(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185248
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】空冷式燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04701 20160101AFI20221207BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20221207BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20221207BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20221207BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20221207BHJP
H01M 8/2475 20160101ALI20221207BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20221207BHJP
【FI】
H01M8/04701
H01M8/0432
H01M8/04 J
H01M8/04746
H01M8/04014
H01M8/2475
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092784
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(72)【発明者】
【氏名】野々山 順朗
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H126FF10
5H127AA06
5H127AB29
5H127AC09
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA28
5H127BA33
5H127BA57
5H127BA58
5H127BA59
5H127BA60
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127BB39
5H127BB40
5H127CC02
5H127DB47
5H127DC80
5H127DC81
(57)【要約】
【課題】効率よく燃料電池を暖機することができる空冷式燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池、前記燃料電池の反応用空気入口に反応用空気を供給する反応用空気供給部、前記反応用空気供給部と前記燃料電池の前記反応用空気入口とを接続する反応用空気供給流路、前記燃料電池の反応用空気出口と前記空冷式燃料電池システムの外部とを接続する反応用空気排出流路、収容部、冷却用空気出口から排出される内部空気温度を取得する温度取得部、制御部、を備え、前記制御部は、前記温度取得部で測定された前記温度に基づいて、前記開閉部の開閉及び開度を制御することを特徴とする空冷式燃料電池システム。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空冷式燃料電池システムであって、
前記空冷式燃料電池システムは、燃料電池、
前記燃料電池の反応用空気入口に反応用空気を供給する反応用空気供給部、
前記反応用空気供給部と前記燃料電池の前記反応用空気入口とを接続する反応用空気供給流路、
前記燃料電池の反応用空気出口と前記空冷式燃料電池システムの外部とを接続する反応用空気排出流路、
収容部、
冷却用空気出口から排出される内部空気温度を取得する温度取得部、
制御部、を備え、
前記燃料電池は、反応用空気マニホールドと冷却用空気マニホールドとが独立した構造を有し、
前記収容部は、前記燃料電池と前記反応用空気供給部と前記反応用空気供給流路と前記反応用空気排出流路と前記温度取得部とを収容し、
前記収容部は、前記燃料電池の冷却用空気出口と前記燃料電池の前記冷却用空気入口とを接続する冷却用空気循環流路を有し、
前記冷却用空気循環流路は、前記燃料電池の冷却用空気出口よりも下流に配置され、且つ、前記燃料電池の冷却用空気入口に冷却用空気を供給する冷却用空気駆動部を有し、
前記収容部は、吸気口と排気口とを有し、
前記吸気口と前記反応用空気供給流路の入口には、それぞれ圧損体が配置され、
前記排気口は開閉部を有し、
前記制御部は、前記温度取得部で測定された前記温度に基づいて、前記開閉部の開閉及び開度を制御することを特徴とする空冷式燃料電池システム。
【請求項2】
前記制御部は前記温度取得部で測定された前記内部空気温度が所定の第1温度閾値未満であると判定した時、前記開閉部を所定の開度未満にして前記冷却用空気を前記収容部内で循環させ、
前記制御部は前記温度取得部で測定された前記内部空気温度が所定の第1温度閾値以上第2温度閾値未満であると判定した時、前記開閉部を所定の開度にして前記冷却用空気の一部を前記収容部内で循環させ、
前記制御部は前記温度取得部で測定された前記内部空気温度が所定の第2温度閾値以上であると判定した時、前記開閉部を所定の開度より大きくして前記冷却用空気を前記収容部の外部に排出する、請求項1に記載の空冷式燃料電池システム。
【請求項3】
外気温センサを有し、
前記制御部は外気温度が所定の第1温度閾値未満であると判定した時、前記開閉部を所定の開度未満にして前記冷却用空気を前記収容部内で循環させ、
前記制御部は外気温度が所定の第1温度閾値以上第2温度閾値未満であると判定した時、前記開閉部を所定の開度にして前記冷却用空気の一部を前記収容部内で循環させ、
前記制御部は外気温度が所定の第2温度閾値以上であると判定した時、前記開閉部を所定の開度より大きくにして前記冷却用空気を前記収容部の外部に排出する、請求項1に記載の空冷式燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空冷式燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池(FC)は、1つの単セル(以下、セルと記載する場合がある)又は複数の単セルを積層した燃料電池スタック(以下、単にスタックと記載する場合がある)で構成され、水素等の燃料ガスと酸素等の酸化剤ガスとの電気化学反応によって電気エネルギーを取り出す発電装置である。なお、実際に燃料電池に供給される燃料ガスおよび酸化剤ガスは、酸化・還元に寄与しないガスとの混合物である場合が多い。特に酸化剤ガスは酸素を含む空気である場合が多い。
なお、以下では、燃料ガスや酸化剤ガスを、特に区別することなく単に「反応ガス」あるいは「ガス」と呼ぶ場合もある。また、単セル、及び、単セルを積層した燃料電池スタックのいずれも、燃料電池と呼ぶ場合がある。
【0003】
燃料電池車両(以下車両と記載する場合がある)に車載されて用いられる燃料電池に関して、様々な技術が提案されている。
