(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185472
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】加熱調理システム
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20221207BHJP
A47J 37/06 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
F24C3/12 D
A47J37/06 361
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093180
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 泰生
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA03
4B040AB03
4B040CA02
4B040LA13
4B040LA19
4B040LA20
(57)【要約】
【課題】自動調理の実行中に自動調理に関連する知識的な情報をユーザに提供することができる技術を提供する。
【解決手段】加熱調理システムは、レシピデータに従って自動調理を実行可能な加熱調理装置と、前記レシピデータに関連付けられた出力データを出力可能な第1出力装置と、を備え、前記第1出力装置は、前記加熱調理装置が自動調理を実行しているときに、実行中の自動調理の前記レシピデータに含まれる調理支援情報と、前記レシピデータに関連付けられた前記出力データを出力する。前記調理支援情報は、料理名称等を示す情報を含む。前記出力データは、料理名称等と関連する知識的な情報である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レシピデータに従って自動調理を実行可能な加熱調理装置と、
前記レシピデータに関連付けられた出力データを出力可能な第1出力装置と、を備え、
前記第1出力装置は、前記加熱調理装置が自動調理を実行しているときに、実行中の自動調理の前記レシピデータに含まれる調理支援情報と、前記レシピデータに関連付けられた前記出力データとを出力する加熱調理システムであって、
前記調理支援情報は、料理名称、食材、調味料、調理道具、及び、調理工程に関連したユーザの作業内容を示す情報を含み、
前記出力データは、前記レシピデータに含まれる情報のうち料理名称、食材、調味料、調理道具、及び、調理工程を示す情報の少なくとも一つに関連し、かつ、前記調理支援情報及び自動調理を実行中の加熱調理装置の動作状態データとは異なる知識的な情報である、加熱調理システム。
【請求項2】
前記第1出力装置は、ユーザの年齢レベルを選択する操作を受け付ける第1操作部を備え、
前記第1出力装置は、前記第1操作部の操作により選択される前記年齢レベルに関連付けられた前記出力データを出力する、請求項1に記載の加熱調理システム。
【請求項3】
前記第1出力装置と通信可能な第2出力装置を更に備え、
前記第1出力装置は、出力する前記出力データに関連付けられた派生データを前記第2出力装置に送信する操作を受け付ける第2操作部を備え、
前記第1出力装置は、前記出力データを出力する際に、前記派生データを前記第2出力装置に送信する操作を前記第2操作部が受け付ける場合に、前記派生データを前記第2出力装置に送信する、請求項1又は2に記載の加熱調理システム。
【請求項4】
前記第1出力装置は、外部装置から前記レシピデータを受信可能であり、
前記レシピデータと前記出力データは、データセットにされており、
前記第1出力装置は、前記レシピデータと前記出力データを含む前記データセットを前記外部装置から受信する、請求項1から3のいずれか一項に記載の加熱調理システム。
【請求項5】
前記第1出力装置は、前記出力データをクイズ形式で出力する、請求項1から4のいずれか一項に記載の加熱調理システム。
【請求項6】
前記第1出力装置は、ユーザが所定時間作業を行う必要が無い調理工程を加熱料理装置が実行中に、前記出力データを出力する、請求項1から5のいずれか一項に記載の加熱調理システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の加熱調理システムに用いられるデータ構造であって、
