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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185323
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1343 20060101AFI20221207BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20221207BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALN20221207BHJP
   G02F 1/13 20060101ALN20221207BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/1339 505
G02F1/1368
G02F1/13 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092929
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安達 浩一郎
【テーマコード(参考)】
2H088
2H092
2H189
2H192
【Fターム(参考)】
2H088EA27
2H088MA04
2H092GA25
2H092GA28
2H092GA31
2H092GA33
2H092GA59
2H092GA64
2H092JA24
2H092JB58
2H092JB79
2H092KB22
2H092NA14
2H092PA04
2H092RA10
2H189DA87
2H189LA03
2H192AA24
2H192BC72
2H192EA67
2H192FA39
2H192FA81
2H192GA04
2H192GA21
2H192GA31
(57)【要約】
【課題】 良好な画像表示を維持することができる表示装置を提供すること。
【解決手段】 一実施形態によれば、表示装置は、第1基板と、第1基板と対向する第2基板と、第1基板と第2基板との間に配置される液晶層と、第1基板と第2基板とを接着し、液晶層を封止するシールと、を備える。第1基板は、画像を表示する表示領域に配置される画素電極と、表示領域を囲む周辺領域に配置される周辺回路と、周辺回路と平面視において重なる位置に配置されるシールド電極と、を含む。第2基板は、表示領域に配置され、画素電極と対向する共通電極を含む。シールド電極と共通電極とは、平面視において重畳しない。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板と対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に配置される液晶層と、
前記第1基板と前記第2基板とを接着し、前記液晶層を封止するシールと、を具備し、
前記第1基板は、
画像を表示する表示領域に配置される画素電極と、
前記表示領域を囲む周辺領域に配置される周辺回路と、
前記周辺回路と平面視において重なる位置に配置されるシールド電極と、を備え、
前記第2基板は、
前記表示領域に配置され、前記画素電極と対向する共通電極を備え、
前記シールド電極と前記共通電極とは、平面視において重畳しない、
表示装置。
【請求項2】
前記シールド電極は、前記周辺回路に含まれ所定の固定電位を与える配線に接続される、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記配線は、前記シールド電極に対して、前記シールから漏出されるイオンが有する電荷と同種の固定電位を与える、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記配線は、前記シールド電極に対して正の固定電位を与える、
請求項2または請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記配線は、前記シールド電極に対して負の固定電位またはグランド電位を与える、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記共通電極は、前記表示領域から前記周辺領域に向けて引き出される引出配線を含み、
前記シールド電極は、前記引出配線とも平面視において重畳しない、
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1基板は、
前記画素電極と電気的に接続される画素回路と、
前記画素回路を覆う第1平坦化膜と、をさらに備え、
前記画素電極は、前記第1平坦化膜の上に配置され、前記第1平坦化膜に形成される開口部を通じて前記画素回路と接触する、
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記シールド電極は、前記画素電極と同層に配置される、
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1基板は、
前記画素電極と電気的に接続される画素回路と、
前記画素回路を覆う第1平坦化膜と、
