(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018532
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】ユニットバスの壁下地枠体用連結部材
(51)【国際特許分類】
E04B 2/76 20060101AFI20220120BHJP
【FI】
E04B2/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020121694
(22)【出願日】2020-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000121729
【氏名又は名称】奥地建産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135437
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 哲三
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 渉
(72)【発明者】
【氏名】斧出 雄太
(57)【要約】 (修正有)
【課題】溶接に依らず且つ強度の高いユニットバスの壁下地枠体の連結部材を提供する。
【解決手段】壁下地枠体の縦枠11及び横桟13としてリップ付きC型チャンネル材を使用し、連結部材15が頂面部とその両側から下方に延長する脚部15aから成る横断面略コ字形状のものから成る。縦枠の溝条部を横向きにし、横桟の溝条部を上向きとして、両者を平面的に配置した状態で、連結部材の先端部に縦枠の上方リップ部に適合する鉤状部15kを上向きに設け、この鉤状部を縦枠の上方リップ部11rに適合させつつ横桟を縦枠に当接した状態で、連結部材の基端側をハンマー等で打撃し、連結部材の両脚部を横桟の両側部に強制嵌合させて縦枠と横桟を強固に連結固定できる。連結部材15の基端部に突出部15pや先端部に押圧作動部15bを設けることもできる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の縦枠及び上下の横枠と左右の縦枠間に架け渡された複数の横桟から成るユニットバスの壁下地枠体における前記縦枠と横桟とを連結する連結部材であって、
前記縦枠及び横桟がリップ付きC型チャンネル材を使用したものから成り、
前記連結部材が頂面部とその両側から下方に延長する脚部から成る下向き開口の横断面略コ字形状の金属製のものから成り、
前記連結部材の両脚部を前記横桟の端部に長手方向に位置調整可能な状態で強制嵌合させることができ、
前記縦枠の溝条部を横向きにし、前記横桟の溝条部を上向きとして、両者を平面的に配置した状態で、前記連結部材の長手方向先端部に前記縦枠の上方リップ部に適合する鉤状部を上向きに設け、
これにより前記鉤状部を縦枠の上方リップ部に適合させつつ横桟を前記縦枠に当接した状態で、前記連結部材の基端側をハンマー等で打撃し、前記連結部材の両脚部を横桟の両側面部に強制嵌合させて前記縦枠と前記横桟を連結固定できることを特徴とするユニットバスの壁下地枠体用連結部材。
【請求項2】
前記連結部材の頂面部の基端中央部に横桟の溝条部内に強制嵌入する突出部を下向きに設けたことを特徴とする請求項1に記載のユニットバスの壁下地枠体用連結部材。
【請求項3】
前記突出部において、その両側中央部が外側に膨出した形状を有していることを特徴とする請求項2に記載のユニットバスの壁下地枠体用連結部材。
【請求項4】
前記連結部材の先端中央部に2本の切込を設けて、これら2本の切込の間に押圧作動部を形成し、この押圧作動部の先端部には下方に折曲した押圧部を設け、この押圧作動部の中央基端部側には側面視山型の折曲部を設け、この山型を連結部材の頂面部から上に突出した状態に形成し、前記連結部材を横桟に強制嵌合して縦枠と横桟を連結した後、更にハンマー等で前記折曲部を打撃することにより前記押圧作動部の先端の押圧部が縦枠の下方リップ部を内側から外側に向かって押圧できることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のユニットバスの壁下地枠体用連結部材。
