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特開2022-185256マスク製造方法および枠部材変形用器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185256
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】マスク製造方法および枠部材変形用器具
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20221207BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20221207BHJP
   A62B 18/08 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
A62B18/08 D
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092796
(22)【出願日】2021-06-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-05
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】520087642
【氏名又は名称】シンクブレイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(72)【発明者】
【氏名】竹▲崎▼ 博
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA16
2E185CC32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】安全かつ簡単な方法でオーダーメイドのマスクを製造することができるマスク製造方法、枠部材変形用器具およびマスクを提供する。
【解決手段】マスク製造方法は、細長いプラスチック製の枠部材40を枠部材変形用器具に収容する工程と、枠部材40が収容された枠部材変形用器具をマスク着用予定者の顔に当てて変形させることによりフィッティングを行う工程と、変形した枠部材変形用器具および枠部材40を加熱する工程と、加熱された枠部材変形用器具および枠部材40を冷却し、当該枠部材変形用器具から枠部材40を取り出す工程と、マスク本体50に形成されているポケット54に枠部材40を入れる工程とを備えている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長いプラスチック製の枠部材を枠部材変形用器具に収容する工程と、
前記枠部材が収容された前記枠部材変形用器具をマスク着用予定者の顔に当てて変形させることによりフィッティングを行う工程と、
変形した前記枠部材変形用器具および前記枠部材を加熱することにより前記枠部材を硬化させる工程と、
加熱された前記枠部材変形用器具および前記枠部材を冷却し、当該枠部材変形用器具から前記枠部材を取り出す工程と、
マスク本体に形成されているポケットに前記枠部材を入れる工程と、
を備えた、マスク製造方法。
【請求項2】
前記枠部材変形用器具は、可撓性を有する金属を含む、請求項1記載のマスク製造方法。
【請求項3】
前記枠部材を硬化させる工程において、変形した前記枠部材変形用器具および前記枠部材を40℃以上100℃以下の熱湯に入れることにより加熱する、請求項1または2記載のマスク製造方法。
【請求項4】
前記枠部材を硬化させる工程において、変形した前記枠部材変形用器具および前記枠部材に熱風を供給することにより加熱する、請求項1または2記載のマスク製造方法。
【請求項5】
前記ポケットは、前記マスク本体におけるマスク着用予定者の鼻が当たる部分の近傍に形成されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマスク製造方法。
【請求項6】
複数の保持部と、
可撓性を有する細長い接続部と、
を備え、
前記保持部には、前記接続部が通る貫通穴および細長い枠部材を収容するための収容部分が形成されており、
前記接続部は各前記保持部の前記貫通穴を通っており、
前記枠部材を各前記保持部の前記収容部分にまたがって収容することができるようになっている、枠部材変形用器具。
【請求項7】
前記接続部が前記貫通穴を通る複数の前記保持部のうち少なくとも両端に位置する前記保持部が前記接続部に取り付けられている、請求項6記載の枠部材変形用器具。
【請求項8】
