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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185388
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/317 20210101AFI20221207BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20221207BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20221207BHJP
   H01M 10/659 20140101ALI20221207BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20221207BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20221207BHJP
   H01M 10/6569 20140101ALI20221207BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20221207BHJP
【FI】
H01M50/317 201
H01M10/613
H01M10/633
H01M10/659
H01M10/625
H01M10/653
H01M10/6569
H01M50/342 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093040
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(72)【発明者】
【氏名】清水 肇
【テーマコード(参考)】
5H012
5H031
【Fターム(参考)】
5H012AA07
5H012BB08
5H012CC10
5H012GG05
5H012JJ10
5H031AA09
5H031KK02
(57)【要約】
【課題】外部に排出されるガスの温度を低下させることができる電池パックを提供する。
【解決手段】電池セルを収容するケース3と、ケース3の内圧が所定圧以上となった場合に開弁することによりケース3の内部のガスを外部に排出してケースの内圧を低下させる圧力解放弁6とを備えた電池パックにおいて、圧力解放弁6は、ケース3の内部とケース3の外部とに連通した流路7と、ケース3の内圧が所定圧以上となった場合に流路7を連通状態にする弁体8と、流路7を流動するガスを冷却する冷却装置11とを備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルを収容するケースと、前記ケースの内圧が所定圧以上となった場合に開弁することにより前記ケースの内部のガスを外部に排出して前記ケースの内圧を低下させる圧力解放弁とを備えた電池パックにおいて、
前記圧力解放弁は、前記ケースの内部と前記ケースの外部とに連通した流路と、前記ケースの内圧が前記所定圧以上となった場合に前記流路を連通状態にする弁体と、前記流路を流動する前記ガスを冷却する冷却装置とを備えている
ことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
請求項1に記載の電池パックにおいて、
前記冷却装置は、前記流路の外壁に設けられた蓄熱材を備える
ことを特徴とする電池パック。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電池パックにおいて、
前記冷却装置は、前記流路の外壁に形成された冷媒流路と、前記冷媒流路を流動するガス用冷媒と、前記ガス用冷媒を冷却する熱交換器とを備える
ことを特徴とする電池パック。
【請求項4】
請求項3に記載の電池パックにおいて、
前記ガス用冷媒は、絶縁性の冷媒を含む
ことを特徴とする電池パック。
【請求項5】
請求項3または4に記載の電池パックにおいて、
前記ケースの内部に前記電池セルを冷却する電池セル用冷媒が設けられ、
前記電池セル用冷媒と前記ガス用冷媒とは、同一の物質の冷媒である
ことを特徴とする電池パック。
【請求項6】
請求項5に記載の電池パックにおいて、
前記ケースの下端部と、前記冷媒流路とが連通している
