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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185368
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】ヒートポンプシステム
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20221207BHJP
   F24F 1/0097 20190101ALI20221207BHJP
   F28D 1/053 20060101ALI20221207BHJP
   F28F 1/32 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
F25B1/00 321Z
F24F1/0097
F28D1/053 Z
F28F1/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093008
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】足達 健介
(72)【発明者】
【氏名】坂下 俊
【テーマコード(参考)】
3L050
3L103
【Fターム(参考)】
3L050BC05
3L103AA32
3L103BB42
3L103CC22
3L103CC30
3L103DD03
3L103DD08
3L103DD33
3L103DD61
(57)【要約】
【課題】排熱の回収効率を向上させることができるヒートポンプシステムを提供する。
【解決手段】本開示の一態様のヒートポンプシステムは、冷媒配管によって順に接続された第1熱交換器と、圧縮機と、第2熱交換器と、膨張機構と、を備えるヒートポンプシステムであって、第1熱交換器または第2熱交換器の少なくとも一方に配置され、温度差を電気エネルギに変換する熱電部材を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒配管によって順に接続された第1熱交換器と、圧縮機と、第2熱交換器と、膨張機構と、を備えるヒートポンプシステムであって、
前記第1熱交換器または前記第2熱交換器の少なくとも一方に配置され、温度差を電気エネルギに変換する熱電部材を備える、ヒートポンプシステム。
【請求項2】
前記第2熱交換器は、室外に配置され、
前記熱電部材は、前記第2熱交換器に物理的に接触している第1面と、前記第1面と対向し、外気に面した第2面とを有する、請求項1に記載のヒートポンプシステム。
【請求項3】
前記熱電部材は垂直熱電素子である、請求項2に記載のヒートポンプシステム。
【請求項4】
前記熱電部材は、磁性体によって形成される磁性膜を有する、請求項3に記載のヒートポンプシステム。
【請求項5】
前記熱電部材は、
前記第1面を形成し、磁性絶縁体によって形成される絶縁膜と、
前記絶縁膜に配置され、前記第2面を形成し、伝導体で形成される伝導膜と、を有する、請求項3に記載のヒートポンプシステム。
【請求項6】
前記第2熱交換器は、複数のフィンと、前記複数のフィンに接触し、冷媒を循環させる伝熱流路機構と、を有し、
複数の前記熱電部材を有し、
前記複数の熱電部材は、前記複数のフィンのそれぞれに連続したライン状に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載のヒートポンプシステム。
【請求項7】
前記熱電部材は、フィン毎に直列に接続される、請求項6に記載のヒートポンプシステム。
【請求項8】
前記熱電部材は、蛇行する、請求項6または7に記載のヒートポンプシステム。
【請求項9】
前記複数のフィンに外気を供給するファンをさらに有する、請求項6から8のいずれか一項に記載のヒートポンプシステム。
【請求項10】
前記熱電部材は、前記複数のフィンの主面において、前記ファンによって供給される外気に対して上流側に配置される、請求項9に記載のヒートポンプシステム。
【請求項11】
前記熱電部材は、前記ファンによって供給される外気に対して上流側の端部に配置される、請求項10に記載のヒートポンプシステム。
【請求項12】
前記熱電部材は、前記伝熱流路機構の周囲の前記複数のフィンに配置される、請求項9から11のいずれかに記載のヒートポンプシステム。
【請求項13】
前記複数のフィンは、フィンを形成する主面から突出する突出部を有し、
前記熱電部材は、前記突出部に沿って配置される、請求項9から12のいずれか一項に記載のヒートポンプシステム。
【請求項14】
前記複数のフィンは、第1列と、前記第1列の下流側に隣接して配置される第2列と、に配列され、
前記伝熱流路機構は、前記複数のフィンを貫通する伝熱管を有し、
前記第1列を貫通する前記伝熱管と、前記第2列を貫通する前記伝熱管とは、前記ファンによる外気の供給方向に対してずれており、
前記熱電部材は、前記第1列及び前記第2列における前記複数のフィンの主面において、前記ファンによって供給される外気に対して上流側に配置される、請求項13に記載のヒートポンプシステム。
【請求項15】
前記熱電部材に接続され、前記熱電部材に変換された電気エネルギを蓄える蓄電部をさらに有する、請求項1から14のいずれか一項に記載のヒートポンプシステム。
【請求項16】
前記冷媒配管内における冷媒が流れる方向を変更する四方弁と、
前記熱電部材に接続され、前記冷媒が流れる方向に応じて、電流の方向を変更する整流部と、をさらに備える、請求項1から15のいずれか一項に記載のヒートポンプシステム。
【請求項17】
前記熱電部材に接続される端子は、前記第2熱交換器の上部に配置される、請求項1から16のいずれか一項に記載のヒートポンプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒートポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプシステムとして、例えば、特許文献1には、冷凍機の運転により発生する排熱を利用する冷凍機が開示されている。
