(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185454
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】プローブユニット
(51)【国際特許分類】
G01R 1/067 20060101AFI20221207BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20221207BHJP
【FI】
G01R1/067 C
G01R31/26 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093155
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】成田 聡
(72)【発明者】
【氏名】原子 翔
(72)【発明者】
【氏名】福士 樹希也
【テーマコード(参考)】
2G003
2G011
【Fターム(参考)】
2G003AA07
2G003AG03
2G003AH05
2G011AA10
2G011AA12
2G011AA21
2G011AA22
2G011AB01
2G011AC14
2G011AC32
2G011AE01
2G011AF06
(57)【要約】
【課題】高周波電路への接触子の接合位置がズレても、接触子の自由長を一定とすることができ、電極に対して安定して接触でき、測定品質を向上させる。
【解決手段】本発明に係るプローブユニットは、本体部に取り付けられ、同軸ケーブルを介してテスタとの間で電気信号を授受する同軸コネクタと、同軸コネクタと接続して電気信号を伝送する高周波電路と、先端部が被検査体の電極に対して電気的に接触して、高周波電路との間で電気信号を授受する複数の接触子と、接触子と高周波電路との間に介在する台座とを備え、台座は、各接触子の自由長が所定長となるように、接触子にそれぞれ設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部に取り付けられ、同軸ケーブルを介してテスタとの間で電気信号を授受する同軸コネクタと、
前記同軸コネクタと接続して電気信号を伝送する高周波電路と、
先端部が被検査体の電極に対して電気的に接触して、前記高周波電路との間で電気信号を授受する複数の接触子と、
前記接触子と前記高周波電路との間に介在する台座と
を備え、
前記台座は、前記各接触子の自由長が所定長となるように、前記接触子にそれぞれ設けられていることを特徴とするプローブユニット。
【請求項2】
前記各接触子が、カンチレバー型接触子であることを特徴とする請求項1に記載のプローブユニット。
【請求項3】
前記各接触子は、それぞれ前記台座と一体で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプローブユニット。
【請求項4】
前記各接触子は、貫通孔である空間域が形成されており、前記空間域の周囲の第1の縁部と第2の縁部とを有し、
前記第1の縁部と前記第2の縁部の幅長が所定長となるように、前記空間域が形成される
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のプローブユニット。
【請求項5】
前記複数の接触子は、信号線としての接触子と、グラウンド線としての接触子とを有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のプローブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブユニットに関し、例えば、半導体集積回路の電気的特性を検査する検査装置に用いられるプローブユニットに適用することができる。
【背景技術】
【0002】
例えば、高周波回路の電気的特性を検査する場合、同軸ケーブルに接続された高周波プローブが用いられる(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の記載技術は、高周波プローブの構成について開示されており、信号線とGND線との間に中空構造を備えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、被検査体の電極パッドは、高さのバラツキがある。そのため、接触子をカンチレバー型プローブとすることで、オーバドライブにより、接触子が弾性変形するので、高さのバラツキがあっても、電極パッドに対して接触が可能となる。
【0006】
しかしながら、高周波電路に接触子を接合する際、接触子の接合位置がズレてしまうと、カンチレバー型接触子の自由長が変わってしまい、接触子の圧力の大きさがばらついていしまう。その結果、接触子が電極パッドに対して良好に接触せず、測定品質に悪影響を及ぼしていた。
【0007】
