(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185264
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】注湯流接種装置及び注湯用取鍋
(51)【国際特許分類】
B22D 1/00 20060101AFI20221207BHJP
B22D 27/20 20060101ALI20221207BHJP
B22D 41/05 20060101ALI20221207BHJP
C21C 1/10 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
B22D1/00 F
B22D27/20 C
B22D41/05
C21C1/10 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092817
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】594197285
【氏名又は名称】大阪特殊合金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102048
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 光司
(74)【代理人】
【識別番号】100146503
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】東 洋一
【テーマコード(参考)】
4K014
【Fターム(参考)】
4K014BE00
(57)【要約】
【課題】 簡素な構造、操作でありながら一定量の接種剤を注湯毎に安定して注湯流に添加することが可能な注湯流接種装置及び注湯用取鍋を提供すること。
【解決手段】 タンク部は、接種剤を収容し下部に開口部21aが設けられた第一収容部21と、開口部21aと連通し下部に排出口3が設けられた第二収容部22とを有する。弁部材4には、開口部21aを開閉させる第一弁体41と排出口3を開閉させる第二弁体42とが一体に設けられている。第二弁体42が排出口3を閉鎖すると共に第一弁体41が開口部21aを開放して第一収容部21から第二収容部22に接種剤を充填させる。第一弁体41が開口部21aを閉鎖すると共に第二弁体42が排出口3を開放して第二収容部22に充填された接種剤を排出口3から排出させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取鍋から鋳型へ注湯される注湯流に添加する接種剤を収容するタンク部と、前記接種剤を前記注湯流へ排出する排出口と、前記排出口を開閉させる弁部材とを備えた注湯流接種装置であって、
前記タンク部は、前記接種剤を収容し下部に開口部が設けられた第一収容部と、前記開口部と連通し下部に前記排出口が設けられた第二収容部とを有し、
前記弁部材には、前記開口部を開閉させる第一弁体と前記排出口を開閉させる第二弁体とが一体に設けられており、
前記第二弁体が前記排出口を閉鎖すると共に前記第一弁体が前記開口部を開放して前記第一収容部から前記第二収容部に前記接種剤を充填させ、前記第一弁体が前記開口部を閉鎖すると共に前記第二弁体が前記排出口を開放して前記第二収容部に充填された前記接種剤を前記排出口から排出させる注湯流接種装置。
【請求項2】
前記弁部材は、前記第一収容部及び前記第二収容部の中央に位置する棒状部材であり、前記第二弁体は、前記排出口に嵌合する前記棒状部材の先端であり、前記第一弁体は、前記棒状部材に設けられ前記第二収容部側から前記開口部に係合する弁体である請求項1記載の注湯流接種装置。
【請求項3】
前記第一収容部は、筒状部と筒状部の下部に前記開口部が設けられたテーパー部よりなり、前記テーパー部には、前記第二収容部を着脱可能に取り付けられる取付部が設けられている請求項1又は2記載の注湯流接種装置。
【請求項4】
前記第一収容部と前記第二収容部は、一体に形成されている請求項1又は2記載の注湯流接種装置。
【請求項5】
前記第一弁体は、略円錐形を呈し、前記開口部は、下方に向けて開口径が拡大するテーパー状を呈し、前記第一弁体の外周面の傾斜角は、前記開口部の内周面の傾斜角より鋭角である請求項1~4のいずれかに記載の注湯流接種装置。
【請求項6】
前記弁部材の駆動を制御する制御機構をさらに備え、前記制御機構は、前記棒状部材に接続された操作レバーを備え、前記操作レバーの操作により前記弁部材を駆動させる請求項2~5のいずれかに記載の注湯流接種装置。
