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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185482
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】浴室洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20221207BHJP
【FI】
A47K3/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093202
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 浩志郎
(72)【発明者】
【氏名】辻 麻紀子
(57)【要約】
【課題】洗浄能力の低下を抑えつつ、洗浄水が浴室内の人にかかってしまうことを抑制できる浴室洗浄装置を提供する。
【解決手段】浴室洗浄装置は、上面が開口された浴槽が設けられた浴室1内に設けられ、洗浄水を浴室1内に噴射可能な浴槽内噴射部102と、浴槽10の開口を閉塞可能な浴槽蓋14による浴槽10の開口の開閉状態を検知する浴槽蓋開閉検知手段110と、浴槽蓋14による浴槽10の開口の開閉状態に応じて浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射を制御する制御装置22と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口された浴槽が設けられた浴室内に設けられ、洗浄水を前記浴室内に噴射可能な噴射部と、
前記浴槽の開口を閉塞可能な浴槽蓋による前記浴槽の開口の開閉状態を検知する浴槽蓋開閉検知手段と、
前記浴槽蓋による前記浴槽の開口の開閉状態に応じて前記噴射部からの洗浄水の噴射を制御する制御手段と、を備えた浴室洗浄装置。
【請求項2】
前記浴槽蓋が前記浴槽の開口を閉塞しない状態で前記噴射部から洗浄水が噴射された場合に報知する報知手段をさらに備えた請求項1に記載の浴室洗浄装置。
【請求項3】
前記噴射部は、前記浴槽内に設けられ、洗浄水を前記浴槽内に噴射可能であり、
前記制御手段は、
前記浴槽蓋が前記浴槽の開口を閉塞しない状態である場合に、前記噴射部からの洗浄水の噴射を停止させ、
前記浴槽蓋が前記浴槽の開口を閉塞した状態である場合に、前記噴射部からの洗浄水の噴射を開始させる請求項1又は請求項2に記載の浴室洗浄装置。
【請求項4】
前記噴射部は、前記浴槽内に設けられ、洗浄水を前記浴槽内に噴射可能であり、
前記制御手段は、
前記浴槽蓋が前記浴槽の開口を閉塞した状態である場合に、前記噴射部から第1水量で洗浄水を噴射させ、
前記浴槽蓋が前記浴槽の開口を閉塞しない状態である場合に、前記噴射部から前記第1水量と異なる第2水量で洗浄水を噴射させる請求項1又は請求項2に記載の浴室洗浄装置。
【請求項5】
前記第2水量は、前記第1水量より少ない請求項4に記載の浴室洗浄装置。
【請求項6】
前記第2水量は、前記第1水量より多い請求項4に記載の浴室洗浄装置。
【請求項7】
前記噴射部は、前記浴槽内に設けられ、洗浄水を前記浴槽内に噴射可能であり、
前記制御手段は、
前記浴槽蓋が前記浴槽の開口を閉塞した状態である場合に、前記噴射部から第1継続時間だけ洗浄水を噴射させ、
前記浴槽蓋が前記浴槽の開口を閉塞しない状態である場合に、前記噴射部から前記第1継続時間より長い第2継続時間だけ洗浄水を噴射させる請求項1又は請求項2に記載の浴室洗浄装置。
【請求項8】
前記浴槽蓋開閉検知手段は、前記浴槽蓋側と前記浴槽側とに対で設けられた磁気方式センサ又は静電方式センサを有する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の浴室洗浄装置。
【請求項9】
前記浴槽蓋が前記浴槽の開口を閉塞した状態で、前記磁気方式センサ又は前記静電方式センサの前記浴槽蓋側及び前記浴槽側の対が、予め設定された相対位置関係となるように配置させる位置決め手段をさらに備えた請求項8に記載の浴室洗浄装置。
【請求項10】
前記浴槽蓋開閉検知手段は、前記浴槽側に設けられた光学式センサを有する請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の浴室洗浄装置。
