(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185402
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】誘起電圧のシミュレータおよび誘起電圧のシミュレーション方法
(51)【国際特許分類】
G06F 30/367 20200101AFI20221207BHJP
H02P 27/06 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
G06F30/367
H02P27/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093067
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】武井 宗久
(72)【発明者】
【氏名】今井 伸行
【テーマコード(参考)】
5B146
5H505
【Fターム(参考)】
5B146AA21
5B146AA23
5B146GG05
5B146GG24
5H505BB07
5H505CC01
5H505DD03
5H505EE49
5H505HB01
5H505JJ04
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、誘起電圧のシミュレーションの精度を向上させることができる誘起電圧のシミュレータおよび誘起電圧のシミュレーション方法を提供する。
【解決手段】矩形波駆動されるモータの誘起電圧をシミュレートする誘起電圧のシミュレータであって、モータの巻線の抵抗値と、巻線のインダクタンス値の周波数特性の実測値を記憶する記憶部と、記憶部が記憶している抵抗値とインダクタンス値とを、モータモデルの諸元値として出力する諸元値出力部と、諸元値出力部から出力された諸元値を用いて、矩形波駆動されるモータのシミュレーションを実行して誘起電圧を算出するシミュレーション部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形波駆動されるモータの誘起電圧をシミュレートする誘起電圧のシミュレータであって、
前記モータの巻線の抵抗値と、前記巻線のインダクタンス値の周波数特性の実測値を記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶している前記抵抗値と前記インダクタンス値とを、モータモデルの諸元値として出力する諸元値出力部と、
前記諸元値出力部から出力された前記諸元値を用いて、矩形波駆動される前記モータのシミュレーションを実行して誘起電圧を算出するシミュレーション部と、
を備える、誘起電圧のシミュレータ。
【請求項2】
前記シミュレーション部は、時間に対する電圧変動として示される誘起電圧の波形を出力する、請求項1に記載の誘起電圧のシミュレータ。
【請求項3】
前記シミュレーション部は、通電相に矩形波電圧を与えたときに、非通電相の前記巻線に発生する前記誘起電圧を算出する、請求項1または請求項2に記載の誘起電圧のシミュレータ。
【請求項4】
前記諸元値出力部は、前記記憶部が記憶している前記抵抗値と前記インダクタンス値であって、特定の周波数における前記抵抗値と前記インダクタンス値を、モータモデルの前期諸元値として出力する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の誘起電圧のシミュレータ。
【請求項5】
矩形波駆動されるモータの誘起電圧をシミュレートする誘起電圧のシミュレーション方法であって、
前記モータの巻線の抵抗値と、前記巻線のインダクタンス値の周波数特性の実測値を記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップにより記憶している前記抵抗値と前記インダクタンス値とを、モータモデルの諸元値として出力する諸元値出力ステップと、
前記諸元値出力ステップにより出力された前記諸元値を用いて、矩形波駆動される前記モータのシミュレーションを実行して誘起電圧を算出するシミュレーションステップと、
を備える、誘起電圧のシミュレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘起電圧のシミュレータおよび誘起電圧のシミュレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、磁気回路を構成するコイルを含む電気機器を解析するための回路シミュレータに組み込まれるコイルの等価回路モデルであって、端子電圧に発生する電圧値に応じた電流を供給する電流源と、電流源に並列接続された抵抗素子およびスイッチ素子と、を備える等価回路モデルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1などに開示された従来の回路シミュレータでは、非通電相の巻線に生ずる誘起電圧の波形に、実測時には存在しない振動が発生するという問題がある。
【0005】
本発明は、簡単な構成で、誘起電圧のシミュレーションの精度を向上させることができる誘起電圧のシミュレータおよび誘起電圧のシミュレーション方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、
矩形波駆動されるモータの誘起電圧をシミュレートする誘起電圧のシミュレータであって、