ことを特徴とする電池パック。
【請求項7】
請求項3ないし6のいずれか一項に記載の電池パックにおいて、
前記ケースは、鉛直方向に向けて形成された側壁を有し、
前記圧力解放弁は、前記側壁に連結されている
ことを特徴とする電池パック。
【請求項8】
請求項7に記載の電池パックにおいて、
前記ケースの内部空間を、前記電池セル側と前記圧力解放弁側とに区画する隔壁を備え、
前記隔壁における鉛直方向における上端は、前記ケースの鉛直方向における上部側を封止する蓋部との間に所定の隙間を空けて形成されている
ことを特徴とする電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電池セルを収容する電池パックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鉛直方向に並んで配置された複数の単電池と、それらの単電池を冷却するための冷媒とを収容した電池パックが記載されている。この電池パックには、冷媒が貯留されていて、複数の単電池のうちの最も下側に配置された単電池の一部が、その冷媒に浸漬されている。また、単電池から吸熱することによって気化した冷媒を、単電池の上側から滴下させるために、電池パックの上壁部の内面には、内側に突出したガイド部材が設けられている。なお、特許文献1に記載された電池パックは、放熱性を向上させるために、ケースの外壁面に放熱フィンを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-218853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された電池パックは、冷媒が気化することによって電池セルの熱を吸熱し、その気化した冷媒からケースに熱を伝達する。そのように冷媒からケースに熱を伝達することにより冷媒が冷却されるため、液体に相変化して、再度、電池セルの熱を吸熱するために電池セルに滴下される。すなわち、電池パック内での熱輸送媒体としての冷媒が相変化することにより電池セルを冷却するように構成されている。しかしながら、電池セルによる発熱量が、ケースから放熱可能な熱量以上の場合には、気化した冷媒からケースに充分に熱伝達することができず、言い換えると、冷媒が液体に相変化する程度まで冷媒を冷却することができないため、電池パックの内圧が次第に増加する可能性がある。
【0005】
一方、従来の電池パックは、電池セルの放電や充電に伴ってガスが発生する場合があり、そのガスの発生により内圧が所定圧以上に上昇することを抑制するために、内圧が所定圧まで上昇した時点で開弁してガスを外部に排出するための圧力解放弁が設けられている。したがって、上述したように電池セルによる発熱量が、ケースから放熱可能な熱量以上となった場合にも、圧力解放弁が開弁することによって電池パックの内圧が過剰に上昇することを抑制することができる。
【0006】
しかしながら、上述したように圧力解放弁を開弁して高温の冷媒や、電池セルから発生した高温のガスなどが電池パックの外部に排出されると、電池パックの外部に設けられた他の装置が昇温するなど、他の装置に何らかの影響を来す可能性があり、また、そのように電池パックから排出された高温の冷媒や高温のガスを取り込むなどして冷却する装置を別途設けると、電池パックを含む蓄電装置の搭載性が低下する可能性がある。
【0007】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、外部に排出されるガスの温度を低下させることができる電池パックを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明は、電池セルを収容するケースと、前記ケースの内圧が所定圧以上となった場合に開弁することにより前記ケースの内部のガスを外部に排出して前記ケースの内圧を低下させる圧力解放弁とを備えた電池パックにおいて、前記圧力解放弁は、前記ケースの内部と前記ケースの外部とに連通した流路と、前記ケースの内圧が前記所定圧以上となった場合に前記流路を連通状態にする弁体と、前記流路を流動する前記ガスを冷却する冷却装置とを備えていることを特徴とするものである。
【0009】
また、この発明では、前記冷却装置は、前記流路の外壁に設けられた蓄熱材を備えていてよい。
【0010】