【0003】
特許文献1には、温度差を電気エネルギに変換する熱電素子を有する冷凍装置が開示されている。特許文献1に記載された冷凍機は複数の熱電素子を有し、一方の熱電素子は冷媒配管に位置し、他方の熱電素子は外気雰囲気中に位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-250030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の冷凍機では、エネルギ効率の向上といった点で未だ改善の余地がある。
【0006】
したがって、本開示の目的は、前記課題を解決することにあって、エネルギ効率を向上させることができるヒートポンプシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様のヒートポンプシステムは、冷媒配管によって順に接続された第1熱交換器と、圧縮機と、第2熱交換器と、膨張機構と、を備えるヒートポンプシステムであって、第1熱交換器または第2熱交換器の少なくとも一方に配置され、温度差を電気エネルギに変換する熱電部材を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ヒートポンプシステムのエネルギ効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係るヒートポンプシステムの模式図
図2】第2熱交換器の模式図
図3】熱電部材を有する第2熱交換器を示す図
図4図3のA-A線に沿った断面図
図5】熱電素子の断面図
図6】第2熱交換器の一部の側面図
図7】第2熱交換器に関連する電子部品の模式図
図8】フィンの周囲における外気の温度分布のグラフ
図9】変形例1の熱電部材を示す図
図10A】変形例2の熱電部材を示す図
図10B図10Aにおける熱電部材の一部の拡大図
図11】変形例3の熱電素子の断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示に至った経緯)
ヒートポンプシステムは一般的に高いCOPを有しており、システムの排熱の一部を回収してヒートポンプシステムにおいて再利用することで、ヒートポンプシステムのエネルギ効率を向上させることができる。
【0011】
しかしながら、近年、ヒートポンプシステムのエネルギ効率をさらに向上させることが求められている。そのため、熱電部材を用いて、より大きい電力を生じさせることが求められている。
【0012】
そこで、本発明者らは、ヒートポンプシステムにおいて、多くの排熱が行われ、温度差が生じやすい箇所を熱交換器と特定した。本発明者らは、熱電部材を熱交換器に配置することで、熱電部材における温度差を拡大させ、したがって、熱電部材の発電量を増加させる構成を見出した。
【0013】
これらの新規な知見に基づき、本発明者らは、以下の開示に至った。
【0014】
本開示の第1態様のヒートポンプシステムは、冷媒配管によって順に接続された第1熱交換器と、圧縮機と、第2熱交換器と、膨張機構と、を備えるヒートポンプシステムであって、第1熱交換器または第2熱交換器の少なくとも一方に配置され、温度差を電気エネルギに変換する熱電部材を備える。
【0015】
このような構成により、熱交換器において生じる温度差によって、熱電部材は効率良く発電できる。したがって、ヒートポンプシステムのエネルギ効率を向上させることができる。
【0016】
本開示の第2態様のヒートポンプシステムにおいては、第2熱交換器は、室外に配置され、熱電部材は、第2熱交換器に物理的に接触している第1面と、第1面と対向し、外気に面した第2面とを有してもよい。
【0017】
このような構成により、第2熱交換器から外気への放熱によって、第1面と第2面との間で温度差が生じるため、熱電部材は効率良く発電できる。
【0018】
本開示の第3態様のヒートポンプシステムにおいては、熱電部材は垂直熱電素子であってもよい。
【0019】
このような構成により、垂直熱電素子は、ヒートポンプシステムの熱交換を阻害しないため、エネルギ効率をさらに向上させることができる。
【0020】
本開示の第4態様のヒートポンプシステムにおいては、熱電部材は、磁性体によって形成される磁性膜を有してもよい。
【0021】
このような構成により、熱電部材は異常ネルンスト効果によって効率良く発電でき、ヒートポンプシステムのエネルギ効率をさらに向上させることができる。
【0022】
本開示の第5態様のヒートポンプシステムにおいては、熱電部材は、第1面を形成し、磁性絶縁体によって形成される絶縁膜と、絶縁膜に配置され、第2面を形成し、伝導体で形成される伝導膜と、を有してもよい。
【0023】
このような構成により、熱電部材はスピンゼーベック効果によって効率良く発電でき、ヒートポンプシステムのエネルギ効率をさらに向上させることができる。
【0024】
本開示の第6態様のヒートポンプシステムにおいては、第2熱交換器は、複数のフィンと、複数のフィンに接触し、冷媒を循環させる伝熱流路機構と、を有し、複数の熱電部材を有し、複数の熱電部材は、複数のフィンのそれぞれに連続したライン状に配置されてもよい。
【0025】
このような構成により、外気とフィンとの間で生じる温度差によって、熱電部材は効率良く発電できる。
【0026】
本開示の第7態様のヒートポンプシステムにおいては、熱電部材は、フィン毎に直列に接続されてもよい。
【0027】
このような構成により、熱電部材を長くすることによって、熱電部材における発電量を増加させることができる。
【0028】
本開示の第8態様のヒートポンプシステムにおいては、熱電部材は、蛇行してもよい。
【0029】
このような構成により、熱電部材を長くすることによって、熱電部材における発電量をさらに増加させることができる。
