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特開2022-185314吸水性樹脂組成物およびその製造方法ならびに吸収体の製造方法
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  • 特開-吸水性樹脂組成物およびその製造方法ならびに吸収体の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185314
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】吸水性樹脂組成物およびその製造方法ならびに吸収体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20221207BHJP
   C08J 3/24 20060101ALI20221207BHJP
   C08F 8/14 20060101ALI20221207BHJP
   C08F 20/06 20060101ALI20221207BHJP
   C08L 33/02 20060101ALI20221207BHJP
   C08L 3/02 20060101ALI20221207BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20221207BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20221207BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
C08J3/12 A CEY
C08J3/24
C08F8/14
C08F20/06
C08L33/02
C08L3/02
B01J20/26 D
B01J20/30
A61F13/53 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092914
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】松本 智嗣
(72)【発明者】
【氏名】津留 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】田島 峻一
(72)【発明者】
【氏名】藤野 眞一
【テーマコード(参考)】
3B200
4F070
4G066
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
3B200BA01
3B200BB17
3B200DB02
4F070AA03
4F070AA29
4F070AB13
4F070AC12
4F070AC23
4F070AC72
4F070AC87
4F070AD04
4F070AE08
4F070AE28
4F070DA48
4F070DB01
4F070DB06
4F070DB09
4F070DC06
4F070DC07
4F070DC15
4F070GA06
4F070GA08
4G066AC01B
4G066AC17B
4G066BA03
4G066DA13
4G066EA05
4G066FA07
4G066FA25
4G066FA34
4G066FA37
4J002AB042
4J002BG011
4J002GA02
4J002GD03
4J002GL00
4J100AJ02P
4J100CA01
4J100CA31
4J100DA62
4J100EA05
4J100FA05
4J100FA20
4J100HA11
4J100HA31
4J100HA53
4J100HB39
4J100HC39
4J100HD07
4J100JA60
4J100JA64
4J100JA67
(57)【要約】
【課題】サステナブル原料として多糖類を少なくとも一部に用いた、低コストで、生産性が高く、操作性の良い簡便な吸水性樹脂組成物の製造方法、および、接着成型性に優れ、着色が少ない吸水性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】アクリル酸(塩)を主成分として含む単量体を、炭化水素分散媒を含む油相中に懸濁させて重合を行う重合工程、および重合体を炭化水素分散媒から分離する分離工程を含み、デンプン粒子を添加する工程をさらに含む、吸水性樹脂組成物の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンプン粒子とポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子とを含む吸水性樹脂組成物の製造方法であって、
アクリル酸(塩)を主成分として含む単量体の水溶液を、炭化水素分散媒を含む油相中に懸濁させて重合を行う重合工程、および
前記重合工程にて得られた重合体を炭化水素分散媒から分離する分離工程を含み、
前記重合工程から前記分離工程までのいずれかの段階で炭化水素分散媒にデンプン粒子を添加する工程をさらに含む、吸水性樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
前記デンプン粒子は糊化されていない、請求項1に記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
前記デンプン粒子の体積平均粒子径が1~50μmである、請求項1または請求項2に記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
【請求項4】
前記デンプン粒子の使用量が、前記アクリル酸(塩)を主成分として含む単量体の使用量に対して3~100質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
前記アクリル酸(塩)を主成分として含む単量体の重合率が10モル%以上の時点で前記デンプン粒子を添加する、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
前記重合工程で得られた重合体を前記分離工程の前、途中、または後で乾燥する乾燥工程を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
前記重合工程の後に表面架橋工程を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
【請求項8】
前記表面架橋工程において、ポリグリシジル化合物を添加し、架橋する、請求項7に記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
【請求項9】
球状、または、その凝集体状であるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子を50~97質量%、および、デンプン粒子を3~50質量%含む吸水性樹脂組成物。
【請求項10】
前記デンプン粒子は糊化されていない、請求項9に記載の吸水性樹脂組成物。
【請求項11】
70℃相対湿度65%で60分間吸湿させたときの吸湿ブロッキング率が10質量%以下である、請求項9または請求項10に記載の吸水性樹脂組成物。
【請求項12】
黄色度が20以下である、請求項9~11のいずれか一項に記載の吸水性樹脂組成物。
【請求項13】
請求項9~12のいずれか一項に記載の吸水性樹脂組成物をシート状に散布し、水を添加して前記吸水性樹脂組成物を加熱し、デンプンを糊化させる、シート状吸収体の製造方法。
【請求項14】
前記水が100℃以上に加熱された水蒸気であり、水蒸気によって前記吸水性樹脂組成物を加熱する、請求項13に記載のシート状吸収体の製造方法。
【請求項15】
前記吸水性樹脂組成物を加熱しながら圧着してシート状に成型する、請求項13または請求項14に記載のシート状吸収体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性樹脂組成物およびその製造方法ならびに吸収体の製造方法に関し、特に多糖類を含む吸水性樹脂組成物およびその製造方法ならびに吸収体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸水性樹脂は、水膨潤性水不溶性の架橋重合体であり、紙おむつ、生理用ナプキン、成人向け失禁用製品(失禁パッド)、ペット用シート等の衛生用品、農園芸用の土壌保水剤、工業用の止水剤等、様々な吸水性物品において利用されている。
【0003】
また近年、地球環境への負荷低減、資源保護、カーボンニュートラル、SDGs(持続能な開発目標)等の観点に基づき、さらには生分解性を備えることが好ましいことから、一般に、石油等の枯渇性エネルギー資源に替えて、現生生物体構成物質である再生可能な動植物由来の有機性資源である、いわゆるサステナブル(持続可能な)原料を利用しようとする動きが活発化している。そして、吸水性樹脂の分野においても、サステナブル原料として天然物由来の多糖類を少なくとも一部に用いる研究が進められている。
【0004】
例えば、非特許文献1には、例えばアクリル酸ナトリウムとデンプンとをグラフト重合してなるデンプングラフトポリアクリル酸ナトリウムが吸水性樹脂として市販されていることが記載されている。特許文献1には、デンプングラフトポリアクリル酸ナトリウムからなる吸水性樹脂の製造方法が記載されている。非特許文献2には、市販のアクリル酸系の吸水性樹脂の原料として、任意にデンプンおよびポリビニルアルコール等のグラフト成分が使用されること、重合方法として水溶液重合および逆相懸濁重合が使用されること、ならびに吸水性樹脂の要求性能として、吸水倍率、加圧下吸水倍率、吸水速度、可溶分等が所定範囲内であること、および吸水性樹脂中の粒子径が150μm以下および100μm以下の微粉の割合が少ないことが記載されている。
