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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185378
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】印刷装置および印刷装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 15/04 20060101AFI20221207BHJP
   B65H 43/00 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
B41J15/04
B65H43/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093021
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001623
【氏名又は名称】弁理士法人真菱国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 一貴
【テーマコード(参考)】
2C060
3F048
【Fターム(参考)】
2C060BA03
2C060BA11
2C060BC47
2C060BC84
2C060BC96
2C060BC99
3F048AA05
3F048AC04
3F048CA03
3F048CA06
3F048CB03
3F048DA06
3F048DB02
3F048DB06
3F048DB09
3F048DC14
(57)【要約】
【課題】印刷装置に搭載する部品種数の増加を抑制する。
【解決手段】印刷装置は、長さ方向に複数の検出部位BMが設けられた第1紙幅の記録紙P1、または、長さ方向に複数の検出部位BMが設けられ、第1紙幅よりも幅の狭い第2紙幅の記録紙P2を搬送する搬送ローラーと、第1紙幅の記録紙P1の検出部位BMが通過する位置に設けられた第1光学式センサーS1と、第2紙幅の記録紙P2の検出部位BMが通過する位置に設けられた第2光学式センサーS2と、を含む複数の光学式センサーと、第1光学式センサーS1からの出力に基づいて、第1紙幅の記録紙P1の検出部位BMを検出し、第2光学式センサーS2からの出力に基づいて、第2紙幅の記録紙P2の検出部位を検出する制御部と、を備え、制御部は、複数の光学式センサーSからの出力に基づいて、第1紙幅の記録紙P1および第2紙幅の記録紙P2のいずれが搬送されるかを検出する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に複数の検出部位が設けられた第1紙幅の記録紙、または、長さ方向に複数の前記検出部位が設けられ、前記第1紙幅よりも幅の狭い第2紙幅の記録紙を搬送する搬送ローラーと、
前記第1紙幅の記録紙の前記検出部位が通過する位置に設けられた第1光学式センサーと、前記第2紙幅の記録紙の前記検出部位が通過する位置に設けられた第2光学式センサーと、を含む複数の光学式センサーと、
前記第1光学式センサーからの出力に基づいて、前記第1紙幅の記録紙の前記検出部位を検出し、前記第2光学式センサーからの出力に基づいて、前記第2紙幅の記録紙の前記検出部位を検出する制御部と、を備え、
前記制御部は、
複数の前記光学式センサーからの出力に基づいて、前記第1紙幅の記録紙および前記第2紙幅の記録紙のいずれが搬送されるかを検出することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記第1紙幅の記録紙および前記第2紙幅の記録紙の紙経路において、前記第2紙幅の記録紙の搬送領域の少なくとも一部は、前記第1紙幅の記録紙の搬送領域と重複しており、
前記第1紙幅の記録紙の搬送領域のうち、前記第2紙幅の記録紙の搬送領域と重複しない領域に対応する位置に前記第1光学式センサーは設けられ、
前記第2紙幅の記録紙の搬送領域のうち、前記第1紙幅の記録紙の搬送領域と重複する領域に対応する位置に前記第2光学式センサーは設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記記録紙が巻かれたロール紙を収容するロール紙ホルダーと、
前記第2紙幅のロール紙の端面と接触し、前記第2紙幅のロール紙の幅方向における位置を規制する第1仕切り部材と、をさらに備える、ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記搬送ローラーは、さらに、
長さ方向に複数の前記検出部位が設けられ、前記第2紙幅よりも幅の狭い第3紙幅の記録紙を搬送可能であり、
複数の前記光学式センサーは、前記第3紙幅の記録紙の前記検出部位が通過する位置に設けられた第3光学式センサーをさらに含み、
前記制御部は、
前記第3光学式センサーで前記第3紙幅の記録紙の前記検出部位を検出し、
複数の前記光学式センサーからの出力に基づいて、前記第1紙幅の記録紙、前記第2紙幅の記録紙および前記第3紙幅の記録紙のいずれが搬送されるかを検出する、ことを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記紙経路において、前記第3紙幅の記録紙の搬送領域の少なくとも一部は、前記第1紙幅の記録紙の搬送領域および前記第2紙幅の記録紙の搬送領域と重複しており、
前記第1紙幅の記録紙の搬送領域のうち、前記第2紙幅の記録紙の搬送領域および前記第3紙幅の記録紙の搬送領域と重複しない領域に対応する位置に前記第1光学式センサーは設けられ、
前記第2紙幅の記録紙の搬送領域のうち、前記第1紙幅の記録紙の搬送領域と重複し、前記第3紙幅の記録紙の搬送領域と重複しない領域に対応する位置に前記第2光学式センサーは設けられ、
前記第3紙幅の記録紙の搬送領域のうち、前記第1紙幅の記録紙の搬送領域および前記第2紙幅の記録紙の搬送領域と重複する領域に対応する位置に前記第3光学式センサーは設けられる、ことを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第1仕切り部材は、
前記第2紙幅のロール紙の一方の端面、および前記第3紙幅のロール紙の一方の端面と接触し、前記第2紙幅のロール紙および前記第3紙幅のロール紙の幅方向における位置を規制し、
前記第3紙幅のロール紙の他方の端面と接触し、前記第3紙幅のロール紙の幅方向における位置を規制する第2仕切り部材をさらに備える、ことを特徴とする請求項4または5に記載の印刷装置。
【請求項7】
搬送される前記記録紙を切断する切断機構をさらに備え、
前記切断機構は、
前記搬送ローラーの軸線方向において、前記第3紙幅の記録紙に切り残しを形成するパーシャルカットを行う、ことを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
複数の前記光学式センサーは、
前記搬送ローラーの軸線方向に並んで配置される、ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
長さ方向に複数の検出部位が設けられた第1紙幅の記録紙、または、長さ方向に複数の前記検出部位が設けられ、前記第1紙幅よりも幅の狭い第2紙幅の記録紙を搬送する搬送ローラーと、
前記第1紙幅の記録紙の前記検出部位が通過する位置に設けられた第1光学式センサーと、前記第2紙幅の記録紙の前記検出部位が通過する位置に設けられた第2光学式センサーと、を含む複数の光学式センサーと、
制御部と、を備えた印刷装置の制御方法であって、
前記制御部は、
前記第1光学式センサーからの出力に基づいて、前記第1紙幅の記録紙の前記検出部位を検出するステップと、
前記第2光学式センサーからの出力に基づいて、前記第2紙幅の記録紙の前記検出部位を検出するステップと、