前記第1平坦化膜の上に配置される中継電極と、
前記中継電極を覆う第2平坦化膜と、をさらに備え、
前記画素電極は、前記第2平坦化膜の上に配置され、前記第2平坦化膜に形成される開口部を通じて前記中継電極と接触することで前記画素回路と電気的に接続する、
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記シールド電極は、前記中継電極と同層に配置される、
請求項9に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ウェアラブルデバイス(例えば腕時計型のウェアラブルデバイス、眼鏡型のウェアラブルデバイス等)が普及してきている。このようなウェアラブルデバイスにおいては、良好な画像表示を維持することが望まれており、種々様々な開発が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-13406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、良好な画像表示を維持することができる表示装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、表示装置は、第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置される液晶層と、前記第1基板と前記第2基板とを接着し、前記液晶層を封止するシールと、を具備する。前記第1基板は、画像を表示する表示領域に配置される画素電極と、前記表示領域を囲む周辺領域に配置される周辺回路と、前記周辺回路と平面視において重なる位置に配置されるシールド電極と、を備える。前記第2基板は、前記表示領域に配置され、前記画素電極と対向する共通電極を備える。前記シールド電極と前記共通電極とは、平面視において重畳しない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、一実施形態に係る表示装置の一構成例を示す平面図である。
図2図2は、同実施形態に係る表示装置の一構成例を示す断面図である。
図3図3は、同実施形態に係る周辺領域の一部を拡大して示す平面図である。
図4図4は、第1比較例に係る表示装置を示す断面図である。
図5図5は、同実施形態に係る表示装置が奏し得る効果を説明するための図である。
図6図6は、同実施形態に係る表示装置の別の構成例を示す断面図である。
図7図7は、第2比較例に係る表示装置を示す断面図である。
図8図8は、同実施形態に係る表示装置を構成する第1基板の一構成例を示す断面図である。
図9図9は、同実施形態に係る表示装置を構成する第1基板の別の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の趣旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実施の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0008】
図1は、一実施形態に係る表示装置1の一構成例を示す平面図である。一例では、第1方向X、第2方向Y、および第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第1方向Xおよび第2方向Yは、表示装置1を構成する基板の主面と平行な方向に相当し、第3方向Zは、表示装置1の厚さ方向に相当する。本明細書においては、第3方向Zを示す矢印の先端に向かう方向を上方向、当該矢印の先端から反対に向かう方向を下方向と称することもある。また、第3方向Zを示す矢印の先端側に表示装置1を観察する観察位置がある。この観察位置から、第1方向Xおよび第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視と言う。
【0009】
図1に示すように、表示装置1は、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAを囲む額縁状の周辺領域SAと、を備えている。表示領域DAには画素PXが配置されている。具体的には、表示領域DAには、多数の画素PXが第1方向Xおよび第2方向Yに沿ってマトリクス状に配列されている。本実施形態において、画素PXは、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の副画素SPを含む。また、各副画素SPは、複数のセグメント画素SGを有する。各セグメント画素SGは、面積の異なる画素電極PEを有しており、複数のセグメント画素SGの表示/非表示状態を切り替えることで、副画素SPごとに階調が形成される。
【0010】
図1において拡大して示すように、セグメント画素SGは、スイッチング素子SW、画素回路PC、画素電極PE、共通電極CE、液晶層LC、等を備えている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成され、走査線Gおよび信号線Sと電気的に接続されている。走査線Gは、第1方向Xに並んだセグメント画素SGの各スイッチング素子SWと電気的に接続されている。信号線Sは、第2方向Yに並んだセグメント画素SGの各スイッチング素子SWと電気的に接続されている。画素電極PEは、画素回路PCからの出力に基づいて所定の電位が与えられる。画素電極PEの各々は、表示領域DAの全面に亘って配置された共通電極CEと対向し、画素電極PEと共通電極CEとの間に生じる電界(縦電界)によって液晶層LCを駆動している。走査線Gおよび信号線Sは周辺領域SAに配置される周辺回路と電気的に接続されている。