【0005】
特許文献2~3には、吸水性樹脂の製造において、単量体に親水性高分子等を添加しうることが記載され、親水性高分子の一例としてデンプン、セルロース、それらの誘導体、水溶性ポリアクリル酸(塩)等が記載されている。
【0006】
また、特許文献4には、逆相懸濁重合を、β-1,3-グルカン類0.001~5質量%(対単量体)の共存下に行う高吸水性樹脂の製造方法が記載されている。
【0007】
さらに、特許文献5には、親水性単量体を溶液中で重合する親水性重合体の製造方法において、単量体溶液にデンプン等の親水性高分子を混合して分散させた後、単量体を重合する製造方法が記載されている。
【0008】
また、特許文献6には、吸水性樹脂の任意の製造工程にデンプン化合物を添加する吸水性樹脂組成物の製造方法が記載されている。
【0009】
また、特許文献7には、デンプンのグラフト重合体またはセルロースのグラフト重合体は耐熱性が低いため、これらの重合体の含水ゲルの乾燥方法として水溶液重合後に100~180℃で10分以内の薄膜乾燥を用いる吸水性樹脂の製造方法が記載されている。
【0010】
また、特許文献8~11には、逆相懸濁重合において吸水性樹脂の粒子径の制御を目的とし、ポリアクリル酸(塩)およびヒドロキシエチルセルロース等の増粘剤を単量体に添加する吸水性樹脂の製造方法が記載されている。
【0011】
さらに、特許文献12には、逆相懸濁重合において吸水性樹脂の粒子径の制御を目的とし、エチルセルロース等を分散剤として炭化水素分散媒に添加する技術、および、分散剤を析出させて重合で生成したゲルを凝集させる吸水性樹脂の製造方法が記載されている。
【0012】
紙おむつ等の吸水性物品に用いられる吸収体を製造する際、吸水性樹脂は必要によりパルプや接着剤と混合され、成型される。近年吸収体を薄型化するために吸収体中のパルプの使用割合が減少傾向であり、その結果、吸収体の成型に接着剤を用いることが多くなっている。特許文献13には、吸収体として吸水シート組成物が記載され、ここで接着剤としてホットメルト接着剤が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第4,076,663号公報
【特許文献2】特開2003-88551号公報
【特許文献3】特開2003-88554号公報
【特許文献4】特開平8-120014号公報
【特許文献5】特開2007-191708号公報
【特許文献6】特表2009-528412号公報
【特許文献7】特開昭54-53165号公報
【特許文献8】特開平02-191604号公報
【特許文献9】特開平02-196802号公報
【特許文献10】特開2006-68731号公報
【特許文献11】国際公開第2012/033025号
【特許文献12】特開平03-227301号公報
【特許文献13】国際公開第2010/004894号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】日本薬局方外医薬品成分規格(1989)1319~1320頁
【非特許文献2】Modern Superabsorbent Polymer Technology(1998)、69~117頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、前述のような従来技術は、低コストで、生産性が高く、且つ、操作性の良い簡便な方法で多糖類を含有する吸水性樹脂組成物を製造するという点、および着色が少ない吸水性樹脂組成物を得るという点で十分ではなかった。
【0016】
例えばアクリル酸ナトリウムとデンプンとのグラフト重合は、デンプンの水溶液が必要であり、そのためのデンプンの糊化(α化)工程が煩雑である。また、α化デンプン水溶液が高粘度であり、十分な糊化のためには比較的多量の水を必要とする。そのため、低濃度での重合が必要であることに起因して、乾燥コストがかかる上に低生産性であった。
【0017】
また、単量体を水溶液中で重合する吸水性樹脂の製造方法は、重合ゲルを粉砕して得られる含水ゲル粒子を乾燥するために多量の水を除去する必要があるため、高温が必要であり、高温によるデンプン由来の着色を抑制するのは困難であった。逆に、着色を抑制するために乾燥温度を低温にすると、乾燥時間が長くなり低生産性であった。また特許文献7に記載の薄膜乾燥では生産性が低かった。
【0018】
一方、逆相懸濁重合においては、単量体溶液にβ-1,3-グルカン類およびデンプン化合物等の多糖類を添加する吸水性樹脂の製造方法も知られているが、多糖類の添加量が少なく、多糖類を単量体溶液に溶解させて重合を行う方法であった。
【0019】
さらに、従来の吸収体で用いられる接着剤は合成原料が一般的であり、吸収体全体に対するサステナブル原料の使用割合が十分上昇しない一因であった。
【0020】
それゆえ、サステナブル原料として多糖類を少なくとも一部に用いた、着色が少なく、接着剤を用いなくても所望の吸収体に成型しやすい接着成型性が優れた吸水性樹脂組成物が求められている。また、サステナブル原料として多糖類を少なくとも一部に用いても、低コストで、生産性が高く、操作性の良い簡便な方法で、着色が少なく、接着成型性が良い吸水性樹脂組成物を得ることができる製造方法が求められている。さらに、吸収体全体に対するサステナブル原料の使用割合が高く、接着成型性の良い吸収体の製造方法が求められている。
【0021】
即ち、本発明の一態様は、サステナブル原料として多糖類を少なくとも一部に用いた、低コストで、生産性が高く、操作性の良い簡便な吸水性樹脂組成物の製造方法、および、着色が少なく、接着成型性が良い吸水性樹脂組成物、ならびに、吸収体全体に対するサステナブル原料の使用割合が高く、接着成型性の良い吸収体の製造方法を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記の課題を解決するために、本発明は、以下の構成からなるものである。
【0023】
〔1〕デンプン粒子とポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子とを含む吸水性樹脂組成物の製造方法であって、
アクリル酸(塩)を主成分として含む単量体の水溶液を、炭化水素分散媒を含む油相中に懸濁させて重合を行う重合工程、および
前記重合工程にて得られた重合体を炭化水素分散媒から分離する分離工程を含み、
さらに、前記重合工程から前記分離工程までのいずれかの段階で炭化水素分散媒にデンプン粒子を添加する工程を含む、吸水性樹脂組成物の製造方法。
【0024】
〔2〕前記デンプン粒子は糊化されていない、〔1〕に記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
【0025】
〔3〕前記デンプン粒子の体積平均粒子径が1~50μmである、〔1〕または〔2〕に記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
【0026】
〔4〕前記デンプン粒子の使用量が、前記アクリル酸(塩)を主成分として含む単量体の使用量に対して3~100質量%である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
【0027】
〔5〕前記アクリル酸(塩)を主成分として含む単量体の重合率が10モル%以上の時点でデンプン粒子を添加する、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
【0028】
〔6〕前記重合工程で得られた重合体を前記分離工程の前、途中、または後で乾燥する乾燥工程を含む、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
【0029】
〔7〕前記重合工程の後に表面架橋工程をさらに含む、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
【0030】
〔8〕前記表面架橋工程において、ポリグリシジル化合物を添加し、架橋する、〔7〕に記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
【0031】
〔9〕球状、または、その凝集体状であるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子を50~97質量%、および、デンプン粒子を3~50質量%含む吸水性樹脂組成物。
【0032】
〔10〕前記デンプン粒子は糊化されていない、〔9〕に記載の吸水性樹脂組成物。
【0033】
〔11〕70℃相対湿度65%で60分間吸湿させたときの吸湿ブロッキング率が10質量%以下である、〔9〕または〔10〕に記載の吸水性樹脂組成物。
【0034】
〔12〕黄色度が20以下である、〔9〕~〔11〕のいずれかに記載の吸水性樹脂
組成物。
【0035】
〔13〕〔9〕~〔12〕のいずれかに記載の吸水性樹脂組成物をシート状基材に散布し、水を添加して前記吸水性樹脂組成物を加熱し、デンプンを糊化させる、シート状吸収体の製造方法。
【0036】
〔14〕前記水が100℃以上に加熱された水蒸気であり、水蒸気によって前記吸水性樹脂組成物を加熱する、〔13〕に記載のシート状吸収体の製造方法。
【0037】
〔15〕前記吸水性樹脂組成物を加熱しながら圧着してシート状に成型する、〔13〕または〔14〕に記載のシート状吸収体の製造方法。
【発明の効果】
【0038】