【請求項7】
前記操作レバーが第一地点に位置した際に、前記第二弁体が前記排出口を閉鎖すると共に前記第一弁体が前記開口部を開放して前記第一収容部から前記第二収容部に前記接種剤を充填させ、前記操作レバーが第二地点に位置した際に、前記第一弁体が前記開口部を閉鎖すると共に前記第二弁体が前記排出口を開放して前記第二収容部に充填された前記接種剤を前記排出口から排出させる請求項6記載の注湯流接種装置。
【請求項8】
前記弁部材の駆動を制御する制御機構をさらに備え、前記制御機構は、前記取鍋の傾動を操作する操作ハンドルの回動に連動させて前記弁部材を駆動させる請求項1~5のいずれかに記載の注湯流接種装置。
【請求項9】
前記弁部材の駆動を制御する制御機構をさらに備え、前記制御機構は、前記弁部材の駆動を電気的に制御する請求項1~5のいずれかに記載の注湯流接種装置。
【請求項10】
請求項1記載の注湯流接種装置と、鋳型へ注湯される溶湯を収容する取鍋本体とを備えた注湯用取鍋であって、
前記注湯流接種装置は、前記取鍋本体の傾動に対し前記タンク部の状態が維持されるように前記取鍋本体の注湯口近傍に揺動可能に取り付けられている注湯用取鍋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注湯流接種装置及び注湯用取鍋に関する。さらに詳しくは、取鍋から鋳型へ注湯される溶湯に添加する接種剤を収容するタンク部と、前記接種剤を前記溶湯へ排出する排出口と、前記排出口を開閉させる弁部材とを備えた注湯流接種装置及び注湯用取鍋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上述の如き注湯流接種装置として、例えば特許文献1に記載の如きものが知られている。この接種装置は、取鍋の傾動を操作・調整するハンドルの動作に連動して接種剤を溶湯(注湯流)に添加するように構成することで、取鍋の傾動に応じて接種剤の添加を自動的に調整してある。しかし、取鍋の傾動によって注湯毎の接種剤の添加量にバラツキが生じる可能性があり、注湯毎に一定量の接種剤を安定して添加する手法が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、簡素な構造、操作でありながら一定量の接種剤を注湯毎に安定して注湯流に添加することが可能な注湯流接種装置及び注湯用取鍋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る注湯流接種装置の特徴は、取鍋から鋳型へ注湯される溶湯に添加する接種剤を収容するタンク部と、前記接種剤を前記溶湯へ排出する排出口と、前記排出口を開閉させる弁部材とを備えた構成において、前記タンク部は、前記接種剤を収容し下部に開口部が設けられた第一収容部と、前記開口部と連通し下部に前記排出口が設けられた第二収容部とを有し、前記弁部材には、前記開口部を開閉させる第一弁体と前記排出口を開閉させる第二弁体とが一体に設けられており、前記第二弁体が前記排出口を閉鎖すると共に前記第一弁体が前記開口部を開放して前記第一収容部から前記第二収容部に前記接種剤を充填させ、前記第一弁体が前記開口部を閉鎖すると共に前記第二弁体が前記排出口を開放して前記第二収容部に充填された前記接種剤を前記排出口から排出させることにある。
【0006】
上記構成によれば、タンク部は、接種剤を収容し下部に開口部が設けられた第一収容部と、開口部と連通し下部に排出口が設けられた第二収容部とを有し、弁部材には、開口部を開閉させる第一弁体と排出口を開閉させる第二弁体とが一体に設けられている。これにより、弁部材の動作により開口部及び排出部の開閉を同時に制御することができる。そして、第二弁体が排出口を閉鎖すると共に第一弁体が開口部を開放して第一収容部から第二収容部に接種剤を充填させるので、第二収容部の容積(体積)によって所定量の接種剤を計量し収容することができる。しかも、第一弁体が開口部を閉鎖すると共に第二弁体が排出口を開放して第二収容部に充填された接種剤を排出口から排出させるので、第一収容部から接種剤が第二収容部に流入すること無く、第二収容部から計量された接種剤を排出できるので、所定量の接種剤を安定して排出することができる。このように、簡素な構成で一定量の接種剤を注湯毎に安定して注湯流に添加することが可能となる。
【0007】
