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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185352
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】発電量予測装置及び発電量予測方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20221207BHJP
   G06Q 10/04 20120101ALI20221207BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092975
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】513213966
【氏名又は名称】横河ソリューションサービス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】阿部 康一
(72)【発明者】
【氏名】石川 保郎
(72)【発明者】
【氏名】成重 徹
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 康則
(72)【発明者】
【氏名】矢野 純
(72)【発明者】
【氏名】上杉 純孝
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】自流式の水力発電所設備における発電量を高い精度で予測することが可能な発電量予測装置及び発電量予測方法を提供する。
【解決手段】発電量予測装置は、取水口から取り込まれる水路の水によって発電を行う自流式の水力発電所設備における発電量を予測する発電量予測装置であって、発電量の予測を行う第1時点から予め規定された期間だけ遡った第2時点までの水路の流域における降雨量を用いて、取水口における第1時点の増水量を求める増水量算出部と、増水量を用いて、第1時点において取水口から取り込まれる水の量である取水量を求める取水量算出部と、取水量から、第1時点における発電量を求める発電量算出部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取水口から取り込まれる水路の水によって発電を行う自流式の水力発電所設備における発電量を予測する発電量予測装置であって、
発電量の予測を行う第1時点から予め規定された期間だけ遡った第2時点までの前記水路の流域における降雨量を用いて、前記取水口における前記第1時点の増水量を求める増水量算出部と、
前記増水量を用いて、前記第1時点において前記取水口から取り込まれる水の量である取水量を求める取水量算出部と、
前記取水量から、前記第1時点における発電量を求める発電量算出部と、
を備える発電量予測装置。
【請求項2】
前記増水量算出部は、前記第1時点から前記第2時点までの間の各時点における降水量を各時点から前記第1時点までの長さに応じて指数関数的に減衰させた値を積算することにより前記増水量を求める請求項1記載の発電量予測装置。
【請求項3】
前記取水口は、前記水路に設けられた堰によって堰き止められた水を取り込み可能な位置に設けられており、
前記取水量算出部は、降雨が無い場合における前記水路の水量である基底水量と前記増水量とを加えて得られる水量から、前記堰から溢れる水量を減じて得られる水量を前記取水量として求める、請求項1又は請求項2記載の発電量予測装置。
【請求項4】
前記基底水量は、水量が時間とともに指数関数的に減少する関数で表され、
前記取水量算出部は、前記水力発電所設備における発電量が予め規定された最大発電量になる度に前記基底水量を初期値に設定する、
請求項3記載の発電量予測装置。
【請求項5】
前記第1時点が到来して実際の発電量が得られた場合に、予測された発電量と実際に得られた発電量との誤差を求め、発電量の予測を行うべく新たに設定された第1時点で予測される電力量を、前記誤差を用いて補正する発電量補正部を備える、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の発電量予測装置。
【請求項6】
前記水路の流域における降雨量と、前記水力発電所設備における発電量とを取得する取得部を備える請求項1から請求項5の何れか一項に記載の発電量予測装置。
【請求項7】
前記第1時点において予測される発電量を出力する出力部を備える、請求項1から請求項6の何れか一項に記載の発電量予測装置。
【請求項8】
取水口から取り込まれる水路の水によって発電を行う自流式の水力発電所設備における発電量を予測する発電量予測方法であって、
発電量の予測を行う第1時点から予め規定された期間だけ遡った第2時点までの前記水路の流域における降雨量を用いて、前記取水口における前記第1時点の増水量を求める増水量算出ステップと、
前記増水量を用いて、前記第1時点において前記取水口から取り込まれる水の量である取水量を求める取水量算出ステップと、
前記取水量から、前記第1時点における発電量を求める発電量算出ステップと、
を有する発電量予測方法。