本発明の一態様によれば、サステナブル原料として多糖類を少なくとも一部に用いた、低コストで、生産性が高く、操作性の良い簡便な吸水性樹脂組成物の製造方法、および接着成型性に優れ、着色が少ない吸水性樹脂組成物、ならびに、吸収体全体に対するサステナブル原料の使用割合が高く、接着成型性の良い吸収体の製造方法を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】実施例5で得られた、吸水性樹脂組成物を成型したシート状吸収体の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態に関して詳細に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ記載された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態に関しても、本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書においては特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味し、「ppm」は、「質量ppm」を意味する。また、「(メタ)アクリル」は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味する。さらに、吸水性樹脂組成物等の質量は、特に記載のない限り、固形分に換算した数値を表す。
【0041】
〔1〕用語の定義
〔1-1〕吸水性樹脂、吸水性樹脂組成物
本明細書において、吸水性樹脂とは、水膨潤性の架橋重合体を意味し、一般的に粒子状である。また、水膨潤性とは、ERT 441.2-02で規定される無加圧下吸水倍率(CRC)が5g/g以上であることを意味する。
【0042】
また、本明細書において、前記吸水性樹脂は、「内部のみが架橋された重合体、つまり、内部と表面の架橋密度が実質的に同じである重合体」または「内部と表面とが架橋された重合体、つまり、表面の架橋密度が内部の架橋密度に対して相対的に高い重合体」を指す場合がある。
【0043】
本明細書において、前記「内部のみが架橋された重合体」と前記「内部と表面とが架橋された重合体」は原則、区別することなく、何れも「吸水性樹脂」と表記する。但し、表面架橋の有無について明確に区別する必要がある場合は、前記「内部のみが架橋された重合体」は表面架橋が施される前であるため、「表面架橋前の吸水性樹脂」または「ベースポリマー」と表記する。また、前記「内部と表面とが架橋された重合体、つまり、表面の架橋密度が内部の架橋密度に対して相対的に高い重合体」は表面架橋が施された後であるため、「表面架橋後の吸水性樹脂」または「表面架橋された吸水性樹脂」と表記する。なお、「表面架橋前」とは、「表面架橋剤を添加する前」または「表面架橋剤が添加された後であっても加熱処理による表面架橋反応が始まる前」のことを意味する。
【0044】
なお、本明細書においては、「吸水性樹脂」とは樹脂成分のみを指し、添加剤等の樹脂以外の成分を含む場合には「吸水性樹脂組成物」と表記する。さらに、前記表面架橋されていない吸水性樹脂に添加剤等が含まれる場合には「表面架橋前の吸水性樹脂組成物」または「ベースポリマー組成物」と表記する。また、前記表面架橋された吸水性樹脂に添加剤等が含まれる場合には「表面架橋後の吸水性樹脂組成物」または「表面架橋された吸水性樹脂組成物」と、それぞれ表記する。
【0045】
〔1-2〕ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂
本明細書において、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂(以下、単に「吸水性樹脂」と称することがある)は、アクリル酸(塩)を主成分として含む単量体を重合して得られる架橋重合体である。言い換えれば、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂を構成する構造単位全体に対して、アクリル酸(塩)由来の構造単位を主成分として有する架橋重合体であり、任意成分としてグラフト成分を有する架橋重合体である。なお、架橋は架橋剤を用いてもよいし、自己架橋でもよい。ここで、本明細書において、「主成分として」とは、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上であって、好ましくは100モル%以下、特に好ましくは実質100モル%を意味する。
【0046】
なお、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂を構成する構造単位には、内部架橋剤に由来する構造単位も含まれるが、本明細書においては、「単量体」とは、内部架橋剤を含まない趣旨である。
【0047】
〔1-3〕「EDANA」および「ERT」
「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Associations)の略称であり、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)の吸水性樹脂の測定法(EDANA Recommended Test Methods)の略称である。本発明では、特に断りのない限り、ERT原本(2002年改定/公知文献)に準拠して、吸水性樹脂の物性を測定する。
【0048】
なお、本明細書では別途言及しない限り、吸水性樹脂組成物の各種物性の測定方法は、下記実施例での測定方法に従う。
【0049】
〔2〕吸水性樹脂組成物の製造方法
本発明者らは、前記課題を解決するために、鋭意検討を行った結果、アクリル酸(塩)系単量体を主成分として含む単量体の水溶液を、炭化水素分散媒を含む油相中に懸濁させて重合を行う重合工程、および、前記重合工程にて得られた重合体を炭化水素分散媒から分離する分離工程を含み、重合工程から分離工程までのいずれかの段階で炭化水素分散媒にデンプン粒子を添加することで、デンプン粒子が分散剤として機能することを見出した。さらに、吸水性樹脂組成物中にデンプン粒子を残存させることにより、吸湿流動性向上剤としても機能することを見出した。
【0050】
また、本発明の一実施形態に係る製造方法によれば、事前にデンプンの化学修飾や糊化(α化)工程を行わず、また、単量体を水溶液中で重合する方法と比較して単量体濃度を低濃度とする必要がないため乾燥コストがかからず高生産性である。さらに、高温による乾燥を必要としないため、デンプン由来の着色を抑制することができる。
【0051】
また、本発明の一実施形態に係る製造方法によれば、デンプンを単量体溶液に溶解しなくてもよいため、操作性がよく簡便である上に、デンプンの含有量が多い場合にも、好適に、デンプン粒子とポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂とを含む吸水性樹脂組成物を得ることができる。
【0052】
それゆえ、サステナブル原料としてデンプンを少なくとも一部に用いても、低コストで、生産性が高く、操作性の良い簡便な方法で、着色が少ない吸水性樹脂組成物を得ることができる。
【0053】
すなわち、本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂組成物の製造方法は、
デンプン粒子とポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子とを含む吸水性樹脂組成物の製造方法であって、
アクリル酸(塩)を主成分として含む単量体の水溶液を、炭化水素分散媒を含む油相中に懸濁させて重合を行う重合工程、および
前記重合工程にて得られた重合体を炭化水素分散媒から分離する分離工程を含み、
前記重合工程から前記分離工程までのいずれかの段階で炭化水素分散媒にデンプン粒子を添加する工程をさらに含む、製造方法、である。
【0054】
〔2-1〕重合工程
(a)単量体
本発明で用いられる単量体は、アクリル酸(塩)を主成分として含む単量体である。前記塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩が挙げられ、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
【0055】
また、アクリル酸(塩)は、10~90モル%の範囲で中和されていることが好ましく、40~80モル%の範囲で中和されていることがより好ましく、60~75モル%の範囲で中和されていることが特に好ましい。
【0056】
従って、アクリル酸(塩)は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸(水素)ナトリウム、炭酸(水素)カリウム等の炭酸(水素)塩、アンモニア等の一価の塩基性化合物を含む中和液で中和されていることが好ましく、水酸化ナトリウムを含む中和液で中和されていることが特に好ましい。
【0057】
前記単量体に含まれてもよいアクリル酸(塩)以外の単量体としては、不飽和二重結合を有する単量体(エチレン性不飽和単量体)のうち、酸基を含有する単量体が好ましい。かかる単量体としては、具体的には、(無水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2-(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、およびそれらの塩が挙げられる。これら単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0058】
前記塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩が挙げられ、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
【0059】