【請求項5】
前記連結部材の頂面部の略中央部に螺子孔を設け、当該螺子孔に螺子を上方から挿通させ、前記頂面部の下面に設けた係止部材を前記螺子の螺子軸に螺合させ締着することにより、前記係止部材が横桟の両側のリップ部を下方から締め付けて前記横桟が前記縦枠に固定されることを特徴とする請求項1に記載のユニットバスの壁下地枠体用連結部材。
【請求項6】
前記係止部材が所定横幅を有する細長板状のものからなり、前記横幅が横桟の溝条部の横幅よりも小さいものからなり、この係止部材の上面と前記連結部材の頂面部の裏面とが両面接着テープによって横桟の溝条部と適合する方向に接着され、この係止部材と螺合した前記螺子を上方から下方に押し下げることにより横桟の溝条部内に前記係止部材が適合し、その後前記係止部材を回動させ、前記螺子を締め付けることにより前記連結部材と前記横桟とが固定されることを特徴とする請求項5に記載のユニットバスの壁下地枠体用連結部材。
【請求項7】
前記連結部材の両側のそれぞれの脚部の適宜位置に内側に突出する突起部を設けたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のユニットバスの壁下地枠体用連結部材。
【請求項8】
前記連結部材の両側のそれぞれの脚部の基端側角部に内側に折り曲げ突出するような折曲部を設けたことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のユニットバスの壁下地枠体用連結部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、居住空間内の一部に設けられるユニットバスの壁下地枠体を構成する枠体や桟同士を連結するために使用する連結部材に関するものである。
より詳しくは、左右の縦枠及び上下の横枠と左右の縦枠間に架け渡された複数の横桟から成るユニットバスの壁下地枠体における前記縦枠と横桟とを連結する連結部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のユニットバスの四角外壁においては、複数枚の四角枠状の構成枠をボルト等により相互に連結し、その内側に石膏ボード及び合成樹脂製ボードやタイル等の内装材を張り付けて形成する。
【0003】
その構成枠は、四角枠の中に複数の桟材を格子状に設けたもので、従来においては四角枠の各辺を成す枠体と各桟材とは溶接により連結固定されていた。
しかし、このような溶接作業は、溶接の歪み、溶接物のもれ、メッキ層の剥がれ等が発生し、各桟材同士を突き合せた状態で溶接を行うために熟練が必要であった。
【0004】
更に、上記溶接作業は通常工場内で行うために、組立てられた壁下地構成枠の運搬や保管に大きな問題があった。
そこで、この問題を解決すべく下記特許文献1に記載の考案が提案された。
【0005】
下記特許文献1に記載の考案にあっては、四角枠の中に複数本の桟材を格子状に設けてなるユニットバスの外壁構成枠において、四角枠の内周面全長及び桟材の前記四角枠の内周側に対向する両側面全長に蟻溝を設け、これらの蟻溝を利用して連結具によって四角枠と桟材とを連結したものである。
この特許文献1に記載の考案では、上記四角枠及び桟材の蟻溝を有する横断面形状が特殊な形状のものを使用している。
【0006】
下記特許文献2に記載の発明にあっては、 ユニットバスのタイル壁の補強フレ-ムを、溶接を用いないで、現場において簡単に組立てることを可能にし、溶接歪やめっき層の剥れを防ぎ、保管や輸送等の取り扱いを便利にすることを課題とする。
【0007】
その構成は、補強フレ-ムの縦フレ-ム部材と横フレ-ム部材の結合を樹脂製のジョイント部品によって行ない、ジョイント部品のベース面の突出部を縦フレ-ム部材の孔に挿入し、且つ、該ベ-ス面に直角の一対の側板の外側面に在る突起を横フレ-ム部材の孔に挿入し、嵌合方式によって組み立てるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実全平4-360207公報
