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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185432
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】検体集配システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/40 20180101AFI20221207BHJP
【FI】
G16H10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093122
(22)【出願日】2021-06-02
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】512050173
【氏名又は名称】株式会社ジャスウィル
(71)【出願人】
【識別番号】000113665
【氏名又は名称】マスプロ電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】横井 浩二
(72)【発明者】
【氏名】吉田 貴成
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
(57)【要約】
【課題】検体の集配に関わる作業時間を短縮し、且つ、回収漏れや誤回収を抑制する技術を提供する。
【解決手段】検体集配システム1は、回収ボックス32と回収側端末装置31とを備え、いずれも集配人によって携帯される。集配人は、検体を採取する施設から回収したスピッツを、検体を検査する施設へ配送する。回収ボックス32は、一つ以上のスピッツを収容し、収容されたスピッツに貼付されたRFタグのそれぞれから検体情報を読み取る。回収側端末装置31は、検体情報が蓄積されるクラウド5から取得した回収対象となる検体の検体情報である依頼情報と、回収ボックス32を用いてRFタグから読み取った検体情報である読取情報とを照合し、照合結果を報知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体が収容され、該検体に関する情報である検体情報を記憶するRFタグが貼付されたスピッツを、前記検体を採取する施設から回収して、前記検体を検査する施設へ配送する集配人によって携帯される回収ボックス及び回収側端末装置を備え、
前記回収ボックスは、
一つ以上の前記スピッツを収容するように構成された収容部と、
前記収容部に収容された前記スピッツに貼付された前記RFタグのそれぞれから前記検体情報を読み取るように構成された情報読取部と、
を備え、
前記回収側端末装置は、
前記検体情報が蓄積されるサーバから、回収対象となる前記検体の前記検体情報を、依頼情報として取得するように構成された依頼取得部と、
前記情報読取部が前記RFタグから読み取った前記検体情報である読取情報を取得するように構成された読取情報取得部と、
前記依頼情報と前記読取情報とを照合して照合結果を報知するように構成された照合部と、
を備える、
検体集配システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検体集配システムであって、
前記照合部は、表示画面に前記依頼情報の一覧表を表示し、前記照合部での照合結果に基づいて、一致した情報及び不一致であった情報のいずれかを、前記一覧表において強調表示するように構成された、
検体集配システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の検体集配システムであって、
前記回収ボックスと、前記回収側端末装置とが、一体に設けられた
検体集配システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の検体集配システムであって、
前記検体の採取を実施する施設に設置され、前記検体の採取元となる被検者に関する被検者情報、及び前記検体に対して実施する検査内容を示す検査情報を、前記検体情報として前記サーバに登録するように構成された依頼側端末装置
を更に備える検体集配システム。
【請求項5】
請求項4に記載の検体集配システムであって、
前記依頼側端末装置からの指示に従って、前記検体情報を前記RFタグに書き込んだタグ付きラベルを生成するように構成されたラベル生成部を更に備える
