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特開2022-185430画像形成装置、及び画像形成装置の色調整方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185430
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】画像形成装置、及び画像形成装置の色調整方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/21 20060101AFI20221207BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
B41J2/21
B41J2/01 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093118
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】川邊 徹
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA01
2C056EA04
2C056EB27
2C056EC07
2C056EC38
2C056EC79
2C056EE03
2C056EE18
2C056FA14
2C056HA07
(57)【要約】
【課題】白インクの画像調整と他色のインクの画像調整とを短時間で行うことができる。
【解決手段】インクジェット記録装置500は、白インクで印刷した第1のテストパターンと、白インクと有色インクと重ねて印刷した第2のテストパターンとを連続して形成する記録動作部264と、第1のテストパターン及び第2のテストパターンを連続して測定する測定部265と、測定部265による第1のテストパターンの測定結果及び第2のテストパターンの測定結果に基づいて、有色インクの補正量を決定する制御部410と、を備える。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白インクで印刷した第1のテストパターンと、前記白インクと有色インクと重ねて印刷した第2のテストパターンとを連続して形成する記録動作部と、
前記第1のテストパターン及び前記第2のテストパターンを連続して測定する測定部と、
前記測定部による前記第1のテストパターンの測定結果及び前記第2のテストパターンの測定結果に基づいて、前記有色インクの補正量を決定する制御部と、
を備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記記録動作部は、
白インクで印刷したテストパターン上に、有色インクによるテストパターンを印刷し、
前記測定部は、
テストパターンを読み取り、
前記制御部は、
前記測定部による前記白インクのテストパターンの測定結果に基づいて、前記白インクの補正量を決定し、前記有色インクのテストパターンの測定結果に基づいて、前記有色インクの補正量を決定し、
更に前記白インクの補正量に基づいて、前記有色インクに関する補正量を再決定する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
メディア搬送方向に対して垂直方向に配設した白インク用プリントヘッドおよび前記メディア搬送方向に対して垂直方向に配設した、1または複数の有色インク用プリントヘッドを複数備え、
前記制御部は、
各前記白インク用プリントヘッドの境界部分の濃度差が低減し、かつ各前記有色インク用プリントヘッドの境界部分の濃度差が低減する方向に、前記白インク用プリントヘッドの電圧レベル、及び前記有色インク用プリントヘッドの電圧レベルを調整する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
メディア搬送方向に対して垂直方向に配設した白インク用プリントヘッドおよび前記メディア搬送方向に対して垂直方向に配設した、1または複数の有色インク用プリントヘッドを複数備え、
前記制御部は、
各前記白インク用プリントヘッドの境界部分の濃度差が低減し、かつ各前記有色インク用プリントヘッドの境界部分の濃度差が低減する方向に、前記白インクと前記有色インクの入力階調値に対する補正階調値を調整する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記白インク上に形成された前記有色インクの補正量の調整において、前記有色インクの検出値に応じて決定される有色インクの調整量に対して、対応する位置の前記白インクの検出値の差に加え、
前記有色インクの各階調値、有色インク種およびメディア種のうち1つ以上の要素から前記有色インクの補正量を決定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
1回のテストパターンの出力に対して得られた前記白インクおよび各前記有色インクの測定結果に基づく調整量に対して、各前記有色インクの調整量を前記白インクの調整量に基づいて決定する、
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1のテストパターンは、領域ごとに階調値を段階的に変化させたものである、
請求項2から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
白色に重ねる前記第2のテストパターンは、前記白インクを段階的に変化させる方向と交差する方向に階調を段階的に変化させたものである、
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記記録動作部により、前記白インクおよび前記有色インクのヘッドモジュールごとの相対的な電圧設定の調整値を段階的に変化させて、複数回印刷する、
請求項7または8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
白インクで印刷した第1のテストパターンと、前記白インクと有色インクと重ねて印刷した第2のテストパターンとを連続して形成するステップと、
前記第1のテストパターン及び前記第2のテストパターンを連続して測定するステップと、
前記第1のテストパターンの測定結果及び前記第2のテストパターンの測定結果に基づいて、前記有色インクに関する補正量を決定するステップと、
を含む、画像形成装置の色調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び画像形成装置の色調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シングルバス方式のインクジェットプリンタの開発が、積極的に行われている。シングルバス方式のインクジェットプリンタにおける画像形成では、ヘッドモジュール間の不整合(例えば、濃度ムラなど)を解消するために適切な画像調整処理が必要となっている。
【0003】
ヘッドモジュール間の不整合を解消するための画像調整処理として、ヘッドモジュール間の電圧調整、シェーディング補正、又はつなぎ目の補正等が行われている。
【0004】
ここで、例えば、濃度補正装置に関し、固定化された濃度の基本色の下地画像上に記録された試験画像の濃度の測定結果を用いて基本色の濃度を補正する場合に比べ、画像の濃度のむらを抑制する技術が開示されている(特許文献1の要約書参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016―155275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された濃度補正装置では、白以外の特殊紙に画像を形成する技術に関し、画質を確保するために、ホワイト色補正処理を実行した後、他色補正処理を実行するように構成されている。
【0007】
この場合、ホワイト色の白インクが適切に画像調整されていなければ、そのホワイト色補正された画像上に画像形成される他色のインクが、画像調整に影響を及ぼすことになる。そのため、特許文献1に開示された濃度補正装置では、白インクに関して各種画像処理を行った後、他色のインクに対する画像調整を行う必要がある。