【請求項9】
前記増水量算出ステップは、前記第1時点から前記第2時点までの間の各時点における降水量を各時点から前記第1時点までの長さに応じて指数関数的に減衰させた値を積算することにより前記増水量を求めるステップである請求項8記載の発電量予測方法。
【請求項10】
前記取水口は、前記水路に設けられた堰によって堰き止められた水を取り込み可能な位置に設けられており、
前記取水量算出ステップは、降雨が無い場合における前記水路の水量である基底水量と前記増水量とを加えて得られる水量から、前記堰から溢れる水量を減じて得られる水量を前記取水量として求めるステップである、請求項8又は請求項9記載の発電量予測方法。
【請求項11】
前記基底水量は、水量が時間とともに指数関数的に減少する関数で表され、
前記取水量算出ステップは、前記水力発電所設備における発電量が予め規定された最大発電量になる度に前記基底水量を初期値に設定するステップである、
請求項10記載の発電量予測方法。
【請求項12】
前記第1時点が到来して実際の発電量が得られた場合に、予測された発電量と実際に得られた発電量との誤差を求め、発電量の予測を行うべく新たに設定された第1時点で予測される電力量を、前記誤差を用いて補正する発電量補正ステップを有する、請求項8から請求項11の何れか一項に記載の発電量予測方法。
【請求項13】
前記水路の流域における降雨量と、前記水力発電所設備における発電量とを取得する取得ステップを有する請求項8から請求項12の何れか一項に記載の発電量予測方法。
【請求項14】
前記第1時点において予測される発電量を出力する出力ステップを有する、請求項8から請求項13の何れか一項に記載の発電量予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電量予測装置及び発電量予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地域におけるエネルギーの「見える化」を実現するために、CEMS(Community Energy Management System)と呼ばれるシステムの導入が行われている。このCEMSは、地域に点在する発電設備(例えば、太陽光発電所や水力発電所)からの電力供給量と、地域における電力需要量とを管理するシステムである。このようなCEMSでは、地域全体における電力供給量と電力需要量とを精確に予測することが極めて重要になる。
【0003】
以下の非特許文献1,2には、自流式(流れ込み式)の水力発電所における発電量(出力)を予測する方法が開示されている。具体的に、以下の非特許文献1,2に開示された方法では、カルマンフィルタタンクモデルを用いることで、四季を通じて安定して電力量を予測することを可能としている。尚、自流式の水力発電所とは、貯水機能が設けられておらず、河川の水がそのまま発電所に引き込まれることによって発電が行われる発電所である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】大藤建太,他3名,「カルマンフィルタタンクモデルによる自流式水力出力予測」,IEEJ Trans. PE,Vol.128,No 9,2008,pp.1091-1098
【非特許文献2】大藤建太,「雨量に応じた翌日の自流式水力発電の出力予測」,オペレーションズ・リサーチ,10月号,2013年,Vol.58,No10,pp.581-586
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した自流式の水力発電所では、河川の水がそのまま発電所に引き込まれるため、河川の状況(豊水又は渇水)の影響を直接受ける。例えば、降雨等によって河川の水が多い場合(豊水の場合)には発電量が多くなり、日照り等によって河川の水が少ない場合(渇水の場合)には発電量が少なくなる。このように、自流式の水力発電所における発電量は気象条件よって大きく左右されることから、発電量を精確に予測するのは困難であるという問題がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、自流式の水力発電所設備における発電量を高い精度で予測することが可能な発電量予測装置及び発電量予測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様による発電量予測装置は、取水口(WI)から取り込まれる水路(RV)の水によって発電を行う自流式の水力発電所設備(PL)における発電量を予測する発電量予測装置(1)であって、発電量の予測を行う第1時点(t30)から予め規定された期間(T)だけ遡った第2時点(t10)までの前記水路の流域における降雨量(Xn)を用いて、前記取水口における前記第1時点の増水量(Q1)を求める増水量算出部(21)と、前記増水量を用いて、前記第1時点において前記取水口から取り込まれる水の量である取水量(Q)を求める取水量算出部(22)と、前記取水量から、前記第1時点における発電量(P)を求める発電量算出部(23)と、を備える。
【0008】