【特許文献2】特開平8-151732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明においても、ユニットバスの壁下地枠体の形成を溶接に依らずに、設置現場で容易に組み立てられ得るものを提供する点は上記特許文献に記載の発明等と同じであるが、そこで用いられる連結部材の改良を目的としており、上記特許文献2のような合成樹脂製のものでなく、金属製のものを利用し、その構成を改良してより強度のある連結部材を提供し、構築された壁下地枠体もより強度の大きい枠体構造を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、本発明の第1のものは、左右の縦枠及び上下の横枠と左右の縦枠間に架け渡された複数の横桟から成るユニットバスの壁下地枠体における前記縦枠と横桟とを連結する連結部材であって、前記縦枠及び横桟がリップ付きC型チャンネル材を使用したものから成り、前記連結部材が頂面部とその両側から下方に延長する脚部から成る下向き開口の横断面略コ字形状の連結部材を有し、前記連結部材の両脚部を前記横桟の端部に長手方向に位置調整可能な状態で強制嵌合させることができ、前記縦枠の溝条部を横向きにし、前記横桟の溝条部を上向きとして、両者を平面的に配置した状態で、前記連結部材の長手方向先端部に前記縦枠の上方リップ部に適合する鉤状部を上向きに設け、これにより前記鉤状部を縦枠の上方リップ部に適合させつつ横桟を前記縦枠に当接した状態で、前記連結部材の基端側をハンマー等で打撃し、前記連結部材の両脚部を横桟の両側部に強制嵌合させて前記縦枠と前記横桟を連結固定できることを特徴とするユニットバスの壁下地枠体用連結部材である。
【0011】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記連結部材の頂面部の基端中央部に横桟の溝条部内に強制嵌入する突出部を下向きに設けたことを特徴とするユニットバスの壁下地枠体用連結部材である。
【0012】
本発明の第3のものは、上記第2の発明において、前記突出部において、その両側中央部が外側に膨出した形状を有していることを特徴とするユニットバスの壁下地枠体用連結部材である。
【0013】
本発明の第4のものは、上記第1乃至第3の発明において、前記連結部材の先端中央部に2本の切込を設けて、これら2本の切込の間に押圧作動部を形成し、この押圧作動部の先端部には下方に折曲した押圧部を設け、この押圧作動部の中央基端部側には側面視山型の折曲部を設け、この山型を連結部材の頂面部から上に突出した状態に形成し、前記連結部材を横桟に強制嵌合して縦枠と横桟を連結した後、更にハンマー等で前記折曲部を打撃することにより前記押圧作動部の先端の押圧部が縦枠の下方リップ部を内側から外側に向かって押圧できることを特徴とするユニットバスの壁下地枠体用連結部材である。
【0014】
本発明の第5のものは、上記第1の発明において、前記連結部材の頂面部の略中央部に螺子孔を設け、当該螺子孔に螺子を上方から挿通させ、前記頂面部の下面に設けた係止部材を前記螺子の螺子軸に螺合させ締着することにより、前記係止部材が横桟の両側のリップ部を下方から固定して前記横桟が前記縦枠に固定されることを特徴とするユニットバスの壁下地枠体用連結部材である。
【0015】
本発明の第6のものは、上記第5の発明において、前記係止部材が所定横幅を有する細長板状のものからなり、前記横幅が横桟の溝条部の横幅よりも小さいものからなり、この係止部材の上面と前記連結部材の頂面部の裏面とが両面接着テープによって横桟の溝条部と適合する方向に接着され、この係止部材と螺合した前記螺子を上方から下方に押し下げることにより横桟の溝条部内に前記係止部材が適合し、その後前記係止部材を回動させ、前記螺子を締め付けることにより前記連結部材と前記横桟とが固定されることを特徴とするユニットバスの壁下地枠体用連結部材である。
【0016】
本発明の第7のものは、上記それぞれの発明において、前記連結部材の両側のそれぞれの脚部の適宜位置に内側に突出する突起部を設けたことを特徴とするユニットバスの壁下地枠体用連結部材である。
【0017】