また、この発明では、前記冷却装置は、前記流路の外壁に形成された冷媒流路と、前記冷媒流路を流動するガス用冷媒と、前記ガス用冷媒を冷却する熱交換器とを備えていてよい。
【0011】
また、この発明では、前記ガス用冷媒は、絶縁性の冷媒を含んでよい。
【0012】
また、この発明では、前記ケースの内部に前記電池セルを冷却する電池セル用冷媒が設けられ、前記電池セル用冷媒と前記ガス用冷媒とは、同一の物質の冷媒であってよい。
【0013】
また、この発明では、前記ケースの下端部と、前記冷媒流路とが連通していてよい。
【0014】
また、この発明では、前記ケースは、鉛直方向に向けて形成された側壁を有し、前記圧力解放弁は、前記側壁に連結されていてよい。
【0015】
そして、この発明では、前記ケースの内部空間を、前記電池セル側と前記圧力解放弁側とに区画する隔壁を備え、前記隔壁における鉛直方向における上端は、前記ケースの鉛直方向における上部側を封止する蓋部との間に所定の隙間を空けて形成されていてよい。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、電池セルを収容するケースに、そのケースの内圧が所定圧以上となった場合に開弁してケースの内圧を低下させる圧力解放弁が設けられている。その圧力解放弁は、ケースの内部とケースの外部とに連通した流路と、ケースの内圧が所定圧以上となった場合に流路を連通状態にする弁体と、流路を流動するガスを冷却する冷却装置とを備えている。したがって、電池パック内のガスが流路を流動する過程で、冷却装置によってガスが冷却されるため、電池パックの外部に高温のガスが排出されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の実施形態における電池パックの一例を説明するための模式図である。
図2】圧力解放弁の一例を模式的に示す断面図である。
図3】ケース本体部の側壁に圧力解放弁を設けた例を説明するための模式図である。
図4】隔壁を設けた例を説明するための模式図であり、(a)は電池パックが水平な状態を示し、(b)は電池パックが傾斜した状態を示す図である。
図5】圧力解放弁の他の例を模式的に示す断面図である。
図6】流路にフィンを設けた例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の実施形態における電池パックの一例を説明するための模式図を図1に示してある。図1に示す電池パック1は、ハイブリッド車両や電気自動車などの図示しないモータに電力を供給し、またそのモータによって発電された電力を充電する電池(バッテリ)を収容するように構成されている。具体的には、有底筒状のケース本体部2と、その開口部(上部)を封止する蓋部3とを備え、ケース本体部2と蓋部3とをボルト止めや溶接などによって固定することにより、内部空間を密閉したケースによって構成されている。
【0019】
そのケース本体部2の内部には、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池によって構成された複数の電池セル4が並んで配置されている。これらの電池セル4を接続する配線や、電池セル4から出力または電池セル4に入力される電力を制御するための電気回路などの図示しない電気機器もケース本体部2に収容されていてよい。
【0020】
このように構成された電池セル4は、放電や充電に伴って発熱する。そのため、ケース本体部2には、電池セル4を冷却するための冷却油5が貯留されている。具体的には、電池セル4の下方側の少なくとも一部が浸漬するように、冷却油5が貯留されている。この冷却油5は、電池パック1内での冷却油5を介した短絡や漏電が生じることを抑制するために、例えば、パーフロロカーボンやフッ素系不活性液体などの絶縁油を使用することができる。この冷却油5が、この発明の実施形態における「電池セル用冷媒」に相当する。
【0021】
また、電池セル4は、内部に収容された電解質と、正極材料や負極材料との化学反応によって放電や充電を行うため、電池セル4から電池パック1内にガス(以下、噴出ガスと記す)Gsが噴出される場合がある。また、電池セル4から吸熱することにより冷却油5の少なくとも一部が気化する。そのように電池パック1内にガスが噴出され、また冷却油5が気化することにより、電池パック1の内圧が次第に上昇する。そのため、電池パック1の内圧が所定圧以上に増大することを抑制するために、図1に示す例では、電池パック1の上面、すなわち蓋部3には、圧力解放弁6が設けられている。以下の説明では、気化した冷却油5を、冷媒ガスGrと記す。
