(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185270
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/87 20110101AFI20221207BHJP
H01R 13/629 20060101ALI20221207BHJP
H01R 12/79 20110101ALI20221207BHJP
【FI】
H01R12/87
H01R13/629
H01R12/79
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092824
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 毅晟
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA16
5E021FB02
5E021FC07
5E021FC31
5E021HA05
5E021HB11
5E223AB20
5E223AB35
5E223AC23
5E223BA08
5E223BB01
5E223BB12
5E223CA15
5E223CB22
5E223CB31
5E223CD02
5E223DA05
5E223DB04
5E223DB09
5E223DB11
5E223DB23
5E223DB25
5E223DB36
5E223EA02
5E223EA14
5E223EA33
5E223EA36
5E223EC18
5E223EC22
5E223EC63
(57)【要約】
【課題】フレキシブル基板を良好に挿入することができるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は、フレキシブル基板30を収容する収容空間R1を有するハウジング10と、収容空間R1に臨むようにハウジング10に取り付けられた端子金具11と、を備え、端子金具11は、基板Sに固定される固定部11Aと、固定部11Aに支持され、フレキシブル基板30に対して弾性的に接触可能な弾性接触部11Dと、を有し、弾性接触部11Dには、連結部材13が収容空間R1に臨むように取り付けられ、フレキシブル基板30には、フレキシブル基板30と共に収容空間R1に進入する干渉部材14が取り付けられ、干渉部材14は、収容空間R1への進入過程で連結部材13と干渉することによって、弾性接触部11Dを収容空間R1から遠ざける方向へ一時的に変位させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基板を収容する収容空間を有するハウジングと、
前記収容空間に臨むように前記ハウジングに取り付けられた端子金具と、
を備え、
前記端子金具は、
基板に固定される固定部と、
前記固定部に支持され、前記フレキシブル基板に対して弾性的に接触可能な弾性接触部と、を有し、
前記弾性接触部には、連結部材が前記収容空間に臨むように取り付けられ、
前記フレキシブル基板には、前記フレキシブル基板と共に前記収容空間に進入する干渉部材が取り付けられ、
前記干渉部材は、前記収容空間への進入過程で前記連結部材と干渉することによって、前記弾性接触部を前記収容空間から遠ざける方向へ一時的に変位させるコネクタ。
【請求項2】
前記干渉部材には、前記フレキシブル基板に形成された係止部が係止する被係止部が設けられている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記干渉部材には、前記連結部材に接触して、前記連結部材を前記収容空間から遠ざける方向に押圧する押圧部が設けられており、
前記押圧部における前記連結部材との対向面は、前記連結部材に向かって膨らむように弧状に形成されている請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記連結部材には、前記押圧部に接触して、前記押圧部から押圧される被押圧部が設けられており、