【0030】
本開示の第9態様のヒートポンプシステムにおいては、複数のフィンに外気を供給するファンをさらに有してもよい。
【0031】
このような構成により、第2熱交換器に対して外気の流れを形成して、フィンと外気との温度差を維持することができる。したがって、熱電部材における発電量を増加させることができる。
【0032】
本開示の第10態様のヒートポンプシステムにおいては、熱電部材は、複数のフィンの主面において、ファンによって供給される外気に対して上流側に配置されてもよい。
【0033】
このような構成により、熱電部材は外気が当たり、熱電部材の第1面と第2面との温度差を維持することができるため、熱電部材における発電量を増加させることができる。
【0034】
本開示の第11態様のヒートポンプシステムにおいては、熱電部材は、ファンによって供給される外気に対して上流側の端部に配置されてもよい。
【0035】
このような構成により、熱電部材はさらに多くの外気が当たり、熱電部材の第1面と第2面との温度差を維持することができるため、熱電部材における発電量をさらに増加させることができる。
【0036】
本開示の第12態様のヒートポンプシステムにおいては、熱電部材は、伝熱流路機構の周囲の複数のフィンに配置されてもよい。
【0037】
このような構成により、熱交換が行われる箇所に配置されるため、熱電部材の第1面と第2面との温度差を維持することができる。したがって、熱電部材における発電量を増加させることができる。
【0038】
本開示の第13態様のヒートポンプシステムにおいては、複数のフィンは、フィンを形成する主面から突出する突出部を有し、熱電部材は、突出部に沿って配置されてもよい。
【0039】
このような構成により、熱電部材は外気が当たり、熱電部材の第1面と第2面との温度差を維持することができるため、熱電部材における発電量を増加させることができる。
【0040】
本開示の第14態様のヒートポンプシステムにおいては、複数のフィンは、第1列と、第1列の下流側に隣接して配置される第2列と、に配列され、伝熱流路機構は、複数のフィンを貫通する伝熱管を有し、第1列を貫通する伝熱管と、第2列を貫通する伝熱管とは、ファンによる外気の供給方向に対してずれており、熱電部材は、第1列及び第2列における複数のフィンの主面において、前記ファンによって供給される外気に対して上流側に配置されてもよい。
【0041】
このような構成により、熱電部材を長くすることによって、熱電部材における発電量をさらに増加させることができる。
【0042】
本開示の第15態様のヒートポンプシステムにおいては、熱電部材に接続され、熱電部材に変換された電気エネルギを蓄える蓄電部をさらに有してもよい。
【0043】
このような構成により、熱電部材によって発電した電力を蓄電することができる。
【0044】
本開示の第16態様のヒートポンプシステムにおいては、冷媒配管内における冷媒が流れる方向を変更する四方弁と、熱電部材に接続され、冷媒が流れる方向に応じて、電流の方向を変更する整流部と、をさらに備えてもよい。
【0045】
このような構成により、熱電部材を、例えば、冷媒配管における冷媒の流れ方向を変更する空気調和機に適用することができる。
【0046】
本開示の第17態様のヒートポンプシステムにおいては、熱電部材に接続される端子は、第2熱交換器の上部に配置されてもよい。
【0047】
このような構成により、端子が、熱交換によって第2熱交換器に付着する水の排水を阻害することを抑制できる。
【0048】
(実施の形態)
本開示の実施の形態に係るヒートポンプシステムについて説明する。なお、以下の説明において、実施の形態に係るヒートポンプシステムの一例として冷房運転時の空気調和機について説明するが、ヒートポンプシステムを空気調和機に限定しない。
【0049】
[全体構成]
図1は、本開示に係る実施の形態のヒートポンプシステム100の一例を示す模式図である。図1に示すように、ヒートポンプシステム100は、室内機1と、室外機2とを備える。室内機1と室外機2とは、冷媒配管3を介して接続されている。
【0050】
室内機1は、第1熱交換器4、及び冷媒配管3の一部を備える。室内機1は室内に配置される。
【0051】
室外機2は、第2熱交換器5、熱電部材20、圧縮機6、膨張機構7、四方弁8、ファン9、制御部10と、及び冷媒配管3の一部を備える。室外機2は室外に配置される。
【0052】
室内機1及び室外機2の構成要素について説明する。
【0053】
<第1熱交換器>
第1熱交換器4は、例えば冷房運転時には、空気との熱交換を行い、第1熱交換器4に流入する冷媒を蒸発させる。
【0054】
<冷媒配管>
冷媒配管3は、第1熱交換器4、圧縮機6、四方弁8、第2熱交換器5及び膨張機構7を接続するように配置される。例えば、冷媒配管3は、第1熱交換器4、圧縮機6、四方弁8、第2熱交換器5及び膨張機構7を順に接続する。冷媒配管3は、冷媒配管3の内部に冷媒が流れる流路を有し、冷媒を循環させる。例えば、冷媒配管3は中空の円筒形状を有する。
【0055】
<第2熱交換器>
第2熱交換器5は、例えば冷房運転時には、空気との熱交換を行い、第2熱交換器5に流入する冷媒を凝縮させる。後述するように、第2熱交換器5は、複数のフィンと、伝熱管と、を備える。フィンは、複数の薄い金属板で構成され、それぞれの金属板の面が互いに平行になるよう配置される。伝熱管は、フィンの面に直交して配置され、フィンを貫通する。伝熱管は、冷媒配管3に接続され、冷媒を循環させる。
【0056】
<熱電部材>
熱電部材20は、第2熱交換器5に配置され、温度差を電気エネルギに変換する部材である。言い換えると、熱電部材20は、熱電部材20において形成される温度差に応じて発電する。熱電部材20は、熱電効果を発揮する素子(以下、熱電素子50)を含む。熱電部材20は、コネクタ、ワイヤ等の他の電子部品を含んでもよい。後述するように、熱電部材20は、第2熱交換器5のフィンの表面に物理的に接触するように配置される。
