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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185297
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】尿素水タンク
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20221207BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
F01N3/08 B ZAB
E02F9/00 D
E02F9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092882
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】392023681
【氏名又は名称】株式会社サンエー
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136250
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 博臣
(74)【代理人】
【識別番号】100198719
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 良裕
(72)【発明者】
【氏名】二宮 伸吉
(72)【発明者】
【氏名】石橋 信広
(72)【発明者】
【氏名】竹本 正紀
(72)【発明者】
【氏名】柏原 剛
【テーマコード(参考)】
2D015
3G091
【Fターム(参考)】
2D015CA02
3G091AA05
3G091AB05
3G091BA07
3G091CA17
(57)【要約】
【課題】タンク本体の上面を貫通するように設けられたブリーザパイプの管内に尿素水が滞留するのを防止することが可能な尿素水タンクの提供。
【解決手段】作業機械に搭載される尿素水タンク1は、底面部21と側面部23と上面部25とを含むタンク本体2と、上面部25を貫通するように設けられるブリーザパイプ5とを備える。ブリーザパイプ5のうち一端側の第一開口端は、タンク本体2の外側に配置される。ブリーザパイプ5のうち他端側の第二開口端は、タンク本体2の内部空間のうち当該内部空間に貯留された尿素水の最大液位よりも上側に形成される空間に配置される。タンク本体2が水平状態にある場合において、ブリーザパイプ5のうち上面部25の上側に配置される上側パイプ部は、上面部25の側から斜め上方に延伸する上方傾斜部を含む一方、水平に延伸する水平領域を含まない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械に搭載される尿素水タンクであって、
底面部と側面部と上面部とを含むタンク本体と、
前記上面部を貫通するように設けられるブリーザパイプと、
を備え、
前記ブリーザパイプのうち一端側の第一開口端は、前記タンク本体の外側に配置され、
前記ブリーザパイプのうち他端側の第二開口端は、前記タンク本体の内部空間のうち前記内部空間に貯留された尿素水の最大液位よりも上側に形成される空間に配置され、
前記タンク本体が水平状態にある場合において、前記ブリーザパイプのうち前記上面部の上側に配置される上側パイプ部は、前記上面部の側から斜め上方に延伸する上方傾斜部を含むことを特徴とする尿素水タンク。
【請求項2】
前記上側パイプ部は、前記タンク本体が水平状態にある場合において、前記上面部から鉛直方向上側に延伸する鉛直部を更に含み、
前記上方傾斜部は、前記鉛直部の上端から屈曲して斜め上方に延伸するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の尿素水タンク。
【請求項3】
前記上方傾斜部の水平方向に対する傾斜角度は、前記作業機械の最大傾斜角度よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の尿素水タンク。
【請求項4】
前記上側パイプ部は、前記タンク本体が水平状態にある場合において、前記上方傾斜部の上端から屈曲して斜め下方に延伸する下方傾斜部を更に含むことを特徴とする請求項1から3のうち何れかに記載の尿素水タンク。
【請求項5】
前記ブリーザパイプは、前記上面部の略中央を貫通するように設けられていることを特徴とする請求項1から4のうち何れかに記載の尿素水タンク。
【請求項6】
前記ブリーザパイプのうち前記上面部の下側に配置される下側パイプ部は、前記タンク本体が水平状態にある場合において前記上面部から鉛直方向下側に延伸し、
前記第二開口端は、下方に向けて開口しており、