【請求項11】
前記噴射部は、前記浴槽内に設けられ、洗浄水を前記浴槽内に噴射可能であり、
前記浴槽蓋開閉検知手段は、前記噴射部からの洗浄水の噴射により生じる音、前記噴射部からの洗浄水の噴射により生じる振動、及び、前記噴射部から噴射された洗浄水の少なくともいずれかを検知可能なセンサを有する請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の浴室洗浄装置。
【請求項12】
前記噴射部は、前記浴槽内に設けられ、洗浄水を前記浴槽内に噴射可能であり、
前記浴槽蓋が前記浴槽の開口を閉塞した状態で前記浴槽蓋が前記浴槽の開口を開放することを禁止する浴槽蓋固定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記浴槽蓋開閉検知手段により前記浴槽蓋が前記浴槽の開口を閉塞した状態であることが検知された場合に、前記浴槽蓋固定手段により前記浴槽蓋が前記浴槽の開口を開放することを禁止させた後に、前記噴射部から洗浄水の噴射を開始させる請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の浴室洗浄装置。
【請求項13】
上面の開口が浴槽蓋により閉塞可能な浴槽が設けられた浴室内に設けられ、洗浄水を前記浴室内に噴射可能な噴射部と、
前記浴室内の人の有無を検知する人検知手段と、
前記浴室内の人の有無に応じて前記噴射部からの洗浄水の噴射を制御する制御手段と、を備えた浴室洗浄装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記浴室内に人が不在である場合に前記噴射部から洗浄水を噴射させる請求項13に記載の浴室洗浄装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記浴室内に人が存在する場合に前記噴射部からの洗浄水の噴射を停止させる請求項13又は請求項14に記載の浴室洗浄装置。
【請求項16】
前記制御手段は、
前記浴室内に人が不在である場合に前記噴射部から第1水量で洗浄水を噴射させ、
前記浴室内に人が存在する場合に前記噴射部から前記第1水量より少ない第2水量で洗浄水を噴射させる請求項13に記載の浴室洗浄装置。
【請求項17】
前記噴射部からの洗浄水の噴射を伴う洗浄動作を開始させるための洗浄開始操作を受け付け可能な操作手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記操作手段が前記洗浄開始操作を受け付けた場合に、前記洗浄開始操作を受け付けた操作時点より予め設定された基準時間前から前記操作時点までの間に前記浴室内に人が存在したときに、前記洗浄動作を開始させる請求項13から請求項16のいずれか一項に記載の浴室洗浄装置。
【請求項18】
前記人検知手段は、前記浴室内における人の位置を検知可能であり、
前記噴射部は、洗浄水の噴射方向を変更可能であり、
前記制御手段は、前記浴室内における人の位置に応じて、前記噴射部からの洗浄水の噴射方向を変更する請求項13から請求項17のいずれか一項に記載の浴室洗浄装置。
【請求項19】
前記噴射部は、前記浴室の天井に設けられた天井噴射部を有する請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の浴室洗浄装置。
【請求項20】
前記天井噴射部は、前記浴室の天井における浴槽の直上に配置された請求項19に記載の浴室洗浄装置。
【請求項21】
前記噴射部から噴射される洗浄水に混合する洗剤を貯留する洗剤貯留部と、
洗剤が混合された洗浄水に空気を混合させて、洗浄水の一部を泡沫化させる空気混合部と、をさらに備えた請求項1から請求項20のいずれか一項に記載の浴室洗浄装置。
【請求項22】