前記レシピデータに従って実行される自動調理の火力及び加熱時間の情報を格納する第1データ部と、前記レシピデータと関連付けられた前記出力データを格納する第2データ部と、を備えるデータ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、加熱調理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に加熱調理システムが開示されている。特許文献1の加熱調理システムは、レシピデータに従って自動調理を実行可能なコンロと、コンロと通信可能なスマートフォンとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加熱調理システムのユーザが自動調理に関連する情報に興味を持つことがある。例えば、ユーザが自動調理によりハンバーグを調理しているときに、ハンバーグの起源や、調理に使用する油の原料等の知識的な情報に興味を抱く場合がある。そこで、本明細書では、自動調理の実行中に自動調理に関連する知識的な情報をユーザに提供することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する加熱調理システムは、レシピデータに従って自動調理を実行可能な加熱調理装置と、前記レシピデータに関連付けられた出力データを出力可能な第1出力装置と、を備えている。前記第1出力装置は、前記加熱調理装置が自動調理を実行しているときに、実行中の自動調理の前記レシピデータに含まれる調理支援情報と、前記レシピデータに関連付けられた前記出力データとを出力する。前記調理支援情報は、料理名称、食材、調味料、調理道具、及び調理工程に関連したユーザの作業内容を示す情報を含み、前記出力データは、前記レシピデータに含まれる情報のうち料理名称、食材、調味料、調理道具、及び調理工程の少なくとも一つに関連し、かつ、前記調理支援情報及び自動調理を実行中の加熱調理装置の動作状態データとは異なる知識的な情報である。
【0006】
この構成によれば、第1出力装置が調理支援情報と、レシピデータに関連付けられた出力データを出力する。調理支援情報は、準備する食材等の情報とユーザが行う作業内容の情報を含んでいる。そして、出力データは、レシピデータに関連するデータであって、調理工程でユーザが行う作業内容や自動調理中の加熱調理装置の火力や加熱時間等の動作状態とは異なる知識的な情報である。ここで知識的な情報とは、例えば、自動調理の料理や使われる食材・調味料の起源、歴史、種類、産地等、種々の調理工程の特徴、調理道具の手入れの仕方等の情報である。このように、自動調理の実行中に自動調理に関連する知識的な情報をユーザに提供することができる。
【0007】
前記第1出力装置は、ユーザの年齢レベルを選択する操作を受け付ける第1操作部を備えてもよい。前記第1出力装置は、前記第1操作部の操作により選択される前記年齢レベルに関連付けられた前記出力データを出力してもよい。
【0008】
この構成によれば、ユーザの年齢レベルに適した知識的な情報をユーザに提供することができる。例えば、ユーザが成人である場合は、成人に適した知識的な情報を提供することができ、ユーザが小学生である場合は、小学生に適した知識的な情報を提供することができる。
【0009】
加熱調理システムは、前記第1出力装置と通信可能な第2出力装置を更に備えてもよい。前記第1出力装置は、出力する前記出力データに関連付けられた派生データを前記第2出力装置に送信する操作を受け付ける第2操作部を備えてもよい。前記第1出力装置は、前記出力データを出力する際に、前記派生データを前記第2出力装置に送信する操作を前記第2操作部が受け付ける場合に、前記派生データを前記第2出力装置に送信してもよい。
【0010】
この構成によれば、知識情報である出力データに興味を抱いたユーザに対し、出力データ周辺の派生情報をユーザに提供することができる。
【0011】
前記第1出力装置は、外部装置から前記レシピデータを受信可能であってもよい。前記レシピデータと前記出力データは、データセットにされていてもよい。前記第1出力装置は、前記レシピデータと前記出力データを含む前記データセットを前記外部装置から受信してもよい。
【0012】
この構成によれば、第1出力装置がレシピデータと出力データを同時に受信することができるので、レシピデータに関連付けられた出力データを確実に出力することができる。
【0013】
前記第1出力装置は、前記出力データをクイズ形式で出力してもよい。
【0014】
この構成によれば、クイズの答えを考える機会をユーザに与えることができ、自動調理に関連する知識的な情報の学習効果を高めることができる。
【0015】
前記第1出力装置は、ユーザが所定時間作業を行う必要が無い調理工程を加熱料理装置が実行中に、前記出力データを出力するようにしてもよい。
【0016】
この構成によれば、第1出力装置がユーザが作業を行わない間に出力データを出力するので、出力データについてユーザが考える時間を与えることができる。
【0017】
本明細書は、加熱調理システムに用いられるデータ構造を開示する。データ構造は、前記レシピデータに従って実行される自動調理の火力及び加熱時間の情報を格納する第1データ部と、前記レシピデータと関連付けられた前記出力データを格納する第2データ部とを備えてもよい。