前記タンク本体が水平状態にある場合において、前記第二開口端と前記最大液位との間には遮蔽部材が配置されていることを特徴とする請求項1から5のうち何れかに記載の尿素水タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械に搭載される尿素水タンクに関し、より詳細には、ブリーザパイプが設けられた尿素水タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルや解体機等の作業機械の中には、尿素水を貯留した尿素水タンクが搭載された機種が存在する。例えば、特許文献1に記載の油圧ショベル(1)では、排ガス浄化用の尿素水を貯留する尿素タンク(30)がデッキ(41)に設けられている(特許文献1の図3)。
【0003】
また、上述した尿素水タンクには、内部の空気を外部へ逃がして圧抜きを行うためのブリーザパイプが設けられている。例えば、特許文献2では、尿素水タンク(40)の上面部(42)における蓋部(51)近傍にブリーザパイプ(60)が設けられている。
【0004】
より詳細には、特許文献2では、ブリーザパイプ(60)は、尿素水タンク(40)の上面部(42)を貫通して鉛直方向に延びる上側パイプ部(61)と、上側パイプ部(61)と一体的に形成され、先端部が尿素水タンク(40)の上面部(42)を貫通して気相部(A)内に斜め下方に延びる下側パイプ部(62)とで構成されている(特許文献2の図4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-007884号公報
【特許文献2】特許第5963270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献2では、下側パイプ部(62)を可能な限り長く構成することによって、尿素水タンク(40)外に尿素水が漏出するのを抑制している。
【0007】
しかしながら、ブリーザパイプ(60)による通気機能を維持するためには、下側パイプ部(62)の開口端(62a)を尿素水の最大液位(Hmax)から離間させる必要がある。
【0008】
そのため、下側パイプ部(62)を長く構成すると、尿素水の最大液位を下げる、あるいは、尿素水タンクの高さを高くするなどの対応が必要になる。ただ、尿素水の最大液位を下げれば、尿素水容量が減少し、尿素水の給水頻度が増加する。また、尿素水タンクの高さを高くすれば、尿素水タンクの製造コストが増加する。
【0009】
これに対して、下側パイプ部を短く構成することが考えられるが、その場合、尿素水タンク外に尿素水が漏出し、尿素水タンクの上面に尿素水が付着するという新たな問題が生じる。そこで、本願の発明者らは、タンク本体の上面部を貫通して鉛直方向に延伸する上側パイプ部を側方に向けて屈曲させ、ゴムホースを接続してタンク本体の側方に配索させる構成を想起した。かかる構成によれば、上側パイプ部に侵入した尿素水をタンク本体の側方に排出させることでタンク本体の上面に尿素水が付着せずに済む。
【0010】
しかしながら、上述した構成を採用した場合、上側パイプ部に侵入した尿素水が管内(特に、タンク本体の側方に向かう水平領域)に滞留する可能性がある。上側パイプ部の管内に尿素水が滞留すると、滞留した尿素水が結晶化して堆積することで管内が閉塞し、ブリーザパイプによる通気機能が阻害される。
【0011】
そこで、本発明は、タンク本体の上面を貫通するように設けられたブリーザパイプの管内に尿素水が滞留するのを防止することが可能な尿素水タンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、作業機械に搭載される尿素水タンクであって、底面部と側面部と上面部とを含むタンク本体と、前記上面部を貫通するように設けられるブリーザパイプと、を備え、前記ブリーザパイプのうち一端側の第一開口端は、前記タンク本体の外側に配置され、前記ブリーザパイプのうち他端側の第二開口端は、前記タンク本体の内部空間のうち前記内部空間に貯留された尿素水の最大液位よりも上側に形成される空間に配置され、前記タンク本体が水平状態にある場合において、前記ブリーザパイプのうち前記上面部の上側に配置される上側パイプ部は、前記上面部の側から斜め上方に延伸する上方傾斜部を含むことを特徴とする尿素水タンクを提供している。
【0013】
ここで、前記上側パイプ部は、前記タンク本体が水平状態にある場合において、前記上面部から鉛直方向上側に延伸する鉛直部を更に含み、前記上方傾斜部は、前記鉛直部の上端から屈曲して斜め上方に延伸するように設けられているのが好ましい。
【0014】
また、前記上方傾斜部の水平方向に対する傾斜角度は、前記作業機械の最大傾斜角度よりも大きいのが好ましい。
【0015】
また、前記上側パイプ部は、前記タンク本体が水平状態にある場合において、前記上方傾斜部の上端から屈曲して斜め下方に延伸する下方傾斜部を更に含むのが好ましい。
【0016】