前記被押圧部における前記押圧部との対向面は、前記押圧部に向かって膨らむように弧状に形成されている請求項3に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル基板を接続するコネクタにおいて、FPC(Flexible printed circuits)と接続する端子金具として、二股に分かれた形状をなすものが知られている。このようなコネクタの端子金具とフレキシブル基板とを接続する構造として、フレキシブル基板を端子金具の二股に分かれた部分の間に圧入する構造等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アクチュエータを用いずに、フレキシブル基板を端子金具の二股に分かれた部分に圧入する構造の場合、フレキシブル基板と端子金具の二股に分かれた部分とが擦れながらフレキシブル基板を挿入することになる。このため、フレキシブル基板を挿入する挿入力が大きくなりがちになり、さらに、フレキシブル基板や端子金具が摩耗する懸念もある。
【0005】
そこで、本開示ではフレキシブル基板を良好に挿入することができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、
フレキシブル基板を収容する収容空間を有するハウジングと、
前記収容空間に臨むように前記ハウジングに取り付けられた端子金具と、
を備え、
前記端子金具は、
基板に固定される固定部と、
前記固定部に支持され、前記フレキシブル基板に対して弾性的に接触可能な弾性接触部と、を有し、
前記弾性接触部には、連結部材が前記収容空間に臨むように取り付けられ、
前記フレキシブル基板には、前記フレキシブル基板と共に前記収容空間に進入する干渉部材が取り付けられ、
前記干渉部材は、前記収容空間への進入過程で前記連結部材と干渉することによって、前記弾性接触部を前記収容空間から遠ざける方向へ一時的に変位させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、フレキシブル基板を良好に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1のコネクタを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1における、矢視A-A断面に相当し、フレキシブル基板に干渉部材を取り付けた状態である。
【
図4】
図4は、
図1における、矢視A-A断面に相当し、干渉部材の押圧部が連結部材の被押圧部に接触した状態である。
【
図5】
図5は、
図1における、矢視A-A断面に相当し、干渉部材の押圧部が連結部材の被押圧部を押し上げた状態である。
【
図6】
図6は、
図1における、矢視A-A断面に相当し、収納空間へのフレキシブル基板及び干渉部材の挿入が完了した状態である。
【
図7】
図7は、実施形態2のコネクタの側断面図であって、干渉部材の押圧部が連結部材の被押圧部に接触した状態である。
【
図8】
図8は、実施形態2のコネクタの側断面図であって、干渉部材の押圧部が連結部材の被押圧部を押し上げた状態である。
【
図9】
図9は、実施形態2のコネクタの側断面図であって、収納空間へのフレキシブル基板及び干渉部材の挿入が完了した状態である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)フレキシブル基板を収容する収容空間を有するハウジングと、収容空間に臨むようにハウジングに取り付けられた端子金具と、を備えている。端子金具は、基板に固定される固定部と、固定部に支持され、フレキシブル基板に対して弾性的に接触可能な弾性接触部と、を有している。弾性接触部には、連結部材が収容空間に臨むように取り付けられ、フレキシブル基板には、フレキシブル基板と共に収容空間に進入する干渉部材が取り付けられている。干渉部材は、収容空間への進入過程で連結部材と干渉することによって、弾性接触部を収容空間から遠ざける方向へ一時的に変位させる。本開示の構成によれば、フレキシブル基板と干渉部材が収容空間に進入する過程では、弾性接触部が一時的に収容空間から遠ざかるので、フレキシブル基板の取り付け時の抵抗が低減する。さらに干渉部材とフレキシブル基板の進入を進めると、弾性接触部の弾性復元力によって、弾性接触部が収容空間に近づいてフレキシブル基板に弾性接触する。これにより、フレキシブル基板や端子金具が摩耗することを抑制することができる。
【0010】
(2)本開示のコネクタの干渉部材には、フレキシブル基板に形成された係止部が係止する被係止部が設けられていることが好ましい。この構成によれば、フレキシブル基板から干渉部材が脱落することを抑えることができる。
【0011】