検体集配システム。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の検体集配システムであって、
前記依頼側端末装置は、前記被検者に施す治療や検査に関する情報が蓄積される電子カルテシステム又は健康診断システムから入力される検査依頼に従って、前記検体情報を前記サーバに登録するように構成された
検体集配システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検体集配システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、病院等で採取された検体が収容される試験管状の容器(以下、スピッツ)に、検体に関する情報をバーコード等で印字したラベルを貼付し、ラベルから読み取られる情報を用いて、スピッツを管理することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-180973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検体の検査を外部の検査会社に発注する場合、発注の対象となるスピッツに貼付されたラベルから1本ずつバーコードを読み取って、読み取った情報と、検査会社への依頼内容とが一致するか否かを確認する作業が必要となる。このような作業は、回収するスピッツの数が増大するほど、作業時間が増大し、人為的なミスが発生する可能性も高くなる。
【0005】
本開示の1つの局面では、検体の集配に関わる作業時間を短縮し、且つ、回収漏れや誤回収を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一局面における検体集配システムは、集配人によって携帯される回収ボックス及び回収側端末装置を備える。集配人は、検体が収容され、検体に関する情報である検体情報を記憶するRFタグが貼付されたスピッツを、検体を採取する施設から回収して、検体を検査する施設へ配送する。
【0007】
回収ボックスは、収容部と、情報読取部と、を備える。収容部は、一つ以上のスピッツを収容する。情報読取部は、収容部に収容されたスピッツに貼付されたRFタグのそれぞれから検体情報を読み取るように構成される。
【0008】
回収側端末装置は、依頼取得部と、読取情報取得部と、照合部と、を備える。依頼取得部は、検体情報が蓄積されるサーバから、回収対象となる検体の検体情報を、依頼情報として取得するように構成される。読取情報取得部は、情報読取部がRFタグから読み取った検体情報である読取情報を取得するように構成される。照合部は、依頼情報と読取情報とを照合して照合結果を報知するように構成される。
【0009】
このような構成によれば、スピッツの回収に必要な情報を、回収ボックスを用いて、スピッツに貼付されたRFタグを一括して読み取る。従って、バーコードから1本ずつ情報を読み取る場合と比較して、スピッツの回収に要する時間を大幅に短縮できる。その結果、回収対象のスピッツが依頼内容と一致するか否かを、検体を採取する施設側の担当者を待たせることなく確認でき、不一致が生じた場合に、その場で、担当者に直ちに確認できる。
【0010】
また、このような構成によれば、回収ボックス32を用いてスピッツラベルの情報を読み取るため、回収作業時に、個々のスピッツに手を触れる必要がなく、衛生面での信頼性を向上させることができる。
【0011】
本開示の一局面では、照合部は、表示画面に依頼情報の一覧表を表示し、照合部での照合結果に基づいて、一致した情報及び不一致であった情報のいずれかを、一覧表において強調表示するように構成されてもよい。
【0012】
このような構成によれば、照合結果を視覚的にわかりやすく知らせることができる。
本開示の一局面では、回収ボックスと、回収側端末装置とが、一体に設けられてもよい。このような構成によれば、回収ボックス及び回収側端末装置の持ち運びを容易にできる。
【0013】
本開示の一局面による検体集配システムは、依頼側端末装置を更に備えてもよい。依頼側端末装置は、検体の採取を実施する施設に設置され、検体の採取元となる被検者に関する被検者情報、及び検体に対して実施する検査内容を示す検査情報を、検体情報としてサーバに登録するように構成されてもよい。
【0014】
このような構成によれば、検体の回収を依頼する側が用いる依頼側端末装置、及び検体を回収する側が用いる回収側端末装置のいずれもが、サーバに登録された同じ情報に基づいて処理を実施する。従って、基本的に、依頼側、及び回収側の間での書類の遣り取りが不要となり、書類を書き間違う等の人為的なミスが生じることを削減できる。