前記接続部が前記貫通穴を通る複数の前記保持部のうち両端に位置する前記保持部以外の各前記保持部は前記接続部に取り付けられておらず、前記接続部が各前記保持部の前記貫通穴の内部で相対的に移動することができるようになっている、請求項7記載の枠部材変形用器具。
【請求項9】
前記接続部の材料は金属である、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の枠部材変形用器具。
【請求項10】
前記金属はアルミニウム、錫、アルミニウムを含む合金、錫を含む合金のうち少なくとも何れかのものを含む、請求項9記載の枠部材変形用器具。
【請求項11】
ポケットが形成されているマスク本体と、
前記ポケットに入れられている細長いプラスチック製の枠部材と、
を備え、
前記ポケットは、前記マスク本体におけるマスク着用予定者の鼻が当たる部分の近傍に形成されており、前記枠部材は、変形した状態で加熱されることにより硬化した後に冷却されたものである、マスク。
【請求項12】
前記枠部材は、中央にある山形状部分と、前記山形状部分の両側にある谷形状部分とを含む、請求項11記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク製造方法、枠部材変形用器具およびマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人の顔の鼻および口を覆うマスクとして、顔とマスクとの隙間を塞ぐことができるようなものが求められている。例えば、特許文献1には、マスク本体の上縁近傍におけるマスク着用者の鼻に対応する部位に、着用者の鼻の隆起にフィットするように変形できる帯状のノーズクリップが設けられたマスクが開示されている。
【0003】
ここで、人の顔の形状はまちまちであり、市販されている汎用品のマスクでは顔の形状によっては顔とマスクとの隙間を完全に塞ぐことができない場合がある。このため、その人の顔の形状にマッチしたオーダーメイドのマスクが求められている。特許文献2には、熱湯に浸して変形可能となった枠部材を、被覆対象領域を囲むようにマスク着用予定者の顔に当ててフィッティングさせ、冷めて固まった枠部材にフィルタ部材を取り付けてマスクを製造する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4536440号
【特許文献2】特開2008-259737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載のマスク製造方法では、熱湯に浸して変形可能となった枠部材を、マスク着用予定者の顔に当ててフィッティングさせるため、高温の枠部材が直接当たることにより顔が火傷してしまう可能性があるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、安全かつ簡単な方法でオーダーメイドのマスクを製造することができるマスク製造方法、枠部材変形用器具およびマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマスク製造方法は、
細長いプラスチック製の枠部材を枠部材変形用器具に収容する工程と、
前記枠部材が収容された前記枠部材変形用器具をマスク着用予定者の顔に当てて変形させることによりフィッティングを行う工程と、
変形した前記枠部材変形用器具および前記枠部材を加熱することにより前記枠部材を硬化させる工程と、
加熱された前記枠部材変形用器具および前記枠部材を冷却し、当該枠部材変形用器具から前記枠部材を取り出す工程と、
マスク本体に形成されているポケットに前記枠部材を入れる工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の枠部材変形用器具は、
複数の保持部と、
可撓性を有する細長い接続部と、
を備え、
前記保持部には、前記接続部が通る貫通穴および細長い枠部材を収容するための収容部分が形成されており、
前記接続部は各前記保持部の前記貫通穴を通っており、
前記枠部材を各前記保持部の前記収容部分にまたがって収容することができるようになっていることを特徴とする。
【0009】
本発明のマスクは、
ポケットが形成されているマスク本体と、
前記ポケットに入れられている細長いプラスチック製の枠部材と、
を備え、