(3)本開示のコネクタの干渉部材には、連結部材に接触して、連結部材を収容空間から遠ざける方向に押圧する押圧部が設けられており、押圧部における連結部材との対向面は、連結部材に向かって膨らむように弧状に形成されていることが好ましい。この構成によれば、押圧部が弧状に形成されているので、干渉部材を収容空間に進入させる際に、押圧部が連結部材に接触しつつ、滑らかに移動させ易い。
【0012】
(4)本開示のコネクタの連結部材には、押圧部に接触して、押圧部から押圧される被押圧部が設けられており、被押圧部における押圧部との対向面は、押圧部に向かって膨らむように弧状に形成されていることが好ましい。この構成によれば、被押圧部と、押圧部とが共に弧状に形成されているので、干渉部材を収容空間に進入させる際に、押圧部が連結部材に接触しつつ、滑らかに移動させ易い。さらに、干渉部材を収容空間から離脱させ易い。
【0013】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施形態1]
以下、本開示の実施形態1に係るコネクタ1を、
図1から6を参照しつつ説明する。実施形態1に係るコネクタ1は、ハウジング10、複数の端子金具11、ペグ12、連結部材13、及び干渉部材14を備えている。コネクタ1は、基板Sの表面に実装された状態で、フレキシブル基板30と端子金具11とを電気的に接続するものである。なお、以下の説明中、前後方向については、ハウジング10にフレキシブル基板30を挿入する側(
図3における下側)を前側とし、上下方向については、
図3における左方、右方を、上方、下方と定義する。左右方向については、
図3における手前側、奥側を、左方、右方と定義する。
【0014】
[コネクタの構成]
ハウジング10は、合成樹脂製であって、ほぼ直方体状をなしている。ハウジング10の左右方向中央部は、
図1に示すように、上側が開放されており、左右方向両端部より窪んで形成され、フレキシブル基板30を収容する収容空間R1が形成されている。ハウジング10の後端部には、立ち上がるように後壁10Fが設けられている(
図3参照。)。収容空間R1には、複数のキャビティ10Eが形成されている(
図3参照。)。各キャビティ10Eは、前後方向に延びており、左右方向に複数が整列し、下向きに窪み形成されている(
図3参照。)。各キャビティ10Eには、後述する端子金具11が一つずつ配置して固定される。各キャビティ10Eに配置された端子金具11は、互いに並列状態で配置される。つまり、ハウジング10には、複数の端子金具11が取り付けられている。
【0015】
端子金具11は、導電性を有する帯状の金属板を曲げ加工などして一体に成形されている。端子金具11は、
図3に示すように、全体としてU字状をなしている。端子金具11は、固定部11Aと、基部11Bと、支点部11Cと、弾性接触部11Dと、アンカー部11Eと、を有している。固定部11Aは、基板Sに設けられた図示しないパターンに接触するようにされ、基板Sに沿って配置されており、基板Sに対し、半田によって固定されている。基部11Bは、固定部11Aの後端に連続し、後向きに延びて形成されている。基部11Bは、キャビティ10Eの底面に接触するように配置され、キャビティ10Eから脱落しないようにされている。基部11Bの前後方向中央部には、上向きに突出する突起部11Fが設けられている。
【0016】
支点部11Cは、基部11Bの後端に連続しており、後向きに膨らむように湾曲し、上端部が前向きに延びて形成されている。支点部11Cは弾性変形可能である。弾性接触部11Dは、支点部11Cの上端に連続しており、前向きに延びて形成されている。つまり、支点部11Cは、弾性接触部11Dの長さ方向における一方の端部と、固定部11Aとを繋いでいる。弾性接触部11Dは、基部11Bよりも上方に位置しており、前端に向かうにつれて基部11Bに近づくように傾斜している。弾性接触部11Dの前後方向中央部には、下向きに突出する突起部11Gが設けられている。突起部11Gは、突起部11Fの上方に配置されている。突起部11F,11Gは、互いに対向するように配置されている。
【0017】
基部11B、支点部11C、及び弾性接触部11Dで囲まれた領域K1(以下、単に領域K1ともいう)には、前方からフレキシブル基板30が挿入される。この領域K1は、収容空間R1内に配置されている。つまり、弾性接触部11Dは、フレキシブル基板30の収容空間R1に臨むように固定部11Aに支持されている。弾性接触部11Dの突起部11Gは、領域K1に挿入された後述するフレキシブル基板30の補強板30Bに対して弾性的に接触する。これによって、フレキシブル基板30は、下向きに押圧される(