また、本発明の一態様による発電量予測装置は、前記増水量算出部が、前記第1時点から前記第2時点までの間の各時点における降水量を各時点から前記第1時点までの長さに応じて指数関数的に減衰させた値を積算することにより前記増水量を求める。
【0009】
また、本発明の一態様による発電量予測装置は、前記取水口が、前記水路に設けられた堰(DM)によって堰き止められた水を取り込み可能な位置に設けられており、前記取水量算出部は、降雨が無い場合における前記水路の水量である基底水量(Q2)と前記増水量とを加えて得られる水量から、前記堰から溢れる水量を減じて得られる水量(Q4)を前記取水量として求める。
【0010】
また、本発明の一態様による発電量予測装置は、前記基底水量が、水量が時間とともに指数関数的に減少する関数で表され、前記取水量算出部が、前記水力発電所設備における発電量が予め規定された最大発電量になる度に前記基底水量を初期値に設定する。
【0011】
また、本発明の一態様による発電量予測装置は、前記第1時点が到来して実際の発電量(Pr)が得られた場合に、予測された発電量(P)と実際に得られた発電量との誤差(Δ)を求め、発電量の予測を行うべく新たに設定された第1時点で予測される電力量を、前記誤差を用いて補正する発電量補正部(24)を備える。
【0012】
また、本発明の一態様による発電量予測装置は、前記水路の流域における降雨量と、前記水力発電所設備における発電量とを取得する取得部(15)を備える。
【0013】
また、本発明の一態様による発電量予測装置は、前記第1時点において予測される発電量を出力する出力部(12)を備える。
【0014】
本発明の一態様による発電量予測方法は、取水口(WI)から取り込まれる水路(RV)の水によって発電を行う自流式の水力発電所設備(PL)における発電量を予測する発電量予測方法であって、発電量の予測を行う第1時点(t30)から予め規定された期間(T)だけ遡った第2時点(t10)までの前記水路の流域における降雨量(Xn)を用いて、前記取水口における前記第1時点の増水量(Q1)を求める増水量算出ステップ(S11)と、前記増水量を用いて、前記第1時点において前記取水口から取り込まれる水の量である取水量(Q)を求める取水量算出ステップ(S12)と、前記取水量から、前記第1時点における発電量(P)を求める発電量算出ステップ(S13)と、を有する。
【0015】
また、本発明の一態様による発電量予測方法は、前記増水量算出ステップが、前記第1時点から前記第2時点までの間の各時点における降水量を各時点から前記第1時点までの長さに応じて指数関数的に減衰させた値を積算することにより前記増水量を求めるステップである。
【0016】
また、本発明の一態様による発電量予測方法は、前記取水口が、前記水路に設けられた堰(DM)によって堰き止められた水を取り込み可能な位置に設けられており、前記取水量算出ステップは、降雨が無い場合における前記水路の水量である基底水量(Q2)と前記増水量とを加えて得られる水量から、前記堰から溢れる水量を減じて得られる水量(Q4)を前記取水量として求めるステップである。
【0017】
また、本発明の一態様による発電量予測方法は、前記基底水量が、水量が時間とともに指数関数的に減少する関数で表され、前記取水量算出ステップが、前記水力発電所設備における発電量が予め規定された最大発電量になる度に前記基底水量を初期値に設定するステップである。
【0018】
また、本発明の一態様による発電量予測方法は、前記第1時点が到来して実際の発電量(Pr)が得られた場合に、予測された発電量(P)と実際に得られた発電量との誤差(Δ)を求め、発電量の予測を行うべく新たに設定された第1時点で予測される電力量を、前記誤差を用いて補正する発電量補正ステップ(S14)を有する。
【0019】
また、本発明の一態様による発電量予測方法は、前記水路の流域における降雨量と、前記水力発電所設備における発電量とを取得する取得ステップを有する。
【0020】
また、本発明の一態様による発電量予測方法は、前記第1時点において予測される発電量を出力する出力ステップ(S15)を有する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、自流式の水力発電所設備における発電量を高い精度で予測することが可能であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】自流式の水力発電所設備の概要を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による発電量予測装置の要部構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態による発電量予測方法の一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態において、増水量算出部で行われる処理を説明するための図である。