【0015】
本開示の一局面による検体集配システムは、ラベル生成部を更に備えてもよい。ラベル生成部は、依頼側端末装置からの指示に従って、検体情報をRFタグに書き込んだタグ付きラベルを生成するように構成されてもよい。
【0016】
このような構成によれば、サーバに登録される検体情報と、スピッツに貼付されるRFタグに記憶される情報との対応づけを正確に行うことができる。
本開示の一局面では、依頼側端末装置は、被検者に施す治療や検査に関する情報が蓄積される電子カルテシステム又は健康診断システムから入力される検査依頼に従って、検体情報をサーバに登録するように構成されてもよい。
【0017】
このような構成によれば、電子カルテシステム又は健康診断システムに蓄積された情報から検体情報が作成され、その検体情報に基づいて依頼側端末装置での処理が行われる。従って、電子カルテシステム又は健康診断システムに蓄積された情報に基づく依頼を、依頼側端末装置に反映させる際に、別途、書類等を作成する必要がなく、検体の検査を依頼する際に要する手間を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】検体集配システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】スピッツラベルの印刷面、及び裏面に設けられたRFタグを示す説明図である。
図3】回収ボックスの外観図である。
図4】蓋を開放した回収ボックスの収容部内に、スピッツを収容した状態を示す説明図である。
図5】依頼側端末装置が実行する依頼受付処理のフローチャートである。
図6】検査指示書の記載例である。
図7】回収側端末装置が実行する回収処理のフローチャートである。
図8】スピッツ回収画面を例示する説明図である。
図9】収納部内におけるアンテナの配置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.構成]
検体集配システム1は、健康診断や患者の治療を実施する病院等の施設(以下、依頼側施設)にて検体を採取し、採取された検体が収納された試験管状の容器(以下、スピッツ)を依頼側施設から回収し、回収したスピッツを検査会社へ配送する一連の業務に用いられる。
【0020】
図1に示すように、検体集配システム1は、依頼側システム2と、回収側システム3と、検査側システム4と、を備える。以下では、依頼側システム2、回収側システム3、検査側システム4を、サブシステム2~4とも表記する。サブシステム2~4は、クラウド5を介して相互に接続される。クラウド5は、通信ネットワーク(例えば、インターネット)上に設けられたサーバ等によって構成され、各サブシステム2~4が共通に利用できるデータベース、及びデータベースを利用するためのアプリケーションプログラムインタフェース(以下、API)等を提供する。各サブシステム2~4を相互に接続するのは、必ずしもクラウド5である必要はなく、十分なセキュリティ性を有したオンプレミスのサーバであってもよい。
【0021】
[1-1.依頼側システム]
依頼側システム2は、依頼側施設に設置される。ここでは、依頼側システム2を、電子カルテシステムや健康診断システムといった院内情報システム6が導入された病院に設置する場合について説明する。
【0022】
健康診断システムには、病院内で実施される健康診断に関するデータが逐次入力され蓄積される。また、電子カルテシステムには、外来患者及び入院患者に対して実施した検査や治療に関するデータが逐次入力され蓄積される。
【0023】
院内情報システム6では、検体の採取指示(以下、オーダ)が入力されると、依頼側システム2に対して検査依頼を送信する。検査依頼には、オーダ情報、被検者情報、検査情報等が添付される。
【0024】
オーダ情報は、オーダが入力された日時(以下、オーダ日時)、及び、オーダを一意に特定する番号(以下、オーダID)が含まれてもよい。
被検者情報は、検体の採取元となる患者又は健康診断の受診者(以下、被検者)に関する情報である。被検者情報には、被検者を一意に特定する番号(以下、被検者ID)の他、被検者の氏名、年齢、性別、生年月日などが含まれてもよい。
【0025】
検査情報は、採取する検査の種類及び数、並びに各検体に対して実施する検査内容等が含まれる。検査の種類には、「生化学」「血液一般」「血清学」「便潜血」「生化学」等があり、検査の種類毎に個別の検体が採取される。また、検査の種類毎に採取する検体の種類(例えば、血液、尿、便等)が決められている。