複数の前記光学式センサーからの出力に基づいて、前記第1紙幅の記録紙および前記第2紙幅の記録紙のいずれが搬送されるかを検出するステップと、を実行する、ことを特徴とする印刷装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置および印刷装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、複数種類の紙幅の記録紙を用いることが可能な印刷装置が知られている。この印刷装置は、記録紙の位置を規制する紙ガイドの取り付け状態を接触式センサーで検出し、検出した紙ガイドの取り付け状態が第1紙幅に対応する状態であって、紙幅の設定値が第1紙幅以外の紙幅を示す値の場合、紙幅の設定値を、第1紙幅を示す値に変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-035857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷装置のなかには、長さ方向に複数の検出部位が設けられた記録紙を用いるものがある。この種の印刷装置は、記録紙の検出部位を検出することにより、記録紙の長さ方向における位置を認識する。特許文献1に開示されている印刷装置において、このような記録紙を用いると、紙ガイドの取り付け状態を検出する接触式センサーの他に、記録紙の検出部位を検出するセンサーが必要となり、部品種数が増加してしまう。また、特許文献1に開示されている印刷装置は、接触式センサーを用いているため、非接触式のセンサーを用いる場合と比較して、機械的な破損リスクが高い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の印刷装置は、長さ方向に複数の検出部位が設けられた第1紙幅の記録紙、または、長さ方向に複数の検出部位が設けられ、第1紙幅よりも幅の狭い第2紙幅の記録紙を搬送する搬送ローラーと、第1紙幅の記録紙の検出部位が通過する位置に設けられた第1光学式センサーと、第2紙幅の記録紙の検出部位が通過する位置に設けられた第2光学式センサーと、を含む複数の光学式センサーと、第1光学式センサーからの出力に基づいて、第1紙幅の記録紙の検出部位を検出し、第2光学式センサーからの出力に基づいて、第2紙幅の記録紙の検出部位を検出する制御部と、を備え、制御部は、複数の光学式センサーからの出力に基づいて、第1紙幅の記録紙および第2紙幅の記録紙のいずれが搬送されるかを検出する。
【0006】
本発明の印刷装置の制御方法は、長さ方向に複数の検出部位が設けられた第1紙幅の記録紙、または、長さ方向に複数の検出部位が設けられ、第1紙幅よりも幅の狭い第2紙幅の記録紙を搬送する搬送ローラーと、第1紙幅の記録紙の検出部位が通過する位置に設けられた第1光学式センサーと、第2紙幅の記録紙の検出部位が通過する位置に設けられた第2光学式センサーと、を含む複数の光学式センサーと、制御部と、を備えた印刷装置の制御方法であって、制御部は、第1光学式センサーからの出力に基づいて、第1紙幅の記録紙の検出部位を検出するステップと、第2光学式センサーからの出力に基づいて、第2紙幅の記録紙の検出部位を検出するステップと、複数の光学式センサーからの出力に基づいて、第1紙幅の記録紙および第2紙幅の記録紙のいずれが搬送されるかを検出するステップと、を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】開閉カバーが閉められた状態における印刷装置の斜視図である。
図2】開閉カバーが開かれた状態における印刷装置の斜視図である。
図3】印刷装置の断面図である。
図4】ロール紙ホルダーに仕切り部材が装着されていない状態を示す図である。
図5】ロール紙ホルダーに第1仕切り部材が装着された状態を示す図である。
図6】第1実施形態に係る、印刷装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図7】2種類の紙幅の記録紙の搬送領域と、各記録紙に設けられたブラックマークと、2つの光学式センサーとの位置関係を示す図である。
図8】第1実施形態に係る、記録紙検出処理を示すフローチャートである。
図9】ロール紙ホルダーに第1仕切り部材および第2仕切り部材が装着された状態を示す図である。
図10】2種類の紙幅の記録紙の搬送領域と、各記録紙に設けられたブラックマークと、2つの光学式センサーとの他の位置関係を示す図である。
図11】第1記録紙に設けられたブラックマークの他の例を示す図である。
図12】第2実施形態に係る、印刷装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図13】3種類の紙幅の記録紙の搬送領域と、各記録紙に設けられたブラックマークと、3つの光学式センサーとの位置関係を示す図である。
図14】第2実施形態に係る、記録紙検出処理を示すフローチャートである。
図15】3種類の紙幅の記録紙の搬送領域と、各記録紙に設けられたブラックマークと、3つの光学式センサーとの他の位置関係を示す図である。
図16】4種類の紙幅の記録紙の搬送領域と、各記録紙に設けられたブラックマークと、3つの光学式センサーとの位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、添付の図面を参照して、印刷装置および印刷装置の制御方法の一実施形態について説明する。本実施形態の印刷装置1は、例えば、POS(Point of sale)システムにおいてレシートプリンターとして用いられるものである。以下では、一部の図面に示したXYZ直交座標系またはX座標系による方向を用いて説明するが、これらの方向は説明の便宜上のものにすぎず、以下の実施形態を何ら限定するものではない。なお、XYZ直交座標系を示す図面では、鉛直方向をZ方向としている。
【0009】
図1および図2に基づいて、印刷装置1の外観構造について説明する。印刷装置1は、装置本体3と、開閉カバー5とを備えている。装置本体3は、-Y方向の面に開口部6が設けられた略直方体状に形成されており、装置本体3の内部には、ロール紙ホルダー8が設けられている。ロール紙ホルダー8には、印刷媒体である記録紙Pが巻かれたロール紙Rが収容される(図3参照)。開閉カバー5は、装置本体3の-Z方向の端部に回動可能に取り付けられており、開口部6を開閉する。
【0010】
印刷装置1は、外装として、本体外装部7と、上部外装部9と、カバー外装部11とを備えている。
【0011】
本体外装部7および上部外装部9は、装置本体3の外装を構成している。本体外装部7は、-Y方向の面が開口した略直方体の箱状に形成されている。上部外装部9は、開閉カバー5に対して+Z方向に設けられている。上部外装部9と開閉カバー5との境界部には、排出口13が設けられている。排出口13からは、ロール紙ホルダー8に収容されたロール紙Rから繰り出された記録紙Pが、排出される。カバー外装部11は、開閉カバー5の外装を構成している。
【0012】
開閉カバー5の-X方向および+X方向の端部には、カバー摘み部15が設けられている。カバー摘み部15は、摘み部本体15aと、摘み部本体15aの+Y方向に設けられた摘み部係止部15bと、を有している。開閉カバー5は、この摘み部係止部15bが、装置本体3に設けられたカバー係止部(図示省略)に係止されることにより、閉状態が維持される。ユーザーは、摘み部本体15aを摘み、摘み部係止部15bの係止状態を解除することにより、開閉カバー5を開く。
【0013】
印刷装置1は、電源ボタン17と、搬送ボタン19と、パネル部21とを備えている。電源ボタン17および搬送ボタン19は、開閉カバー5の-Y方向の面において、-X方向の端部に設けられている。また、パネル部21は、印刷装置1の-Y方向の面において、+Z方向の端部に設けられている。電源ボタン17が押されると、印刷装置1の電源オンと電源オフが切り替わる。搬送ボタン19が押されると、後述するプラテンローラー35が回転し、記録紙Pが排出口13に向けて送られる。パネル部21は、エラーなどの各種情報を、ユーザーに対して表示する。
【0014】