図5】本発明の一実施形態において、増水量算出部で求められる増水量の一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態において得られた予測値の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による発電量予測装置及び発電量予測方法について詳細に説明する。以下では、まず本発明の実施形態の概要について説明し、続いて本発明の各実施形態の詳細について説明する。
【0024】
〔概要〕
本発明の実施形態は、自流式の水力発電所設備における発電量を高い精度で予測することを可能とするものである。ここで、自流式の水力発電(流れ込み式と呼ばれることもある)とは、河川や農業用灌漑、工業用水道、上下水道等の用水路の流れをそのまま引き込んで利用し発電する方法を意味する。つまり、自流式の水力発電は、小水力発電又は小規模水力発電とも呼ばれるマイクロ水力発電を含むものである。本発明の実施形態は、例えば、降雨等によって水路(河川や用水路)の水が多い場合(豊水の場合)であっても、日照り等によって水路の水が少ない場合(渇水の場合)であっても発電量を高い精度で予測することを可能とするものである。
【0025】
現在、オンラインの気象予報は、1時間毎の降雨量を72時間程度の将来まで予測可能となっている。過去の降雨量(降雨実績)及び過去の発電量(発電実績)に加え、降雨予報の情報を加味すれば、比較的簡単に翌々日までの発電量を高い精度で予測することができると考えられる。
【0026】
本発明の実施形態では、まず、発電量の予測を行う第1時点から予め規定された期間だけ遡った第2時点までの水路の流域における降雨量を用いて、取水口における第1時点の増水量を求める。次に、増水量を用いて、第1時点において取水口から取り込まれる水の量である取水量を求める。そして、取水量から、第1時点における発電量を求める。これにより、自流式の水力発電所設備における発電量を高い精度で予測することが可能である。
【0027】
〔詳細〕
〈水力発電所設備概要〉
図1は、自流式の水力発電所設備の概要を示す図である。図1に示す通り、自流式の水力発電所設備PLは、水槽A1、水圧管P1、及び発電機A2を備える。水槽A1は、河川RV(水路)に設けられた堰DMによって堰き止められた水を取り込み可能な位置に設けられた取水口WIから取り込まれた水を一時的に蓄える。水圧管P1は、水槽A1に一時的に蓄えられた水を発電機A2に導く。発電機A2は、水槽A1から水圧管P1を介して供給される水によって発電する。尚、取水口WIから取り込まれた水は導水路P0によって水槽A1に導かれ、水槽A1に一時的に蓄えられた水は水圧管P1によって発電機A2に導かれ、発電機A2を介した水は放水路に放水される。
【0028】
図1に示す通り、水槽A1と発電機A2との間の有効落差はH[m]であり、水槽A1から水圧管P1を介して発電機A2に流れ込む水量はQ[m3/s]であるとする。尚、有効落差Hは、水槽A1と発電機A2との実際の高低差から、損失落差(例えば、水圧管P1の損失落差や放水口の損失落差)を差し引いたものである。
【0029】
図1では、河川RVの流域において、降雨によって河川RVの水量が影響する流域範囲を降雨面積R1として概念的に図示している。河川RVの流域に降雨があったとしても、河川RVの水量に影響するものと影響しないものとがあるため、このような降雨面積R1を用いることで、降雨量と河川RVの水量との関係を簡易化することができる。例えば、河川RVの水量は、降雨面積R1における降雨量の分だけ影響する(増加する)と考えることが可能になる。
【0030】
尚、図1に示す例において、取水口WIは、堰DMの底部から、ある高さを有する位置に設けられている。取水口WIの下端よりも下方における水W1は、取水口WIから取り込まれることがなく発電に寄与しないことから、この水W1の量は「発電無効水量」ということができる。取水口WIの下端から堰DMの最上部までの間における水W2は、取水口WIから取り込まれて発電に寄与する可能性があることから、この水W2の量は「発電有効水量」ということができる。堰DMの最上部を超える水W3は、取水口WIから取り込まれることがなく発電に寄与しないことから、この水W3の量「発電余剰水量」ということができる。
【0031】
〈発電量予測装置〉
図2は、本発明の一実施形態による発電量予測装置の要部構成を示すブロック図である。図2に示す通り、本実施形態の発電量予測装置1は、操作部11、表示部12(出力部)、演算部13、格納部14、及び通信部15(取得部)を備える。このような発電量予測装置1は、ネットワークNを介してサーバ装置30,40と通信を行って、河川RVの流域における降雨量と水力発電所設備PL(発電機A2)の発電量とをそれぞれ取得し、将来における水力発電所設備PL(発電機A2)の発電量を予測する。
【0032】
発電量予測装置1は、例えば、パーソナルコンピュータ又はワークステーション等のコンピュータによって実現される。発電量予測装置1の設置場所は任意の場所であって良い。例えば、水力発電所設備PL内に設けられていても良く、水力発電所設備PL外に設けられていても良い。尚、発電量予測装置1は、ネットワークNを介したクラウドコンピューティングによって実現されていても良い。ここで、発電量予測装置1の詳細を説明する前に、サーバ装置30,40及びネットワークNについて簡単に説明する。
