(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185252
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】遠隔会議システムサーバおよび遠隔会議システム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/15 20060101AFI20221207BHJP
G06F 3/04845 20220101ALI20221207BHJP
H04N 21/258 20110101ALI20221207BHJP
H04N 21/6332 20110101ALI20221207BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20221207BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20221207BHJP
G09G 5/22 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
H04N7/15 120
G06F3/0484 150
H04N21/258
H04N21/6332
G09G5/00 510B
G09G5/36 520G
G09G5/22 630G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092789
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠塚 雅子
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 禎
(72)【発明者】
【氏名】馬場 明日香
(72)【発明者】
【氏名】森永 清太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐枝 政夫
【テーマコード(参考)】
5C164
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
5C164FA10
5C164SC11P
5C164TB22P
5C164VA13P
5C164VA24S
5C164YA19
5C182AB02
5C182AB04
5C182AB08
5C182AC02
5C182BA14
5C182BA75
5C182BC11
5C182BC22
5C182BC25
5C182BC26
5C182CB14
5C182CB54
5C182FA61
5E555AA58
5E555AA61
5E555BA13
5E555BB13
5E555BC08
5E555BC14
5E555BD05
5E555BE12
5E555CB74
5E555CB77
5E555DB03
5E555DB41
5E555DB56
5E555DC25
5E555DD08
5E555EA11
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】ホスト端末での縮小操作によってクライアント端末で画面資料が見れなくなる不具合を回避できる遠隔会議システムサーバおよび遠隔会議システムを提供する
【解決手段】遠隔会議システムサーバ10は、ホスト端末20Aやクライアント端末20Bが接続されることで遠隔会議システムを構成する。遠隔会議システムサーバ10は、クライアント端末20Bにおける画面サイズ情報を収集し、収集した画面サイズ情報に基づいて縮小限界値を算出し(S15)、ホスト端末20Aにて画面資料のサイズ変更操作が行われた際に、その操作が縮小限界値を超える操作であるか否かを判定する(S17)。ホスト端末20Aで行われた操作が縮小限界値を超える縮小操作である場合には、ホスト端末に20Aに警告を通知する(S18)。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末装置が接続されることで遠隔会議システムを構成する遠隔会議システムサーバであって、
前記端末装置の一つであって、表示される画面資料のサイズ変更操作を可能とする端末装置をホスト端末とし、前記ホスト端末で表示される画面資料を共用表示する他の端末装置をクライアント端末とするとき、
前記クライアント端末における画面サイズ情報を収集して記憶する情報記憶部と、
収集した画面サイズ情報に基づいて、前記ホスト端末にて画面資料のサイズ変更操作を行う際の縮小限界値を算出する縮小限界値演算部と、