【0026】
検査内容は、例えば、検体が血液である場合は、「TP」「ZTT」「総ビリルビン」「GOT」「血中アミラーゼ」「総コレステロール」「中性脂肪」「LDLコレステロール」「MCV」「NCHC」「CEA」等が含まれる。
【0027】
以下では、検査の種類毎、即ち、検査対象となる一つの検体(ひいては、その検体を収容するスピッツ)毎の依頼を、検体別オーダという。つまり、一つのオーダは、一人の被検者に対応づけられ、一つのオーダには、一つ以上の検体別オーダが含まれる。
【0028】
なお、検体の検査は、病院内の検査部門、又は外部の検査会社で実施され、検査の発注は、検体別オーダ単位(すなわち、スピッツ単位)で行われる。検査の発注先が複数存在する場合、オーダには、発注先を識別する発注先IDが含まれてもよい。
【0029】
院内情報システム6は、クラウド5に接続される。院内情報システム6は、検査側システム4によって、クラウド5にアップロードされる検査結果をダウンロードできるように構成されてもよい。
【0030】
依頼側システム2は、依頼側端末装置21と、汎用プリンタ22と、ラベル用プリンタ23,24とを備える。
依頼側端末装置21は、クラウド5に接続されると共に、院内情報システム6にも接続される。
【0031】
依頼側端末装置21は、CPU、メモリを備えるコンピュータである。依頼側端末装置21は、当該検体集配システム1の依頼側システム2として機能するために必要なプログラムがインストールされた汎用コンピュータであってもよいし、依頼側システム2用に製造された専用コンピュータであってもよい。
【0032】
依頼側端末装置21は、院内情報システム6から入力される検査依頼(すなわち、オーダ)を受け付ける依頼受付処理を少なくとも実行する。依頼受付処理の詳細は後述する。
汎用プリンタ22は、文字や図形を印刷する一般的なプリンタであって、依頼側端末装置21からの指示に従って検査指示書を印刷する。検査指示書は、被検者毎に作成され、被検者情報、検査情報が印刷される。検査指示書は、検体を採取する担当者が、検体採取の対象となる被検者、採取する検体の種類、数、各検体に対して実施する検査内容等を確認ため等に用いられる。
【0033】
ラベル用プリンタ23,24は、依頼側端末装置21からの指示に従って、スピッツに貼り付けるスピッツラベルを印刷する。
スピッツラベルは、図2の上段に示すように、スピッツに収納された検体に関する情報がバーコード及び文字や記号によって示される。バーコードは、検体別オーダを一意に識別する情報である検体番号を表す。また、文字や記号によって、オーダ情報、被検者情報、検査情報の一部等が示される。スピッツの蓋の色、又はスピッツラベルの色は、検査の種類等によって異なっていてもよい。
【0034】
スピッツラベルには、通常ラベルと、RFタグ付きラベルとが存在する。
通常ラベルは、上述した情報の印刷のみが施される。スピッツラベルにおいて、情報が印刷された面を印刷面という。
【0035】
RFタグ付きラベルは、上述した情報の印刷に加え、印刷面とは反対側の貼付面、すなわち、貼り付けたときにスピッツと接触する面に、図2の下段に示すように、RFタグが設けられる。RFタグは、タグアンテナと、タグメモリと、タグ送受信回路とを備える。タグメモリには、バーコードが示す情報と同じ内容の情報が記憶される。タグ送受信回路は、タグアンテナで受信された電波から電力を抽出して動作する。タグ送受信回路は、タグアンテナを介して所定の問合信号を受信すると、タグメモリから読み出した情報を載せた応答信号を、タグアンテナを介して返信する。
【0036】
ラベル用プリンタ23は、RFタグ付きラベルの印刷に用いられ、以下では、タグ付きラベル用プリンタという。タグ付きラベル用プリンタ23は、印刷面への印刷と共に、RFタグのメモリへの情報の読み書きを実施する。
【0037】
ラベル用プリンタ24は、通常ラベルの印刷に用いられ、以下では、通常ラベル用プリンタ24という。なお、汎用プリンタ22が通常ラベル用プリンタ24を兼ねていてもよい。
【0038】
[1-2.回収側システム]
回収側システム3は、依頼側施設から検体を回収して、検査会社に配送する集配人によって利用される。
【0039】
回収側システム3は、回収側端末装置31と、回収ボックス32とを備える。
