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特開2022-185478電力変換装置、電力変換システム、および、電力変換装置の制御方法
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  • 特開-電力変換装置、電力変換システム、および、電力変換装置の制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185478
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】電力変換装置、電力変換システム、および、電力変換装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20221207BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
H02M7/12 A
H02M7/12 M
H02M7/12 X
H02M3/28 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093198
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】叶田 玲彦
【テーマコード(参考)】
5H006
5H730
【Fターム(参考)】
5H006CA01
5H006CA02
5H006CB08
5H006CC02
5H006CC08
5H006DA04
5H006DB01
5H730AA15
5H730AS01
5H730AS08
5H730AS17
5H730BB27
5H730BB85
5H730BB88
5H730DD04
5H730EE04
5H730EE07
5H730EE13
5H730FF09
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】電力変換装置の製造コストを低減するとともに設置スペースを低減する。
【解決手段】電力変換装置100は、交流電源1に直列接続されたAC/DC変換器311~31nおよびAC/DC変換器321~32mと、出力側に設けられた直流バス6a,6bと、AC/DC変換器311~31nおよびAC/DC変換器321~32mを各前記直流経路に選択的に接続する切替スイッチ411~41n、切替スイッチ431~43n、切替スイッチ421~42m、切替スイッチ441~44mと、直流バス6a,6bを直列接続するバス間接続スイッチ9と、バス間接続スイッチ9によって直列接続された電路を負荷に接続するスイッチ50とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源に直列接続された複数の絶縁型セル変換器と、
出力側に設けられた2つ以上の直流経路と、
各前記絶縁型セル変換器を各前記直流経路に選択的に接続する直流経路接続手段と、
前記直流経路のうち2つ以上を直列接続する直列接続手段と、
前記直列接続手段によって直列接続された前記直流経路を負荷に接続する第1の負荷接続手段と、
を備えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記直流経路のうち2つを直列接続すると共に、各前記直流経路にそれぞれn台の前記絶縁型セル変換器、およびm台の前記絶縁型セル変換器を割り当てて接続し、各前記直流経路の電圧比がn:mとなるように制御する制御部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
各前記直流経路をそれぞれ付加に接続する第2の負荷接続手段、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記負荷は、二次電池を含んだ装置である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記負荷は、電気自動車である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記絶縁型セル変換器は、双方向AC/DCコンバータであり、前記負荷側から放電された電力を前記電源に供給する、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記電源は、三相高圧交流電源であり、
前記絶縁型セル変換器は、前記電源の各相にそれぞれリアクトルを介して同数ずつ直列接続される、
ことを特徴とする請求項6に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記絶縁型セル変換器は、DC/DCコンバータである、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記直列接続手段は、前記直流経路のうち一方の負極と他方の正極とを導通させるスイッチである、
ことを特徴とする請求項1から8のうち何れかに記載の電力変換装置。
【請求項10】
電源に直列接続された複数の絶縁型セル変換器と、
出力側に設けられた2つ以上の直流経路と、
各前記絶縁型セル変換器を各前記直流経路に選択的に接続する直流経路接続手段と、
前記直流経路のうち2つ以上を直列接続する直列接続手段と、
前記直列接続手段によって直列接続された前記直流経路を負荷に接続する第1の負荷接続手段と、
を備えることを特徴とする電力変換システム。
【請求項11】
出力側に設けられた複数の直流経路のうち2つを、直列接続手段により直列接続するステップと、
電源に直列接続された複数の絶縁型セル変換器を、直流経路接続手段によって各前記直流経路にそれぞれn台、およびm台を割り当てて接続するステップと、
各前記直流経路の電圧比がn:mとなるように制御するステップと、
直列接続された前記直流経路を第1の負荷接続手段により負荷に接続するステップと、
を実行することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置、電力変換システム、および、電力変換装置の制御方法
に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野で電動化が加速している。特に移動体については、電気自動車に続き、バス、トラック、建設機械の電動化が実用化段階に移行しつつある。一方、これらの電動化移動体に地上側から電気エネルギーを供給する充電システムについても需要が高まっている。電動化移動体を導入するためには地上側の充電システムも充実することが望まれる。ユーザの充電待ち時間を短縮するために複数の充電ターミナルを備えた装置を提供することが好ましい。また、車種やユーザの要求に応じて充電電圧や電流を幅広く供給できることが好ましい。さらに、充電システムの設置スペースを小さくすることが好ましい。
【0003】
例えば、下記特許文献1の請求項1には、「AC電源が入力されるACターミナル、上記AC電源をDC電源に整流するAC/DC変換器、第1電力値のDC電源を出力するDCターミナル、上記DC電源の出力をオン/オフさせる充電パックスイッチの中で少なくとも1つが用意される充電パック;を含み、上記充電パックの設置個数の増減または上記各充電パックスイッチのオン/オフ可否によって、上記第1電力値を増減させた多様な電力値のDC電源を出力し、上記DC電源の電力値の変化に従って電気車の充電速度調節が可能なユニバーサル充電装置。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2012-518987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、電動化移動体を導入して円滑に運用するためには地上側の充電システムも充実することが望まれるため、充電システムの初期導入費用を低減することが望まれる。しかし、車種により給電すべき電圧・容量が広い(150~800V、50~350kW超)ため、変換器の構成が複雑かつコスト増になる。