(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185269
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/88 20110101AFI20221207BHJP
【FI】
H01R12/88
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092823
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 毅晟
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AC01
5E223AC23
5E223BA08
5E223BB01
5E223BB12
5E223CA15
5E223CB22
5E223CB31
5E223CD02
5E223DA05
5E223DB04
5E223DB09
5E223DB11
5E223DB23
5E223DB25
5E223DB36
5E223EA02
5E223EA14
5E223EA33
5E223EA36
5E223EC22
5E223EC47
5E223EC63
(57)【要約】
【課題】高温、高湿の雰囲気であってもフレキシブル基板と端子とを良好に接触させ続けることができるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は、基板Sに固定される固定部11Aと、フレキシブル基板30の挿入領域R1に臨むように固定部11Aに支持され、挿入領域R1内のフレキシブル基板30に対して弾性的に接触可能な弾性接触部11Dと、を有する端子金具11を備え、弾性接触部11Dには、弾性接触部11Dを挿入領域R1から退避した退避状態へ弾性的に変位させる操作部材13が取り付けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に固定される固定部と、
フレキシブル基板の挿入領域に臨むように前記固定部に支持され、前記挿入領域内の前記フレキシブル基板に対して弾性的に接触可能な弾性接触部と、
を有する端子金具を備え、
前記弾性接触部には、前記弾性接触部を前記挿入領域から退避した退避状態へ弾性的に変位させる操作部材が取り付けられているコネクタ。
【請求項2】
前記端子金具は、前記弾性接触部の長さ方向における一方の端部と、前記固定部とを繋ぐ弾性変形可能な支点部を有しており、
前記操作部材は、前記弾性接触部に連結された連結部と、前記支点部を挟んで前記連結部とは反対側へ延出した押圧操作部と、を有し、
前記押圧操作部を押圧すると、前記弾性接触部が、前記支点部を弾性変形させながら前記挿入領域から離れる向きに変位する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記連結部は、絶縁材料からなり、
複数の前記端子金具が並列状態で配置されており、
前記連結部は、複数の前記弾性接触部に連結されている請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記弾性接触部には、前記連結部内に埋設されたアンカー部が設けられている請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記押圧操作部は、押圧操作されることによって前記基板に近づく向きに移動するようになっており、
前記押圧操作部と、前記基板との間に、前記押圧操作部の移動量を制限する移動規制部を備えている請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記弾性接触部には、前記フレキシブル基板に接触する突起部が設けられている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル基板を接続するコネクタにおいて、FPC(Flexible printed circuits)と接続する端子金具として、二股に分かれた形状をなすものが知られている。このようなコネクタの端子金具とフレキシブル基板とを接続する構造として、端子金具の二股に分かれた部分にフレキシブル基板を挿入した後、アクチュエータ等によって、フレキシブル基板を端子金具の二股の内の一方に押し付けてフレキシブル基板と端子金具とを確実に接触させる構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-137968号公報
【特許文献2】特開2004-227918号公報