【0033】
サーバ装置30は、予測される降雨量(例えば、72時間程度の将来までの1時間毎の降雨量(降雨予報))と、過去の降雨量(降雨実績)とを、ネットワークNを介して提供する。サーバ装置30が提供する降雨量は、予め規定された気象庁観測地点における降雨量である。このサーバ装置30は、例えば、予報業務許可事業者(気象庁長官の許可を受けて、気象、地象、津波、高潮、波浪又は洪水の予報の業務を行う事業者)によって運用される。尚、サーバ装置30は、クラウドコンピューティングによって実現されていても良い。
【0034】
サーバ装置40は、水力発電所設備PL(発電機A2)の最新の発電量(発電実績)を、ネットワークNを介して逐次提供する。このサーバ装置40は、例えば、自流式の水力発電所設備PLを運営する事業者によって運用される。尚、サーバ装置40は、サーバ装置30と同様に、クラウドコンピューティングによって実現されていても良い。
【0035】
ネットワークNは、例えば、インターネットである。ネットワークNは、有線通信が可能なネットワーク、無線通信が可能なネットワーク、有線通信及び無線通信の双方が可能なネットワークの何れであっても良い。また、ネットワークNは、Wi-Fi(登録商標)によるネットワーク、又は、3G方式、4G方式、LTE(登録商標)方式等の移動体通信方式のネットワークであっても良い。
【0036】
操作部11は、例えば、キーボードやポインティングデバイス等の入力装置を備えており、発電量予測装置1を使用するユーザの操作に応じた指示(発電量予測装置1に対する指示)を演算部13に出力する。表示部12は、例えば、液晶表示装置等の表示装置を備えており、演算部13から出力される各種情報を表示する。尚、操作部11及び表示部12は、物理的に分離されたものであっても良く、表示機能と操作機能とを兼ね備えるタッチパネル式の液晶表示装置のように物理的に一体化されたものであっても良い。
【0037】
演算部13は、発電量予測装置1の動作を統括して制御する。例えば、操作部11から出力される指示に応じた各種演算を行い、その演算結果を表示部12に表示させる。また、演算部13は、格納部14に対する各種データの書き込み、及び格納部14からの各種データの読み出しを行う。加えて、演算部13は、通信部15を制御して、ネットワークNを介したサーバ装置30,40との間の通信を実現させる。
【0038】
演算部13は、増水量算出部21、取水量算出部22、発電量算出部23、及び発電量補正部24を備える。増水量算出部21は、発電量の予測を行う予測時点(第1時点)から予め規定された期間T(例えば、1440時間=60日)だけ遡った過去時点(第2時点)までの河川RVの流域における降雨量を用いて、取水口WIにおける予測時点の増水量を求める。具体的に、増水量算出部21は、以下の(1)式を用いて取水口WIにおける予測時点の増水量Q1を求める。
【0039】
【数1】
【0040】
ここで、上記(1)式中のnは、予測時点(n=0)から過去時点(n=-T)までの間の任意の時点を示す整数である。上記(1)式中のXnは、時点nにおける1時間当たりの降雨量[mm/h]である。降雨量Xnは、時点nが現在よりも過去の時点であれば過去の降雨量であり、時点nが現在よりも未来の時点であれば予測される降雨量(降雨予報)である。この降雨量Xnとしては、予め規定された気象庁観測地点(例えば、取水口WIに最も近い気象庁観測地点)における降雨量を用いることができる。上記(1)式中のK1は流量係数であり、τ1は減少係数である。流量係数K1及び減少係数τ1は、河川RVの特性(例えば、傾斜、蛇行の有無等)と取水口WIの位置とによって定まる係数であり、河川RV及び取水口WIの位置毎に異なる値になる。これら流量係数K1及び減少係数τ1は、予め実験を行って求めておく。
【0041】
上記(1)式から、河川RVの増水量Q1は、右辺括弧内の式(Xn*exp(n*τ1))が基本となっているのが分かる。この式は、時点nにおける降雨量Xnを、時点nから予測時点(n=0)までの長さ(n)に応じて指数関数的に減衰させる式である。つまり、増水量算出部21は、予測時点(n=0)から過去時点(n=-T)までの間の各時点(n)において、降雨量を予測時点までの長さ(n)に応じて指数関数的に減衰させた値を求める。そして、これらの値を積算して得られる積算値に対して流量係数K1を乗算することにより増水量Q1を求める。
【0042】
取水量算出部22は、増水量算出部21で求められた増水量Q1を用いて、予測時点において取水口WIから取り込まれる水の量である取水量を求める。具体的に、取水量算出部22は、以下の(2)式を用いて取水口WIの取水量Qを求める。
【0043】
【数2】
【0044】
ここで、上記(2)式中のQ2は、降雨が無い場合における河川RVの水量である基底水量である。この基底水量Q2は、水量が時間とともに指数関数的に減少する関数で表される。具体的には、以下の(3)式で表される。尚、以下の(3)式中のK2は流量係数であり、τ2は減少係数である。流量係数K2及び減少係数τ2は、流量係数K1及び減少係数τ1と同様に、河川RVの特性と取水口WIの位置とによって定まる係数であり、河川RV及び取水口WIの位置毎に異なる値になる。これら流量係数K2及び減少係数τ2は、予め実験を行って求めておく。