また、アクリル酸(塩)を主成分として含む単量体は、10~90モル%の範囲で中和されていることが好ましく、40~80モル%の範囲で中和されていることがより好ましく、60~75モル%の範囲で中和されていることが特に好ましい。
【0060】
なお、前記単量体は、重合後に中和されてもよい。即ち、重合工程で得られた含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する)を中和して中和物としてもよい。但し、吸水性樹脂の生産性、各種物性等を考慮すれば、中和された単量体を用いて重合し、含水ゲルを得ることがより好ましい。
【0061】
また、前記単量体は、必要に応じて、前述した単量体以外に、親水性または疎水性の不飽和単量体(以下、「他の単量体」と称する)を含んでいてもよい。該他の単量体としては、例えば、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルアセトアミド、(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレート等が挙げられる。他の単量体の使用量は、得られる吸水性樹脂組成物の物性を損なわない程度であればよく、具体的には、単量体に対して、50モル%以下、より好ましくは20モル%以下である。
【0062】
(b)内部架橋剤
本発明において、内部が架橋された重合体を得るために、内部架橋剤を用いることが好ましい。前記内部架橋剤としては、例えば、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリオキシエチレン)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(β-アクリロイルオキシプロピオネート)、トリメチロールプロパントリ(β-アクリロイルオキシプロピオネート)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン等の、分子内に重合性二重結合を少なくとも2個有する化合物;ポリグリシジルエーテル(エチレングリコールジグリシジルエーテル等)、ポリオール(エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等)等の、カルボキシル基と反応して共有結合を形成し得る化合物;等が挙げられ、分子内に重合性二重結合を少なくとも2個有する化合物がより好ましい。これら内部架橋剤は、単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0063】
内部架橋剤は、得られる吸水性樹脂組成物の物性を考慮して、前記の単量体全量に対して、5.0モル%以下の範囲で用いることが好ましく、2.0モル%以下の範囲で用いることがより好ましく、0.5モル%以下の範囲で用いることがさらに好ましく、0.1モル%以下の範囲で用いることが特に好ましく、0.001~0.1モル%の範囲で用いることが最も好ましい。
【0064】
(c)炭化水素分散媒
前記炭化水素分散媒としては、例えば、n-ヘキサン、n-ヘプタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、2,3-ジメチルペンタン、3-エチルペンタン、n-オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、trans-1,2-ジメチルシクロペンタン、cis-1,3-ジメチルシクロペンタン、trans-1,3-ジメチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等を用いることができる。これらの炭化水素分散媒は、単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。二種類以上の炭化水素分散媒が混合された混合炭化水素分散媒としては、たとえばエクソールヘプタン(エクソンモービル社製、主成分としてn-ヘプタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、メチルシクロヘキサンを含む混合炭化水素分散媒)が挙げられる。これらの炭化水素分散媒の中でも、工業的に入手が容易であり、品質が安定しており、かつ安価である点で、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、エクソールヘプタン等が好ましい。
【0065】
前記炭化水素分散媒の使用量はこれに限定されるものではないが、重合熱を除去し、且つ逆相懸濁重合の反応温度を制御しやすくするとの観点から、単量体全量に対して50~600質量%であることが好ましく、100~550質量%であることがより好ましい。
【0066】
(d)単量体水溶液
前記アクリル酸(塩)を主成分として含む単量体、および前記内部架橋剤は、前記炭化水素分散媒中にてより効率よく分散させるために、水溶液にして用いることが好ましい。このような水溶液(以下、本明細書において「単量体水溶液」と称する)における、前記単量体の濃度は、これに限定はされないが、単量体水溶液の全質量(グラフト成分を含む場合は、グラフト成分を除く質量)に対して、通常20質量%以上飽和濃度以下とすればよく、好ましくは35質量%以上飽和濃度以下であり、より好ましくは35~70質量%であり、さらに好ましくは40~55質量%である。
【0067】
(e)逆相懸濁重合
本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂組成物の製造方法では、重合開始剤の存在下で逆相懸濁重合法によって、アクリル酸(塩)を主成分として含む単量体を重合させればよい。この際、必要に応じて、高分子系分散剤、界面活性剤等を用いてもよい。
【0068】
前記高分子系分散剤は、特に限定されるものではないが、例えば無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマー)、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、エチレン・無水マレイン酸共重合体、エチレン・プロピレン・無水マレイン酸共重合体、ブタジエン・無水マレイン酸共重合体、酸化型ポリエチレン、エチレン・アクリル酸共重合体、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。これらの高分子保護コロイドは単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
中でも、アクリル酸(塩)を主成分として含む単量体の分散安定性の面から、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体等を高分子保護コロイドとして用いることがより好ましい。
【0070】
前記高分子保護コロイドの使用量は特に限定されないが、炭化水素分散媒中においてアクリル酸(塩)を主成分として含む単量体の分散状態を良好に保ち、且つ使用量に見合う分散効果を得るため、単量体全量に対して0.05~5質量%であることが好ましく、0.1~3質量%であることがより好ましい。
【0071】
前記界面活性剤は、特に限定されるものではないが、例えばショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、N-アルキルグルコンアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルのリン酸エステル等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
中でも、炭化水素分散媒中におけるアクリル酸(塩)を主成分として含む単量体の分散安定性の面から、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等を界面活性剤として用いることがより好ましい。
【0073】
前述の界面活性剤の使用量は特に限定されないが、炭化水素分散媒中においてアクリル酸(塩)を主成分として含む単量体の分散状態を良好に保ち、且つその使用量に見合う分散効果を得るため、単量体全量に対して、0.05~5質量%であることが好ましく、0.1~3質量%であることがより好ましい。
【0074】
本発明の一実施形態にかかる製造方法においては、ラジカル重合開始剤を使用して逆相懸濁重合法による反応を行うことが好ましい。このようなラジカル重合開始剤は、これに限定されるものではないが、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド、t-ブチルクミルパーオキシド、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシピバレート、過酸化水素等の過酸化物類;2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2’-アゾビス〔2-(N-フェニルアミジノ)プロパン〕2塩酸塩、2,2’-アゾビス〔2-(N-アリルアミジノ)プロパン〕2塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-〔1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル〕プロパン}2塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-〔1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス〔2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド〕、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)等のアゾ化合物等が挙げられる。これらラジカル重合開始剤は、単独で用いてもいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0075】