【0008】
このように、特許文献1に記載された技術では、白インクの画像調整と他色のインクの画像調整をそれぞれ行う必要があるため、画像調整において、2つの画像調整処理に従来よりも長い時間を要していた。
【0009】
このような課題に関し、本発明では、白インクの画像調整と他色のインクの画像調整とを短時間で行うことができる、画像形成装置、及び画像形成方法を提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明の上記課題は、下記の構成により解決される。
(1)白インクで印刷した第1のテストパターンと、前記白インクと有色インクと重ねて印刷した第2のテストパターンとを連続して形成する記録動作部と、
前記第1のテストパターン及び前記第2のテストパターンを連続して測定する測定部と、
前記測定部による前記第1のテストパターンの測定結果及び前記第2のテストパターンの測定結果に基づいて、前記有色インクの補正量を決定する制御部と、
を備える、画像形成装置。
【0011】
(2)前記記録動作部は、
白インクで印刷したテストパターン上に、有色インクによるテストパターンを印刷し、
前記測定部は、
テストパターンを読み取り、
前記制御部は、
前記測定部による前記白インクのテストパターンの測定結果に基づいて、前記白インクの補正量を決定し、前記有色インクのテストパターンの測定結果に基づいて、前記有色インクの補正量を決定し、
更に前記白インクの補正量に基づいて、前記有色インクに関する補正量を再決定する、
(1)に記載の画像形成装置。
【0012】
(3)メディア搬送方向に対して垂直方向に配設した白インク用プリントヘッドおよび前記メディア搬送方向に対して垂直方向に配設した、1または複数の有色インク用プリントヘッドを複数備え、
前記制御部は、
各前記白インク用プリントヘッドの境界部分の濃度差が低減し、かつ各前記有色インク用プリントヘッドの境界部分の濃度差が低減する方向に、前記白インク用プリントヘッドの電圧レベル、及び前記有色インク用プリントヘッドの電圧レベルを調整する、
(2)に記載の画像形成装置。
【0013】
(4)メディア搬送方向に対して垂直方向に配設した白インク用プリントヘッドおよび前記メディア搬送方向に対して垂直方向に配設した、1または複数の有色インク用プリントヘッドを複数備え、
前記制御部は、
各前記白インク用プリントヘッドの境界部分の濃度差が低減し、かつ各前記有色インク用プリントヘッドの境界部分の濃度差が低減する方向に、前記白インクと前記有色インクの入力階調値に対する補正階調値を調整する、
(2)に記載の画像形成装置。
【0014】
(5)前記制御部は、
前記白インク上に形成された前記有色インクの補正量の調整において、前記有色インクの検出値に応じて決定される有色インクの調整量に対して、対応する位置の前記白インクの検出値の差に加え、
前記有色インクの各階調値、有色インク種およびメディア種のうち1つ以上の要素から前記有色インクの補正量を決定する、
(1)から(3)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0015】
(6)前記制御部は、
1回のテストパターンの出力に対して得られた前記白インクおよび各前記有色インクの測定結果に基づく調整量に対して、各前記有色インクの調整量を前記白インクの調整量に基づいて決定する、
(5)に記載の画像形成装置。
【0016】
(7)前記第1のテストパターンは、領域ごとに階調値を段階的に変化させたものである、
(2)から(6)のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0017】
(8)白色に重ねる前記第2のテストパターンは、前記白インクを段階的に変化させる方向と交差する方向に階調を段階的に変化させたものである、
(7)に記載の画像形成装置。
【0018】
(9)前記制御部は、
前記記録動作部により、前記白インクおよび前記有色インクのヘッドモジュールごとの相対的な電圧設定の調整値を段階的に変化させて、複数回印刷する、
(7)または(8)に記載の画像形成装置。
【0019】
(10)白インクで印刷した第1のテストパターンと、前記白インクと有色インクと重ねて印刷した第2のテストパターンとを連続して形成するステップと、
前記第1のテストパターン及び前記第2のテストパターンを連続して測定するステップと、
前記第1のテストパターンの測定結果及び前記第2のテストパターンの測定結果に基づいて、前記有色インクに関する補正量を決定するステップと、
を含む、画像形成装置の色調整方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、画像形成装置、及び画像形成装置の色調整方法において、白インクの画像調整と他色のインクの画像調整とを短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】本実施形態に係る画像形成装置が行う処理の内容を示したブロック図である。
図1B】本実施形態に係る機器セットアップの処理を示したブロックである。
図2A】本実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成を示した説明図である。
図2B】インクジェット記録装置の機能ブロック図を示したものである。
図2C】インクジェット記録装置のヘッドユニットの構成の一例を示した説明図である。
図3A】本実施形態に係るインクジェット記録装置が、テストパターンを印刷して、白インクおよび各色インク補正テーブルを作成する処理を示したフローチャートである。
図3B】本実施形態に係るインクジェット記録装置が、テストパターンを印刷して、測定結果に基づいて、白インクおよび各色インク補正テーブルを更新する処理を示したフローチャートである。
図4A】本実施形態に係るインクジェット記録装置が、テストパターンを印刷して、白インクおよび各色インクの補正テーブルを作成する処理を示したフローチャートである。
図4B】本実施形態に係るインクジェット記録装置が、テストパターンを印刷して、測定結果に基づいて、白インクおよび各色インクの補正テーブルを更新する処理を示したフローチャートである。
図5A】本実施形態に係るインクジェット記録装置が、テストパターンを印刷し、記録ヘッドの境界部分の濃度差に基づいてヘッド電圧の仮補正量を調整して、白インクおよび各色インクのヘッド電圧補正テーブルを作成する処理を示したフローチャートである。
図5B】本実施形態に係るインクジェット記録装置が、テストパターンを印刷して、測定結果に基づいて、白インクおよび各色インク補正テーブルを更新する処理を示したフローチャートである。
図5C】白インク用のヘッドモジュールとKインク用のヘッドモジュールで印刷したテストパターンである。
図5D】各ヘッドモジュールと、W電圧、K電圧、Wスキャナ応答、Kスキャナ応答との対応を示す図である。
図5E】各ヘッドモジュールと、補正したW電圧、K電圧、Wスキャナ応答、Kスキャナ応答との対応を示す図である。
図6A】本実施形態に係るインクジェット記録装置が、テストパターンを印刷し、白インクの各部分の濃度差に基づいて、白インク各部分階調補正量を決定し、各色各部分階調仮補正量を調整して補正量を決定する処理を示したフローチャートである。
図6B】本実施形態に係るインクジェット記録装置が、テストパターンを印刷して、測定結果に基づいて、白インクおよび各色インクシェーディング補正テーブルを更新する処理を示したフローチャートである。
図6C】白インクベタ上に、Kインクテストパターンを印画した説明図である。
図6D】記録媒体に、白色テストパターンを印画したものと、記録媒体に、Kインクテストパターンを印画したものを示した説明図である。
図6E】Kインクテストパターンについて、K階調値と、K測色値と関係を示した説明図である。
図6F】2水準の場合のKインクテストパターンを示した説明図である。
図6G】Kインクの入力階調と、L*の関係を示した説明図である。
図7A】本実施形態に係るインクジェット記録装置が、有色インクの階調値、有色インク種およびメディア種のうち1つ以上の要素から有色インクの補正量を決定する処理を示したフローチャートである。