また、前記ブリーザパイプは、前記上面部の略中央を貫通するように設けられているのが好ましい。
【0017】
更に、前記ブリーザパイプのうち前記上面部の下側に配置される下側パイプ部は、前記タンク本体が水平状態にある場合において前記上面部から鉛直方向下側に延伸し、前記第二開口端は、下方に向けて開口しており、前記タンク本体が水平状態にある場合において、前記第二開口端と前記最大液位との間には遮蔽部材が配置されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、タンク本体が水平状態にある場合において、ブリーザパイプの一部を構成する上側パイプ部が、タンク本体の上面部の側から斜め上方に延伸する上方傾斜部を含む。そのため、上側パイプ部に尿素水が侵入したとしても、尿素水が上側パイプ部に滞留しない。よって、ブリーザパイプの管内に尿素水が滞留するのを防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態による尿素水タンクを示す斜視図。
図2図1のII矢視図。
図3図2のAA位置で切った断面図(A)及びBB位置で切った断面図(B)。
図4】タンク本体の上面部に装着される蓋部を上から見た平面図。
図5図4のCC位置で切った断面図。
図6】ブリーザパイプの上側パイプ部の傾斜角度を示す図。
図7】変形例に係る遮蔽プレートを説明するための斜視図。
図8】ブリーザパイプ及び遮蔽プレートを示す断面図。
図9】変形例に係るブリーザパイプ(下方傾斜部の傾斜角度の別態様)を示す図。
図10】変形例に係るブリーザパイプ(下方傾斜部を含まない例)を示す図。
図11】変形例に係るブリーザパイプ(鉛直部を含まない例)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<1.実施形態>
本発明の実施形態による尿素水タンクについて、図1から図6に基づき説明する。以下では、油圧ショベル、解体機、クローラクレーンなどの作業機械に搭載される尿素水タンクの一例として、図1に示す尿素水タンク1を例示する。
【0021】
図1に示すように、尿素水タンク1は、タンク本体2と、タンク本体2の上面部25に着脱される蓋部3と、蓋部3を上下に貫通するように設けられたブリーザパイプ5と、ブリーザパイプ5の先端部に接続されるゴムホース6とを備えて構成される。
【0022】
なお、尿素水タンク1は、上記に加え、尿素水を給水する給水口、尿素水を温める加熱配管、尿素水を吸い込む尿素水吸込配管等も備えている。加熱配管や尿素水吸込配管は、蓋部3に対して組み付けられているため、タンク本体2に対して蓋部3と一体的に着脱される。
【0023】
図1に示すように、タンク本体2は、底面部21と側面部23と上面部25とを含み、中空箱状の部材として構成されている。
【0024】
図2に示すように、蓋部3は、平面視略円状の部材として構成され、上面部25に対してボルトで固定されている。蓋部3は、上面部25に装着された状態において上面部25の一部として機能する。
【0025】
図5に示すように、蓋部3には、ブリーザパイプ5が上下方向に貫通するように設けられている。なお、上述したように、蓋部3には、加熱配管や尿素水吸込配管等も上下方向に貫通するように設けられている(図3(A)及び(B)参照)。
【0026】
ブリーザパイプ5は、尿素水の給水時にタンク本体2の内部の空気を外部へ逃がして圧抜きを行うための通気管であり、本実施形態では金属製のチューブによって構成されている。なお、ブリーザパイプ5は、機械の稼働(排ガスへの尿素水の噴射)に伴ってタンク本体2に貯留された尿素水が徐々に消費されて尿素水の液面が下がった場合にタンク内圧力を大気圧に保つ機能も有している。
【0027】
具体的には、図5に示すように、ブリーザパイプ5は、上面部25の一部である蓋部3の上側(タンク本体2の外側)に配置される上側パイプ部5Aと、蓋部3の下側(タンク本体2の内部)に配置される下側パイプ部5Bとから構成されている。なお、上側パイプ部5A及び下側パイプ部5Bは、別々のチューブではなく、1本の連続するチューブで構成されている。
【0028】
上側パイプ部5Aは、鉛直部51と、上方傾斜部52と、下方傾斜部53とを備えて構成される。
【0029】
鉛直部51は、タンク本体2が水平状態にある場合に上面部25の一部を構成する蓋部3から鉛直方向上側に延伸する部分である。本実施形態において、タンク本体2が水平状態にある場合とは、尿素水タンク1を搭載した作業機械が傾斜していない状態を意味するものとする。
【0030】
上方傾斜部52は、タンク本体2が水平状態にある場合に鉛直部51の上端から屈曲して斜め上方に延伸する部分である。ここで、上方傾斜部52は、設置レイアウト上、許容される最大の高さまで延ばしている。
【0031】