本発明の第8のものは、上記それぞれの発明において、前記連結部材の両側のそれぞれの脚部の基端側角部に内側に折り曲げ突出するような折曲部を設けたことを特徴とするユニットバスの壁下地枠体用連結部材である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1のものにおいては、縦枠及び横桟がリップ付きC型チャンネル材を使用しており、つまり、一般に存在する形態の型材を用いており、特別な加工を必要としないものをそのまま利用できる。
前記連結部材の両脚部を前記横桟の端部に長手方向に位置調整可能な状態で強制嵌合させることができ、前記縦枠の溝条部を横向きにし、前記横桟の溝条部を上向きとして、両者を平面的に配置した状態で、前記連結部材の長手方向先端部に前記縦枠の上方リップ部に適合する鉤状部を上向きに設け、これにより前記鉤状部を縦枠の上方リップ部に適合させつつ横桟を前記縦枠に当接した状態で、前記連結部材の基端側をハンマー等で打撃し、前記連結部材の両脚部を横桟の両側部に強制嵌合させて前記縦枠と前記横桟を強固に連結固定できる
換言すると、いわゆるカチコミ式にハンマー等で連結部材の基端側を打撃して強制嵌合させることができ、簡単に強固に縦枠に横桟の一方端部を連結固定できる。
このようにして、横桟の他方端部もカチコミ式に連結固定することができる。
【0019】
尚、上記強制嵌合にあっては、上記のように、長手方向に位置調整可能な状態で嵌合させることが出来る程度であり、完全な固定を行うのではなく、云わば仮固定程度の嵌合を意味しており、その位置を調整できる程度のものである。
【0020】
更に、本発明の第1のものにおいては、上記した通り、縦枠や横枠の断面形状はC型断面(リップ溝形)のものを使用しており、本発明に係る連結部材を使用して連結(接合)を容易にすることに加え、次工程でウレタンを充填する。
従来の溶接による製作に際しては、角パイプなどを使用していることからウレタンの充填範囲は限られていたが、本発明ではC型断面を有する枠体や横桟を使用することにより部材内部までウレタンが充填されるため、その充填効果の向上も期待できる。
【0021】
本発明の第2のものにおいては、上記連結部材の連結部材の頂面部の基端中央部に横桟の溝条部内に強制嵌入する突出部を下向きに更に設けたものである。
これにより、上記突出部が横桟の溝条部内に強制嵌入して相互に固定される。つまり、上記の連結部材両側の両脚部の嵌合と共に上記突出部の嵌入の両者によって横桟が縦枠に固定されることとなり、より強固な固定となる。
【0022】
本発明の第3のものにおいては、前記突出部の両側中央部が外側に膨出した形状を有しており、例えば、山型とか小判型のように、その中央部を外方に膨出する形状を採用しており、連結部材の位置決めや抜け止め機能を発揮できる。
【0023】
本発明の第4のものにおいては、上記構成に加えて更に押圧作動部を形成し、この押圧作動部の先端部には下方に折曲した押圧部を設け、この押圧作動部の中央基端部側には側面視山型の折曲部を設け、この山型を連結部材の頂面部から上に突出した状態に形成し、前記連結部材を横桟に強制嵌合して縦枠と横桟を連結した後、更にハンマー等で前記折曲部を打撃することにより前記押圧作動部の先端の押圧部が縦枠の下方リップ部を内側から外側に向かって押圧できることとなる。
これにより、上記連結部材の両脚部の強制嵌合、突出部の強制嵌入、そして上記押圧部の押圧力の3つの作用力によって、横桟と縦枠が更に強固に連結固定される。
【0024】
本発明の第5のものにおいては、上記第1の発明において、前記連結部材の頂面部の略中央部に螺子孔を設け、当該螺子孔に螺子を上方から挿通させ、前記頂面部の下面に設けた係止部材を前記螺子の螺子軸に螺合させ締着することにより、前記係止部材が横桟の両側のリップ部を下方から締め付けて前記横桟が前記縦枠に固定されるのである。
即ち、上記第1の発明の両脚部による強制嵌合に加えて、上記係止部材の固定により横桟が縦枠に強固に固定されることとなる。
【0025】