前記ポケットは、前記マスク本体におけるマスク着用予定者の鼻が当たる部分の近傍に形成されており、前記枠部材は、変形した状態で加熱されることにより硬化した後に冷却されたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のマスク製造方法、枠部材変形用器具およびマスクによれば、安全かつ簡単な方法でオーダーメイドのマスクを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態による枠部材変形用器具を示す斜視図である。
図2図1に示す枠部材変形用器具における接続部を示す斜視図である。
図3図1に示す枠部材変形用器具における保持部および接続部の断面図である。
図4図1に示す枠部材変形用器具に枠部材を嵌め込む動作を示す斜視図である。
図5】枠部材が嵌め込まれた枠部材変形用器具をマスク着用予定者の顔に当てて変形させることによりフィッティングを行う動作を概略的に示す図である。
図6】変形した枠部材変形用器具から枠部材を取り出す動作を示す斜視図である。
図7】枠部材変形用器具から取り出された、変形した枠部材の構成を示す構成図である。
図8】マスク本体に形成されているポケットに枠部材を入れる動作を示す図である。
図9】ポケットに枠部材が入れられたマスクを示す図である。
図10】本発明の実施の形態によるマスクをマスク着用予定者が着用したときの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本実施の形態について説明する。図1乃至図10は、本実施の形態によるマスク製造方法、枠部材変形用器具およびマスクを示す図である。
【0013】
本実施の形態によるマスク製造方法および枠部材変形用器具10は、マスク着用予定者の顔の形状にマッチしたオーダーメイドのマスクの製造に関するものである。このようなマスク製造方法および枠部材変形用器具10により製造されたマスクは、マスク着用予定者の顔との間の隙間を完全に塞ぐことができるため、とりわけ医療用に用いることができる。
【0014】
本実施の形態のマスク製造方法および枠部材変形用器具10により製造されるマスクは、マスク本体50に形成されるポケット54に、マスク着用予定者の顔の形状に合わせて変形した枠部材40が入れられたものである。このようなマスクの製造方法、具体的には枠部材40を変形させる方法について以下に説明する。
【0015】
まず、枠部材40を変形させる際に用いられる枠部材変形用器具10の構成について図1乃至図3を用いて説明する。図1は、本実施の形態による枠部材変形用器具10を示す斜視図であり、図2は、図1に示す枠部材変形用器具10における接続部30を示す斜視図である。また、図3は、図1に示す枠部材変形用器具10における保持部20および接続部30の断面図である。
【0016】
図1乃至図3に示すように、本実施の形態による枠部材変形用器具10は、複数の保持部20と、可撓性を有する細長い接続部30とを備えている。図3に示すように、各保持部20には、接続部30が通る貫通穴22および溝部分24が形成されており、接続部30は各保持部20の貫通穴22を通っている。また、各保持部20の溝部分24に、後述する細長いプラスチック製の枠部材40を嵌め込むことができるようになっている。
【0017】
各保持部20は細長い略直方体形状のものとなっており、図1の奥行き方向(接続部30の長手方向)における各保持部20の長さは3mm~10mmの範囲内の大きさとなっており、図1の高さ方向における各保持部20の高さは10mm~20mmの範囲内の大きさとなっており、図3の左右方向における各保持部20の幅の大きさは3mm~8mmの範囲内の大きさとなっている。各保持部20の材料は、例えば熱が加えられても変形しない樹脂や金属である。枠部材変形用器具10は、10個~100個の範囲内の個数の保持部20を有しており、これらの保持部20の貫通穴22に接続部30が通されることにより各保持部20が互いに接続される。また、接続部30が貫通穴22を通る複数の保持部20のうち少なくとも両端に位置する保持部20が接続部30に取り付けられている。このことにより、接続部30が貫通穴22を通っている各保持部20が接続部30から離間してしまうことを防止することができる。一方、それ以外の各保持部20は接続部30に取り付けられていない。このため、接続部30が各保持部20の貫通穴22の内部で相対的に移動することができるようになるため、各保持部20は他の保持部20から独立して動くことが可能となる。このことにより、各保持部20の位置を、隣にある保持部20に対して、接続部30が貫通穴22内を移動する範囲内でずらすことができるようになっている。
【0018】