前記ラジカル重合開始剤の使用量は、これに限定されるものではないが、単量体全量に対して0.005~1モル%であることが好ましい。使用量が0.005モル%以上であれば、重合反応に多大な時間を要しないので好ましい。使用量が1モル%以下である場合、急激な重合反応が起こりにくいため好ましい。
【0076】
なお、前記ラジカル重合開始剤は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L-アスコルビン酸等の還元剤と併用して、レドックス重合開始剤として用いてもよい。
【0077】
本発明の一実施形態に係る製造方法における逆相懸濁重合の反応温度は、使用するラジカル重合開始剤によって異なるが、好ましくは20~110℃であり、より好ましくは40~90℃である。反応温度が20℃以上であれば、重合速度が速く、重合時間が長くならないので好ましい。反応温度が110℃以下であれば、重合熱を除去しやすくなるので、円滑に反応を行なうことができる。反応時間は、通常0.1~4時間とすればよい。
【0078】
本発明の一実施形態に係る製造方法では、前記単量体水溶液中の水の量が、前記炭化水素溶媒に対して、10~200質量%であることが好ましい。アクリル酸(塩)を主成分として含む単量体の分散状態を良好にする観点から、10質量%以上が好ましく、工業的な生産を良好にし、経済的に好ましい観点から、200質量%以下が好ましい。
【0079】
本発明の一実施形態に係る製造方法では、逆相懸濁重合は、1段で行ってもよく、或いは、2段以上の多段で行っても良い。
【0080】
2段以上の逆相懸濁重合を行う場合には、前述の方法で1段目の逆相懸濁重合を行った後、1段目の重合反応で得られた反応混合物に、アクリル酸(塩)を主成分として含む単量体を添加し混合して、1段目と同様の方法で2段目以降の逆相懸濁重合を行えばよい。
【0081】
本発明の一実施形態において、前記重合工程で得られた含水ゲルの形状は特に限定されるものではないが、通常は粒子状である。粒子状の含水ゲル、言い換えれば、含水ゲル粒子は、1次粒子であってもよいし、1次粒子が凝集した2次粒子であってもよいし、1次粒子と2次粒子との混合物であってもよい。より好ましくは、前記含水ゲル粒子は、1次粒子が凝集した2次粒子である。例えば、後述のデンプン粒子を添加する前に、シリカ等の凝集剤を添加して含水ゲルを凝集させてもよい。
【0082】
(f)デンプン粒子
本発明の一実施形態において、デンプン粒子は糊化(α化)可能なデンプンであることが好ましい。本発明で使用できるデンプン粒子としては、例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、小麦デンプン、タピオカデンプン、ワキシーコーンデンプン、米デンプン、甘藷デンプン等が挙げられる。中でもバレイショデンプンとタピオカデンプンは糊化しやすいため、吸収体成型時の接着成型性に優れる。一方、トウモロコシデンプンは分散剤、吸湿流動性向上剤として優れる。
【0083】
また、本発明の内容を損なわない程度にデンプンが化学修飾されていてもよい。変性デンプンを得るための変性方法としては、アセチル化処理等のエステル化、カルボキシアルキル化等のエーテル化、リン酸化、酸化、硫酸化、リン酸架橋、アジピン酸架橋、酵素処理、およびこれらの組み合わせが挙げられる。変性によって導入される置換基の種類は、一種類であってもよく、二種類以上であってもよい。変性時の置換度は、得られる吸水性樹脂組成物の物性を考慮して、2以下が好ましく、1以下がより好ましく、0.5以下がさらに好ましく、0.25以下が特に好ましい。化学修飾により酸基が導入され、デンプンが親水化された場合は吸水性樹脂組成物の吸水性能が向上し、アルキル基が導入され、デンプンが疎水化された場合は分散剤としての効果が向上する。
【0084】
また、本発明の内容を損なわない程度にデンプンは架橋されていてもよい。デンプンは、公知の任意の方法で架橋することができ、具体的には、架橋剤を用いて架橋させてもよく、放射線(例えば、ガンマ線、X線、電子ビーム等の放射線)および/または熱を用いて架橋させてもよい。前記架橋剤としては、例えば、分子内に環状部分を有するN-メチロール化合物(ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素等)、ポリカルボン酸(クエン酸トリカルバリル酸、ブタンテトラカルボン酸等)、多官能性エポキシ化合物(エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル等)、多価金属イオン(アルミニウムイオン、クロムイオン等)、多官能性アミン(アミノ酸、ポリアミン、トリアミン、ジアミン等)、多官能性アルデヒド類(グルタルアルデヒド、グリオキサール等)等が挙げられる。これら架橋剤は、単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0085】
本発明において、炭化水素分散媒に添加されるデンプン粒子は糊化されていないことが好ましい。糊化されていないことで、デンプン粒子は分散剤としての効果を発揮する。また、炭化水素分散媒に添加されたデンプン粒子を吸水性樹脂組成物中に残存させることにより吸湿流動性向上剤としての効果を発揮する。
【0086】
前記デンプン粒子の体積平均粒子径は、分散剤としての効果を発揮させる観点、または、吸湿流動性を向上させる観点から、1μm~50μmの範囲であることが好ましく、3μm~40μmの範囲であることがより好ましく、5μm~30μmの範囲であることがさらに好ましい。なお、前記デンプンの体積平均粒子径は、溶解や膨潤の起こりにくい溶媒に多糖類を分散させてレーザー回析式粒度分布測定装置で測定される。
【0087】
炭化水素分散媒に添加されるデンプン粒子の使用量は、アクリル酸(塩)系単量体を主成分として含む単量体に対して、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましく、20質量%以上であることが特に好ましく、30質量%以上が最も好ましい。デンプン粒子の使用量の上限値は、100質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。デンプン粒子の使用量が3質量%未満であると、サステナブル原料としてのデンプンの使用量が少なくなる。デンプン粒子の使用量が100質量%を超えると、吸水性樹脂組成物の吸水倍率が低下するおそれがある。このような理由から、重合工程前にも単量体水溶液または炭化水素分散媒に多糖類を添加する場合、重合工程前の多糖類の使用量と重合工程の途中または後のデンプンの使用量の合計が、100質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。
【0088】
デンプン粒子の添加時期は重合工程から後述の分離工程までのいずれかの段階である。好ましくは、前記アクリル酸(塩)系単量体の重合率が10モル%以上の時点でデンプン粒子を添加する、すなわち、単量体の重合物である含水ゲルが存在する段階で添加する。重合率は、例えば、反応系内のアクリル酸(塩)系単量体の量から求められる。
【0089】
〔2-2〕分離工程
本工程は、前述の重合工程にて得られた重合体(含水ゲル)を、炭化水素分散媒から分離する工程である。ここで分離方法は、含水ゲルを炭化水素分散媒から分離できれば限定されないが、例えば、濾過する方法、デカンテーションで炭化水素分散媒を除く方法、蒸留により炭化水素分散媒を除く方法、沈降させた含水ゲルを押し出し機で系内から取り出す方法、から選ばれる1つ以上の方法で行われる。中でもデンプン粒子を確実に回収するため、蒸留により炭化水素分散媒を除くことが好ましい。
【0090】
〔2-3〕乾燥工程
本工程は、前述の分離工程の前、途中、または後で、前述の重合工程にて得られた重合体(含水ゲル)の水分を除去して、得られる吸水性樹脂組成物の含水量を調整する工程である。なお、前述の分離工程で蒸留が行われる場合、水分も蒸発するため、乾燥工程を兼ねている。
【0091】
本発明の一実施形態において、含水ゲルの固形分率は、好ましくは25~80質量%であり、より好ましくは40~70質量%であり、さらに好ましくは45~70質量%である。これにより、乾燥コストがかからず高生産性である。さらに、高温による乾燥を必要としないため、デンプン由来の着色を抑制することができる。
【0092】
乾燥は常圧下で行っても減圧下で行ってもよく、乾燥効率を高めるため、窒素等の気流下で行ってもよい。乾燥工程を常圧下で行う場合、乾燥温度は70~250℃が好ましく、80~180℃がより好ましく、80~140℃がさらに好ましく、80~130℃が特に好ましい。前記温度に制御することにより、乾燥工程において吸水性樹脂組成物の着色を防ぐことができる。また、減圧下の場合、乾燥温度は60~100℃が好ましく、70~90℃がより好ましい。
【0093】
乾燥時間は、デンプン由来の着色を防止する観点から、通常1~360分で、10~240分が好ましく、60~180分がより好ましい。
【0094】
乾燥方法としては、より具体的には、例えば、分離工程の前に共沸蒸留による脱水を行う方法;分離工程の後に減圧乾燥する方法等が挙げられる。中でも、製造工程における簡便さのため、分離工程の前の共沸蒸留による脱水を行う方法が好ましい。また、前記乾燥方法においては、含水ゲルを攪拌下で乾燥することがより好ましい。具体的には、攪拌下での共沸蒸留、攪拌下での減圧乾燥がより好ましい。撹拌下で加熱することにより、効率よく乾燥ができる。