例えば特許文献1では、燃料電池のスタックを含み、それぞれの燃料電池が冷却空気路を有し、スタックの通気面上に配置される、流入口/流出口通気開口部を有する燃料電池スタックアセンブリが開示されている。
【0004】
特許文献2では、電圧の低下を極力抑えつつ、凝縮水による流路の閉塞を防止する燃料電池システムが開示されている。
【0005】
特許文献3では、ブロー操作を含むボイラー自動台数制御方式が開示されている。
【0006】
特許文献4では、空冷式燃料電池を迅速に適正な発電反応温度まで昇温させることができる車載用燃料電池スタックの運転方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2015-520500号公報
【特許文献2】特開2001-015136号公報
【特許文献3】特開1990-021102号公報
【特許文献4】特開2005-216783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
空冷式の燃料電池は、空気取り入れ口から取り入れた外部の空気を反応用空気と冷却用空気とに分配して使う。一方、空冷式の燃料電池は、水冷式の燃料電池と同様、燃料電池の発電に適した温度に昇温するために発電時の熱を利用して冷却用空気を循環させることが必要となる。
上記特許文献1では、複数の冷却ファンが必要となることから、重量が増加すること、冷却ファンを逆回転させる場合には特殊なファンが必要となること、複数ファンのうち一部のファンを止める場合では流量低下により局所的な過昇温となる可能性があること等の虞がある。また、上記特許文献1では、反応後の空気を燃料電池システム内で循環させることから、反応後の空気に含まれる液水や水蒸気も同時に循環することとなり、系内の結露や水たまりの発生を招き、燃料電池の性能低下や燃料電池の劣化を招く虞がある。
また、反応後の空気の循環ではなく、特許文献4のように冷却用空気の流速を落とすことで燃料電池の昇温を促進することも考えられるが、冷媒である空気の熱伝導率が低いために、局所的な過昇温となる可能性がある。
【0009】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、効率よく燃料電池を暖機することができる空冷式燃料電池システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の空冷式燃料電池システムは、空冷式燃料電池システムであって、
前記空冷式燃料電池システムは、燃料電池、
前記燃料電池の反応用空気入口に反応用空気を供給する反応用空気供給部、
前記反応用空気供給部と前記燃料電池の前記反応用空気入口とを接続する反応用空気供給流路、
前記燃料電池の反応用空気出口と前記空冷式燃料電池システムの外部とを接続する反応用空気排出流路、
収容部、
冷却用空気出口から排出される内部空気温度を取得する温度取得部、
制御部、を備え、
前記燃料電池は、反応用空気マニホールドと冷却用空気マニホールドとが独立した構造を有し、
前記収容部は、前記燃料電池と前記反応用空気供給部と前記反応用空気供給流路と前記反応用空気排出流路と前記温度取得部とを収容し、
前記収容部は、前記燃料電池の冷却用空気出口と前記燃料電池の前記冷却用空気入口とを接続する冷却用空気循環流路を有し、
前記冷却用空気循環流路は、前記燃料電池の冷却用空気出口よりも下流に配置され、且つ、前記燃料電池の冷却用空気入口に冷却用空気を供給する冷却用空気駆動部を有し、
前記収容部は、吸気口と排気口とを有し、
前記吸気口と前記反応用空気供給流路の入口には、それぞれ圧損体が配置され、
前記排気口は開閉部を有し、
前記制御部は、前記温度取得部で測定された前記温度に基づいて、前記開閉部の開閉及び開度を制御することを特徴とする。
【0011】
本開示の空冷式燃料電池システムにおいては、前記制御部は前記温度取得部で測定された前記内部空気温度が所定の第1温度閾値未満であると判定した時、前記開閉部を所定の開度未満にして前記冷却用空気を前記収容部内で循環させ、
前記制御部は前記温度取得部で測定された前記内部空気温度が所定の第1温度閾値以上第2温度閾値未満であると判定した時、前記開閉部を所定の開度にして前記冷却用空気の一部を前記収容部内で循環させ、
前記制御部は前記温度取得部で測定された前記内部空気温度が所定の第2温度閾値以上であると判定した時、前記開閉部を所定の開度より大きくして前記冷却用空気を前記収容部の外部に排出してもよい。
【0012】
本開示の空冷式燃料電池システムにおいては、外気温センサを有し、
前記制御部は外気温度が所定の第1温度閾値未満であると判定した時、前記開閉部を所定の開度未満にして前記冷却用空気を前記収容部内で循環させ、
前記制御部は外気温度が所定の第1温度閾値以上第2温度閾値未満であると判定した時、前記開閉部を所定の開度にして前記冷却用空気の一部を前記収容部内で循環させ、
前記制御部は外気温度が所定の第2温度閾値以上であると判定した時、前記開閉部を所定の開度より大きくにして前記冷却用空気を前記収容部の外部に排出してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示の空冷式燃料電池システムによれば、効率よく燃料電池を暖機することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本開示の空冷式燃料電池システムの一例を示す概略構成図であって、使い捨てモードの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の空冷式燃料電池システムの別の一例を示す概略構成図であって、循環モードの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の空冷式燃料電池システムの別の一例を示す概略構成図であって、中間モードの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の空冷式燃料電池システムの別の一例を示す概略構成図であって、循環モードの別の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の空冷式燃料電池システムの制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の空冷式燃料電池システムは、空冷式燃料電池システムであって、
前記空冷式燃料電池システムは、燃料電池、
前記燃料電池の反応用空気入口に反応用空気を供給する反応用空気供給部、
前記反応用空気供給部と前記燃料電池の前記反応用空気入口とを接続する反応用空気供給流路、
前記燃料電池の反応用空気出口と前記空冷式燃料電池システムの外部とを接続する反応用空気排出流路、
収容部、
冷却用空気出口から排出される内部空気温度を取得する温度取得部、
制御部、を備え、
前記燃料電池は、反応用空気マニホールドと冷却用空気マニホールドとが独立した構造を有し、
前記収容部は、前記燃料電池と前記反応用空気供給部と前記反応用空気供給流路と前記反応用空気排出流路と前記温度取得部とを収容し、