【0011】
なお、本実施形態では、各副画素SPが複数のセグメント画素SGを有するとしたが、これに限定されず、各副画素SPは1つのセグメント画素SGを有するとしてもよい。この場合、副画素SPが、図1において拡大して示したセグメント画素SGに相当し、スイッチング素子SW、画素回路PCおよび画素電極PEは、副画素SPごとに形成される。
【0012】
周辺領域SAには、走査線Gや信号線Sと接続する各種ドライバや、画素電極PEや共通電極CEに所定の電位を与える配線、等を含む周辺回路が配置されている。なお、周辺回路については後述するため、図1ではその図示を省略している。周辺領域SAには、シールド電極E1が配置されている。シールド電極E1は、周辺領域SAのうち、周辺回路が配置された領域のほぼ全面に亘って配置されている。また、シールド電極E1と共通電極CEは、平面視において重畳しない。シールド電極E1は、表示領域DAから周辺領域SAに向けて引き出される引出配線CELとも、平面視において重畳しない。引出配線CELは、共通電極CEの一部であり、周辺領域SAにおいて、共通電極CEに所定の電位を与えるための配線と電気的に接続される部分である。周辺領域SAには、シールSEが配置され、液晶層LCを封止している。
【0013】
図2は、本実施形態に係る表示装置1の一構成例を示す断面図である。以下では、表示領域DA側の構成と、周辺領域SA側の構成とのそれぞれについて説明する。
【0014】
表示装置1は、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、シールSEと、液晶層LCと、スペーサSPAと、を備えている。第1基板SUB1および第2基板SUB2は、X-Y平面と平行な面を有する平板状に形成されている。第1基板SUB1および第2基板SUB2は、平面視において重畳し、シールSEによって接着されている。液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に配置され、シールSEによって封止されている。シールSEには、ここでは図示しない導通材(金属でコーティングされた導電ビーズ)が含まれており、これにより、第1基板SUB1側の構成と、第2基板SUB2側の構成とが電気的に接続される。スペーサSPAは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に配置され、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に所定のセルギャップを形成している。
なお、図2では図示を省略しているが、第2基板SUB2の上には偏光板やカバー部材がさらに設けられる。
【0015】
表示領域DA側において、第1基板SUB1は、図2に示すように、透明基板10と、画素回路PCと、平坦化膜11と、画素電極PEと、配向膜AL1と、を備えている。第1基板SUB1は、上述した構成の他に、図1に示した走査線Gや信号線S、スイッチング素子SW、等を備えているが、図2ではこれらの図示を省略している。
【0016】
透明基板10は、主面(下面)10Aと、主面10Aの反対側の主面(上面)10Bと、を備えている。画素回路PCは、透明基板10の上に配置されている。平坦化膜11は、少なくとも1つ以上の絶縁膜によって構成されており、画素回路PCを覆っている。画素電極PEは、平坦化膜11の上に配置され、平坦化膜11に形成された開口部OP1を通じて画素回路PCに接続されている。配向膜AL1は、画素電極PEを覆い、液晶層LCに接している。
なお、図2においては、画素回路PCを簡略化して図示しているが、実際には画素回路PCは半導体層や各層の電極を含んでいる。
【0017】
表示領域DA側において、第2基板SUB2は、図2に示すように、透明基板20と、カラーフィルタCFと、オーバーコート層OCと、共通電極CEと、配向膜AL2と、を備えている。
【0018】
透明基板20は、主面(下面)20Aと、主面20Aの反対側の主面(上面)20Bと、を備えている。カラーフィルタCFは透明基板20の主面20A側に配置され、画素電極PEと対向している。カラーフィルタCFは、赤色カラーフィルタCFR、緑色カラーフィルタCFG、青色カラーフィルタCFB、等を含む。オーバーコート層OCは、カラーフィルタCFを覆っている。共通電極CEは、複数のセグメント画素SG(複数の画素PX)に亘って配置され、第3方向Zにおいて複数の画素電極PEと対向している。共通電極CEはオーバーコート層OCの上に配置されている。配向膜AL2は、共通電極CEを覆い、液晶層LCに接している。なお、図2では、表示領域DA側の第2基板SUB2の構成として、各カラーフィルタCFを区画する遮光膜が設けられていない構成を説明したが、各カラーフィルタCFを区画するための遮光膜が設けられ、この遮光膜がカラーフィルタCFの一部と重なる構成であってもよい。