本発明の第6のものにおいては、前記係止部材についてより限定したものであり、即ち、前記係止部材が所定横幅を有する細長板状のものからなり、前記横幅が横桟の溝条部の横幅よりも小さいものからなり、この係止部材の上面と前記連結部材の頂面部の裏面とが両面接着テープによって横桟の溝条部と適合する方向に接着され、この係止部材と螺合した前記螺子を上方から下方に押し下げることにより横桟の溝条部内に前記係止部材が適合し、その後前記係止部材を回動させ、前記螺子を締め付けることにより前記連結部材と前記横桟とが固定されるのである。
【0026】
即ち、両面接着テープによって係止部材が連結部材の頂面部裏面に接着され、しかも、その接着方向が、横桟の溝条部に適合する方向に設けられているために、係止部材を溝条部に揃える手間が省け、螺子を押し込むことによって上記係止部材がカチっと溝条部に嵌る感触を得ることができ、係止部材が横桟の溝条部に正しく挿入された確認を取ることが出来る。その後に螺子を押し下げて係止部材を溝条部内に挿入し、回動させ、螺子を締め付けて係止部材は横桟の溝条部の両側のリップ部を下から締め付けることが出来ることとなるのである。
【0027】
本発明の第7のものにおいては、前記連結部材の両側のそれぞれの脚部の適宜位置に内側に突出する突起部を設けたものであって、上記それぞれの発明において、両脚部の内側に設けた突起が横桟の両側部に食い込んで連結部材と横桟との連結がより強固なものとなる。
【0028】
本発明の第8のものにおいては、前記連結部材の両側のそれぞれの脚部の基端側角部に内側に折り曲げ突出するような折曲部を設けたため、上記それぞれの発明において、両脚部の基端側角部に設けた折曲部が横桟の両側部に食い込んで連結部材と横桟との連結をより強固なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に係る連結部材によって形成されたユニットバスの壁下地枠体を示す全体説明図である。
【
図2】上記実施形態に係る連結部材の9面を図示したもので、その(a)が左上前方から見た斜視図、その(b)が平面図、その(c)が右上後方から見た斜視図、その(d)が正面図、その(e)が左側面図、その(f)が背面図、その(g)が左下前方から見た斜視図、その(h)が底面図、その(i)が右下後方から見た斜視図である。
【
図3】上記実施形態に係る連結部材によって縦枠と横桟とを連結し固定する最初の状態を図示した説明図である。
【
図4】上記
図3の状態で連結部材の基端側をハンマー等で上方から下方に向かって打撃して更に連結部材の両脚部が横桟に嵌合した状態を示す説明図である。
【
図5】上記
図4の状態で連結部材の基端側を更にハンマー等で上方から下方に向かって打撃して連結部材の両脚部が横桟に完全に嵌合した状態を示す説明図である。
【
図6】上記
図3乃至
図5で説明した連結部材の各部の動きと作用を説明した断面説明図であり、その(A)が縦枠に横桟を当接して連結部材をセットした状態を示し、その(B)が連結部材の基端部をハンマー等で打撃して連結部材の両脚部を横桟の両側面部に嵌合した状態を示し、その(C)が押圧作動部の折曲部をハンマー等で打撃してその押圧部を縦枠の下方リップ部を内側から押圧した状態を示したものである。
【
図7】本発明に係る連結部材の第2実施形態により縦枠と横桟とを連結固定した状態を示す説明図である。
【
図8】上記第2実施形態に係る連結部材を下面側から見た斜視説明図である。
【
図9】上記四角枠体の角部を連結するための角部連結部材を図示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面と共に本発明の実施形態につい説明する。
図1は、本発明に係る連結部材によって形成されたユニットバスの壁下地枠体を示す全体説明図である。
【0031】
この壁下地枠体10は、左右の縦枠11、11と上下の横枠12、12により矩形形状に形成された四角枠体に横桟13が3本、縦桟11、11の間に横方向に略平行に掛け渡されて形成される。
横桟13の数は適宜必要に応じて設定することができる。
【0032】
縦枠11と横桟13の両端部が本発明に係る連結部材15によって連結され、固定され、上記壁下地枠体10が形成される。
図中一点鎖線で囲まれた部分の連結箇所において本発明に係る連結部材15が使用される。
【0033】
この壁下地枠体10は、縦枠11と横枠12の連結部(枠体の角部)も、溶接に依らずに角部連結部材によって連結固定されるのであるが、この角部連結部材は上記連結部材15とは異なる構成となる。