前記収容部は、前記燃料電池の冷却用空気出口と前記燃料電池の前記冷却用空気入口とを接続する冷却用空気循環流路を有し、
前記冷却用空気循環流路は、前記燃料電池の冷却用空気出口よりも下流に配置され、且つ、前記燃料電池の冷却用空気入口に冷却用空気を供給する冷却用空気駆動部を有し、
前記収容部は、吸気口と排気口とを有し、
前記吸気口と前記反応用空気供給流路の入口には、それぞれ圧損体が配置され、
前記排気口は開閉部を有し、
前記制御部は、前記温度取得部で測定された前記温度に基づいて、前記開閉部の開閉及び開度を制御することを特徴とする。
【0016】
本開示の空冷式燃料電池システムは、収容部であるケース内で冷却用空気を循環させることで、結露等を防ぎつつ、燃料電池と補機部品とが全体的に暖気できる構造とする。収容部であるケースには循環比調整のためのルーバーを備える。なお、水冷式燃料電池システムで同様の構造とした場合、冷媒である水に導電性があることにより燃料電池システム内の短絡を招くため、実装は困難である。
冷却用空気を循環させることで、空冷式燃料電池システムのケース内の全体を昇温させることができ、燃料電池外周や補機部品なども温めることができる。さらに、本開示によれば氷点下で補機部品、配管(流路)等が凍結閉塞するリスクを低減できる。
また、反応後液水や水蒸気を含む反応用空気を循環させないことにより、結露、水溜まり、酸素濃度低下等の発生を抑制することができる。さらに、本開示によれば冷却用空気の流量を減らす必要が無いため、結露、水溜まり、等の発生による内部電気回路、セル等の短絡、腐食等のリスクを低減できる。
また、冷却用空気の流量を絞らずに燃料電池内温度を比較的均一にしながら燃料電池を暖気できるため、冷媒流路水詰まりによる冷却用空気の流量ばらつきによる局所的な過昇温の発生の低減、セル面内の温度差が大きくなることで発生する局所的な水溜まり等による燃料電池の発電性能低下、劣化等のリスクを低減でき、燃料電池の発電性能が安定する。
【0017】
本開示の燃料電池システムは、空冷式燃料電池システムである。
空冷式燃料電池システムは、冷媒として空気を用いる。本開示においては、冷媒としての空気を冷却用空気と称する場合がある。本開示においては、酸化剤ガスとしての空気を反応用空気と称する場合がある。
【0018】
空冷式燃料電池システムは、燃料電池、反応用空気供給部、反応用空気供給流路、反応用空気排出流路、収容部、温度取得部、制御部等を備える。
【0019】
燃料電池は、通常、単セルを有する。
燃料電池は、単セルを1つのみ有するものであってもよいし、単セルを複数個積層した積層体である燃料電池スタックであってもよい。
単セルの積層数は特に限定されず、例えば、2~数百個であってもよく、20~600個であってもよく、40~200個であってもよい。
燃料電池スタックは、単セルの積層方向の両端にエンドプレート、集電板、加圧板等を備えていてもよい。
【0020】
燃料電池の単セルは、膜電極ガス拡散層接合体(MEGA)を有していてもよい。燃料電池の単セルは、膜電極ガス拡散層接合体を挟持する第1セパレータ及び第2セパレータを有していてもよい。
【0021】
膜電極ガス拡散層接合体は、第1ガス拡散層、第1触媒層、電解質膜、第2触媒層、及び、第2ガス拡散層をこの順に有する。
膜電極ガス拡散層接合体は、具体的には、アノード側ガス拡散層及び、アノード触媒層及び、電解質膜及び、カソード触媒層及び、カソード側ガス拡散層をこの順に有する。
【0022】
第1触媒層と第2触媒層は、一方がカソード触媒層であり、もう一方がアノード触媒層である。
カソード(酸化剤極)は、カソード触媒層及びカソード側ガス拡散層を含む。
アノード(燃料極)は、アノード触媒層及びアノード側ガス拡散層を含む。
第1触媒層及び第2触媒層をまとめて触媒層と称する。カソード触媒層及びアノード触媒層をまとめて触媒層と称する。
【0023】
第1ガス拡散層と第2ガス拡散層は、一方がカソード側ガス拡散層であり、もう一方がアノード側ガス拡散層である。
第1ガス拡散層は、第1触媒層がカソード触媒層の場合はカソード側ガス拡散層であり、第1触媒層がアノード触媒層の場合はアノード側ガス拡散層である。
第2ガス拡散層は、第2触媒層がカソード触媒層の場合はカソード側ガス拡散層であり、第2触媒層がアノード触媒層の場合はアノード側ガス拡散層である。
第1ガス拡散層と第2ガス拡散層をまとめてガス拡散層又は拡散層と称する。カソード側ガス拡散層及びアノード側ガス拡散層をまとめてガス拡散層又は拡散層と称する。
ガス拡散層は、ガス透過性を有する導電性部材等であってもよい。
導電性部材としては、例えば、カーボンクロス、及びカーボンペーパー等のカーボン多孔質体、並びに、金属メッシュ、及び、発泡金属などの金属多孔質体等が挙げられる。
【0024】
燃料電池は、触媒層とガス拡散層との間にマイクロポーラス層(MPL)を有していてもよい。マイクロポーラス層は、PTFE等の撥水性樹脂とカーボンブラック等の導電性材料との混合物を含んでいてもよい。
【0025】
電解質膜は、固体高分子電解質膜であってもよい。固体高分子電解質膜としては、例えば、水分が含まれたパーフルオロスルホン酸の薄膜等のフッ素系電解質膜、及び、炭化水素系電解質膜等が挙げられる。電解質膜としては、例えば、ナフィオン膜(デュポン社製)等であってもよい。
【0026】
第1セパレータと第2セパレータは、一方がカソード側セパレータであり、もう一方がアノード側セパレータである。
第1セパレータは、第1触媒層がカソード触媒層の場合はカソード側セパレータであり、第1触媒層がアノード触媒層の場合はアノード側セパレータである。
第2セパレータは、第2触媒層がカソード触媒層の場合はカソード側セパレータであり、第2触媒層がアノード触媒層の場合はアノード側セパレータである。
第1セパレータと第2セパレータをまとめてセパレータと称する。アノード側セパレータとカソード側セパレータとをまとめてセパレータと称する。
膜電極ガス拡散層接合体は、第1セパレータと第2セパレータにより挟持される。
セパレータは、反応ガス及び冷媒等の流体を単セルの積層方向に流通させるための供給孔及び排出孔を有していてもよい。冷媒としては、気体の場合は、冷却用の空気等を用いることができる。
供給孔は、燃料ガス供給孔、酸化剤ガス供給孔、及び、冷媒供給孔等が挙げられる。
排出孔は、燃料ガス排出孔、酸化剤ガス排出孔、及び、冷媒排出孔等が挙げられる。
セパレータは、1つ以上の燃料ガス供給孔を有していてもよく、1つ以上の酸化剤ガス供給孔を有していてもよく、必要に応じて1つ以上の冷媒供給孔を有していてもよく、1つ以上の燃料ガス排出孔を有していてもよく、1つ以上の酸化剤ガス排出孔を有していてもよく、必要に応じて1つ以上の冷媒排出孔を有していてもよい。
セパレータは、ガス拡散層に接する面に反応ガス流路を有していてもよい。また、セパレータは、ガス拡散層に接する面とは反対側の面に燃料電池の温度を一定に保つための冷媒流路を有していてもよい。