前記ホスト端末にて画面資料のサイズ変更操作が行われた際に、前記サイズ変更操作が前記縮小限界値を超える縮小操作であるか否かを判定するサイズ変更判定部とを備えており、
前記サイズ変更判定部により、前記ホスト端末で行われた前記サイズ変更操作が前記縮小限界値を超える縮小操作であると判定された場合には、前記ホスト端末に、前記縮小限界値を超える縮小操作が行われたことの警告を通知することを特徴とする遠隔会議システムサーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の遠隔会議システムサーバであって、
前記サイズ変更判定部により、前記ホスト端末で行われた前記サイズ変更操作が前記縮小限界値を超える縮小操作であると判定された場合には、前記ホスト端末に、前記縮小限界値を超える縮小操作を停止させることを特徴とする遠隔会議システムサーバ。
【請求項3】
複数の端末装置が接続されることで遠隔会議システムを構成する遠隔会議システムサーバであって、
前記端末装置の一つであって、表示される画面資料のサイズ変更操作を可能とする端末装置をホスト端末とし、前記ホスト端末で表示される画面資料を共用表示する他の端末装置をクライアント端末とするとき、
前記クライアント端末における画面サイズ情報を収集して記憶する情報記憶部と、
収集した画面サイズ情報に基づいて、前記ホスト端末にて画面資料のサイズ変更操作を行う際の縮小限界値を算出する縮小限界値演算部と、を備えており、
前記縮小限界値演算部で算出された前記縮小限界値を前記ホスト端末に通知することを特徴とする遠隔会議システムサーバ。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の遠隔会議システムサーバであって、
前記縮小限界値は、表示画面が最も小さい前記クライアント端末における表示文字のサイズによって規定されることを特徴とする遠隔会議システムサーバ。
【請求項5】
請求項4に記載の遠隔会議システムサーバであって、
前記縮小限界値は、前記画面資料中の文字の文字サイズ情報と、表示画面が最も小さい前記クライアント端末の画面サイズ情報とに基づいて算出されるものであり、
前記文字サイズ情報は、前記画面資料中の文字にフォントサイズ情報が含まれる場合は当該フォントサイズ情報とし、前記画面資料中の文字にフォントサイズ情報が含まれない場合はOCR処理によって前記画面資料中の文字検出を行い、検出された文字の寸法情報とすることを特徴とする遠隔会議システムサーバ。
【請求項6】
遠隔会議システムサーバに複数の端末装置が接続されることで構成される遠隔会議システムであって、
前記遠隔会議システムサーバは、請求項1から5の何れか1項に記載の遠隔会議システムサーバであることを特徴とする遠隔会議システム。
【請求項7】
遠隔会議システムサーバに複数の端末装置が接続されることで構成される遠隔会議システムであって、
前記遠隔会議システムサーバは、請求項3に記載の遠隔会議システムサーバであり、
前記ホスト端末は、前記遠隔会議システムサーバから通知された前記縮小限界値に基づき、前記縮小限界値を超える縮小操作が行われたことを示す表示が可能であることを特徴とする遠隔会議システム。
【請求項8】
請求項7に記載の遠隔会議システムであって、
前記ホスト端末は、前記画面資料の表示倍率が縮小限界値とされた場合に相当する最小可視サイズを算出し、当該ホスト端末で前記縮小限界値を超える操作が行われた場合には、前記最小可視サイズに相当する最小可視サイズ枠を表示させることを特徴とする遠隔会議システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔会議を行うための遠隔会議システムサーバおよび遠隔会議システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遠隔会議(いわゆるテレビ会議)が一般的に行われている。このような遠隔会議は、複数の端末装置(パソコン、タブレット、スマートフォンなど)をインターネットなどで接続し、接続された端末装置間で音声や画像のデータを送受信することで行われる。遠隔会議では、端末装置の一つであるホスト端末で表示される画面資料を、他の端末装置(クライアント端末)でも共用表示することができる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遠隔会議において画面資料を共用表示している際、ホスト端末側で画面資料の縮小操作を行うと、クライアント端末側でも表示されている画面資料が縮小される。