【0018】
この構成によれば、レシピデータに関連付けられた出力データを第1出力装置が迅速に出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施例の加熱調理システムの構成を模式的に示すブロック図。
【
図2】実施例のコンロの構成を模式的に示す斜視図。
【
図7】実施例のコンロ側処理を示すフローチャート。
【
図9】実施例のスマートフォンの出力画面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(加熱調理システム2の構成;
図1)
実施例の加熱調理システム2について図面を参照して説明する。
図1に示すように、加熱調理システム2は、コンロ10(加熱調理装置の一例)と、スマートフォン50(第1出力装置の一例)と、管理サーバ70(外部装置の一例)と、テレビ80(第2出力装置の一例)と、スマートスピーカ82(第2出力装置の他の一例)と、タブレット84(第2出力装置の他の一例)とを備えている。
【0021】
コンロ10、スマートフォン50、テレビ80、スマートスピーカ82、及び、タブレット84は、Wi-Fi(登録商標)方式に従ったWi-Fi(以下「WF」という。)通信により無線LANルータ92に接続されており、無線LANルータ92を介してインターネット90に接続可能である。無線LANルータ92は、無線LANの親機として機能する。コンロ10とスマートフォン50は、Bluetooth(登録商標)方式に従ったBluetooth(以下「BT」という。)通信により互いに接続可能である。
【0022】
(コンロ10の構成;
図1、
図2)
図1及び
図2に示すように、コンロ10は、電源スイッチ12と、WFインターフェース14と、BTインターフェース16とを備えている。また、コンロ10は、コンロバーナ18(18a,18b,18c)と、コンロ操作部20(20a,20b,20c)と、コンロパネル22と、グリルバーナ24と、グリル操作部26と、グリルパネル28と、制御部30とを備えている。
【0023】
WFインターフェース14は、無線LANルータ92とのWF通信を実行するためのインターフェース(以下「I/F」という。)である。BTI/F16は、スマートフォン50とのBT通信を実行するためのI/Fである。
【0024】
コンロ10は、システムキッチンに組み込まれて使用されるガス燃焼式のビルトインコンロである。コンロ10は、
図2に示すように、前面4aがシステムキッチンの手前側に露出する本体4と、本体4の上部に配置されており、システムキッチンのカウンタトップに露出する天板6と、を備えている。天板6には、加熱対象物である鍋やフライパン等の調理容器を支持する3つの五徳8a,8b,8cと、それぞれの五徳8a,8b,8cに対応して設けられており、それぞれの五徳8a,8b,8cに支持された加熱対象物を加熱するコンロバーナ18(18a,18b,18c)と、それぞれのコンロバーナ18a,18b,18cに対応して設けられている温度センサ9a,9b,9cと、が設けられている。コンロバーナ18aには、ガス供給路(不図示)が接続されている。ガス供給路には、コンロバーナ18aへのガスの供給量を調整するための流量調整弁(不図示)が設けられている。コンロバーナ18aは、コンロバーナ18aにガスが供給されている状態でイグナイタ(不図示)を動作させることで点火する。コンロバーナ18aへのガスの供給量を調整することで、コンロバーナ18aの火力を調整することができる。コンロバーナ18aへのガスの供給を停止することで、コンロバーナ18aを消火することができる。コンロバーナ18b、18cは、コンロバーナ18aと同様の構造を有する。温度センサ9a,9b,9cは、五徳8a,8b,8cに支持される加熱対象物の存在を検出するとともに、加熱対象物の底の温度を検出する。
【0025】
本体4は、本体4の内部に設けられて食材を収容するグリル庫120と、本体4の前面4aに配置されてグリル庫120を開閉するグリル扉122と、を備えている。グリル庫120の内部には、グリル庫120内に収容した食材を加熱するグリルバーナ24が設けられている。また、本体4は、本体4の前面4aにおいてグリル扉122の右側に設けられたコンロ操作部20(20a,20b,20c)と、コンロ操作部20の下側に設けられたコンロパネル22とを備えている。また、本体4は、本体4の前面4aにおいてグリル扉122の左側に設けられたグリル操作部26と、グリル操作部26の下側に設けられたグリルパネル28とを備えている。
【0026】