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、電力変換装置、または電力変換システムの製造コストを低減するとともに設置スペースを低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するため、本発明の電力変換装置は、電源に直列接続された複数の絶縁型セル変換器と、出力側に設けられた2つ以上の直流経路と、各前記絶縁型セル変換器を各前記直流経路に選択的に接続する直流経路接続手段と、前記直流経路のうち2つ以上を直列接続する直列接続手段と、前記直列接続手段によって直列接続された電路を負荷に接続する第1の負荷接続手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の電力変換システムは、電源に直列接続された複数の絶縁型セル変換器と、出力側に設けられた2つ以上の直流経路と、各前記絶縁型セル変換器を各前記直流経路に選択的に接続する直流経路接続手段と、前記直流経路のうち2つ以上を直列接続する直列接続手段と、前記直列接続手段によって直列接続された前記直流経路を負荷に接続する第1の負荷接続手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の電力変換装置の制御方法は、出力側に設けられた複数の直流経路のうち2つを、直列接続手段により直列接続するステップと、電源に直列接続された複数の絶縁型セル変換器を、直流経路接続手段によって各前記直流経路にそれぞれn台、およびm台を割り当てて接続するステップと、各前記直流経路の電圧比がn:mとなるように制御するステップと、直列接続された前記直流経路を第1の負荷接続手段により負荷に接続するステップと、を実行することを特徴とする。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電力変換装置、または電力変換システムの製造コストを低減するとともに設置スペースを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態による電力変換装置の構成図である。
図2】電力変換装置の要部にあたるAC/DC変換器の回路図である。
図3】電力変換器の各部の電圧を示す模式図である。
図4】電力変換器の制御ブロックを示す図である。
図5】第2実施形態による電力変換装置の構成図である。
図6】第3実施形態による電力変換装置の構成図である。
図7】電力変換装置の要部の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態]
〈第1実施形態の構成〉
【0012】
本発明の第1の実施形態について、図1図2図3および図4を用いて説明する。
図1は、第1実施形態による電力変換装置100の構成図である。
図1において、電力変換装置100は、交流電源1と充電端末7a,7bと、大容量充電端末24に接続されており、リアクトル2aと、電力変換器12と、切替回路13と、中央制御回路11と、光ケーブル14とを含んで構成される。電力変換装置100は、充電端末7a,7bによって電気自動車8a,8bに充電し、大容量充電端末24によって大容量電気自動車23に充電する。
【0013】
リアクトル2aは、電力変換器12を交流電源1に接続する線路に設けられており、電力変換器12のスイッチングに伴って発生する高周波電流が交流電源1と電力変換器12の間に流れるのを阻止する。
電力変換器12は、リアクトル2aを介して交流電源1に接続されている。電力変換器12は、n台のAC/DC変換器311~31nと、m台のAC/DC変換器321~32mを含んで構成される。電力変換器12は、交流電源1の交流電力を直流電力に変換すると共に、その逆の変換も可能である。n台のAC/DC変換器311~31nと、m台のAC/DC変換器321~32mは、電源に直列接続された複数の絶縁型セル変換器である。
【0014】
切替回路13は、切替スイッチ411~41nと、切替スイッチ431~43nと、切替スイッチ421~42mと、切替スイッチ441~44mと、スイッチ50~52と、直流バス6a,6bと、バス間接続スイッチ9とを含んで構成される。切替回路13は、前述した電力変換器12の直流電力を所望の電圧に切り替えて外部に供給するものであり、充電端末7a,7bに接続されている。
【0015】
これら直流バス6a,6bは、この電力変換装置100の出力側に設けられた2つ以上の直流経路であり、それぞれ独立した正負一体の線路である。切替スイッチ411~41nと、切替スイッチ431~43nとは、AC/DC変換器311~31nを直流バス6a,6bに選択的に接続する直流経路接続手段である。切替スイッチ421~42mと、切替スイッチ441~44mとは、AC/DC変換器321~32mを直流バス6a,6bに選択的に接続する直流経路接続手段である。
【0016】
バス間接続スイッチ9は、直流バス6a,6bを直列接続する直列接続手段である。スイッチ50は、バス間接続スイッチ9によって直列接続された電路を負荷である大容量電気自動車23に接続する第1の負荷接続手段である。これら切替スイッチ411~41nと、切替スイッチ431~43nと、切替スイッチ421~42mと、切替スイッチ441~44mと、スイッチ50~52と、バス間接続スイッチ9は、中央制御回路11によって制御される電磁開閉器であるが、作業員がマニュアルで操作するスイッチであってもよい。
スイッチ51,52は、直流バス6a,6bをそれぞれ負荷に接続する第2の負荷接続手段として機能する。バス間接続スイッチ9は、直流バス6a,6bのうち一方の負極と他方の正極とを導通させるスイッチである。
【0017】
充電端末7a,7bは、電気自動車8a,8bを充電するための端末である。大容量充電端末24は、大容量電気自動車23を充電するための端末である。電気自動車8a,8bと大容量電気自動車23は、二次電池を含んで構成されている。
【0018】
図1の電力変換器12の構成について述べる。交流電源1は、リアクトル2aを介して電力変換器12に接続されている。電力変換器12のすべてのAC/DC変換器311~31nの交流電源1側の端子と、AC/DC変換器321~32mの交流電源1側の端子は、直列に接続されている。
【0019】
一方、n台のAC/DC変換器311~31nとm台のAC/DC変換器321~32mは、直流端子を持ちそれぞれ切替回路13に接続されている。具体的には、AC/DC変換器311は、切替スイッチ411と切替スイッチ431に接続されている。AC/DC変換器31nは、切替スイッチ41nと切替スイッチ43nに接続されている。AC/DC変換器321は、切替スイッチ421と切替スイッチ441に接続されている。AC/DC変換器32mは、切替スイッチ42mと切替スイッチ44mに接続されている。
【0020】
切替回路13内には直流バス6a,6bがある。
直流バス6aは、切替スイッチ411~41nを介してAC/DC変換器311~31nに接続可能である。直流バス6bは、切替スイッチ431~43nを介してAC/DC変換器311~31nに接続可能である。
【0021】
直流バス6aは、切替スイッチ421~42mを介してAC/DC変換器321~32mに接続可能である。直流バス6bは、切替スイッチ441~44mを介してAC/DC変換器321~32mに接続可能である。
また、直流バス6aの負極と直流バス6bの正極の間には、バス間接続スイッチ9が接続されている。
直流バス6aは、スイッチ51を介して充電端末7aと接続されている。同様に直流バス6bは、スイッチ52を介して充電端末7bと接続されている。一方、直流バス6aの正極と直流バス6bの負極がスイッチ50を介して大容量充電端末24と接続されている。電気自動車8a,8bは、充電端末7a,7bにより充電できるように構成されている。一方、大容量電気自動車23は、大容量充電端末24により充電可能に構成されている。これにより、比較的低い電圧で充電するためのAC/DC変換器と、比較的高い電圧で充電するためのAC/DC変換器を共用できるので、電力変換装置の製造コストを低減するとともに設置スペースを低減することが可能となる。
【0022】
電力変換器12と中央制御回路11の間が光ケーブル14で接続されている。これにより中央制御回路11は、電力変換器12を制御する。
【0023】
図2は、電力変換器12の要部にあたるAC/DC変換器311の回路図である。なお、他のAC/DC変換器も同様に構成されている。