【0095】
〔2-4〕表面架橋工程
本発明の一実施形態に係る製造方法は重合工程の後に表面架橋工程を含み得る。表面架橋工程では、前記重合工程にて得られた含水ゲル粒子、または、前記乾燥工程にて含水量を適宜調整した含水ゲル粒子または乾燥後の吸水性樹脂粉末に、表面架橋剤を添加して、表面架橋処理を施す。好ましくは、前記乾燥工程にて含水量を適宜調整した含水ゲル粒子が表面架橋され、必要によりさらに乾燥される。表面架橋工程は分離工程前に炭化水素分散媒中で行ってもよく、分離工程後に行ってもよい。これにより、表面架橋密度が高まり、荷重下の吸水倍率およびゲル強度等の吸水性能を高めた吸水性樹脂組成物を得ることができる。このような表面架橋剤としては、反応性官能基を2個以上有する化合物を挙げることができる。その例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール類;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールトリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、α-メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;2,4-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物等の反応性官能基を2個以上有する化合物;3-メチル-3-オキセタンメタノール、3-エチル-3-オキセタンメタノール、3-ブチル-3-オキセタンメタノール、3-メチル-3-オキセタンエタノール、3-エチル-3-オキセタンエタノール、3-ブチル-3-オキセタンエタノール等のオキセタン化合物、1,2-エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物、エチレンカーボネート等のカーボネート化合物が挙げられる。これらの中でも、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールトリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物が特に好ましい。これらの表面架橋剤は、単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0096】
前記表面架橋剤の添加量は、得られる吸水性樹脂組成物の吸水倍率を低下させず、かつ表面近傍の架橋密度を強めて、諸性能を高めるために、前記重合工程で用いるアクリル酸(塩)を主成分として含む単量体の総量1モルに対して、0.00001モル~0.03モルの範囲とすることが好ましく、0.00005モル~0.02モルの範囲とすることがより好ましく、0.0001モル~0.01モルの範囲とすることがさらに好ましい。
【0097】
前記表面架橋剤は、前記重合工程にて得られた含水ゲル、または、前記乾燥工程にて含水量を適宜調整した含水ゲルに添加すればよいが、含水ゲルの固形分に対し、1~200質量%の範囲の水分存在下に添加することが好ましく、5~100質量%の範囲の水分存在下に添加することがより好ましく、10~40質量%の範囲の水分存在下に添加することがさらに好ましい。
【0098】
表面架橋剤を使用する際には、必要に応じて溶媒として水や親水性有機溶媒を用いてもよい。前記親水性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられる。これら親水性有機溶媒は、単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。また、これらの親水性有機溶媒は、水との混合溶媒として用いてもよい。
【0099】
前記表面架橋反応における温度は、50~250℃が好ましく、60~180℃がより好ましく、60~140℃がさらに好ましく、70~120℃が特に好ましい。また、前記表面架橋の反応時間は、反応温度、表面架橋剤の種類および量等によって異なるので一概には決定することができないが、通常、1~300分間、好ましくは5~200分間である。
【0100】
前記表面架橋工程の後に、吸水性樹脂組成物に対して、粗大な凝集物を解砕したり、粗大な凝集物や微粉を取り除く分級を行ってもよい。粗大な凝集物を取り除く分級において用いる篩の目開きは1000μm、850μm、または、710μmでありうる。ここで、篩の孔の形状は円形や正方形に限らず、楕円形や長方形も好ましく用いられる。その場合、前記目開きは短径、または短辺の長さを指し、長径/短径、または、長辺/短辺を意味するアスペクト比は好ましくは1~5である。
【0101】
〔2-5〕その他の工程
本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂組成物の製造方法は、さらに必要に応じて、耐熱性安定剤、酸化防止剤、抗菌剤等の添加剤を添加する工程を含み得る。
【0102】
前記添加剤の量は、吸水性樹脂組成物の用途、添加剤の種類等によって異なるが、前記吸水性樹脂組成物を構成するアクリル酸(塩)を主成分として含む単量体の総量に対して、好ましくは0.001~10質量%、より好ましくは0.01~5質量%、さらに好ましくは0.1~2質量%である。
【0103】
〔3〕吸水性樹脂組成物
本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂組成物は、前記製造方法によって得られる吸水性樹脂組成物である。また、本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂組成物は、球状、または、その凝集体状であるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粒子を50~97質量%、および、デンプン粒子を3~50質量%含む吸水性樹脂組成物である。球状、または、その凝集体状は一般的に逆相懸濁重合により得られる。前記吸水性樹脂組成物に含まれるデンプン粒子は、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましく、20質量%以上であることが特に好ましく、25質量%以上が最も好ましい。デンプン粒子の含有量の上限値は、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。デンプン粒子の含有量が3質量%未満であると、サステナブル原料としてのデンプンの使用量が少なくなる。デンプン粒子の含有量が50質量%を超えると、吸水性樹脂組成物の吸水倍率が低下するおそれがある。本発明の吸水性樹脂組成物はさらに水を含んでいてよいが、含水率が20質量%以下であることが好ましく、1~15質量%であることがより好ましく、3~13質量%であることがさらに好ましい。また、〔2-5〕その他の工程で述べた成分を含むこともできる。
【0104】
前記デンプン粒子は、吸水性樹脂と一体化したデンプンとは区別される。前述の製造方法で製造された場合、実質的にデンプン粒子の添加量がデンプン粒子の吸水性樹脂に対する含有量となるが、他の方法で製造された場合、適宜分級、電子顕微鏡または光学顕微鏡での観察、電子線マイクロアナライザー(EPMA)による元素分布分析等を用いて、デンプン粒子の含有量を求めることができる。前記デンプン粒子は吸湿流動性の観点から好ましくは糊化されていない。デンプン粒子の具体例は〔2-1〕重合工程で述べたものが使用できる。
【0105】
本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂組成物の質量平均粒子径は、使用目的に応じて10~2000μmの範囲で選択できるが、衛生材料への使用を目的とする場合、質量平均粒子径が50~500μm、より好ましくは100~450μm、さらに好ましくは100~400μmである。ここで、質量平均粒子径とは、後述する実施例に記載の測定方法によって測定された値である。従来取り扱い性の観点から質量平均粒子径が300~600μm程度である吸水性樹脂が好ましいとされていたが、本発明の吸水性樹脂組成物は吸湿時にケーキングしにくく、さらに成型可能なため、成型前の吸水性樹脂組成物は従来よりも小粒子径での取り扱いが可能となっている。
【0106】
本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂組成物の形状は球状、または、その凝集体であるが、ここで球状とは真球だけでなく、アスペクト比が1.0~1.2である略球状のものも含む。
【0107】
また、本発明の一実施形態に吸水性樹脂組成物は、無加圧下吸収倍率が、20g/g以上、より好ましくは25g/g以上、さらに好ましくは30g/g以上である。無加圧下吸収倍率の上限値は、特に限定されないものの、70g/g以下、より好ましくは60g/g以下、さらに好ましくは50g/g以下である。
【0108】
また、本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂組成物は、0.7kPaの加圧下における加圧下吸水倍率(AAP0.7)が、10g/g以上、より好ましくは12g/g以上、さらに好ましくは15g/g以上である。0.7kPaの加圧下における加圧下吸水倍率(AAP0.7)の上限値は、特に限定されないものの、40g/g以下、より好ましくは35g/g以下、さらに好ましくは30g/g以下である。
【0109】
