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  • 特開-水栓装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185326
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20221207BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
E03C1/042 E
H02G3/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092934
(22)【出願日】2021-06-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 〔販売日〕 令和 3年 4月 28日 〔販売先〕 クリナップ株式会社 〔刊行物等〕 〔ウェブサイトの掲載日〕 令和 3年 4月 1日 〔ウェブサイトのアドレス〕 SANEI株式会社のホームページ https://www.sanei.ltd/?post_type=item&s=&ref=off&dl=off&num=off&str=ek870ae https://www.sanei.ltd/products/ek870ae-d7n-13/
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 健介
【テーマコード(参考)】
2D060
5G363
【Fターム(参考)】
2D060BA03
2D060BA05
2D060BF03
2D060BF09
2D060BF10
5G363BA01
5G363DA16
5G363DC10
(57)【要約】
【課題】簡潔な構造で、水栓の吐水管の内部に配設された電気部品に連結されたケーブルに印加された負荷がケーブルを通じて電気部品に伝達されることを抑制した水栓装置を提供する。
【解決手段】キッチン1のカウンター2に配設された水栓本体20と、水栓本体20から延びる吐水管30と、吐水管30の内部に配置された電気部品33と、カウンター2の下側に配設された制御装置40と、電気部品33と制御装置40とを電気的に連結するケーブル35と、水栓本体20に剛体的に取付けられたカウンター2の下側から水栓本体20に湯を供給する湯供給パイプ24と、を有する。ケーブル35の一部分が湯供給パイプ24に対して結束バンド36で締め付け固定されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓装置であって、
キッチン又は洗面台のカウンターに配設された水栓本体と、該水栓本体から延びる吐水管と、該吐水管の内部に配置された電気部品と、前記カウンターの下側に配設された制御装置と、前記電気部品と前記制御装置とを電気的に連結するケーブルと、前記水栓本体に剛体的に取付けられた前記カウンターの下側から前記水栓本体に水を供給する又は前記カウンターの下側へ水を吐出する金属製のパイプと、を有し、
前記ケーブルの一部分が前記パイプに対して結束バンドで締め付け固定されている水栓装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ケーブルの前記一部分は折り返されて重ね合わされた状態で結束バンドにより締め付け固定されている水栓装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、前記パイプには拡径部が設けられており、前記ケーブルの前記一部分は前記拡径部の直上で前記パイプに対して結束バンドにより締め付け固定されている水栓装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓装置に関する。詳しくは、センサー等の電気部品が吐水管内に配設された水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キッチン又は洗面台のカウンター上に取付けられた水栓における吐水管の内部にセンサー等の電気部品が配設され、その電気部品とカウンターの下側に配設された制御装置との間をケーブルで電気的に連結されている水栓装置がある。特許文献1には、このような水栓装置が開示されている。この水栓装置においては、カウンターの下側でケーブルが誤って引張られたときの負荷が電気部品に印加されないように電気部品が取付けられたベース部品にケーブルの一部が固定された状態でベース部品が吐水管内で移動規制されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-111973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された技術においては、ケーブルに負荷が印加されたとき電気部品にその負荷を伝達しないようにすることはできる。しかし、ベース部品に電気部品の固定部分以外にケーブルの固定部分を設ける必要があるためベース部品の構造が複雑化してコスト増を招きやすいという問題があった。
【0005】
このような問題に鑑み本発明の課題は、簡潔な構造で、水栓の吐水管の内部に配設された電気部品に連結されたケーブルに印加された負荷がケーブルを通じて電気部品に伝達されることを抑制した水栓装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、水栓装置であって、キッチン又は洗面台のカウンターに配設された水栓本体と、該水栓本体から延びる吐水管と、該吐水管の内部に配置された電気部品と、前記カウンターの下側に配設された制御装置と、前記電気部品と前記制御装置とを電気的に連結するケーブルと、前記水栓本体に剛体的に取付けられた前記カウンターの下側から前記水栓本体に水を供給する又は前記カウンターの下側へ水を吐出する金属製のパイプと、を有し、前記ケーブルの一部分が前記パイプに対して結束バンドで締め付け固定されていることを特徴とする。