浴槽内に向けて送風する送風手段をさらに備えた請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の浴室洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浴室洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、浴槽の底面に設置された洗浄ノズルから洗浄水を噴射して浴槽を洗浄する浴室洗浄装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-170614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるような技術では、洗浄ノズルから噴射された洗浄水が、浴槽外に飛び出して浴室内の人にかかってしまう可能性がある。特に、洗浄ノズルから高圧の洗浄水を噴射する場合、洗浄水が人にかかってしまった場合に当該人に与える影響が大きい。一方、洗浄ノズルから噴射される洗浄水の圧力を低くすると、洗浄能力が低下してしまう。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものである。その目的は、洗浄能力の低下を抑えつつ、洗浄水が浴室内の人にかかってしまうことを抑制できる浴室洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る浴室洗浄装置は、上面が開口された浴槽が設けられた浴室内に設けられ、洗浄水を前記浴室内に噴射可能な噴射部と、前記浴槽の開口を閉塞可能な浴槽蓋による前記浴槽の開口の開閉状態を検知する浴槽蓋開閉検知手段と、前記浴槽蓋による前記浴槽の開口の開閉状態に応じて前記噴射部からの洗浄水の噴射を制御する制御手段と、を備える。
【0007】
または、本開示に係る浴室洗浄装置は、上面の開口が浴槽蓋により閉塞可能な浴槽が設けられた浴室内に設けられ、洗浄水を前記浴室内に噴射可能な噴射部と、前記浴室内の人の有無を検知する人検知手段と、前記浴室内の人の有無に応じて前記噴射部からの洗浄水の噴射を制御する制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る浴室洗浄装置によれば、洗浄能力の低下を抑えつつ、洗浄水が浴室内の人にかかってしまうことを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る浴室洗浄装置が適用された浴室の構成例を示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係る浴室洗浄装置を備える給湯装置の構成を示す図である。
図3】実施の形態1に係る浴室洗浄装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
図4】実施の形態1に係る浴室洗浄装置が備える浴槽蓋開閉検知手段の構成例を説明する図である。
図5】実施の形態1に係る浴室洗浄装置が備える浴槽蓋開閉検知手段の構成例を説明する図である。
図6】実施の形態1に係る浴室洗浄装置が備える浴槽蓋開閉検知手段の構成例を説明する図である。
図7】実施の形態1に係る浴室洗浄装置が備える浴槽蓋開閉検知手段の構成例を説明する図である。
図8】実施の形態1に係る浴室洗浄装置が備える浴槽蓋開閉検知手段の構成例を説明する図である。
図9】実施の形態1に係る浴室洗浄装置が備える浴槽蓋開閉検知手段の構成例を説明する図である。
図10】実施の形態1に係る浴室洗浄装置が備える浴槽蓋開閉検知手段の構成例を説明する図である。
図11】実施の形態1に係る浴室洗浄装置が備える浴槽蓋開閉検知手段の構成例を説明する図である。
図12】実施の形態1に係る浴室洗浄装置が備える浴槽蓋固定手段の構成例を説明する図である。
図13】実施の形態1に係る浴室洗浄装置の制御内容例を説明する図である。
図14】実施の形態1に係る浴室洗浄装置の動作例を示すフロー図である。
図15】実施の形態1に係る浴室洗浄装置の洗浄水噴射の別例を説明する図である。
図16】実施の形態1に係る浴室洗浄装置が適用された浴室の構成の別例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示に係る浴室洗浄装置を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。なお、本開示は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、又は各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0011】
実施の形態1.