回収ボックス32は、スピッツを回収する集配人によって携帯される。回収ボックス32は、図3に示すように、手持ち用の取手及び肩掛け用のベルトを備えてもよい。回収ボックス32は、図4に示すように、複数のスピッツを収容する収容部32aを備える。回収ボックス32は、収容部32a内を低温に保つための保温構造を有すると共に、収容部32aの内部から外部への電磁波の漏洩を抑制するためのシールド構造を有する。回収ボックス32は、例えば、クーラボックス等を改造することで構成されてもよい。
【0040】
回収ボックス32は、図3及び図4に示すように、アンテナ321とタグリーダ322とを備える。
アンテナ321は、収容部32a内に配置され、収容部32aに収容されたスピッツに貼り付けられたタグ付きラベルから情報を読み取る。アンテナ321は、収納されたスピッツの姿勢や数によらず、全てのタグ付きラベルから情報を読み取ることができるように、複数個所に設けられる。アンテナ321は、例えば、図9に示すように、収容部32aの長手方向に対向する2つの側面に設けるとよい。図9は、回収ボックス32の収納部32aの開口部側から見た説明図である。また、収容部32aを開閉自在に塞ぐ蓋となる天面にも設けられてもよい。また、アンテナ321は、収容部32aを形成する4つの側面及び天面、底面のうち任意の2つ以上の面に設けられてもよい。特に、スピッツが規則正しく整列して収容部32aに収められる場合、アンテナ321は、天面及び底面以外、すなわち4つの側面のいずれか2つ以上の面に設けられてもよい。
【0041】
タグリーダ322は、回収ボックス32の外壁に取り付けられ、アンテナ321と接続される。タグリーダ322は、回収側端末装置31との接続に用いるコネクタを先端に備えたケーブル323を有する。コネクタは、例えばUSBコネクタが用いられる。なお、本実施例ではタグリーダ322を、回収ボックス32の外壁に取り付けたが、これに限定されることなく、回収ボックス32の内部に取り付けてもよい。
【0042】
タグリーダ322は、回収側端末装置31からの指示に従って、アンテナ321から問合信号を送信し、問合信号を受信したRFタグから返送される応答信号をアンテナ321で受信することで、RFタグから情報を読み取る。タグリーダ322は、読み取った情報を、ケーブル323を介して回収側端末装置31に出力する。タグリーダ322では、重複して読み取った情報を削除する処理等を行ってもよい。
【0043】
回収側端末装置31は、スピッツを回収する集配人によって携帯される。回収側端末装置31は、タブレット又はスマートフォン等の携帯端末が用いられる。つまり、回収側端末装置31は、CPU、メモリを有するコンピュータである。回収側端末装置31は、回収ボックス32と接続するためのコネクタを有すると共に、クラウド5に接続するための通信部を備える。通信部は、例えば、携帯電話用の電話回線を介してクラウド5との接続を確保する。
【0044】
回収側端末装置31は、少なくとも検体回収処理を実行する。検体回収処理の詳細は後述する。回収側端末装置31は、検体回収処理以外に、集配人が複数の病院から検体を回収する際の集配ルートを管理する処理を実行するように構成されてもよい。
【0045】
[1-3.検査側システム]
検査側システム4は、集配人によって配送された検体を検査する会社に設けられる。検査側システム4は、クラウド5に接続される。
【0046】
検査会社は、検査側システム4を介して、クラウド5にアップロードされた自社に対する依頼情報を取得し、依頼情報に示された内容に従って、配送された検体を検査する。また、検査会社は、検査結果を、検査側システム4を介してクラウド5にアップロードする。
【0047】
[2.処理]
[2-1.依頼受付処理]
次に、依頼側端末装置21が実行する依頼受付処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。本処理は、繰り返し実行される。
【0048】
S110では、依頼側端末装置21は、院内情報システム6から、検査依頼を取得したか否かを判定し、検査依頼を取得していれば処理をS120に移行し、取得していなければ、一旦、処理を終了する。
【0049】
S120では、依頼側端末装置21は、検査依頼に貼付されている依頼情報に基づいて、検査指示書を生成し、汎用プリンタ22を用いて印刷する。検査指示書は、図6に示すように、被検者毎に作成され、オーダを特定するオーダ情報、被検者を特定する被検者情報、検査の種類によって特定される検体別オーダ毎の検査内容が示される。このとき、検体別オーダ毎に、検体番号が付与される。検体番号は、依頼側システム2から提供されるすべての検体を一意に識別するための情報である。