このとき、表示画面の小さい端末装置(タブレットやスマートフォンなど)がクライアント端末として使用されていると、そのクライアント端末において縮小された画面資料が見れなくなる(縮小された文字が読めないなど)といった不具合がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ホスト端末での縮小操作によってクライアント端末で画面資料が見れなくなる不具合を回避できる遠隔会議システムサーバおよび遠隔会議システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様である遠隔会議システムサーバは、複数の端末装置が接続されることで遠隔会議システムを構成する遠隔会議システムサーバであって、前記端末装置の一つであって、表示される画面資料のサイズ変更操作を可能とする端末装置をホスト端末とし、前記ホスト端末で表示される画面資料を共用表示する他の端末装置をクライアント端末とするとき、前記クライアント端末における画面サイズ情報を収集して記憶する情報記憶部と、収集した画面サイズ情報に基づいて、前記ホスト端末にて画面資料のサイズ変更操作を行う際の縮小限界値を算出する縮小限界値演算部と、前記ホスト端末にて画面資料のサイズ変更操作が行われた際に、前記サイズ変更操作が前記縮小限界値を超える縮小操作であるか否かを判定するサイズ変更判定部とを備えており、前記サイズ変更判定部により、前記ホスト端末で行われた前記サイズ変更操作が前記縮小限界値を超える縮小操作であると判定された場合には、前記ホスト端末に、前記縮小限界値を超える縮小操作が行われたことの警告を通知することを特徴としている。
【0007】
上記の構成によれば、クライアント端末から収集した画面サイズ情報に基づいて縮小限界値を算出し、ホスト端末で行われたサイズ変更操作が縮小限界値を超える縮小操作である場合には、ホスト端末に警告を通知することができる。これにより、ホスト端末側での縮小限界値を超える縮小操作を控えさせ、クライアント端末において画面資料が見れなくなるといった不具合を回避することができる。
【0008】
また、上記遠隔会議システムサーバは、前記サイズ変更判定部により、前記ホスト端末で行われた前記サイズ変更操作が前記縮小限界値を超える縮小操作であると判定された場合には、前記ホスト端末に、前記縮小限界値を超える縮小操作を停止させる構成とすることができる。
【0009】
上記の構成によれば、ホスト端末で縮小限界値を超える縮小操作が行われることを確実に回避することができる。
【0010】
また、上記の課題を解決するために、本発明の第2の態様である遠隔会議システムサーバは、複数の端末装置が接続されることで遠隔会議システムを構成する遠隔会議システムサーバであって、前記端末装置の一つであって、表示される画面資料のサイズ変更操作を可能とする端末装置をホスト端末とし、前記ホスト端末で表示される画面資料を共用表示する他の端末装置をクライアント端末とするとき、前記クライアント端末における画面サイズ情報を収集して記憶する情報記憶部と、収集した画面サイズ情報に基づいて、前記ホスト端末にて画面資料のサイズ変更操作を行う際の縮小限界値を算出する縮小限界値演算部と、を備えており、前記縮小限界値演算部で算出された前記縮小限界値を前記ホスト端末に通知することを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、クライアント端末から収集した画面サイズ情報に基づいて縮小限界値を算出し、算出した縮小限界値をホスト端末に通知することができる。ホスト端末においては、通知された縮小限界値に基づき、ホストユーザが縮小限界値を把握できるような表示を追加させることができる。これにより、ホスト端末側での縮小限界値を超える縮小操作を控えさせ、クライアント端末において画面資料が見れなくなるといった不具合を回避することができる。
【0012】
また、上記遠隔会議システムサーバでは、前記縮小限界値は、表示画面が最も小さい前記クライアント端末における表示文字のサイズによって規定される構成とすることができる。
【0013】
上記の構成によれば、クライアント端末において表示される文字が十分に読み取り可能な大きさを維持できるように縮小限界値を設定することができる。
【0014】
また、上記遠隔会議システムサーバでは、前記縮小限界値は、前記画面資料中の文字の文字サイズ情報と、表示画面が最も小さい前記クライアント端末の画面サイズ情報とに基づいて算出されるものであり、前記文字サイズ情報は、前記画面資料中の文字にフォントサイズ情報が含まれる場合は当該フォントサイズ情報とし、前記画面資料中の文字にフォントサイズ情報が含まれない場合はOCR処理によって前記画面資料中の文字検出を行い、検出された文字の寸法情報とする構成とすることができる。