【特許文献3】特開平10-208810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アクチュエータには、合成樹脂が用いられる場合が多い。この場合、アクチュエータは、高温、高湿の雰囲気に長期間さらされるとフレキシブル基板の反力によってアクチュエータ自身が変形し、フレキシブル基板を端子金具の二股の内の一方に押し付ける力が弱くなるおそれがある。
【0005】
そこで、本開示では高温、高湿の雰囲気であってもフレキシブル基板と端子金具とを良好に接触させ続けることができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、
基板に固定される固定部と、
フレキシブル基板の挿入領域に臨むように前記固定部に支持され、前記挿入領域内の前記フレキシブル基板に対して弾性的に接触可能な弾性接触部と、
を有する端子金具を備え、
前記弾性接触部には、前記弾性接触部を前記挿入領域から退避した退避状態へ弾性的に変位させる操作部材が取り付けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、高温、高湿の雰囲気であってもフレキシブル基板と端子とを良好に接触させ続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1のコネクタを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1における、矢視A-A断面に相当し、押圧操作部の後端部を基板に近づく向きに移動させた状態である。
【
図4】
図4は、
図1における、矢視A-A断面に相当し、挿入領域へのフレキシブル基板の挿入が完了した状態である。
【
図5】
図5は、実施形態2のコネクタを示す側断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態2のコネクタを示す側断面図であって、押圧操作部の後端部を基板に近づく向きに移動させた状態である。
【
図7】
図7は、実施形態2のコネクタを示す側断面図であって、挿入領域へのフレキシブル基板の挿入が完了した状態である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)基板に固定される固定部と、弾性接触部と、を有する端子金具を備えている。弾性接触部には、弾性接触部を挿入領域から退避した退避状態へ弾性的に変位させる操作部材が取り付けられている。弾性接触部は、フレキシブル基板の挿入領域に臨むように固定部に支持され、挿入領域内のフレキシブル基板に対して弾性的に接触可能である。本開示の構成によれば、操作部材を操作して弾性接触部を退避状態へ変位させることによって、フレキシブル基板を挿入領域に容易に進入させることができる。操作部材の操作を解除すると、弾性接触部が弾性復帰することによって、弾性接触部とフレキシブル基板とが弾性接触状態で接続される。フレキシブル基板を弾性的に押圧する弾性接触部は、金属材料からなる端子金具の要素であるため、高温、高湿の雰囲気であっても変形することがない。
【0010】
(2)本開示のコネクタの端子金具は、弾性接触部の長さ方向における一方の端部と、固定部とを繋ぐ弾性変形可能な支点部を有している。操作部材は、弾性接触部に連結された連結部と、支点部を挟んで連結部とは反対側へ延出した押圧操作部と、を有し、押圧操作部を押圧すると、弾性接触部が、支点部を弾性変形させながら挿入領域から離れる向きに変位することが好ましい。この構成によれば、押圧する、という単純な操作によって弾性接触部を退避状態へ変位させることができる。
【0011】
(3)本開示のコネクタの連結部は、絶縁材料からなり、複数の端子金具が並列状態で配置されており、連結部は、複数の弾性接触部に連結されていることが好ましい。この構成によれば、複数の端子金具の弾性接触部同士を、短絡させることなく、一つの操作部材によるワンアクションの操作によって一斉に退避状態へ変位させることができる。
【0012】
(4)本開示のコネクタの弾性接触部には、連結部内に埋設されたアンカー部が設けられていることが好ましい。この構成によれば、弾性接触部が連結部から脱落し難くすることができる。
【0013】
(5)本開示のコネクタの押圧操作部は、押圧操作されることによって基板に近づく向きに移動するようになっており、押圧操作部と、基板との間に、押圧操作部の移動量を制限する移動規制部を備えていることが好ましい。この構成によれば、移動規制部によって押圧部が過度に基板に近づくことを規制することにより、支点部が塑性変形してしまうことを抑制することができる。
【0014】