図7B】制御部が、有色インクの各階調値、有色インク種およびメディア種のうち1つ以上の要素から、有色インクの補正量を決定することを示したグラフである(その1)。
図7C】制御部が、有色インクの各階調値、有色インク種およびメディア種のうち1つ以上の要素から、有色インクの補正量を決定することを示したグラフである(その2)。
図7D】制御部が、有色インクの各階調値、有色インク種およびメディア種のうち1つ以上の要素から、有色インクの補正量を決定することを示したグラフである(その3)。
図8】本実施形態に係るインクジェット記録装置の制御部が、1回のテストパターンを出力する処理を示したフローチャートである。
図9】本実施形態に係るインクジェット記録装置の制御部が、記録動作部により、電圧設定の調整を段階的に行う処理を示したフローチャートである。
図10】比較例として、従来の濃度補正装置における補正処理を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実現するための一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0023】
<比較例の概要>
図10は、比較例の濃度補正装置における補正処理を示したブロック図である。比較例や本実施形態では、例えば、黒い紙や青い紙など白紙以外の特殊紙に画像を形成することを前提としている。そのため、比較例に示す濃度補正装置における補正処理では、画質を確保するために、白インク上に画像を形成することが必要となる。
【0024】
図10に示すように、比較例に示す濃度補正装置では、まず、基準紙による機器セットアップを行う(ステップS901)。
【0025】
次に、濃度補正装置は、用紙セットアップとして、W(White)インク関連セットアップを行う。(ステップS903)。そして、Wインク関連セットアップが終了すると、濃度補正装置は、C(シアン:Cyan)M(マゼンタ:Magenta)Y(イエロー:Yellow)K(キー・プレート:Key plate)のインク関連のセットアップを行う(ステップS905)。
【0026】
このように、比較例に示す濃度補正装置では、用紙セットアップとして、Wインク関連セットアップと(ステップS903)、CMYKインク関連のセットアップとを順次行っているため(ステップS905)、画像調整において、2つの画像調整処理により長時間を要していた。
【0027】
そこで、本発明の実施形態に係る画像形成装置は、白インクの画像調整と他色のインクの画像調整とを同時に行うことにより、用紙セットアップを短時間で行う。
【0028】
<本実施形態>
[画像形成装置の処理の概要]
図1Aは、本実施形態に係る画像形成装置が行う処理の内容を示したブロック図である。図1Aに示すように、本実施形態に係る画像形成装置は、まず基準紙による機器セットアップを行う(ステップS901)。
【0029】
図1Bは、本実施形態に係る機器セットアップの処理を示したブロックである。なお、図1Bに示す機器セットアップは、ステップS901の一例であり、これに限定されるものではない。
【0030】
図1Bに示すように、まず本実施形態に係る画像形成装置は、ヘッドメンテナスを実行する(ステップS911)。次に、画像形成装置は、ヘッドモジュールの電圧調整(これを、電圧調整1とする。)を行う(ステップS913)。次に、画像形成装置は、インラインセンサの傾きを調整する(ステップS915)。
【0031】
次に、画像形成装置は、ヘッドの傾き調整とノズルのつなぎ目調整を行う(ステップS917)。そして、画像形成装置は、ノズルの位置調整を行った後(ステップS919)、ヘッドメンテナンスを行って(ステップS921)、機器セットアップを終了する。
【0032】
図1Aに戻り、説明を続ける。画像形成装置は、用紙セットアップにおいて、Wインク関連セットアップ(ステップS903)と、CMYKインク関連のセットアップ(ステップS905)とを連続して同時に行い、図1Aの画像形成装置の処理を終了する。
【0033】
本実施形態に係る画像形成装置は、白インクの画像調整と他色のインクの画像調整とを連続して同時に行うことにより、用紙セットアップを短時間で行うことができる。
【0034】
[画像形成装置の全体構成]
本実施形態では、画像形成装置の一例として、インクジェット記録装置500を用いて説明する。
【0035】
図2Aは、本実施形態に係るインクジェット記録装置500の概略構成を示した説明図である。インクジェット記録装置500は、給紙部100、画像形成部200、排紙部300、及び、後述する情報処理装置400(図2B参照)を備えて構成されている。
【0036】
インクジェット記録装置500は、図2Bに示す情報処理装置400の制御部410の制御により、給紙部100に格納された記録媒体Mを画像形成部200に搬送する。画像形成部200は、記録媒体Mに画像を形成すると、排紙部300に搬送する。
【0037】
ここで、記録媒体Mには、普通紙や塗工紙といった紙のほか、布帛又はシート状の樹脂等、表面に着弾したインクを定着させることが可能な種々の媒体を用いる。また、記録媒体Mは、黒い紙、又は青い紙など白紙以外の紙で構成される。
【0038】
給紙部100は、給紙トレー110、及び媒体供給部120を備えている。給紙トレー110は、記録媒体Mを格納して、画像形成部200に供給する。媒体供給部120は、不図示の輪状のベルトを有し、2本の不図示のローラにより支持される。媒体供給部120は、記録媒体Mが載置された状態でローラを回転させ、記録媒体Mを給紙トレー110から、画像形成部200に搬送する。
【0039】
画像形成部200は、搬送ドラム210、受渡ユニット220、記録媒体加熱部230、ヘッドユニット240W,240Y,240M,240C,240K、定着部250、デリバリー部260、及び測定部265を備えて構成されている。
【0040】
搬送ドラム210は、円柱面状の外周面である搬送面211上に記録媒体Mを保持した状態で、軸方向(図2Aの矢印参照)に伸びた回転軸回りで回転する。これにより、搬送ドラム210は、記録媒体Mを搬送面211に沿って搬送する。なお、搬送ドラム210は、図示しない搬送ドラムモータに接続され、その搬送ドラムモータの回転量に比例した角度だけ回転する。
【0041】
受渡ユニット220は、給紙部100の媒体供給部120から搬送された記録媒体Mを、搬送ドラム210に送出する。受渡ユニット220は、給紙部100の媒体供給部120と、搬送ドラム210との間に設けられる。受渡ユニット220は、スイングアーム部221と、受渡ドラム222とを有し、媒体供給部120から搬送された記録媒体Mの一端をスイングアーム部221で保持して取り上げ、受渡ドラム222を介して搬送ドラム210に送出する。
【0042】
記録媒体加熱部230は、受渡ドラム222の配置位置と、ヘッドユニット240W,240Y,240M,240C,240Kの配置位置との間に設けられる。記録媒体加熱部230は、例えば、不図示の赤外線ヒータを有し、搬送ドラム210により搬送される記録媒体Mに、所定の温度範囲内に収まるように加熱する。
【0043】
ヘッドユニット240W,240Y,240M,240C,240Kは、記録媒体Mが保持された搬送ドラム210の回転に応じた適切なタイミングで、搬送ドラム210の搬送面211に対向するインク吐出面から記録媒体Mに対してインクを吐出し、画像を記録する。ヘッドユニット240W,240Y,240M,240C,240Kは、インク吐出面と搬送面211とが所定の距離だけ離隔されて配置される。
【0044】
本実施形態に係るインクジェット記録装置500では、ホワイト(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、キー・プレート(K)の5色のインクにそれぞれ対応する、5つのヘッドユニットが、記録媒体Mの搬送方向上流側からW、Y、M、C、Kの色の順に所定の間隔で並ぶように配列されている。なお、本実施形態に係るインクジェット記録装置500は、一例であり、ホワイト(W)の白インクと、他の有色インクとを備えていればよく、配列の順番もこれに限定されない。
【0045】
ヘッドユニット240W,240Y,240M,240C,240Kについては、図2Cを用いて、後述する。