【0015】
また、上記の課題を解決するために、本発明の第3の態様である遠隔会議システムは、遠隔会議システムサーバに複数の端末装置が接続されることで構成される遠隔会議システムであって、前記遠隔会議システムサーバは、上記記載の遠隔会議システムサーバであることを特徴としている。
【0016】
また、上記遠隔会議システムでは、前記ホスト端末は、前記遠隔会議システムサーバから通知された前記縮小限界値に基づき、前記縮小限界値を超える縮小操作が行われたことを示す表示が可能である構成とすることができる。
【0017】
上記の構成によれば、ホストユーザがホスト端末での表示サイズ変更操作を行う際に、縮小限界値を把握させることができ、ホストユーザに縮小限界値を超えない操作を行わせることができる。
【0018】
また、上記遠隔会議システムでは、前記ホスト端末は、前記画面資料の表示倍率が縮小限界値とされた場合に相当する最小可視サイズを算出し、当該ホスト端末で前記縮小限界値を超える操作が行われた場合には、前記最小可視サイズに相当する最小可視サイズ枠を表示させる構成とすることができる。
【0019】
上記の構成によれば、ホスト端末で縮小限界値を超える操作が行われた場合に最小可視サイズ枠が表示され、ホストユーザは縮小限界値を超える操作が行われたことを認識することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の遠隔会議システムサーバおよび遠隔会議システムは、ホスト端末側での縮小限界値を超える縮小操作を控えさせることができ、クライアント端末において画面資料が見れなくなるといった不具合を回避することができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明が適用される遠隔会議システムの概略構成を示す図である。
【
図3】遠隔会議における画面資料の縮小操作に関するシーケンス図である。
【
図4】画面資料の表示倍率が縮小限界値を超えていない場合におけるホスト端末の表示画面例である。
【
図5】画面資料の表示倍率が縮小限界値を超えている場合におけるホスト端末の表示画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される遠隔会議システム(以下、本システム)の概略構成を示す図である。
【0023】
図1に示すように、本システムは、会議システムサーバ(遠隔会議システムサーバ)10と、会議システムサーバ10に対してインターネットなどを介して接続される複数の端末装置20とによって構成されている。ここでの会議システムサーバ10は、本システムのサービスを提供する企業などによって準備されるサーバである。また、各端末装置20は、所定のアプリケーションをインストールすることで会議システムサーバ10に接続可能となり、本システムの一部として使用可能となる。
【0024】
本システムでは、端末装置20の一つをホスト端末20A(
図2参照)とし、ホスト端末20Aで表示される画面資料を、他の端末装置20(クライアント端末20B(
図2参照))でも共用表示することができる。また、ホスト端末20Aに他の表示装置30などを無線または有線で接続し、ホスト端末20Aの画面資料を表示装置30で共用表示してもよい。表示装置30の使用は、例えば、会議参加者の一部が会議室などに集まっている場合などに、会議室内の参加者全体に向けて大画面の表示装置30で画面資料の表示を行うことができ、好適である。
【0025】
本システムによる会議中、ホストユーザ(ホスト端末20Aを介して会議に参加しているユーザ)が、ホスト端末20Aにおいて画面資料に対する操作を行う場合がある。ホスト端末20Aで行われた画面資料に対する操作は、当然ながら、クライアント端末20Bで共用表示されている画面資料にも反映される。すなわち、ホスト端末20A側で画面資料の縮小操作を行うと、クライアント端末20B側でも画面資料が縮小される。
【0026】
この場合、ホスト端末20Aあるいはホスト端末20Aに接続された表示装置30は表示画面が大きく、画面資料を縮小しても問題ないが、クライアント端末20Bは表示画面が小さく、画面資料が縮小されると見れなくなる(文字などが小さくなりすぎて読めなくなる)といった不具合が起こりうる。
【0027】