AC/DC変換器311は、AC端子20a,20bと、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)ブリッジ16と、平滑キャパシタ22a,22b、SiC-MOSFET(silicon carbide- metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)ブリッジ17a,17bと、高周波トランス19、IGBT18、DC端子21a,21b、制御回路15a,15bを備えている。SiC-MOSFETブリッジ17a,17bおよび高周波トランス19で形成される回路は、DAB(Dual Active Bridge)構成となっている。
【0024】
IGBTブリッジ16は、Hブリッジ状に接続された4個のIGBT素子と、それらIGBT素子に逆並列に接続されたダイオードとを有している。SiC-MOSFETブリッジ17a,17bは、それぞれHブリッジ状に接続された4個のSiC-MOSFET素子と、それらSiC-MOSFET素子に逆並列に接続されたダイオードとを有している。
図2において、AC端子20a、20bは、IGBTブリッジ16の2つのレグのそれぞれ上下アームの中点にそれぞれ接続される。IGBTブリッジ16の正極と負極に平滑キャパシタ22aが接続される。平滑キャパシタ22aには、SiC-MOSFETブリッジ17aの正極と負極が接続される。SiC-MOSFETブリッジ17aの2つのレグのそれぞれの上下アームの中点には、高周波トランス19の1次側巻線が接続される。高周波トランス19は、内部に漏れインダクタンスを有している。ここで、高周波とは、例えば100Hz以上の周波数であるが、1kHz以上の周波数を採用することが好ましく、10kHz以上の周波数を採用することがより好ましい。
【0025】
高周波トランス19の2次側巻線はSiC-MOSFETブリッジ17bの2つのレグのそれぞれの上下アームの中点に接続される。平滑キャパシタ22bは、SiC-MOSFETブリッジ17bの正極と負極との間に接続される。平滑キャパシタ22bの正極とDC端子21aの間にIGBT18が接続される。また、平滑キャパシタ22bの負極にDC端子21bが接続される。IGBTブリッジ16およびSiC-MOSFETブリッジ17aの制御端子は、制御回路15aに接続される。SiC-MOSFETブリッジ17bおよびIGBT18の制御端子は、制御回路15bに接続される。
【0026】
このAC/DC変換器311は、双方向AC/DCコンバータである。AC/DC変換器311は、交流電源1の電力を負荷に供給することが可能であり、かつ、負荷側から放電された電力を交流電源1に供給することが可能である。
【0027】
図3は、本実施形態による電力変換器12の各部の電圧を示す模式図である。図3では図1における電力変換器12の内部にあるn台のAC/DC変換器311~31nとm台のAC/DC変換器321~32mの接続構成とそれぞれのDC電圧を記載している。
【0028】
〈第1実施形態の動作〉
次に、本実施形態の動作を説明する。
図1における電力変換器12は、n台のAC/DC変換器311~31nとm台のAC/DC変換器321~32mの交流側が直列接続された構成になっており、リアクトル2aを介して交流電源1に接続されている。AC/DC変換器の交流側は、図2に示すようにIGBTブリッジ16となっており、n+m台のIGBTブリッジ16が直列接続される。そして各IGBTブリッジ16は、同期しながらPWM(Pulse Width Modulation)動作し、交流電源1の交流電圧を各IGBTブリッジ16で等しく分担して整流し、平滑キャパシタ22aに直流電圧を発生させる。
【0029】
SiC-MOSFETブリッジ17aは、平滑キャパシタ22aを直流電源としてスイッチング動作する。SiC-MOSFETブリッジ17aとSiC-MOSFETブリッジ17bは、同期しながらそれぞれのオンオフ位相をずらすことにより、高周波トランス19に流れる電流を制御する。これにより、SiC-MOSFETブリッジ17bの正極と負極の間に接続される平滑キャパシタ22bには、交流電源1とは絶縁された直流電圧が発生する。制御回路15aは、IGBTブリッジ16およびSiC-MOSFETブリッジ17aをスイッチング制御する。一方、制御回路15bは、SiC-MOSFETブリッジ17bをスイッチング制御する。中央制御回路11は、光ケーブル14を経由して、制御信号を制御回路15a、15bに伝達する。制御回路15aと制御回路15bは、光ケーブル14により同期制御される。このようにして、各AC/DC変換器は、交流電源1からの電力を受け、それぞれ絶縁された直流電力を出力することができる。
【0030】
各AC/DC変換器は、切替スイッチのオン/オフを切り替えることにより、直流バス6aあるいは直流バス6bのいずれかに接続することが可能である。例えば、図1において、切替スイッチ411~41nをオンして、n台のAC/DC変換器311~31nを直流バス6aに接続し、直流バス6aと充電端末7aの間にあるスイッチ51をオンすることにより、充電端末7aに接続した電気自動車8aを充電することができる。
同様に、図1に示したように、切替スイッチ441~44mをオンして、m台のAC/DC変換器321~32mを直流バス6bに接続し、直流バス6bと充電端末7bの間にあるスイッチ52をオンすることにより、充電端末7bに接続した電気自動車8bを充電することができる。
【0031】
また、図1に示したように、n台のAC/DC変換器311~31nを直流バス6aに接続し、残りのm台のAC/DC変換器321~32mを直流バス6bに接続することにより、電気自動車8aと電気自動車8bを同時に充電することも可能である。
【0032】
なお、充電端末7a、7bを使って電気自動車8a、8bを充電する際には、バス間接続スイッチ9はオフ状態となっている。
このとき注意すべきなのは、n台のAC/DC変換器311~31nとm台のAC/DC変換器321~32mの負担する電力を均一化する必要があるという点である。n台のAC/DC変換器311~31nとm台のAC/DC変換器321~32mは、前述のように交流側が直列接続されている。したがって、これらのうち軽負荷のものは、平滑キャパシタ22aの直流電圧が上昇傾向となる。これらのうち重負荷のものは、平滑キャパシタ22aの直流電圧が低下傾向となる。平滑キャパシタ22aの直流電圧の差異が顕著になると、平滑キャパシタ22aやIGBTブリッジ16、またはSiC-MOSFETブリッジ17aの耐圧をオーバーするおそれがある。そこで、負荷である電気自動車8a、8bが要求する充電電力を把握した上で、n台のAC/DC変換器311~31nとm台のAC/DC変換器321~32mの出力電力がおおむね等しくなるように、電気自動車8a、8bへの割り当て数を決定する。
【0033】
以下には図1の構成において大容量電気自動車23を充電するための方法について示す。大容量電気自動車23は、電気自動車8a、8bに比べてより高い充電電圧かつ大容量の充電電流を必要とする電気自動車である。
このとき、各切替スイッチ411~41n、切替スイッチ431~43n、切替スイッチ421~42m、切替スイッチ441~44m、スイッチ50~52、バス間接続スイッチ9の状態をハッチングの色で表示している。濃いハッチングがオン状態、薄いハッチングがオフ状態である。すなわち、n台のAC/DC変換器311~31nについては直流バス6aに接続される切替スイッチ411~41nがオン状態、直流バス6bに接続される切替スイッチ431~43nがオフ状態となっている。そのため、n台のAC/DC変換器311~31nは、直流出力側がすべて直流バス6aに並列接続されている。
【0034】
一方、m台のAC/DC変換器321~32mについては、直流バス6aに接続される切替スイッチ421~42mがオフ状態でかつ直流バス6bに接続される切替スイッチ441~44mがオン状態となっている。そのため、m台のAC/DC変換器321~32mは、それらの直流出力側がすべて並列接続となり直流バス6bに接続されている。
【0035】
さらに、バス間接続スイッチ9がオン状態になっているため、直流バス6aの負電位側と直流バス6bの正電位側が接続されている。