コンロ操作部20a,20b,20cは、それぞれ、コンロバーナ18a,18b,18cに対応する。コンロ操作部20a,20b,20cは、コンロバーナ18a,18b,18cの点火及び消火を行うとともに、コンロバーナ18a,18b,18cの火力の調整を行うための操作部である。例えば、ユーザがコンロ操作部20aを押すとコンロバーナ18aが点火する。ユーザがコンロ操作部20aを回すとコンロバーナ18aの火力が増減する。また、コンロ10が所定のレシピデータを取得している状態で、ユーザがコンロ操作部20aを押すとコンロバーナ18aで自動調理が開始される。コンロ10は、レシピデータに従って自動調理を実行することができる。
【0027】
コンロパネル22は、表示部220と、操作部222(222a、222b、222c)とを備えている。表示部220には、各コンロバーナ18a,18b,18cの火力や加熱時間を含む動作状態などが表示される。ユーザは、操作部222a、222b、222cを操作することで、コンロバーナ18a,18b,18cによって加熱される加熱対象物の自動調理の設定などをすることができる。
【0028】
グリル操作部26は、グリルバーナ24に対応する。グリル操作部26は、グリルバーナ24の点火及び消火を行うとともに、グリルバーナ24の火力の調整を行うための操作部である。例えば、ユーザがグリル操作部26を押すとグリルバーナ24が点火する。ユーザがグリル操作部26を回すとグリルバーナ24の火力が増減する。また、コンロ10が所定のレシピデータを取得している状態で、ユーザがグリル操作部26を押すとグリルバーナ24で自動調理が開始される。
【0029】
グリルパネル28は、表示部280と、操作部282とを備えている。表示部280には、グリルバーナ24の動作状態などが表示される。ユーザは、操作部282を操作することで、グリルバーナ24によって加熱される加熱対象物の自動調理の設定などをすることができる。
【0030】
制御部30(
図1参照)は、CPU(不図示)と記憶部32を備えている。記憶部32には、自動調理のプログラム102が記憶されている。また、記憶部32には、後述する第1データテーブル702が記憶される。自動調理のプログラム102は、予めコンロ10にインストールされている。プログラム102は、例えば、コンロ10のベンダーからインターネット90を介して提供される。制御部30は、記憶部32に記憶されているプログラム102に基づいて様々な処理を実行する。
【0031】
(スマートフォン50の構成;
図1)
スマートフォン50は、WFI/F52と、BTI/F54と、タッチパネル56と、制御部58とを備えている。WFI/F52は、無線LANルータ92とのWi-Fi通信を実行するためのI/Fである。BTI/F54は、コンロ10とのBT通信を実行するためのI/Fである。
【0032】
タッチパネル56は、様々な情報を表示する表示部と、様々なユーザ操作を受け付ける操作部(第1操作部の一例)としての機能を備えている。タッチパネル56は、自動調理のアプリ402の画面を表示することができる。ユーザがタッチパネル56をタッチ操作することにより、自動調理のアプリ402に関する様々な指示や情報がスマートフォン50に入力される。
【0033】
制御部58は、CPU(不図示)と記憶部60を備えている。記憶部60には、自動調理のアプリ402が記憶されている。また、記憶部60には、後述する第1データテーブル702が記憶される。自動調理のアプリ402は、例えば、コンロ10のベンダーからインターネット90を介して提供される。制御部58は、記憶部60に記憶されているアプリ402に基づいて様々な処理を実行する。
【0034】
(管理サーバ70の構成;
図1)
管理サーバ70は、インターネット90に接続されており、インターネット90を介してコンロ10、スマートフォン50、テレビ80、スマートスピーカ82、及びタブレット84と通信可能である。管理サーバ70は、制御部72を備えている。制御部72は、CPU(不図示)と記憶部74を備えている。記憶部74には、自動調理に関する第1データテーブル702(データ構造の一例)と第2データテーブル704が記憶されている。
【0035】
(第1データテーブル702;
図3)
第1データテーブル702について説明する。
図3に示すように、第1データテーブル702には、レシピデータと、補足データと、派生ワードとが関連付けられて格納されている。レシピデータと補足データと派生ワードは、1つのデータセットにされている。
【0036】