【0050】
続くS130では、依頼側端末装置21は、S120で作成された検査指示書に従って、検体別オーダ毎にスピッツラベルを生成する。具体的には、検査の発注先が病院内の検査部門である検体については通常ラベル用プリンタ24を用いて通常ラベルを生成し、検査の発注先が病院外の検査会社である検体についてはタグ付きラベル用プリンタ23を用いてタグ付きラベルを生成する。生成されたスピッツラベルは、検体の採取担当者によってスピッツに張り付けられる。
【0051】
続くS140では、依頼側端末装置21は、検査依頼に貼付された依頼情報を、S120で付与される検体番号と共に、クラウド5にアップロードして、一旦、処理を終了する。
クラウド5にアップロードされた依頼情報は、検体別オーダ(すなわち、検体番号で識別されるオーダ)を管理単位として、検査の発注先毎にまとめて記憶される。以下では、検体別オーダ毎に再編成された情報を検体情報という。また、発注先毎にまとめられた検体情報を、発注先別依頼情報という。つまり、スピッツラベルから読み取られる情報である検体番号によって、そのスピッツラベルが貼り付けられたスピッツに収容された検体と、クラウド5にアップロードされた検体情報とが対応づけられる。
【0052】
クラウド5における発注先別依頼情報の内容は、依頼側端末装置21によって依頼指示書の内容がアップロードされる毎に逐次更新される。また、発注先別依頼情報には、検体別オーダ毎に、検体の状態を示す情報が付与される。検体の状態には、集配人による回収が完了していないことを示す「未回収」、集配人によって回収されるか、又は病院内の検査部門に引き渡されたことを示す「回収済」、検査が終了して結果がアップロードされていることを示す「検査済」がある。検体の状態は、依頼側システム2による登録時は、「未回収」であり、回収側システム3によって、「未回収」から「回収済」に書き換えられ、検査側システム4によって「回収済」から「検査済」に書き換えられる。
【0053】
[2-2.回収処理]
回収側端末装置31が実行する処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0054】
本処理は、回収側端末装置31上で実行される集配業務用アプリケーションによって表示されるメニュー画面において、スピッツ回収を指示する操作行うことで起動する。
S210では、回収側端末装置31は、回収対象となる検体に関する依頼情報(すなわち、検体情報)を、クラウド5からダウンロードして取得する。例えば、指定された発注先についての発注先別依頼情報の中から検体の状態が「未回収」である全ての検体別オーダについての検体情報をダウンロードする。
【0055】
続くS220では、回収側端末装置31は、表示画面にスピッツ回収画面を表示させる。
スピッツ回収画面には、図8に示すように、検体別オーダ毎(すなわち、スピッツ毎)に、検体情報及び処理状況が一覧表の形式で表示される。表示される検体情報には、被検者情報、オーダ情報、検査情報が含まれる。処理状況は、当該回収処理によりスピッツの存在が確認されたか否かを示し、確認されていなければ「未確認」、確認されていれば「確認済」と表示される。依頼情報をダウンロードした直後では、全てのスピッツの処理状況が「未確認」と表示される。
【0056】
なお、スピッツ回収画面では、「容器」の欄にある「検査項目」のアイコンをクリックすることで、スピッツ毎に細かい検査内容を表示できるように構成されてもよい。
続くS230では、回収側端末装置31は、スピッツ回収画面上で、スピッツの本数チェックを指示する操作がなされたか否を判定し、操作がされていれば、処理をS240に移行し、操作がされていなければ、処理をS270に移行する。
【0057】
なお、集配人は、本数チェックを指示する操作をする前に、回収ボックス32に、チェックの対象となるスピッツが収容されていること、回収側端末装置31にタグリーダ322が接続されていることを確認する。
【0058】
S240では、回収側端末装置31は、回収ボックス32のタグリーダ322を作動させることで、スピッツに貼付されたタグ付きラベルから読み取ったRFタグの情報(以下、読取情報)を取得する。
【0059】
続くS250では、回収側端末装置31は、S210で取得した依頼情報と、S240で取得した読取情報とを照合して、照合結果をスピッツ回収画面に表示する。これにより、回収側端末装置31の操作者である集配人に照合結果を報知する。