【0046】
定着部250は、搬送ドラム210の幅方向の幅に亘って配置された紫外線照射部(不図示)を有している。定着部250は、搬送ドラム210に載置された記録媒体Mに対して、紫外線照射部から紫外線を照射し、記録媒体M上に吐出されたインクを硬化させて定着させる。定着部250の紫外線照射部は、搬送方向について、ヘッドユニット240W,240Y,240M,240C,240Kの配置位置から、デリバリー部260の受渡ドラム262の配置位置までの間において、搬送面211と対向して配置される。
【0047】
デリバリー部260は、ベルトループ261と、受渡ドラム262とを備えて構成される。デリバリー部260は、受渡ドラム262により搬送ドラム210からベルトループ261上に受け渡された記録媒体Mを搬送し、排紙部30に送出する。
【0048】
測定部265は、ベルトループ261により搬送される記録媒体Mを測定する。具体的には、測定部265は、白インクで印刷したテストパターン及び白インクと有色インクと重ねて印刷したテストパターンを連続して測定する。
【0049】
なお、第1のテストパターンは、白インクで印刷したテストパターンであり、第2のテストパターンとは、白インクと有色インクと重ねて印刷したテストパターンである。また、この白インクで印刷したテストパターンと白インクと有色インクと重ねて印刷したテストパターンは、後述する記録動作部264で形成される。
【0050】
また、白インクで印刷したテストパターンは、例えば、領域ごとに階調値を段階的に変化させて印刷したものである。白インクと有色インクと重ねて印刷したテストパターンは、例えば白インクを段階的に変化させる方向と交差する方向に階調を段階的に変化させて印刷したものである。これにより、各階調値で印刷した白ベタ上に、各有色インクを各階調値で印刷したものを測定可能である。
【0051】
排紙部300は、排紙トレー部310を有している。排紙部300は、デリバリー部260により、画像形成部200から送出された記録媒体Mを、排紙トレー部310に載置する。
【0052】
[画像形成装置の機能ブロック]
図2Bは、インクジェット記録装置500の機能ブロック図を示したものである。なお、同一の構成については同一の符号を付し、説明を適宜、省略する。
【0053】
インクジェット記録装置500は、情報処理装置400、測定部265、記録媒体加熱部230、記録動作部264、定着部250、搬送駆動部280、通信部290、及びバス291を備えて構成されている。
【0054】
情報処理装置400は、制御部410と、操作表示部420とを備えて構成されている。制御部410は、情報処理装置400を含むインクジェット記録装置500の全体動作を統括する。制御部410は、CPU(Central Processing Unit)411、RAM(Random Access Memory)412、ROM(Read Only Memory)413、及び記憶部414を備えて構成されている。記憶部414には、画像データ4141と、想定吐出量補正データ4142とが記憶されている。
【0055】
CPU411は、ROM413に記憶された各種制御用のプログラムや設定データを読み出してRAM412に記憶させ、当該プログラムを実行して各種演算処理を行う。
【0056】
RAM412は、CPU411に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。RAM412は、例えば、不揮発性メモリを含んで構成されていてもよい。
【0057】
ROM413は、CPU411により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、制御部410は、ROM413に代えてフラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性メモリを備えて構成されてもよい。
【0058】
記憶部414は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、又は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などにより構成される。記憶部414は、通信部62を介して外部装置から入力されたプリントジョブ(画像記録命令)及び当該プリントジョブに係る記録対象の画像の画像データ4141などが記憶される。また、記憶部414は、インク使用量の算出に用いられる想定吐出量補正データ4142が記憶される。また、記憶部414は、画像データとして、白インクで印刷するための第1のテストパターンデータと、白インクと有色インクと重ねて印刷するための第2のテストパターンデータとを記憶する。
【0059】
このような構成により、情報処理装置400は、例えば、外部装置から通信部62を介して入力されたPDL(Page Description Language)データに対して各種の画像処理を行う。そして、情報処理装置400は、画像の形成に用いられる画像データ4141を生成し、記憶部414に記憶させる。画像データ4141は、W、Y、M、C、Kの色ごとに生成される。
【0060】
また、制御部410は、測定部265による第1のテストパターンの測定結果及び第2のテストパターンの測定結果に基づいて、有色インクの補正量を決定する。
【0061】
この場合、制御部410は、測定部265による白インクのテストパターンの測定結果に基づいて、白インクの補正量を決定し、有色インクのテストパターンの測定結果に基づいて、有色インクの補正量を決定し、更に白インクの補正量に基づいて、有色インクに関する補正量を再決定できる。
【0062】
また、制御部410は、図2Cにより後述する各白インク用プリントヘッドの境界部分の濃度差が低減し、かつ、各有色インク用プリントヘッドの境界部分の濃度差が低減する方向に、白インク用プリントヘッドの電圧レベル、及び前記有色インク用プリントヘッドの電圧レベルを調整できる。
【0063】
また、制御部410は、図2Cにより各白インク用プリントヘッドの境界部分の濃度差が低減し、かつ、各有色インク用プリントヘッドの境界部分の濃度差が低減する方向に、白インクと有色インクの入力階調値に対する補正階調値を調整できる。
【0064】
制御部410は、白インク上に形成された有色インクの補正量の調整において、有色インクの検出値に応じて決定される有色インクの調整量に対して、対応する位置の白インクの検出値の差に加え、有色インクの各階調値、有色インク種およびメディア種のうち1つ以上の要素から有色インクの補正量を決定できる。
【0065】
この場合、制御部410は、1回のテストパターンの出力に対して得られた白インクおよび各有色インクの測定結果に基づく調整量に対して、各有色インクの調整量を白インクの調整量に基づいて決定できる。
【0066】
制御部410は、記録動作部264により、白インクおよび有色インクのヘッドモジュールごとの相対的な電圧設定の調整値を段階的に変化させて、複数回印刷できる。
【0067】
操作表示部420は、制御部410からの制御信号に応じて、インクジェット記録装置500のステータスや操作メニューなどの表示を行い、また、ユーザーの入力操作を受け付けて、制御部410に出力する。操作表示部420は、例えば、ユーザーの接触操作を検知するタッチパネルが表示画面に設けられ、液晶表示部を構成する。
【0068】
搬送駆動部280は、制御部410から供給される制御信号に基づいて、搬送ドラム210の搬送ドラムモータに駆動信号を供給することにより、搬送ドラム210を所定の速度及びタイミングで回転させる。また、搬送駆動部280は、制御部410から供給される制御信号に基づいて、媒体供給部120、受渡ユニット220、及びデリバリー部260を動作させるためのモータに駆動信号を供給し、記録媒体Mの搬送ドラム210への供給、及び搬送ドラム210からの排出を行わせる。
【0069】
通信部290は、外部機器との間での通信動作を制御する通信インターフェィスである。通信インターフェィスとしては、例えば、LANボードやLANカードなど各種通信プロトコルに対応したものが含まれる。通信部290は、制御部410の制御に基づいて、外部装置から記録対象の画像データや画像記録に係る設定データ(ジョブデータ)を取得し、また、外部機器に対してステータス情報などを送信する。