前記モータの巻線の抵抗値と、前記巻線のインダクタンス値の周波数特性の実測値を記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶している前記抵抗値と前記インダクタンス値とを、モータモデルの諸元値として出力する諸元値出力部と、
前記諸元値出力部から出力された前記諸元値を用いて、矩形波駆動される前記モータのシミュレーションを実行して誘起電圧を算出するシミュレーション部と、
を備える、誘起電圧のシミュレータを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単な構成で、誘起電圧のシミュレーションの精度を向上させることができる誘起電圧のシミュレータおよび誘起電圧のシミュレーション方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施例のシミュレータの構成を示す図である。
【
図2】モータの巻線の抵抗値およびインダクタンス値の周波数特性を例示する図である。
【
図3】誘起電圧を算出する方法における手順を示すフローチャートである。
【
図4】シミュレーション部におけるシミュレーションの対象となるモータモデルを例示する図である。
【
図5】U相の巻線に発生する誘起電圧(U相電圧Vu)のシミュレーション結果を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施例について説明する。
図1は、本実施例のシミュレータの構成を示す図である。
【0010】
図1に示すように、本実施例のシミュレータ10は、モータの巻線の抵抗値およびインダクタンス値の周波数特性の実測値を記憶する記憶部11と、記憶部11が記憶している上記抵抗値および上記インダクタンス値を、モータモデルの諸元値として出力する諸元値出力部12と、諸元値出力部12から出力された上記諸元値を用いて、矩形波駆動されるモータのシミュレーションを実行して誘起電圧を算出するシミュレーション部13と、を備える。
【0011】
上記のように、記憶部11は、モータの巻線の抵抗値およびインダクタンス値の周波数特性の実測値を記憶する。
【0012】
図2は、モータの巻線の抵抗値およびインダクタンス値の周波数特性を例示する図である。
【0013】
図2に示すように、モータの巻線の抵抗値は、1000kHz以上の高周波領域を除き、周波数が高くなるにつれて増加する特性を示す。一方、モータの巻線のインダクタンス値は、1000kHz以上の高周波領域を除き、周波数が高くなるにつれて減少する特性を示す。
【0014】
記憶部11は、例えば、
図2に示すような抵抗値およびインダクタンス値の周波数特性の実測値を記憶する。
【0015】
諸元値出力部12は、記憶部11に記憶された抵抗値およびインダクタンス値のうち、特定の周波数における抵抗値およびインダクタンス値をモータモデルの諸元値として取得し、シミュレーション部13に出力する。
【0016】
シミュレーション部13は、諸元値出力部12が出力した、特定の周波数における抵抗値およびインダクタンス値をモータモデルの諸元値として用いて、シミュレーションを実行する。シミュレーション部13は、例えば、矩形波の電圧を一の相の巻線に与えたときの、他の相の巻線に発生する誘起電圧をシミュレーションする。この場合、上記一の相および上記他の相の巻線のモデルのパラメータとして、それぞれ特定の周波数における抵抗値およびインダクタンス値を用いることができる。
【0017】
次に、シミュレータ10を用いて、3相モータにおける誘起電圧を算出する方法を例示する。
【0018】
図3は、誘起電圧を算出する方法における手順を示すフローチャートである。
【0019】
まず、ステップS102では、ユーザは、LCRメータ等の測定器を用いて、3相モータの各相の巻線の抵抗値およびインダクタンス値の周波数特性を測定する。ここでは、モータに駆動電圧を印加せず、モータ(ロータ)が停止した状態であって、磁石を除去した状態における各相の巻線の抵抗値およびインダクタンス値を測定する。これにより、例えば、
図2に示すような抵抗値およびインダクタンス値の周波数特性が得られる。なお、通常のモータでは、3相の巻線の抵抗値およびインダクタンス値は等価であるので、この場合には、1つの相のみについて測定してもよい。
【0020】
次に、ステップS104では、ユーザは、ステップS102で測定された抵抗値およびインダクタンス値の周波数特性を、記憶部11に記憶する。ここでは、例えば、シミュレータ10に対するユーザの操作に応じて、LCRメータ等の測定器に格納された抵抗値およびインダクタンス値の周波数特性を記憶部11に転送し、記憶部11に記憶するようにしてもよい。
【0021】
ステップS106では、諸元値出力部12は、記憶部11が記憶している抵抗値およびインダクタンス値の中から特定の周波数における抵抗値およびインダクタンス値を選択し、シミュレーション部13に出力する。ここでは、例えば、シミュレータ10に対するユーザの操作に応じて、諸元値出力部12は、特定の周波数の指定を受け付け、指定された特定の周波数における抵抗値およびインダクタンス値を選択してシミュレーション部13に出力する。これにより、シミュレーション部13には、特定の周波数における抵抗値およびインダクタンス値が、モータモデルの諸元値として設定される。特定の周波数を決定する方法については後述する。
【0022】