そのため、上述した課題に鑑み、高周波電路への接触子の接合位置がズレても、接触子の自由長を一定とすることができ、電極に対して安定に接触でき、測定品質を向上させることができるプローブユニットが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、本発明に係るプローブユニットは、本体部に取り付けられ、同軸ケーブルを介してテスタとの間で電気信号を授受する同軸コネクタと、同軸コネクタと接続して電気信号を伝送する高周波電路と、先端部が被検査体の電極に対して電気的に接触して、高周波電路との間で電気信号を授受する複数の接触子と、接触子と高周波電路との間に介在する台座とを備え、台座は、各接触子の自由長が所定長となるように、接触子にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、接触子の自由長を一定とすることができ、電極に対して安定に接触でき、測定品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】第1の実施形態に係るプローブユニットの全体構成を示す全体構成図である。
【
図3】第1の実施形態に係る接触子の接合構造の側面図と底面図である。
【
図4】従来の接触子の接合構造の側面図と底面図である。
【
図5】第1の実施形態において、被検査体の電極端子に、従来の接触子が接触するときの様子を説明する説明図である。
【
図6】従来の接触子の接合位置がズレたモデルと、オーバドライブ時の応力解析図である。
【
図7】従来の接触子に生じる圧力とオーバドライブとの関係を示す図である。
【
図8】第1の実施形態の接触子の接合位置がズレたモデルと、オーバドライブ時の応力解析図である。
【
図9】第1の実施形態の接触子に生じる圧力とオーバドライブとの関係を示す図である。
【
図10】第2の実施形態のプローブユニットが備える接触子の部分拡大図と底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明に係るプローブユニットの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
(A-1)第1の実施形態の構成
図2は、第1の実施形態に係るプローブユニットの全体構成を示す全体構成図である。
図1は、
図2における部分Aの部分拡大図である。
【0013】
図2において、第1の実施形態に係るプローブユニット1は、本体部11、同軸コネクタ12、高周波電路13、複数の接触子14(14a~14c)、複数の台座15を備える。
【0014】
なお、接触子14a~14c等の共通構成を説明するときには、接触子14等と表記して説明し、個別構成を説明するときには接触子14a等と表記して説明する。他の構成要素の表記も同様である。
【0015】
プローブユニット1は、例えば、被検査体としての高周波回路の電気的特性を検査する際に用いられる高周波プローブである。プローブユニット1はプローブヘッドとも呼ばれる。
【0016】
プローブユニット1は、3本の接触子14を備え、GSG(Ground-Signal-Ground)タイプの高周波プローブとする場合を例示するが、これに限らず、2本の接触子14を備えたGSタイプ、4本の接触子14を備えたGSGSタイプ、GSSGタイプなどの高速伝送線を備えた高周波プローブにも適用できる。
【0017】
プローブユニット1は、同軸ケーブルを介してテスタ(図示しない)側に接続すると共に、被検査体の電極端子と電気的に接触可能である。例えば、検査の際、プローブユニット1は、同軸コネクタ12がテスタからの電気信号を入力し、高周波電路13が電気信号を各接触子14に中継し、各接触子14が、電気的に接触する被検査体の電極端子に電気信号を供給する。また、プローブユニット1は、電気信号が供給された被検査体が出力した電気信号をテスタに与える。このようにして、テスタが被検査体の電気的特性を検査することができる。
【0018】
本体部11は、基部111と、支持部112とを有する。本体部11の支持部112は、高周波電路13に接合している各接触子14の先端が、被検査体の電極端子に確実に電気的接触できるようにするため、同軸コネクタ12及び高周波電路13を傾けて支持している。
【0019】
同軸コネクタ12は、テスタに接続する同軸ケーブルと接続するものである。例えば、
図2に例示するように、同軸コネクタ12は、その姿勢を傾けた状態で固定具に固定されて、本体部11の支持部112に取り付けられる。
【0020】
高周波電路13は、同軸コネクタ12及び各接触子14に電気信号を中継する電路であり、例えば、同軸セミリジットケーブルを適用できる。高周波電路13は、一方の端部は同軸コネクタ12に接続し、他方の端部は複数の接触子14と接合する。
【0021】
なお、高周波電路13の他方端部は、接触子14を水平にするため、一部を切除して、水平な端面(「接合面」とも呼ぶ。)131を形成する。高周波電路13は、端面131に、複数の接触子14を接合する。
【0022】
接触子14は、被検査体の電極端子に対して電気的に接触するものであり、高周波プローブのグラウンド(Ground)線又は信号(Signal)線である。
【0023】
接触子14は、導電性材料で形成される。接触子14は、一方の端部が、台座15と接合し、当該台座15を介して高周波電路13の端面131に接合され、他方の端部が、下面側に、被検査体の電極端子と電気的に接触する接触部16を有する。このように、接触子14は、台座15を介して高周波電路13の端面131に支持され、厚さが一定のカンチレバー型プローブ(接触子)である。また、接触子14は、板厚方向の厚さが一定であり、長手方向において被検査体側に行くほど幅長が小さくなっている、平面視がほぼ三角形状である。なお、接触子14の形状はこれに限定されない。