図1から図16を参照しながら、本開示の実施の形態1について説明する。図1は浴室洗浄装置が適用された浴室の構成例を示す斜視図である。図2は浴室洗浄装置を備える給湯装置の構成を示す図である。図3は浴室洗浄装置の制御系統の構成を示すブロック図である。図4から図11は浴室洗浄装置が備える浴槽蓋開閉検知手段の構成例を説明する図である。図12は浴室洗浄装置が備える浴槽蓋固定手段の構成例を説明する図である。図13は浴室洗浄装置の制御内容例を説明する図である。図14は浴室洗浄装置の動作例を示すフロー図である。図15は浴室洗浄装置の洗浄水噴射の別例を説明する図である。図16は浴室洗浄装置が適用された浴室の構成の別例を示す斜視図である。
以下の説明において、「水」、「湯」又は「湯水」との記載は、原則として、液体の水を意味し、低温の水から高温の湯までが含まれ得るものとする。
【0012】
この実施の形態に係る浴室洗浄装置が適用された浴室1内には、図1に示すように、浴槽10が設置されている。浴槽10は、上面が開口された有底の箱状を呈する。浴槽10内には、吐出口12及び排水口13が設けられている。吐出口12からは、後述する給湯機30により供給された湯水が浴槽10内に吐出される。以下の説明では、浴槽10内に溜められた湯水を「浴水」と呼ぶことがある。排水口13は、浴槽10内の浴水を浴槽10外に排出するためのものである。浴室1には、ドア2及び換気扇3が設けられている。ドア2は、浴室1の出入口を開閉する。換気扇3は、浴室1内を換気する。
【0013】
この実施の形態に係る浴室洗浄装置は、浴槽蓋14、浴室内リモコン20、洗剤貯留部101、浴槽内噴射部102及び浴槽蓋開閉検知手段110を備えている。浴槽蓋14は、浴槽10上の適切な位置に載置されることで、浴槽10の開口を閉塞可能である。浴室内リモコン20は、浴室1内に設置されている。浴室内リモコン20からは後述する給湯機30の操作が可能である。
【0014】
洗剤貯留部101は、液状の洗剤を貯留する。本開示における洗剤は、浴槽10を洗浄する洗浄作用を有する物質である。本開示における洗剤は、界面活性剤を含む。また、本開示における洗剤は、例えば、泡調整剤、金属封鎖剤、除菌成分、再付着防止剤、漂白活性剤、安定化剤、pH調整剤のうちの1種または2種以上の成分を含んでいてもよい。本開示における洗剤は、中性洗剤、酸性洗剤、アルカリ性洗剤、塩素系洗剤のうちのいずれでもよい。
【0015】
浴槽内噴射部102は、浴室1内に設けられている。浴槽内噴射部102は、洗浄水を噴射可能である。図1に示す構成例では、浴槽内噴射部102は、浴槽10内における浴槽10の底面部の中央に設けられている。同構成例では、浴槽内噴射部102は、洗浄水を浴槽10内に噴射可能である。また、浴槽内噴射部102は、洗浄水とは別にすすぎ水を噴射可能である。
【0016】
浴槽内噴射部102から噴射される洗浄水は、例えば、後述する給湯機30から供給された水道水に洗剤貯留部101から供給された洗剤を混合したものである。この場合、浴室洗浄装置は、洗剤貯留部101から供給された洗剤と水道水とを混合する混合部を備えている。ただし、洗剤を混合しない水道水をそのまま洗浄水として用いてもよい。また、水道水でなく、浴槽10内の浴水を図示しない取水部から取り込んで洗浄水として利用してもよい。
【0017】
浴槽蓋開閉検知手段110は、浴槽蓋14による浴槽10の開口の開閉状態を検知する。図示の例では、浴槽蓋開閉検知手段110は、浴槽蓋14側と浴槽10側とに対で設けられた磁気方式センサ又は静電方式センサを備えている。浴槽蓋14が浴槽10上の適切な位置に載置されて浴槽10の開口を閉塞すると、浴槽蓋開閉検知手段110の浴槽蓋14側と浴槽10側とが対向し、浴槽蓋開閉検知手段110は浴槽蓋14が浴槽10の開口を閉塞した状態であることを検知する。例えば、浴槽蓋開閉検知手段110が磁気方式のセンサを備える場合、浴槽蓋14側に磁石を設置し、浴槽10側にリードスイッチを設置する。浴槽蓋14が浴槽10上の適切な位置に載置されて浴槽10の開口を閉塞すると、磁石がリードスイッチの反応領域内に置かれ、リードスイッチから検出信号が出力される。以降の説明においては、浴槽蓋14が浴槽10上の適切な位置に載置されて浴槽10の開口が閉塞された状態を、「浴槽蓋14が閉じている」ともいう。また、浴槽蓋14により浴槽10の開口が閉塞されておらず浴槽10の開口が開放された状態を、「浴槽蓋14が開いている」ともいう。