このように、本発明に係る連結部材15を用いることによりユニットバスの壁下地枠体が溶接に依らず、設置現場で容易に組み立て設置することができる。
【0034】
図2は、上記実施形態に係る連結部材の9面を図示したもので、その(a)が左上前方から見た斜視図、その(b)が平面図、その(c)が右上後方から見た斜視図、その(d)が正面図、その(e)が左側面図、その(f)が背面図、その(g)が左下前方から見た斜視図、その(h)が底面図、その(i)が右下後方から見た斜視図である。
【0035】
これらの9面図から良く解る通り、本発明に係る連結部材15は、横断面略コ字形状の金属製の連結部材15から成り、その頂面部15cの両側から下方に脚部15aが延長し、頂面部15cの基端(図中右端)中央部には下方に延長する突出部15pが設けられ、頂面部15cの先端(図中左端)の両側には上向きに凹所を有する鉤状部15kが設けられ、更に頂面部15cの先端中央部には押圧作動部15bを設けたものから成る。
【0036】
尚、上記突出部15pは、図からも分かる通り、その両側の中央部が外側に膨出した山型形状を有している。この突出部15pの形状は、小判型であってもよい。嵌合の強度及び抜け止め効果を図るものである。
【0037】
上記押圧作動部15bは、この連結部材15の先端中央部に2本の切り込みを形成してその切り込みの間の部分を
図2(e)に示した通り、頂面部15cから山型に突出する折曲部(山型部)15yを有し、その先端部には斜め下方向に折曲する押圧部15dを有している。
更に、上記両脚部15a、15aにはその内側に突出する突起部15tがそれぞれ設けられている。
【0038】
上記構成から成る本発明に係る連結部材15のそれぞれの部位の作用効果及びその使用方法については以下の
図3乃至
図5を用いて説明する。
【0039】
図3は、上記縦枠と横桟とを本発明に係る連結部材によって連結し固定する最初の状態を図示した説明図である。
この図のように、縦枠11の図中右側にその溝条部11mが来るように配置し、この溝条部11mにその先端部を当接するように横桟13の溝条部13mを図中上側に向けて当接する。
【0040】
その際に、連結部材15の先端両側に設けた鉤状部(図では隠れている。)を縦枠11の上記溝条部11mの上方リップ部11rに下から引っ掛けるようにして係合して連結し、その後当該連結部材15の基端側(図中右側)を下方に押圧すると、
図3の状態となり、仮の係合状態となる。
即ち、連結部材15の両脚部11a、11aの先端部位が横桟13の両側面部13sに一部嵌合して仮固定されるのである。
【0041】
図4は、上記
図3の状態で連結部材の基端側をハンマー等で上方から下方に向かって打撃して更に連結部材の両脚部が横桟に嵌合した状態を示す説明図である。
この
図4においては、連結部材15の基端側の突出部15pは、横桟13の溝条部13mの内部に嵌入していない状態である。
【0042】
この状態で、縦枠11に当接した横桟13は、連結部材15の両脚部15a、15aの先端側が横桟13の両側面部13s、13sと嵌合して半分程度固定された状態となる。
つまり、仮止め状態である。
【0043】
図5は、上記
図4の状態で連結部材の基端側を更にハンマー等で上方から下方に向かって打撃して、連結部材の両脚部が横桟に完全に嵌合した状態を示す説明図である。
この
図5の状態で、連結部材15は、横桟13の両側面部13s、13sに完全に嵌合し、また、連結部材15の基端側の突出部15pも横桟13の溝条部13m内に強制嵌入されて縦枠11と横桟13とは完全に固定される。
【0044】
この
図5の状態においては、押圧作動部15bの山型部(折曲部)15yをハンマー等で上から下方向に打撃することによって、当該押圧作動部15bは、その頂面部15cと連接する連接部15rを回動中心として左方向に回動し、図には現れていない押圧部が縦枠11の下方リップ部を内側から外側に向かって押圧し、縦枠11と横桟13との連結固定を更に堅固なものとする。この点については次の図面で説明する。
【0045】
図6は、上記
図3乃至