係る場合、前記弁部材は、前記第一収容部及び前記第二収容部の中央に位置する棒状部材であり、前記第二弁体は、前記排出口に嵌合する前記棒状部材の先端であり、前記第一弁体は、前記棒状部材に設けられ前記第二収容部側から前記開口部に係合する弁体であるとよい。簡素な構成で開口部及び排出部の開閉を同時に制御することができる。
【0008】
前記第一収容部は、筒状部と筒状部の下部に前記開口部が設けられたテーパー部よりなり、前記テーパー部には、前記第二収容部を着脱可能に取り付けられる取付部が設けられているとよい。これにより、接種剤の接種量に応じて、接種量と同等の体積に形成した第二収容部(第一収容部及び第二収容部)を取り付けて使用することができる。
【0009】
他方、前記第一収容部と前記第二収容部は、一体に形成されていても構わない。係る場合、接種剤の接種量に応じた体積の第二収容部(第一収容部及び第二収容部)を有する注湯流接種装置を複数用意しておくとよい。
【0010】
前記第一弁体は、略円錐形を呈し、前記開口部は、下方に向けて開口径が拡大するテーパー状を呈し、前記第一弁体の外周面の傾斜角は、前記開口部の内周面の傾斜角より鋭角であってもよい。これにより、第一弁体の円錐部分の外周面と開口部の内周面とが面接触せず点(線)接触となるので、第一弁体の外周面と開口部の内周面との間に残存した接種剤によって隙間が形成されずに開口部を封止することができ、計量の精度が向上すると共に装置の損傷も抑制できる。
【0011】
前記弁部材の駆動を制御する制御機構をさらに備え、前記制御機構は、前記棒状部材に接続された操作レバーを備え、前記操作レバーの操作により前記弁部材を駆動させるとよい。係る場合、前記操作レバーが第一地点に位置した際に、前記第二弁体が前記排出口を閉鎖すると共に前記第一弁体が前記開口部を開放して前記第一収容部から前記第二収容部に前記接種剤を充填させ、前記操作レバーが第二地点に位置した際に、前記第一弁体が前記開口部を閉鎖すると共に前記第二弁体が前記排出口を開放して前記第二収容部に充填された前記接種剤を前記排出口から排出させるとよい。これにより、操作レバーの操作のみでよく、作業性もよい。
【0012】
また、前記弁部材の駆動を制御する制御機構をさらに備え、前記制御機構は、前記取鍋の傾動を操作する操作ハンドルの回動に連動させて前記弁部材を駆動させるようにしてもよい。さらに、前記弁部材の駆動を制御する制御機構をさらに備え、前記制御機構は、前記弁部材の駆動を電気的に制御するようにしても構わない。
【0013】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る注湯用取鍋の特徴は、上記記載の注湯流接種装置と、鋳型へ注湯される溶湯を収容する取鍋本体とを備えた構成において、前記注湯流接種装置は、前記取鍋本体の傾動に対し前記タンク部の状態が維持されるように前記取鍋本体の注湯口近傍に揺動可能に取り付けられていることにある。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明に係る注湯流接種装置及び注湯用取鍋の特徴によれば、簡素な構造、操作でありながら一定量の接種剤を注湯毎に安定して注湯流に添加することが可能となった。
【0015】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る注湯流接種装置の概略図である。
【
図5】注湯流接種装置による接種の状況を示す概略図である。
【
図6】レバーが水平位置の場合のタンク内部の状態を示す図である。
【
図7】レバーが押し下げられた場合のタンク内部の状態を示す図である。
【
図8】本発明の他の実施形態におけるタンク部の
図5相当図である。
【
図9】本発明の他の実施形態におけるタンク部の
図6相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、適宜添付図面を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明に係る注湯流接種装置1は、大略、
図1~3に示すように、取鍋10から鋳型(不図示)へ注湯される注湯流P(溶湯M)に添加する接種剤Iを収容するタンク部2と、接種剤Iを注湯流Pへ排出する排出口3と、排出口3を開閉させる弁部材4とを備える。
【0018】
取鍋10は、