レシピデータは、自動調理を実行するための情報である。レシピデータは、調理工程情報と、調理支援情報と、コンロ制御情報とを含む。調理工程情報は、自動調理で実行される工程を示す。調理支援情報は、自動調理の実行中にユーザを支援するためにユーザに通知される情報を示し、料理名称、食材、調味料、調理道具、及び、調理工程に関連したユーザの作業内容を示す情報を含んでいる。コンロ制御情報は、自動調理におけるコンロバーナ18の制御内容を示す。レシピデータの調理工程情報(例えば、工程4)と、調理支援情報(例えば、「フライパンをコンロに置き、油をひいて点火してください。」)と、コンロ制御情報(例えば、火力:中、温度:180℃)とは、関連付けられている。コンロ制御情報は、レシピデータに従って実行される自動調理の火力、温度、加熱時間の情報を含む。
【0037】
補足データは、自動調理に関連する補足的な情報である。補足データは、年齢レベル情報と、出力データとを含む。年齢レベル情報は、ユーザによって設定されるユーザの年齢レベル(例えば、小学生、高校生等)を示す。出力データは、自動調理の実行中にユーザに補足的に通知される情報を示す。出力データは、例えば、自動調理の料理や使われる食材・調味料の起源、歴史、種類、産地等、種々の調理工程の特徴、調理道具の手入れの仕方等の、[表1]に例示される情報を含む。出力データは、コンロ10の操作、指示、設定、動作状態、正常/異常とは関連せず、自動調理の遂行に直接的にも間接的にも影響しない、知識的な情報である。年齢レベル情報(例えば、小学生)と、出力データ(例えば、「サラダ油って、何から採れる?」)とは、関連付けられている。出力データは、ユーザの複数の年齢レベル情報に応じて異なる内容に設定されている。上記のレシピデータの調理工程情報と、調理支援情報と、コンロ制御情報と、補足データの年齢レベル情報と、出力データとは、関連付けられている。
【表1】
【0038】
派生ワードは、出力データの内容から派生するワードである。出力データ(例えば、「サラダ油って、何から採れる?」)と、派生ワード(例えば、「料理油の原料」)とは、関連付けられている。
【0039】
(第2データテーブル704;
図4)
第2データテーブル704について説明する。
図3に示すように、第2データテーブル704には、派生ワードと派生データが関連付けられて格納されている。派生ワードについては上述したので説明を省略する。派生データは、派生ワード(例えば、「料理油の原料」)に関して詳細に説明するための情報(例えば、料理油の原料を説明する情報)である。
【0040】
(端末側処理;
図5)
次に、端末側処理について説明する。端末側処理は、スマートフォン50において自動調理のアプリ402に基づいて実行される。端末側処理は、例えば、アプリ402が起動すると開始される。
【0041】
図5に示すように、端末側処理のS10では、スマートフォン50の制御部58が、アプリ402の操作画面をタッチパネル56に表示する。操作画面は、アプリ402の機能を実行するための操作を受け付ける画面である。S12では、制御部58が、管理サーバ70(
図1参照)から第1データテーブル702をダウンロードするためのダウンロード操作が実行されたか否かを判断する。ユーザがタッチパネル56を操作することによりダウンロード操作が実行された場合(S12でYES)、処理はS14に進む。ダウンロード操作が実行されない場合(S12でNO)、処理は待機する。S14では、制御部58が、管理サーバ70から第1データテーブル702をダウンロードする。制御部58は、ダウンロードした第1データテーブル702を記憶部60に記憶する。
【0042】
続くS16では、制御部58が、ユーザの年齢レベルが選択されたか否かを判断する。
図6は、実施例の年齢レベル選択画面を示す図である。ユーザは、タッチパネル56を操作することによりユーザの年齢レベル(例えば、小学生)を選択することができる。ユーザは、自身や一緒に調理を行う者の年齢に応じた年齢レベルを選択することができる。ユーザの年齢レベルが選択された場合(S16でYES)、処理はS18に進む。ユーザの年齢レベルが選択されない場合は(S16でNO)、処理はS20に進む。S20では、制御部58が、ユーザの年齢レベルとして「成人」を自動的に選択する。続くS18では、制御部58が、S16(又はS20)で選択された年齢レベル(例えば、小学生(又は成人))を以後の処理における年齢レベルとして設定する。制御部58は、設定情報を記憶部60に記憶する。
【0043】
続くS22では、制御部58が、上記のS14でダウンロードした第1データテーブル702をコンロ10に送信するための送信操作が実行されたか否かを判断する。ユーザがタッチパネル56を操作することにより送信操作が実行された場合(S22でYES)、処理はS24に進む。送信操作が実行されない場合(S22でNO)、処理は待機する。
【0044】
S24では、制御部58が、上記のS14でダウンロードする第1データテーブル702と、上記のS18で設定されるユーザの年齢レベルの情報とを、コンロ10に送信する。制御部58は、BT通信により第1データテーブル702と年齢レベル情報をコンロ10に送信する。なお、変形例では、制御部58は、第1データテーブル702全体を送信するのではなく、第1データテーブル702に含まれるレシピデータ(