図3ないし図5に基づいて、印刷装置1の内部構造について説明する。印刷装置1は、サーマルヘッド29と、カッターモーター31と、搬送モーター(図示省略)と、プラテンローラー35と、切断機構37と、センサーユニット39と、紙経路41と、ロール紙ホルダー8とを備えている。プラテンローラー35は、「搬送ローラー」の一例である。
【0015】
サーマルヘッド29は、装置本体3の+Z方向寄り且つ-Y方向寄りに設けられている。サーマルヘッド29は、複数の発熱素子(図示省略)を備えており、ロール紙Rから繰り出された記録紙Pに印刷を行う。サーマルヘッド29は、ばね(図示省略)によって、後述するプラテンローラー35に向けて力が付与されている。このため、サーマルヘッド29は、プラテンローラー35との間で記録紙Pを挟持する。
【0016】
搬送モーターは、装置本体3の+Z方向の端部に設けられている。搬送モーターは、プラテンローラー35の駆動源である。搬送モーターとしては、例えば、DCモーター(DC:Direct Current)を用いることができる。
【0017】
プラテンローラー35は、開閉カバー5の+Y方向の面に回転可能に支持されている。プラテンローラー35は、開閉カバー5が閉められたときに、サーマルヘッド29と対向する。プラテンローラー35は、サーマルヘッド29との間で挟持した記録紙Pを、排出口13へ向けて搬送する。すなわち、プラテンローラー35が回転すると、記録紙Pがロール紙Rから繰り出されて、排出口13へ向けて搬送される。プラテンローラー35は、ばね(図示省略)によって、サーマルヘッド29に向けて力を付与する構成であってもよい。
【0018】
切断機構37は、カッターモーター31と、カッターモーター31によって駆動されて移動する可動刃(図示省略)とを備えている。可動刃および後述する固定刃は、プラテンローラー35と排出口13との間に設けられており、排出口13へ送られた記録紙Pを、印刷済み部分の後方で、記録紙Pの幅方向すなわちX方向に切断する。カッターモーター31は、装置本体3の+Z方向の端部に設けられている。なお、記録紙Pの幅方向は、プラテンローラー35の軸線方向に相当する。切断機構37は、記録紙Pが排出口13に留まるよう、記録紙PのX方向における一部を残して、記録紙Pを切断するパーシャルカットを行う。より具体的には、切断機構37の可動刃は開閉カバー5に設けられた固定刃と噛み合って移動し、記録紙Pを切断する。可動刃には切り欠き部分が設けられており、可動刃は、切り欠き部分で記録紙Pに切り残しを形成しつつ、切り欠き部分以外の刃部で記録紙Pを切断し、パーシャルカットを行う。可動刃は第1刃と記載してもよく、固定刃は第2刃と記載してもよい。
【0019】
センサーユニット39は、複数の光学式センサーSを備えている。光学式センサーSは、例えば、反射型光学式センサーを用いることができる。複数の光学式センサーSは、プラテンローラー35の軸線方向、すなわちX方向に並んで配置されている。つまり、複数の光学式センサーSは、それぞれの検出位置がX方向に並ぶように配置されている。センサーユニット39は、記録紙PのブラックマークBM(図7等参照)の検出と、記録紙Pの紙幅検出とに用いられる。
【0020】
ブラックマークBMは、記録紙Pの一方の面の-X方向端部に、所定の間隙を存して複数設けられている。記録紙Pの他方の面は、サーマルヘッド29により印刷が行われる印刷面となる。また、記録紙Pに設けられる複数のブラックマークBMは、いずれも、X方向に長い黒色の長方形状であり、同サイズである。
【0021】
紙経路41は、ロール紙Rから繰り出された記録紙Pを、排出口13に向けて搬送する経路である。本実施形態に係る印刷装置1は、80mm幅の記録紙Pである第1記録紙P1と、58mm幅の記録紙Pである第2記録紙P2とのいずれかを選択的に用いることができる(図7参照)。なお、80mm幅は、「第1紙幅」の一例であり、58mm幅は、「第2紙幅」の一例である。
【0022】
ロール紙ホルダー8は、記録紙Pが巻かれたロール紙Rを収容する。58mm幅のロール紙Rが用いられる場合、ロール紙ホルダー8の-X方向の端部W1には、第1仕切り部材51が取り付けられる(図5参照)。第1仕切り部材51は、-Z方向に第1仕切り係止部(図示省略)が形成されており、この第1仕切り係止部が、ロール紙ホルダー8の底面に設けられた第1ホルダー係止部(図示省略)に係止されることにより、ロール紙ホルダー8の-X方向の端部W1に位置決めされる。
【0023】
第1仕切り部材51は、58mm幅のロール紙Rの-X方向の端面と接触し、58mm幅のロール紙RのX方向における位置を規制する。また、58mm幅のロール紙Rは、ロール紙ホルダー8の+X方向の側面45とも接触する。すなわち、58mm幅のロール紙Rは、第1仕切り部材51と、ロール紙ホルダー8の+X方向の側面45とにより、X方向における位置が規制される。
【0024】
一方、80mm幅のロール紙Rが用いられる場合、図4に示すように、ロール紙ホルダー8からは、第1仕切り部材51が取り外される。80mm幅のロール紙Rは、ロール紙ホルダー8の-X方向の側面43と、ロール紙ホルダー8の+X方向の側面45とにより、X方向における位置が規制される。
【0025】
図6に基づいて、印刷装置1のハードウェア構成について説明する。印刷装置1は、主なハードウェア構成として、制御部100と、印刷部140と、第1光学式センサーS1と、第2光学式センサーS2と、通信部150とを備えている。このうち、第1光学式センサーS1および第2光学式センサーS2は、センサーユニット39を構成している。
【0026】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)110と、ROM(Read Only Memory)120と、RAM(Random Access Memory)130と、を含む。
【0027】
CPU110は、ROM120に記憶された各種制御プログラムをRAM130に展開して実行することにより、各種制御を行う。なお、制御部100は、CPU110に代え、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア回路をプロセッサーとして用いてもよい。また、プロセッサーは、1以上のCPUとASIC等のハードウェア回路が協働して動作する構成でもよい。
【0028】
ROM120は、ファームウェア121など、各種制御プログラムを記憶する。CPU110は、このファームウェア121に基づいて、印刷装置1内のハードウェアを制御する。また、CPU110は、このファームウェア121に基づいて、後述する記録紙検出処理を行う。記録紙検出処理では、記録紙Pの紙幅が検出される。
【0029】
RAM130は、CPU110が各種制御を行うためのワークエリアとして用いられる。また、RAM130は、各種設定値を記憶する設定値記憶領域131を有している。設定値記憶領域131には、記録紙Pの紙幅を示す紙幅設定値などが記憶される。
【0030】
印刷部140は、記録紙Pへの印刷および記録紙Pの切断を行う機構であり、サーマルヘッド29と、搬送モーターと、切断機構37とを含む。切断機構37は、パーシャルカットを行う可動刃と、オートカッターを駆動するカッターモーター31とを含む。切断機構37は、パーシャルカットにより、第1記録紙P1のX方向における略中央部、および第2記録紙P2の-X方向端部に切り残しを形成する。
【0031】
第1光学式センサーS1は、紙経路41に対向し、第1記録紙P1の検出部位であるブラックマークBMが通過する位置に設けられ(図7参照)、記録紙Pが搬送されている間、検出位置に照射した照射光の反射光強度を測定する。
【0032】
第2光学式センサーS2は、紙経路41に対向し、第2記録紙P2の検出部位であるブラックマークBMが通過する位置に設けられ(図7参照)、記録紙Pが搬送されている間、検出位置に照射した照射光の反射光強度を測定する。
【0033】