また、本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂組成物は、吸湿ブロッキング率が好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは7質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である。
【0110】
また、本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂組成物は、黄色度(YI:Yellow Index)が20以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは6以下である。黄色度の下限値は特に限定されず0に近いほど好ましいが、1以上、より好ましくは2以上である。黄色度が小さいほど、低着色で実質白色に近づくことを示す。
【0111】
〔4〕シート状吸収体の製造方法
〔2〕、〔3〕で述べた吸水性樹脂組成物は、デンプンを糊化することにより、接着剤として用い、シート状の吸収体に成型することができる。すなわち、吸水性樹脂組成物をシート状に散布し、水を添加して前記吸水性樹脂組成物を加熱し、デンプンを糊化させる、シート状吸収体の製造方法である。
【0112】
前記加熱温度(熱媒体の温度)は、100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましい。上限は着色防止の観点から、200℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。
【0113】
加熱時間は、10秒以上が好ましい。上限は着色防止の観点から1時間以内が好ましく10分以内がより好ましい。
【0114】
加熱方法は、加熱された固体を押し当て、圧着する方法、および/または100℃以上に加熱された水蒸気を吹き付ける方法、が採用できる。連続生産においては前記「加熱された固体」が加熱ロールであってもよい。固体を吸水性樹脂組成物に押し当てることによって、効率的に吸水性樹脂組成物を加熱し、吸収体の成型ができる。また、100℃以上に加熱された水蒸気を吹き付けることにより、効率的に水の添加と加熱ができる。
【0115】
前記水は、液体と水蒸気のどちらで添加してもよいが、好ましくは液体の水と水蒸気を添加する。
【0116】
本発明の吸収体にはパルプのような繊維を含んでいてもよいが、本発明は薄型の吸収体に適用できることから、吸収体中の繊維の含有量は好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0117】
本発明の吸収体はさらに吸水性樹脂組成物の成型物を挟んだり、取り囲むように不織布を用いたりしてもよい。不織布は、吸水性樹脂組成物を成型してから用いてもよく、前記加熱に耐えうるものを、吸水性樹脂組成物を成型する前に用いてもよい。
【0118】
〔5〕効果
本発明の一態様によれば、サステナブル原料として多糖類を少なくとも一部に用いた、低コストで、生産性が高く、操作性の良い簡便な吸水性樹脂組成物の製造方法、および接着成型性に優れ、着色が少ない吸水性樹脂組成物、ならびに、吸収体全体に対するサステナブル原料の使用割合が高く、接着成型性の良い吸収体の製造方法を提供することができるという効果を奏する。
【0119】
また、前述の吸水樹脂組成物の製造方法によれば、逆相懸濁重合において、含水ゲルの塊状化等のトラブルが起こりやすい、重合工程、分離工程、および乾燥工程におけるトラブルを低減することができるという効果を奏する。さらに、本発明の吸水性樹脂組成物は、接着成型性とは相反すると考えられてきた吸湿流動性が優れる、という効果も奏する。
【0120】
従来、逆相懸濁重合を用いて製造した吸水性樹脂組成物は、なめらかな表面をもつ形状や、使用した界面活性剤の残存等の要因により、固定しにくく成型しにくいという問題点があったが、本発明の吸収性樹脂組成物を用いた場合、デンプンを糊化することにより簡便に吸収体として成型できる。さらに、本発明の吸収体は、一般的に疎水性である合成接着剤を使用した吸収体と比べ、接着剤が吸液を阻害することがなく、液馴染み性がよい、という効果も奏する。
【実施例0121】
以下に示す実施例および比較例に従って本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定解釈されるものではなく、各実施例に記載された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例も、本発明の範囲に含まれることとする。各実験は、室温20~25℃、湿度30~60%RHの条件下で行われた。測定に用いる電気機器は100V、60Hzの電気を用いた。
【0122】
<評価方法>
〔CRC(無加圧下吸収倍率)〕
CRC(無加圧下吸収倍率)は、EDANA法(ERT441.2-02)に準拠して測定した。具体的には、吸水性樹脂組成物0.2gを不織布製の袋に入れ、大過剰の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して該吸水性樹脂組成物を自由膨潤させた後、遠心分離機(遠心力:250G)を用いて3分間脱水し、CRC(無加圧下吸収倍率)(単位:g/g)を測定した。
【0123】
〔AAP(加圧下吸収倍率)〕
AAP(加圧下吸収倍率)は、荷重を21g/cmから49g/cmに変更した以外はEDANA法(ERT442.2-02)に準拠して測定した。具体的には、大過剰の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液を用い、吸水性樹脂組成物0.9gを1時間、4.8kPa(49g/cm2、0.7psi)の加圧下で膨潤させた後、AAP(加圧下吸収倍率)(単位:g/g)を測定した。なお、0.7psiの加圧下条件で測定した結果をAAP0.7と表記する。
【0124】
〔含水率および固形分率〕
含水率を、EDANA法(ERT430.2-02)に準拠して測定した。なお、測定に際し、試料の質量を1gに、乾燥温度を180℃に、乾燥時間を3時間にそれぞれ変更した。具体的には、底面の直径が50mmのアルミカップに試料1gを投入した後、試料(含水ゲルおよびアルミカップ)の総質量W1(g)を正確に秤量した。次に、前記試料を、雰囲気温度180℃に設定されたオーブン内に静置した。3時間経過後、該試料を前記オーブンから取り出し、総質量W2(g)を正確に秤量した。本測定に供された試料の質量をM(1g)としたときに、下記(式1)にしたがって、試料の含水率(100-α)(質量%)を求めた。なお、αは試料の固形分率(質量%)である。
【0125】
(100-α)(質量%)={(W1-W2)/M}×100 式(1)
〔吸水性樹脂組成物の質量平均粒子径〕
直径80mmのJIS標準篩を上から、目開き850μm、600μm、425μm、300μm、212μm、150μm、106μm、75μm、45μm、および受け皿の順に組み合わせた。組み合わせた最上の篩に吸水性樹脂組成物10.0gを入れ、ロータップ式振とう器(IIDA SIEVE SHAKER、TYPE:ES-65型)を用いて5分間振とうさせて分級した。各篩上に残った粒子の質量を全量に対する質量百分率として算出し、篩の目開きと篩上に残った粒子の質量百分率の積算値との関係を対数確率紙にプロットし、確率紙上のプロットを直線で結ぶことにより、積算質量百分率50質量%に相当する粒子径を質量平均粒子径(D50)として読み取った。
【0126】
〔吸水性樹脂組成物の着色評価(黄色度:YI)〕
吸水性樹脂組成物の着色評価は、日本電色工業株式会社製の分光式色差計SZ-Σ80COLOR MEASURING SYSTEMを用いた。設定条件(反射測定/付属の粉末・ペースト試料台(内径30mm、高さ12mm/標準として粉末・ペースト用標準丸白板No.2/30Φ投光パイプ))で、吸水性樹脂組成物を備え付けの試料台に5g充填し(備え付けの試料台の6割程度の充填)、前記分光式色差計にて吸水性樹脂組成物表面の黄色度(YI)を測定した。
【0127】
〔吸湿ブロッキング率〕
吸水性樹脂組成物の吸湿ブロッキング率評価は、試料2gを底面の直径50mm、高さ22mmのアルミニウムカップの底に均一に散布し、あらかじめ70℃相対湿度65%に調整した恒温恒湿器(ESPEC製 形式:SH-641)にすばやく入れ、60分間放置した。その後、吸湿した吸水性樹脂組成物を直径80mm、目開き2000μmのJIS標準ふるいに移す。この時、吸湿した吸水性樹脂組成物がアルミカップに強固に付着し、ふるいに移せない場合は、吸湿しブロッキングを起こした状態の吸水性樹脂組成物を、できるだけ崩さないように注意しながら剥がし取ってふるいに移す。これをすぐに、振動分級器(IIDA SIEVE SHAKER、TYPE:ES-65型)により8秒間ふるい、ふるい上に残存した吸水性樹脂組成物の質量W3(g)およびふるいを通過した吸水性樹脂組成物の質量W4(g)を測定した。下記計算式により吸湿ブロッキング率(質量%)を算出した。吸湿ブロッキング率が低いほど、吸湿流動性に優れており、粉体の取り扱い性等が向上する。
【0128】
吸湿ブロッキング率(質量%)={質量W3(g)/(質量W3(g)+質量W4(g))}×100
〔実施例1〕
攪拌機、2段パドル翼、還流冷却器、滴下ロートおよび窒素ガス導入管を備えた2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。また、冷却部分には冷却水循環装置(東京理化器械(株)製:EYELA COOL ACE CA-1112)を用いて、5℃の冷却液を循環させた。
【0129】