【0036】
この結果、大容量充電端末24には、直流バス6aの電圧と直流バス6bの電圧が加算された電圧が印加されることになる。このときの接続状態を表したのが図3である。すなわち、n台のAC/DC変換器311~31nは、直流バス6aに接続され、それぞれのAC/DC変換器311~31nの出力電圧はVout1である。一方、m台のAC/DC変換器321~32mは、直流バス6bに接続され、それぞれのAC/DC変換器321~32mの出力電圧はVout2である。
【0037】
このとき、大容量充電端末24に印加される電圧をVDCとすると、以下の式(1)で導かれる。
【数1】
【0038】
また、出力電流をIDCとすると、大容量充電端末24へ出力される直流電力Poutは、以下の式(2)で導かれる。
【数2】
【0039】
前述のように、交流側の電圧分担を均等化するためにはn台のAC/DC変換器311~31nとm台のAC/DC変換器321~32mの分担電力が等しくなるように制御する必要がある。そこで、n台のAC/DC変換器311~31nの出力電力P1は、これらn台が均等に電流IDCを分担するため、式(3)で導かれる。
【数3】
【0040】
同様に、m台のAC/DC変換器321~32mの出力電力P2は、これらm台の変換器が均等に電流IDCを分担するため、式(4)で導かれる。
【数4】
【0041】
さらに、交流側の電圧分担を均等化するには、式(5)を満たす必要がある。
【数5】
【0042】
そこで、式(6)に示す関係が導かれる。
【数6】
【0043】
これを簡略化したものが式(7)である。
【数7】
【0044】
式(7)から、式(8)の関係が導かれる。
【数8】
【0045】
式(8)と式(1)から、式(9)と式(10)が導かれる。
【数9】
【0046】
【数10】
【0047】
したがって、n台のAC/DC変換器311~31nは、出力電圧を[n/(n+m)]×VDCに設定し、m台のAC/DC変換器321~32mは出力電圧を[m/(n+m)]×VDCと設定することにより、すべてのAC/DC変換器の入出力電力を均等化することが可能になる。中央制御回路11は、n台のAC/DC変換器311~31nの出力電圧が[n/(n+m)]×VDCになるように制御し、m台のAC/DC変換器321~32mの出力電圧が[m/(n+m)]×VDCになるように制御する。
【0048】
図4は、電力変換器12のn台のAC/DC変換器311~31nとm台のAC/DC変換器321~32mの制御ブロックを示している。
大容量電気自動車23から大容量充電端末24に対して電流指令値IDC_refが要求される。これに対して、IDCは、図3に図示される変換器全体からの出力電流である。図4のブロック図では、これらの電流値を比較して差分をとり、ACR制御ブロック81aに入力する。ACR制御ブロック81aではPI制御により、電流の差分に対し比例積分演算を行う。ACR制御ブロック81aの出力はVDC_refとなり、これは図3に示すトータルの変換器の電圧VDCの指令値にあたる。次に、ACR制御ブロック81aは、台数nとm、それにVDC_refを用いて乗算ブロック82a,82bにより、それぞれ式(9)および式(10)の演算を行う。その結果としてそれぞれVout1_refとVout2_refが出力される。
【0049】
並列運転されるAC/DC変換器311~31nでは、出力電圧Vout1を測定し、Vout1_refと比較する。同様に並列運転されるAC/DC変換器321~32mでは、出力電圧Vout2を測定し、Vout2_refと比較する。
これらの比較結果はそれぞれAVR制御ブロック83a,83bに入力される。AVR制御ブロック83a,83bではPI制御により、電圧誤差を比例積分演算し、それぞれIref1、Iref2を出力する。
【0050】
つまり、中央制御回路11は、直流バス6a,6bをバス間接続スイッチ9によって直列接続すると共に、直流バス6aにn台のAC/DC変換器311~31nを割り当てて接続し、直流バス6bにm台のAC/DC変換器321~32mを割り当てて接続し、直流バス6a,6bの電圧比がn:mとなるようにAC/DC変換器311~31nとAC/DC変換器321~32mとを制御する制御部として機能する。中央制御回路11は更に、スイッチ50をオンして(閉じて)、バス間接続スイッチ9によって直列接続された直流バス6a,6bを大容量充電端末24に接続する。これにより、直列接続された直流バス6a,6bを大容量電気自動車23に接続することができる。
【0051】
AC/DC変換器311~31nにおいては、それぞれの変換器で以下の演算を行う。すなわち、AC/DC変換器311~31nは、出力電流Iout1を検出し、Iref1と比較した電流誤差をACR制御ブロック81bに入力し、それぞれの変換器の制御指令値であるDABの位相を出力する。同様に、AC/DC変換器321~32mにおいては、それぞれの変換器で以下の演算を行う。すなわち、AC/DC変換器321~32mは、出力電流Iout2を検出し、Iref2と比較した電流誤差をACR制御ブロック81cに入力し、それぞれの変換器の制御指令値であるDABの位相を出力する。
【0052】
この制御の結果、AC/DC変換器の入出力電力が均等化され、各AC/DC変換器の交流側の電圧分担がバランスするとともに、大容量電気自動車23を安定に充電することが可能となる。
【0053】
この結果、大容量電気自動車23の充電と従来の電気自動車8a、8bを充電するための電力変換装置100の共用化を実現できる。そのため、電力変換装置100の製造コストを低減するとともに設置スペースを低減することが可能となる。
なお、このとき充電端末7a、7bに接続されるスイッチ51,52はオフ状態となっており、充電端末7a、7bから電気自動車8a、8bへの充電は停止されている。
【0054】
本実施形態によれば、2群に分割したうち一方のAC/DC変換器311~31nの並列数と、他方のAC/DC変換器321~32mの並列数とが異なる場合であっても、それぞれのAC/DC変換器の入出力電力を均等化することができ、交流側の分担電圧を均等化することが可能である。
【0055】
なお、本実施形態におけるAC/DC変換器311~31nとAC/DC変換器321~32mは、図2に記載の回路で構成されているため、IGBT18をオン状態とし、DAB回路の位相を制御することにより、双方向動作が可能である。したがって、電気自動車8a、8b、および大容量電気自動車23からの放電にも対応することができ、交流電源1側に電気自動車側から放電をおこなって系統で利用すること、換言すればV2G(Vehicle to Grid)にも好適である。
【0056】
[第2実施形態]
次に本発明の第2の実施形態を、図5図3図4を用いて説明する。
〈第2実施形態の構成〉
【0057】
図5は、第2実施形態における電力変換装置100Aの構成図である。
図5において、以下の説明において、上述した他の実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0058】
図5において、電力変換装置100Aは、三相交流電源1Aと充電端末7a~7cと、大容量充電端末24に接続されており、リアクトル2a~2cと、電力変換器12Aと、切替回路13Aと、中央制御回路11と、光ケーブル14とを含んで構成される。電力変換装置100Aは、充電端末7a~7cによって電気自動車8a~8cに充電し、大容量充電端末24によって大容量電気自動車23に充電する。
【0059】
リアクトル2a~2cは、電力変換器12Aを三相交流電源1Aの各相に接続する線路に設けられており、電力変換器12Aのスイッチングに伴って発生する高周波電流が三相交流電源1Aと電力変換器12Aの間に流れるのを阻止する。
電力変換器12Aは、7台のAC/DC変換器31u~37uと、7台のAC/DC変換器31v~37vと、7台のAC/DC変換器31w~37wとを含んで構成される。中性点10は、AC/DC変換器37u,37v,37wの中性点である。電力変換器12Aは、三相交流電源1Aの交流電力を直流電力に変換すると共に、その逆の変換も可能である。AC/DC変換器31u~37uと、AC/DC変換器31v~37vと、AC/DC変換器31w~37wとは、三相交流電源1Aの各相にそれぞれリアクトルを介して同数ずつ直列接続される絶縁型セル変換器である。