後述する制御部100は、光学式センサーSで測定された反射光強度が第1閾値以下の場合、光学式センサーSからの出力が「紙なし」を示すと判別する。また、制御部100は、光学式センサーSで測定された反射光強度が第1閾値より大きく、第1閾値より大きい第2閾値以下の場合、光学式センサーSからの出力が「紙あり且つブラックマークあり」を示すと判別する。また、制御部100は、光学式センサーSで測定された反射光強度が第2閾値より大きい場合、光学式センサーSからの出力が「紙あり且つブラックマークなし」を示すと判別する。
【0034】
制御部100は、第1光学式センサーS1および第2光学式センサーS2の出力が、それぞれ「紙なし」、「紙あり且つブラックマークあり」および「紙あり且つブラックマークなし」のいずれを示すかに応じて、記録紙PのブラックマークBMの検出、および紙幅の検出を行う。「紙なし」は、光学式センサーSの検出位置に記録紙Pが存在しないことを意味する。また、「紙あり且つブラックマークあり」は、光学式センサーSの検出位置に記録紙Pが存在し、且つ、ブラックマークBMが存在することを意味する。また、「紙あり且つブラックマークなし」は、光学式センサーSの検出位置に記録紙Pが存在し、且つ、ブラックマークBMが存在しないことを意味する。
【0035】
通信部150は、ホストコンピューター200と、無線通信または有線通信を介して通信する。
【0036】
制御部100は、上記の構成により、ホストコンピューター200から送信された印刷データに基づいて、記録紙Pに印刷を行う。また、制御部100は、印刷装置1が電源オンされたとき、および開閉カバー5が閉じられたときに、80mm幅の第1記録紙P1および58mm幅の第2記録紙P2のいずれが搬送されるかを検出する記録紙検出処理(図8参照)を行う。また、制御部100は、記録紙検出処理により検出した紙幅を、ホストコンピューター200に通知すると共に、紙幅を示す紙幅設定値を、設定値記憶領域131に記憶する。
【0037】
ホストコンピューター200は、印刷装置1から紙幅が通知されると、通知された紙幅を、印刷データの編集を行うための編集画面(図示省略)に表示したり、印刷データの編集に用いたりする。
【0038】
制御部100は、設定値記憶領域131に記憶された紙幅設定値に基づいて、印刷時における搬送モーターのトルクを設定する。より具体的には、制御部100は、紙幅設定値が80mmの紙幅を示す場合、紙幅設定値が58mmの紙幅を示す場合よりも、搬送モーターのトルクを低く設定する。これは、記録紙Pの紙幅が広い場合、紙幅が狭い場合よりも、プラテンローラー35の回転時に、プラテンローラー35とサーマルヘッド29との間で記録紙Pが介在する部分が大きく、プラテンローラー35とサーマルヘッド29との間に発生する摩擦力が小さくなるためである。このように、制御部100は、設定値記憶領域131に記憶された紙幅設定値に基づいて、印刷時における搬送モーターのトルクを設定することにより、記録紙Pを適切に搬送することができ、印刷品質の低下を抑制できる。
【0039】
また、制御部100は、設定値記憶領域131に記憶された紙幅設定値に基づいて、記録紙Pに印刷する文字列の改行位置を決定する。例えば、紙幅設定値が80mmの紙幅を示す場合、紙幅設定値が58mmの紙幅を示す場合よりも、一行あたりに印刷する文字数が多くなるように、文字列の改行位置を決定する。このように、制御部100は、設定値記憶領域131に記憶された紙幅設定値に基づいて、記録紙Pに印刷する文字列の改行位置を決定することにより、記録紙Pの紙幅をはみ出して印刷したり、記録紙Pの幅方向に不要な余白が生じたりすることを抑制できる。
【0040】
また、制御部100は、設定値記憶領域131に記憶された紙幅設定値に基づいて、ブラックマークBMを検出する光学式センサーSを決定する。例えば、制御部100は、紙幅設定値が80mmの紙幅を示す場合、第1光学式センサーS1を、ブラックマークBMを検出する光学式センサーSとして決定する。つまり、制御部100は、紙幅設定値が80mmの紙幅を示す場合、印刷時、第1光学式センサーS1からの出力に基づいて、第1記録紙P1の長さ方向における位置を認識する。また、制御部100は、紙幅設定値が58mmの紙幅を示す場合、第2光学式センサーS2を、ブラックマークBMを検出する光学式センサーSとして決定する。つまり、制御部100は、紙幅設定値が58mmの紙幅を示す場合、印刷時、第2光学式センサーS2からの出力に基づいて、第2記録紙P2の長さ方向における位置を認識する。このように、制御部100は、印刷時、ブラックマークBMを検出することで、記録紙Pの長さ方向における位置を正確に認識でき、ひいては、記録紙Pへの印刷および記録紙Pの切断を適切に行うことができる。
【0041】
なお、制御部100は、ブラックマークBMの検出に用いられない光学式センサーSについては、印刷時、反射光強度の測定を行わせない、若しくは出力を無視する構成としてもよい。
【0042】
図7に基づいて、2種類の紙幅の記録紙Pの搬送領域と、各記録紙Pに設けられたブラックマークBMと、2つの光学式センサーSとの位置関係について説明する。
【0043】
図7は、紙経路41において、80mm幅の第1記録紙P1および58mm幅の第2記録紙P2が搬送方向Aに搬送されている状態を示している。図4に示したとおり、第1記録紙P1を繰り出す80mm幅のロール紙Rは、ロール紙ホルダー8の-X方向の側面43と、+X方向の側面45とにより、X方向における位置が規制されている。また、図5に示したとおり、第2記録紙P2を繰り出す58mm幅のロール紙Rは、第1仕切り部材51と、ロール紙ホルダー8の+X方向の側面45とにより、X方向における位置が規制されている。したがって、第2記録紙P2の搬送領域である第2搬送領域E2は、第1記録紙P1の搬送領域である第1搬送領域E1の+X方向における一部領域となる。このように、本実施形態では、第2搬送領域E2の略全域が、第1搬送領域E1と重複している。
【0044】
また、図7に示すように、第1光学式センサーS1は、第2光学式センサーS2よりも-X方向に配置されている。また、上述のとおり、第1光学式センサーS1は、第1記録紙P1のブラックマークBMが通過する位置に設けられ、第2光学式センサーS2は、第2記録紙P2のブラックマークBMが通過する位置に設けられる。また、第1光学式センサーS1は、第1搬送領域E1のうち、第2搬送領域E2と重複しない領域に対応する位置に設けられる。また、第2光学式センサーS2は、第2搬送領域E2のうち、第1搬送領域E1と重複する領域に設けられる。
【0045】
図8に基づいて、印刷装置1による記録紙検出処理について説明する。記録紙検出処理は、印刷装置1が電源オンされたこと、または、開閉カバー5が閉じられたこと、をトリガーとして開始される。なお、以下の説明では、80mm幅を「第1紙幅」、58mm幅を「第2紙幅」とも称する。
【0046】
ステップS01において、印刷装置1は、記録紙Pを搬送する。
【0047】
ステップS02において、印刷装置1は、搬送モーターの回転量に基づいて、一定長さ分、記録紙Pを搬送したか否かを判別する。一定長さは、例えば30mmである。印刷装置1は、一定長さ分、記録紙Pを搬送したと判別した場合、ステップS03に進む。また、印刷装置1は、一定長さ分、記録紙Pを搬送していないと判別した場合、ステップS01に戻る。
【0048】
ステップS03において、印刷装置1は、一定長さ分、記録紙Pを搬送している間の2つの光学式センサーSの出力を判別する。印刷装置1は、一定長さ分、記録紙Pを搬送している間の第1光学式センサーS1および第2光学式センサーS2の出力が、いずれも「紙あり且つブラックマークあり」または「紙あり且つブラックマークなし」を示すと判別した場合、すなわち、いずれも「紙あり」を示すと判別した場合、ステップS04に進む。また、印刷装置1は、第1光学式センサーS1の出力が「紙なし」を示し、第2光学式センサーS2の出力が「紙あり」を示すと判別した場合、ステップS07に進む。なお、図示は省略するが、印刷装置1は、第1光学式センサーS1および第2光学式センサーS2の出力が、これら以外を示すものであった場合、パネル部21にエラー情報を表示する。