【0057】
<圧縮機>
圧縮機6は、冷媒配管3によって第1熱交換器4及び四方弁8に接続される。圧縮機6は、冷媒配管3から流入した冷媒を圧縮するために用いられる。
【0058】
<膨張機構>
膨張機構7は、冷媒配管3によって第1熱交換器4及び第2熱交換器5に接続される。膨張機構7は、冷媒配管3から流入した冷媒を膨張させるために用いられる。例えば、膨張機構7は膨張弁である。
【0059】
<四方弁>
四方弁8は、冷媒配管3によって圧縮機6、第1熱交換器4及び第2熱交換器5に接続される。冷房運転時において、四方弁8は、冷媒の流れ方向に沿って、圧縮機6から流出した冷媒を第2熱交換器5に送る。一方で、四方弁8は、ヒートポンプシステム100の運転モード(冷房運転、暖房運転)によって、冷媒の流れ方向を変更する。
【0060】
<ファン>
ファン9は、第2熱交換器5の周囲に配置され、第2熱交換器5に対して外気を供給する。供給される外気は、第2熱交換器5の熱交換に使用される。
【0061】
<制御部>
制御部10は、ヒートポンプシステム100を制御する電子回路を備える。制御部10を構成する要素は、例えば、これらの要素を機能させるプログラムを記憶したメモリ(図示せず)と、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサに対応する処理回路(図示せず)を備え、プロセッサがプログラムを実行することでこれらの要素として機能してもよい。制御部10は、例えば、ヒートポンプシステム100の運転モードを、冷房運転と暖房運転との間で制御する。また、制御部10は、電気的に熱電部材20に接続される。
【0062】
次に、図2から図4を用いて、第2熱交換器5の構成についてより詳細に説明する。
【0063】
図2は、第2熱交換器5の模式図である。図2において、便宜上、個別のフィン11a、11b及び熱電部材20の図示を省略している。図2に示すように、第2熱交換器5において、複数のフィン11aは第1列12を形成し、複数のフィン11bは第2列13を形成して配置される。それぞれの列において、フィン11a、11bは、それぞれのフィン11a、11bの面が互いに平行になるように配置される。また、第1列12と、第2列13とは、フィン11a、11bの短手方向(Y方向)に沿って並び、互いに隣接している。
【0064】
第2熱交換器5において、伝熱管14は、第1列12と、第2列13とにおけるそれぞれフィン11a、11bを貫通して形成される。
【0065】
ファン9は、第2熱交換器5の周囲に配置される。ファン9は、第2列13の-Y方向側に配置される。ファン9の回転によって、外気は吸引され、矢印Kに沿って第2熱交換器5に供給される。なお、矢印Kは、ファン9による外気の供給方向を示す。本実施の形態においては、外気は、フィン11a、11bの短手方向(Y方向)に沿って、順に第1列12と、第2列13とに到達する。即ち、ファン9によって形成される外気の流れに対して、第1列12は第2列13の上流側に配置される。
【0066】
図3は、熱電部材20を有する第2熱交換器5を示す図である。図4は、図3のA-A線に沿った断面図である。
【0067】
図3及び図4は、第1列12における1枚のフィン11aと、フィン11aに隣接する第2列13における1枚のフィン11bとを示す。図3に示すように、伝熱管14は、異なるフィン11a、11bの長手方向(Z方向)の位置においてフィン11a、11bを貫通する。第1列12を貫通する伝熱管14と、第2列13を貫通する伝熱管14とは、ファン9による外気の供給方向(矢印K)に対してずれている。より具体的には、ファン9による外気の供給方向(矢印K)から見て、第2列13の伝熱管14は、第1列12において隣り合う2つの伝熱管14の間に位置する。
【0068】
さらに、図3及び図4に示すように、フィン11a、11bは、伝熱管14の周囲において、それぞれのフィン11a、11bの主面P1、P2から突出する突出部15を形成する。言い換えると、突出部15はX方向に突出する。突出部15は、伝熱管14の外周に沿って、その全周にわたって形成されてもよい。突出部15は、フィン11a、11bの主面P1、P2から突出しているため、主面P1、P2に沿って流れる外気に当たりやすく、突出部15に境界層の形成が抑制され、外気が滞留しにくい。そのため、フィン11a、11bと外気との間の温度差を維持することができる。
【0069】
また、フィン11a、11bは、アルミニウムによって形成される母材16を有する。図4に示すように、フィン11a、11bは、母材16を覆う酸化アルミニウムの絶縁膜17を有する。絶縁膜17によって、母材16の腐食を防止することができる。
【0070】
ここで、図3図5を参照しながら、熱電部材20の構成について詳しく説明する。図5は、熱電素子50の断面図である。
【0071】
図3及び図4に示すように、熱電部材20は、熱電素子50を含む。また、図示していないが、熱電部材20は、熱電素子50に加えて、コネクタ、ワイヤ等の他の電子部品を含んでもよい。熱電素子50は、第2熱交換器5のフィン11aに配置される。より具体的には、熱電素子50は、フィン11aの主面P1に配置される。図4に示すように、熱電素子50は、フィン11aの主面P1と、主面P1の反対側の主面との両方に配置される。本実施の形態において、熱電素子50は、垂直熱電素子である。垂直熱電素子は、温度差が生じる方向に対して垂直に発電する。本実施の形態において、熱電素子50は、主面P1に対して垂直に発電する。
【0072】