図5で説明した連結部材の各部の動きと作用を説明した断面説明図であり、その(A)が縦枠に横桟を当接して連結部材をセットした状態を示し、その(B)が連結部材の基端部をハンマー等で打撃して連結部材の両脚部を横桟の両側面部に嵌合した状態を示し、その(C)が押圧作動部の山型部をハンマー等で打撃してその押圧部を縦枠の下方リップ部を内側から押圧した状態を示したものである。
【0046】
これらの図から本発明に係る連結部材15の機能及び作用を見て取ることができる。
縦枠11は、その溝条部11mを横向き(図では右向き)にし、この縦枠11の溝条部11mに向かって当接するように横桟13の端部を当接し、これと同時に上記連結部材15の鉤状部15kの凹所を縦枠11の上方リップ部11rに引っ掛けるようにしてセットする。
この状態では連結部材15の両脚部15a、15aは横桟13の両側面部と嵌合していない。
【0047】
次に、連結部材15の基端側を、
図6(B)中の矢印で示したように、上方からハンマー等で打撃を加える。
これにより、連結部材15の両側面部15a、15aが横桟13の両側面部に嵌合すると同時に、その基端側の突出部15pが横桟13の上向きの溝条部に強制嵌入され、相互に固定される。
【0048】
更に、連結部材15の両側面部15a、15aに設けられた突起15t、15tも横桟15の両側面部に食い込んだ状態となり、相互の連結が強固になる。
また、連結部材15の基端側角部に設けた起立部15qも横桟15の両側面に食い込んだ状態となり、相互の連結固定が強固なものとなる。
この起立部15qは、連結部材15の基端側角部を内側に折り曲げたものから成る。
【0049】
最後に、
図6(C)に図示した通り、押圧作動部15bの山型部(折曲部)15yをハンマー等により下方に打撃を加えることにより、押圧作動部15bの先端の押圧部15dが縦枠11の下方リップ部11sを内側から外側に向かって押圧し、縦枠11と横桟13との当接結合がより強固に完全なものとなるのである。
【0050】
図7は、本発明に係る連結部材の第2実施形態により縦枠と横桟とを連結固定した状態を示す説明図である。
図8は、上記第2実施形態に係る連結部材を下面側から見た説明図である。
【0051】
この第2実施形態に係る連結部材25は、頂面部25cと、この頂面部25cから下方に延長する脚部25a、25aを有する横断面略コ字形状を有する金属製のものから成り、前記頂面部25cの先端部の両側には上向き凹所を有する鉤状部25k、25kを有し、前記頂面部の略中央部には螺子孔を設けて螺子26の軸部を挿通させることができ、連結部材25の頂面部25cの螺子孔を挿通した前記螺子26の軸部の先端側には係止部材27を設けたものから成る(
図8参照)。
【0052】
図7では、縦枠11と横桟13とが連結固定された状態を図示しているが、縦枠11の溝条部11mを横向きにし、この溝条部11mに向かって横桟13の溝条部13mを上向きにして当接し、これと同時に上記連結部材25の鉤状部25kの凹所を縦枠11の上方リップ部11rに引っ掛け、その後に頂面部25cをハンマー等で上方から下方に打撃を加え、連結部材25の両側面部25aを横桟13の両側面部13s、13sに嵌合させる。
【0053】
その後に上記螺子26を締め付けることによりその軸部先端に螺合されている係止部材27を締め付けて、当該係止部材27は金属製長板から形成されており、当該金属製長板の両端部が横桟13の溝条部13mの両側にあるリップ部を下方から締着することによって当該連結部材25が横桟13に固定されると同時に縦桟11に固定され、縦枠11と横桟13とが連結固定されることとなるのである。
【0054】
上記固定において、連結部材25の両脚部25a、25aが横桟13の両側面部13s、13sと嵌合することによって仮止めの効果も発揮できる。
この第2実施形態では、上記第1実施形態のように、連結部材25の基端中央に突出部を形成しておらず、また両脚部25a、25aに突起部を設けていないが、これらを設けることも自由である。
【0055】