【0018】
浴室洗浄装置は、位置決め手段をさらに備えてもよい。位置決め手段は、浴槽蓋14が浴槽10の開口を閉塞した状態で、磁気方式センサ又は静電方式センサの浴槽蓋14側及び浴槽10側の対が、予め設定された相対位置関係となるように配置させる手段である。図1に示す構成例では、浴槽蓋14の下面に凸部が設けられ、浴槽10の壁部上面に凹部が設けられている。そして、浴槽蓋14が浴槽10の開口を閉塞した状態で、浴槽蓋14の凸部と浴槽10の凹部とが係合するようになっている。浴槽蓋14の凸部と浴槽10の凹部とが係合した状態では、磁気方式センサの磁石がリードスイッチの反応領域内に入るように調整されている。なお、図示の例では、浴槽蓋14の凸部内に磁石が設けられ、浴槽10の凹部の位置にリードスイッチが設けられている。このようにすることで、浴槽蓋14が浴槽10の開口を閉塞したことを、より確実に浴槽蓋開閉検知手段110で検知できる。
【0019】
図示の例では、浴室内リモコン20に人検知手段21が設けられている。人検知手段21は、浴室1内の人の有無を検知する。人検知手段21は、例えば赤外線センサを備えている。なお、人検知手段21の設置箇所は、浴室内リモコン20に限られない。浴室1内の人の有無を検知可能な箇所であれば、人検知手段21を浴室1内の任意の箇所に配置してよい。また、人検知手段21を浴室1内の複数箇所に設置してもよい。
【0020】
この実施の形態に係る浴室洗浄装置は、給湯装置の一部として設けられている。すなわち、この実施の形態に係る給湯装置は、次に述べる給湯機30と、浴室洗浄装置とを備えている。給湯機30は、浴槽10へ給湯する機能を有する。この実施の形態では、浴室洗浄装置動作と給湯機30の動作とを連携させることのできる給湯装置を例に説明するが、この例に限定されるものではなく、浴室洗浄装置は、給湯機30とは独立して設けられたものでもよい。
【0021】
ここで説明する構成例では、給湯機30は、図2に示すように貯湯タンク31を有する貯湯式給湯機である。なお、給湯機30は、燃料の燃焼によって湯を生成する瞬間式給湯機でもよい。図2に示す構成例では、給湯装置は、貯湯タンク31、給湯配管32、追焚き回路36、追焚き用循環ポンプ41、追焚き用熱交換器37及び浴槽アダプタ40を備えている。
【0022】
貯湯タンク31は、例えばヒートポンプ、電気式加熱装置等の加熱源(図示せず)により加熱された温水を貯留するものである。貯湯タンク31に溜められた温水は、給湯配管32を介しポンプ等を用いて浴槽10に供給される。
【0023】
追焚き回路36は、浴槽に貯留された湯水(浴水)を、浴槽10と追焚き用熱交換器37との間で循環させるものである。追焚き回路36は、往き配管38及び戻り配管39を備えている。往き配管38は、浴槽アダプタ40の吸込口と、追焚き用熱交換器37の2次側流入口とを接続している。戻り配管39は、追焚き用熱交換器37の2次側流出口と、浴槽アダプタ40の吐出口12とを接続している。追焚き用循環ポンプ41は、浴槽10と追焚き用熱交換器37との間で浴水を循環させるためのポンプである。追焚き用循環ポンプ41は、例えば戻り配管39に設けられている。
【0024】
浴槽アダプタ40は、追焚き回路36の往き配管38及び戻り配管39をそれぞれ浴槽10に接続するものである。浴槽アダプタ40は、例えば浴槽10の側面に取り付けられている。浴槽アダプタ40は、浴槽10の湯水を往き配管に吸込む吸込口(図示せず)と、戻り配管39を流れる湯水を浴槽10内に吐出する吐出口12とを備えている。吐出口12は、例えば円筒状に形成されている。吐出口12は、浴槽10の側面から、吐出口12を基準として水平方向の左側又は右側側方に向けて湯水を吐出する。
【0025】
図3は、この実施の形態に係る浴室洗浄装置の機能的な構成を示すブロック図である。浴室洗浄装置は、制御装置22を備えている。浴室洗浄装置の制御装置22には、例えば、図示しないプロセッサ及びメモリが備えられている。制御装置22は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することによって予め設定された処理を実行し、浴室洗浄装置を制御する。
【0026】
プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。メモリには、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM及びEEPROM等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、または磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク及びDVD等が該当する。
【0027】
なお、制御装置22の処理回路は、例えば、専用のハードウェアとして形成されてもよい。制御装置22の処理回路の一部が専用のハードウェアとして形成され、かつ、当該処理回路にプロセッサ及びメモリが備えられていてもよい。一部が専用のハードウェアとして形成される処理回路には、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらを組み合わせたものが該当する。
【0028】
この実施の形態に係る浴室洗浄装置は、前述した浴室内リモコン20の他に、浴室外リモコン50を備えている。浴室内リモコン20及び浴室外リモコン50は、制御装置と通信可能に接続されている。浴室外リモコン50は、例えば浴室洗浄装置が設置された家屋のキッチン等に設置されている。制御装置22と通信可能なスマートフォン等の携帯情報端末により、浴室外リモコン50を構成してもよい。この場合、浴室外リモコン50は、浴室洗浄装置が設置された家屋の宅内のみならず、宅外にも存在し得る。
【0029】
浴室内リモコン20及び浴室外リモコン50は、使用者が給湯機30及び浴室洗浄装置を含む給湯装置について各種の操作を行うためのものであるとともに、使用者に対し給湯装置に係る各種の情報を表示するためのものである。特に、浴室内リモコン20及び浴室外リモコン50は、洗浄開始操作を受け付け可能である。洗浄開始操作は、浴室洗浄装置に洗浄動作を開始させるための操作である。洗浄動作は、浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射を伴っている。浴室内リモコン20及び浴室外リモコン50は、浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射を伴う洗浄動作を開始させるための洗浄開始操作を受け付け可能な操作手段の一例である。
【0030】
制御装置22の入力側には、人検知手段21及び浴槽蓋開閉検知手段110を含むセンサ系統が接続されている。制御装置22の出力側には、浴槽内噴射部102及び排水口13が接続されている。制御装置22は、センサ系統、及び、浴室内リモコン20並びに浴室外リモコン50からの入力に基づいて浴槽内噴射部102の動作を制御する。この実施の形態における制御装置22は、浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射を制御する制御手段の一例である。また、排水口13には図示しない排水弁が設けられている。制御装置22は、排水弁の開閉を制御して、浴槽10内の浴水の排水口13からの排水を制御する。
【0031】
例えば、浴槽内噴射部102は、洗浄水の供給経路上に設けられた、図示しない洗浄水噴射弁及び洗浄水噴射ポンプの一方又は両方を備えている。制御装置22は、洗浄水噴射弁の開閉及び洗浄水噴射ポンプの動作の一方又は両方を制御することで、浴槽内噴射部102からの洗浄水噴射動作を制御する。また、浴槽内噴射部102は、洗浄水の噴射方向を変更可能としてもよい。この場合、制御装置22は、浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射方向も制御する。
【0032】
浴室内リモコン20及び浴室外リモコン50は、図示しないスピーカー、ディスプレイ、LED(発光ダイオード)等の表示灯を備えており、各種の報知動作が可能である。制御装置22は、浴室内リモコン20及び浴室外リモコン50の報知動作についても制御する。
【0033】
前述したように、浴室内リモコン20及び浴室外リモコン50は、洗浄開始操作を受け付け可能である。浴室内リモコン20又は浴室外リモコン50において洗浄開始操作がなされると、制御装置22は、浴室洗浄装置の洗浄動作を開始させる。洗浄動作においては、制御装置22は、まず、浴槽内噴射部102から洗浄水を噴射させる。一定時間が経過したら制御装置22は、浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射を停止させ、今度は浴槽内噴射部102からすすぎ水を噴射させる。そして、一定時間が経過したら制御装置22は、浴槽内噴射部102からのすすぎ水の噴射を停止させ、浴室洗浄装置の洗浄動作を終了させる。