図5に示すように、熱電素子50は、磁性膜51を有する。磁性膜51は、磁性体によって形成される。磁性体として、磁性金属、半金属、ワイル磁性体を用いてもよい。磁性膜51は、第2熱交換器に物理的に接触している第1面R1と、外気に面した第2面R2とを有する。第1面R1は、フィン11aの絶縁膜17に物理的に接触して配置される。第2面R2は、第1面R1と対向し、第2熱交換器5から離れる方向に向かう。第2面R2は、後述の絶縁膜52を介して、フィン11aの周囲の外気に触れる。第1面R1と第2面R2との間で温度差が形成されると、即ち、フィン11aとその周囲の外気との間で温度差が形成されると、熱電素子50は異常ネルンスト効果によって発電する。
【0073】
図4に戻ると、熱電素子50は、電気絶縁性を有する絶縁膜52に覆われる。このような構成により、熱電素子50は、フィン11a及びフィン11aの熱交換によって生じる水滴から絶縁され、熱電素子50の短絡を防止することができる。
【0074】
磁性膜51は、1μm以上100μm以下の厚みを有し、絶縁膜52は、1μm以上50μm以下の厚みを有する。磁性膜51及び絶縁膜52は、例えば、スパッタリングによって形成されてもよい。
【0075】
また、熱電素子50の発電量は、後述する端子53の間に延びる熱電素子50の長さによる。熱電素子50が長いと、より多くの電力が発電される。
【0076】
図3に戻ると、熱電素子50は、フィン11aにおいて、連続したライン状に配置される。本明細書にて、「ライン」とは、所定の幅を有して直線状及び/または曲線状に延びる形状を意味する。熱電素子50のラインは、概ね、フィン11aの長手方向(Z方向)に沿って配置される。
【0077】
本実施の形態においては、熱電素子50は、フィン11aの主面P1において、ファン9によって供給される外気(矢印K)に対して上流側に配置される。ここでいう、「上流側」とは、フィン11aの主面P1においてY方向の両端部から等しい位置を通るセンターラインCL1から、空気が供給されるフィン11aの上流側の端部までの領域を意味する。
【0078】
より具体的には、熱電素子50は、第1熱電素子50Aと、第2熱電素子50Bとによって構成される。第1熱電素子50Aは、フィン11aの主面P1において、上流側の端部に沿って配置される。第2熱電素子50Bは、伝熱管14の周囲に配置される。第1熱電素子50Aと、第2熱電素子50Bとは一体的に形成される。
【0079】
第1熱電素子50Aは、上流側の端部に沿って、-Z方向に向かって直線状に配置される。第2熱電素子50Bは、伝熱管14の周囲に形成される突出部15に沿って曲線状に配置される。第2熱電素子50Bは、突出部15の外周の一部に沿って形成されてもよく、本実施の形態において、突出部15の上流側の半周に沿って形成される。突出部15の上流側の半周に沿って形成されるそれぞれの第2熱電素子50Bの部分は、Z方向に延びる第2熱電素子50Bの部分によって互いに連結される。言い換えると、第2熱電素子50Bは、センターラインCL1に沿って直線状に延びる部分と、突出部15の上流側を弓状に湾曲して延びる部分と、を有する。
【0080】
第1熱電素子50Aは、フィン11aの端部の中心付近で、第2熱電素子50Bに連結される。本実施の形態において、熱電素子50は、フィン11aの一部を長手方向に一往復し、1ターンを形成するように配置される。
【0081】
上記配置において、Y方向において第1熱電素子50Aと第2熱電素子50Bとが近接して配置される場合がある。この場合、第1熱電素子50Aと第2熱電素子50Bとが接触し、互いに熱伝導することを回避するために、第1熱電素子50Aと第2熱電素子50Bの間の距離を確保する。このため、第1熱電素子50Aと第2熱電素子50Bのそれぞれのラインの幅は、電気抵抗の増加を抑制できる範囲で小さい方がよい。ラインの幅を小さくすることで、近接する第1熱電素子50Aと第2熱電素子50Bの間の距離を確保しやすい。例えば、5μm以上100μm以下であってもよい。
【0082】
第2熱交換器5は、複数の熱電部材20を有し、熱電部材20は、複数のフィン11aに配置される。図6を参照しながら、複数の熱電部材20の構成について説明する。図6は、第2熱交換器5の一部の側面図である。図6において、便宜上、絶縁膜17、52との図示を省略している。
【0083】
図6に示すように、複数の熱電部材20は、それぞれのフィン11aの両面に配置される。また、複数の熱電部材20は、フィン11a毎に直列に接続される。複数の熱電部材20は、端子53によって、フィン11aを跨いで直列に電気的に接続される。端子53は、リード、コネクタ、はんだ付けされたワイヤ等であってもよい。端子53は、第2熱交換器5の上部に配置される。端子53は、フィン11aの上部に設けられ、フィン11aの上部に配置される熱電部材20に接続される。
【0084】
熱電部材20は、端子53によって、他の電子部品に電気的に接続されてもよい。
【0085】
図7は、第2熱交換器5に関連する電子部品の模式図である。図7に示すように、熱電部材20は、端子53によって、整流部54、蓄電部55、及び制御部10に電気的に接続される。整流部54は、冷媒の流れ方向に応じて、電流が流れる方向を変更する。整流部54は、例えば、全波整流回路である。蓄電部55は、熱電部材20において発電される電力を蓄える。ヒートポンプシステム100は、蓄えた電力を任意の時点で使用してもよい。
【0086】
[動作]
ここで、図8を参照しながら、ヒートポンプシステム100の動作及び熱電部材20による発電について説明する。図8は、フィン11a、11bの周囲における外気の温度分布のグラフである。
【0087】
ヒートポンプシステム100の冷房運転において、制御部10は、圧縮機6を作動させ、冷媒配管3に冷媒を流す。冷媒は、四方弁8によって、冷媒は圧縮機6から第2熱交換器5に向かう。
【0088】
さらに、制御部10は、ファン9を回転させ、第2熱交換器5に対して、矢印Kに沿って、外気を供給させる。
【0089】