このフラスコにn-ヘプタン340gを入れ、界面活性剤としてHLB=3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ(株)製、リョートーシュガーエステルS-370)0.45gを添加した。フラスコ内のn-ヘプタンと界面活性剤との混合物を撹拌しつつ70℃まで昇温して界面活性剤を溶解し、窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出した後、55℃まで冷却した。
【0130】
一方、アクリル酸74.06g(1.03モル)を取り、外部より冷却しつつ、19質量%の水酸化ナトリウム水溶液163.5gを滴下して75モル%の中和を行った。その後、この75モル%の中和物に、ラジカル重合開始剤として5質量%過硫酸カリウム2.2g(0.406ミリモル)、内部架橋剤として5質量%エチレングリコールジグリシジルエーテル0.184g(0.053ミリモル)を加えて混合することにより、単量体水溶液を調製した。
【0131】
前記の単量体水溶液に窒素ガスを吹き込んで系内を窒素で十分に置換した後、単量体水溶液全量を前記セパラブルフラスコに加えて500rpmで攪拌することにより分散させた。その後、浴温を70℃に昇温したところ、重合が開始した。その後1時間浴温を70℃に保持した。単量体の重合率は99モル%以上であった。糊化されていないトウモロコシデンプン(三和澱粉工業(株)製、三和コーンスターチY、体積平均粒子径15μm、黄色度YI=7.2)30g(単量体固形分に対して33質量%)を投入し、セパラブルフラスコに脱水管を取り付け、攪拌回転数を1000rpmとし、浴温を95℃に昇温して、水分を120g抜き出した(計算上含水率は25質量%となる)。脱水中凝集体の生成や撹拌動力の変動は見られなかった。さらにn-ヘプタンを蒸留して吸水性樹脂、糊化されていないデンプン粒子、および、界面活性剤からなる吸水性樹脂組成物を得た。これを100℃で減圧乾燥し、目開き850μmのJIS標準篩を通過させることにより、糊化されていないデンプン粒子を25質量%含有する、吸水性樹脂組成物(1)を得た。吸水性樹脂組成物(1)の質量平均粒子径は70μm、含水率は4質量%、CRCは34.2g/g、黄色度YIは8.5、吸湿ブロッキング率は0質量%であった。電子顕微鏡で観察したところ、球状またはフットボール状の粒子が見られた。球状粒子は吸水性樹脂、フットボール状粒子はデンプンと見られる。デンプンが吸水性樹脂に融着したような粒子は見られなかった。
【0132】
〔実施例2〕
実施例1において、浴温を95℃に昇温して水分を120g抜き出したのち、2質量%エチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液4.0gを注射器で注入し、80℃で1時間加熱した以外は、実施例1と同様に操作し、糊化されていないデンプン粒子を25質量%含有する吸水性樹脂組成物(2)を得た。吸水性樹脂組成物(2)の質量平均粒子径は80μm、含水率は5質量%、CRCは27.3g/g、AAP(0.7)は20.9g/g、黄色度YIは8.7、吸湿ブロッキング率は0質量%であった。
【0133】
〔実施例3〕
実施例2において、デンプンの使用量を10g(単量体に対して11質量%)に変更した以外は実施例2と同様に操作し、糊化されていないデンプン粒子を10質量%含有する吸水性樹脂組成物(3)を得た。吸水性樹脂組成物(3)の質量平均粒子径は90μm、含水率は4質量%、CRCは34.1g/g、AAP(0.7)は22.5g/g、黄色度YIは9.0、吸湿ブロッキング率は3質量%であった。
【0134】
〔実施例4〕
実施例2において、デンプンの使用量を3g(単量体に対して3質量%)に変更した以外は実施例2と同様に操作し、糊化されていないデンプン粒子を10質量%含有する吸水性樹脂組成物(4)を得た。吸水性樹脂組成物(4)の質量平均粒子径は90μm、含水率は4質量%、CRCは35.6g/g、AAP(0.7)は25.5g/g、黄色度YIは9.3、吸湿ブロッキング率は4質量%であった。
【0135】
〔比較例1〕
実施例2において、トウモロコシデンプンを添加しなかった以外は実施例2と同様に操作し、比較吸水性樹脂組成物(1)を得た。比較吸水性樹脂組成物(1)の質量平均粒子径は90μm、含水率は4質量%、CRCは36.1g/g、AAP(0.7)は26.5g/g、黄色度YIは9.3、吸湿ブロッキング率は15質量%であった。
【0136】
〔比較例2〕
水溶液重合で吸水性樹脂組成物を作製した。具体的には、アクリル酸37.1g(0.51モル)、1質量%ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量523)水溶液1.02g(0.0195ミリモル)、および1質量%ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム0.23gを250mlポリプロプレン樹脂製の容器中で混合して、アクリル酸水溶液を作製した。このアクリル酸水溶液をマグネティックスターラーで攪拌しながら、多糖類としてトウモロコシデンプン(三和澱粉工業(株)製、三和コーンスターチY、体積平均粒子径15μm)15.0gを加えて分散させて単量体分散液を作製した。その後、48.5質量%水酸化ナトリウム水溶液29.7g(0.36モル)と水25.0gとを混合して42℃まで昇温した水酸化ナトリウム水溶液と、前記の単量体分散液とを混合した。これにより、混合液は中和熱で103℃まで直ぐに昇温した。この昇温により、分散していたトウモロコシデンプンが溶解したが、単量体水溶液の粘度が急激に増大し、マグネティックスターラーによる攪拌ができなくなった。
【0137】
この単量体水溶液の温度が95℃まで低下したところで、重合開始剤として2質量%過酸ナトリウム水溶液2.6gを加えた。過硫酸ナトリウム水溶液の添加により、3秒後に重合が開始した。5分後に含水重合体を取り出したが、重合開始剤が均一に混合できなかったため、重合した部分と単量体のまま残っている部分がまだらになった含水ゲル状重合体が得られた。この含水ゲル状重合体をはさみで約1~5mmサイズの小片に裁断したのち金網に載せ150℃で30分間熱風乾燥した。乾燥物をロールミルで粉砕し、目開き850μmのJIS標準篩と目開き150μmのJIS標準篩を使用して分級することにより比較吸水性樹脂組成物(2)を得た。比較吸水性樹脂組成物(2)の質量平均粒子径は472μm、CRCは27.1g/g、黄色度YIは35.12、吸湿ブロッキング率は100質量%であった。
【0138】
〔実施例5〕
実施例2において、デンプン粒子を添加する前にフュームドシリカ(アエロジル(商標)200 日本アエロジル株式会社製)を0.3g添加したところ吸水性樹脂が凝集した。引き続き実施例1と同様に操作したことにより吸水性樹脂組成物(5)を得た。吸水性樹脂組成物(5)の質量平均粒子径は465μm、黄色度YIは8.6、吸湿ブロッキング率は0質量%であった。
【0139】
〔実施例6〕
〔吸収体の成型〕
アルミホイル(10cm×10cm)の中央にシリンダー(高さ20mm、内径30mm)を置き、実施例2で得られた吸水性樹脂組成物(2)1gを均一に散布した。ここに20cm上方から霧吹きで脱イオン水を0.42g吹き付け、200メッシュのナイロンメッシュ(10cm×10cm)を被せた。その後速やかにスチーム高(麻)モードにした家庭用スチームアイロン(質量900g)を1分間置き、水蒸気を吹き付けた。得られた吸水性樹脂組成物(2)の吸湿物はシート状に固まっていた。これをシート状吸収体(1)とする。
【0140】
〔比較例3〕
実施例6において、実施例2で得られた吸水性樹脂組成物(2)の代わりに比較例1で得られた比較吸水性樹脂組成物(1)を用いた以外は実施例6と同様に操作した。得られた比較吸水性樹脂組成物(1)の吸湿物はシート状に固まっていた。これを比較シート状吸収体(1)とする。
【0141】
〔接着成型性の評価〕
前記吸湿ブロッキング率と同様に評価する。具体的には、前記成型されたシート状吸収体を速やかに(0分)直径80mm、目開き2000μmのJIS標準ふるいに移す。この時、シート状吸収体がアルミホイルに強固に付着し、ふるいに移せない場合は、吸湿しブロッキングを起こした状態のシート状吸収体を、できるだけ崩さないように注意しながら剥がし取ってふるいに移す。これをすぐに、振動分級器(IIDA SIEVE SHAKER、TYPE:ES-65型)により8秒間ふるい、ふるい上に残存したシート状吸収体の質量W5(g)およびふるいを通過した吸水性樹脂組成物の質量W6(g)を測定した。下式に従い成型度を計算した。前記分級後シート状吸収体をふるいに載せたまま静置し、成型から10分後と30分後にも前記分級を実施した。すなわち、30分後の測定では同一サンプルが3回分級されている。
【0142】
成型度(質量%)={質量W5(g)/(質量W5(g)+質量W6(g))}×100
〔液馴染み性の評価〕
シート状吸収体に青色1号で着色した0.9質量%塩化ナトリウム水溶液を、ピペットを用いて1滴(0.05g)滴下し、目視で液馴染み性を確認した。
【0143】
【表1】
【0144】
[まとめ]
実施例1~5は比較例1に比べてサステナブル原料の使用量が増加し、吸湿ブロッキング率が低下し、着色が低下した。着色が低下したのは白色のデンプン粒子に被覆されているためと推定される。実施例1~5は比較例2(水溶液重合)に比べて製造中の着色が減少した。実施例6は比較例3に比べて、恒久的な成型ができ、液馴染み性も向上した。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明の実施の一形態に係る吸水性樹脂組成物は、紙おむつ、生理用ナプキン、成人向
け失禁用製品(失禁パッド)、ペット用シート等の衛生材料(衛生用品)、農園芸用の土
壌保水剤、工業用の止水剤等、様々な吸水性物品において好適に利用することができる。
図1