図3参照)をコンロ10に送信してもよい。以上、端末側処理について説明した。
【0045】
(コンロ側処理;
図7)
次に、コンロ側処理について説明する。コンロ側処理は、コンロ10において自動調理のプログラム102に基づいて実行される。コンロ側処理は、例えば、コンロ10の電源スイッチ12がオンにされると開始される。
【0046】
図7に示すように、コンロ側処理のS30では、コンロ10の制御部30が、上記のS24(
図5参照)でスマートフォン50から送信される第1データテーブル702と年齢レベル情報を受信するか否かを判断する。第1データテーブル702と年齢レベル情報を受信する場合(S30でYES)、処理はS32に進む。そうでない場合(S30でNO)、処理は待機する。制御部30は、第1データテーブル702と年齢レベル情報を受信すると、それらを記憶部32に記憶する。
【0047】
S32では、制御部30が、自動調理が開始されるか否かを判断する。自動調理は、コンロ10が第1データテーブル702に含まれるレシピデータを取得している状態で、ユーザがコンロ操作部20を押すことにより開始される。コンロ10は、レシピデータに従って自動調理を実行することができる。自動調理が開始される場合(S32でYES)、処理はS34に進む。自動調理が開始されない場合(S32でNO)、処理は待機する。なお、ユーザは、自動調理を開始する前に自動調理の準備をしておく。例えば、ユーザは、自動調理に用いる食材を鍋に入れて、その鍋をコンロバーナ18の上に配置する。また、スマートフォン50では、制御部58が、レシピデータに含まれる調理支援情報(
図3参照)をタッチパネル56に表示する。例えば、制御部58は、「材料をみじん切りにします。」等の説明画面をタッチパネル56に表示する。ユーザは、タッチパネル56に表示される調理支援情報を視ながら自動調理の準備をすることができる。
【0048】
図7に示すように、S32でYESの後のS34では、制御部30が、出力データ(
図3参照)を出力するための出力指示をスマートフォン50に送信する。続くS36では、制御部30が、自動調理において実行中の工程(例えば、工程4)を示す調理工程情報をスマートフォン50に送信する。
【0049】
続くS38では、制御部30が、自動調理が完了したか否かを判断する。自動調理における全ての工程が完了することにより自動調理が完了した場合(S38でYES)、処理はS40に進む。S40では、制御部30が、自動調理が完了したことを示す完了情報をスマートフォン50に送信する。自動調理が完了していない場合(S38でNO)、処理はS36に戻る。制御部30は、自動調理において工程が進んだ場合、新たな工程(例えば、工程5)を示す調理工程情報をスマートフォン50に送信する(S36)。以上、コンロ側処理について説明した。
【0050】
(出力処理;
図8)
次に、出力処理について説明する。出力処理は、スマートフォン50において自動調理のアプリ402に基づいて実行される。
図8に示すように、出力処理のS50では、スマートフォン50の制御部58が、上記のS34(
図7参照)でコンロ10から送信される出力指示を受信するか否かを判断する。出力指示を受信する場合(S50でYES)、処理はS52に進む。そうでない場合(S50でNO)、処理は待機する。続くS52では、制御部58が、上記のS36(
図7参照)でコンロ10から送信される調理工程情報を受信するか否かを判断する。調理工程情報を受信する場合(S52でYES)、処理はS54に進む。そうでない場合(S52でNO)、処理は待機する。
【0051】
S54では、制御部58が、S52で受信する調理工程情報に関連付けられた出力データ(
図3参照)をスマートフォン50のタッチパネル56に出力する。制御部58は、上記のS18(
図5参照)で設定されるユーザの年齢レベル情報に関連付けられた出力データ(
図3参照)をタッチパネル56に出力する。例えば、制御部58は、S52で受信する調理工程情報が「工程4」を示す情報であり、S18で設定される年齢レベル情報が「小学生」を示す情報である場合、
図9に示すように、「サラダ油って、何から採れる?」という出力データ(
図3参照)をタッチパネル56に表示する。この時、「工程4」はフライパンに油をひいて点火する工程であり、油をひいてから次の「工程5」まではユーザは作業を行う必要がない。スマートフォン50は、ユーザが所定時間作業を行う必要が無い調理工程をコンロ10が実行している間に、出力データを表示する。
【0052】
図8に示すように、S54に続くS56では、制御部58が、S54で出力する出力データに関連付けられた派生ワード(