(6)本開示のコネクタの弾性接触部には、フレキシブル基板に接触する突起部が設けられていることが好ましい。この構成によれば、弾性接触部とフレキシブル基板との接触を突起部を介した接触とすることができるので、弾性接触部とフレキシブル基板との接触位置を明確にすることができる。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施形態1]
以下、本開示の実施形態1に係るコネクタ1を、
図1から4を参照しつつ説明する。実施形態1に係るコネクタ1は、ハウジング10、複数の端子金具11、ペグ12、及び操作部材13を備えている。コネクタ1は、基板Sの表面に実装された状態で、フレキシブル基板30と端子金具11とを電気的に接続するものである。なお、以下の説明中、前後方向については、ハウジング10にフレキシブル基板30を挿入する側(
図2における下側)を前側とし、上下方向については、
図2における左方、右方を、上方、下方と定義する。左右方向については、
図2における手前側、奥側を、左方、右方と定義する。
【0016】
[コネクタの構成]
ハウジング10は合成樹脂製であって、ほぼ直方体状をなしている。ハウジング10の左右方向中央部は、上側が開放されており、左右方向両端部より窪んで形成され、フレキシブル基板30を挿入する挿入領域R1が形成されている。挿入領域R1には、複数のキャビティ10Eが形成されている(
図2参照。)。各キャビティ10Eは、前後方向に延びており、左右方向に複数が整列し、下向きに窪み形成されている(
図2参照。)。各キャビティ10Eには、後述する端子金具11が一つずつ配置して固定される。各キャビティ10Eに配置された端子金具11は、互いに並列状態で配置される。つまり、ハウジング10には、複数の端子金具11が設けられている。また、挿入領域R1の後端部には、左右方向に延びて、上向きに突出する移動規制部10Fが設けられている(
図2参照。)。また、挿入領域R1の前端部の左右方向両端部には、上向きに突出する一対の爪部10Gが設けられている。爪部10Gの上面は、前端よりも後端が上に位置するように傾斜している(
図2参照。)。
【0017】
端子金具11は、導電性を有する帯状の金属板を曲げ加工などして一体に成形されている。端子金具11は、
図2に示すように、全体としてU字状をなしている。端子金具11は、固定部11Aと、基部11Bと、支点部11Cと、弾性接触部11Dと、アンカー部11Eと、を有している。固定部11Aは、基板Sに設けられた図示しないパターンに接触するようにされ、基板Sに沿って配置されており、基板Sに対し、半田によって固定されている。基部11Bは、固定部11Aの後端に連続し、後向きに延びて形成されている。基部11Bは、キャビティ10Eの底面に接触するように配置され、キャビティ10Eから脱落しないようにされている。基部11Bの前後方向中央部には、上向きに突出する突起部11Fが設けられている。
【0018】
支点部11Cは、基部11Bの後端に連続しており、後向きに膨らむように湾曲し、上端部が前向きに延びて形成されている。支点部11Cは弾性変形可能である。弾性接触部11Dは、支点部11Cの上端に連続しており、前向きに延びて形成されている。つまり、支点部11Cは、弾性接触部11Dの長さ方向における一方の端部と、固定部11Aとを繋いでいる。弾性接触部11Dは、基部11Bよりも上方に位置しており、前端に向かうにつれて基部11Bに近づくように傾斜している。弾性接触部11Dの前後方向中央部には、下向きに突出する突起部11Gが設けられている。突起部11Gは、突起部11Fの上方に配置されている。突起部11F,11Gは、互いに対向するように配置されている。
【0019】
基部11B、支点部11C、及び弾性接触部11Dで囲まれた領域K1(以下、単に領域K1ともいう)には、前方からフレキシブル基板30が挿入される。この領域K1は、挿入領域R1内に配置されている。弾性接触部11Dは、フレキシブル基板30の挿入領域R1に臨むように固定部11Aに支持されている。弾性接触部11Dの突起部11Gは、領域K1に挿入された後述するフレキシブル基板30の補強板30Bに対して弾性的に接触する。これによって、フレキシブル基板30は、下向きに押圧される(
図4参照。)。そして、フレキシブル基板30に形成されたパターンである電極30Cは、基部11Bの突起部11Fに対して弾性的に接触する(
図4参照。)。こうして、弾性接触部11Dは、フレキシブル基板30と端子金具11とを所定の接触圧で接続するための手段として機能する。アンカー部11Eは、弾性接触部11Dの前端に連続し、上向きに折り返され、弾性接触部11Dに沿うように後向きに延びた形態とされている。
【0020】
ペグ12は金属製である。ペグ12は、