セパレータがアノード側セパレータである場合は、1つ以上の燃料ガス供給孔を有していてもよく、1つ以上の酸化剤ガス供給孔を有していてもよく、必要に応じて1つ以上の冷媒供給孔を有していてもよく、1つ以上の燃料ガス排出孔を有していてもよく、1つ以上の酸化剤ガス排出孔を有していてもよく、必要に応じて1つ以上の冷媒排出孔を有していてもよく、アノード側セパレータは、アノード側ガス拡散層に接する面に燃料ガス供給孔から燃料ガス排出孔に燃料ガスを流す燃料ガス流路を有していてもよく、必要に応じてアノード側ガス拡散層に接する面とは反対側の面に冷媒供給孔から冷媒排出孔に冷媒を流す冷媒流路を有していてもよい。
セパレータがカソード側セパレータである場合は、1つ以上の燃料ガス供給孔を有していてもよく、1つ以上の酸化剤ガス供給孔を有していてもよく、必要に応じて1つ以上の冷媒供給孔を有していてもよく、1つ以上の燃料ガス排出孔を有していてもよく、1つ以上の酸化剤ガス排出孔を有していてもよく、必要に応じて1つ以上の冷媒排出孔を有していてもよく、カソード側セパレータは、カソード側ガス拡散層に接する面に酸化剤ガス供給孔から酸化剤ガス排出孔に酸化剤ガスを流す酸化剤ガス流路を有していてもよく、必要に応じてカソード側ガス拡散層に接する面とは反対側の面に冷媒供給孔から冷媒排出孔に冷媒を流す冷媒流路を有していてもよい。
セパレータは、ガス不透過の導電性部材等であってもよい。導電性部材としては、例えば、熱硬化樹脂、熱可塑樹脂、樹脂繊維等の樹脂材、及び、カーボン粉末、カーボン繊維等のカーボン材を含む混合物をプレス成形したカーボンコンポジット材、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボン、及び、プレス成形した金属(例えば、チタン、鉄、アルミニウム、及び、SUS等)板等であってもよい。また、セパレータが集電機能を備えるものであってもよい。
セパレータの形状は、長方形、横長6角形、横長8角形、円形、長丸形状等であってもよい。
【0027】
燃料電池は、各供給孔が連通した入口マニホールド、及び、各排出孔が連通した出口マニホールド等のマニホールドを有していてもよい。
入口マニホールドは、アノード入口マニホールド、反応用空気入口マニホールド(カソード入口マニホールド)、及び、冷却用空気入口マニホールド等が挙げられる。
出口マニホールドは、アノード出口マニホールド、反応用空気出口マニホールド(カソード出口マニホールド)、及び、冷却用空気出口マニホールド等が挙げられる。
本開示においては、反応用空気入口マニホールド(カソード入口マニホールド)、及び、反応用空気出口マニホールド(カソード出口マニホールド)は、まとめて反応用空気マニホールドという。
本開示においては、冷却用空気入口マニホールド、及び、冷却用空気出口マニホールドは、まとめて冷却用空気マニホールドという。
燃料電池は、反応用空気マニホールドと冷却用空気マニホールドとが独立した構造を備える。
【0028】
本開示においては、燃料ガス、及び、酸化剤ガスをまとめて反応ガスと称する。アノードに供給される反応ガスは、燃料ガスであり、カソードに供給される反応ガスは酸化剤ガスである。燃料ガスは、主に水素を含有するガスであり、水素であってもよい。酸化剤ガスは酸素、空気、乾燥空気等であってもよい。
【0029】
燃料電池は樹脂フレームを備えていてもよい。
樹脂フレームは、膜電極ガス拡散層接合体の外周に配置され、且つ、第1セパレータと第2セパレータとの間に配置されてもよい。
また、樹脂フレームは、クロスリークや膜電極ガス拡散層接合体の触媒層同士の電気的短絡を防ぐための部材であってもよい。
樹脂フレームは、骨格部と、開口部と、供給孔と、排出孔を有していてもよい。
骨格部は、膜電極ガス拡散層接合体と接続する樹脂フレームの主要部分である。
開口部は、膜電極ガス拡散層接合体の保持領域であり、膜電極ガス拡散層接合体を収納するために骨格部の一部を貫通する貫通孔である。開口部は、樹脂フレームにおいて、膜電極ガス拡散層接合体の周囲(外周部)に骨格部が配置される位置に配置されていればよく、樹脂フレームの中央に有していてもよい。
供給孔及び排出孔は、反応ガス及び冷媒等を単セルの積層方向に流通させる。樹脂フレームの供給孔は、セパレータの供給孔と連通するように位置合わせされて配置されていてもよい。樹脂フレームの排出孔は、セパレータの排出孔と連通するように位置合わせされて配置されていてもよい。
樹脂フレームは、枠状のコア層と、コア層の両面に設けられた枠状の二つのシェル層、即ち、第1シェル層と第2シェル層とを含んでいてもよい。
第1シェル層及び第2シェル層は、コア層と同様に、コア層の両面に枠状に設けられていてもよい。
【0030】
コア層は、ガスシール性、絶縁性を有する構造部材であればよく、燃料電池の製造工程での熱圧着時の温度条件下でも構造が変化しない材料により形成されていてもよい。具体的には、コア層の材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、PC(ポリカーボネート)、PPS(ポリフェニレンスルファイド)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PA(ポリアミド)、PI(ポリイミド)、PS(ポリスチレン)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、シクロオレフィン、PES(ポリエーテルサルホン)、PPSU(ポリフェニルスルホン)、LCP(液晶ポリマー)、エポキシ樹脂等の樹脂等であってもよい。コア層の材料は、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、フッ素系ゴム、シリコン系ゴム等のゴム材であってもよい。
コア層の厚さは、絶縁性を担保する観点から、5μm以上であってもよく、30μm以上であってもよく、セル厚さを低減する観点から、200μm以下であってもよく、150μm以下であってもよい。
【0031】
第1シェル層及び第2シェル層は、コア層とアノード側セパレータ及びカソード側セパレータとを接着してシール性を確保するために、他の物質との接着性が高く、熱圧着時の温度条件下で軟化し、コア層よりも粘度及び融点が低い性質を有していてもよい。具体的には、第1シェル層及び第2シェル層は、ポリエステル系及び変性オレフィン系等の熱可塑性樹脂であってもよく、変性エポキシ樹脂である熱硬化性樹脂であってもよい。第1シェル層及び第2シェル層は、接着剤層と同種の樹脂であってもよい。
第1シェル層を構成する樹脂と第2シェル層を構成する樹脂とは、同種の樹脂であってもよく、異なる種類の樹脂であってもよい。コア層の両面にシェル層を設けることで、樹脂フレームと2つのセパレータとの間の加熱プレスによる接着が容易になる。
第1シェル層及び第2シェル層のそれぞれのシェル層の厚さは、接着性を担保する観点から、5μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、セル厚さを低減する観点から、100μm以下であってもよく、40μm以下であってもよい。