更に、この第2実施形態においては、上記連結部材25を横桟13に固定する際に、横桟13の溝条部13m内に所定幅の細長板材からなる係止部材27を適合させるために、当該係止部材27が溝条部13m入るように向きを揃える必要があるが、小さい部品のため、係止部材27の向きを溝条部13mに揃えることが難しい。
【0056】
そこで、係止部材27を両面接着テープによって連結部材25の頂面部25cの裏面に予め接着しておくのである。
この接着は、係止部材27の向きが溝条部13mに適合するように、溝条部13mに丁度嵌り込むように接着しておく。
【0057】
つまり、両面接着テープによって係止部材27を貼り付けた際に、この係止部材27に螺合した螺子26が連結部材25の頂面部25cから上方に突出するようにしておく。
この突出した螺子26の頭部を押し込むことにより、係止部材27が両面接着テープから剥がれると同時に横桟13の溝条部13mに嵌り込む。
【0058】
螺子26を押込んだ際の感触(カチッとはまる感触)により、係止部材27が横桟13の溝条部13m内に正しく嵌入された合図にもなる。
その後、螺子26を締め付け、係止部材27は回動して、横桟13の溝条部13mの両側のリップ部を下面から締め付けることができることとなるのである。
【0059】
以上の第1及び第2実施形態に係る連結部材15及び連結部材25により横桟13の両端部が縦枠11に連結固定されるのであるが、上記ユニットバス用壁下地枠体に係る四角枠体の角部にあっては、別の角部連結部材を使用して連結固定することができる。
【0060】
図9が上記四角枠体の角部を連結するための角部連結部材を図示する説明図である。
ここで使用する角部連結部材30は、直方体形状の本体部30hと、この本体部30hから上方に延長する縦枠連結部30tと、この縦枠連結部30tと直角に延長する横枠連結部30yとから成る。
【0061】
上記角部連結部材30は、全て合成樹脂製である。
上記縦枠連結部30tが縦枠の端部に強制嵌入することができ、上記横枠連結部30yが横枠12の端部に強制嵌入することができ、これにより縦枠11と横枠12の端部同士が連結され固定される。
【0062】
上記連結部材15及び連結部材25は、縦枠11と横桟13の端部を連結固定するものであり、これら縦枠11と複数の横桟13を連結部材15、25によって連結固定した後に上記角部連結部材30により縦枠11と横枠12とを連結固定してもよいし、その逆の手順によって行うこともできる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、その実施形態については下記の通り種々設計変更することが可能である。
上記第1及び第2実施形態に係る連結部材の各部の大きさ、サイズ等は適宜必要に応じて設計変更することができる。
【0064】
第1実施形態にあっては、連結部材の先端部に少なくとも鉤状部が設けられ、両側の脚部が横桟に強制嵌合(仮止め嵌合)される形態であればよい。
連結部材の基端側の突出部や押圧作動部及び突起部は、適宜必要に応じて追加の構成要素となる。
これらの構成要素を全て備えることにより最も強固な連結固定が可能となるものである。
【0065】
第2実施形態にあっては、螺子軸の先端側で横桟の内部に配設される係止部材は、金属製の細長板材であればよく、その形状は問わない。
要は、横桟の溝条部の内部でその両側のリップ部を下から抑え固定できるものであればよい。
上記した通り、この係止部材は、両面接着テープにより連結板材の頂面部の裏面に接着して横桟の溝条部に容易に嵌入できるようにすることも可能である。
【0066】
以上、本発明に係る連結部材は、ユニットバスの壁下地枠体の形成を溶接に依らずに、ハンマー等のカチコミ方式で縦枠及び横桟を連結固定することができ、設置現場にて容易に組み立て固定を行うことができる極めて便利なものを提供することができた。
【符号の説明】
【0067】
10 壁下地枠体
11 縦枠
11m、13m 溝条部
11r 上方リップ部
11s 下方リップ部
12 横枠
13 横桟
13s、 側面部
15、25 連結部材
15a、25a 脚部
15b 押圧作動部
15c、25c 頂面部
15d 押圧部
15k、25k 鉤状部
15p 突出部
15q 起立部
15r 連接部
15t 突起部
15y 折曲部(山型部)
26 螺子
27 係止部材