【0070】
バス291は、上記の各構成間を電気的に接続して信号のやり取りを行う経路である。
【0071】
記録動作部264は、ヘッドユニット240W,240Y,240M,240C,240K等を含んで構成されている。記録動作部264は、白インクで印刷した第1のテストパターンと、白インクと有色インクと重ねて印刷した第2のテストパターンとを連続して形成する。また、記録動作部264は、白インクで印刷したテストパターン上に、有色インクによるテストパターンを印刷できる。なお、記録動作部264は、キャリッジやキャリッジ昇降部などをさらに含んで構成されてもよい。
【0072】
ヘッドユニット240W,240Y,240M,240C,240Kは、それぞれ各色に対応したヘッド駆動部241と記録ヘッド242とを備えて構成される。
【0073】
ヘッド駆動部241は、制御部410から供給される制御信号及び画像データ4141やテストパターンに基づいて、記録ヘッド242の圧電体を変形動作させる駆動信号を記録ヘッド242に供給する。ヘッド駆動部241は、記録ヘッド242のノズルから画像データ4141やテストパーンの画素の値に応じた量のインクを吐出させる。
【0074】
なお、図2Bでは、ヘッドユニット240W,240Y,240M,240C,240Kのうち、いずれかの色を特定せず、単にヘッドユニット240と記載している。なお、ヘッドユニット240W,240Y,240M,240C,240Kのいずれも、ヘッドユニット240と同一の構成を採用することができる。
【0075】
[ヘッドユニットの構成]
ヘッドユニット240の構成について、図面を用いて説明する。
【0076】
図2Cは、インクジェット記録装置500のヘッドユニット240W,240Y,240M,240C,240Kの構成の一例を示した説明図である。図2Cでは、ヘッドユニット240W,240Y,240M,240C,240Kの全体を、搬送面211に相対する位置から見た配置を示している。また、図中の符号は、主要なものについて付すこととする。
【0077】
インクジェット記録装置500は、メディア搬送方向に対して垂直方向に配設した白インク用のヘッドモジュール2421~2428(記録ヘッド242)、およびメディア搬送方向に対して垂直方向に配設した、Yインク用のヘッドモジュール2431~2438(記録ヘッド242)と、Mインク用のヘッドモジュール2441~2448(記録ヘッド242)と、Cインク用のヘッドモジュール2451~2458(記録ヘッド242)と、Kインク用のヘッドモジュール2461~2468(記録ヘッド242)とを複数備えて構成されている。
【0078】
白インク用のヘッドモジュール2421~2428およびYインク用のヘッドモジュール2431~2438と、Mインク用のヘッドモジュール2441~2448と、Cインク用のヘッドモジュール2451~2458と、Kインク用のヘッドモジュール2461~2468とは、画像形成部200に設けられる。
【0079】
ヘッドユニット240Wは、8個のヘッドモジュール2421~2428を有している。また、各ヘッドモジュール2421~2428間の幅方向の差を幅WD1とし、各ヘッドモジュール2421~2428の搬送方向の差を幅WD2とする。
【0080】
同様に、ヘッドユニット240Yは、8個のヘッドモジュール2431~2438を有している。ヘッドユニット240Mは、8個のヘッドモジュール2441~2448を有している。ヘッドユニット240Cは、8個のヘッドモジュール2451~2458を有している。ヘッドユニット240Kは、8個のヘッドモジュール2461~2468を有している。
【0081】
ヘッドユニット240W,240Y,240M,240C,240Kは、各ヘッドモジュール2421~2468から図示しないノズルによりインクが吐出される。ここで、各ヘッドモジュール2421~2468のノズルからインクを吐出するための機構は、特に限定されないが、例えば、圧電体を用いたピエゾ式のインク吐出機構を使用することができる。ピエゾ式のインク吐出機構としては、シアモード及びベントモードが公知となっている。
【0082】
また、各ヘッドユニット240W,240Y,240M,240C,240Kは、搬送方向に隣接して配置されたヘッドモジュール243W,243Y,243M,243C,243Kが、ノズルからインクを吐出可能な範囲が幅方向に連続的に繋がるような位置関係で、幅方向についての配置範囲が互いに一部重複するように千鳥格子状に配置されている。
【0083】
[インクジェット記録装置の動作]
本実施形態に係るインクジェット記録装置500の動作について、説明する。
<実施例1>
本実施形態に係るインクジェット記録装置500は、白インクで印刷した第1のテストパターンと、白インクと有色インクと重ねて印刷した第2のテストパターンとを連続して形成する記録動作部264と、第1のテストパターン及び第2のテストパターンを連続して測定する測定部265と、測定部265による第1のテストパターンの測定結果及び第2のテストパターンの測定結果に基づいて、有色インクの補正量を決定する制御部410と、を備えている。
【0084】
<補正テーブル作成処理>
図3Aは、本実施形態に係るインクジェット記録装置500が、テストパターンを印刷して、白インクおよび各色インク補正テーブルを作成する処理を示したフローチャートである。
【0085】
図3Aに示すように、インクジェット記録装置500の記録動作部264は、白インクで印刷した第1のテストパターンと、白インクと有色インクと重ねて印刷した第2のテストパターンとを記録媒体に連続して形成する(ステップS001)。
【0086】
インクジェット記録装置500の測定部265は、第1のテストパターン及び第2のテストパターンの印刷物を連続して測定する(ステップS003)。
【0087】
インクジェット記録装置500の制御部410は、測定部265による第1のテストパターンの測定結果及び第2のテストパターンの測定結果に基づいて、この記録媒体における有色インクの補正量を決定し、白インクおよび各色インク補正テーブルを作成して(ステップS005)、処理を終了する。なお、制御部410は、作成した白インクおよび各色インク補正テーブルを記憶部414に格納する。
【0088】
<補正テーブル更新処理>
図3Bは、本実施形態に係るインクジェット記録装置500が、テストパターンを印刷して、測定結果に基づいて、白インクおよび各色インク補正テーブルを更新する処理を示したフローチャートである。
【0089】
図3Bに示すように、インクジェット記録装置500の制御部410は、白インクの補正テーブルを設定および各色インクの補正テーブルを設定する(ステップS101)。
【0090】
インクジェット記録装置500の記録動作部264は、テストパターンを記録媒体に印刷する(ステップS103)。この場合、記録動作部264は、白インクで印刷した第1のテストパターンと、白インクと有色インクと重ねて印刷した第2のテストパターンとを記録媒体に連続して印刷する。
【0091】
インクジェット記録装置500の測定部265は、印刷物を測定する(ステップS105)。この場合、測定部265は、第1のテストパターン及び第2のテストパターンを連続して測定する。
【0092】
インクジェット記録装置500の制御部410は、白インクおよび各色インクの測定結果が基準内か否かを判定する(ステップS107)。測定結果が基準内の場合(ステップS107のYes)、制御部410は、処理を終了する。
【0093】
一方、測定結果が基準内でない場合(ステップS107のNo)、制御部410は、測定結果に基づいて、この記録媒体における白インクおよび各色インクの補正量を決定し、白インクおよび各色インク補正テーブルを更新して(ステップS109)、ステップS103に戻る。そして、制御部410は、ステップS103以降の処理を繰り返す。
【0094】
以上、説明したように、本実施形態に係るインクジェット記録装置500は、白インクの画像調整と、他色のインクの画像調整とを連続して同時に行うことができるため、画像調整を、短時間で行うことができる。