本システムは、上記不具合を解消するため、クライアント端末20Bの画面サイズ情報(以下、単にサイズ情報と称する)を予め収集し、ホスト端末20Aでの縮小限界値を設定する点に特徴を有している。すなわち、ホスト端末20A側において、画面資料が縮小限界値を超えて縮小される操作を控えることで、クライアント端末20Bにおいて画面資料が見れなくなるといった不具合を回避できる。以下、この特徴点について詳細に説明する。
【0028】
図2は、本システムの機能ブロック図である。
図2の例では、会議システムサーバ10に対してホスト端末20Aおよびクライアント端末20Bが接続され、ホスト端末20Aに対して表示装置30が接続されている。尚、
図2では、ホスト端末20Aおよびクライアント端末20Bに関しては、本発明の特徴である画面資料の縮小操作を行うために必要な機能部のみを抽出して記載している。
【0029】
ホスト端末20Aは、表示部201Aおよび操作部202を有している。表示部201Aは、端末装置20(クライアント端末20Bを含む)に備えられたカメラで撮影される撮影画面を表示したり、ホスト端末20Aのメモリに記憶されているファイルデータを画面資料として表示したりすることができる。操作部202は、表示部201Aの表示画面に対するホストユーザからの操作を受け付ける。
【0030】
クライアント端末20Bは、表示部201Bおよび記憶部203を有している。表示部201Bは、端末装置20(ホスト端末20Aを含む)に備えられたカメラで撮影される撮影画面を表示したり、ホスト端末20Aで表示されている画面資料を共用表示したりすることができる。記憶部203は、自機の表示部201Bにおけるプロパティ情報(サイズ情報を含む)を記憶している。
【0031】
会議システムサーバ10は、情報記憶部101、縮小限界値演算部102およびサイズ変更判定部103を有している。情報記憶部101は、本システムに接続されたクライアント端末20Bから収集されるサイズ情報や、演算によって求められる縮小限界値(詳細は後述)など、本システムによる会議の実施中に必要とされる情報を記憶する。縮小限界値演算部102は、収集したサイズ情報に基づき、縮小限界値を演算する。サイズ変更判定部103は、ホスト端末20Aにおいて画面資料のサイズ変更を伴う操作がなされたとき、その操作が縮小限界値を超える縮小操作であるか否かを判定する。
【0032】
図3は、本システムにおける画面資料の縮小操作に関するシーケンス図である。まず、ホスト端末20Aおよびクライアント端末20Bは、本システムによる会議に参加するにあたって、本システムのアプリケーションを立ち上げ、本システムへログインする(S11、S12)。ホスト端末20Aおよびクライアント端末20Bからのアクセスを受けた会議システムサーバ10は、ログイン情報を会議時間および参加者リストと照合した上でアクセスを許可し、アクセスを受けたクライアント端末20Bに対しては機器情報の送信を要求する(S13)。ここで、クライアント端末20Bに対して要求される機器情報には、少なくともサイズ情報が含まれ、それ以外に解像度やOS(Operating System)などの情報が含まれていてもよい。
【0033】
クライアント端末20Bは、要求された機器情報を記憶部203に記憶されているプロパティ情報から読み出し、これを会議システムサーバ10へ送信する(S14)。会議システムサーバ10は、各クライアント端末20Bから送られてきた機器情報(サイズ情報を含む)を情報記憶部101において記憶し、さらに、記憶したサイズ情報に基づいて縮小限界値を縮小限界値演算部102にて算出する(S15)。算出された縮小限界値は、本システムによる会議中、情報記憶部101において記憶される。
【0034】
ここで、縮小限界値とは、ホスト端末20Aにおいて表示される画面資料の縮小値(表示倍率)において、縮小値をこれ以上小さくすると、クライアント端末20Bで共用表示された画面資料が見れなくなる縮小値を指す。尚、本システムにおいて複数のクライアント端末20Bが複数接続されている場合、縮小限界値は、全てのクライアント端末20Bのサイズ情報を考慮して算出されるものではなく、表示画面が最も小さいクライアント端末20Bのサイズ情報に基づいて算出される。
【0035】
本システムによる会議中、ホスト端末20Aにおいて画面資料の表示サイズを変更する操作が行われると(S16)、ホスト端末20Aは、会議システムサーバ10に向けて操作情報を送信する。会議システムサーバ10は、この操作情報より、ホスト端末20Aで行われた操作内容が、(1) 縮小限界値を超える操作であるか、(2) 縮小限界値を超えない操作であるかをサイズ変更判定部103にて判定する(S17)。
【0036】