接続部30は、可撓性を有する細長い金属板から構成されている。具体的には、接続部30を構成する金属は、例えばアルミニウム、錫、アルミニウムを含む合金、錫を含む合金のうち少なくとも何れかのものを含む。アルミニウムを含む合金は、アルミニウムと錫との合金、アルミニウムと銅との合金、アルミニウムと銀との合金またはアルミニウムと銅と銀との合金等である。また、錫を含む合金は、錫と銅の合金、錫と銀の合金または錫と銅と銀の合金である。なお、接続部30を構成する金属はこのような材料に限定されることはない。可撓性を有する細長い金属板であれば、接続部30として他の種類の金属が用いられてもよい。また、接続部30は金属に限定されることはない。可撓性を有する細長い材料であれば、接続部30として金属板以外のものが用いられてもよい。このような接続部30の長手方向における長さは5cm~30cmの範囲内の大きさとなっており、図2の高さ方向における接続部30の高さは5mm~20mmの範囲内の大きさとなっており、接続部30の厚さは0.1mm~5.0mmの範囲内の大きさとなっている。
【0019】
次に、このような枠部材変形用器具10を用いて枠部材40を変形させる動作について図4乃至図7を用いて説明する。
【0020】
まず、図4に示すように、枠部材変形用器具10における各保持部20の貫通穴22に細長い枠部材40を嵌め込む。ここで、枠部材40としては、弾力性を有し、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなるプラスチックが用いられる。このようなプラスチックは、加熱される前は可撓性を有しているが熱が加えられると硬化し、その後に冷却しても硬化した状態が維持されるものである。熱可塑性樹脂として、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、テフロン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂として、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂(ユリア樹脂)、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド等が用いられる。このような枠部材40の長手方向における長さは5cm~30cmの範囲内の大きさとなっており、図4の高さ方向における枠部材40の高さは5mm~20mmの範囲内の大きさとなっており、枠部材40の厚さは0.1mm~3.0mmの範囲内の大きさとなっている。
【0021】
次に、図5に示すように、枠部材40が各保持部20の溝部分24に嵌め込まれた枠部材変形用器具10をマスク着用予定者の顔に当てて変形させることによりフィッティングを行う。具体的には、枠部材変形用器具10の中央箇所がマスク着用予定者の鼻筋に当たるようにする。このことにより、枠部材変形用器具10および枠部材40がマスク着用予定者の顔の形状に沿って変形する。この際に、枠部材変形用器具10の各保持部20が隣にある保持部20に対して移動可能となっていることにより、より精度良く各保持部20をマスク着用予定者の顔にフィッティングさせることができる。
【0022】
枠部材変形用器具10をマスク着用予定者の顔に当てて変形させることによりフィッティングを行った後、マスク着用予定者の顔から枠部材変形用器具10を離す。この際に、接続部30の材料が可撓性を有する金属であるため、マスク着用予定者の顔から枠部材変形用器具10を離しても変形した接続部30の形状が維持される。よって、変形した枠部材40の形状も維持される。そして、枠部材40が各保持部20の溝部分24に嵌め込まれた状態で枠部材変形用器具10および枠部材40を加熱する。具体的には、変形した枠部材変形用器具10および枠部材40を例えば40℃以上100℃以下の熱湯に入れることにより加熱する。あるいは、変形した枠部材変形用器具10および枠部材40にドライヤー等で熱風を供給することにより枠部材変形用器具10および枠部材40を加熱してもよい。このことにより、各保持部20の溝部分24に嵌め込まれている枠部材40が硬化する。
【0023】
その後、図6に示すように、加熱された枠部材変形用器具10および枠部材40を冷却し、当該枠部材変形用器具10から枠部材40を取り出す。このことにより、図7に示すような、マスク着用予定者の顔の形状に沿って変形した枠部材40が得られる。図7に示すように、変形した枠部材40は、中央にある山形状部分42と、山形状部分42の両側にある谷形状部分44とを含んでいる。山形状部分42は、マスク着用予定者の鼻の形状に沿って変形したものであり、谷形状部分44は、マスク着用予定者の鼻と頬の間の谷部分の形状に沿って変形したものである。