図3参照)のリンクボタン156(第2操作部の一例)をタッチパネル56に表示する。例えば、
図9に示すように、制御部58は、S54で出力する出力データが「サラダ油って、何から採れる?」という出力データである場合、「料理油の原料」という派生ワード(
図3参照)のリンクボタン156をタッチパネル56に表示する。制御部58は、出力データと派生ワードのリンクボタン156を併せてタッチパネル56に表示する。
【0053】
続くS58では、制御部58が、S56でタッチパネル56に表示される派生ワードのリンクボタン156がユーザによって選択されるか否かを判断する。ユーザが派生ワードのリンクボタン156をタッチ操作することにより派生ワードのリンクボタン156が選択される場合(S58でYES)、処理はS60に進む。リンクボタン156が選択されない場合(S58でNO)、処理はS68に進む。
【0054】
S60では、制御部58が、派生ワードに関連付けられた派生データ(
図3参照)を要求する要求信号をインターネット90を介して管理サーバ70に送信する。例えば、制御部58は、「料理油の原料」という派生ワードのリンクボタン156(
図9参照)がタッチ操作される場合、その派生ワード「料理油の原料」に関連付けられた派生データを要求する要求信号を管理サーバ70に送信する。管理サーバ70は、派生データの要求信号をコンロ10から受信すると、記憶部74に記憶されている派生データをインターネット90を介してコンロ10に送信する。管理サーバ70は、記憶部74に記憶されている第2データテーブル704(
図4参照)から派生ワード(例えば、「料理油の原料」)に関連付けられた派生データ(例えば、料理油の原料を説明する情報)を抽出してコンロ10に送信する。
【0055】
S62では、制御部58が、管理サーバ70から送信される派生データを受信するか否かを判断する。派生データを受信する場合(S62でYES)、処理はS64に進む。派生データを受信しない場合(S62でNO)、処理は待機する。
【0056】
S64では、制御部58が、S62で受信する派生データをスマートフォン50のタッチパネル56に出力する。例えば、制御部58は、料理油の原料を説明する情報をタッチパネル56に表示する。
【0057】
続くS66では、制御部58が、S62で受信する派生データを他の装置(例えば、テレビ80、スマートスピーカ82、タブレット84)に転送する。制御部58は、無線LANを介して派生データを他の装置に転送する。他の装置(例えば、テレビ80、スマートスピーカ82、タブレット84)は、スマートフォン50から転送される派生データを受信すると、その派生データを出力する。他の装置は、画像や音声により派生データ(例えば、料理油の原料を説明する情報)を出力する。
【0058】
続くS68では、制御部58が、上記のS40(
図7参照)でコンロ10から送信される自動調理の完了情報を受信するか否かを判断する。完了情報を受信する場合(S68でYES)、出力処理が終了する。完了情報を受信しない場合(S68でNO)、処理はS52に戻る。S52では、制御部58が、自動調理の新たな工程(例えば、工程5)の調理工程情報を受信するか否かを判断する。以上、出力処理について説明した。
【0059】
以上、実施例の加熱調理システム2について説明した。以上のように、加熱調理システム2は、レシピデータに従って自動調理を実行可能なコンロ10と、レシピデータに関連付けられた出力データを出力可能なスマートフォン50とを備えている。スマートフォン50は、コンロ10が自動調理を実行しているときに、実行中の自動調理のレシピデータに含まれる調理支援情報(例えば、「フライパンをコンロに置き、油をひいて点火してください。」)と、レシピデータに関連付けられた出力データ(例えば、「サラダ油って、何から採れる?」)を出力する(
図8のS54参照)。調理支援情報は、料理名称、食材、調味料、調理道具、及び、調理工程に関連したユーザの作業内容を示す情報を含む(
図3参照)。出力データは、レシピデータに含まれる情報のうち料理名称、食材、調味料、調理道具、及び、調理工程を示す情報の少なくとも一つに関連し、かつ、調理支援情報及び自動調理を実行中の加熱調理装置の動作状態データとは異なる知識的な情報である(表1参照)。動作状態データは、実行中の自動調理におけるコンロバーナ18a,18b,18cの火力や加熱時間を示す情報である。動作状態データは、
図3に示すコンロ制御情報ではなく、実際のコンロバーナ18a,18b,18cの火力や加熱時間を示す情報である。
【0060】
この構成によれば、自動調理の実行中に自動調理に関連する知識的な情報をユーザに提供することができる。例えば、自動調理の料理や使われる食材・調味料の起源、歴史、種類、産地等、種々の調理工程の特徴、調理道具の手入れの仕方等の知識的な情報をユーザに提供することができる。また、自動調理に関連する知識的な情報についてユーザに考える機会を与えることができる。