【0095】
<実施例2>
本実施形態に係るインクジェット記録装置500は、記録動作部264が、白インクで印刷したテストパターン上に、有色インクによるテストパターンを印刷し、測定部265が、テストパターンを読み取り、制御部410が、測定部265による白インクのテストパターンの測定結果に基づいて、白インクの補正量を決定し、有色インクのテストパターンの測定結果に基づいて、有色インクの補正量を決定し、更に白インクの補正量に基づいて、有色インクに関する補正量を再決定する。
【0096】
<補正テーブル作成処理>
図4Aは、本実施形態に係るインクジェット記録装置500が、テストパターンを印刷して、白インクおよび各色インク補正テーブルを作成する処理を示したフローチャートである。なお、同一の処理には同一の符号を付し、説明を適宜、省略する。
【0097】
図4Aに示すように、インクジェット記録装置500の記録動作部264は、白インクで印刷した第1のテストパターンと、白インクと有色インクと重ねて印刷した第2のテストパターンとを記録媒体に連続して形成する(ステップS001)。
【0098】
インクジェット記録装置500の測定部265は、第1のテストパターン及び第2のテストパターンの印刷物を連続して測定する(ステップS003)。
【0099】
インクジェット記録装置500の制御部410は、白インクに関する測定結果に基づいて、この記録媒体における白インクの補正量を決定し、白インクの補正テーブルを作成する(ステップS007)。
【0100】
制御部410は、各色インクに関する測定結果に基づいて、この記録媒体における各色インクの仮補正量を決定する(ステップS009)。
【0101】
そして、制御部410は、この記録媒体における白インクの補正量に基づいて、この記録媒体における各色インクの仮補正量を調整して補正量を決定し、各色インク補正テーブルを作成すると(ステップS011)、処理を終了する。
【0102】
<補正テーブル更新処理>
図4Bは、本実施形態に係るインクジェット記録装置500が、記録媒体にテストパターンを印刷して、測定結果に基づいて、白インクおよび各色インクの補正テーブルを更新する処理を示したフローチャートである。
【0103】
図4Bに示すように、インクジェット記録装置500の制御部410は、白インクの補正テーブルに既定値を設定し、各色インクの補正テーブルに既定値を設定する(ステップS102)。
【0104】
インクジェット記録装置500の記録動作部264は、テストパターンを記録媒体に印刷する(ステップS103)。
【0105】
インクジェット記録装置500の測定部265は、印刷物を測定する(ステップS105)。
【0106】
インクジェット記録装置500の制御部410は、白インクおよび各色インクの測定結果が基準内か否かを判定する(ステップS107)。測定結果が基準内の場合(ステップS107のYes)、制御部410は、処理を終了する。
【0107】
一方、測定結果が基準内でない場合(ステップS107のNo)、制御部410は、白インクに関する測定結果に基づいて、この記録媒体における白インクの補正量を決定し、白インク補正テーブルを更新する(ステップS111)。
【0108】
次に、制御部410は、各色インクに関する測定結果に基づいて、この記録媒体における各色インクの仮補正量を決定する(ステップS113)。
【0109】
そして、制御部410は、この記録媒体における白インクの補正量に基づいて、この記録媒体における各色インクの仮補正量を調整して補正量を決定し、各色インク補正テーブルを更新する(ステップS115)。そして、制御部410は、ステップS103に戻り、ステップS103以降の処理を繰り返す。
【0110】
以上、説明したように、本実施形態に係るインクジェット記録装置500は、実施例1と同様に、白インクの画像調整と、他色のインクの画像調整とを連続して同時に行うことができるため、画像調整を、短時間で行うことができる。
【0111】
<実施例3>
本実施形態に係るインクジェット記録装置500は、メディア搬送方向に対して垂直方向に配設した白インク用のヘッドモジュール2421~2428およびメディア搬送方向に対して垂直方向に配設した、1または複数の有色インク用(Yインク用、Mインク用、Cインク用、Kインク用)のヘッドモジュール2431~2438,2441~2448,2451~2458,2461~2468を備え、制御部410は、各白インク用のヘッドモジュール2421~2428の境界部分の濃度差が低減し、かつ各有色インク用のヘッドモジュール2431~2438,2441~2448,2451~2458,2461~2468の境界部分の濃度差が低減する方向に、白インク用のヘッドモジュール2421~2428の電圧レベル、及び有色インク用のヘッドモジュール2431~2438,2441~2448,2451~2458,2461~2468の電圧レベルを調整する。
【0112】
<補正テーブル作成処理>
図5Aは、本実施形態に係るインクジェット記録装置500が、記録媒体にテストパターンを印刷し、記録ヘッド242の境界部分の濃度差に基づいてヘッド電圧の仮補正量を調整して、白インクおよび各色インクのヘッド電圧補正テーブルを作成する処理を示したフローチャートである。
【0113】
図5Aに示すように、インクジェット記録装置500の記録動作部264は、白インクで印刷した第1のテストパターンと、白インクと有色インクと重ねて印刷した第2のテストパターンとを記録媒体に連続して形成する(ステップS001)。
【0114】
インクジェット記録装置500の測定部265は、第1のテストパターン及び第2のテストパターンの印刷物を連続して測定する(ステップS003)。
【0115】
インクジェット記録装置500の制御部410は、白インクのヘッド間境界部分の濃度差に基づいて、この記録媒体における白インクの各ヘッド電圧補正量を決定して、白インクの各ヘッド電圧補正テーブルを作成する(ステップS013)。
【0116】
制御部410は、各色インクのヘッド間境界部分の濃度差に基づいて、この記録媒体における各色インクの各ヘッド電圧仮補正量を決定する(ステップS015)。
【0117】
そして、制御部410は、この記録媒体における白インクの各ヘッド電圧補正量に基づいて、この記録媒体における各色インクの各ヘッド電圧仮補正量を調整して補正量を決定し、各色インクの各ヘッド電圧補正テーブルを作成すると(ステップS017)、処理を終了する。
【0118】
<補正テーブル更新処理>
図5Bは、本実施形態に係るインクジェット記録装置500が、記録媒体にテストパターンを印刷して、測定結果に基づいて、白インクおよび各色インク補正テーブルを更新する処理を示したフローチャートである。
【0119】
図5Bに示すように、インクジェット記録装置500の制御部410は、白インクの各ヘッド電圧補正テーブルに既定値を設定して、各色インクの各ヘッド電圧補正テーブルに既定値を設定する(ステップS1021)。
【0120】
インクジェット記録装置500の記録動作部264は、記録媒体にテストパターンを印刷する(ステップS103)。インクジェット記録装置500の測定部265は、印刷物を測定する(ステップS105)。
【0121】
インクジェット記録装置500の制御部410は、白インクおよび各色インクの測定結果が基準内か否かを判定する(ステップS107)。測定結果が基準内の場合(ステップS107のYes)、制御部410は、処理を終了する。
【0122】
一方、測定結果が基準内でない場合(ステップS107のNo)、制御部410は、白インクのヘッド間境界部分の濃度差に基づいて、この記録媒体における白インクの各ヘッド電圧補正量を決定し、白インクの各ヘッド電圧補正テーブルを更新する(ステップS117)。
【0123】
図5Cは、白インク用のヘッドモジュール2421~2424とKインク用のヘッドモジュール2461~2464で印刷したテストパターンである。
【0124】
図5Cの左側では、白インクのヘッド間の濃度差により白インクの各ヘッド電圧を補正する概念を示している。一方、図5Cの右側は、白インクの各ヘッド電圧を補正することによる、Kインクのスキャナの応答変化を示している。
【0125】