【0060】
切替回路13Aは、切替スイッチ41a~49aと、切替スイッチ41b~49bと、切替スイッチ41c~49cと、スイッチ50と、直流バス6a~6cと、バス間接続スイッチ9とを含んで構成される。切替回路13Aは、前述した電力変換器12Aの直流電力を所望の電圧に切り替えて外部に供給するものであり、充電端末7a~7cと大容量充電端末24に接続されている。
充電端末7a~7cは、電気自動車8a~8cを充電するための端末である。大容量充電端末24は、大容量電気自動車23を充電するための端末である。なお、各充電端末7a~7cと、直流バス6a~6cとの間には、不図示のスイッチが接続されている。この不図示のスイッチは、直流バス6a~6cをそれぞれ負荷に接続する第2の負荷接続手段として機能する。
【0061】
これら直流バス6a~6cは、この電力変換装置100Aの出力側に設けられた直流経路であり、それぞれ独立した正負一体の線路である。切替スイッチ41a~49aと、切替スイッチ41b~49bと、切替スイッチ41c~49cとは、AC/DC変換器31u~37uと、AC/DC変換器31v~37vと、AC/DC変換器31w~37wとを直流バス6a~6cに選択的に接続する直流経路接続手段である。
【0062】
バス間接続スイッチ9は、直流バス6a,6bを直列接続する直列接続手段である。スイッチ50~52は、バス間接続スイッチ9によって直列接続された電路を負荷である大容量電気自動車23に接続する第1の負荷接続手段である。これら切替スイッチ41a~49aと、切替スイッチ41b~49bと、切替スイッチ41c~49cと、スイッチ50~52と、バス間接続スイッチ9は、中央制御回路11によって制御される電磁開閉器であるが、作業員がマニュアルで操作するスイッチであってもよい。。バス間接続スイッチ9は、直流バス6a,6bのうち一方の負極と他方の正極とを導通させるスイッチである。
【0063】
第2の実施形態が第1の実施形態(図1)と異なる点は、第2の実施形態の三相交流電源1Aは、三相交流であり、3.3kV、6.6kVなどの高圧交流を想定している点である。これに伴い、相毎にリアクトル2a、2b、2cを備える。また、電力変換器12Aについては、U相にAC/DC変換器31u~37uの7台を直列接続し、AC/DC変換器31uをリアクトル2aに接続し、AC/DC変換器37uを中性点10に接続している。また、電力変換器12Aは、V相にAC/DC変換器31v~37vの7台を直列接続し、AC/DC変換器31vをリアクトル2bに接続し、AC/DC変換器37vを中性点10に接続している。同様に電力変換器12Aは、W相にAC/DC変換器31w~37wの7台を直列接続し、AC/DC変換器31wをリアクトル2cに接続し、AC/DC変換器37wを中性点10に接続している。この結果、電力変換器12Aは、計21台のAC/DC変換器を備える。
【0064】
AC/DC変換器31u,31v,31wの直流側出力は並列接続されると共に、切替スイッチ41aを介して直流バス6aに接続され、切替スイッチ41bを介して直流バス6bに接続され、切替スイッチ41cを介して直流バス6cに接続される。
【0065】
AC/DC変換器32u,32v,32wの直流側出力は並列接続されると共に、切替スイッチ42aを介して直流バス6aに接続され、切替スイッチ42bを介して直流バス6bに接続され、切替スイッチ42cを介して直流バス6cに接続される。
【0066】
AC/DC変換器33u,33v,33wの直流側出力は並列接続されると共に、切替スイッチ43aを介して直流バス6aに接続され、切替スイッチ43bを介して直流バス6bに接続され、切替スイッチ43cを介して直流バス6cに接続される。
【0067】
AC/DC変換器34u,34v,34wの直流側出力は並列接続されると共に、切替スイッチ44aを介して直流バス6aに接続され、切替スイッチ44bを介して直流バス6bに接続され、切替スイッチ44cを介して直流バス6cに接続される。
【0068】
AC/DC変換器35u,35v,35wの直流側出力は並列接続されると共に、切替スイッチ45aを介して直流バス6aに接続され、切替スイッチ45bを介して直流バス6bに接続され、切替スイッチ45cを介して直流バス6cに接続される。
【0069】
AC/DC変換器36u,36v,36wの直流側出力は並列接続されると共に、切替スイッチ46aを介して直流バス6aに接続され、切替スイッチ46bを介して直流バス6bに接続され、切替スイッチ46cを介して直流バス6cに接続される。
【0070】
AC/DC変換器37uの直流側出力は、切替スイッチ47aを介して直流バス6aに接続され、切替スイッチ47bを介して直流バス6bに接続され、切替スイッチ47cを介して直流バス6cに接続される。
【0071】
AC/DC変換器37vの直流側出力は、切替スイッチ48aを介して直流バス6aに接続され、切替スイッチ48bを介して直流バス6bに接続され、切替スイッチ48cを介して直流バス6cに接続される。
【0072】
AC/DC変換器37wの直流側出力は、切替スイッチ49aを介して直流バス6aに接続され、切替スイッチ49bを介して直流バス6bに接続され、切替スイッチ49cを介して直流バス6cに接続される。
【0073】
それぞれの直流バス6a、6b、6cにはそれぞれ充電端末7a、7b、7cが接続される。一方、大容量充電端末24は、スイッチ50を介して直流バス6a,6bに接続されている。
【0074】
〈第2実施形態の動作〉
次に第2実施形態の動作を説明する。第2実施形態における7台のAC/DC変換器31u~37u、7台のAC/DC変換器31v~37vと、7台のAC/DC変換器31w~37wとは、三相交流電源1Aからの電力を受け、それぞれ絶縁された直流電力を出力することができる。
【0075】
図5において、AC/DC変換器は、自身に接続された切替スイッチのオン/オフを切り替えることにより、直流バス6a~6cのうち何れかに接続することが可能である。例えば、AC/DC変換器31u,31v,31w,32u,32v,32w,37uの7台を直流バス6aに接続することにより、充電端末7aに接続された電気自動車8aを充電することができる。またこのとき同時にAC/DC変換器33u,33v,33w,34u,34v,34w,37vの7台を直流バス6bに接続することにより、充電端末7bに接続された電気自動車8bを充電することができる。またこのとき、同時にAC/DC変換器35u,35v,35w,36u,36v,36w,37wの7台を直流バス6cに接続することにより、充電端末7cに接続した電気自動車8cを充電することができる。
【0076】
なお、充電端末7a、7bを使って電気自動車8a、8bを充電する際には、バス間接続スイッチ9はオフ状態となっている。
本実施の形態においても前述の実施の形態と同様に、AC/DC変換器31u~37uとAC/DC変換器31v~37vとAC/DC変換器31w~37wの負担する電力を均一化する必要があるが、上記の例では、各電気自動車8a,8b,8cに対して7台ずつのAC/DC変換器を割り当てているため、電気自動車8a,8b,8cの充電電力が等しければ各AC/DC変換器の分担電力は等しくなる。
【0077】
電気自動車8a,8b,8cの充電電力に大きな差異がある場合には、電気自動車8a,8b,8cが要求する充電電力を把握した上で、AC/DC変換器の出力電力がおおむね等しくなるように、電気自動車8a,8b,8cへのAC/DC変換器の割り当て数を決定する。
【0078】
以下、第2の実施形態の構成において大容量電気自動車23を充電するための方法について示す。大容量電気自動車23を充電する場合の切替スイッチ41a~49aと、切替スイッチ41b~49bと、切替スイッチ41c~49cと、スイッチ50と、バス間接続スイッチ9の状態をハッチングの色で表示しており、濃いハッチングがオン状態、薄いハッチングがオフ状態である。すなわち、切替スイッチ41a,42a,43a、47a,48aがオン状態である。このとき、AC/DC変換器31u,31v,31w,32u,32v,32w,33u,33v,33w,37u,37vの11台は、直流バス6aに接続されている。一方、直流バス6b、6cに接続する切替スイッチ41b,41c,42b,42c,43b,43c,47b,47c,48b,48cがオフ状態となっているため、これら11台のAC/DC変換器31u,31v,31w,32u,32v,32w,33u,33v,33w,37u,37vの直流出力側はすべて並列接続となり、直流バス6aに接続される。