【0019】
透明基板10および20は、例えばガラス基材やプラスチック基板などの絶縁基板である。平坦化膜11は、例えばアクリル樹脂などの透明な有機絶縁膜によって形成されている。一例では、平坦化膜11は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物などの無機絶縁膜と有機絶縁膜を含む複数層で構成されていても構わない。画素電極PEは、反射電極として形成され、例えば、ITO(インジウム錫酸化物)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電膜と、反射電極としての銀(Ag)とを積層する構成となっている。共通電極CEは、例えばITOやインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成された透明電極である。配向膜AL1およびAL2は、液晶層LCの液晶材料に配向規制力を与える膜である。配向規制力は、ラビング処理により付与されてもよいし、光配向処理により付与されてもよい。
【0020】
周辺領域SA側において、第1基板SUB1は、図2に示すように、透明基板10と、周辺回路SCと、平坦化膜11と、シールド電極E1と、配向膜AL1と、を備えている。以下では、表示領域DA側において既に説明した構成については、その詳しい説明を省略する。
【0021】
透明基板10の上には、周辺回路SCが配置されている。周辺回路SCは、上述したように、各種ドライバや各種配線を含み、例えば、共通電極CEに所定の電位を与えるための配線や、シールド電極E1に所定の電位を与えるための配線、等を含む。以下では、シールド電極E1に所定の電位を与えるための配線を、給電線FLと称して説明する。平坦化膜11は、周辺回路SCを覆っている。平坦化膜11の上には、シールド電極E1が配置されている。シールド電極E1は、平坦化膜11に形成された開口部OP2を通じて給電線FLに接触している。配向膜AL1は、シールド電極E1を覆い、液晶層LCに接している。なお、当該給電線FLは、シールド電極E1にのみ電位を供給する構成も採用可能であるが、これに限らず、周辺回路SCの電源線の一つとしても機能する。当該構成においては、給電線FLはシールド電極E1に接続されており、且つ、周辺回路SCにも接続されている。このように給電線FLが周辺回路SCの電源線として機能する場合、給電線FLは表示領域DAに沿って周回する。この場合、シールド電極E1は給電線FLと表示領域DA周りの複数個所で接続されていても構わない。
【0022】
シールド電極E1は、平面視において、周辺回路SCと重なるように配置されている(換言すると、シールド電極E1は、周辺回路SCを覆うように配置されている)。より詳しくは、シールド電極E1は、平面視において、周辺領域SAに配置されたほぼ全ての周辺回路SCと重なる。図2において、周辺回路SCは、平面視においてシールSEの一部と重なる位置まで配置されている。このため、シールド電極E1もまた、平面視において、シールSEの一部と重なる位置まで延在している。シールド電極E1には、給電線FLを介して正の固定電位(例えば+3V)が与えられる。詳細については後述するが、シールド電極E1に正の固定電位が与えられることにより、シールSEから発生する陽イオンに起因した表示品位の低下を抑制することが可能である。
【0023】
周辺領域SA側において、第2基板SUB2は、図2に示すように、透明基板20と、遮光膜BMと、オーバーコート層OCと、配向膜AL2とを備えている。以下では、表示領域DA側において既に説明した構成については、その詳しい説明を省略する。
【0024】
透明基板20の主面20A側には、遮光膜BMが配置されている。遮光膜BMは、周辺領域SAのほぼ全面に亘って配置されている。オーバーコート層OCは、表示領域DA側のカラーフィルタCFと共に遮光膜BMを覆っている。配向膜AL2はオーバーコート層OCを覆い、液晶層LCに接している。
【0025】
図3は、本実施形態に係る周辺領域SAの一部を拡大して示す平面図である。図3に示すように、周辺領域SAには周辺回路SCが配置されている。なお、図3では、周辺領域SAに配置された各種配線のみを周辺回路SCとして図示しているが、既に説明したように、周辺回路SCには各種ドライバ等も含まれる。シールド電極E1は、平面視において周辺回路SCと重なるように配置されている。シールド電極E1は、複数の開口部OP2を通じて周辺回路SCの1つである給電線FLに接続されている。周辺領域SAに配置されたシールド電極E1は、平面視で表示領域DAに配置された共通電極CEと平面視において重畳せず、シールド電極E1と共通電極CEとの間には、距離D1の間隔が空けられている。
【0026】
なお、図1に示したように、表示領域DAは模式的には円弧状を呈しているが、実際には表示領域DAを形成する画素PXは階段状に(段々状に)配置されており、これら階段状に配置される多数の画素PXは、全体としてユーザ目線では円弧状を呈するように配置されている。このような表示領域DA外縁に沿って配置される共通電極CEもまた、図3に示すように階段状に形成され、当該共通電極CEと略全周に亘って距離D1の間隔が空けて配置されるシールド電極E1の外縁もまた、図3に示すように階段状に形成される。なお、共通電極CEの一部である引出配線CELと、シールド電極E1の間においても距離D1の間隔は維持される。つまり、引出配線CELとシールド電極E1の間には、距離D1の間隔が空けられている。