図6参照。)。そして、フレキシブル基板30に形成されたパターンである電極30Cは、基部11Bの突起部11Fに対して弾性的に接触する(
図6参照。)。こうして、弾性接触部11Dは、フレキシブル基板30と端子金具11とを所定の接触圧で接続するための手段として機能する。アンカー部11Eは、弾性接触部11Dの前端に連続し、上向きに折り返され、弾性接触部11Dに沿うように後向きに延びた形態とされている。
【0018】
ペグ12は金属製である。ペグ12は、
図1に示すように、金属板をL字状に屈曲させて形成されている。ペグ12は、ハウジング10の左右両側面に沿って1つずつ取り付けられている。各ペグ12の下端部は、ハウジング10から互いに左右方向に離れる向きに屈曲しており、基板Sの表面に形成された図示しないパターンに接触し、半田によって固定されている。ハウジング10は、ペグ12を介して基板Sの表面に取り付けた状態にされている。これらペグ12は、ハウジング10の左右方向中央を介して線対称な形状になっている。
【0019】
連結部材13は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成されている。連結部材13は、ほぼ直方体状をなしており、各弾性接触部11Dの上面に沿うように、各弾性接触部11Dを繋ぐように配置されている。連結部材13には、
図3に示すように、各弾性接触部11Dに設けられたアンカー部11Eが埋設されている。つまり、連結部材13は、各弾性接触部11Dの上面に沿うように収容空間R1に臨むように配置され、アンカー部11Eを介して複数の弾性接触部11Dに連結されて取り付けられている。
【0020】
連結部材13には、
図2に示すように、一対の被押圧部13Aが設けられている。各被押圧部13Aは、連結部材13の左右方向両端部に一つずつ設けられている。各被押圧部13Aにおける下側の面は、前後方向の中央部が最も下向きに膨らむように弧状に形成されている。また、連結部材13の上側には、左右方向に延びて上向きに突出した複数のリブ13Bが設けられている。
【0021】
干渉部材14は、後述するフレキシブル基板30に取り付けられる。干渉部材14は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成されている。干渉部材14は、
図1に示すように、筒状をなす筒部14A、筒部14Aに設けられた一対の被係止部14B、及び筒部14Aから後向きに突出する一対の突出部14Cを有している。筒部14Aは、前端及び後端が解放された筒状をなしている。
【0022】
一対の被係止部14Bは、筒部14A内の左右方向両端部に一つずつ設けられている。各被係止部14Bは、筒部14Aの底壁に設けられ、上壁に向けて突出するように形成されている。被係止部14Bの上面は、前端よりも後端が上に位置するように傾斜している。
【0023】
一対の突出部14Cは、筒部14Aの左右方向両端部に一つずつ設けられている。一対の突出部14Cは、筒部14Aの底壁、左右壁及び上壁に連続して後向きに延びる形態とされており、後端が閉鎖されている。一対の突出部14Cの各々の先端部の上壁には、押圧部14Dが設けられている。各押圧部14Dにおける上側の面は、前後方向の中央部が最も上向きに膨らむように弧状に形成されている(
図3参照。)。
【0024】
[フレキシブル基板の構成]
フレキシブル基板30には、FPCが採用されている。フレキシブル基板30は、柔軟性を有すると共に変形可能な構成であり、変形した場合にも電気的特性が維持される構成をなす。フレキシブル基板30のハウジング10に挿入する端部30Aは、上面に補強板30Bが貼り付けられ、下面に、前後方向に延びて互いに平行に配置された複数の電極30Cが露出して設けられている(
図3参照。)。端部30Aの前後方向中央部には、左右方向中央に向けて窪むように切りかかれた係止部である一対の切欠き部30Dが形成されている(
図1参照。)。
【0025】
[フレキシブル基板と端子金具との接続]
先ず、フレキシブル基板30に干渉部材14を取り付ける。具体的には、フレキシブル基板30の補強板30B側の面を、干渉部材14の押圧部14Dが設けられた上壁に沿わせる向きにする(