【0024】
次に、マスク本体50に形成されているポケット54に枠部材40を入れる。ここで、本実施の形態によるマスクは、マスク本体50と、マスク本体50の両側縁に設けられた耳に引っ掛けるための左右一対のバンド52と、マスク本体50の表面または裏面に形成されたポケット54とを有しており、ポケット54に枠部材40を収容することができるようになっている。また、ポケット54は、マスクにおけるマスク着用予定者の鼻が当たる部分の近傍に形成されている。このようにして、ポケット54に枠部材40を入れると、図9に示すような、マスク着用予定者の顔の形状に沿った枠部材40が設けられたマスクが得られる。
【0025】
図10は、本実施の形態によるマスクをマスク着用予定者が着用したときの状態を示す図である。なお、図10においてマスク着用予定者の顔を見やすくするためにマスクを二点鎖線で示している。人の顔のうち図10において参照符号Aで示す鼻筋の近傍の箇所は、この人が会話しても大きくは動かない部分である。一方、人の顔のうち図10において参照符号Bで示す頬の近傍の箇所は、この人が会話したときに動く部分である。そして、人の顔のうち参照符号Bで示す箇所が動くと、図10において参照符号Cで示す箇所において、従来のマスクでは人の顔との間に隙間が生じてしまう。これに対し、本実施の形態によるマスクでは、人の顔のうち図10において参照符号Aで示す鼻筋の近傍の箇所に枠部材40の山形状部分42が位置し、図10において参照符号Cで示す鼻と頬の間の谷間の箇所に枠部材40の谷形状部分44が位置するようになる。また、枠部材40は弾力性を有する部材から構成されている。このため、本実施の形態によるマスクをマスク着用予定者が着用したときに、人の顔における図10において参照符号Cで示す鼻と頬の間の谷間の箇所に枠部材40の谷形状部分44が嵌まり込むため人の顔とマスクとの間に隙間が生じることを防止することができる。また、人の顔のうち参照符号Bで示す箇所が動いても、枠部材40が弾力性を有する材料から構成されているため、人の顔の動きに合わせて枠部材40の谷形状部分44が変形することにより、図10において参照符号Cで示す箇所で人の顔とマスクとの間に隙間が生じることはない。
【0026】
以上のような構成からなる本実施の形態のマスク製造方法によれば、細長いプラスチック製の枠部材40を枠部材変形用器具10に収容する工程と、枠部材40が収容された枠部材変形用器具10をマスク着用予定者の顔に当てて変形させることによりフィッティングを行う工程と、変形した枠部材変形用器具10および枠部材40を加熱することにより枠部材40を硬化させる工程と、加熱された枠部材変形用器具10および枠部材40を冷却し、当該枠部材変形用器具10から枠部材40を取り出す工程と、マスク本体50に形成されているポケット54に枠部材40を入れる工程とを備えている。このようなマスク製造方法によれば、枠部材変形用器具10および枠部材40を加熱する前にマスク着用予定者の顔に当てて変形させることによりフィッティングを行うため、安全かつ簡単な方法でオーダーメイドのマスクを製造することができる。また、ユーザの顔の形状に合わせて枠部材40を変形させるため、人の顔との間に隙間が生じることを防止することができるマスクをオーダーメイドで製造することができる。
【0027】
また、本実施の形態のマスク製造方法においては、枠部材変形用器具10は、可撓性を有する金属としての接続部30を含んでいる。このことにより、枠部材40が収容された枠部材変形用器具10をマスク着用予定者の顔に当てて変形させることによりフィッティングを行った後、マスク着用予定者の顔から枠部材変形用器具10を離しても、変形した枠部材変形用器具10および枠部材40の形状を維持することができる。
【0028】
また、本実施の形態のマスク製造方法においては、枠部材40を硬化させる工程において、変形した枠部材変形用器具10および枠部材40を40℃以上100℃以下の熱湯に入れることにより加熱するようになっている。あるいは、枠部材40を硬化させる工程において、変形した枠部材変形用器具10および枠部材40に熱風を供給することにより加熱するようになっている。この場合には、簡単な方法で枠部材40を加熱することができる。
【0029】
また、本実施の形態のマスク製造方法においては、ポケット54は、マスクにおけるマスク着用予定者の鼻が当たる部分の近傍に形成されている。この場合には、製造されたマスクにより、枠部材40によってユーザの顔における鼻の近傍の箇所とマスクとの間に隙間が生じることを防止することができる。
【0030】