【0007】
第1発明によれば、ケーブルはその一部が水栓本体に剛体的に取付けられたパイプに結束バンドで締め付け固定されているので、カウンターの下側で誤ってケーブルに引張り力が加えられてもケーブルを通じてその引張力が電気部品に伝達されるのを抑制できる。これによって、制御装置と電気部品の電気的な連結状態を安定して維持することができる。
【0008】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記ケーブルの前記一部分は折り返されて重ね合わされた状態で結束バンドにより締め付け固定されていることを特徴とする。
【0009】
第2発明によれば、ケーブルに引張り力が加えられると、折り返されて湾曲した部分が結束バンドの中に移動しようとしてパイプに対する締め付けを強化するように働くので、ケーブルがより強固にパイプに対して固定され電気部品にその引張力が伝達されるのをさらに抑制できる。
【0010】
本発明の第3発明は、上記第1発明又は上記第2発明において、前記パイプには拡径部が設けられており、前記ケーブルの前記一部分は前記拡径部の直上で前記パイプに対して結束バンドにより締め付け固定されていることを特徴とする。
【0011】
第3発明によれば、ケーブルに引張り力が印加されたとき、ケーブルの一部分がパイプに対して相対移動することがより効果的に阻止されるので、電気部品にその引張力が伝達されるのをさらに抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態である水栓装置における水栓組立体の斜視図である。
図2】上記実施形態に係る水栓装置の部分断面図である。
図3】上記実施形態に係る水栓装置を正面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る水栓装置10の構成について、図1図3を用いて説明する。各図において使用者を基準とした前後左右上下の各方向を矢印で示し、方向に関する説明はこの矢印で示す方向に基づいて行う。
【0014】
図1図3に示すように、水栓装置10は、キッチン1のカウンター2の上面に配設された水栓本体20と、水栓本体20から上方に向かって延びるとともに途中から後下方に向かって湾曲する吐水管30と、キッチン1の内部に配設された制御装置40と、を有する。
【0015】
図1図3に示すように、水栓本体20は、ケーシング21の内部に配設されたカートリッジ22と、カートリッジ22を操作する操作ハンドル23と、カートリッジ22に水密状態で連結された湯供給パイプ24、水供給パイプ25及び調温水吐出パイプ26と、を有する。カートリッジ22は、湯供給パイプ24から供給された湯と水供給パイプ25から供給された水を混合して調温した調温水を調温水吐出パイプ26に吐出する。調温水の温度と吐出水量は、操作ハンドル23を操作することにより調整する。湯供給パイプ24、水供給パイプ25及び調温水吐出パイプ26は、いずれも金属製のパイプで、それぞれの上端部側がケーシング21の内部に取付けられた取付部材27に剛体的に取付けられている。そして、湯供給パイプ24、水供給パイプ25及び調温水吐出パイプ26は、いずれも水密状態を保って取付部材27を介してカートリッジ22に連結されている。湯供給パイプ24、水供給パイプ25及び調温水吐出パイプ26の下端部側には、いずれもホースと水密状態を保って連結するための拡径された連結部材24a、25a、26aが取付けられている。図3に示されるように、湯供給パイプ24の連結部材24aは、ホースによって湯供給口24bに水密状態を保って連結され、水供給パイプ25の連結部材25aは、ホースによって水供給口25bに水密状態を保って連結されている。また、図2に示すように、調温水吐出パイプ26の連結部材26aは、ホースによって吐水管30の中に配設されるフレキシブル配管31の下端部側に水密状態を保って連結されている。ここで、湯供給パイプ24、水供給パイプ25、調温水吐出パイプ26が、それぞれ特許請求の範囲の「パイプ」に相当する。また、連結部材24a、25a、26aが、それぞれ特許請求の範囲の「拡径部」に相当する。
【0016】
図1図3に示すように、吐水管30は、その下端部側が水栓本体20に取付けられている。吐水管30の先端部には、着脱可能に吐水ヘッド32が取付けられている。吐水ヘッド32には、フレキシブル配管31の上端部側が水密状態を保って連結されている。これによって、吐水ヘッド32は吐水管30の中から引き出されて調温水を吐出できるようになっている。吐水ヘッド32には、プッシュ式の切換釦32aが配設されており、切換釦32aを押し込み状態又は突出状態に切り換えることにより吐水の態様をストレート状又はシャワー状に選択可能とされている。
【0017】
吐水管30の先端部側の内部には、電気部品33としての、第1切替装置33a、第2切替装置33b、第3切換装置33c及び連結部品33dが配設されている。電気部品33は、吐水管30の略C字状に湾曲した形状に沿った形状をしたベース部材34の外周面上に固定されている。ベース部材34は、吐水管30の先端部側から内部に挿入されたとき、所定の位置でそれ以上の吐水管30の下端部側方向への移動が阻止される移動規制部(図示せず)が設けられている。第1切替装置33aは、光センサを含んで構成され、吐水ヘッド32が吐水管30の先端部に配置された状態で、吐水ヘッド32の下方に存在する人の手又は食器等を検知して、吐水ヘッド32からの吐水と止水とを切り換える働きをする。第1切替装置33aでは、下方に存在する人の手又は食器等を検知している間だけ吐水ヘッド32からの吐水を行うように制御される。第2切替装置33bは、第1切替装置33aが反応しないようにするためのボタン式のスイッチを含んで構成されている。