【0034】
この実施の形態に係る浴室洗浄装置においては、制御装置22は、浴槽蓋開閉検知手段110の検知結果及び人検知手段21の検知結果の一方又は両方に基づいて、浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射を制御する。すなわち、浴槽蓋開閉検知手段110の検知結果に基づいて浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射を制御する場合、制御装置22は、浴槽蓋14による浴槽10の開口の開閉状態に応じて浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射を制御する。また、人検知手段21の検知結果に基づいて浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射を制御する場合、制御装置22は、浴室1内の人の有無に応じて浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射を制御する。そして、浴槽蓋開閉検知手段110の検知結果及び人検知手段21の検知結果の両方に基づいて浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射を制御する場合、制御装置22は、浴槽蓋14による浴槽10の開口の開閉状態及び浴室1内の人の有無に応じて浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射を制御する。
【0035】
以上のように構成された浴室洗浄装置によれば、浴槽蓋14の開閉状態及び浴室1内の人の有無の一方又は両方に応じて、浴槽10を含む浴室1内への洗浄水の噴射を制御できる。このため、浴槽蓋14が閉じられていれば、あるいは、浴室1内に人がいなければ、洗浄水を最大限に噴射して洗浄能力を向上し、浴槽蓋14が開いていれば、あるいは、浴室1内に人がいれば、洗浄水が浴室1内の人にかからないようにすることが可能である。したがって、洗浄能力の低下を抑えつつ、洗浄水が浴室1内の人にかかってしまうことを抑制できる。
【0036】
まず、浴槽蓋14による浴槽10の開口の開閉状態に応じて浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射を制御する場合について説明する。この場合、制御装置22は、浴槽蓋14が浴槽10の開口を閉塞しない状態である場合に、浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射を停止させる。そして、制御装置22は、浴槽蓋14が浴槽10の開口を閉塞した状態である場合に、浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射を開始させる。このようにすることで、浴槽内噴射部102から噴射された洗浄水が浴槽10外へ漏出することを抑制できる。また、洗浄動作終了後の洗剤残り、洗いムラの発生を抑制することが可能である。
【0037】
また、別例として、制御装置22は、浴槽蓋14が浴槽10の開口を閉塞した状態である場合に、浴槽内噴射部102から第1水量で洗浄水を噴射させる。そして、制御装置22は、浴槽蓋14が浴槽10の開口を閉塞しない状態である場合に、浴槽内噴射部102から第2水量で洗浄水を噴射させる。第1水量及び第2水量は、例えば予め設定されている。第2水量は、第1水量と異なる水量である。
【0038】
この場合、1つの例として、第2水量を第1水量より少なくしてもよい。このようにすることで、浴槽蓋14が開いたままでも浴槽内噴射部102から噴射された洗浄水が浴槽10外へ漏出することを抑制し、又は、漏出する量を低減しつつ、浴槽内噴射部102から噴射された洗浄水による浴槽10内の洗浄を継続できる。また、他の例として、第2水量を第1水量より多くしてもよい。浴槽内噴射部102から噴射された洗浄水が浴槽10外へ漏出すると、浴槽10内の洗浄に使われる洗浄水の量が減り、洗浄性能が低下してしまう。そこで、第2水量を第1水量より多くすることで、浴槽蓋14が開いたままでも浴槽10内の洗浄に使われる洗浄水の量を維持し、洗浄性能の低下を抑制できる。