【0024】
接触部16は、被検査体の電極端子に電気的に接触する部分であり、導電性材料で形成されている。この実施形態では、接触部16が円柱である場合を例示するが、接触部16の形状は限定されず、三角錐、角錐等であってもよい。
【0025】
台座15は、接触子14と、高周波電路13の端面131との間に介在させる部材であり、例えばニッケル合金などの導電性部材で形成される。台座15は、高周波電路13に接触子14を接合する際、カンチレバーである接触子14の自由長を保持するものである。台座15は、接触子14の自由長を調整する自由長調整部材ともいえる。
【0026】
また、台座15は、接触子14が被検査体の電極端子に接触する際、各接触子14に生じる力学的な物理量(例えば、圧力、応力、せん断力、力のモーメント等)を、複数の接触子14の間で、ほぼ同じにすることができるので、安定した接触ができ、測定品質を向上させることができる。
【0027】
なお、台座15は接触子14毎に設けられる。台座15は、一定の厚さを持つ部材であり、台座15の平面視形状は、特に限定されないが、矩形、正方形等とすることができる。
【0028】
次に、高周波電路13の端面131に接合する接触子14の接合構造を、図面を用いて説明する。
【0029】
図3(A)は、第1の実施形態に係る接触子14の接合構造の側面図であり、
図3(B)は底面図である。
図4は、従来の接触子94の接合構造を示す側面図であり、
図4(B)は底面図である。
【0030】
図5は、被検査体の電極端子5a~5cに対して接触子94a~94cが接触するときの様子を説明する説明図である。なお、
図5では、接触子94a~94cが接合する高周波電路93の接合面については、抽象化して表記している。
【0031】
図4(A)、
図4(B)に例示するように、従来、高周波電路93の端面931と接触子94とは、ロウ付け、超音波接合、抵抗溶接、レーザ溶接などの手法で、直接接合している。
【0032】
接触子94は、高周波電路93の端面931に支持されるカンチレバー型プローブである。従って、例えば、
図5(A)に例示するように、被検査体の電極端子5の高さにバラツキがある場合でも、接触子94が弾性変形するので、接触子94は安定して電極端子に接触することができる(
図5(B)参照)。
【0033】
例えば、
図5(B)に示すように、電極端子5bの高さが他の電極端子5a、5cよりも高い場合、電極端子5bに接触子94bを接触させるときに、他の接触子94a、94cに生じる圧力よりも、接触子94bには強い圧力が生じ、接触子94bの弾性変形は、他の接触子94a、94cの弾性変形よりも大きくなることがわかる。
【0034】
ところで、接触子94は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等で作製された微細構造なので、高周波電路93に接触子94を接合する際に、設計した接合位置からズレた位置に接合してしまうことがある。
【0035】
高周波電路93における接触子94の接合位置がズレると、接触子94の自由長が変わるので、接触子94において生じる接触時の圧力の大きさに影響が生じる。その結果、被検査体の電極端子に対して安定した接触が得られず、測定品質に悪影響を及ぼし得る。
【0036】
そこで、第1の実施形態は、高周波電路13に対する接触子14の接合位置が設計値に対してズレた場合でも、接触子14の自由長が設計値となるように台座15を設ける。
【0037】
図3(A)に示すように、高周波電路13と接触子14との間に台座15を介在させる。ここで、接触子14の自由長を設計して、接触子14と台座15とを接合する際、接触子14の長手方向において、台座15の端面151の位置から接触部16の位置までの長さが設計した自由長となるように、接触子14と台座15とを接合する。
【0038】
つまり、台座15の端面151位置から接触部16位置までの長さが設計値となるように、接触子14と台座15とを接合する。そして、接触子14に設けられた台座15と高周波電路13の端面131とを接合することで、高周波電路13に接触子14を接合する。
【0039】
このように台座15を介在させて接触子14を接合させることで、接触子14の自由長は設計値を保持できるので、接触子14の圧力を設計値に近似する値に抑えることができ、電極端子に対して安定した接触が得られ、測定品質を向上させることができる。
【0040】
図6(A)~
図6(C)は、高周波電路93と接触子94との接合位置がズレたモデルと、オーバドライブ時の応力解析図である。なお、
図6の応力解析図でも、接触子94が接合する高周波電路93の接合面については、抽象化して表記している。
【0041】
図6(B)に示すように、接触子94の接合位置が設計値に対してズレがない場合(例えば、接合ズレの値=±0mm)、オーバドライブ時の接触子94の応力解析図を見ると、3本の接触子94のそれぞれには、ほぼ同程度の圧力が生じていることがわかる。また、各接触子94の圧力の大きさも設計値(設計した圧力の値)に近い値である。
【0042】