【0022】
図2は、圧力解放弁6の一例を説明するための拡大図である。図2に示す圧力解放弁6には、電池パック1の内部と外部とに連通した流路7が形成されている。その流路7を連通状態と遮断状態とに切り替える弁体8が、圧力解放弁6の内部に設けられている。この圧力解放弁6は、電池パック1の内圧によって押圧されることにより遮断状態から連通状態に切り替えられるものであって、例えば、電池パック1の内圧が所定圧に増加した時点で破断することにより、遮断状態から連通状態に切り替えるように構成することや、図2に示すように弾性部材9の弾性力によって弁体8を弁座10に当接させ、電池パック1の内圧が所定圧に増加した時点で、弁体8が弁座10から離隔することにより遮断状態から連通状態に切り替えるように構成することができる。
【0023】
また、流路7のうち弁体8よりも電池パック1の内部側の部分には、流路7を流動する噴出ガスGsや冷媒ガスGrを冷却するための冷却装置11が設けられている。この冷却装置11は、流路7の外壁面を冷却することにより、噴出ガスGsや冷媒ガスGrと流路7の外壁面との温度差によって噴出ガスGsや冷媒ガスGrを冷却してもよく、または流路7の外壁面よりも流路7の内側に配管を配置して、その配管と噴出ガスGsや冷媒ガスGrとの間で熱交換して、噴出ガスGsや冷媒ガスGrを冷却してもよい。
【0024】
図2に示す冷却装置11は、圧力解放弁6の内部に環状の冷媒流路12を形成し、その冷媒流路12に冷媒(ガス用冷媒)を流動させることにより、流路7の外壁面を冷却するように構成されている。具体的には、流路7の外壁部7aのうちの弁体8が設けられた部分よりも上流側(電池パック1の内側)の部分に、冷媒が流動するための冷媒流路12が形成されている。この冷媒流路12は、熱交換器13に連通していて、流路7を流動する噴出ガスGsや冷媒ガスGrから流路7の外壁部7aに熱が伝達され、その熱を冷媒が吸熱する。その後、熱交換器13に流動した冷媒が冷却される。そして、冷却された冷媒が、再度、圧力解放弁6(具体的には、冷媒流路12)に流動するように構成されている。
【0025】
上述した冷媒流路12は、電池パック1に過剰な外力が作用すると破損する可能性があり、そのような場合には、その冷媒流路12を流動する冷媒が電池パック1内に漏洩する可能性がある。そのように冷媒が漏洩することによって、電池パック1内で短絡や漏電が生じることを抑制するために、例えば、パーフロロカーボンやフッ素系不活性液体などの絶縁油を冷媒として使用することが好ましい。すなわち、冷媒流路12には絶縁性の冷媒を使用することが好ましい。
【0026】
このように圧力解放弁6に冷媒流路12を形成して、圧力解放弁6を冷却することにより、電池パック1内で発生した高温の噴出ガスGsや高温の冷媒ガスGrが流路7を流動する過程で、圧力解放弁6とそれらのガスGs,Grとの温度差により、噴出ガスGsや冷媒ガスGrから圧力解放弁6に熱が伝達される。すなわち、圧力解放弁6を冷却することにより、噴出ガスGsや冷媒ガスGrを効率良く冷却することができる。その結果、電池パック1の外部に高温のガスが排出されることを抑制することができる。
【0027】
また、圧力解放弁6を冷却する冷媒として、絶縁性の冷媒を使用することにより、冷媒流路12が破損して電池パック1内に冷媒が漏洩したとしても、電池パック1内で短絡や漏電が生じることを抑制すること、言い換えると、電池パック1内の絶縁性を維持することができる。
【0028】
この発明の実施形態における圧力解放弁6は、図1に示す例のように蓋部3に設けたものに限らず、ケース本体部2のうち鉛直方向に向いて形成された側壁2aに設けてもよい。図3は、圧力解放弁6をケース本体部2の側壁2aに取り付けた構成の一例を示してある。図3に示す例では、圧力解放弁6に冷媒を流動させることにより噴出ガスGsや冷媒ガスGrを冷却するように構成され、その冷媒として、電池セル4を冷却するための冷媒と同一の冷媒を使用している。また、電池パック1の下端部と、冷媒流路12とが連通している。すなわち、冷媒は、冷媒流路12および電池パック1内を流動するように構成されている。
【0029】