図1に示すように、金属板をL字状に屈曲させて形成されている。ペグ12は、ハウジング10の左右両側面に沿って1つずつ取り付けられている。各ペグ12の下端部は、ハウジング10から互いに左右方向に離れる向きに屈曲しており、基板Sの表面に形成された図示しないパターンに接触し、半田によって固定されている。ハウジング10は、ペグ12を介して基板Sの表面に取り付けた状態にされている。これらペグ12は、ハウジング10の左右方向中央を介して線対称な形状になっている。
【0021】
操作部材13は、合成樹脂等の絶縁材料からなる連結部13Aと、金属製の押圧操作部13Bと、を有している。連結部13Aは、ほぼ直方体状をなしており、各弾性接触部11Dの上面に沿うように、各弾性接触部11Dを繋ぐように配置されている(
図2参照。)。連結部13Aには、各弾性接触部11Dに設けられたアンカー部11Eが埋設されている(
図2参照。)。つまり、連結部13Aは、アンカー部11Eを介して複数の弾性接触部11Dに連結されて一体的に取り付けられている。
【0022】
押圧操作部13Bは、ステンレスなどの金属板を曲げ加工などして一体に成形されている。押圧操作部13Bは、全体として直方体状に形成されており、左右両端部に一対の係合部13Cが設けられている。各係合部13Cは、下向き垂下しており、下端部が左右方向中央に向けて互いに近づく向きに屈曲している。押圧操作部13Bは、一対の係合部13Cによって、連結部13Aの左右両端部を上側から抱え込むようにして、連結部13Aに対して取り付けられている。連結部13Aに取り付けられた押圧操作部13Bは、端子金具11の支点部11Cを挟んで連結部13Aとは反対側へ延出している(
図2参照。)。押圧操作部13Bの後側は、ハウジング10よりも後方に突出している。
【0023】
例えば、押圧操作部13Bの後端部に対して、基板Sに近づく向きに押圧する押圧操作を行うと、
図3に示すように、支点部11Cが弾性変形し、これに伴い押圧操作部13Bの後側は、基板Sに近づく向きに移動する。これに対して、押圧操作部13Bの前側(すなわち、支点部11Cよりも前に位置する押圧操作部13B)、連結部13A、及び弾性接触部11Dは、一体となって基板Sから離れる向きに移動する。つまり、押圧操作部13Bを押圧すると、操作部材13、及び弾性接触部11Dは、一体的となって支点部11Cを弾性変形させながら支点部11C周りに回転する。これによって、複数の弾性接触部11Dは、挿入領域R1から離れる向きに一斉に変位する。こうして、操作部材13は、弾性接触部11Dを挿入領域R1から退避した退避状態へ弾性的に変位させるのである。
【0024】
さらに、押圧操作部13Bの後端部に対して、基板Sに近づく向きに押圧する力をより大きくすると、押圧操作部13Bの後側は、基板Sに近づく向きに移動する。すると、押圧操作部13Bの後側は、移動規制部10Fの上端に接触する。移動規制部10Fは、押圧操作部13Bの後側と基板Sとの間に配置されている。このため、移動規制部10Fは、押圧操作部13Bが基板Sに接触することを防止するように、押圧操作部13Bの移動量を制限することができる。
【0025】
[フレキシブル基板の構成]
フレキシブル基板30には、FPCが採用されている。フレキシブル基板30は、柔軟性を有すると共に変形可能な構成であり、変形した場合にも電気的特性が維持される構成をなす。フレキシブル基板30のハウジング10に挿入する端部30Aは、上面に補強板30Bが貼り付けられ、下面に、前後方向に延びて互いに平行に配置された複数の電極30Cが露出して設けられている(
図2参照。)。端部30Aの前後方向中央部には、左右方向中央に向けて窪むように切りかかれて一対の切欠き部30Dが形成されている(
図1参照。)。
【0026】
[フレキシブル基板と端子金具との接続]
先ず、押圧操作部13Bの後端部に対して、基板Sに近づく向きに押圧する押圧操作を行う。すると、
図3に示すように、支点部11Cが弾性変形し、これに伴い押圧操作部13Bの後側は、基板Sに近づく向きに移動する。これと共に、押圧操作部13Bの前側(すなわち、支点部11Cよりも前に位置する押圧操作部13B)、連結部13A、及び弾性接触部11Dは、一体となって基板Sから離れる向きに移動する。これにより、複数の弾性接触部11Dの前側は、挿入領域R1から離れる向き(上向き)に一斉に変位する。
【0027】
次に、押圧操作部13Bへの押圧操作を維持しつつ、フレキシブル基板30の端部30Aをハウジング10前方から、挿入領域R1に挿入する。このとき、フレキシブル基板30の向きを、上側に補強板30Bが配置される向きにして、端部30Aを挿入領域R1に挿入する。そして、フレキシブル基板30の切欠き部30D内に爪部10Gが配置された状態になる(