図1参照。)。そして、フレキシブル基板30を筒部14Aの前方から筒部14Aに挿入する。そして、フレキシブル基板30の切欠き部30D内に被係止部14Bが配置された状態にする(
図3参照。)。こうして、フレキシブル基板30に形成された切欠き部30Dが被係止部14Bに係止する。これによって、フレキシブル基板30から干渉部材14が脱落することが防止される。こうして、フレキシブル基板30への干渉部材14の取り付けが終了する。干渉部材14に取り付けられたフレキシブル基板30は、干渉部材14に対して、上下方向、左右方向、及び前後方向への移動が規制されて一体となっている。
【0026】
次に、干渉部材14が取り付けられたフレキシブル基板30の端部30Aをハウジング10の前方から、収容空間R1に挿入する。つまり、干渉部材14は、フレキシブル基板30と一体となって、収容空間R1に進入する。このとき、
図3に示すように、フレキシブル基板30の向きを、上側に補強板30Bが配置される向きにして、端部30Aを収容空間R1に挿入する。このとき、干渉部材14の各押圧部14Dの前後方向両端部は、連結部材13の各被押圧部13Aよりも下側に位置し、各押圧部14Dは、上向きに膨らむ向きになる。すなわち、押圧部14Dにおける連結部材13との対向面は、連結部材13に向かって膨らむように弧状に形成されている。そして、各被押圧部13Aにおける押圧部14Dとの対向面は、押圧部14Dに向かって膨らむように弧状に形成されている。
【0027】
図4に示すように、干渉部材14の各押圧部14Dの後端部が連結部材13の各被押圧部13Aの前端部に接触する。このとき、端子金具11とフレキシブル基板30とは接触していない。つまり、干渉部材14は、端子金具11とフレキシブル基板30とが接触するよりも先に、連結部材13に接触する。さらに、収容空間R1へのフレキシブル基板30の挿入を進めると、被押圧部13Aは、押圧部14Dから上向きに押圧される。これと共に、支点部11Cが弾性変形し、連結部材13及び弾性接触部11Dは、
図5に示すように、一体的に基板Sから離れる向きに移動する。これにより、弾性接触部11Dは、収容空間R1から離れる向き(上向き)に変位する。こうして、各押圧部14Dは、連結部材13の各被押圧部13Aに接触して、連結部材13を収容空間R1から遠ざける方向に押圧するのである。
【0028】
そして、フレキシブル基板30及び干渉部材14の収容空間R1への挿入をさらに進めると、被押圧部13Aは、押圧部14Dに沿うように下向きに移動する。そして、
図6に示すように、干渉部材14の一対の突出部14Cが、ハウジング10の後壁10Fに接触する。すると、弾性変形した支点部11Cが復元し、連結部材13は、弾性接触部11Dと共に基板Sに近づく向き(下向き)に変位する。このとき、弾性接触部11Dの突起部11Gは、領域K1に挿入されたフレキシブル基板30の補強板30Bに対して弾性的に接触する。すると、フレキシブル基板30は、下向きに押圧される。そして、フレキシブル基板30の電極30Cは、基部11Bの突起部11Fに対して弾性的に接触する。
【0029】
こうして、フレキシブル基板30と端子金具11とは、所定の接触圧で接続される。こうして、干渉部材14は、収容空間R1への進入過程で連結部材13と干渉することによって、弾性接触部11Dを収容空間R1から遠ざける方向へ一時的に変位させるのである。また、このとき、押圧部14Dの前側に被押圧部13Aが位置している。つまり、押圧部14Dが前向きに移動することが被押圧部13Aによって妨げられている。よって、フレキシブル基板30を前向きに引っ張らない限り、収容空間R1からフレキシブル基板30が抜け落ちることがない。
【0030】
収容空間R1からフレキシブル基板30及び干渉部材14を離脱させる場合には、フレキシブル基板30を前向きに引く。すると、被押圧部13Aは、押圧部14Dから上向きに押圧される。これと共に、支点部11Cが弾性変形し、連結部材13及び弾性接触部11Dは、一体的に基板Sから離れる向きに移動する。そして、フレキシブル基板30をさらに前向きに引くと、被押圧部13Aは、押圧部14Dに沿うように下向きに移動する。そして、弾性変形した支点部11Cが復元し、連結部材13は、弾性接触部11Dと共に基板Sに近づく向き(下向き)に変位する。こうして、フレキシブル基板30及び干渉部材14の収容空間R1からの離脱が完了する。