図1~3,5に示すように、鋳型へ注湯される溶湯Mを収容する取鍋本体11と、取鍋本体11の傾動を操作する操作ハンドル12を備え、支持フレーム19により支持されている。取鍋本体11の注湯口13には、タンク部2を保持する保持部材14が取り付けられている。保持部材14には、重り15aが連結部材15bを介してタンク部2が揺動可能に取り付けられており、これら部材15a,15bが角度変更機構15を構成する。これにより、タンク部2は、取鍋本体11の傾動に応じてタンク部2の姿勢(状態)が水平となるように揺動する。
【0019】
タンク部2は、
図4,6,7に示すように、接種剤Iを収容し下部に開口部21aが設けられた第一収容部21と、開口部21aと連通し下部に上述の排出口3が設けられた第二収容部22とを有する。これら第一、第二収容部21,22は、筒状の第一断熱部材29aに覆われており、第二収容部22の下部の第二筒状部22bは、第一断熱部材29aの内側でさらに第二断熱部材29bに覆われている。
【0020】
第一収容部21は、筒状部21bと筒状部21bの下部に開口部21aが設けられたテーパー部21cとよりなる。テーパー部21cの外面には、第二収容部22が固定されている。開口部21aは、下方に向けて開口径が拡大するテーパー状に形成されてあり、そのテーパー面21d(内周面)は、後述する第一弁体41の外周面41cと密着する。
【0021】
第二収容部22は、開口部21aの直下に位置し且つ後述する第一弁体41が収容される第一筒状部22aと、第一筒状部22aと連通し且つ下部に上述の排出口3が設けられた第二筒状部22bとよりなる。後述する第二弁体42が開口部3を閉鎖している状態において、第一筒状部22aと第二筒状部22bとは第一弁体41に閉鎖されることなく連通するように形成されている。第一弁体41の体積を除いた第二収容部22の容量が、注湯毎に添加(接種)する接種剤Iの添加量となる。
【0022】
弁部材4は、
図4に示すように、開口部21aを開閉させる第一弁体41と排出口3を開閉させる第二弁体42とが一体に設けられた棒状部材40であり、第一収容部21及び第二収容部22の中央に位置させてある。棒状部材40の基端部40aには、第一弁体41及び第二弁体42を上下動させる操作レバー51が連結されている。本実施形態において、操作レバー51が、弁部材4の駆動を制御する制御機構5として機能する。
【0023】
第一弁体41は、
図4,6,7に示すように、円柱部41aと円錐部41bとが一体に形成されてあり、円錐部41bの頂部が開口部21aに嵌入する。第二弁体42は、棒状部材40の先端が鋭利に形成された部分であり、排出口3に嵌入する。
【0024】
ここで、
図4,6,7を参照しながら、注湯流Pへの接種作業(工程)を説明する。
図4,6に示すように、操作レバー51を第一地点D1として水平に位置させる(第一地点D2から第二地点D1へ押し上げる)と、棒状部材40は下降し、棒状部材40の先端である第二弁体42が第二筒状部22b内部で排出口3に嵌入して排出口3を閉鎖する。一方、棒状部材40の下降により、第一弁体41は、第一筒状部22a内部において、開口部21aから離隔しテーパー面21dと外周面41cとの間に隙間S1が形成される。この時、円柱部41aが第二筒状部22bの開口を塞ぐことはなく、隙間S2によって第一筒状部22aと第二筒状部22bとを連通させる。これにより、第一収容部21に収容された接種剤Iがその隙間S1を通過して第一筒状部22aへ移動(流動)し、隙間S2によって第一筒状部22a及び第二筒状部22bが接種剤Iで満たされる(充填される)。このように、第二収容部22の容積にて接種直前に毎回一定量の接種剤Iを計量することができる。
【0025】
一方、
図4,7に示すように、操作レバー51を水平位置(第一地点D1)から第二地点D2へ押し下げると、棒状部材40は上昇し、第一弁体41の円錐部41bが開口部21aに嵌入しテーパー面21dと外周面41cとが当接(密着)して隙間S1を塞ぐ一方、円柱部41aと第二筒状部22bの開口との隙間S2は拡大する。それと同時に、棒状部材40の先端である第二弁体42は排出口3から離隔し排出口3を開放し、隙間S3を形成する。これにより、第一筒状部22a及び第二筒状部22bに充填された接種剤Iが、第一収容部21からの接種剤Iの流入が防止された状態で、隙間S3を介して排出口3から排出される。このように、制御機構としての操作レバー5の操作のみで、毎回一定量の接種剤Iを添加することができ、添加量のバラツキを防止できる。
【0026】
最後に、本発明の他の実施形態の可能性について言及する。なお、以下の実施形態において、上記実施形態と同様の部材等には同一の符号を付してある。