また、本実施の形態の枠部材変形用器具10によれば、複数の保持部20と、可撓性を有する細長い接続部30とを備え、保持部20には、接続部30が通る貫通穴22および細長い枠部材40を収容するための収容部分(具体的には、溝部分24)が形成されており、接続部30は各保持部20の貫通穴22を通っており、枠部材40を各保持部20の収容部分にまたがって収容することができるようになっている。この場合には、本実施の形態の枠部材変形用器具10を用いて枠部材40を変形させることができるため、安全かつ簡単な方法でオーダーメイドのマスクを製造することができる。また、ユーザの顔の形状に合わせて枠部材40を変形させることができるため、人の顔との間に隙間が生じることを防止することができるマスクを得ることができる。
【0031】
また、本実施の形態の枠部材変形用器具10においては、接続部30が貫通穴22を通る複数の保持部20のうち少なくとも両端に位置する保持部20が接続部30に取り付けられている。この場合は、接続部30が貫通穴22を通っている各保持部20が接続部30から離間してしまうことを防止することができる。また、接続部30が貫通穴22を通る複数の保持部20のうち両端に位置する保持部20以外の各保持部20は接続部30に取り付けられておらず、接続部30が各保持部20の貫通穴22の内部で相対的に移動することができるようになっている。このことにより、各保持部20は他の保持部20から独立して動くことが可能となり、よって、各保持部20の位置を、隣にある保持部20に対して、接続部30が貫通穴22内を移動する範囲内でずらすことができるようになっている。
【0032】
また、本実施の形態の枠部材変形用器具10においては、接続部30の材料は金属である。また、金属はアルミニウム、錫、アルミニウムを含む合金、錫を含む合金のうち少なくとも何れかのものを含む。この場合は、枠部材40が嵌め込まれた枠部材変形用器具10をマスク着用予定者の顔に当てて変形させることによりフィッティングを行う際に、常温でも接続部30を変形させることができる。
【0033】
また、本実施の形態のマスクによれば、ポケット54が形成されているマスク本体50と、ポケット54に入れられている細長いプラスチック製の枠部材40と、を備え、ポケット54は、マスクにおけるマスク着用予定者の鼻が当たる部分の近傍に形成されており、枠部材40は、変形した状態で加熱されることにより硬化した後に冷却されたものである。この場合は、ユーザの顔の形状に合わせて枠部材40を変形させることができるため、人の顔との間に隙間が生じることを防止することができるオーダーメイドのマスクを得ることができる。
【0034】
また、本実施の形態のマスクにおいては、枠部材40は、中央にある山形状部分42と、山形状部分42の両側にある谷形状部分44とを含んでいる。この場合は、人の顔のうち頬の近傍の箇所が動いても、枠部材40が弾力性を有する部材から構成されているため、人の顔の動きに合わせて枠部材40の谷形状部分44が変形することにより、鼻と頬の間の窪みで人の顔とマスクとの間に隙間が生じることはない。
【0035】
なお、本実施の形態によるマスク製造方法、枠部材変形用器具およびマスクは、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0036】
例えば、本実施の形態によるマスク製造方法で用いられる枠部材変形用器具は、図1乃至図3に示す枠部材変形用器具10に限定されることはない。細長いプラスチック製の枠部材40を嵌め込むことができるものであれば、枠部材変形用器具として、図1乃至図3に示す枠部材変形用器具10以外の構成のものが用いられもよい。
【0037】
具体的には、例えば、複数の保持部20において、枠部材40が嵌め込まれる溝部分24が形成されている代わりに、枠部材40が通過する貫通穴が形成されていてもよい。また、別の態様として、各保持部20の貫通穴22に接続部30および枠部材40の両方が入るようになっていてもよい。すなわち、各保持部20において、接続部30が通る貫通穴22および枠部材40を収容する収容部分が共通のものとなっていてもよい。
【0038】