また、上方傾斜部52の水平方向に対する傾斜角度は、尿素水タンク1が搭載される作業機械の最大傾斜角度よりも大きな値に設定される。本実施形態では、尿素水タンク1が搭載される作業機械の最大傾斜角度が35度である。そのため、図6に示すように、上方傾斜部52の水平方向に対する傾斜角度が最大傾斜角度35度よりも大きくなるように、上方傾斜部52は水平方向に対して45度ほど上側に傾斜している。
【0032】
下方傾斜部53は、タンク本体2が水平状態にある場合に上方傾斜部52の上端から屈曲して斜め下方に延伸する部分である。本実施形態では、図6に示すように、下方傾斜部53は、水平方向に対して約15度だけ下側に傾斜している。
【0033】
以上のように、上側パイプ部5Aを構成する鉛直部51、上方傾斜部52及び下方傾斜部53の3つの部位は、いずれも、タンク本体2が水平状態にある場合に水平にならないように構成されている。換言すれば、上側パイプ部5Aは、タンク本体2が水平状態にある場合に水平方向に延伸する水平領域(水平部)を含まないように構成されている。
【0034】
図1から図3に示すように、下方傾斜部53の先端には、ゴムホース6が接続され、タンク本体2の側面部23に配索されている。
【0035】
続いて、ブリーザパイプ5の一部を構成する下側パイプ部5B(図5参照)について説明する。下側パイプ部5Bは、タンク本体2の内部空間のうち当該内部空間に貯留される尿素水の最大液位よりも上側の空間に配置される。かかる空間は、尿素水の温度上昇や凍結に伴う膨張を吸収するための気相部として機能する。
【0036】
下側パイプ部5Bは、タンク本体2が水平状態にある場合に蓋部3を貫通して鉛直方向下側に向けて延伸している。下側パイプ部5Bの鉛直方向の長さは、鉛直部51の鉛直方向の長さよりも短い。つまり、本実施形態では、下側パイプ部5Bは、上側パイプ部5Aよりも非常に短く構成されている。
【0037】
図5に示すように、上側パイプ部5Aの開口端50A(ブリーザパイプ5の一端側の開口端)は、タンク本体2の外側に配置される。開口端50Aは、本発明に係る第一開口端の一例である。
【0038】
また、上述したように、上側パイプ部5Aの開口端50Aには、ゴムホース6が接続される。図3(A)及び(B)に示すように、ゴムホース6は、開口端50Aから側面部23に向けて下側に傾斜しながら延伸した後、側面部23に沿って鉛直方向下側に延伸している。なお、ゴムホース6の先端は、下方に向けて開口している。
【0039】
一方、下側パイプ部5Bの開口端50B(ブリーザパイプ5の他端側の開口端)は、タンク本体2の内部空間に形成される気相部、すなわち、タンク本体2の内部空間に貯留された尿素水の最大液位よりも上側の空間に配置される。開口端50Bは、本発明に係る第二開口端の一例である。開口端50Bは、下方に向けて開口し、タンク本体2に貯留された尿素水の液面に対して対向する。
【0040】
上述した実施形態によれば、図5に示すように、上側パイプ部5Aが鉛直部51と上方傾斜部52と下方傾斜部53とを含む一方、タンク本体2が水平状態にある場合に水平に延伸する水平領域を含まない。
【0041】
そのため、上側パイプ部5Aに尿素水が侵入し、上方傾斜部52まで到達しても、尿素水が上方傾斜部52に滞留せず、上方傾斜部52及び鉛直部51を介してタンク本体2に流れ落ちる。また、尿素水が上方傾斜部52を通過して下方傾斜部53まで到達しても、尿素水が下方傾斜部53に滞留せず、下方傾斜部53及びゴムホース6を介してタンク本体2の側方に流れ落ちる。
【0042】
よって、ブリーザパイプ5の管内に尿素水が滞留するのを防止することが可能である。換言すれば、ブリーザパイプ5の管内において尿素水が滞留して結晶化し、当該管内が閉塞するのを回避できる。その結果、ブリーザパイプ5の通気機能を確実に維持することが可能である。
【0043】
また、上述した実施形態によれば、鉛直部51の上端と、上方傾斜部52の上端との2箇所において上側パイプ部5Aが屈曲している。そのため、屈曲せず直線状に構成されるものや1箇所しか屈曲しないものに比べて、上側パイプ部5Aに侵入した尿素水の進行を阻害し、タンク本体2の外部に漏出する尿素水を削減することが可能である。
【0044】
また、上述した実施形態によれば、上方傾斜部52の水平方向に対する傾斜角度(45度)は、尿素水タンク1が搭載される作業機械の最大傾斜角度(35度)よりも大きな値になっている。そのため、作業機械が最も傾斜した場合であっても、上方傾斜部52の傾斜状態が維持され、水平状態にならない。その結果、作業機械の傾きに関係なく、上方傾斜部52に侵入した尿素水が滞留しない。
【0045】
また、上述した実施形態によれば、蓋部3がタンク本体2の上面部25の略中央に取り付けられる。また、ブリーザパイプ5が蓋部3を上下に貫通するように設けられる。つまり、ブリーザパイプ5が蓋部3を介して上面部25の略中央を貫通するように設けられている。この点、作業機械の揺動時、タンク本体2の中央付近は、タンク本体2の側面側に比べて尿素水の液面が上昇し難い。そのため、ブリーザパイプ5が蓋部3を介して上面部25の略中央を貫通するように設けられることにより、ブリーザパイプ5に侵入する尿素水を低減することが可能である。