【0045】
【数3】
【0046】
この基底水量Q2は、水力発電所設備PLにおける発電量が予め規定された最大発電量になる度に、取水量算出部22によって初期値に設定される(リセットされる)。ここで、水力発電所設備PLにおける発電量は、堰DMによって堰き止められた水の水位が、堰DMと同じ高さになった場合に最大となる。このため、取水量算出部22は、サーバ装置40から得られる発電量が予め規定された最大発電量になった場合に、堰DMによって堰き止められた水の水位が、堰DMと同じ高さになったものとみなして基底水量Q2を初期化する。上記(3)式中のmは、基底水量Q2の初期化時点からの経過時間を示す整数である。
【0047】
上記(2)式のQ4は、堰DMによって堰き止められた水の水位が堰DMを超えた場合に堰DMから溢れる水量(オーバーフロー水量)である。ここで、水力発電所設備PLにおける発電量が最大発電量になる場合に、堰DMによって堰き止められている水量を堰満水量Q3とする。尚、この堰満水量Q3は、堰DMによって堰き止められた水の水位が堰DMと同じ高さになった場合に堰DMによって堰き止められている水量ということもできる。すると、オーバーフロー水量Q4は、以下の(4)式で表される。
【0048】
【数4】
【0049】
つまり、オーバーフロー水量Q4は、増水量Q1と基底水量Q2とを加算して得られる水量が上述の堰満水量Q3よりも大である場合には、増水量Q1と基底水量Q2とを加算して得られる値から上述の堰満水量Q3を減算した値になる。これに対し、増水量Q1と基底水量Q2とを加算して得られる水量が上述の堰満水量Q3以下である場合には零になる。
【0050】
以上の通り、取水量算出部22は、増水量Q1と基底水量Q2とを加えて得られる水量から、オーバーフロー水量Q4を減じて得られる水量を取水量Qとして求める。尚、増水量Q1と基底水量Q2とを加算して得られる水量が上述の堰満水量Q3以下である場合には、オーバーフロー水量Q4は零になるから、取水量算出部22は、増水量Q1と基底水量Q2とを加えて得られる水量を取水量Qとして求める。
【0051】
発電量算出部23は、取水量算出部22で得られた取水量Qから、予測時点における発電所設備PLの発電量を求める。例えば、発電量算出部23は、以下に示す(5)式を用いて、予測時点における発電所設備PLの発電量P[kW]を求める。ここで、以下の(5)式おけるHは有効落差[m]であり、Qは水量[m3/s]である(図1参照)。また、以下の(5)式におけるηは、発電機A2の効率(水車の効率を含む)である。
【0052】
【数5】
【0053】
発電量補正部24は、発電量算出部23で求められた発電量Pを補正する。具体的に、発電量補正部24は、予測時点が到来してサーバ装置40から実際の発電量Prが得られた場合に、予測された発電量Pと実際に得られた発電量Prとの誤差Δを求める。そして、発電量補正部24は、発電量の予測を行うべく新たに設定された予測時点で予測される発電量Pを、誤差Δを用いて補正する。
【0054】
格納部14は、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)等の補助記憶装置を備えており、各種情報を格納する。具体的に、格納部14は、水力発電所設備PLの発電量を予測するために必要な各種パラメータ(例えば、流量係数K1,減少係数τ1等)、サーバ装置30から取得した降雨量、サーバ装置40から取得した発電量等を格納する。尚、格納部14は、発電量予測装置1の機能を実現する各種プログラム、演算部13の処理を行うために一時的に用いられるデータ等が格納されていても良い。
【0055】
通信部15は、演算部13の制御の下で、ネットワークNに接続されたサーバ装置30,40との間で通信を行う。通信部15は、サーバ装置30と通信を行って、予め規定された気象庁観測地点における降雨量を取得する。尚、通信部は、過去の降雨量と予測される降雨量(降雨予報)との何れも取得可能である。また、通信部15は、サーバ装置40と通信を行って、水力発電所設備PL(発電機A2)の最新の発電量を取得する。
【0056】
発電量予測装置1の各ブロックの機能(例えば、演算部13に設けられた増水量算出部21、取水量算出部22、発電量算出部23、及び発電量補正部24の機能)は、これらの機能を実現するプログラムが発電量予測装置1にインストールされることによりソフトウェア的に実現される。つまり、これらの機能は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することによって実現される。尚、発電量予測装置1の各ブロックの機能を実現するプログラムは、記録媒体に記録された状態で配布されても良く、インターネット等のネットワークを介して配布されても良い。
【0057】
尚、発電量予測装置1の機能は、ソフトウェア的に実現されるのが望ましいが、専用のハードウェアを用いて実現されることを妨げるものではない。発電量予測装置1の機能は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアを用いて実現されても良い。