操作内容が(1)の操作であった場合、この操作によってクライアント端末20Bで共用表示される画面資料が見れなくなる恐れがある。このため、会議システムサーバ10は、ホスト端末20Aに対して警告信号を送信する。これにより、ホスト端末20Aでは、クライアント端末20Bで画面資料が見れなくなる旨の警告が表示される(S18)。
【0037】
尚、S19では、ホスト端末20Aにおける警告表示に加え、S16で行った操作(縮小操作)を停止するようにしてもよい。この場合の縮小操作の停止は、例えば、縮小限界値までの縮小操作は許容する一方、それ以上の縮小操作は制限するといった制御が考えられる。また、縮小限界値を超える操作が行われた場合におけるホスト端末20Aでの警告は、表示による警告に限定されるものではなく、アラーム音などの音声による警告であってもよい。
【0038】
一方、操作内容が(2)の操作であった場合、この操作によってもクライアント端末20Bで共用表示される画面資料が見れなくなることはない。このため、会議システムサーバ10は、操作内容に応じた画面データを各クライアント端末20Bに送信し、各クライアント端末20Bにおいて画面資料の共用表示を行わせる(S19)。
【0039】
続いて、会議システムサーバ10における縮小限界値の算出方法について説明する。端末装置20において画面資料を表示するとき、画面資料中のイラストなどは、縮小表示されてもさほど見にくくなることはない。一方、画面資料中の文字などは、縮小表示されることで顕著に見にくくなることが多い。このため、縮小限界値は、表示画面が最も小さいクライアント端末20Bにおいて、表示文字が十分に読み取り可能な大きさを維持できるように設定されることが好ましい。
【0040】
一例として、クライアント端末20Bにおける表示文字の最小サイズを予め定めておき、画面資料中の文字のフォントサイズと、クライアント端末20Bのサイズ情報とから、ホスト端末20Aでの縮小限界値を求める方法がある。例えば、クライアント端末20Bにおける表示文字の最小サイズを1.5mmとし、かつ、画面資料中で用いられている文字のフォントサイズが10PT(ポイント)、表示画面が最も小さいクライアント端末20Bの表示画面が5インチ表示画面である場合を考える。
【0041】
5インチ表示画面において10PTの文字を100%の表示倍率で表示した場合、画面中の表示文字サイズ(文字縦方向のサイズ)は1.75mmとなる。このとき、画面中の表示文字が最小サイズの1.5mmとなるような縮小限界値(表示倍率)は、85%(≒85.71%=1.5/1.75)となる。
【0042】
また、画面資料中の文字においてフォントサイズ情報がない場合は、OCR処理によって画像内の文字検出を行い、検出された文字の寸法情報に基づいて縮小限界値を検出するようにしてもよい。
【0043】
以上のように、本システムでは、予めクライアント端末20Bのサイズ情報を収集し、このサイズ情報に基づいて縮小限界値を設定することができる。そして、ホスト端末20Aでにおいて縮小限界値を超える操作が行われた場合には警告を発することで、クライアント端末20Bにおいて画面資料が見れなくなるような縮小操作を、ホストユーザが気づかずに行ってしまうといった不具合を回避できる。
【0044】
〔実施の形態2〕
上記実施の形態1では、ホスト端末20Aで行われる表示サイズ変更操作が縮小限界値を超える操作であるか否かを会議システムサーバ10にて判定し、縮小限界値を超える操作が行われた場合には、ホスト端末20Aにおいて警告を発するものとしている。この場合、本システムによる会議に参加する参加者にとって、ホスト端末20Aにおいて出される警告表示が煩わしいと感じられる恐れもある。このため、本実施の形態2では、ホスト端末20Aにおける警告表示を行うことなく、縮小限界値を超える操作を回避することのできるシステムについて説明する。
【0045】
本システムでは、
図3のS15にて会議システムサーバ10が縮小限界値を算出すると、算出された縮小限界値が会議システムサーバ10で記憶されるだけでなく、ホスト端末20Aにも通知される。ホスト端末20Aでは、通知された縮小限界値に基づいて、ホストユーザが縮小限界値を把握できるような表示を追加する。すなわち、ホストユーザは、ホスト端末20Aでの表示サイズ変更操作を、縮小限界値を把握しながら行うことができ、縮小限界値を超えないように操作を行うことができる。
【0046】
具体例としては、画面資料の表示倍率が縮小限界値とされた場合に相当する最小可視サイズを算出し、ホスト端末20Aで縮小限界値を超える操作が行われた場合には、ホスト端末20Aの表示部201A(および表示装置30の表示部301)に最小可視サイズに相当する最小可視サイズ枠を表示させることが考えられる。