第3切換装置33cは、光センサを含んで構成され、連続吐水と止水とを切り換える働きをする。第3切換装置33cでは、第1切替装置33aとは異なり、一旦検知エリアである吐水管30の先端部側上方において人の手等の被検知物が検知されると、その後被検知物が検知されなくなっても吐水ヘッド32からの吐水が継続されるようになっている。そして、検知エリア内でもう一度被検知物が検知されると、吐水ヘッド32からの吐水が止められるようになっている。連結部品33dは、第1切替装置33a、第2切替装置33b及び第3切換装置33cと、ケーブル35を電気的に連結する働きをする部品である。吐水管30の内部の所定位置にベース部材34が位置決めされた状態で、第1切替装置33aは、吐水管30の先端部に配置された吐水ヘッド32の下方に存在する人の手又は食器等を検知できるように、投光及び受光ができる位置に配設される。また、第2切替装置33bはそのボタン式のスイッチが吐水管30の外部に露出して操作可能なように配設される。さらに、第3切換装置33cは、吐水管30の先端部側上方において被検知物の検知が可能なように光センサが吐水管30の外部に露出して配設される。
【0018】
ケーブル35は、複数の電線がチューブの中に挿入されて断面が略円形に形成されている。ケーブル35は、その上端部が連結部品33dに電気的に連結され、その下端部が制御装置40に電気的に連結されて、吐水管30の内部とキッチン1の内部であるカウンター2の下側に配設されている。そして、その途中部分に折り返されて重ね合わされた折返部35aが設けられ、折返部35aの上下方向中央部が湯供給パイプ24における連結部材24aの直上部分に結束バンド36で締め付け固定されている。ケーブル35における折返部35aより上方の部分は、湯供給パイプ24に沿って上方に延びるとともに吐水管30の下端部から内部に入って連結部品33dに向かって延びている。ケーブル35における折返部35aより下方の部分は、湯供給パイプ24における連結部材24aの直上部分と制御装置40の間のキッチン1の中の空間部分に配設されている。
【0019】
水栓装置10をキッチン1に取付ける手順について説明する。まず、水栓本体20を組立てるとともに、水栓本体20に対して吐水ヘッド32とフレキシブル配管31が取付けられた吐水管30を取付ける。並行してベース部材34に第1切替装置33a、第2切替装置33b、第3切換装置33c及び連結部品33dを固定するとともに、連結部品33dにケーブル35の上端部を連結して電気部品組立体とする。次に、水栓本体20に取付けられた吐水管30の上端部側から電気部品組立体のケーブル35をその下端部側から通していく。そして、ケーブル35を湯供給パイプ24に沿って這わせ連結部材24aの直上部分において折返部35aを設けて結束バンド36で締め付け固定する。この状態が、図1に示す水栓組立体11である。次に、カウンター2の貫通孔2aに上方から、水栓組立体11のケーブル35、湯供給パイプ24、水供給パイプ25及び調温水吐出パイプ26をそれぞれ下端部側から挿入していく。そして、水栓本体20をカウンター2の上面に対して固定部材28で固定する。最後に、キッチン1の内部の壁面に固定された制御装置40にケーブル35の下端部を連結する。
【0020】
以上のように構成される本実施形態の水栓装置10は、以下のような作用効果を奏する。ケーブル35は、その一部である折返部35aが水栓本体20に剛体的に取付けられた湯供給パイプ24に結束バンド36で締め付け固定されているので、キッチン1の内部であるカウンターの下側で誤ってケーブル35に引張り力が加えられてもケーブル35を通じてその引張力が電気部品33に伝達されるのを抑制できる。これによって、制御装置40と電気部品33の電気的な連結状態を安定して維持することができる。
【0021】
また、ケーブル35は、その一部が折り返されて重ね合わされた折返部35aで結束バンド36により湯供給パイプ24に対して締め付け固定されている。これによって、ケーブル35に引張り力が加えられると、折り返されて湾曲した部分が結束バンド36の中に移動しようとして湯供給パイプ24に対する締め付けを強化するように働くので、ケーブル35がより強固に湯供給パイプ24に対して固定され電気部品33にその引張力が伝達されるのをさらに抑制できる。加えて、湯供給パイプ24には拡径された連結部材24aが取付けられており、ケーブル35の折返部35aは連結部材24aの直上で湯供給パイプ24に対して結束バンド36により締め付け固定されている。これによって、ケーブル35に引張り力が印加されたとき、折返部35aが湯供給パイプ24に対して相対移動することがより効果的に阻止されるので、電気部品33にその引張力が伝達されるのをさらに抑制できる。
【0022】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
【0023】
1.上記実施形態においては、ケーブル35の折返部35aを湯供給パイプ24に対して固定したが、水供給パイプ25又は調温水吐出パイプ26に固定してもよい。
【0024】
2.上記実施形態においては、第1切替装置33a、第2切替装置33b、第3切換装置33c及び連結部品33dをベース部材34を介して吐水管30に取付けるものとして構成した。しかし、これに限らず、第1切替装置33a、第2切替装置33b、第3切換装置33c又は連結部品33dを直接吐水管30に取付けるように構成することもできる。
【符号の説明】
【0025】
1 キッチン
2 カウンター
10 水栓装置
11 水栓組立体
20 水栓本体
24 湯供給パイプ(パイプ)
24a 連結部材(拡径部)
25 水供給パイプ(パイプ)
25a 連結部材(拡径部)
26 調温水吐出パイプ(パイプ)
26a 連結部材(拡径部)
30 吐水管
33 電気部品
35 ケーブル
35a 折返部
36 結束バンド
40 制御装置
図1
図2
図3