具体的には、依頼情報が読取情報と一致したスピッツの処理状況を、「未確認」から「確認済」に書き換える。更に、確認済のスピッツに関する情報と、未確認のスピッツに関する情報とのうち、いずれか一方を強調表示することで、未確認のスピッツに関する情報と確認済みのスピッツに関する情報とが、一見して識別可能となるように表示する。強調表示は、例えば、表示するフォントの種類、色、大きさ等や背景の色を異ならせたり、強調する部分に囲いやハッチングを施したりしてもよい。
【0060】
続くS260では、回収側端末装置31は、S210で取得した全てのスピッツの依頼情報が、読取情報と一致したか否かを判定し、すべて一致していれば処理をS280に移行し、一つでも一致していなければ処理をS230に戻す。すべて一致とは、スピッツ回収画面に表示されたスピッツの状態がすべて「確認済」となり、かつ、依頼情報にはないスピッツの読取情報が存在しない状態のことをいう。
【0061】
S270では、回収側端末装置31は、スピッツ回収画面にてチェック終了指示操作が行われたか否かを判定し、操作が行われていれば、処理をS280に移行し、操作が行われていなければ、処理をS230に移行する。
【0062】
S260にて、不一致と判定された場合、集配人は、照合結果が示されたスピッツ回収画面を参照して、不一致の原因を取り除くための回復作業を実施する。例えば、スピッツが不足していれば、該当するスピッツを探して回収ボックス32に追加収容し、依頼情報と一致しない読取情報が存在する場合は、その読取情報に該当するスピッツを回収ボックス32から取り除く。
【0063】
集配人は、このような回復作業を行ったうえで、スピッツ回収画面にて、チェック指示操作を再度行う。
回復作業を繰り返しても、すべてを一致させることができない場合、スピッツ回収画面にて、未確認検体については依頼しないことを示した上で、チェックを終了させる操作を実施する。例えば、検査指示書が発行されているにも関わらず、被検者が検体の採取を行うことなく帰宅してしまうなど、検体が存在しない場合は、回復作業を行っても一致させることができないため、強制終了させる。
【0064】
S280では、回収側端末装置31は、照合結果に応じた回収情報を生成して、クラウド5にアップロードする。回収情報は、具体的には、スピッツ毎に照合結果が一致したか否かを示す情報である。
【0065】
クラウド5は、回収情報に従って、発注先別依頼情報に示された検体の状態を示す情報を、照合結果が一致したスピッツについては「回収済」に書き換え、照合結果が不一致であったスピッツについては「未回収」のまま維持する。
【0066】
続くS290では、回収側端末装置31は、回収情報に従って、照合結果が一致したスピッツの一覧、すなわち回収したスピッツの一覧を表す預かり表を発行して、処理を終了する。預かり表は、例えば、携帯用のプリンタによって印刷してもよい。
【0067】
[3.作業の流れ]
検体集配システム1を用いた一連の作業の流れを説明する。
まず、院内情報システム6から依頼側システム2に検査依頼が送信される。すると、依頼側システム2では、検査依頼に従って、検査指示書を発行するとともに、採取する検体、すなわち、その検体を収容するスピッツ毎に、スピッツラベルを生成する。このとき、病院内の検査部門で検査を実施する検体については、通常ラベルを生成し、外部の検査会社に検査を発注する検体については、タグ付きラベルを生成する。また、検査依頼に添付された依頼情報は、クラウド5にアップロードされる。
【0068】
このように、院内情報システム6から検査依頼がある毎に、検査依頼に従ったスピッツラベルが発行されると共に、クラウド5には依頼情報が逐次蓄積される。
依頼側システム2によって発行されたスピッツラベルは、検体採取の担当者によってスピッツに貼り付けられ、採取された検体がスピッツに収容される。
【0069】
その後、通常ラベルが貼付されたスピッツは、病院内の検査部門に持ち込まれる。
一方、タグ付きラベルが貼付されたスピッツは、発注先毎に分類して所定の集積場所に集積される。
【0070】
スピッツの集配人は、回収側システム3を用いて、クラウド5から取得した発注先別の依頼情報と、回収ボックス32を用いて読み取った読取情報とを照合し、一致したスピッツを回収して、検査会社に配送する。また、回収したスピッツの情報を、クラウド5にアップロードすることで、クラウド5上の依頼情報に反映させる。
【0071】