【0032】
樹脂フレームにおいて、第1シェル層及び第2シェル層は、それぞれアノード側セパレータ及びカソード側セパレータと接着する部分にのみに設けられていてもよい。コア層の一方の面に設けられた第1シェル層は、カソード側セパレータと接着していてもよい。コア層の他方の面に設けられた第2シェル層は、アノード側セパレータと接着していてもよい。そして、樹脂フレームは、一対のセパレータにより挟持されてもよい。
【0033】
燃料電池は隣り合う2つの単セルの間にガスケットを備えていてもよい。
ガスケットは、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)ゴム、シリコンゴム、熱可塑性エラストマー樹脂等を材料として用いてもよい。
【0034】
燃料電池は隣り合う2つの単セルの間に冷却板を備えていてもよい。
冷却板は、冷媒流路として機能する複数の凹溝を有するコルゲート状の板である。
冷却板はアルミ等の金属板をコルゲート状に折り曲げ加工されたもの等を用いることができる。冷却板は、表面に銀、ニッケル、カーボン等の導電処理がされていてもよい。
冷却板の凹溝は、折り曲げ加工により形成してもよい。
凹溝の深さは例えば、1.0~2.0mmであってもよい。
折り曲げ加工は、例えば凹溝深さ1.0~2.0mm、幅1.0~2.0mmのピッチで凹凸成型してもよい。
冷却板は、互いに隣り合う2つの単セルの間に配置されていれば、隣り合う2つの単セルの間の面方向の少なくとも一部の領域に配置されていてもよい。
冷却板は、面方向において隣り合う2つの単セルの間の少なくともMEGAと対向する領域に配置されていてもよい。
冷却板は、面方向において隣り合う2つの単セルの間のガスケットが配置される領域以外の領域に配置されていてもよい。
冷却板は単セル外形から突出した突出部を有していてもよい。
冷却板の形状は、長方形、横長6角形、横長8角形、円形、長丸形状等であってもよい。
【0035】
収容部は、燃料電池と反応用空気供給部と反応用空気供給流路と反応用空気排出流路と温度取得部とを収容する。収容部は、例えば、ケースであってもよい。収容部の材質は特に限定されず、金属、樹脂、炭素系材料等であってもよい。
【0036】
収容部は、燃料電池の冷却系を備える。収容部は、燃料電池の冷却系として冷却用空気循環流路を有する。冷却用空気循環流路は、収容部の内部の燃料電池、酸化剤ガス系、燃料ガス系、補器類等の部材が配置されていない領域であってもよい。補機類としては、ECU、コンバータ、エアコンプレッサー等が挙げられる。
冷却用空気循環流路は、燃料電池の冷却用空気出口と燃料電池の冷却用空気入口とを接続する。冷却用空気入口は、冷媒供給孔、冷却用空気入口マニホールド等であってもよい。冷却用空気出口は、冷媒排出孔、冷却用空気出口マニホールド等であってもよい。
冷却用空気循環流路は、冷却用空気駆動部を有する。
冷却用空気駆動部は、燃料電池の冷却用空気出口よりも下流に配置され、且つ、燃料電池の冷却用空気入口に冷却用空気を供給する。
冷却用空気駆動部は、制御部と電気的に接続される。冷却用空気駆動部は、制御部からの制御信号に従って駆動される。冷却用空気駆動部は、制御部によって冷却用空気駆動部から燃料電池に供給される冷却用空気の流量を制御される。これにより燃料電池の温度が制御されてもよい。
冷却用空気駆動部は、エアポンプ、エアコンプレッサー、エアブロワー、エアファン等が挙げられる。
冷却系は燃料電池の冷却用空気の出口側に冷却用空気駆動部を設置することで、燃料電池の冷却用空気マニホールド内の圧力を大気圧以下とすることができる。
冷却系はバルブを持たない大気開放構造とし、冷却用空気を外気圧と等圧(例えば-0.01~-0.3 kPaG)にすることで、燃料電池の構造への差圧ストレスを防ぐことができ、安価で軽量のハウジング部材を使用することができる。
【0037】
収容部は、吸気口と排気口とを有する。
吸気口は、空冷式燃料電池システムの外部から空気を取り入れる。
【0038】
排気口は、空冷式燃料電池システムの外部に空気を排気する。
排気口は開閉部を有する。
開閉部としては、例えば可動式ルーバ、可動式シャッタ等が挙げられる。
開閉部を有することにより、開閉部の開閉で、冷却用空気の「循環モード」と、「使い捨てモード」とを選択して制御することができる。
開閉部は制御部と電気的に接続される。開閉部は、制御部からの制御信号に従ってその開閉及び開度が制御される。これにより冷却用空気の循環流量、排気流量が制御されてもよい。
【0039】
吸気口と反応用空気供給流路の入口には、それぞれ圧損体が配置される。圧損体としては、フィルター等が挙げられる。吸気口に圧損体を設けることにより、温められた空気を収容部内に保持することができる。また、吸気口に圧損体を設けることにより、収容部内の空気循環の効率が向上する。反応用空気供給流路の入口に圧損体を設けることにより、酸化剤ガス系に不純物が混入することを抑制することができる。
【0040】
収容部は、空気分配部を備えていてもよい。空気分配部は、吸気口から取り入れた空気を、燃料電池に導入する前に、反応用空気と冷却用空気とに分配する。なお吸気口として、反応用空気を外部から取り入れる反応用空気吸気口と冷却用空気を外部から取り入れる冷却用空気吸気口を有する場合は、空気分配部は必ずしも必要ではない。
空気分配部が空気を分配する反応用空気と冷却用空気との分配比は、流量比で1:20~1:50であってもよい。
【0041】
燃料電池システムは、酸化剤ガス系(反応用空気系)を備える。
酸化剤ガス系は、反応用空気供給部、反応用空気供給流路、反応用空気排出流路、反応用空気バイパス流路、バイパス弁、反応用空気流量センサ等を備えていてもよい。反応用空気供給流路、反応用空気排出流路、反応用空気バイパス流路は、具体的には配管であってもよい。
反応用空気供給部は、燃料電池に反応用空気を供給する。具体的には、反応用空気供給部は、燃料電池のカソードに反応用空気を供給する。
酸化剤ガス系の密閉体積は燃料ガス系の密閉体積の5倍以下であってもよい。
【0042】
反応用空気供給部は、燃料電池の反応用空気入口に反応用空気を供給する。
反応用空気供給部としては、例えば、エアポンプ、エアコンプレッサー、エアブロワー、エアファン等が挙げられる。
酸化剤ガス系は反応用空気を燃料電池に導入する前に独立した反応用空気供給部を備える。冷却系と酸化剤ガス系のそれぞれの系に独立して冷却用空気駆動部、反応用空気供給部を備えることにより、冷却用空気と反応用空気の流量を独立して制御することができ、排水性の制御、湿度の制御を精度よく行うことができ、燃料電池の発電性能を向上させることができる。
反応用空気供給部は、制御部と電気的に接続される。反応用空気供給部は、制御部からの制御信号に従って駆動される。反応用空気供給部は、制御部によって反応用空気供給部からカソードに供給される反応用空気の流量及び圧力からなる群より選ばれる少なくとも1つを制御されてもよい。
【0043】