【0079】
一方、残りのAC/DC変換器34u,34v,34w,35u,35v,35w,36u,36v,36w,37wの10台については、直流バス6bに接続する切替スイッチ44b,45b,46b、49bがオン状態である。直流バス6a、6cに接続する切替スイッチ44a,44c,45a,45c,46a、46c、49bがオフ状態となっている。そのため、これら10台のAC/DC変換器34u,34v,34w,35u,35v,35w,36u,36v,36w,37wの直流出力側は、すべて並列接続となり、直流バス6bに接続される。
【0080】
さらに、この時にはバス間接続スイッチ9がオン状態になっており、直流バス6aの負電位側と直流バス6bの正電位側が接続される。この結果、大容量充電端末24には、直流バス6aの電圧と直流バス6bの電圧が加算された電圧が印加されることになる。
【0081】
このとき、それぞれのAC/DC変換器の出力電圧および電流は図3に示す通りとなる。すなわち、図3において、n=11、m=10となり、AC/DC変換器31u,31v,31w,32u,32v,32w,33u,33v,33w,37u,37vの出力電圧Vout1は、以下の式(11)から導出される。
【数11】
【0082】
残りのAC/DC変換器34u,34v,34w,35u,35v,35w,36u,36v,36w,37wの出力電圧Vout2は、以下の式(12)から導出される。
【数12】
【0083】
つまり、中央制御回路11は、直流バス6a,6bをバス間接続スイッチ9によって直列接続すると共に、直流バス6aに11台のAC/DC変換器31u,31v,31w,32u,32v,32w,33u,33v,33w,37u,37vを割り当て、直流バス6bに10台のAC/DC変換器34u,34v,34w,35u,35v,35w,36u,36v,36w,37wを割り当てて接続する。そして、中央制御回路11は、直流バス6a,6bの電圧比がn:mとなるように制御する。中央制御回路11は更に、スイッチ50をオンして(閉じて)、バス間接続スイッチ9によって直列接続された直流バス6a,6bを大容量充電端末24に接続する。これにより、直列接続された直流バス6a,6bを大容量電気自動車23に接続することができる。
なお、これら各AC/DC変換器の制御は、図4に示した第1の実施形態の制御ブロックを用いて実現できる。これにより、比較的低い電圧で充電するためのAC/DC変換器と、比較的高い電圧で充電するためのAC/DC変換器を共用できるので、電力変換装置100Aの製造コストを低減するとともに設置スペースを低減することが可能となる。
【0084】
また、本実施形態における各AC/DC変換器は、図2に示した第1の実施形態の回路で構成されているため、IGBT18をオン状態とし、DAB回路の位相を制御することにより、双方向動作が可能である。したがって、電気自動車8a、8b、8cおよび大容量電気自動車23からの放電にも対応することができ、交流電源1側に電気自動車側から放電をおこなって系統で利用すること、換言すればV2Gに好適である。
【0085】
[第3実施形態]
次に、本発明による好適な第3の実施形態による電力変換器について、図6図7を用いて説明する。
【0086】
〈第3実施形態の構成〉
図6は、第3実施形態による電力変換装置100Bの構成図である。なお、以下の説明において、上述した他の実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0087】
図6において、電力変換装置100Bは、直流電源25と、コネクタ27a、27bおよび高電圧コネクタ29に接続されており、電力変換器12Bと、切替回路13Bと、中央制御回路11と、光ケーブル14とを含んで構成される。電力変換装置100Bは、コネクタ27a、27bによって低電圧電池28a,28bに接続されて、これを充電し、高電圧コネクタ29によって高電圧電池30に接続されて、これを充電する。
【0088】
電力変換器12Bは、n台のDC/DC変換器711~71nとm台のDC/DC変換器721~72mによって構成される。これらn台のDC/DC変換器711~71nとm台のDC/DC変換器721~72mは、DC/DCコンバータとして機能する絶縁型セル変換器である。DC/DC変換器711~71nとDC/DC変換器721~72mは、直流電源25の電力を負荷に供給することが可能であり、かつ、負荷側から放電された電力を直流電源25に供給することが可能である。
【0089】
切替回路13Bは、切替スイッチ461~46nと、切替スイッチ481~48nと、切替スイッチ471~47mと、切替スイッチ491~49mと、スイッチ50~52と、直流バス6a,6bと、バス間接続スイッチ9とを含んで構成される。切替回路13Bは、前述した電力変換器12Bの直流電力を所望の電圧に切り替えて外部に供給するものであり、コネクタ27a、27bおよび高電圧コネクタ29に接続されている。
【0090】
これら直流バス6a,6bは、出力側に設けられた2つ以上の直流経路である。切替スイッチ461~46nと、切替スイッチ481~48nとは、n台のDC/DC変換器711~71nを直流バス6a,6bに選択的に接続する直流経路接続手段である。切替スイッチ471~47mと、切替スイッチ491~49mとは、m台のDC/DC変換器721~72mとを直流バス6a,6bに選択的に接続する直流経路接続手段である。
【0091】
バス間接続スイッチ9は、直流バス6a,6bを直列接続する直列接続手段である。スイッチ50は、バス間接続スイッチ9によって直列接続された電路を負荷である高電圧電池30に接続する第1の負荷接続手段である。これら切替スイッチ461~46nと、切替スイッチ481~48nと、切替スイッチ471~47mと、切替スイッチ491~49mと、スイッチ50~52と、バス間接続スイッチ9は、中央制御回路11によって制御される電磁開閉器であるが、作業員がマニュアルで操作するスイッチであってもよい。。スイッチ51,52は、直流バス6a,6bをそれぞれ負荷に接続する第2の負荷接続手段として機能する。バス間接続スイッチ9は、直流バス6a,6bのうち一方の負極と他方の正極とを導通させるスイッチである。
【0092】
図6の電力変換装置100Bの構成について述べる。図6において、直流電源25は電力変換器12Bに接続されている。電力変換器12Bの内部にはn台のDC/DC変換器711~71nとm台のDC/DC変換器721~72mがある。n台のDC/DC変換器711~71nとm台のDC/DC変換器721~72mの直流電源25側の端子は直列に接続されている。一方、n台のDC/DC変換器711~71nとm台のDC/DC変換器721~72mは、直流電源25とは絶縁された直流端子を持ち、それぞれ切替回路13Bに接続されている。
【0093】
具体的には、DC/DC変換器711は、切替スイッチ461と切替スイッチ481に接続されている。DC/DC変換器71nは、切替スイッチ46nと切替スイッチ48nに接続されている。DC/DC変換器721は、切替スイッチ471と切替スイッチ491に接続されている。DC/DC変換器72mは、切替スイッチ47mと切替スイッチ49mに接続されている。
【0094】
切替回路13B内には直流バス6a,6bがある。
直流バス6aは、切替スイッチ461~46nを介してDC/DC変換器711~71nに接続可能である。直流バス6bは、切替スイッチ481~48nを介してDC/DC変換器711~71nに接続可能である。
【0095】
直流バス6aは、切替スイッチ471~47mを介してDC/DC変換器721~72mに接続可能である。直流バス6bは、切替スイッチ491~49mを介してDC/DC変換器721~72mに接続可能である。