【0031】
次に、実施形態1の作用効果を説明する。
コネクタ1は、フレキシブル基板30を収容する収容空間R1を有するハウジング10と、収容空間R1に臨むようにハウジング10に取り付けられた端子金具11と、を備えている。端子金具11は、基板Sに固定される固定部11Aと、固定部11Aに支持され、フレキシブル基板30に対して弾性的に接触可能な弾性接触部11Dと、を有している。弾性接触部11Dには、連結部材13が収容空間R1に臨むように取り付けられている。フレキシブル基板30には、フレキシブル基板30と共に収容空間R1に進入する干渉部材14が取り付けられている。干渉部材14は、収容空間R1への進入過程で連結部材13と干渉することによって、弾性接触部11Dを収容空間R1から遠ざける方向へ一時的に変位させる。この構成によれば、フレキシブル基板30と干渉部材14が収容空間R1に進入する過程では、弾性接触部11Dが一時的に収容空間R1から遠ざかるので、フレキシブル基板30の取り付け時の抵抗が低減する。さらに干渉部材14とフレキシブル基板30の収容空間R1への進入を進めると、弾性接触部11Dの弾性復元力によって、弾性接触部11Dが収容空間R1に近づいてフレキシブル基板30に弾性接触する。これにより、フレキシブル基板30や端子金具11が摩耗することを抑制することができる。
【0032】
コネクタ1の干渉部材14には、フレキシブル基板30に形成された切欠き部30Dが係止する被係止部14Bが設けられている。この構成によれば、フレキシブル基板30から干渉部材14が脱落することを抑えることができる。
【0033】
コネクタ1の干渉部材14には、連結部材13に接触して、連結部材13を収容空間R1から遠ざける方向に押圧する押圧部14Dが設けられており、押圧部14Dにおける連結部材13との対向面は、連結部材13に向かって膨らむように弧状に形成されている。この構成によれば、押圧部14Dが弧状に形成されているので、干渉部材14を収容空間R1に進入させる際に、押圧部14Dが連結部材13に接触しつつ、滑らかに移動させ易い。
【0034】
コネクタ1の連結部材13には、押圧部14Dに接触して、押圧部14Dから押圧される被押圧部13Aが設けられており、被押圧部13Aにおける押圧部14Dとの対向面は、押圧部14Dに向かって膨らむように弧状に形成されている。この構成によれば、被押圧部13Aと押圧部14Dとが共に弧状に形成されているので、干渉部材14を収容空間R1に進入させる際に、押圧部14Dが連結部材13に接触しつつ、滑らかに移動させ易い。さらに、干渉部材14を収容空間R1から離脱させ易い。
【0035】
[実施形態2]
次に、実施形態2に係るコネクタ2について、
図7から9を参照しつつ説明する。実施形態2のコネクタ2は、端子金具21が、U字状に形成されていない点、フレキシブル基板30の電極30C側の面を、干渉部材14の押圧部14Dが設けられた上壁に沿わせる向きにする点等が実施形態1と異なる。実施形態1と同じ構成については同一の符号を付し、実施形態1と同じ作用及び効果については説明を省略する。
【0036】
[コネクタの構成]
ハウジング20は、合成樹脂製である。ハウジング20の左右方向中央部は、
図7に示すように、左右方向両端部より窪んで形成され、フレキシブル基板30を挿入する収容空間R2が形成されている。ハウジング20の後側には、複数のキャビティ20Eが形成されている。各キャビティ20Eは、例えば、ハウジング20の後壁20Fに前後方向に貫通した貫通孔として形成されている。各キャビティ20Eには、端子金具21の基部21Bが一つずつ配置して固定される。各キャビティ20Eに基部21Bが配置された端子金具21は、互いに並列状態で配置される。
【0037】
端子金具21は、固定部21Aと、基部21Bと、支点部21Cと、弾性接触部21Dと、アンカー部21Eと、を有している。固定部21Aは、基板Sに設けられた図示しないパターンに接触するようにされ、基板Sに沿って配置されており、基板Sに対し、半田によって固定されている。基部21Bは、固定部11Aの前端に連続し、前向きに延びて形成されている。基部21Bは、キャビティ10Eに挿通され、キャビティ20Eから脱落しないようにされている。
【0038】