【0047】
例えば、
図4は、画面資料の表示倍率が縮小限界値を超えていない場合における表示部201Aの表示画面例である。
図4に示すように、画面資料の表示倍率が縮小限界値を超えていなければ、ホスト端末20Aにおいて最小可視サイズ枠は表示されない。
【0048】
図5は、画面資料の表示倍率が縮小限界値を超えている場合における表示部201Aの表示画面例である。
図4に示すように、画面資料の表示倍率が縮小限界値を超えると、ホスト端末20Aにおいて最小可視サイズ枠が表示される。すなわち、ホストユーザは、ホスト端末20Aに最小可視サイズ枠が表示された場合に、現在の画面資料の表示倍率が縮小限界値を超えていると認識することができる。
【0049】
本システムでは、ホストユーザは、ホスト端末20Aにおいて最小可視サイズ枠が表示されないようにすることで、縮小限界値を把握しながら表示サイズ変更操作を行うことができる。また、ホスト端末20Aに最小可視サイズ枠が表示されたとき、ホストユーザは、画面資料をどの程度まで拡大すれば最小可視サイズ枠が表示されなくなるかを容易に認識できる。これにより、画面資料を必要以上に拡大することも回避でき、ホスト端末20Aおよびクライアント端末20Bの双方にとって最適なサイズで共用表示を行うことができる。
【0050】
本システムにおける最小可視サイズ枠は、ホストユーザが容易に視認できるように、例えば、赤枠などでの表示とすることが好ましい。また、最小可視サイズ枠が表示されるとき、その表示箇所は特に限定されるものではないが、一例として、表示部201A内のポインタを基準として最小可視サイズ枠の表示箇所を決定する方法が考えられる。例えば、ポインタが最小可視サイズ枠の中心となるように、最小可視サイズ枠の表示箇所を決定することができる。この場合、表示部201A内でポインタを移動させれば、最小可視サイズ枠も移動する。
【0051】
また、本システムでは、画面資料の表示倍率が縮小限界値を超えた場合に、ホスト端末20Aにおいて最小可視サイズ枠を表示させるものであるため、縮小限界値を超えるような操作自体を停止するものではない。これにより、画面資料中の所望の記載を探すために、一時的に縮小限界値を超える程度の縮小操作を行うことも許容され、本システムの利便性が向上することも期待できる。
【0052】
尚、本システムにおいて、ホストユーザに縮小限界値を把握させる方法は、上述のような最小可視サイズ枠の表示に限定されるものではない。他の方法としては、ホスト端末20Aの表示部201A内に、現在の表示倍率をバーにて表示し(表示倍率を変更するとバーの長さが変化する)、縮小限界値を(赤字などの目立つ表示で)表示倍率バーに重ねて表示する方法が考えられる。この場合、ホストユーザは、表示倍率バーが縮小限界値を下回らないようにすることで、縮小限界値を超える縮小操作を回避することができる。
【0053】
また、最小可視サイズ枠を表示する方法においては、縮小限界値よりも僅かに大きい表示倍率に対応する補助サイズ枠を併せて表示するようにしてもよい。例えば、縮小限界値の表示倍率が85%である場合、+5%(任意値)の表示倍率90%に相当する補助サイズ枠を表示させることができる。この場合、ホスト端末20Aでの縮小操作に対し、最小可視サイズ枠よりも先に補助サイズ枠が表示されることになる。すなわち、ホストユーザは、補助サイズ枠が表示された場合に、現在の表示倍率が縮小限界値に近づいていることを認識できる。
【0054】
尚、上記説明では、ホスト端末20Aにおいて表示される最小可視サイズ枠(および補助サイズ枠)は、ホスト端末20Aが会議システムサーバ10から通知される縮小限界値に基づき、ホスト端末20Aの制御部が作成するものとしている。また、ホスト端末20Aが最小可視サイズ枠(および補助サイズ枠)を作成する機能は、ホスト端末20Aにインストールされるアプリケーションによって得られる。但し、本発明は、これに限定されるものではなく、最小可視サイズ枠(および補助サイズ枠)は会議システムサーバ10において作成され、会議システムサーバ10からホスト端末20Aに送信されて表示されるものであってもよい。
【0055】
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0056】
10 会議システムサーバ(遠隔会議システムサーバ)
101 情報記憶部
102 縮小限界値演算部
103 サイズ変更判定部
20 端末装置
20A ホスト端末
20B クライアント端末
201A、201B 表示部
202 操作部
203 記憶部
30 表示装置