【0096】
また、直流バス6aの負極と直流バス6bの正極の間には、バス間接続スイッチ9が接続されている。
直流バス6aは、スイッチ51を介してコネクタ27aと接続されている。同様に直流バス6bは、スイッチ52を介してコネクタ27bと接続されている。一方、直流バス6aの正極と直流バス6bの負極がスイッチ50を介して高電圧コネクタ29に接続されている。低電圧電池28a、28bはコネクタ27a、27bに接続できるように構成されている。一方、高電圧電池30は高電圧コネクタ29に接続できるように構成されている。
【0097】
電力変換器12Bと中央制御回路11の間は、光ケーブル14で接続されている。
【0098】
図7は、第3の実施形態の電力変換器12Bの要部にあたるDC/DC変換器711の回路図である。なお、他のDC/DC変換器も同様に構成されている。
図6において、DC/DC変換器711は、DC端子21c、21dと平滑キャパシタ22a,22b、SiC-MOSFETブリッジ17a,17b、高周波トランス19、IGBT18、DC端子21a,21b、制御回路15a,15bを備えている。DC/DC変換器711は、SiC-MOSFETブリッジ17a,17b、および高周波トランス19で形成される回路部はDAB(Dual Active Bridge)構成となっている。
【0099】
SiC-MOSFETブリッジ17a,17bは、それぞれHブリッジ状に接続された4個のSiC-MOSFET素子と、それらSiC-MOSFET素子に逆並列に接続されたダイオードとを有している。
DC端子21c、21dは、SiC-MOSFETブリッジ17aの正極と負極にそれぞれ接続される。また、SiC-MOSFETブリッジ17aの正極と負極の間には、平滑キャパシタ22aが接続される。SiC-MOSFETブリッジ17aの2つのレグのそれぞれの上下アームの中点には、高周波トランス19の1次側巻線が接続される。高周波トランス19は、内部に漏れインダクタンスを有している。
【0100】
高周波トランス19の2次側巻線は、SiC-MOSFETブリッジ17bの2つのレグのそれぞれの上下アームの中点に接続される。平滑キャパシタ22bは、SiC-MOSFETブリッジ17bの正極と負極が接続される。平滑キャパシタ22bの正極とDC端子21aの間には、IGBT18が接続される。また、平滑キャパシタ22bの負極には、DC端子21bが接続される。SiC-MOSFETブリッジ17aの制御端子は、制御回路15aに接続される。SiC-MOSFETブリッジ17bおよびIGBT18の制御端子は、制御回路15bに接続される。
【0101】
〈第3実施形態の動作〉
次に、本実施形態の動作を説明する。
図6における電力変換器12Bは、n台のDC/DC変換器711~71nとm台のDC/DC変換器721~72mが直列接続された構成になっており、直流電源25に接続されている。n台のDC/DC変換器711~71nとm台のDC/DC変換器721~72mの直流電源25側には、平滑キャパシタ22aが接続されており、n+m個の平滑キャパシタ22aが直列接続される。
【0102】
SiC-MOSFETブリッジ17aは、平滑キャパシタ22aを直流電源としてスイッチング動作する。SiC-MOSFETブリッジ17aとSiC-MOSFETブリッジ17bは同期しながらそれぞれのオンオフ位相をずらすことにより、高周波トランス19に流れる電流を制御する。SiC-MOSFETブリッジ17bの正極と負極の間に接続される平滑キャパシタ22bには、直流電源25と絶縁された直流電圧が発生する。上記したSiC-MOSFETブリッジ17aのスイッチングは、制御回路15aによって制御される。SiC-MOSFETブリッジ17bのスイッチングは、制御回路15bによって制御される。これら制御回路15a,15bの制御信号は、中央制御回路11から光ケーブル14を経由して制御回路15a、15bに伝達される。制御回路15a,15bは、光ケーブル14により同期制御される。
【0103】
このようにして、n台のDC/DC変換器711~71nとm台のDC/DC変換器721~72mは、直流電源25からの電力を受けて、それぞれ絶縁された直流電力を出力することができる。
【0104】
図6において、DC/DC変換器711~71nとDC/DC変換器721~72mは、自身に接続された切替スイッチのオン/オフを切り替えることにより、直流バス6aあるいは直流バス6bのいずれかに接続することが可能である。例えば、図6に示すように、n台のDC/DC変換器711~71nを直流バス6aに接続し、直流バス6aとコネクタ27aの間にあるスイッチ51をオンすることにより、コネクタ27aに接続した低電圧電池28aを充電することができる。同様に、m台のDC/DC変換器721~72mを直流バス6bに接続し、直流バス6bとコネクタ27bの間にあるスイッチ52をオンすることにより、コネクタ27bに接続した低電圧電池28bを充電することができる。また、n台のDC/DC変換器711~71nを直流バス6aに接続し、残りのm台のDC/DC変換器721~72mを直流バス6bに接続することにより、低電圧電池28a,28bを同時に充電することも可能である。
【0105】
なお、コネクタ27a、27bを使って低電圧電池28a、28bを充電する際には、バス間接続スイッチ9はオフ状態となっている。
このとき注意すべきは各DC/DC変換器711~71nとDC/DC変換器721~72mの負担する電力を均一化する必要があるという点である。DC/DC変換器711~71nとDC/DC変換器721~72mは、前述のように直流電源25側が直列接続されている。したがって、DC/DC変換器711~71nとDC/DC変換器721~72mのうち軽負荷のものが備える平滑キャパシタ22aの直流電圧は上昇傾向となり、重負荷のものが備える平滑キャパシタ22aの直流電圧は低下傾向となる。平滑キャパシタ22aの直流電圧の差異が顕著になると、平滑キャパシタ22aやSiC-MOSFETブリッジ17aの耐圧をオーバーする恐れがある。そこで、負荷である低電圧電池28a、28bが要求する充電電力を把握した上で、DC/DC変換器の出力電力がおおむね等しくなるように、低電圧電池28aに割り当てるDC/DC変換器711~71nの台数nと、低電圧電池28aに割り当てるDC/DC変換器721~72mの台数mとを決定する。
【0106】
以下には本発明の骨子である、図6の構成において高電圧電池30を充電するための方法について示す。高電圧電池30は、低電圧電池28a、28bに比べてより高い充電電圧かつ大容量の充電電流を必要とする二次電池である。
【0107】
このとき、各切替スイッチ461~46n、切替スイッチ481~48n、切替スイッチ471~47m、切替スイッチ491~49m、スイッチ50~52、バス間接続スイッチ9の状態をハッチングの色で表示しており、濃いハッチングがオン状態、薄いハッチングがオフ状態である。すなわち、n台のDC/DC変換器711~71nについては直流バス6aに接続される切替スイッチ461~46nがオン状態、直流バス6bに接続される切替スイッチ481~48nがオフ状態となっているため、DC/DC変換器711~71nは、直流出力側がすべて並列接続となり直流バス6aに接続されている。
【0108】
一方、m台のDC/DC変換器721~72mについては、直流バス6aに接続される切替スイッチ471~47mがオフ状態でかつ直流バス6bに接続される切替スイッチ491~49mがオン状態となっているため、DC/DC変換器721~72mは、それらの直流出力側がすべて並列接続となり直流バス6bに接続されている。
【0109】
さらに、バス間接続スイッチ9がオン状態になっているため、直流バス6aの負電位側と直流バス6bの正電位側が接続されている。
【0110】
この結果、高電圧電池30には、直流バス6aの電圧と直流バス6bの電圧が直列された電圧が印加されることになる。
前述のように、入力側の分担電圧を平均化するためには、DC/DC変換器711~71nとDC/DC変換器721~72mの全ての入出力電力を均等化する必要がある。
【0111】