図5Cの左側の記録媒体M1に印刷された領域HM1は、白インク用のヘッドモジュール2421により白インクが印刷されている。そのため、領域HM1には、白インク均一パターンW01が印画されている。また、記録媒体M1には、白インク均一パターンW01の上に、Kインクを示す有色インク用のヘッドモジュール2461(図2C参照)により、Kインク均一パターンK01が印画されている。以降、領域HM2~HM4も同様である。
【0126】
図5Dは、各ヘッドモジュールと、W電圧、K電圧、Wスキャナ応答、Kスキャナ応答との対応を示す図である。図5Dには、ヘッドモジュール番号、W電圧、K電圧、Wスキャナ応答、Kスキャナ応答の欄が設けられている。
【0127】
ここで、白インクヘッド電圧を変化させたときの白インクの応答変化率と、Kインクスキャナの応答変化率を、式(1)、式(2)から算出する。
【0128】
【数1】
【0129】
例えば、W電圧は、図5Eのように、式(3)から式(6)の白インクの各ヘッド電圧の補正した値を代入する。
【0130】
【数2】
【0131】
図5Bに戻り、制御部410は、各色インクのヘッド間境界部分の濃度差に基づいて、各色インクの各ヘッド電圧仮補正量を決定する(ステップS119)。
【0132】
【数3】
【0133】
図5Bに戻り、制御部410は、白インクの各ヘッド電圧補正量に基づいて、各色インクの各ヘッドの電圧仮補正量を調整して、補正量を決定し、各色インクの各ヘッド電圧補正テーブルを更新する(ステップS121)。
【0134】
【数4】
【0135】
制御部410は、各色インクの各ヘッド電圧補正テーブルを更新するとWスキャナ応答と、Kインクのスキャナ応答を補正でき、図5Cの右側のように、白インク均一パターンW05,W06,W07,W08と、Kインク均一パターンK05,K06,K07,K08のKインクのスキャナの応答変化を印画する。制御部410は、図5BのステップS103に戻り、ステップS103以降の処理を繰り返す。
【0136】
以上、説明したように、本実施形態に係るインクジェット記録装置500は、白インク用のヘッドモジュール2421~2428の電圧を調整するとともに、並行にYインク用のヘッドモジュール2431~2438と、Mインク用のヘッドモジュール2441~2448と、Cインク用のヘッドモジュール2451~2458と、Kインク用のヘッドモジュール2461~2468の電圧を調整し、さらに、白インク用のヘッドモジュール2421~2428を調整したことによるインク応答変化を加えて、有色インク用の各ヘッドモジュール2431~2438,2441~2448,2451~2458,2461~2468の電圧調整を行うことができるため、短時間で画像調整を行うことができる。
【0137】
<実施例4>
本実施形態に係るインクジェット記録装置500は、メディア搬送方向に対して垂直方向に配設した白インク用のヘッドモジュール2421~2428およびメディア搬送方向に対して垂直方向に配設した、Yインク用のヘッドモジュール2431~2438と、Mインク用のヘッドモジュール2441~2448と、Cインク用のヘッドモジュール2451~2458と、Kインク用のヘッドモジュール2461~2468を備える。制御部410は、各白インク用のヘッドモジュール2421~2428の境界部分の濃度差が低減し、かつYインク用のヘッドモジュール2431~2438の境界部分の濃度差と、Mインク用のヘッドモジュール2441~2448の境界部分の濃度差と、Cインク用のヘッドモジュール2451~2458の境界部分の濃度差と、Kインク用のヘッドモジュール2461~2468の境界部分の濃度差が低減する方向に、白インクと有色インクの入力階調値に対する補正階調値を調整する。
【0138】
<補正テーブル作成処理>
図6Aは、本実施形態に係るインクジェット記録装置500が、記録媒体にテストパターンを印刷し、白インクの各部分の濃度差に基づいて、白インク各部分階調補正量を決定し、各色各部分階調仮補正量を調整して補正量を決定する処理を示したフローチャートである。
【0139】
図6Aに示すように、インクジェット記録装置500の記録動作部264は、白インクで印刷した第1のテストパターンと、白インクと有色インクと重ねて印刷した第2のテストパターンとを記録媒体に連続して形成する(ステップS001)。
【0140】
インクジェット記録装置500の測定部265は、第1のテストパターン及び第2のテストパターンの印刷物を連続して測定する(ステップS003)。
【0141】
インクジェット記録装置500の制御部410は、白インクの各部分の濃度差に基づいて、この記録媒体における白インク各部分階調補正量を決定し、白インクシェーディング補正テーブルを作成する(ステップS019)。
【0142】
そして、制御部410は、各色インクの各部分の濃度差に基づいて、この記録媒体における各色各部分階調仮補正量を決定する(ステップS021)。
【0143】
制御部410は、白インク各部分階調補正量に基づいて、各色各部分の階調仮補正量を調整してこの記録媒体における補正量を決定し、各色インクシェーディング補正テーブルを作成すると(ステップS023)、処理を終了する。
【0144】
<補正テーブル更新処理>
図6Bは、本実施形態に係るインクジェット記録装置500が、テストパターンを印刷して、測定結果に基づいて、白インクおよび各色インクシェーディング補正テーブルを更新する処理を示したフローチャートである。
【0145】
図6Bに示すように、インクジェット記録装置500の制御部410は、白インクシェーディングテーブルに既定値を設定し、各色インクシェーディング補正テーブルに既定値を設定する(ステップS1022)。
【0146】
インクジェット記録装置500の記録動作部264は、記録媒体にテストパターンを印刷する(ステップS103)。インクジェット記録装置500の測定部265は、印刷物を測定する(ステップS105)。
【0147】
インクジェット記録装置500の制御部410は、白インクおよび各色インクの測定結果が基準内か否かを判定する(ステップS107)。測定結果が基準内の場合(ステップS107のYes)、制御部410は、処理を終了する。
【0148】
一方、測定結果が基準内でない場合(ステップS107のNo)、制御部410は、白インクの各部分の濃度差に基づいて、この記録媒体における白インク各部分階調補正量を決定し、白インクシェーディング補正テーブルを更新する(ステップS123)。
【0149】
図6Cは、白インクベタ(階調2水準)上に、Kインクテストパターンを印画した説明図である。
【0150】
領域AR1は、KインクテストパターンPT1を、白インク階調x上に印画した状態を示している。領域AR2は、KインクテストパターンPT2を、白インク階調x+Δxに印画した状態を示している。領域AR3は、白インクテストパターンの単独印画領域を示している。
【0151】
ここで、白インク領域を変化させたときのKインクスキャナ応答変化率は、式(14)を用いて、各階調パターンごとに算出される。
【0152】
【数5】
【0153】
制御部410は、白インクシェーディング補正を実行し、階調調整量を算出して新規に補正テーブルを作成する。制御部410は、Kインクシェーディング補正を実行し、Kインク階調調整量を算出し、階調調整量から、新規補正テーブルを作成する。
【0154】
Kインク階調調整量は、2つの階調調整量から構成される。第1の階調調整量は、Kインクの各位置のスキャナ応答差分を、K階調付近値の単位階調当たりのスキャン応答差分で除算したものである。第2の階調調整量は、白インクの各位置のスキャナ応答差分に、白ヘッド調整によるスキャナKインク応答変化を乗算し、K階調付近値の単位階調当たりのスキャン応答差分で除算したものである。
【0155】
図6Bに戻り、説明を続ける。制御部410は、各色インクの各部分の濃度差に基づいて、各色各部分階調仮補正量を決定する(ステップS125)。そして、制御部410は、白インク各部分階調補正量に基づいて、各色各部分階調仮補正量を調整して補正量を決定し、各色インクシェーディング補正テーブルを更新する(ステップS127)。これにより、制御部410は、Wインクのシェーディング補正と、有色インクのシェーディング補正を連続して並行に実施でき、よって各シェーディング補正を短時間に行うことができる。