【0046】
また、上述した実施形態によれば、図5に示すように、下側パイプ部5Bが鉛直部51よりも短く構成されているため、尿素水の最大液位を下げたり、尿素水タンクの高さを高くしたりせずに済む。
【0047】
<2.変形例>
本発明による尿素水タンクは上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0048】
例えば、上述した実施形態では、タンク本体2に貯留された尿素水の液面と開口端50Bとが対向するように配置される場合を例示したが、これに限定されない。タンク本体2が水平状態にある場合において開口端50Bと尿素水の最大液位との間に遮蔽プレート4(図7及び図8)が配置されるようにしてもよい。
【0049】
以下、図7及び図8を参照しながら、遮蔽プレート4が設けられる場合の変形例について説明する。
【0050】
図7に示すように、蓋部3の下側には、各種配管(加熱配管や尿素水吸込配管等)を固定する固定プレート31が設けられている。遮蔽プレート4は、固定プレート31に対して設けられ、固定プレート31から下側パイプ部5Bの開口端50Bの下側に向けて延在している。そして、図8に示すように、開口端50Bの下側には、遮蔽プレート4が開口端50Bに対して間隙を隔てて配置される。遮蔽プレート4は、本発明に係る遮蔽部材の一例である。
【0051】
かかる変形例によれば、開口端50Bと尿素水の液面との間に遮蔽プレート4が設けられるため、ブリーザパイプ5内へ尿素水が侵入し難くなる。
【0052】
また、上述した実施形態では、図6に示すように、下方傾斜部53が水平方向に対して約15度だけ下側に傾斜している場合を例示したが、これに限定されない。図9に示すように、下方傾斜部53が水平方向に対して45度ほど下側に傾斜するように構成してもよい。
【0053】
かかる変形例によれば、下方傾斜部53の水平方向に対する傾斜角度(45度)が、尿素水タンク1が搭載される作業機械の最大傾斜角度(35度)よりも大きくなる。そのため、下方傾斜部53は、作業機械が最も傾斜した状態であっても傾斜状態を維持する。つまり、下方傾斜部53は、常に傾斜状態を維持し、水平状態にならない。その結果、作業機械の傾きに関係なく、下方傾斜部53に尿素水を滞留させずに済む。
【0054】
また、作業機械が最も傾斜した状態であっても下方傾斜部53の開口端50Aが水平方向よりも下側を向くため、上述した実施形態にようにゴムホース6を接続することなく、尿素水滞留に伴う管内の閉塞やゴミの侵入を抑制することが可能である。
【0055】
また、上述した実施形態では、図5に示すように、上側パイプ部5Aが鉛直部51と上方傾斜部52と下方傾斜部53との3つの部位で構成される場合を例示したが、これに限定されない。
【0056】
図10に示すように、下方傾斜部53を無くし、上側パイプ部5Aが鉛直部51と上方傾斜部52との2つの部位で構成されるようにしてもよい。
【0057】
或いは、図11に示すように、鉛直部51を無くし、上側パイプ部5Aが上方傾斜部52と下方傾斜部53との2つの部位で構成されるようにしてもよい。また、図示を省略するが、下方傾斜部53を無くし、上側パイプ部5Aが上方傾斜部52のみで構成されるようにしてもよい。
【0058】
図10図11に示す上側パイプ部5Aを採用したとしても、上述した実施形態と同様に、ブリーザパイプ5の管内に尿素水が滞留するのを防止することが可能である。
【0059】
また、上述した実施形態では、上方傾斜部52が斜め上方に向けて直線上に延伸し、下方傾斜部53が斜め下方に向けて直線上に延伸する場合を例示したが、これに限定されない。上方傾斜部52及び下方傾斜部53のうち一方又は双方が円弧状(R状)に延伸するように構成してもよい。
【0060】
また、上述した実施形態では、ブリーザパイプ5が金属製のチューブで構成される場合を例示したが、これに限定されず、樹脂製ホースやゴムホースなどのホース類によって構成されるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上のように本発明に係る尿素水タンクは、例えば、油圧ショベルや解体機などの作業機械に搭載するのに適している。
【符号の説明】
【0062】
1 尿素水タンク
2 タンク本体
3 蓋部
4 遮蔽プレート
5 ブリーザパイプ
5A 上側パイプ部
5B 下側パイプ部
6 ゴムホース
21 底面部
23 側面部
25 上面部
31 固定プレート
50A 開口端
50B 開口端
51 鉛直部
52 上方傾斜部
53 下方傾斜部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11