図4参照。)。こうして、挿入領域R1へのフレキシブル基板30の挿入が完了する。
【0028】
次に、押圧操作部13Bへの押圧操作を終了する。すると、
図4に示すように、弾性接触部11Dの突起部11Gは、領域K1に挿入されたフレキシブル基板30の補強板30Bに対して弾性的に接触する。すると、フレキシブル基板30は、下向きに押圧される。そして、フレキシブル基板30の電極30Cは、基部11Bの突起部11Fに対して弾性的に接触する。こうして、フレキシブル基板30と端子金具11とは、所定の接触圧で接続される。
【0029】
次に、実施形態1の作用効果を説明する。
コネクタ1は、基板Sに固定される固定部11Aと、弾性接触部11Dと、を有する端子金具11を備えている。弾性接触部11Dには、弾性接触部11Dを挿入領域R1から退避した退避状態へ弾性的に変位させる操作部材13が取り付けられている。弾性接触部11Dは、フレキシブル基板30の挿入領域R1に臨むように固定部11Aに支持され、挿入領域R1内のフレキシブル基板30に対して弾性的に接触可能である。この構成によれば、操作部材13を操作して弾性接触部11Dを退避状態へ変位させることによって、フレキシブル基板30を挿入領域R1に容易に進入させることができる。操作部材13の操作を解除すると、弾性接触部11Dが弾性復帰することによって、弾性接触部11Dとフレキシブル基板30とが弾性接触状態で接続される。フレキシブル基板30を弾性的に押圧する弾性接触部11Dは、金属材料からなる端子金具11の要素であるため、高温、高湿の雰囲気であっても変形することがない。
【0030】
コネクタ1の端子金具11は、弾性接触部11Dの長さ方向における一方の端部と、固定部11Aとを繋ぐ弾性変形可能な支点部11Cを有している。操作部材13は、弾性接触部11Dに連結された連結部13Aと、支点部11Cを挟んで連結部13Aとは反対側へ延出した押圧操作部13Bと、を有している。押圧操作部13Bを押圧すると、弾性接触部11Dが、支点部11Cを弾性変形させながら挿入領域R1から離れる向きに変位する。この構成によれば、押圧する、という単純な操作によって弾性接触部11Dを退避状態へ変位させることができる。
【0031】
コネクタ1の連結部13Aは、絶縁材料からなり、複数の端子金具11が並列状態で配置されており、連結部13Aは、複数の弾性接触部11Dに連結されている。この構成によれば、複数の端子金具11の弾性接触部11D同士を、短絡させることなく、一つの操作部材13によるワンアクションの操作によって一斉に退避状態へ変位させることができる。
【0032】
コネクタ1の弾性接触部11Dには、連結部13A内に埋設されたアンカー部11Eが設けられている。この構成によれば、弾性接触部11Dが連結部13Aから脱落し難くすることができる。
【0033】
コネクタ1の押圧操作部13Bは、押圧操作されることによって基板Sに近づく向きに移動するようになっており、押圧操作部13Bと、基板Sとの間に、押圧操作部13Bの移動量を制限する移動規制部10Fを備えている。この構成によれば、移動規制部10Fによって押圧操作部13Bが過度に基板Sに近づくことを規制することにより、支点部11Cが塑性変形してしまうことを抑制することができる。
【0034】
コネクタ1の弾性接触部11Dには、フレキシブル基板30に接触する突起部11Gが設けられている。この構成によれば、弾性接触部11Dとフレキシブル基板30との接触を、突起部11Gを介した接触とすることができるので、弾性接触部11Dとフレキシブル基板30との接触位置を明確にすることができる。
【0035】
[実施形態2]
次に、実施形態2に係るコネクタ2について、
図5から7を参照しつつ説明する。実施形態2のコネクタ2は、端子金具21が、U字状に形成されていない点等が実施形態1と異なる。実施形態1と同じ構成については同一の符号を付し、実施形態1と同じ作用及び効果については説明を省略する。
【0036】
[コネクタの構成]
ハウジング20は合成樹脂製である。ハウジング20の左右方向中央部は、
図5に示すように、左右方向両端部より窪んで形成され、フレキシブル基板30を挿入する挿入領域R2が形成されている。ハウジング20の後端部に左右方向に延びて設けられた移動規制部20Fには、複数のキャビティ20Eが形成されている。各キャビティ20Eは、移動規制部20Fに前後方向に貫通した貫通孔として形成されている。各キャビティ20Eには、端子金具21の基部21Bが一つずつ配置して固定される。各キャビティ20Eに基部21Bが配置された端子金具21は、互いに並列状態で配置される。挿入領域R2の前端部の左右方向両端部には、上向きに突出する一対の爪部20Gが設けられている。
【0037】