検査会社は、自社に対する発注別依頼情報のうち、検体の状態が「回収済」となっている検体別オーダの検体情報を、検査側システム4を用いてクラウド5から取得し、取得した検体情報に基づき、集配人によって配送された検体の検査を実施する。また、検査会社は、検査結果を、検査側システム4を介してクラウド5にアップロードする。クラウド5は、アップロードされた検査結果に基づき、対応する検体別オーダに関する検体の状態を「検査済」に書き換える。
【0072】
院内情報システム6は、クラウド5上の検体情報を参照し、検体の状態が「検査済」となっているオーダについての検査結果を、院内情報システム6に取り込むことで、検査結果を電子カルテ等に反映させる。
【0073】
[4.用語の対応]
本実施形態において、クラウド5がサーバに相当し、タグ付きラベル用プリンタ23がラベル生成部に相当する。また、アンテナ321及びタグリーダ322が情報読取部に相当し、S210が依頼取得部に相当し、S240が読取情報取得部に相当し、S250が照合部に相当する。
【0074】
[5.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(5a)検体集配システム1では、スピッツの回収に必要な情報を、スピッツに貼付されたタグ付きラベルから、回収ボックス32を用いて一括して読み取る。従って、バーコードから1本ずつ読み取る場合と比較して、スピッツの回収に要する時間を大幅に短縮できる。その結果、回収対象のスピッツが依頼内容と一致するか否かを、病院側担当者を待たせることなく確認でき、不一致が生じた場合に、その場で、病院側担当者に直ちに確認できる。
【0075】
(5b)検体集配システム1では、回収ボックス32を用いてスピッツラベルの情報を読み取るため、回収作業時に、個々のスピッツに手を触れる必要がなく、衛生面での信頼性を向上させることができる。
【0076】
(5c)検体集配システム1では、依頼側システム2、回収側システム3、検査側システム4のいずれもが、クラウド5にアップロードされた同じ情報(すなわち、検体別オーダを管理単位とする検体情報)に基づいて処理を実施する。従って、基本的に、病院、集配人、検査会社の間での書類の遣り取りが不要となり、書類を書き間違う等の人為的なミスが生じることを削減できる。
【0077】
(5d)検体集配システム1では、院内情報システム6に蓄積された電子カルテ等の情報から検体情報が作成され、その検体情報に基づいてスピッツラベルが生成される。従って、スピッツラベルの生成を依頼するために、別途、書類等を作成する必要がなく、スピッツラベルの生成に要する手間を削減できる。
【0078】
(5e)検体集配システム1では、タグ付きラベルに通常ラベルと同じ印刷が施されているため、何らかの理由でRFタグの内容を読み取ることができない場合は、バーコードを読み取ることで、バーコードを用いる従来手順に従って対処できる。
【0079】
[6.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0080】
(6a)上記実施形態では、院内の検査部門に検査を発注する検体のスピッツについては、通常ラベルを用い、外部の検査会社に検査を発注する検体のスピッツについてのみ タグ付きラベルを用いているが、全ての検体のスピッツにタグ付きラベルを用いてもよい。
【0081】
(6b)上記実施形態では、回収側端末装置31とタグリーダ322との接続にケーブル323を用いているが、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信を用いてもよい。
(6c)上記実施形態では、回収側端末装置31と回収ボックス32とが別体に設けられているが、これらは一体に設けられてもよい。
【0082】
(6d)上記実施形態では、検体番号が依頼側端末装置21での処理によって付与されるように構成されているが、院内情報システム6にて検査依頼が生成されるときに付与されるように構成されてもよい。
【0083】
(6e)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…検体集配システム、2…依頼側システム、3…回収側システム、4…検査側システム、5…クラウド、6…院内情報システム、21…依頼側端末装置、22…汎用プリンタ、23,24…ラベル用プリンタ、31…回収側端末装置、32…回収ボックス、32a…収容部、321…アンテナ、322…タグリーダ、323…ケーブル。
図1
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