ステップS108では、シミュレーション部13は、3相の巻線にそれぞれ発生する誘起電圧の波形をシミュレーションする。ステップS110では、シミュレーション部13は、シミュレーションの結果を算出結果として出力し、処理を終了する。シミュレーション結果は、時間に対する電圧変動としての誘起電圧の波形(後述する
図5の波形22)として表示される。この波形22は、表示装置20(
図1)に表示させることができる。また、波形22、または波形22に相当するデータは、記憶部11に記憶することもできる。
【0023】
図4は、シミュレーション部におけるシミュレーションの対象となるモータモデルを例示する図である。
【0024】
図4に示すモータモデルでは、U相、V相およびW相の巻線がスター結線されている。すなわち、U相、V相およびW相の巻線の一端が共通に接続されている。また、U相の巻線は抵抗RuとインダクタンスLuとの直列接続として、V相の巻線は、抵抗RvとインダクタンスLvとの直列接続として、W相の巻線は、抵抗RwとインダクタンスLwとの直列接続として、それぞれの巻線のインピーダンスが規定されている。U相、V相およびW相の巻線に発生する電圧は、それぞれU相電圧Vu、V相電圧VvおよびW相電圧Vwとして示される。
【0025】
図4に示すように、U相、V相およびW相の巻線の他端は、それぞれ、駆動回路を模擬するスイッチU1、U2、スイッチV1、V2およびスイッチW1、W2を介して、電源Bに接続されている。シミュレーションにおいては、例えば、スイッチU1、U2はオフ状態が維持されることで、U相の巻線の他端は開放され、W相の巻線の他端は、スイッチW1を介して電源Bの高電圧側に、常時、接続されている。さらに、V相の巻線の他端は、スイッチV1およびスイッチV2が交互にオンする相補パルスワイド幅変調(PWM)により、電源Bの高電圧側と低電圧側に交互に接続される状態となる。この状態では、スイッチV1およびスイッチV2の切り換えに伴って、矩形波電圧が発生し、V相およびW相の巻線に電流が流れる。また、オープンとなっているU相の巻線には、誘起電圧(U相電圧Vu)が発生する。すなわち、V相およびW相は通電相であり、U相は非通電相となる。なお、仮想的(理想的)なスイッチU1、U2、V1、V2、W1、W2のモデルを半導体スイッチのモデルに置換してもよい。実際に駆動回路に使用される半導体スイッチ、例えばFETのモデルを用いることにより、駆動回路のスイッチング特性の影響を加味したシミュレーションを行うことができる。
【0026】
図5は、
図4に示すモータモデルを用い、U相の巻線に発生する誘起電圧(U相電圧Vu)のシミュレーション結果を例示する図である。
図5において、波形21は、U相の巻線に発生する誘起電圧の実測値を示し、波形22は、ステップS108におけるシミュレーションにより得られたU相の巻線に発生する誘起電圧の値を示す。
【0027】
ここで、本実施例において得られる波形22は、通電相であるV相およびW相の巻線に対しては、比較的低い周波数、例えば50Hzにおける抵抗値およびインダクタンス値を適用し、非通電相であるU相に対しては、より高い周波数、例えば、200kHzにおける抵抗値およびインダクタンス値を適用したときのシミュレーション結果を示している。
【0028】
すなわち、上記のステップS106では、諸元値出力部12は、通電相(V相およびW相)の巻線に対しては、記憶部11が記憶している抵抗値およびインダクタンス値の中から低い周波数(例えば、50Hz)における抵抗値およびインダクタンス値を選択し、シミュレーション部13に出力する。また、非通電相(U相)の巻線に対しては、記憶部11が記憶している抵抗値およびインダクタンス値の中から高い周波数(例えば、200kHz)における抵抗値およびインダクタンス値を選択し、シミュレーション部13に出力する。
【0029】
一方、
図5における波形23は、U相、V相およびW相のすべての巻線に対して、低い周波数、例えば50Hzにおける抵抗値およびインダクタンス値を適用した場合のシミュレーション結果(比較例)を示している。
【0030】
図5に示すように、波形23は、実測値の波形21に対して、大きな振動が付加された形状を示しており、振動の減衰する速度も遅い。これに対し、本実施例におけるシミュレーション結果として得られる波形22には、実測値の波形21に対して、振動が付加されているものの、その振幅は波形23と比較して小さく、振動が減衰する速度も速い。すなわち、波形22は実測値の波形21に近似しており、実測結果に近いシミュレーション結果が得られる。
【0031】
なお、U相、V相およびW相のすべての巻線に対して、低い周波数、例えば50Hzにおける抵抗値およびインダクタンス値を適用した場合に得られる波形23は、実機のモータにおいて生ずる表皮効果および近接効果がモータモデルにおいて考慮されていないことに起因すると考えられる。このため、実測において発生しない振動が、シミュレーション結果では非通電相において発生する。しかし、本実施例では、非通電相の巻線の抵抗値およびインダクタンス値に、比較的高い周波数での値を適用することにより、シミュレーション結果における振動を抑制することができる。また、表皮効果および近接効果を考慮したモータモデルを作成することも考えられるが、この場合には、モータモデルが複雑となり、シミュレーションに長時間を要するという問題がある。本実施例では、シミュレーションの負担を増大させることなく、簡単な方法で、シミュレーションの精度を向上させることができ、誘起電圧を正確に算出できる。
【0032】