また、本実施の形態によるマスク製造方法で用いられる枠部材変形用器具として、複数の保持部20ではなく、断面がU字形状となっており可撓性を有する細長い金属体が用いられてもよい。金属体は、例えば錫、錫と銅の合金、錫と銀の合金または錫と銅と銀の合金から構成される。この場合は、金属体のU字形状の間に枠部材40を挟み込み、枠部材40が挟み込まれた金属体をマスク着用予定者の顔に当てて変形させることによりフィッティングを行う。そして、変形した金属体および枠部材40を加熱し、加熱された金属体および枠部材40を冷却した後、金属体から枠部材40を取り出す。その後、マスク本体50に形成されているポケット54に枠部材40を入れる。このようなマスク製造方法でも、金属体および枠部材40を加熱する前にマスク着用予定者の顔に当てて変形させることによりフィッティングを行うため、安全かつ簡単な方法でオーダーメイドのマスクを製造することができる。また、ユーザの顔の形状に合わせて枠部材40を変形させるため、人の顔との間に隙間が生じることを防止することができるマスクを得ることができる。
【0039】
また、枠部材40は細長い板状のものに限定されることはない。枠部材40として、細長い棒状のもの等、板状以外の形状のものが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10 枠部材変形用器具
20 保持部
22 貫通穴
24 溝部分
30 接続部
40 枠部材
42 山形状部分
44 谷形状部分
50 マスク本体
52 バンド
54 ポケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2021-09-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長いプラスチック製の枠部材を枠部材変形用器具に収容する工程と、
前記枠部材が収容された前記枠部材変形用器具をマスク着用予定者の顔に当てて変形させることによりフィッティングを行う工程と、
変形した前記枠部材変形用器具および前記枠部材を加熱することにより前記枠部材を硬化させる工程と、
加熱された前記枠部材変形用器具および前記枠部材を冷却し、当該枠部材変形用器具から前記枠部材を取り出す工程と、
マスク本体に形成されているポケットに前記枠部材を入れる工程と、
を備えた、マスク製造方法。
【請求項2】
前記枠部材変形用器具は、可撓性を有する金属を含む、請求項1記載のマスク製造方法。
【請求項3】
前記枠部材を硬化させる工程において、変形した前記枠部材変形用器具および前記枠部材を40℃以上100℃以下の湯に入れることにより加熱する、請求項1または2記載のマスク製造方法。
【請求項4】
前記枠部材を硬化させる工程において、変形した前記枠部材変形用器具および前記枠部材に熱風を供給することにより加熱する、請求項1または2記載のマスク製造方法。
【請求項5】
前記ポケットは、前記マスク本体におけるマスク着用予定者の鼻が当たる部分の近傍に形成されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマスク製造方法。
【請求項6】
複数の保持部と、
可撓性を有する細長い接続部と、
を備え、
前記保持部には、前記接続部が通る貫通穴および細長い枠部材を収容するための収容部分が形成されており、
前記接続部は各前記保持部の前記貫通穴を通っており、
前記枠部材を各前記保持部の前記収容部分にまたがって収容することができるようになっている、枠部材変形用器具。
【請求項7】
前記接続部が前記貫通穴を通る複数の前記保持部のうち少なくとも両端に位置する前記保持部が前記接続部に取り付けられている、請求項6記載の枠部材変形用器具。
【請求項8】
前記接続部が前記貫通穴を通る複数の前記保持部のうち両端に位置する前記保持部以外の各前記保持部は前記接続部に取り付けられておらず、前記接続部が各前記保持部の前記貫通穴の内部で相対的に移動することができるようになっている、請求項7記載の枠部材変形用器具。
【請求項9】
前記接続部の材料は金属である、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の枠部材変形用器具。
【請求項10】
前記金属はアルミニウム、錫、アルミニウムを含む合金、錫を含む合金のうち少なくとも何れかのものを含む、請求項9記載の枠部材変形用器具。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、マスク製造方法および枠部材変形用器具に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、安全かつ簡単な方法でオーダーメイドのマスクを製造することができるマスク製造方法および枠部材変形用器具を提供することを目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明のマスク製造方法および枠部材変形用器具によれば、安全かつ簡単な方法でオーダーメイドのマスクを製造することができる。