反応用空気供給流路は、反応用空気供給部と燃料電池の反応用空気入口とを接続する。反応用空気供給流路は、反応用空気供給部から燃料電池のカソードへの反応用空気の供給を可能にする。反応用空気入口は、酸化剤ガス供給孔、カソード入口マニホールド等であってもよい。反応用空気供給流路は、空気分配部から分岐していてもよい。反応用空気供給流路は、冷却用空気循環流路から分岐していてもよい。
反応用空気供給流路は、反応用空気供給部の下流且つ燃料電池の反応用空気入口の上流の領域に第1バルブを有してもよい。
第1バルブは、燃料電池の反応用空気入口に直接配置されていてもよい。
第1バルブは、反応用空気供給部の上流に配置されていてもよい。
第1バルブは、制御部と電気的に接続され、制御部によって第1バルブが開弁されることにより、反応用空気を反応用空気供給流路から燃料電池の反応用空気入口へ供給する。
反応用空気供給流路の入口には圧損体が設けられる。反応用空気供給流路の反応用空気供給部の上流に圧損体が設けられていてもよい。圧損体としては、フィルター等が挙げられる。反応用空気供給流路に設けられる圧損体は、吸気口に設けられる圧損体よりも、圧損の高い、よりきめの細かいフィルター等を用いてもよい。空気導入系全体を清浄化すると、燃料電池のエネルギー損失が大きくなるが、酸化剤ガス系のみを清浄化することで、燃料電池のエネルギー損失を抑制することができる。また、よりきめの細かいフィルターを用いるため、冷却用空気のコンタミネーションを減らすことができ、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
【0044】
反応用空気排出流路は、燃料電池の反応用空気出口と空冷式燃料電池システムの外部とを接続する。反応用空気排出流路は、燃料電池のカソードから排出される反応用空気の空冷式燃料電池システムの外部への排出を可能にする。反応用空気出口は、酸化剤ガス排出孔、カソード出口マニホールド等であってもよい。
反応用空気排出流路は、燃料電池の反応用空気出口の下流に第2バルブを有してもよい。第2バルブは、封止弁であってもよく、酸化剤ガス圧力調整弁であってもよい。
第2バルブは、制御部と電気的に接続され、制御部によって第2バルブが開弁されることにより、反応用空気を反応用空気排出流路から外部へ排出する。また、第2バルブの開度を調整することにより、カソードに供給される反応用空気圧力(カソード圧力)を調整してもよい。
【0045】
反応用空気バイパス流路は、反応用空気供給流路から分岐し、燃料電池を迂回し、反応用空気供給流路の分岐部と反応用空気排出流路の合流部とを接続する。
反応用空気バイパス流路には、バイパス弁が配置される。
バイパス弁は、制御部と電気的に接続され、制御部によってバイパス弁が開弁されることにより、燃料電池への反応用空気の供給が不要な場合に燃料電池を迂回して反応用空気を反応用空気排出流路から外部へ排出することができる。
【0046】
反応用空気流量センサは、反応用空気供給流路に配置されてもよい。
反応用空気流量センサは、酸化剤ガス系内の反応用空気の流量を検出する。反応用空気流量センサは、制御部と電気的に接続される。制御部は、反応用空気流量センサで検出した反応用空気の流量からエアコンプレッサーの回転数を推定してもよい。反応用空気流量センサは、反応用空気供給流路の反応用空気供給部よりも上流に配置されていてもよい。
反応用空気流量センサは、従来公知の流量計等を採用することができる。
【0047】
酸化剤ガス系は反応用空気供給部と第2バルブにより、燃料電池の反応用空気マニホールド内は大気圧以上の圧力(例えば5~15 kPaG)とすることができる。
酸化剤ガス系の第2バルブにより、反応用空気の圧力を上げることができるので、酸素分圧向上と燃料電池の乾燥防止により燃料電池の性能を向上させることができる。
酸化剤ガス系と冷却系を分離しない場合には、反応用空気の流量の約30倍の冷却用空気の圧力も上げる必要が生じ、エネルギー損失は30倍以上となる。
【0048】
燃料電池システムは、燃料ガス系を備える。
燃料ガス系は、燃料電池に燃料ガスを供給する。
燃料ガス系は燃料ガス供給部を備える。
燃料ガス供給部は、燃料ガスを燃料電池のアノードに供給する。
燃料ガス供給部としては、例えば、燃料タンク等が挙げられ、具体的には、液体水素タンク、圧縮水素タンク等が挙げられる。
燃料ガス供給部は、制御部と電気的に接続される。燃料ガス供給部は、制御部からの制御信号に従って、燃料ガス供給部の主止弁の開閉が制御されることにより燃料ガスの燃料電池への供給のON/OFFが制御されてもよい。
【0049】
燃料ガス系は、燃料ガス供給流路を備える。燃料ガス供給流路は、具体的には配管であってもよい。
燃料ガス供給流路は、燃料ガス供給部と燃料電池の燃料ガス入口とを接続する。燃料ガス供給流路は、燃料電池のアノードへの燃料ガスの供給を可能にする。燃料ガス入口は、燃料ガス供給孔、アノード入口マニホールド等であってもよい。
燃料ガス供給流路は、燃料電池の燃料ガス入口の上流に第3バルブを有する。
第3バルブは、燃料電池の燃料ガス入口に直接配置されていてもよい。
第3バルブは、エジェクタの上流に配置されていてもよい。
第3バルブは、制御部と電気的に接続され、制御部によって第3バルブが開弁されることにより、燃料ガスを燃料ガス供給流路から燃料電池の燃料ガス入口へ供給する。
【0050】
燃料ガス供給流路には、エジェクタが配置されていてもよい。
エジェクタは、例えば、燃料ガス供給流路上の循環流路との合流部に配置されていてもよい。エジェクタは、燃料ガスと循環ガスとを含む混合ガスを燃料電池のアノードに供給する。エジェクタとしては、従来公知のエジェクタを採用することができる。
【0051】
燃料ガス供給流路の燃料ガス供給部とエジェクタとの間の領域には、調圧弁及び中圧水素センサが配置されていてもよい。
調圧弁は、燃料ガス供給部からエジェクタに供給される燃料ガスの圧力を調節する。
調圧弁は、制御部と電気的に接続され、制御部によって調圧弁の開閉及び開度等を制御されることにより、エジェクタに供給される燃料ガスの圧力を調整してもよい。
中圧水素センサは、制御部と電気的に接続され、制御部は、中圧水素センサによって測定された燃料ガスの圧力を検知し、検知した圧力から調圧弁の開閉及び開度等を制御することにより、エジェクタに供給される燃料ガスの圧力を調整してもよい。
【0052】
燃料ガス系は、燃料オフガス排出流路を備える。燃料オフガス排出流路は、具体的には配管であってもよい。
燃料オフガス排出流路は、燃料電池の燃料ガス出口と燃料電池システムの外部とを接続する。
燃料オフガス排出流路には、燃料ガス出口と燃料電池システムの外部との間の領域に気液分離器が配置されていてもよい。
燃料オフガス排出流路は、循環流路から気液分離器を介して分岐していてもよい。
燃料オフガス排出流路は、燃料電池の燃料ガス出口から排出される燃料オフガスを燃料電池システムの外部に排出する。燃料ガス出口は、燃料ガス排出孔、アノード出口マニホールド等であってもよい。
【0053】