このように圧力解放弁6をケース本体部2の側壁2aに取り付けるとともに、電池セル4を冷却する冷媒と圧力解放弁6を冷却する冷媒とを同一として、電池パック1と冷媒流路12とを連通させることにより、電池パック1内の冷媒を冷却することによって電池パック1の温度上昇を抑制することができるとともに、その配管が複雑な形状となることや大型化することを抑制することができる。
【0030】
また、圧力解放弁6をケース本体部2の側壁2aに取り付けた場合には、車両が登坂路を走行し、またはバンク路を走行している場合など、電池パック1が傾斜した場合に、電池パック1内の液相の冷媒が、圧力解放弁6の流路7に流動する可能性がある。そのように圧力解放弁6の流路7に冷媒が流動し、更にその流路7から外部に冷媒が漏洩することを抑制するための構成を図4に示してある。
【0031】
図4に示す例では、圧力解放弁6の流路7における電池パック1の内側を向いた開口部に対向して隔壁14が設けられている。すなわち、隔壁14によって、ケース本体部2の内部空間が、電池セル4側と圧力解放弁6側とに区画されている。この隔壁14は、その下端部と側端部とがケース本体部2に固定されている。一方、鉛直方向における隔壁14の上端部と蓋部3との間に所定の間隔が空くように構成されている。具体的には、図4(b)に示すように電池パック1が所定の角度、傾斜した場合における冷却油5の油面の高さと同一の高さとなる位置まで、隔壁14が形成されている。すなわち、隔壁14を挟んで電池セル4側の空間と、圧力解放弁6側の空間とは、鉛直方向における上端部のみ連通している。
【0032】
このように隔壁14を設けることにより、図4(b)に示すように電池パック1が所定の角度傾斜した場合であっても、冷却油5の油面が隔壁14を越えることがなく、冷却油5が圧力解放弁6側に流れることを抑制することができる。その結果、冷却油5が電池パック1の外部に漏洩することを抑制することができる。
【0033】
なお、上述した冷却装置11は、噴出ガスGsや冷媒ガスGrとの間で熱交換することができる構成であればよく、冷媒を用いたものに限らず、冷媒を用いた構成に加え、または冷媒を用いた構成に代えて、噴出ガスGsや冷媒ガスGrと熱交換するように構成してもよい。
【0034】
図5は、冷却装置11の他の構成を説明するための断面図を示してある。図5に示す冷却装置11は、流路7の外壁部のうち弁体8よりも電池パック1の内部側の部分が、パラフィンなどの蓄熱材15によって構成されている。
【0035】
そのように蓄熱材15によって流路7の外壁部7aを構成することにより、蓄熱材15の熱容量の範囲で、噴出ガスGsや冷媒ガスGrから蓄熱材15に熱を伝達することができ、上記の例と同様に、噴出ガスGsや冷媒ガスGrを効率良く冷却することができる。その結果、電池パック1の外部に高温のガスが排出されることを抑制することができる。
【0036】
また、上述した冷却装置11は、噴出ガスGsや冷媒ガスGrとの接触面積が大きい程、冷却効率を向上させることができる。したがって、流路12にフィンやラビリンスなどの噴出ガスGsや冷媒ガスGrとの接触面積を向上させるための熱交換部を更に備えていてもよい。図6は、流路12にフィン16を設けた圧力解放弁6の一例を説明するための断面図を示してある。図6に示す圧力解放弁6は、流路7の外壁部のうち弁体8よりも電池パック1の内部側の部分に、複数のフィン16が設けられている。なお、圧力解放弁6を冷却する手段は、図2に示すように冷媒を流動させてもよく、図5に示すように蓄熱材15を設けてもよい。
【0037】
そのようにフィン16を流路7に設けることにより、噴出ガスGsや冷媒ガスGrとの接触面積が増大することにより、噴出ガスGsや冷媒ガスGrとの間での熱の伝達効率を向上させることができ、上記の例と同様に、噴出ガスGsや冷媒ガスGrを効率良く冷却することができる。その結果、電池パック1の外部に高温のガスが排出されることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 電池パック
2 ケース本体部
2a 側壁
3 蓋部
4 電池セル
5 冷却油
6 圧力解放弁
7 流路
7a 外壁部
8 弁体
11 冷却装置
12 冷媒流路
13 熱交換器
14 隔壁
15 蓄熱材
16 フィン
Gr 冷媒ガス
Gs 噴出ガス
図1
図2
図3
図4
図5
図6