【0049】
ステップS04において、印刷装置1は、第1紙幅の記録紙Pを検出する。
【0050】
ステップS05において、印刷装置1は、ホストコンピューター200に対し、搬送される記録紙Pが第1紙幅である旨を通知する。
【0051】
ステップS06において、印刷装置1は、紙幅設定値として、第1紙幅を設定値記憶領域131に記憶する。
【0052】
ステップS07において、印刷装置1は、第2紙幅の記録紙Pを検出する。
【0053】
ステップS08において、印刷装置1は、ホストコンピューター200に対し、搬送される記録紙Pが第2紙幅である旨を通知する。
【0054】
ステップS09において、印刷装置1は、紙幅設定値として、第2紙幅を設定値記憶領域131に記憶する。
【0055】
以上説明したとおり、本実施形態に係る印刷装置1は、第1光学式センサーS1および第2光学式センサーS2を、ブラックマークBMの検出と紙幅の検出とに兼用できるため、同一種類のセンサーを用いることができ、ひいては搭載する部品種数を抑えることができる。また、印刷装置1は、光学式センサーSを用いるため、接触式のセンサーを用いて紙幅を検出する場合と比較して、機械的な破損リスクを軽減できる。
【0056】
また、印刷装置1は、第2搬送領域E2が第1搬送領域E1と重複しているため、紙経路41の搬送領域を省スペース化することができる。また、第2光学式センサーS2は、第2搬送領域E2のうち、第1搬送領域E1と重複する領域に対応する位置に設けられるため、センサーユニット39の配置スペースを省スペース化することができる。
【0057】
また、印刷装置1は、第2紙幅のロール紙Rの幅方向における位置を規制する第1仕切り部材51を備えるため、記録紙Pへの印刷中に、記録紙PがX方向にずれて印刷品質が低下することを抑制できる。
【0058】
また、印刷装置1は、紙経路41のX方向における略中央部に切り残しを形成する切断機構37を備えるため、第1記録紙P1および第2記録紙P2のいずれにも切り残しを形成することができる。
【0059】
また、印刷装置1は、X方向に並んで配置される複数の光学式センサーSを備えるため、センサーユニット39の配置スペースを省スペース化することができる。
【0060】
なお、第1実施形態では、以下の変形例を採用可能である。
[変形例1-1]
印刷装置1は、第1仕切り部材51以外に、第2仕切り部材52を取り付け可能としてもよい。また、第2記録紙P2として、第1仕切り部材51および第2仕切り部材52により、ロール紙RのX方向における位置が規制される記録紙Pを用いてもよい。すなわち、第2記録紙P2として、第1実施形態に示した第2記録紙P2の紙幅である58mmより狭い紙幅、例えば40mm幅の記録紙Pを用いてもよい。図9は、ロール紙ホルダー8に第1仕切り部材51および第2仕切り部材52が装着された状態を示す図である。また、図10は、変形例1-1に係る第2記録紙P2を示す図である。なお、第1仕切り部材51および第2仕切り部材52は、ロール紙ホルダー8に脱着可能なものに限られず、ロール紙ホルダー8内をプラテンローラー35の軸線方向に移動可能なものであってもよい。
【0061】
図9に示すように、第2仕切り部材52は、ロール紙ホルダー8の+X方向の端部W2(図4参照)に取り付けられる。第2仕切り部材52は、-Z方向に第2仕切り係止部(図示省略)が形成されており、この第2仕切り係止部が、ロール紙ホルダー8の底面に設けられた第2ホルダー係止部(図示省略)に係止されることにより、ロール紙ホルダー8の+X方向の端部W2に位置決めされる。
【0062】
変形例1-1に係る第1仕切り部材51は、40mm幅のロール紙Rの-X方向の端面と接触し、40mm幅のロール紙RのX方向における位置を規制する。また、第2仕切り部材52は、40mm幅のロール紙Rの+X方向の端面と接触し、40mm幅のロール紙RのX方向における位置を規制する。すなわち、40mm幅のロール紙Rは、第1仕切り部材51と、第2仕切り部材52とにより、X方向における位置が規制される。
【0063】
変形例1-1において、80mm幅のロール紙Rが用いられる場合、ロール紙ホルダー8からは、第1仕切り部材51および第2仕切り部材52が取り外される。また、40mm幅のロール紙Rが用いられる場合、ロール紙ホルダー8に、第1仕切り部材51および第2仕切り部材52が取り付けられる。
【0064】
また、変形例1-1において、第2記録紙P2の搬送領域である第2搬送領域E2は、第1記録紙P1の搬送領域である第1搬送領域E1のX方向における略中央部の一部領域となる。このように、変形例1-1では、第2搬送領域E2の略全域が、第1搬送領域E1と重複している。
【0065】
また、変形例1-1では、第1実施形態と同様に、第2光学式センサーS2は、第2記録紙P2のブラックマークBMが通過する位置に設けられ、第2搬送領域E2のうち、第1搬送領域E1と重複する領域に設けられる。
【0066】
なお、変形例1-1において、切断機構37は、パーシャルカットにより、第1記録紙P1および第2記録紙P2のX方向における略中央部に切り残しを形成する。
【0067】
[変形例1-2]
記録紙Pは、記録紙Pの-X方向における端部ではなく、記録紙PのX方向における略全域に、ブラックマークBMが設けられる構成でもよい。図11は、変形例1-2に係る第1記録紙P1を示す図である。変形例1-2において、印刷装置1は、第1記録紙P1のブラックマークBMを、第2光学式センサーS2の出力に基づいて検出してもよい。また、図示は省略するが、印刷装置1は、58mm幅または40mm幅の第2記録紙P2のブラックマークBMも、第2光学式センサーS2の出力に基づいて検出してもよい。このように、変形例1-2において、印刷装置1は、共通の光学式センサーSの出力に基づいて、複数種類の紙幅の記録紙Pに設けられたブラックマークBMの検出を行ってもよい。
【0068】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について説明する。上記の第1実施形態に係る印刷装置1は、2つの光学式センサーSを備え、2種類の紙幅のうち、いずれの紙幅の記録紙Pが搬送されるかを検出したが、本実施形態に係る印刷装置1は、3つの光学式センサーSを備え、3種類の紙幅のうち、いずれの紙幅の記録紙Pが搬送されるかを検出する。また、本実施形態に係る記録紙Pは、記録紙Pの-X方向の端部と、+X方向の端部とに、ブラックマークBMが設けられる。以下、第1実施形態と異なる点のみ説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成部分について適用される変形例は、本実施形態についても同様に適用される。
【0069】
図12は、第2実施形態に係る、印刷装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。本実施形態に係る印刷装置1は、80mm幅の第1記録紙P1と、58mm幅の第2記録紙P2と、40mm幅の第3記録紙P3とのいずれかを選択的に用いることができる。また、第2実施形態に係る印刷装置1は、図9に示した変形例1-1に係る印刷装置1と同様に、ロール紙ホルダー8に、第1仕切り部材51および第2仕切り部材52を取り付け可能である。
【0070】
第2実施形態において、80mm幅のロール紙Rが用いられる場合、ロール紙ホルダー8からは、第1仕切り部材51および第2仕切り部材52が取り外される。また、58mm幅のロール紙Rが用いられる場合、ロール紙ホルダー8に、第1仕切り部材51のみが取り付けられる。また、40mm幅のロール紙Rが用いられる場合、ロール紙ホルダー8に、第1仕切り部材51および第2仕切り部材52が取り付けられる。
【0071】