図8に示すように、供給される外気の温度Tは、温度Texであり、フィン11a、11bの温度Tfinより低い。供給される外気は、フィン11aの上流において、温度Tが温度Texから上昇する境界層56を形成する。ファン9の回転及び外気の供給によって、境界層56のY方向の厚みLの増加は抑制される。したがって、フィン11aの上流側の端部において、フィン11aの温度Tfinと外気の温度Tとの間で温度差T1が形成される。フィン11aの上流側の端部に配置される熱電素子50は、温度差T1に応じた電力を発電する。
【0090】
供給される外気がフィン11a、11bに沿って+Y方向にさらに流れると、外気はフィン11a、11bと熱交換し、フィン11a、11bの熱が外気に移動し、外気の温度Tが上昇する。フィン11bの下流側の端部において、外気の温度Tは、フィン11bの温度Tfinに近づく。
【0091】
一方で、フィン11aにおいて、突出部15がX方向に突出しているため、より多くの外気が突出部15に当たる。そのため、突出部15において、境界層56の形成及び外気の滞留が抑制され、フィン11aと外気の温度Tとの温度差T1を維持される。したがって、突出部15に配置される熱電素子50は、温度差T1に応じた電力を発電する。
【0092】
熱電素子50において発電される電力は、ヒートポンプシステム100の入力として使用されてもよい。また、すぐに使用しない場合、熱電素子50において発電される電力は、蓄電部55に送電されてもよい。
【0093】
[効果]
実施の形態に係るヒートポンプシステム100によれば、以下の効果を奏するができる。
【0094】
実施の形態に係るヒートポンプシステム100は、冷媒配管3によって順に接続された第1熱交換器4と、圧縮機6と、第2熱交換器5と、膨張機構7と、を備える。ヒートポンプシステム100は、第2熱交換器5に配置され、温度差を電気エネルギに変換する熱電部材20をさらに備える。
【0095】
このような構成により、第2熱交換器5において生じる温度差によって、熱電部材20は効率良く発電できる。したがって、ヒートポンプシステム100のエネルギ効率を向上させることができる。
【0096】
ヒートポンプシステム100においては、第2熱交換器5は、室外に配置される。熱電部材20は、第2熱交換器5に物理的に接触している第1面R1と、第1面R1と対向し、外気に面した第2面R2とを有する。
【0097】
このような構成により、熱電部材20は、第2熱交換器5から外気への放熱によって生じる温度差によって、効率良く発電できる。言い換えると、熱電部材20は、第2熱交換器5が通常、外気に捨てている熱エネルギを、再利用できる電気エネルギに変換することができる。
【0098】
ヒートポンプシステム100においては、熱電素子50は垂直熱電素子である。
【0099】
このような構成により、熱電素子50は、通常のゼーベック素子より小さい厚みと、高い熱伝導率とを有する。そのため、熱電素子50によるヒートポンプシステム100の熱交換に対する阻害効果を抑制しつつ、熱電素子50が発電できる。また、熱電素子50の厚みが小さいため、第2熱交換器5において、フィン11aの間隔によって制限を受けることなく、熱電素子50を配置することができる。よって、熱電素子50の長さを増加させ、発電量を増加させることができる。
【0100】
ヒートポンプシステム100においては、熱電部材20は、磁性体によって形成される磁性膜51を有する。
【0101】
このような構成により、熱電部材20は異常ネルンスト効果によって効率良く発電できる。
【0102】
ヒートポンプシステム100は、複数の熱電部材20をさらに有する。第2熱交換器5は、複数のフィン11a、11bと、複数のフィン11a、11bを貫通して、冷媒を循環させる伝熱管14とを有する。複数の熱電部材20は、複数のフィン11aのそれぞれに連続したライン状に配置される。
【0103】
このような構成により、熱電部材20を、外気とフィン11aとの間で生じる温度差によって、熱電部材20は効率良く発電できる。
【0104】
ヒートポンプシステム100においては、熱電部材20は、フィン11a毎に直列に接続される。
【0105】
このような構成により、熱電部材20の全長を長くすることによって、熱電部材20における発電量を増加させることができる。
【0106】
ヒートポンプシステム100においては、複数のフィン11a、11bに外気を供給するファン9をさらに有する。
【0107】
このような構成により、第2熱交換器5に対する外気の流れを形成して、第2熱交換器5において外気の滞留を抑制することができる。そのため、第2熱交換器5と外気との温度差を形成して維持することができる。したがって、熱電部材20における第1面R1と第2面R2との温度差を維持して、熱電部材20における発電量を増加させることができる。
【0108】
ヒートポンプシステム100においては、複数のフィン11aの主面P1において、ファン9によって供給される外気に対して上流側に配置される。
【0109】
このような構成により、熱電部材20は外気が当たる箇所に配置されるため、熱電部材20の第1面R1と第2面R2との温度差を維持することができる。したがって、熱電部材20における発電量を増加させることができる。
【0110】
ヒートポンプシステム100においては、熱電部材20は、ファン9によって供給される外気に対して、複数のフィン11aの上流側の端部に沿って配置される。
【0111】
このような構成により、熱電部材20はさらに多くの外気が当たる箇所に配置されるため、熱電部材20の第1面R1と第2面R2との温度差を維持することができる。したがって、熱電部材20における発電量をさらに増加させることができる。
【0112】
ヒートポンプシステム100においては、複数のフィン11a、11bは、フィン11a、11bを形成する主面P1、P2から突出する突出部15を有し、熱電部材20は、フィン11aの突出部15に沿って配置される。
【0113】
このような構成により、熱電部材20は外気が当たる箇所に配置されるため、熱電部材20の第1面R1と第2面R2との温度差を維持することができる。したがって、熱電部材20における発電量を増加させることができる。