端子金具21は、固定部21Aと、基部21Bと、支点部21Cと、弾性接触部21Dと、アンカー部21Eと、を有している。固定部21Aは、基板Sに設けられた図示しないパターンに接触するようにされ、基板Sに沿って配置されており、基板Sに対し、半田によって固定されている。基部21Bは、固定部21Aの前端に連続し、前向きに延びて形成されている。基部21Bは、キャビティ10Eに挿通され、キャビティ20Eから脱落しないようにされている。
【0038】
支点部21Cは、基部21Bの前端に連続しており、上向きに延びて形成されている。支点部21Cは、弾性変形可能である。弾性接触部21Dは、支点部21Cの上端に連続しており、前向きに延びて形成されている。つまり、支点部21Cは、弾性接触部21Dの長さ方向における一方の端部と、固定部21Aとを繋いでいる。弾性接触部21Dは、基部21Bよりも上方に位置しており、前端に向かうにつれて下向きに傾斜している。弾性接触部21Dの前後方向中央部には、下向きに突出する突起部21Gが設けられている。
【0039】
ハウジング20の挿入領域R2の底面、支点部21C、及び弾性接触部21Dで囲まれた領域K2(以下、単に領域K2ともいう)には、前方からフレキシブル基板30が挿入される。この領域K2は、挿入領域R2内に配置されている。弾性接触部21Dは、フレキシブル基板30の挿入領域R2に臨むように固定部21Aに支持されている。弾性接触部21Dの突起部21Gは、領域K2に挿入されたフレキシブル基板30の電極30Cに対して弾性的に接触する(
図7参照。)。これによって、フレキシブル基板30は、下向きに押圧され、電極30Cが、突起部21Gに対して弾性的に接触する。アンカー部21Eは、弾性接触部21Dの前端に連続し、上向きに折り返され、弾性接触部21Dに沿うように後向きに延びた形態とされている。
【0040】
[フレキシブル基板と端子金具との接続]
先ず、押圧操作部13Bの後端部に対して、基板Sに近づく向きに押圧する押圧操作を行う。すると、
図6に示すように、支点部21Cが弾性変形し、これに伴い押圧操作部13Bの後側は、基板Sに近づく向きに移動する。これと共に、押圧操作部13Bの前側(すなわち、支点部21Cよりも前に位置する押圧操作部13B)、連結部13A、及び弾性接触部21Dは、一体となって基板Sから離れる向きに移動する。これにより、複数の弾性接触部21Dの前側は、挿入領域R2から離れる向き(上向き)に一斉に変位する。
【0041】
次に、押圧操作部13Bへの押圧操作を維持しつつ、フレキシブル基板30の端部30Aをハウジング20前方から、挿入領域R2に挿入する。このとき、フレキシブル基板30を、上側に電極30Cが配置される向きにして、端部30Aを挿入領域R2に挿入する。そして、フレキシブル基板30の切欠き部30D内に爪部20Gが配置された状態になる。こうして、挿入領域R2へのフレキシブル基板30の挿入が完了する。
【0042】
次に、押圧操作部13Bへの押圧操作を終了する。すると、弾性接触部21Dの突起部21Gは、
図7に示すように、領域K2に挿入されたフレキシブル基板30の電極30Cに対して弾性的に接触する。こうして、フレキシブル基板30と端子金具21とは、所定の接触圧で接続される。
【0043】
[他の実施形態]
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記のような実施形態も含まれることが意図される。
(1)実施形態1と異なり、アンカー部をつぶして変形させた形態としてもよい。
(2)実施形態1と異なり、連結部と押圧操作部とを一体的に形成してもよい。
(3)実施形態1において、押圧操作部を連結部から着脱自在とする構成であってもよい。この場合、押圧操作部を、フレキシブル基板を端子金具に接続する際の冶具として用いることができる。
(4)実施形態1と異なり、移動規制部を操作部材に設けてもよい。
(5)実施形態1において、フレキシブル基板の電極を上側に配置して、弾性接触部の突起部と接触させてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1,2…コネクタ
10,20…ハウジング
10E,20E…キャビティ
10F,20F…移動規制部
10G,20G…爪部
11,21…端子金具
11A,21A…固定部
11B,21B…基部
11C,21C…支点部
11D,21D…弾性接触部
11E,21E…アンカー部
11F,11G,21G…突起部
12…ペグ
13…操作部材
13A…連結部
13B…押圧操作部
13C…係合部
30…フレキシブル基板
30A…端部
30B…補強板
30C…電極
30D…切欠き部
R1,R2…挿入領域
K1,K2…領域
S…基板