【0058】
〈発電量予測方法〉
図3は、本発明の一実施形態による発電量予測方法の一例を示すフローチャートである。尚、図3に示すフローチャートの処理は、一定時間毎(例えば、1時間毎)に繰り返し開始される。尚、本実施形態では、図3に示す処理が開始される度に、発電量予測装置1とサーバ装置30,40との間で通信が行われ、予め規定された気象庁観測地点における降雨量と水力発電所設備PL(発電機A2)の最新の発電量とを取得する処理が発電量予測装置1で行われるものとする(取得ステップ)。
【0059】
図3に示すフローチャートの処理が開始されると、まず、所定期間の降雨量を用いて予測時点における増水量を算出する処理が、増水量算出部21によって行われる(ステップS11:増水量算出ステップ)。具体的には、発電量の予測を行う予測時点から予め規定された期間T(例えば、1440時間=60日)だけ遡った過去時点までの河川RVの流域における降雨量を用いて、取水口WIにおける予測時点の増水量を求める処理が行われる。
【0060】
図4は、本発明の一実施形態において、増水量算出部で行われる処理を説明するための図である。尚、図4に示すグラフは、横軸に時間をとり、縦軸に降雨量をとってある。図4において、時点t20は現時点を示しており、時点t30は予測時点を示しており、時点t10は過去時点(予測時点t30から予め規定された期間Tだけ遡った時点)を示している。
【0061】
図4において、縦軸に沿って延びる直線は降雨量を示している。また、降雨量を示す各直線の上端部から右方向(時間が経過する方向)に延びている曲線は、降雨によって河川RVの増水に寄与した水量が、河川RVの下流に向かって流れることによって、時間経過とともに減る(減衰する)様子を示す曲線である。
【0062】
尚、時点t10~t14における降雨量は、予め規定された気象庁観測地点における過去の降雨量を示すものであり、時点t21,t30における降雨量は、予め規定された気象庁観測地点において予測される降雨量である。これらの降雨量は、発電量予測装置1がネットワークNを介してサーバ装置30と通信することによって取得される。
【0063】
取水口WIにおける予測時点の増水量Q1は、前述した(1)式に示される演算が増水量算出部21で行われることによって求められる。具体的には、図4に示す各時点において、降雨量を予測時点t30までの長さに応じて指数関数的に減衰させた値を求め、それらの値を積算して得られる積算値に対して流量係数K1を乗算する処理が行われることにより増水量Q1が求められる。
【0064】
例えば、過去時点t10の降水量については、過去時点t10から予測時点t30までの長さ(期間T)に応じて過去時点t10の降水量を指数関数的に減衰させた値を求める処理が行われる。また、時点t11の降水量については、時点t11から予測時点t30までの長さ(t30-t11)に応じて時点t11の降水量を指数関数的に減衰させた値を求める処理が行われる。時点t12~t14,t21の降水量についても同様に、各時点から予測時点t30までの長さに応じて各時点の降水量を指数関数的に減衰させた値を求める処理が行われる。そして、これらの値を積算して得られる積算値に対して流量係数K1を乗算する処理が行われることにより増水量Q1が求められる。
【0065】
図5は、本発明の一実施形態において、増水量算出部で求められる増水量の一例を示す図である。尚、図5に示すグラフは、横軸に時間をとり、縦軸に降雨量及び増水量をとってある。図5に示す増水量は、図3に示すフローチャートの処理が、一定時間毎(例えば、1時間毎)に繰り返し開始されることで求められる。
【0066】
次に、ステップS11で求められた増水量Q1を用いて、予測時点t30における取水口WIの取水量Qを算出する処理が取水量算出部22で行われる(ステップS12:取水量算出ステップ)。取水口WIの取水量Qは、前述した(2)式に示す演算が取水量算出部22で行われることによって求められる。具体的には、ステップS11で求められた増水量Q1と、前述した(3)式で表される基底水量Q2とを加えて得られる水量から、オーバーフロー水量Q4を減じて得られる水量を取水量Qとして求める処理が行われる。
【0067】
尚、サーバ装置40から得られる発電量が予め規定された最大発電量になった場合には、堰DMによって堰き止められた水の水位が、堰DMと同じ高さになったものとみなして基底水量Q2を初期化する処理が取水量算出部22で行われる。また、オーバーフロー水量Q4は、前述した(4)式に示す演算が取水量算出部22で行われることによって求められる。
【0068】
次いで、ステップS12で求められた取水量Qから発電所設備PLにおける発電量Pを求める処理が発電量算出部23で行われる(ステップS13:発電量算出ステップ)。発電所設備PLにおける発電量Pは、前述した(5)式に示す演算が発電量算出部23で行われることによって求められる。具体的には、ステップS12で求められた取水量Q(水量Q)に対し、重力加速度(9.8)、有効落差H、及び発電機A2の効率を乗算する演算が行われることによって発電所設備PLにおける発電量Pが求められる。