【0156】
なお、階調補正量をシェーディング補正に限定されるものではなく、ガンマ補正であっても実現できる。
【0157】
図6Dは、白色テストパターンWPTを印画した記録媒体M4と、2水準の白ベタを印画して、更にKインクテストパターンKPT1,KPT2を印画した記録媒体M5を示した説明図である。
【0158】
記録媒体M4には、単独階調パターンである白色テストパターンWPTが印画されている。これを測定することで、白インクについてのガンマ補正を行うことができる。一方、記録媒体M5には、2水準の白ベタ上にKインクテストパターンKPT1,KPT2が印画されている。これを測定することで、Kインクについてのガンマ補正を行うことができる。
【0159】
図6Eは、KインクテストパターンについてのK階調値とK測色値と関係を示した説明図である。
【0160】
K階調値欄は、Kインクテストパターンの各段におけるKインクの階調値を示している。「W階調:xw」欄は、W階調xwで印画した上にKインクで印画したものの測色値を示している。「W階調:xw+Δx」欄は、W階調(xw+Δw)で印画した上にKインクで印画したものの測色値を示している。
【0161】
図6Fは、2水準の白ベタ上に印画されたKインクテストパターンのK階調値とK測色値との関係を示す図であり、図6Eに加えて補正測色値欄を含んでいる。白ベタの部分の測色値(L*WO、L*‘WO)に対して、ターゲットをL*W1としたとき、Kインクの測色値を補正して、階調補正を行う関係が示されている。
ここで、測色補正値は、式(15)で導かれる。
【数6】
【0162】
図6Gは、Kインクの入力階調と、L*の関係を示した説明図である。なお、L*は、色味又は濃さを示すものである。図6Gに示すように、Kインクの階調が高くなると、色味を示すL*の数値が減少することが示されている。また、複数のグラフは、白ベタにおいて、ホワイトを調整すると、変動を生じることを示している。
【0163】
これにより、制御部410は、白インクのテストパターンと、白インク上に印刷された有色インクのテストパターンを連続して読み込んだ結果により、並行に補正値を決定することで、各色インクに係るガンマ補正を短時間に行うことができる。
【0164】
<実施例5>
本実施形態に係るインクジェット記録装置500の制御部410は、白インク上に形成された有色インクの補正量の調整において、有色インクの検出値に応じて決定される有色インクの調整量に対して、対応する位置の白インクの検出値の差に加え、有色インクの各階調値、有色インク種およびメディア種のうち1つ以上の要素から有色インクの補正量を決定する。
【0165】
<有色インクの補正量の決定処理>
図7Aは、本実施形態に係るインクジェット記録装置500が、有色インクの階調値、有色インク種およびメディア種のうち1つ以上の要素から有色インクの補正量を決定する処理を示したフローチャートである。
【0166】
図7Aに示すように、インクジェット記録装置500の制御部410は、白インクの補正量を取得する(ステップS201)。
【0167】
制御部410は、対応する各色インク補正量を取得する(ステップS203)。制御部410は、色インク種、階調値、メディア種から調整用補正係数を決定する(ステップS205)。
【0168】
制御部410は、各色インク仮補正量に白インク補正量と調整用補正係数から計算される調整量を作用させ、各色インク補正量を決定する(ステップS207)。制御部410は、各色インク補正量を決定すると、処理を終了する。
【0169】
図7Bから図7Dは、制御部410が、有色インクの各階調値、有色インク種およびメディア種のうち1つ以上の要素から、有色インクの補正量を決定することを示したグラフである。各グラフの縦軸は、L*を示している。各グラフの横軸は、白階調値を示している。各プロットは、所定の階調値の有色インクで印画されたものである。
【0170】
図7Bの線IK1,IK2,IK3は、所定のメディア種の記録媒体に対して、所定の有色インクを各階調値で印刷したときのL*の測定値を示している。白階調値が変わることで、その白ベタ上に印字した有色インクのL*の特性が変化することを示している。なお、このグラフでは、横軸に白階調を取り、縦軸にL*を取っている。また、図7Bでは、シアンを測定したものとする。
【0171】
図7Cの線IK4,IK5,IK6は、同一の所定のメディア種の記録媒体に対して、図7Bとは別の有色インクを各階調値で印刷したときのL*の測定値を示している。つまり、有色インクの種類が変わると、その有色インクを各階調値で印刷したときのL*の測定値を示す線IK4,IK5,IK6も、特性が変化することを示している。例えば、図7Bでは、シアンで印刷したテストパターンを測定したものであったが、図7Cでは、Kインクで印刷したテストパターンを測定した値を示している。
【0172】
図7Dの線IK7,IK8,IK9は、図7Bとは異なるメディア種の記録媒体に対して、図7Bと同一のシアンを各階調値で印刷したときのL*の測定値を示している。図7D図7Bは、有色インクの種類は同一のシアンであり、記録媒体のメディア種のみ異なっている。そのため、図7Dでは、メディア種が異なることにより、特性が変化することを示している。
【0173】
以上説明したように、インクジェット記録装置500の制御部410は、有色インクの各階調値、有色インク種およびメディア種のうち1つ以上の要素から有色インクの補正量を決定できる。
【0174】
<実施例6>
本実施形態に係るインクジェット記録装置500の制御部410は、1回のテストパターンの出力に対して得られた白インクおよび各有色インクの測定結果に基づく調整量に対して、各有色インクの調整量を白インクの調整量に基づいて決定する。
【0175】
<有色インクの調整>
図8は、本実施形態に係るインクジェット記録装置500の制御部410が、1回のテストパターンを出力する処理を示したフローチャートである。
【0176】
図8に示すように、インクジェット記録装置500の制御部410は、各種パラメータを設定する(ステップS301)。
【0177】
制御部410は、テストパターンの画像データを設定する(ステップS303)。制御部410は、テストパターンの画像データを1枚の記録媒体に印刷して(ステップS305)、処理を終了する。
【0178】
<実施例7>
本実施形態に係るインクジェット記録装置500の制御部410は、記録動作部264により、白インクおよび有色インクのヘッドモジュールごとの相対的な電圧設定の調整値を段階的に変化させて、複数回印刷する。
【0179】
<ヘッドモジュールの段階的調整>
図9は、本実施形態に係るインクジェット記録装置500の制御部410が、記録動作部264により、電圧設定の調整を段階的に行う処理を示したフローチャートである。
【0180】
図9に示すように、本実施形態に係るインクジェット記録装置500の制御部410は、各種パラメータを設定する(ステップS401)。制御部410は、テストパターンの画像データを設定する(ステップS403)。
【0181】
制御部410は、電圧を設定する(ステップS407)。そして、制御部410は、1枚の記録媒体にテストパターンを印刷する(ステップS409)。制御部410は、必要な電圧設定条件で、全て印刷するまで繰り返す(ステップS411)。
【0182】
制御部410は、必要な電圧設定条件での印刷が全て完了すると(ステップS405)、処理を終了する。
【符号の説明】
【0183】
100 給紙部
110 給紙トレー
120 媒体供給部
200 画像形成部
210 搬送ドラム
220 受渡ユニット
230 記録媒体加熱部
240W,240Y,240M,240C,240K ヘッドユニット
2421~2428 ヘッドモジュール
2431~2438 ヘッドモジュール
2441~2448 ヘッドモジュール
2451~2458 ヘッドモジュール
2461~2468 ヘッドモジュール
250 定着部
260 デリバリー部
265 測定部
300 排紙部
400 情報処理装置
500 インクジェット記録装置
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10