上記実施形態において、制御機構5として棒状部材40に接続された操作レバー51の操作により弁部材4を駆動させた。しかし、制御機構5は、操作レバー51に限られるものではない。例えば、取鍋10の傾動を操作する操作ハンドル12の回動に連動させて弁部材4を駆動させるように制御機構5を構成してもよい。例えば、制御機構5として、操作ハンドル12の回動に連動するカム機構を設け、当該カム機構を介して弁部材4の駆動を制御するようにしてもよい。また、弁部材4の駆動を電子的に制御するように制御機構5を構成してもよい。例えば、モーター等を別途設け、スイッチ等によりモーターを制御して弁部材4の駆動させてもよい。さらに、操作ハンドル12の回動や取鍋10の傾動角度若しくは鋳型へ注湯される注湯流Pの光又は熱を検知するセンサを設け、センサの信号によってモーターを制御することも可能である。なお、上述の操作レバーやカム機構等の物理的な制御とセンサ等による電子的な制御とを組み合わせて制御装置として実施することも可能であり、上述の如きセンサは1種に限らず複数種を組み合わせて構わない。
【0027】
また、上記実施形態において、第一収容部21のテーパー部21cの外面に第二収容部22を固定して、第一収容部21と第二収容部22を一体に形成した。しかし、第一収容部211に対し第二収容部221を着脱交換可能に構成しても構わない。係る場合、例えば、
図8,9に示すように、第一収容部21のテーパー部21cには、第二収容部221を着脱可能に取り付けられる取付部21eが設けられている。また、第二収容部221には、上部に鍔部23が設けられている。そして、鍔部23の取付孔24を介してボルト21fにより、第一収容部211に第二収容部221が取付固定される。
【0028】
さらに、上記実施形態では、
図7に示すように、第一収容部21の開口部21aを第一弁体41で閉鎖した際、開口部21aのテーパー面21dと第一弁体41の円錐部41bの外周面41cが密着するように構成した。しかし、
図9に示すように、第一弁体41の円錐部41bの外周面41cの傾斜角は、開口部21aのテーパー面21d(内周面)の傾斜角より鋭角にするとよい。これにより、同図に示すように、外周面41cは、テーパー面21d(内周面)の内縁21xで点接触(開口部21の縁に沿って線接触)する。よって、テーパー面21dに接種剤Iが残存したとしても、開口部21aを第一弁体41で閉鎖した際に接触面で噛みこむことがなく、隙間無く完全に閉鎖することができる。
【0029】
前記第二弁体が前記排出口を閉鎖すると共に前記第一弁体が前記開口部を開放して前記第一収容部から前記第二収容部に前記接種剤を充填させ、前記第一弁体が前記開口部を閉鎖すると共に前記第二弁体が前記排出口を開放して前記第二収容部に充填された前記接種剤を前記排出口から排出させる
【0030】
上記実施形態において、操作レバー51を水平位置(第一地点D1)に位置させた場合(第一地点D2から第二地点D1へ押し上げる)に、第一収容部21から第二収容部22へ接種剤Iを充填し、操作レバー51を水平位置(第一地点D1)から第二地点D2へ押し下げた場合に、第二収容部22の排出口3から接種剤を排出した。しかし、上記とは反対に、操作レバー51を水平位置に位置させた場合に排出口3から接種剤を排出し、操作レバー51を水平位置(第一地点D1)から第二地点D2へ押し下げた場合に第一収容部21から第二収容部22へ接種剤Iを充填するように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0031】
1:注湯流接種装置、2,2':タンク部、3:排出口、4:弁部材、5:制御機構、10:取鍋、11:取鍋本体、12:操作ハンドル、13:注湯口、14:保持部材、15:角度変更機構、15a:重り、15b:連結部材、19:支持フレーム、21:第一収容部、21a:開口部、21b,21b1:筒状部、21c,21c1:テーパー部、21d:テーパー面、21e:取付部、21f:ボルト、21x:内縁、22:第二収容部、22a,22a1:第一筒状部、22b,22b1:第二筒状部、23:鍔部、24:貫通孔、29a:第一断熱部材、29b,29b1:第二断熱部材、40:棒状部材、41:第一弁体、41a:円柱部、41b:円錐部、41c,41c1:外周面、42:第二弁体、51:操作レバー、211:第一収容部、221:第二収容部、P:注湯流、I:接種剤、M:溶湯、D1:第一地点、D2:第二地点、S1,S2,S3:隙間