このとき、高電圧電池30に印加する電圧をVDCとし、DC/DC変換器711~71nの出力電圧をVout1、DC/DC変換器721~72mの出力電圧をVout2とすると、式(9)と式(10)からDC/DC変換器の入出力電力を均等化する条件が導かれる。
【0112】
したがって、DC/DC変換器711~71nの出力電圧を[n/(n+m)]×VDCと設定し、DC/DC変換器721~72mの出力電圧を[m/(n+m)]×VDCと設定することにより、DC/DC変換器711~71nとDC/DC変換器721~72mの全ての入出力電力を均等化することが可能になる。
つまり、中央制御回路11は、直流バス6a,6bをバス間接続スイッチ9によって直列接続すると共に、直流バス6aにn台のDC/DC変換器711~71nを割り当て、直流バス6bにm台のDC/DC変換器721~72mを割り当てて接続する。中央制御回路11は、直流バス6a,6bの電圧比がn:mとなるようにn台のDC/DC変換器711~71nとm台のDC/DC変換器721~72mを制御する。中央制御回路11は更に、スイッチ50をオンして(閉じて)、バス間接続スイッチ9によって直列接続された直流バス6a,6bを高電圧コネクタ29に接続する。これにより、直列接続された直流バス6a,6bを高電圧電池30に接続することができる。
【0113】
この結果、高電圧電池30の充電と低電圧電池28a,28bを充電するための電力変換装置100Bの共用化を実現できる。そのため、電力変換装置100Bの製造コストを低減するとともに設置スペースを低減することが可能となる。
【0114】
また、本実施形態におけるDC/DC変換器は、図7に記載の回路で構成されているため、IGBT18をオン状態とし、DAB回路の位相を制御することにより、双方向動作が可能である。したがって、低電圧電池28a、28b、および高電圧電池30からの放電にも対応することができ、直流電源25側に電池側から放電をおこなって利用することが可能である。
【0115】
(変形例)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば上記した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【0116】
上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路などのハードウェアで実現してもよい。上記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈して実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの記録装置、または、フラッシュメモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)などの記録媒体に置くことができる。
【0117】
各実施形態に於いて、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
本発明の変形例として、例えば、次の(a)~(h)のようなものがある。
(a) 第1の実施形態においては、リアクトル2aは交流電源1と電力変換器12の間に設けられている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、それぞれAC/DC変換器の入力部に分割して設けてもよい。
【0118】
(b) AC/DC変換器311~31n,321~32mの回路方式は、図2に示したフルブリッジ構成のAC/DC変換器311およびDAB構成の双方向変換器に限定されるものではなく、位相シフト方式やLLC共振方式など、他の回路方式であっても構わない。
(c) また、回路に用いているパワー半導体デバイスは、IGBTとSiC-MOSFETとしているが、他のパワー半導体デバイスを用いてもよい。
(d) また、IGBT18は双方向動作を行わない場合にはなくてもよい。さらに、切替スイッチ、スイッチ、バス間接続スイッチ9については、コンタクタ、リレーなど電気接点を有する部品の他、パワー半導体を用いてもよい。
【0119】
(e) また、図4に示した制御系は一例であって他の構成の制御アルゴリズムを用いてもよい。
【0120】
(f) また、第1、第3実施形態においては、2つの直流バスにセル変換器をn台とm台に割り当て、2つの直流バスを直列接続して負荷に接続する方法について記載したが、第2実施形態に記載したように、3つ以上の直流バスとしてもよい。例えば3つの直流バスの場合には、セル変換器をn台、m台、k台に割り当て、それらの電圧をそれぞれn:m:kの比に制御することですべてのセル変換器の変換電力を同じにすることができる。
(g) 本発明の電力変換装置と電気自動車の接続方法は、図示のようなケーブルによる方法の他、パンタグラフによる接続や非接触給電方式による接続方法でもよい。更に、充電端末は一体化して内部で切り替えるようにしてもよい。
【0121】
(h) また、本発明の電力変換装置は、本実施形態の電気自動車の充電器や二次電池の充電器のみならず、系統連系機能を持つ蓄電用パワーコンディショナや各種蓄電装置にも適用することができる。これにより、これらの電気機器においては、製造コストを低減するとともに設置スペースを低減できる。
(i) 本発明は、単一の電力変換装置に限定されず、複数の装置が連携して動作する電力変換システムであってもよい。
【符号の説明】
【0122】
1 交流電源 (電源)
1A 三相交流電源 (電源)
2a~2c リアクトル
311~31n AC/DC変換器 (絶縁型セル変換器)
321~32m AC/DC変換器 (絶縁型セル変換器)
31u,31v,31w AC/DC変換器 (絶縁型セル変換器)
32u,32v,32w AC/DC変換器 (絶縁型セル変換器)
33u,33v,33w AC/DC変換器 (絶縁型セル変換器)
34u,34v,34w AC/DC変換器 (絶縁型セル変換器)
35u,35v,35w AC/DC変換器 (絶縁型セル変換器)
36u,36v,36w AC/DC変換器 (絶縁型セル変換器)
37u,37v,37w AC/DC変換器 (絶縁型セル変換器)
411~41n 切替スイッチ (直流経路接続手段)
431~43n 切替スイッチ (直流経路接続手段)
421~42m 切替スイッチ (直流経路接続手段)
441~44m 切替スイッチ (直流経路接続手段)
461~46n 切替スイッチ (直流経路接続手段)
481~48n 切替スイッチ (直流経路接続手段)
471~47m 切替スイッチ (直流経路接続手段)
491~49m 切替スイッチ (直流経路接続手段)
41a~41c 切替スイッチ (直流経路接続手段)
42a~42c 切替スイッチ (直流経路接続手段)
43a~43c 切替スイッチ (直流経路接続手段)
44a~44c 切替スイッチ (直流経路接続手段)
45a~45c 切替スイッチ (直流経路接続手段)
46a~46c 切替スイッチ (直流経路接続手段)
47a~47c 切替スイッチ (直流経路接続手段)
50 スイッチ (第1の負荷接続手段)
51,52 スイッチ (第2の負荷接続手段)
6a~6c 直流バス (直流経路)
7a~7c 充電端末
711~71n DC/DC変換器 (直流経路接続手段)
721~72m DC/DC変換器 (直流経路接続手段)
8a~8c 電気自動車 (負荷)
9 バス間接続スイッチ
10 中性点
11 中央制御回路 (制御部)
12,12A,12B 電力変換器
13,13A,13B 切替回路
14 光ケーブル
15a,15b 制御回路 (制御部)
16 IGBTブリッジ
17a,17b SiC-MOSFETブリッジ
18 IGBT
19 高周波トランス
20a,20b AC端子
21a~21d DC端子
22a,22b 平滑キャパシタ
23 大容量電気自動車 (負荷)
24 大容量充電端末
25 直流電源 (電源)
27a,27b コネクタ
28a,28b 低電圧電池 (負荷)
29 高電圧コネクタ
30 高電圧電池 (負荷)
81a~81c ACR制御ブロック
82a,82b 乗算ブロック
83a,83b AVR制御ブロック
100,100A,100B 電力変換装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7