【0027】
ここで、第1比較例を用いて、本実施形態に係る表示装置1が奏し得る効果について説明する。なお、第1比較例は、本実施形態に係る表示装置1が奏し得る効果の一部を説明するためのものであって、第1比較例と本実施形態とで共通する効果を本願発明の範囲から除外するものではない。
【0028】
第1比較例における表示装置1Aは、図4に示すように、シールド電極E1が配置されていない点で、図1図3に示した本実施形態の表示装置1の構成と相違している。
【0029】
液晶層LCを封止するシールSEからは、不純物イオンとして陽イオンCAが発生する(漏出される)ことが知られている。陽イオンとは、正の電荷を帯びた原子または原子団である。シールSEから発生した陽イオンCAは、例えば画像を表示する際に画素電極PEと共通電極CEの間で生じる電界の影響を受けて、図4に示すように、周辺領域SAから表示領域DAに向かって液晶層LC内を移動し、表示領域DAに停滞する。陽イオンCAが表示領域DAに停滞してしまうと、当該陽イオンCAに起因した局所的な電位異常等が発生し、部分的な表示不良を発生させる可能性があるといった問題がある。
【0030】
これに対し、本実施形態に係る表示装置1においては、正の固定電位を与える給電線FLと接続したシールド電極E1が周辺領域SAに配置されているため、シールド電極E1近辺に、図5に示すような正の電界シールドEFSを形成することができる。正の電界シールドEFSは、同種の電荷の斥力(反発)により、シールSEから発生した陽イオンCAをシールSE近辺に留めさせ、当該陽イオンCAが表示領域DAに向かって移動することを抑制する。これにより、上述した局所的な電位異常の発生を抑制することができ、上述した表示品位の低下を抑制することが可能である。つまり、本実施形態に係る表示装置1の構成によれば、第1比較例に係る表示装置1Aの構成よりも良好な表示を維持することが可能である。
【0031】
なお、本実施形態に係る表示装置1においては、シールド電極E1を単に周辺領域SAに配置するだけでなく、平面視において周辺回路SCと重なるようにして周辺領域SAに配置している。これによれば、シールド電極E1は、ESD(Electro-Static Discharge)から周辺回路SCを保護することもできる。つまり、正の固定電位を与える給電線FLと接続したシールド電極E1が、平面視において周辺回路SCと重なるようにして周辺領域SAに配置されることにより、上述した陽イオンCAの移動を抑制すると共に、ESDから周辺回路SCを保護することが可能である。
【0032】
なお、ESDから周辺回路SCを保護する観点からすると、シールド電極E1は、正の固定電位を与える配線(いわゆるVDD配線)ではなく、負の固定電位またはグランド電位を与える配線(いわゆるVSS配線)に接続していてもよい。この場合においても、負の固定電位またはグランド電位を与える配線と接続したシールド電極E1が平面視において周辺回路SCと重なるように配置さえされていれば、ESDから周辺回路SCを保護することができるので、ESDに起因した表示装置1の表示品位の低下を抑制することができる。
【0033】
また、本実施形態においては、図2に示したように、周辺回路SC及びシールド電極E1が平面視においてシールSEの一部と重なる位置にまで配置された構成である。これに対し、例えば図6に示すように、周辺回路SCが、平面視においてシールSEと重なっていない場合、シールド電極E1もまた、平面視においてその外縁がシールSEよりも内側に位置する。図6に示す構成であっても、正の固定電位を与える給電線FLと接続したシールド電極E1が周辺領域SAに配置されている点と、当該シールド電極E1が平面視において周辺回路SCと重なるようにして周辺領域SAに配置されている点と、に変わりはないため、上述した効果と同様な効果を得ることが可能である。
【0034】
なお、図6に示した構成のように、シールド電極E1が、平面視においてシールSEと重なっていない場合、シールド電極E1とシールSEの間には、図6において破線で囲んで示される所定のスペースspが設けられる。このスペースspは、シールド電極E1による電界シールドEFSによって移動が抑制された上記陽イオンCAが溜まるバッファ(ポケット)として機能する。
【0035】
次に、第2比較例を用いて、本実施形態に係る表示装置1が奏し得るさらなる効果について説明する。なお、第2比較例は、本実施形態に係る表示装置1が奏し得る効果の一部を説明するためのものであって、第2比較例と本実施形態とで共通する効果を本願発明の範囲から除外するものではない。
【0036】
第2比較例における表示装置1Bは、図7に示すように、シールド電極E1と共通電極CEとが、表示領域DAと周辺領域SAの境界近辺の領域である領域R1において重なっている点で、図1図3に示した本実施形態の表示装置1の構成と相違している。