図6(A)は、接触子94の接合位置が設計値に対して-X方向側にズレた場合(例えば、接合ズレの値=-0.1mm)の応力解析図を示している。この場合、接触子94の自由長が、設計値よりも短いので、オーバドライブ時の各接触子94の圧力は、
図6(B)の各接触子94の圧力の大きさ(設計圧力値)と比較して、大きいことがわかる。
【0043】
図6(C)は、接触子94の接合位置が設計値に対して+X方向側にズレた場合(例えば、接合ズレの値=+0.1mm)の応力解析図を示している。この場合、
図6(B)の各接触子94の圧力の大きさを比較すると、
図6(C)の各接触子94の圧力は、
図6(B)の各接触子94の圧力の大きさ(設計圧力値)よりも小さいことがわかる。
【0044】
図6(A)~
図6(C)及び
図7に示すように、接触子94の接合位置がズレることにより、接触子94の自由長が変わるので、接触子94の圧力の大きさに影響が生じてしまう。
【0045】
これに対して、
図8(A)~
図8(C)は、第1の実施形態において、接触子14を設けた台座15を高周波電路13に接合させたときの接合モデルと、オーバドライブ時の応力解析図である。
【0046】
図8(B)の場合、台座15を設置した接触子14を高周波電路13に接合する際、接触子14の接合位置が設計値に対してズレがない(例えば、接合ズレの値=±0mm)。この場合、接触子14の自由長が設計値であるので、オーバドライブ時に各接触子14に生じる圧力の大きさは設計値に近い値となる。
【0047】
また、
図8(A)の通り、接触子14の接合位置が設計値よりも-X方向側にズレた場合(例えば、接合ズレの値=-0.1mm)、
図8(C)の通り、接触子14の接合位置が設計値よりも+X方向側にズレた場合(例えば、接合ズレの値=-0.1mm)も、接触子14の自由長は変わらず、設計値を保持できる。
【0048】
そのため、
図9に示すように、接合位置によらず、各接触子14の自由長を設計通りに保持できるので、オーバドライブ時に各接触子14に生じる圧力の大きさは設計値に近い値となる。その結果、電極端子に対して確実かつ安定した接触が可能となり、測定品質も向上する。
【0049】
上述したように、接触子14を高周波電路13に接合する際に、台座15を介在させることにより、接触子14の自由長を設計通りに保持できる。
【0050】
なお、接触子14と台座15、台座15と高周波電路13とは、例えば、ロウ付け、超音波接合、抵抗溶接、レーザ溶接等の手法を用いて接合することができる。
【0051】
また、複数の接触子14はそれぞれ、高周波電路13の端面131に接合されるが、このとき、高周波電路13側のインピーダンス(出力インピーダンス)と、複数の接触子14側のインピーダンス(入力インピーダンス)とを等しくするための設計がなされている。
【0052】
例えば、高周波信号の伝送の妨げとなる反射による定在波の発生を防ぐため、入出力インピーダンスのインピーダンス値(例えば50Ω)を合わせる設計がなされている。高周波信号を伝送する高周波プローブにおける特性インピーダンスZ0は、式(1)で表される特性を有する。
【0053】
【数1】
式(1)において、Cはキャパシタンス(静電容量)、Lはインダクタンスを示す。キャパシタンスCは、誘電率εγ、線幅に比例し、線間に反比例する。
【0054】
特性インピーダンスを整合するため、接触子14の厚さを均一にして「線幅」を一定にする。さらに、「線間」を一定にするため、接触子14aと接触子14bとの間隙が設計した間隙長の値w1となるように、接触子14aと接触子14bを接合する。同様に、接触子14bと接触子14cとの間隙が設計した間隙長の値w2となるように、接触子14bと接触子14cを接合する。
【0055】
また、
図3(B)において、グラウンド(Ground)線である接触子14a及び接触子14cについては、台座15a及び台座15cの幅長(Y方向の長さ)は、接触子14a及び接触子14cの幅長よりも大きくしている。また、信号(Signal)線の接触子14bについては、台座15bの幅長が接触子14bの幅長と同程度となるようにしている。
【0056】
(A-2)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、接触子の長手方向において、台座端面位置から接触部位置までの長さを設計した自由長となるように、接触子に台座を設けることにより、接触子の自由長を変えずに、高周波電路に接触子を接合でき、安定した接触が可能となり、測定品質も向上する。
【0057】
(B)第2の実施形態
次に、本発明に係るプローブユニットの第2の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0058】
(B-1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態に係るプローブユニットをプローブユニット1Aと表記し、接触子を接触子24等と表記する。
【0059】
第2の実施形態のプローブユニット1Aの基本構成は、第1の実施形態の
図2のプローブユニット1の構成と同じである。従って、第2の実施形態においても、第1の実施形態の
図2を用いて説明する。
【0060】
図10(A)は、
図2における第2の実施形態のプローブユニット1Aの部分Aの部分拡大図であり、
図10(B)は、部分Aの底面図である。
【0061】