なお、第2実施形態において、切断機構37は、パーシャルカットにより、第1記録紙P1および第3記録紙P3のX方向における略中央部、および第2記録紙P2の-X方向端部に切り残しを形成する。
【0072】
図12に示すように、第2実施形態に係る印刷装置1は、第1実施形態に係る印刷装置1(図6参照)に、第3光学式センサーS3を追加した構成である。第2実施形態において、第1光学式センサーS1、第2光学式センサーS2および第3光学式センサーS3は、センサーユニット39を構成している。第3光学式センサーS3は、紙経路41に対向し、第3記録紙P3の検出部位であるブラックマークBMが通過する位置に設けられ(図13参照)、記録紙Pが搬送されている間、検出位置に照射した照射光の反射光強度を測定する。また、第1光学式センサーS1、第2光学式センサーS2および第3光学式センサーS3は、プラテンローラー35の軸線方向、すなわちX方向に並んで配置される。
【0073】
制御部100は、第1光学式センサーS1、第2光学式センサーS2および第3光学式センサーS3の出力が、それぞれ「紙なし」、「紙あり且つブラックマークあり」および「紙あり且つブラックマークなし」のいずれを示すかに応じて、記録紙Pの検出部位の検出、および紙幅の検出を行う。
【0074】
また、制御部100は、設定値記憶領域131に記憶された紙幅設定値に基づいて、ブラックマークBMを検出する光学式センサーSを決定する。例えば、制御部100は、紙幅設定値が80mmの紙幅を示す場合、第1光学式センサーS1を、ブラックマークBMを検出する光学式センサーSとして決定する。つまり、制御部100は、印刷時、第1光学式センサーS1からの出力に基づいて、第1記録紙P1の長さ方向における位置を認識する。また、制御部100は、紙幅設定値が58mmの紙幅を示す場合、第2光学式センサーS2を、ブラックマークBMを検出する光学式センサーSとして決定する。つまり、制御部100は、印刷時、第2光学式センサーS2からの出力に基づいて、第2記録紙P2の長さ方向における位置を認識する。また、制御部100は、紙幅設定値が40mmの紙幅を示す場合、第3光学式センサーS3を、ブラックマークBMを検出する光学式センサーSとして決定する。つまり、制御部100は、印刷時、第3光学式センサーS3からの出力に基づいて、第3記録紙P3の長さ方向における位置を認識する。
【0075】
図13に基づいて、3種類の紙幅の記録紙Pの搬送領域と、各記録紙Pに設けられたブラックマークBMと、3つの光学式センサーSとの位置関係について説明する。
【0076】
図13は、紙経路41において、80mm幅の第1記録紙P1、58mm幅の第2記録紙P2および40mm幅の第3記録紙P3が搬送方向Aに搬送されている状態を示している。3つの光学式センサーSは、-X方向から+X方向へ向けて、第1光学式センサーS1、第3光学式センサーS3および第2光学式センサーS2の順に並んで配置されている。第1光学式センサーS1は、第1記録紙P1の-X方向端部におけるブラックマークBMが通過する位置に設けられる。また、第2光学式センサーS2は、第2記録紙P2の+X方向端部におけるブラックマークBMが通過する位置に設けられる。また、第3光学式センサーS3は、第3記録紙P3の-X方向端部におけるブラックマークBMが通過する位置に設けられる。
【0077】
また、第1光学式センサーS1は、第1搬送領域E1のうち、第2搬送領域E2および第3搬送領域E3と重複しない領域に対応する位置に設けられる。また、第2光学式センサーS2は、第2搬送領域E2のうち、第1搬送領域E1と重複し、第3搬送領域E3と重複しない領域に対応する位置に設けられる。また、第3光学式センサーS3は、第3搬送領域E3のうち、第1搬送領域E1および第2搬送領域E2と重複する領域に対応する位置に設けられる。
【0078】
図14に基づいて、第2実施形態に係る記録紙検出処理について説明する。以下の説明では、80mm幅を「第1紙幅」、58mm幅を「第2紙幅」、40mm幅を「第3紙幅」とも称する。ステップS11およびステップS12は、第1実施形態に係る記録紙検出処理(図8参照)のステップS01およびステップS02と同様である。
【0079】
ステップS13において、印刷装置1は、一定長さ分、記録紙Pを搬送している間の3つの光学式センサーSの出力を判別する。印刷装置1は、一定長さ分、記録紙Pを搬送している間の第1光学式センサーS1、第2光学式センサーS2および第3光学式センサーS3の出力が、いずれも「紙あり」を示すと判別した場合、ステップS14に進む。また、印刷装置1は、第1光学式センサーS1の出力が「紙なし」を示し、第2光学式センサーS2および第3光学式センサーS3の出力が「紙あり」を示すと判別した場合、ステップS17に進む。また、印刷装置1は、第1光学式センサーS1および第2光学式センサーS2の出力が「紙なし」を示し、第3光学式センサーS3の出力が「紙あり」を示すと判別した場合、ステップS20に進む。なお、図示は省略するが、印刷装置1は、3つの光学式センサーSの出力が、これら以外を示すものであった場合、パネル部21にエラー情報を表示する。
【0080】
ステップS14において、印刷装置1は、第1紙幅の記録紙Pを検出する。
【0081】
ステップS15において、印刷装置1は、ホストコンピューター200に対し、搬送される記録紙Pが第1紙幅である旨を通知する。
【0082】
ステップS16において、印刷装置1は、紙幅設定値として、第1紙幅を設定値記憶領域131に記憶する。
【0083】
ステップS17において、印刷装置1は、第2紙幅の記録紙Pを検出する。
【0084】
ステップS18において、印刷装置1は、ホストコンピューター200に対し、搬送される記録紙Pが第2紙幅である旨を通知する。
【0085】
ステップS19において、印刷装置1は、紙幅設定値として、第2紙幅を設定値記憶領域131に記憶する。
【0086】
ステップS20において、印刷装置1は、第3紙幅の記録紙Pを検出する。
【0087】
ステップS21において、印刷装置1は、ホストコンピューター200に対し、搬送される記録紙Pが第3紙幅である旨を通知する。
【0088】
ステップS22において、印刷装置1は、紙幅設定値として、第3紙幅を設定値記憶領域131に記憶する。
【0089】
以上説明したとおり、第2実施形態に係る印刷装置1は、3つの光学式センサーSを備えたことにより、3種類の紙幅の検出を実現できる。また、印刷装置1は、第1光学式センサーS1、第2光学式センサーS2および第3光学式センサーS3を、ブラックマークBMの検出と紙幅の検出とに兼用できるため、搭載する部品種数を抑えることができる。
【0090】
また、第3搬送領域E3が、第1搬送領域E1および第2搬送領域E2と重複しているため、紙経路41の搬送領域を省スペース化することができる。また、第3光学式センサーS3は、第3搬送領域E3のうち、第1搬送領域E1および第2搬送領域E2と重複する領域に対応する位置に設けられるため、センサーユニット39の配置スペースを省スペース化することができる。
【0091】
また、印刷装置1は、第1仕切り部材51の他、第3紙幅のロール紙Rの幅方向における位置を規制する第2仕切り部材52を備えるため、第3記録紙P3を用いた場合、第3記録紙P3への印刷中に、第3記録紙P3がX方向にずれて印刷品質が低下することを抑制できる。
【0092】
また、印刷装置1は、紙経路41のX方向における略中央部に切り残しを形成する切断機構37を備えるため、第1記録紙P1、第2記録紙P2および第3記録紙P3のいずれにも切り残しを形成することができる。
【0093】
また、印刷装置1は、X方向に並んで配置される3つの光学式センサーSを備えるため、センサーユニット39の配置スペースを省スペース化することができる。
【0094】
なお、第2実施形態では、以下の変形例を採用可能である。
[変形例2-1]
記録紙Pは、第1実施形態と同様に、記録紙Pの-X方向における端部のみに、ブラックマークBMが設けられる構成でもよい。図15は、変形例2-1に係る、3種類の紙幅の記録紙Pの搬送領域と、各記録紙Pに設けられたブラックマークBMと、3つの光学式センサーSとの位置関係を示す図である。