【0061】
スマートフォン50は、ユーザの年齢レベルを選択する操作を受け付けるタッチパネル56を備えている。スマートフォン50は、タッチパネル56の操作により選択された年齢レベル(例えば、小学生)に関連付けられた出力データ(例えば、「サラダ油って、何から採れる?」)を出力する(
図3、
図6、
図9参照)。この構成によれば、ユーザの年齢レベルに適した知識的な情報をユーザに提供することができる。
【0062】
加熱調理システム2は、スマートフォン50と通信可能な他の装置(例えば、テレビ80、スマートスピーカ82、タブレット84)を備えている。スマートフォン50は、出力データに関連付けられた派生データを他の装置に送信する操作を受け付けるリンクボタン156を備えている。スマートフォン50は、出力データを出力する際に、リンクボタン156がタッチ操作される場合に、管理サーバ70から取得する派生データを他の装置に送信する。即ち、スマートフォン50は、出力データを出力する際に、派生データを他の装置に送信する操作をリンクボタン156が受け付ける場合に、派生データを他の装置に送信する(
図8のS58-S66参照)。他の装置は、受信する派生データを画像や音声で出力してもよい。この構成によれば、自動調理から派生する情報をユーザに提供することができる。ユーザの興味を深掘りすることができ、学習効果を高めることができる。
【0063】
スマートフォン50は、管理サーバ70からレシピデータを受信可能である(
図5のS12、S14参照)。レシピデータと出力データは、データセットにされており(
図3参照)、スマートフォン50は、レシピデータと出力データを含むデータセットを管理サーバ70から受信する。この構成によれば、スマートフォン50がレシピデータと出力データを同時に受信することができるので、レシピデータに関連付けられた出力データを確実に出力することができる。
【0064】
スマートフォン50は、出力データをクイズ形式で出力する(
図9参照)。この構成によれば、クイズについて考える機会をユーザに与えることができ、自動調理に関連する知識的な情報の学習効果を高めることができる。
【0065】
スマートフォン50は、ユーザが所定時間作業を行う必要が無い調理工程をコンロ10が実行中に、出力データを出力する。この構成によれば、出力データについてユーザが考える時間を与えることができ、自動調理に関連する知識的な情報の学習効果を高めることができる。
【0066】
加熱調理システム2に用いられる第1データテーブル702(
図3参照)は、レシピデータに従って実行される自動調理の火力及び加熱時間の情報を含むコンロ制御情報と、レシピデータと関連付けられた出力データとを格納する。この構成によれば、レシピデータに関連付けられた出力データをスマートフォン50が迅速に出力することができる。第1データテーブル702のうち、コンロ制御情報を格納する部分が第1データ部の一例であり、出力データを格納する部分が第2データ部の一例である。
【0067】
(変形例)
(1)上記では、スマートフォン50が出力データを出力していたが、変形例では、コンロ10の制御部30が、コンロパネル22の表示部220に出力データを出力してもよい。コンロパネル22が第1出力装置の他の一例である。
【0068】
(2)上記では、コンロ10がスマートフォン50から第1データテーブル702を受信していたが、変形例では、コンロ10が管理サーバ70から第1データテーブル702を受信してもよいし、コンロ10がメモリ接続ポートを備えており、外部メモリから第1データテーブル702を受信してもよい。
【0069】
(3)上記では、スマートフォン50が出力データを画像で出力していたが、変形例では、スマートフォン50が出力データを音声で出力してもよい。
【0070】
(4)上記では、スマートフォン50が、ユーザが所定時間作業を行う必要が無い調理工程をコンロ10が実行中に出力データを出力していたが、変形例では、ユーザが作業を行う必要がある調理工程において出力データを出力してもよい。
【0071】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0072】
2:加熱調理システム、10:コンロ、14:WFI/F、16:BTI/F、18:コンロバーナ、20:コンロ操作部、22:コンロパネル、24:グリルバーナ、26:グリル操作部、28:グリルパネル、50:スマートフォン、56:タッチパネル、70:管理サーバ、80:テレビ、82:スマートスピーカ、84:タブレット、90:インターネット、92:無線LANルータ、102:プログラム、156:リンクボタン、402:アプリ、702:第1データテーブル、704:第2データテーブル