支点部21Cは、基部21Bの前端に連続しており、上向きに延びて形成されている。支点部21Cは弾性変形可能である。弾性接触部21Dは、支点部21Cの上端に連続しており、前向きに延びて形成されている。弾性接触部21Dは、基部21Bよりも上方に位置しており、前端に向かうにつれて下向きに傾斜している。弾性接触部21Dの前後方向中央部には、下向きに突出する突起部21Gが設けられている。
【0039】
ハウジング20の収容空間R2の底面、支点部21C、及び弾性接触部21Dで囲まれた領域K2(以下、単に領域K2ともいう)には、前方からフレキシブル基板30が挿入される。この領域K2は、収容空間R2内に配置されている。弾性接触部21Dは、フレキシブル基板30の収容空間R2に臨むように固定部21Aに支持されている。弾性接触部21Dの突起部21Gは、領域K2に挿入されたフレキシブル基板30の電極30Cに対して弾性的に接触する。これによって、フレキシブル基板30は、下向きに押圧され、電極30Cが、突起部21Gに対して弾性的に接触する(
図9参照。)。アンカー部21Eは、弾性接触部21Dの前端に連続し、上向きに折り返され、弾性接触部21Dに沿うように後向きに延びた形態とされている。
【0040】
[フレキシブル基板と端子金具との接続]
先ず、フレキシブル基板30の電極30C側の面を、干渉部材14の押圧部14Dが設けられた上壁に沿わせる向きにする。そして、フレキシブル基板30を筒部14Aの前方から筒部14Aに挿入する。そして、フレキシブル基板30の切欠き部30D内に被係止部14Bを配置された状態にする(
図7参照。)。
【0041】
次に、干渉部材14が取り付けられたフレキシブル基板30の端部30Aをハウジング20前方から、収容空間R2に挿入する。このとき、フレキシブル基板30の向きを、上側に電極30Cが配置される向きにして、端部30Aを収容空間R2に挿入する。このとき、干渉部材14の各押圧部14Dの前後方向両端部は、連結部材13の各被押圧部13Aよりも下側に位置し、各押圧部14Dは、上向きに膨らむ向きになる。
【0042】
干渉部材14の各押圧部14Dの後端部を連結部材13の各被押圧部13Aの前端部に接触させる。さらに、収容空間R2へのフレキシブル基板30の挿入を進めると、
図8に示すように、被押圧部13Aは、押圧部14Dから上向きに押圧される。これと共に、支点部21Cが弾性変形し、連結部材13及び弾性接触部21Dは、一体的に基板Sから離れる向き(上向き)に移動する。このとき、端子金具21とフレキシブル基板30とは接触していない。つまり、干渉部材14は、端子金具21とフレキシブル基板30とが接触するよりも先に、連結部材13に接触する。
【0043】
そして、フレキシブル基板30及び干渉部材14の収容空間R2への挿入をさらに進める。すると、被押圧部13Aは、押圧部14Dに沿うように下向きに移動する。そして、
図9に示すように、干渉部材14の一対の突出部14Cが、ハウジング10の後壁20Fに接触する。これと共に、弾性変形した支点部21Cが復元し、連結部材13は、弾性接触部21Dと共に基板Sに近づく向き(下向き)に変位する。このとき、弾性接触部21Dの突起部21Gは、領域K2に挿入されたフレキシブル基板30の電極30Cに対して弾性的に接触する。
【0044】
[他の実施形態]
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記のような実施形態も含まれることが意図される。
(1)実施形態1と異なり、アンカー部をつぶして変形させた形態としてもよい。
(2)実施形態1と異なり、連結部や押圧操作部を、例えば頂部が丸められた山形としてもよい。
(3)実施形態1において、フレキシブル基板の電極を上側に配置して、弾性接触部の突起部と接触させてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1,2…コネクタ
10,20…ハウジング
10E,20E…キャビティ
10F,20F…後壁
11,21…端子金具
11A,21A…固定部
11B,21B…基部
11C,21C…支点部
11D,21D…弾性接触部
11E,21E…アンカー部
11F,11G,21G…突起部
12…ペグ
13…連結部材
13A…被押圧部
13B…リブ
14…干渉部材
14A…筒部
14B…被係止部
14C…突出部
14D…押圧部
30…フレキシブル基板
30A…端部
30B…補強板
30C…電極
30D…切欠き部(係止部)
R1,R2…収容空間
K1,K2…領域
S…基板