【0114】
ヒートポンプシステム100においては、複数のフィン11a、11bは、第1列12と、第1列12の下流側に隣接して配置される第2列13と、に配列される。第1列12を貫通する伝熱管14と、第2列13を貫通する伝熱管14とは、ファン9による外気の供給方向(矢印K)に対してずれている。熱電部材20は、第1列12における複数のフィン11aの主面P1において、ファン9によって供給される外気に対して上流側に配置される。
【0115】
このような構成により、第2熱交換器5の熱交換効率を向上させるとともに、熱電部材20の発電効率を向上させることができる。
【0116】
ヒートポンプシステム100においては、熱電部材20に接続され、熱電部材20に変換された電気エネルギを蓄える蓄電部55をさらに備える。
【0117】
このような構成により、発電した電力を蓄えることができる。
【0118】
ヒートポンプシステム100においては、冷媒配管3内における冷媒が流れる方向を変更する四方弁8と、熱電部材20に接続され、冷媒が流れる方向に応じて、電流の方向を変更する整流部54と、をさらに備える。
【0119】
このような構成により、冷媒が流れる方向が変更され、熱電部材20における温度勾配が反転しても、熱電部材20によって発電される電力を、ヒートポンプシステム100で利用できる。
【0120】
ヒートポンプシステム100においては、熱電部材20に接続される端子53は、第2熱交換器5の上部に配置される。
【0121】
このような構成により、熱電部材20の全長を長くし、発電量を増加させることができる。また、端子53が、熱交換によって第2熱交換器5に付着する水の排水を阻害することを抑制できる。
【0122】
なお、本開示は実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。実施の形態では、ヒートポンプシステム100の一例として冷房運転時の空気調和機について説明したが、これに限定されない。例えば、ヒートポンプシステム100は、暖房運転時の空気調和機であってもよい。また、ヒートポンプシステム100は、給湯器であってもよい。
【0123】
なお、熱電部材20が、熱電効果を発揮する熱電素子50を含むと説明したが、これに限定されない。熱電部材20は、熱電素子50に代わってまたは加えて、熱エネルギを電気エネルギに変換する他の電子部品、材料等を含んでもよい。例えば、熱電部材20は、熱エネルギを電気エネルギに変換するフィルムである。また、熱電部材20は、垂直熱電素子である熱電素子50に代わってまたは加えて、温度差が生じる方向に沿って発電する素子を有してもよい。
【0124】
なお、実施の形態では、熱電部材20が第2熱交換器5に配置される例について説明したが、これに限定されない。例えば、熱電部材20は、第1熱交換器4に配置されてもよく、また、第1熱交換器4及び第2熱交換器5の両方に配置されてもよい。
【0125】
なお、実施の形態では、第2熱交換器5がフィン11a、11bと、フィン11a、11bを貫通する伝熱管14とを有する例について説明したが、これに限定されない。第2熱交換器5は、冷媒を循環させるために、内部に冷媒を流す流路を形成する伝熱流路機構を有していればよい。例えば、伝熱流路機構は、ストレート状の伝熱管14に代わってまたは加えて、コイルにより構成される。また、第2熱交換器5は、伝熱管14等の伝熱流路機構がフィンを貫通していない形態の熱交換器でもよい。伝熱流路機構がフィンに接触していればよい。例えば、第2熱交換器5は、プレートフィン熱交換器でもよい。
【0126】
なお、実施の形態では、フィン11a、11bが、2つの列、第1列12と、第2列13とを形成して配置される例について説明したが、これに限定されない。例えば、フィン11a、11bは、1つの列、または3つ以上の列を形成して配置されてもよい。
【0127】
なお、実施の形態では、フィン11a、11bが突出部15を形成する例について説明したが、これに限定されない。例えば、フィン11a、11bは突出部15を有しない、平坦な板状部材であってもよい。この場合、熱電部材20は、伝熱管14の外周における上流側の半周に沿って形成されてもよい。
【0128】
なお、実施の形態では、熱電部材20が第1列12のフィン11aに配置される例について説明したが、これに限定されない。例えば、熱電部材20は、第1列12における複数のフィン11aの上流側、及び第2列13における複数のフィン11bの上流側に配置されてもよい。このような構成により、熱電部材20を長くすることによって、発電量をさらに増加させることができる。
【0129】
なお、実施の形態では、熱電部材20がフィン11aの両面に配置される例について説明したが、これに限定されない。熱電部材20は、フィン11aにおいて、外気が当たりやすい方の面のみに形成されてもよい。
【0130】
なお、実施の形態では、熱電素子50のラインが、フィン11aの長手方向(Z方向)に沿って配置される例について説明したが、これに限定されない。熱電素子50は蛇行してもよい。熱電素子50のラインは、ラインの他の部分との接触を回避しながら、一部または全部が湾曲してもよい。このような構成によって、熱電素子50の長さをさらに延ばし、発電量を増加させることができる。
【0131】
なお、実施の形態では、熱電素子50がフィン11aの端部の中心付近で折り返す例について説明したが、これに限定されない。熱電素子50は、第2熱交換器5の排水性を阻害にないように、フィン11aの上部にのみ形成されてもよい。
【0132】
なお、実施の形態では、熱電部材20が端子53によって接続される例について説明したが、これに限定されない。端子53の代わりに、フィン11aを屈曲させて、隣接したフィン11aに配置される熱電部材20を互いに接触させてもよい。
【0133】