【0069】
続いて、ステップS13で求められた発電量を補正する処理が発電量補正部24で行われる(ステップS14:補正ステップ)。具体的には、過去の予測時点(例えば、予測時点t30の1時間前の時点)が到来してサーバ装置40から実際の発電量Prが得られた場合に、予測された発電量Pと実際に得られた発電量Prとの誤差Δを求める処理が行われる。そして、予測時点t30で予測される発電量Pを、誤差Δを用いて補正する処理が行われる。
【0070】
以上の処理が終了すると、予測時点t30で予測される発電所設備PLにおける発電量Pを表示部12に表示する処理が演算部13によって行われる(ステップS15:出力ステップ)。尚、例えば、1時間毎に24時間先までの予測が行われる場合には、図3に示すフローチャートが開始されてから終了するまでに、ステップS11~S14の処理が予測時点t30を変えつつ24回繰り返されることになる。
【0071】
図6は、本発明の一実施形態において得られた予測値の一例を示す図である。尚、図6(a)は、実際の発電量と2時間前の予測値とを示す図であり、図6(b)は、実際の発電量と24時間前の予測値とを示す図である。図6(a)を参照すると、予測値と実測値とはほぼ一致しており、予測誤差(RMSE:Root Mean Squared Error(二乗平均平方根誤差))は1.05[MW]であった。図6(b)を参照すると、予測値と実測値とは多少乖離があり、予測誤差(RMSE)は3.21[MW]であった。
【0072】
図6に示す例において、発電所設備PLの定格発電量は50[MW]である。このため、図6(a)に示す通り、2時間先を予測した場合の予測誤差は約2%程度であり、図6(b)に示す通り、24時間先を予測した場合の予測誤差は約6.5%程度であった。以上から、発電所設備PLにおける発電量を高い精度で予測できていると考えられる。
【0073】
以上の通り、本実施形態では、まず、発電量の予測を行う予測時点t30から予め規定された期間Tだけ遡った過去時点t10までの河川の流域における降雨量を用いて、取水口WIにおける予測時点t30の増水量Q1を求める。次に、増水量Q1を用いて、予測時点t30において取水口WIから取り込まれる水の量である取水量Qを求める。そして、取水量Qから、予測時点t30における発電量Pを求める。これにより、自流式の水力発電所設備PLにおける発電量を高い精度で予測することが可能である。
【0074】
このように、本実施形態の発電量予測装置1は、サーバ装置30から1時間毎に提供される予測される降雨量(降雨予報)と過去の降雨量(降雨実績)とを活用して、自流式の水力発電所設備PLにおける発電量を予測している。このため、発電所設備PLにおける発電量をリアルタイムに(1時間毎に)高い精度で予測することができる。よって、本実施形態の発電量予測装置1をCEMSと連携させれば、火力発電による電力量を必要最小限することができ、CO2削減に貢献することができる。
【0075】
以上、本発明の一実施形態による発電量予測装置及び発電量予測方法について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されることなく本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上述した実施形態では、取水口WIに最も近い気象庁観測地点における降雨量を降雨量Xnとして用いる例について説明した。しかしながら、気象庁観測地点における降雨量と河川RVの増水量との間に一定の相関関係があれば、河川RVの流域付近に設定された任意の気象庁観測地点における降雨量を降雨量Xnとして用いることができる。
【0076】
また、上述した実施形態では、説明を簡単にするために、取水口WIが一箇所である例について説明したが、取水口WIは異なる箇所に複数設けられていても良い。また、上述した実施形態では、発電所設備PLの予測時点t30における発電量Pを表示部12に表示する例について説明したが、発電所設備PLの予測時点t30における発電量Pを外部に出力するようにしても良い。例えば、ネットワークNを介して外部の端末装置に出力するようにしても良い。
【0077】
また、上記実施形態では、取水口WIから取り込まれる河川RVの水によって発電を行う水力発電所設備における発電量を予測する例について説明した。しかしながら、本実施形態は、例えば、用水路の水によって発電を行う水力発電所設備における発電量を予測する場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 発電量予測装置
12 表示部
15 通信部
21 増水量算出部
22 取水量算出部
23 発電量算出部
24 発電量補正部
WI 取水口
DM 堰
P 予測された発電量
Pr 実際の発電量
PL 水力発電所設備
Q 取水量
Q1 増水量
Q2 基底水量
Q4 オーバーフロー水量
RV 河川
t10 過去時点
t30 予測時点
T 期間
Xn 降雨量
Δ 誤差
図1
図2
図3
図4
図5
図6