第2の実施形態のプローブユニット1Aは、接触子24の構造が第1の実施形態の接触子14のそれと異なる。したがって、第2の実施形態では、接触子24の構造を中心に詳細に説明する。
【0062】
なお、第2の実施形態のプローブユニット1Aは、第1の実施形態と同様に、接触子24毎に台座15を設けて、高周波電路13と接触子24との間に台座15を介在させて接合する。
【0063】
図10(A)に示すように、接触子24(24a~24c)は、第1の実施形態と同様に、高周波プローブのグラウンド線又は信号線である。また、接触子24は、導電性材料で形成されて、厚さが均一に形成されている。さらに、接触子24は、台座15を介して高周波電路13の端面131に支持されている。
【0064】
接触子24は、中央領域に厚さ方向(各接触子24の配列方向と直交する方向)に貫通する孔が形成されており、この孔を空間域241とも呼ぶ。
【0065】
ここで、接触子24に空間域241を形成した理由を説明する。プローブユニット1Aは、高周波電路13とインピーダンスを整合させることが必要となる。例えば、第1の実施形態では、接触子14の厚さを均一にし、グラント線の接触子14a(若しくは接触子14c)と、信号線の接触子14bとの間の空気の間隙を一定にすることで、インピーダンスを整合している。
【0066】
しかし、インピーダンス整合を優先してプローブ設計を行なうと、接触子に生じる圧力(例えば、応力、せん断力、力のモーメント等)が強すぎたり、又は、圧力が弱すぎたりといった不具合が生じることが考えられる。
【0067】
そこで、第2の実施形態では、接触子24の変形方向に貫通する空間域を形成して、信号線とグラウンド線の厚さ(接触子24の厚さ)と、信号線とグラウンド線との間(接触子24間)の空気の間隙長とを変えることなく、接触子24に生じる圧力の大きさを調整する。
【0068】
特性インピーダンスは、特性インピーダンスZ0は、上述した式(1)で表される特性を有する。
【0069】
上述したように、式(1)において、キャパシタンスCは、誘電率εγ、線幅に比例し、線間に反比例する。そうすると、特性インピーダンスZ0は、キャパシタンスCとインダクタンスLに収束され、部材材料の電気特性、接触子24の幅長、接触子24の厚さ、信号線とグラウンド線の近接の程度(空気の間隙長)に影響される。
【0070】
このとき、第2の実施形態では、接触子24の厚さは一定とし、信号線とグラウンド線との間の空気の間隙長も一定としている。そのため、空間域241を囲む接触子24の一部分である縁部242と縁部243の幅長が一定となるように、空間域241を設ける。
【0071】
図10(B)の接触子24aの構造を例に挙げて説明する。信号線の接触子24b、グラウンド線の接触子24cも同様の構造である。
【0072】
図10(B)の例では、縁部242aと縁部243aは、平面視がほぼ三角形状の接触子24aの幅方向(Y方向)の両端部の部分である。言い換えると、縁部242aと縁部243aは、空間域241aを挟んだ左右方向(Y方向)の両側に位置している。また、縁部242aと縁部243aの幅方向の幅長は、自由長において一定である。
【0073】
このように、各接触子24に空間域241を設けることにより、各接触子24の厚さと、信号線とグラウンド線との空気の間隙を変えることなく、各接触子24の圧力を調整しながら、インピーダンスを整合させることができる。
【0074】
(B-2)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態で説明した効果に加えて、次のような効果を奏する。
【0075】
第2の実施形態によれば、信号線とグラウンド線の厚さと、信号線とグラウンド線との間の空気の間隙の長さとを一定としたままで、信号線とグラウンド線に空間域を形成して、接触時に接触子に生じる圧力を調整しながら、インピーダンスを調整することができる。
【0076】
(C)他の実施形態
上述した第1及び第2の実施形態においても様々な変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の変形実施形態も適用できる。
【0077】
(C-1)第2の実施形態において、空間域241が、接触子24の形状に応じて、略三角形状の長孔である場合を例示したが、空間域241の形状はこれに限定されない。
【0078】
また、接触子24の長手方向に沿って2列の空間域を配置してもよく、その場合も、2列の空間域の間に存在する接触子の縁部は、その幅長が一定とする。
【0079】
(C-2)上述した実施形態において、接触子の平面視が略三角形状である場合を例示したが、接触子の形状は特に限定されない。
【0080】
(C-3)上述した実施形態では、接触子に台座を接合する例を説明したが、接触子と台座はMEMS等で一体に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1及び1A…プローブユニット、5(5a~5c)…電極端子、11…本体部、111…基部、112…支持部、12…同軸コネクタ、13…高周波電路、131…端面、14(14a~14c)及び24(24a~24c)…接触子、15(15a~15c)…台座、151…端面、16…接触部、241…空間域、242a…縁部、243a…縁部。