なお、誘起電圧、とくに非通電相の巻線における誘起電圧は、モータの制御に有効に利用できる。例えば、ロータの角度をセンサにより直接的に計測することなく、非通電相の巻線における誘起電圧に基づいて、ロータの角度を把握することができ、ロータの回転速度等の制御に使用することができる。本発明によれば、誘起電圧、とくに非通電相の誘起電圧を精度よく算出できるので、算出結果をモータの設計に有効に活かすことで、モータの性能を向上させることができる。
【0033】
本実施例において、非通電相の巻線の抵抗値およびインダクタンス値に適用される特定の周波数は、例えば、波形23に含まれる振動の周波数を考慮して決定することができる。この場合、波形23に含まれる振動の周波数が200kHzであったとすれば、特定の周波数を200kHzとすることができる。これにより、波形22に含まれる振動を効果的に抑制することができる。ただし、特定の周波数が、波形23に含まれる振動の周波数に一致しない場合でも、振動を抑制する効果を得ることができる。
【0034】
また、非通電相の巻線の抵抗値およびインダクタンス値に適用される特定の周波数は、シミュレータ10以外の他の回路シミュレータを用いて算出することもできる。この場合、U相、V相およびW相のすべての巻線に対して、低い周波数、例えば50Hzにおける抵抗値およびインダクタンス値を適用した場合に得られる、U相の巻線に発生する誘起電圧のシミュレーション結果を用いることができる。具体的には、この誘起電圧の波形に現れる振動の周波数を、特定の周波数とすることができる。また、他の回路シミュレータのシミュレーション結果を用いる場合でも、特定の周波数として、誘起電圧の波形に現れる振動の周波数と異なる値を採用してもよい。
【0035】
なお、本実施例、U相、V相およびW相の巻線がスター結線されている例を示しているが、各相の巻線がデルタ結線されている場合にも、本発明を適用することが可能である。
【0036】
以上、実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部または複数を組み合わせることも可能である。
【0037】
なお、以上の実施例に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0038】
[付記1]
矩形波駆動されるモータの誘起電圧をシミュレートする誘起電圧のシミュレータ(10)であって、
前記モータの巻線の抵抗値と、前記巻線のインダクタンス値の周波数特性の実測値を記憶する記憶部(11)と、
前記記憶部が記憶している前記抵抗値と前記インダクタンス値とを、モータモデルの諸元値として出力する諸元値出力部(12)と、
前記諸元値出力部から出力された前記諸元値を用いて、矩形波駆動される前記モータのシミュレーションを実行して誘起電圧を算出するシミュレーション部(13)と、
を備える、誘起電圧のシミュレータ。
【0039】
付記1の構成によれば、記憶されている抵抗値とインダクタンス値とを、モータモデルの諸元値として用いてシミュレーションを実行するので、シミュレーションの負担を増大させることなく、精度よく、誘起電圧を算出することができる。
【0040】
[付記2]
前記シミュレーション部は、時間に対する電圧変動として示される誘起電圧の波形を出力する、付記1に記載の誘起電圧のシミュレータ。
【0041】
付記2の構成によれば、時間に対する電圧変動として示される誘起電圧の波形における振動を抑制することができる。
【0042】
[付記3]
前記シミュレーション部は、通電相に矩形波電圧を与えたときに、非通電相の前記巻線に発生する前記誘起電圧を算出する、付記1または付記2に記載の誘起電圧のシミュレータ。
【0043】
付記3の構成によれば、非通電相の巻線に発生する誘起電圧を精度よくシミュレーションすることができる。
【0044】
[付記4]
前記諸元値出力部は、前記記憶部が記憶している前記抵抗値と前記インダクタンス値であって、特定の周波数における前記抵抗値と前記インダクタンス値を、モータモデルの前期諸元値として出力する、付記1~付記3のいずれか1項に記載の誘起電圧のシミュレータ。
【0045】
付記4の構成によれば、特定の周波数における抵抗値とインダクタンス値を、モータモデルの諸元値として使用するので、誘起電圧のシミュレーションの精度を向上させることができる。
【0046】
[付記5]
矩形波駆動されるモータの誘起電圧をシミュレートする誘起電圧のシミュレーション方法であって、
前記モータの巻線の抵抗値と、前記巻線のインダクタンス値の周波数特性の実測値を記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップにより記憶している前記抵抗値と前記インダクタンス値とを、モータモデルの諸元値として出力する諸元値出力ステップと、
前記諸元値出力ステップにより出力された前記諸元値を用いて、矩形波駆動される前記モータのシミュレーションを実行して誘起電圧を算出するシミュレーションステップと、
を備える、誘起電圧のシミュレーション方法。
【0047】
付記5の構成によれば、記憶されている抵抗値とインダクタンス値とを、モータモデルの諸元値として用いてシミュレーションを実行するので、シミュレーションの負担を増大させることなく、精度よく、誘起電圧を算出することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 シミュレータ
11 記憶部
12 諸元値出力部
13 シミュレーション部