、第2遮光部材9は、相対的に厚い部分93と相対的に薄い部分94とを有していてもよい。この場合、被検体Hの外形に応じて第1遮光部材8及び第2遮光部材9を好適に被検体Hに密着させつつ、被検体Hへの光の入射角や被検体Hからの光の入射角を調整することができる。
【0096】
また、上記第2実施形態では、互いに重ね合わされた2つの層部材5a,5bを含む本体部5を例示した。しかし、
図15に示されるように、本体部5は、互いに重ね合わされた二対の層部材5a,5bを含んでもよい。本変形例では、光出射部2p及び光入射部3pのそれぞれに対応する位置に、一対の取付部62,62が設けられている。一方の取付部62は、二対の層部材5a,5bのうち、ある一対の層部材5a,5bの間に配置されており、他方の取付部62は、別の一対の層部材5a,5bの間に配置されている。また、本変形例では、一対の取付部62,62に対して二対の層部材5a,5bのそれぞれと共に締結具Fが挿通されている。これにより、第1プローブ6が本体部5に取り付けられている。第2プローブ7側の構成についても第1プローブ6側と同様の構成を採用することができる。
【0097】
本変形例に係るプローブユニット4では、本体部5が2つの取付部62に対して取り付けられている。換言すると、第1プローブ6は、複数の個所において本体部5に取り付けられている。これにより、プローブユニット4を被検体Hに装着するに際し、本体部5から被検体Hに加わる弾性力を分散させることができる。この結果、例えば、当該弾性力による本体部5の変形量の偏在化(例えば反り)が抑制される。
【0098】
また、照射・検出ユニットの構成は、上述したように光ファイバを用いて生体光学特性計測装置1Aとの間で光の送受信を行うものに限られない。例えば、照射ユニット2は、光源部C1に対応する発光素子を備えており、生体光学特性計測装置1Aとの間で電気的な信号の送受信を行うように構成されていてもよい。この場合、照射ユニット2の光出射部2pは、発光素子の光出射面(又は光出射面に結合された光学部材の端面)により構成され得る。
【0099】
或いは、検出ユニット3は、光検出部C2に対応する受光素子を備えており、生体光学特性計測装置1Aとの間で電気的な信号を送受信するように構成されていてもよい。この場合、検出ユニット3の光入射部3pは、受光素子の光入射面(又は光入射面に結合された光学部材の端面)により構成され得る。これらの場合、第1プローブ6の保持部61の溝部64や、第2プローブ7の保持部71の溝部74には、電気的な信号の送受信を行うための通信線や、発光素子や受光素子等に電力を供給するための電力線等が配置されてもよい。
【0100】
また、これらの場合、生体光学特性計測装置1Aから光源部C1及び光検出部C2を省略することができる。さらには、照射ユニット2及び検出ユニット3には、生体光学特性計測装置1Aとの間で電気的な信号を無線により送受信するための通信部が設けられていてもよい。その他、バッテリや、生体光学特性計測装置1Aの他の要素を照射ユニット2や検出ユニット3に設けてもよい。
【符号の説明】
【0101】
2p…光出射部(第1光出射部、第2光出射部)、3p…光入射部(第1光入射部、第2光入射部)、4…プローブユニット、5…本体部、5a,5b…層部材、6…第1プローブ、7…第2プローブ、8…第1遮光部材、8p…部分(第1部分)、9…第2遮光部材、9p…部分(第2部分)、10…形状記憶部材、21,31…光ファイバ、51…第1支持部、52…第2支持部、53…連結部、54,55…固定部材、61s…第1表面(第1面)、71s…第2表面(第2面)、A1…出射軸、A2…入射軸、G…間隙(ファイバ保持部)、H…被検体、L,L1,L2…光。