【0095】
変形例2-1において、印刷装置1は、第1記録紙P1のブラックマークBMを、第1光学式センサーS1からの出力に基づいて検出する。また、印刷装置1は、第2記録紙P2および第3記録紙P3のブラックマークBMを、第3光学式センサーS3からの出力に基づいて検出する。したがって、変形例2-1において、第2光学式センサーS2は、ブラックマークBMの検出には用いられず、紙幅検出のために用いられる。このように、紙幅の異なる複数種類の記録紙PのブラックマークBMを、共通の光学式センサーSからの出力に基づいて検出してもよい。
【0096】
[変形例2-2]
印刷装置1は、図16に示す4種類の紙幅の記録紙Pを選択的に用いることができる構成でもよい。この場合、印刷装置1は、第2実施形態に係る第1記録紙P1、第2記録紙P2および第3記録紙P3の他、例えば、62mm幅の第4記録紙P4を用いることができる構成でもよい。
【0097】
図16は、4種類の紙幅の記録紙Pの搬送領域と、各記録紙Pに設けられたブラックマークBMと、3つの光学式センサーSとの位置関係を示す図である。変形例2-2において、62mm幅の第4記録紙P4を繰り出すロール紙Rが用いられる場合、ロール紙ホルダー8には、第1仕切り部材51は取り付けられず、第2仕切り部材52が取り付けられる(図9参照)。第2仕切り部材52は、62mm幅のロール紙Rの+X方向の端面と接触し、62mm幅のロール紙RのX方向における位置を規制する。すなわち、62mm幅のロール紙Rは、ロール紙ホルダー8の-X方向の側面43と、第2仕切り部材52とにより、X方向における位置が規制される。したがって、第4記録紙P4の搬送領域である第4搬送領域E4は、第1記録紙P1の搬送領域である第1搬送領域E1の-X方向における一部領域となる。このように、変形例2-2では、第4搬送領域E4の略全域が、第1搬送領域E1と重複している。
【0098】
変形例2-2では、図16に示すように、第4記録紙P4の-X方向における端部に設けられたブラックマークBMを、第1光学式センサーS1からの出力に基づいて検出する。
【0099】
変形例2-2において、印刷装置1は、図14のフローチャートのステップS13において、一定長さ分、記録紙Pを搬送している間の第1光学式センサーS1および第3光学式センサーS3の出力が「紙あり」を示し、第2光学式センサーS2の出力が「紙なし」を示すと判別した場合、以下の工程を実行する。印刷装置1は、第4紙幅の記録紙P、すなわち第4記録紙P4を検出する。印刷装置1は、第4記録紙P4を検出した後、ホストコンピューター200に第4紙幅である旨を通知し、紙幅設定値として、第4紙幅を設定値記憶領域131に設定する。
【0100】
[変形例2-3]
第1記録紙P1および第3記録紙P3は、-X方向における端部のみにブラックマークBMが設けられ、第2記録紙P2は、+X方向における端部のみにブラックマークBMが設けられる構成でもよい。この構成によれば、第2実施形態と同様に、第1光学式センサーS1、第2光学式センサーS2および第3光学式センサーS3を、それぞれ第1記録紙P1、第2記録紙P2および第3記録紙P3のブラックマークBMの検出に用いることができる。
【0101】
以上、2つの実施形態を示したが、両実施形態に共通して、以下の変形例を採用可能である。
[変形例3-1]
第2実施形態のように、記録紙Pの-X方向における端部と、記録紙Pの+X方向における端部とに、ブラックマークBMが設けられる場合(図13参照)、複数の光学式センサーSを用いて、ブラックマークBMを検出してもよい。同様に、変形例1-2のように、記録紙PのX方向における略全域に、ブラックマークBMが設けられる場合(図11参照)、複数の光学式センサーSを用いて、ブラックマークBMを検出してもよい。これらの場合、印刷装置1は、複数の光学式センサーSからの出力に基づいて、記録紙Pの長さ方向における位置を認識する。上述のとおり、複数の光学式センサーSは、それぞれの検出位置が、X方向に並ぶように配置されているため、複数の光学式センサーSからは、同じタイミングで「ブラックマークあり」または「ブラックマークなし」を示す出力が得られるはずである。したがって、印刷装置1は、複数の光学式センサーSを用いてブラックマークBMを検出することにより、ブラックマークBMの検出漏れや誤検出を抑制することができる。
【0102】
[変形例3-2]
印刷装置1は、記録紙検出処理において、記録紙Pに設けられたブラックマークBMのX方向における位置を検出し、検出したブラックマークBMのX方向における位置に基づいて、印刷時にブラックマークBMを検出する光学式センサーSを決定してもよい。この場合、印刷装置1は、記録紙検出処理において、一定長さ分の記録紙Pの搬送を行っている間に、「紙あり且つブラックマークあり」を示す出力を行った光学式センサーSを、ブラックマークBMを検出する光学式センサーSとして決定すればよい。この構成によれば、記録紙PのX方向におけるブラックマークBMの位置によらず、ブラックマークBMを検出する光学式センサーSを適切に決定することができる。
【0103】
[変形例3-3]
光学式センサーSとして、透過型光学式センサーを用いてもよい。この場合、制御部100は、光学式センサーSで測定された透過光強度が第1閾値以下の場合、光学式センサーSからの出力が「紙あり且つブラックマークあり」を示すと判別する。また、制御部100は、光学式センサーSで測定された反射光強度が第1閾値より大きく、第1閾値より大きい第2閾値以下の場合、光学式センサーSからの出力が「紙あり且つブラックマークなし」を示すと判別する。また、制御部100は、光学式センサーSで測定された反射光強度が第2閾値より大きい場合、光学式センサーSからの出力が「紙なし」を示すと判別する。
【0104】
[変形例3-4]
記録紙Pに設けられたブラックマークBMは、長方形状に限らず、他の形状でもよい。また、複数のブラックマークBMは、必ずしも同サイズである必要はなく、複数種類のサイズを含むものでもよい。例えば、複数のブラックマークBMは、記録紙Pの長さ方向において、交互に配置される大サイズと小サイズを含むものでもよい。また、複数のブラックマークBMは、必ずしも記録紙Pの長さ方向に等間隔で設けられる必要はなく、異なる間隔で設けられてもよい。例えば、複数のブラックマークBMは、第1間隔と、第1間隔と異なる第2間隔とで交互に配置されるものでもよい。
【0105】
[変形例3-5]
印刷装置1は、記録紙PのブラックマークBM以外の検出部位を検出することにより、記録紙Pの位置認識を行ってもよい。例えば、印刷装置1は、検出部位として、記録紙PのX方向の端面が凹状または凸状に切り欠かれた部位を検出してもよい。若しくは、印刷装置1は、検出部位として、記録紙Pの長さ方向に複数設けられた穴部を検出してもよい。
【0106】
[変形例3-6]
印刷装置1は、記録紙Pの搬送を止めた状態で、記録紙Pの紙幅を検出してもよい。
【0107】
[変形例3-7]
第2搬送領域E2は、その略全域が、第1搬送領域E1と重複するのではなく、一部領域が第1搬送領域E1と重複する構成でもよい。また、第2実施形態において、第3搬送領域E3は、その略全域が、第1搬送領域E1および第2搬送領域E2と重複するのではなく、一部領域が第1搬送領域E1および第2搬送領域E2と重複する構成でもよい。また、変形例2-2において、第4搬送領域E4は、その略全域が、第1搬送領域E1と重複するのではなく、一部領域が第1搬送領域E1と重複する構成でもよい。
【0108】
[変形例3-8]
印刷装置1は、熱転写方式により印刷を行ったが、インクジェット方式など他の印刷方式により印刷を行ってもよい。また、印刷装置1は、ロール紙Rから繰り出された記録紙Pに印刷を行ったが、ファンフォールド紙など、ロール紙R以外の連続紙に印刷を行ってもよい。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【0109】