燃料オフガス排出流路は、燃料電池の燃料ガス出口の下流に第4バルブ(燃料オフガス排出弁、排気排水弁)を有してもよい。
第4バルブは、燃料電池の燃料ガス出口に直接配置されていてもよい。
第4バルブは、燃料オフガス排出流路の気液分離器よりも下流に配置されていてもよい。
第4バルブは、燃料オフガス及び水分等を外部(系外)へ排出することを可能にする。なお、外部とは、燃料電池システムの外部であってもよく、車両の外部であってもよい。
第4バルブは、制御部と電気的に接続され、制御部によって第4バルブの開閉を制御されることにより、燃料オフガスの外部への排出流量及び水分(液水)の排水流量を調整してもよい。また、第4バルブの開度を調整することにより、燃料電池のアノードに供給される燃料ガス圧力(アノード圧力)を調整してもよい。
燃料オフガスは、アノードにおいて未反応のまま通過した燃料ガス及び、カソードで生成した生成水がアノードに到達した水分等を含んでいてもよい。燃料オフガスは、触媒層及び電解質膜等で生成した腐食物質及び、掃気時にアノードに供給されてもよい酸化剤ガス等を含む場合がある。
【0054】
燃料ガス系は、循環流路を備えてもよい。循環流路は、具体的には配管であってもよい。
循環流路は、燃料電池の燃料ガス出口とエジェクタとを接続してもよい。
循環流路は、燃料オフガス排出流路から分岐し、燃料ガス供給流路に配置されるエジェクタと接続することにより燃料ガス供給流路と合流してもよい。
循環流路は、燃料オフガス排出流路から気液分離器を介して分岐し、燃料ガス供給流路に配置されるエジェクタと接続することにより燃料ガス供給流路と合流してもよい。
循環流路は、燃料電池の燃料ガス出口から排出された燃料ガスである燃料オフガスを回収し、循環ガスとして燃料電池に供給することを可能にする。
【0055】
循環流路には、ガス循環ポンプが配置されていてもよい。ガス循環ポンプは、燃料オフガスを循環ガスとして循環させる。ガス循環ポンプは、制御部と電気的に接続され、制御部によってガス循環ポンプの駆動のオン・オフ及び回転数等を制御されることにより、循環ガスの流量を調整してもよい。
【0056】
循環流路には、気液分離器(アノード気液分離器)が配置されていてもよい。
気液分離器は、燃料オフガス排出流路と循環流路との分岐点に配置されていてもよい。したがって、燃料ガス出口から気液分離器までの流路は、燃料オフガス排出流路であってもよく、循環流路であってもよい。
気液分離器は、燃料オフガス排出流路の第4バルブよりも上流に配置される。
気液分離器は、燃料ガス出口から排出される燃料ガスである燃料オフガスと水分(液水)を分離する。これにより、燃料オフガスを循環ガスとして循環流路に戻してもよいし、不要なガス及び水分等を燃料オフガス排出流路の排気排水弁を開弁して外部に排出してもよい。また、気液分離器により、余分な水分が循環流路に流れることを抑制することができるため、当該水分による循環ポンプ等の凍結の発生を抑制することができる。
【0057】
温度取得部は、燃料電池の冷却用空気出口から排出される収容部の内部の空気の温度を取得する。
温度取得部は、制御部と電気的に接続され、制御部は、温度取得部によって測定された収容部の内部の空気の温度を検知する。
温度取得部は、従来公知の温度センサ、温度計等を用いることができる。
【0058】
燃料電池システムは、二次電池を備えていてもよい。
二次電池(バッテリ)は、充放電可能なものであればよく、例えば、ニッケル水素二次電池、及び、リチウムイオン二次電池等の従来公知の二次電池が挙げられる。また、二次電池は、電気二重層コンデンサ等の蓄電素子を含むものであってもよい。二次電池は、複数個を直列に接続した構成であってもよい。二次電池は、電動機及びエアコンプレッサー等に電力を供給する。二次電池は、例えば、車両の外部の電源から充電可能になっていてもよい。二次電池は、燃料電池の出力により充電されてもよい。二次電池の充放電は、制御部によって制御されてもよい。
【0059】
制御部は、物理的には、例えば、CPU(中央演算処理装置)等の演算処理装置と、CPUで処理される制御プログラム及び制御データ等を記憶するROM(リードオンリーメモリー)、並びに、主として制御処理のための各種作業領域として使用されるRAM(ランダムアクセスメモリー)等の記憶装置と、入出力インターフェースとを有するものである。また、制御部は、例えば、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)等の制御装置であってもよい。
制御部は、車両に搭載されていてもよいイグニッションスイッチと電気的に接続されていてもよい。制御部はイグニッションスイッチが切られていても外部電源により動作可能であってもよい。
【0060】
制御部は、温度取得部で測定された温度を監視する。制御部は、燃料電池の運転中に温度取得部で測定された温度を監視してもよい。
制御部は、温度取得部で測定された温度に基づいて、開閉部の開閉及び開度を制御する。
温度取得部で測定された温度や燃料電池の運転状態により燃料電池の昇温の要否を判定し、燃料電池を昇温する場合にはルーバー等の開閉部を閉めることにより冷却用空気を収容部内で循環し、暖機運転することができる。
燃料電池の定常運転時でも、ルーバー等の開閉部を半開状態にすることで、一部外気を取り込む循環モードにして、狙った温度で燃料電池を運転することができる「中間モード」。
【0061】
制御部は温度取得部で測定された内部空気温度が所定の第1温度閾値未満であると判定した時、開閉部を所定の開度未満にして冷却用空気を収容部内で循環させてもよい。所定の開度は、例えば開閉部の開度が0%以上5%未満であってもよい。
制御部は温度取得部で測定された内部空気温度が所定の第1温度閾値以上第2温度閾値未満であると判定した時、開閉部を所定の開度にして冷却用空気の一部を収容部内で循環させてもよい。所定の開度は、例えば開閉部の開度が5%以上90%以下であってもよい。
制御部は温度取得部で測定された内部空気温度が所定の第2温度閾値以上であると判定した時、開閉部を所定の開度より大きくして前記冷却用空気を前記収容部の外部に排出してもよい。所定の開度は、例えば開閉部の開度が90%を超え100%以下であってもよい。
制御部は、内部空気温度が適正温度よりも低い場合に循環モードを実行してもよく、内部空気温度が適正温度範囲である場合は、中間モードを実行してもよく、内部空気温度が適正温度範囲よりも高い場合に使い捨てモードを実行してもよい。
所定の第1温度閾値、第2温度閾値は、燃料電池の発電状態や性能に応じて随時変動させてもよい。
第1温度閾値は、例えば、0℃以上、10℃以上、20℃以上、30℃以上、40℃以上等であってもよい。
第2温度閾値は、例えば、80℃以下、70℃以下、60℃以下、50℃以下、40℃以下等であってもよい。
【0062】
空冷式燃料電池システムは、外気温センサを有してもよい。
外気温センサは、外気温を取得する。
外気温センサは、制御部と電気的に接続され、制御部は、外気温センサによって測定された外気温を検知する。