なお、実施の形態では、熱電部材20の一部が突出部15に沿って配置される例について説明したが、これに限定されない。熱電部材20は、突出部15に代わって、伝熱管14の外周に接触するフィン11aに形成されてもよい。このような構成により、熱電部材20は熱交換が行われる箇所に配置されるため、熱電部材20における温度差を増加させることができる。また、後述の変形例1のように、熱電部材20に含まれる熱電素子50は、フィン11aの上流側の端部に沿って、1ターンを形成するように配置されてもよい。
【0134】
なお、実施の形態では、熱電素子50が1ターンを形成するように配置される例について説明したが、これに限定されない。例えば、後述の変形例2のように、熱電素子50が、2ターンを形成するように配置されてもよい。また、熱電素子50が、3以上のターンを形成するように配置されてもよい。
【0135】
(変形例1)
図9は実施の形態の変形例1の熱電素子60を示す図である。図9に示すように、熱電素子60は、フィン11aにおいて、連続したライン状に配置される。
【0136】
変形例1では、フィン11aの主面P1において、熱電素子60のより多くが上流側の端部に配置されている点において、実施形態の熱電素子50と異なる。より具体的には、熱電素子60は、第1熱電素子60Aと、第2熱電素子60Bとを有する。第1熱電素子60Aは、フィン11aの主面P1において、上流側の端部に沿って配置される。第2熱電素子60Bは、伝熱管14よりも上流側で、第1熱電素子60Aに沿って、第1熱電素子60Aの下流側に配置される。第1熱電素子60Aと、第2熱電素子60Bとは一体的に形成される。
【0137】
第1熱電素子60Aは、上流側の端部に沿って、-Z方向に向かって直線状に延びる。第2熱電素子60Bは、+Z方向に向かって直線状に延びる。第2熱電素子60Bは、第1熱電素子60Aと間隔を有して、第1熱電素子60Aより中心側のフィン11aに配置される。
【0138】
このような構成により、即ち、空気の温度Tが低いフィン11aの箇所に熱電素子60を配置することにより、熱電素子60の第1面R1と第2面R2との間において温度差を形成することができる。したがって、熱電素子60の発電量を向上させることができる。
【0139】
(変形例2)
図10Aは実施の形態の変形例2の熱電素子70を示す図である。図10Bは、図11Aにおける熱電素子70の一部の拡大図である。図10A及び図10Bに示すように、熱電素子70は、フィン11aにおいて、連続したライン状に配置される。
【0140】
変形例2では、フィン11aの主面P1において、熱電素子70のターン数を増やしている点において、実施形態の熱電素子50と異なる。より具体的には、熱電素子70は、2ターンによって形成される。熱電素子70は、1ターン目を構成する第1熱電素子70A及び第2熱電素子70Bと、2ターン目を構成する第3熱電素子70C及び第4熱電素子70Dとを有する。第1熱電素子70Aは、フィン11aの主面P1において、上流側の端部に沿って配置される。第2熱電素子70B、第3熱電素子70C、第4熱電素子70Dは、第1熱電素子70Aの下流側に順に配置される。熱電素子70A、70B、70C、70Dは一体的に形成される。
【0141】
第1熱電素子70Aは、フィン11aの主面P1において、上流側の端部に沿って配置される。第2熱電素子70Bは、伝熱管14よりも上流側で、第1熱電素子60Aに沿って、第1熱電素子60Aの下流側に配置される。第3熱電素子70Cは、第2熱電素子70Bと間隔を有して、第2熱電素子70Bより中心側のフィン11aに配置され、-Z方向に向かって直線状に延びる。第4熱電素子70Dは、伝熱管14の周囲に形成される突出部15に沿って曲線状に配置される。第4熱電素子70Dは、突出部15の外周の一部に沿って形成されてもよく、変形例2において、突出部15の上流側の半周に沿って形成される。突出部15の上流側の半周に沿って形成されるそれぞれの第4熱電素子70Dの部分は、Z方向に延びる第4熱電素子70Dの部分によって互いに連結される。
【0142】
このような構成により、フィン11aと空気との間で温度差が形成されるフィン11aの上流側に熱電素子70を集中させつつ、熱電素子70を長く形成し、熱電素子70の発電量を増加させることができる。
【0143】
なお、2ターン目の熱電素子70C、70Dは、1ターン目の熱電素子70A、70Bと同様に、直線状に延びてもよい。
【0144】
なお、熱電素子50が磁性膜51を有する例について説明したが、これに限定されない。例えば、後述の変形例3のように、熱電素子は磁性膜51以外の膜を有してもよい。
【0145】
(変形例3)
図11は、変形例3の熱電素子80を示す図である。熱電素子80は、第1面R11を形成し、磁性を有する電気絶縁体によって形成される絶縁膜87と、絶縁膜87に配置され、第2面R12を形成し、電気伝導体で形成される伝導膜81と、を有する。このような構成によって、熱電素子80を含む熱電部材は、スピンゼーベック効果によって、効率良く発電できる。また、熱電素子80が母材16との間で絶縁膜87を有するため、絶縁膜17を形成しないフィンにも適用することができる。
【0146】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本開示のヒートポンプシステムは、排熱を電力として回収し、排熱の回収効率を向上させることができるため、空気調和機、給湯器等として有用である。
【符号の説明】
【0148】
100 ヒートポンプシステム
1 室内機
2 室外機
3 冷媒配管
4 第1熱交換器
5 第2熱交換器
6 圧縮機
7 膨張機構
8 四方弁
9 ファン
10 制御部
11a、11b フィン
12 第1列
13 第2列
14 伝熱管
15 突出部
16 母材
20 熱電部材
50 熱電素子
51 磁性膜
52 絶縁膜
53 端子
54 整流部
55 蓄電部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11