[付記]
以下、印刷装置および印刷装置の制御方法について付記する。
印刷装置1は、長さ方向に複数の検出部位が設けられた第1紙幅の記録紙P、または、長さ方向に複数の検出部位が設けられ、第1紙幅よりも幅の狭い第2紙幅の記録紙Pを搬送するプラテンローラー35と、第1紙幅の記録紙Pの検出部位が通過する位置に設けられた第1光学式センサーS1と、第2紙幅の記録紙Pの検出部位が通過する位置に設けられた第2光学式センサーS2と、を含む複数の光学式センサーSと、第1光学式センサーS1からの出力に基づいて、第1紙幅の記録紙Pの検出部位を検出し、第2光学式センサーS2からの出力に基づいて、第2紙幅の記録紙Pの検出部位を検出する制御部100と、を備え、制御部100は、複数の光学式センサーSからの出力に基づいて、第1紙幅の記録紙Pおよび第2紙幅の記録紙Pのいずれが搬送されるかを検出する。
【0110】
印刷装置1の制御方法は、長さ方向に複数の検出部位が設けられた第1紙幅の記録紙P、または、長さ方向に複数の検出部位が設けられ、第1紙幅よりも幅の狭い第2紙幅の記録紙Pを搬送するプラテンローラー35と、第1紙幅の記録紙Pの検出部位が通過する位置に設けられた第1光学式センサーS1と、第2紙幅の記録紙Pの検出部位が通過する位置に設けられた第2光学式センサーS2と、を含む複数の光学式センサーSと、制御部100と、を備えた印刷装置1の制御方法であって、制御部100は、第1光学式センサーS1からの出力に基づいて、第1紙幅の記録紙Pの検出部位を検出するステップと、第2光学式センサーS2からの出力に基づいて、第2紙幅の記録紙Pの検出部位を検出するステップと、複数の光学式センサーSからの出力に基づいて、第1紙幅の記録紙Pおよび第2紙幅の記録紙Pのいずれが搬送されるかを検出するステップと、を実行する。
【0111】
この構成によれば、印刷装置1は、第1光学式センサーS1および第2光学式センサーS2を、検出部位の検出と紙幅の検出とに兼用できるため、同一種類のセンサーを用いることができ、ひいては搭載する部品種数を抑えることができる。また、印刷装置1は、光学式センサーSを用いるため、接触式のセンサーを用いて紙幅を検出する場合と比較して、機械的な破損リスクを軽減できる。
【0112】
上記の印刷装置1において、第1紙幅の記録紙Pおよび第2紙幅の記録紙Pの紙経路41において、第2紙幅の記録紙Pの搬送領域の少なくとも一部は、第1紙幅の記録紙Pの搬送領域と重複しており、第1紙幅の記録紙Pの搬送領域のうち、第2紙幅の記録紙Pの搬送領域と重複しない領域に対応する位置に第1光学式センサーS1は設けられ、第2紙幅の記録紙Pの搬送領域のうち、第1紙幅の記録紙Pの搬送領域と重複する領域に対応する位置に第2光学式センサーS2は設けられる、ことが好ましい。
【0113】
この構成によれば、印刷装置1は、第2紙幅の記録紙Pの搬送領域の少なくとも一部が、第1紙幅の記録紙Pの搬送領域と重複しているため、紙経路41の搬送領域を省スペース化することができる。また、第2光学式センサーS2は、第2紙幅の記録紙Pの搬送領域のうち、第1紙幅の記録紙Pの搬送領域と重複する領域に対応する位置に設けられるため、光学式センサーSの配置スペースを省スペース化することができる。
【0114】
上記の印刷装置1において、記録紙Pが巻かれたロール紙Rを収容するロール紙ホルダー8と、第2紙幅のロール紙Rの端面と接触し、第2紙幅のロール紙Rの幅方向における位置を規制する第1仕切り部材51と、をさらに備える、ことが好ましい。
【0115】
この構成によれば、印刷装置1は、第1仕切り部材51により、第2紙幅のロール紙Rの幅方向における位置を規制することができる。
【0116】
上記の印刷装置1において、プラテンローラー35は、さらに、長さ方向に複数の検出部位が設けられ、第2紙幅よりも幅の狭い第3紙幅の記録紙Pを搬送可能であり、複数の光学式センサーSは、第3紙幅の記録紙Pの検出部位が通過する位置に設けられた第3光学式センサーS3をさらに含み、制御部100は、第3光学式センサーS3で第3紙幅の記録紙Pの検出部位を検出し、複数の光学式センサーSからの出力に基づいて、第1紙幅の記録紙P、第2紙幅の記録紙Pおよび第3紙幅の記録紙Pのいずれが搬送されるかを検出する、ことが好ましい。
【0117】
この構成によれば、印刷装置1は、第3光学式センサーS3をさらに備えることにより、3種類以上の紙幅の検出を実現できる。また、印刷装置1は、第1光学式センサーS1、第2光学式センサーS2および第3光学式センサーS3を、検出部位の検出と紙幅の検出とに兼用できるため、搭載する部品種数を抑えることができる。
【0118】
上記の印刷装置1において、紙経路41において、第3紙幅の記録紙Pの搬送領域の少なくとも一部は、第1紙幅の記録紙Pの搬送領域および第2紙幅の記録紙Pの搬送領域と重複しており、第1紙幅の記録紙Pの搬送領域のうち、第2紙幅の記録紙Pの搬送領域および第3紙幅の記録紙Pの搬送領域と重複しない領域に対応する位置に第1光学式センサーS1は設けられ、第2紙幅の記録紙Pの搬送領域のうち、第1紙幅の記録紙Pの搬送領域と重複し、第3紙幅の記録紙Pの搬送領域と重複しない領域に対応する位置に第2光学式センサーS2は設けられ、第3紙幅の記録紙Pの搬送領域のうち、第1紙幅の記録紙Pの搬送領域および第2紙幅の記録紙Pの搬送領域と重複する領域に対応する位置に第3光学式センサーS3は設けられる、ことが好ましい。
【0119】
この構成によれば、第3紙幅の記録紙Pの搬送領域の少なくとも一部が、第1紙幅の記録紙Pの搬送領域および第2紙幅の記録紙Pの搬送領域と重複しているため、紙経路41の搬送領域を省スペース化することができる。また、第3光学式センサーS3は、第3紙幅の記録紙Pの搬送領域のうち、第1紙幅の記録紙Pの搬送領域および第2紙幅の記録紙Pの搬送領域と重複する領域に対応する位置に設けられるため、光学式センサーSの配置スペースを省スペース化することができる。
【0120】
上記の印刷装置1において、第1仕切り部材51は、第2紙幅のロール紙Rの一方の端面、および第3紙幅のロール紙Rの一方の端面と接触し、第2紙幅のロール紙Rおよび第3紙幅のロール紙Rの幅方向における位置を規制し、第3紙幅のロール紙Rの他方の端面と接触し、第3紙幅のロール紙Rの幅方向における位置を規制する第2仕切り部材52をさらに備える、ことが好ましい。
【0121】
この構成によれば、印刷装置1は、第1仕切り部材51により、第2紙幅のロール紙Rおよび第3紙幅のロール紙Rの幅方向における位置を規制し、第2仕切り部材52により、第3紙幅のロール紙Rの幅方向における位置を規制することができる。
【0122】
上記の印刷装置1において、搬送される記録紙Pを切断する切断機構37をさらに備え、切断機構37は、プラテンローラー35の軸線方向において、第3紙幅の記録紙Pに切り残しを形成するパーシャルカットを行う、ことが好ましい。
【0123】
この構成によれば、印刷装置1は、切断機構37を備えたことにより、紙幅の狭い第3紙幅の記録紙Pを用いた場合でも、記録紙Pに切り残しを形成することができる。
【0124】
上記の印刷装置1において、複数の光学式センサーSは、プラテンローラー35の軸線方向に並んで配置される、ことが好ましい。
【0125】
この構成によれば、印刷装置1は、複数の光学式センサーSが、プラテンローラー35の軸線方向に並んで配置されるため、複数の光学式センサーSの配置スペースを省スペース化することができる。
【符号の説明】
【0126】
1…印刷装置、35…プラテンローラー、37…切断機構、41…紙経路、51…第1仕切り部材、52…第2仕切り部材、100…制御部、P…記録紙、R…ロール紙、S…光学式センサー、S1…第1光学式センサー、S2…第2光学式センサー、S3…第3光学式センサー。
図1
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