外気温センサは、従来公知の温度センサ、温度計等を用いることができる。
外気温センサは、外気温を測定することができれば、収容部の外部に配置されていてもよく、収容部の内部に廃止されていてもよい。
【0063】
制御部は外気温度が所定の第1温度閾値未満であると判定した時、開閉部を所定の開度より小さくして冷却用空気を収容部内で循環させてもよい。所定の開度は、例えば開閉部の開度が0%以上5%未満であってもよい。
制御部は外気温度が所定の第1温度閾値以上第2温度閾値未満であると判定した時、開閉部を所定の開度にして冷却用空気の一部を収容部内で循環させてもよい。所定の開度は、例えば開閉部の開度が5%以上90%以下であってもよい。
制御部は外気温度が所定の第2温度閾値以上であると判定した時、開閉部を所定の開度より大きくして前記冷却用空気を前記収容部の外部に排出してもよい。所定の開度は、例えば開閉部の開度が90%を超え100%以下であってもよい。
所定の第1温度閾値、第2温度閾値は、燃料電池の発電状態や性能に応じて随時変動させてもよい。
制御部は、外気温度が基準値よりも低い場合に循環モードを実行してもよく、外気温度が基準値の範囲である場合は、中間モードを実行してもよく、外気温度が基準値よりも高い場合に使い捨てモードを実行してもよい。
第1温度閾値は、例えば、-20℃以下、-10℃以下、0℃以下等であってもよい。
第2温度閾値は、例えば、10℃以上、20℃以上、30℃以上等であってもよい。
【0064】
燃料電池の最適運転条件が、冷却用空気入口30℃、冷却用空気出口60℃である場合、燃料電池の動作点発熱量から内部空気温度と外気温の温度差ΔTが30℃となる流量に、冷却用空気駆動部であるファンの回転数を設定してもよい。
外気温T1が30℃の時は、冷却用空気を循環させない使い捨てモードで燃料電池を運転してもよい。
外気温T1が0℃の時は、燃料電池の起動時は開閉部としてのルーバーを閉じて循環モードにして燃料電池の運転を開始してもよい。
収容部内の温度が徐々に昇温し、内部空気温度T2が0℃から60℃になったら、ルーバーを半開にして中間モードとしてもよい。
空気の流量比が、外気:内部循環=1:1になるようにすると、0℃の外気と60℃の循環空気が1:1で混合し、燃料電池の冷却用空気入口で30℃、冷却用空気出口60℃となり、狙いの運転環境にすることができる。
なお、循環なしで、冷却用空気の流量を半分に絞った場合は、冷却用空気出口は60℃とすることができるが、燃料電池の冷却用空気入口側は0℃となり、セル面内の温度差が大きく、冷たい部分では水溜まりが発生し空気の流量がばらつくなどして、燃料電池の運転が不安定になりやすい。循環効率を向上させる観点からは、補機類の一部は冷却系から隔離して、温まらないようにしてもよい。
【0065】
図1は、本開示の空冷式燃料電池システムの一例を示す概略構成図であって、使い捨てモードの一例を示す図である。なお、
図1では、燃料ガス系、補器類の詳細等の図示は省略する。
図1に示す空冷式燃料電池システムは、収容部100を有する。収容部100は、燃料電池10、空気系20、酸化剤ガス系30、冷却系40、制御部60、外気温センサT1、温度取得部T2を有する。
空気系20は、酸化剤ガス系30、冷却系40を含む。
収容部100は、フィルターを備えた吸気口21を有する。
吸気口21で取り込まれた空気は、酸化剤ガス系30、冷却系40に分配される。
酸化剤ガス系30は、フィルター31、反応用空気供給部32、反応用空気供給流路33、反応用空気排出流路34を有する。
反応用空気供給流路33には、空気の流れ方向に沿ってフィルター31、反応用空気供給部32が配置される。
冷却系40は、冷却用空気循環流路41、開閉部42、冷却用空気駆動部43を有する。開閉部42は、収容部100の排気口に配置される。
外気温センサT1は、外気温を取得し、図示しない制御部は、外気温センサT1が取得した外気温を検知する。
温度取得部T2は、燃料電池10の冷却用空気出口から排出される内部空気温度を取得し、図示しない制御部は、温度取得部T2が取得した温度を検知する。
使い捨てモードでは、開閉部42を全開にして、冷却用空気を外部に排気する。
【0066】
図2は、本開示の空冷式燃料電池システムの別の一例を示す概略構成図であって、循環モードの一例を示す図である。
図2において
図1と同じ構成については同じ番号を付し、その説明は省略する。
図2に示す循環モードでは、開閉部42を全閉にして、冷却用空気を収容部100の内部で循環させる。
【0067】
図3は、本開示の空冷式燃料電池システムの別の一例を示す概略構成図であって、中間モードの一例を示す図である。
図3において
図1と同じ構成については同じ番号を付し、その説明は省略する。
図3に示す中間モードでは、開閉部42を半閉にして、冷却用空気の一部を収容部100の内部で循環させ、残りを外部に排気する。
【0068】
図4は、本開示の空冷式燃料電池システムの別の一例を示す概略構成図であって、循環モードの別の一例を示す図である。
図4において
図1と同じ構成については同じ番号を付し、その説明は省略する。
図4の空冷式燃料電池システムでは、空気系20は、酸化剤ガス系30に空気を供給する反応用空気吸気口22、冷却系40に空気を供給する冷却用空気吸気口23を有する。反応用空気吸気口22、冷却用空気吸気口23は、それぞれフィルターを有する。
酸化剤ガス系30、冷却系40は、それぞれ大気からフィルターを通して空気を取り込む。
酸化剤ガス系30は、フィルター31、反応用空気供給部32、反応用空気供給流路33、反応用空気排出流路34、第1バルブ35、第2バルブ36を有する。
反応用空気供給流路33には、空気の流れ方向に沿ってフィルター31、反応用空気供給部32、第1バルブ35が配置される。
反応用空気排出流路34には、第2バルブ36が配置される。
図4の空冷式燃料電池システムでは、反応用空気供給部32、制御部60、コンバータ70等の補器類が、冷却用空気循環流路41から隔離されている。
【0069】
図5は、本開示の空冷式燃料電池システムの制御の一例を示すフローチャートである。
制御部は、燃料電池の運転中に温度取得部で測定された温度を監視する。
制御部は、温度取得部で測定された内部空気温度が所定の第1温度閾値未満であると判定した時は、循環モードを実行する。
制御部は温度取得部で測定された内部空気温度が所定の第1温度閾値以上第2温度閾値未満であると判定した時は、中間モードを実行する。
制御部は温度取得部で測定された内部空気温度が所定の第2温度閾値以上であると判定した時は、使い捨てモードを実行する。
【符号の説明】
【0070】
10 燃料電池
20 空気系
21 吸気口
22 反応用空気吸気口
23 冷却用空気吸気口
30 酸化剤ガス系
31 フィルター
32 反応用空気供給部
33 反応用空気供給流路
34 反応用空気排出流路
35 第1バルブ
36 第2バルブ
40 冷却系
41 冷却用空気循環流路
42 開閉部
43 冷却用空気駆動部
60 制御部
70 コンバータ
100 収容部
T1 外気温センサ
T2 温度取得部