【0037】
図7に示す如く、比較例に係る表示装置1Bのように、シールド電極E1が領域R1において共通電極CEと重なっている場合、或いは表示領域DAの画素電極PEにきわめて近接している場合、シールド電極E1と共通電極CEの電位差、或いはシールド電極E1と画素電極PEの電位差により電極間に電界が発生し、これによってシールド電極E1により形成される正の電界シールドEFSの影響が周辺領域SAだけでなく表示領域DAにまで及ぶ可能性がある。このように電界シールドEFSの影響が表示領域DAにまで及んでしまうと、液晶層LCを駆動した際に、液晶層LCに含まれる液晶分子の一部(具体的には、図7において斜線が付された液晶分子)が正常に駆動されず、その結果、表示不良を引き起こす可能性がある。
【0038】
これに対し、本実施形態に係る表示装置1においては、シールド電極E1は、平面視において共通電極CEと重ならないように配置され、シールド電極E1と共通電極CEとの間には、図5に示したように、距離D1の間隔が空けられている。つまり、本実施形態におけるシールド電極E1は上述した領域R1において共通電極CEと重なっていないため、シールド電極E1により形成される正の電界シールドEFSの影響が表示領域DAにまで及ぶことを抑制することができる。これによれば、電界シールドEFSに起因した表示不良を抑制することができ、第2比較例に係る表示装置1Bの構成よりも良好な表示を維持することが可能である。
【0039】
以上説明した本実施形態においては、図8に示すように、第1基板SUB1が1つの平坦化膜11を含む構成について説明した。この場合、製造工程の観点から、シールド電極E1は、図8に示すように、表示領域DA側に配置された画素電極PEと同層に配置されることが望ましい。より具体的には、図8に示す画素電極PEは透明導電膜たるITO層L1に反射電極膜たる金属層L2が積層されることによって形成されているが、シールド電極E1は当該ITO層L1と同層、すなわち、画素電極PEを形成するITO層L1を形成する過程で同時に形成される。なお、図8に示すように、開口部OP1と重なる位置において、画素電極PEを形成するITO層L1の上には充填層30が配置される。充填層30は、画素電極PEを形成する金属層L2を平坦化するために配置される。金属層L2は、例えば銀(Ag)であり、画素電極PEを反射電極として機能させるために配置される。
【0040】
しかしながら、第1基板SUB1は、図8に示した構成に限られず、例えば図9に示すように、2つの平坦化膜11および12を含む構成であっても構わない。図9に示す構成の場合、表示領域DA側において、平坦化膜11の上には、画素回路PCと画素電極PEの間に位置してこれらを中継する中継電極REが配置される。中継電極REは平坦化膜11に形成された開口部OP3を通じて画素回路PCに接触している。中継電極REは平坦化膜12によって覆われている。平坦化膜12の上には画素電極PEを形成するITO層L1が配置され、平坦化膜12に形成された開口部OP4を通じて中継電極REに接触している。開口部OP4と重なる位置において、画素電極PEを形成するITO層L1の上には充填層30が配置される。画素電極PEを形成するITO層L1および充填層30の上には、画素電極PEを形成する金属層L2が配置される。
【0041】
表示領域DAにおいて、第1基板SUB1が上述した構成を有している場合、周辺領域SAに配置されるシールド電極E1は、図9に示すように、画素電極PEを形成するITO層L1と同層ではなく中継電極REと同層に配置されてもよい。すなわち、シールド電極E1は中継電極REを形成する過程で同時に形成されてもよい。この場合、シールド電極E1は平坦化膜11に形成された開口部OP5を通じて給電線FLと接触する。以上のように、第1基板SUB1が2つの平坦化膜11および12を含み、シールド電極E1が表示領域DA側の中継電極REと同層に配置される構成であっても、正の固定電位を与える給電線FLと接続したシールド電極E1が周辺領域SAに配置されている点と、当該シールド電極E1が平面視において周辺回路SCと重なるようにして周辺領域SAに配置されている点と、に変わりはないため、上述した各種効果と同様な効果を得ることが可能である。
【0042】
以上説明した一実施形態によれば、表示装置1は、周辺回路SCと重なるように配置され、正の固定電位を与える給電線FLと接続したシールド電極E1を備えている。これによれば、従来の表示装置に比べて、良好な画像表示を維持することが可能である。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1…表示装置、DA…表示領域、SA…周辺領域、SUB1…第1基板、SUB2…第2基板、LC…液晶層、SE…シール、SPA…スペーサ、10…透明基板、PC…画素回路、11…平坦化膜、OP1…開口部、PE…画素電極、AL1…配向膜、20…透明基板、CF…カラーフィルタ、OC…オーバーコート層、CE…共通電極、AL2…配向膜、SC…周辺回路、FL…給電線、OP2…開口部、E1…シールド電極、BM…遮光膜。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9