【0039】
また、別例として、制御装置22は、浴槽蓋14が浴槽10の開口を閉塞した状態である場合に、浴槽内噴射部102から第1継続時間だけ洗浄水を噴射させる。そして、制御装置22は、浴槽蓋14が浴槽10の開口を閉塞しない状態である場合に、浴槽内噴射部102から第2継続時間だけ洗浄水を噴射させる。第1継続時間及び第2継続時間は、例えば予め設定されている。第2継続時間は、第1継続時間よりも長い。
【0040】
前述したように、浴槽蓋14が開いており浴槽内噴射部102から噴射された洗浄水が浴槽10外へ漏出すると、浴槽10内の洗浄に使われる洗浄水の量が減り、洗浄性能が低下してしまう。そこで、第2継続時間を第1継続時間より長くすることで、浴槽蓋14が開いたままでも浴槽10内の洗浄に使われる洗浄水の量を維持し、洗浄性能の低下を抑制できる。
【0041】
制御装置22は、浴槽蓋14が浴槽10の開口を閉塞しない状態で洗浄動作が開始され、浴槽内噴射部102から洗浄水が噴射された場合に、浴室内リモコン20及び浴室外リモコン50の一方又は両方による報知動作を行わせてもよい。この場合、浴室内リモコン20及び浴室外リモコン50が備えるスピーカーでブザー音又は音声メッセージを鳴らしたり、これらが備えるディスプレイにメッセージを表示させたり、これらが備える表示灯を点灯又は点滅させたりすることで、報知を行うことができる。この場合の浴室内リモコン20及び浴室外リモコン50は、浴槽蓋14が浴槽10の開口を閉塞しない状態で浴槽内噴射部102から洗浄水が噴射された場合に報知する報知手段の一例である。
【0042】
このようにすることで、浴槽蓋14が開いた状態で洗浄動作が開始された場合に、使用者に浴槽蓋14が開いていることを報知することで浴槽蓋14を閉じるよう促すことができる。したがって、浴槽蓋14が開いたまま浴槽内噴射部102から洗浄水が噴射されて浴槽10外へ漏出することを抑制できる。また、浴槽内噴射部102から噴射された洗浄水が浴室1内の人にかかることを抑制できる。
【0043】
浴槽蓋開閉検知手段110は、これまでに説明した磁石方式又は静電方式のセンサ以外の手段により浴槽蓋14の開閉状態を検知してもよい。次に、図4から図11を参照しながら、浴槽蓋開閉検知手段110の別例について説明する。
【0044】
まず、図4及び図5に示す例では、浴槽蓋開閉検知手段110は、浴槽10側に設けられた光学式センサを備えている。図示の例では、光学式センサは、浴槽10内の内壁部に配置されている。光学式センサは、例えば、照度センサ、赤外線センサ等であり、受光量(検知レベル)に応じた信号を出力する。光学式センサが照度センサの場合、浴槽蓋14の開閉状態が変化すると、浴室1内に設置された照明から受ける照度が変化し、図5に示す例のように検知レベルが変化する。そこで、浴槽蓋開閉検知手段110は、このような検知レベルの違いから、浴槽蓋14の開閉状態を検知できる。
【0045】
図示の例では、検知レベルが大きい場合は浴槽蓋14が開放された状態であり、検知レベルが中の場合は浴槽蓋14が半開の状態であり、検知レベルが小さい場合は浴槽蓋14が閉じた状態であると検知できる。また、光学式センサが赤外線センサの場合、赤外線を浴槽10内から浴槽10の開口に向けて照射し、反射された赤外線の強度を検知することで、照度センサと同様に浴槽蓋14の開閉状態を検知できる。浴槽蓋開閉検知手段110に光学式センサを用いることで、浴槽蓋14側に特別な構成が不要となるため、汎用の浴槽蓋14を使用できる。
【0046】
図6から図11に示す例は、浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射により生じる音、浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射により生じる振動、及び、浴槽内噴射部102から噴射された洗浄水の少なくともいずれかを検知することで、浴槽蓋14の開閉状態を検知するものである。まず、図6及び図7は、浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射により生じる振動を検知することで浴槽蓋14の開閉状態を検知する場合の例である。この場合、浴槽蓋開閉検知手段110は振動センサを備えている。振動センサは、例えば浴槽10の外壁部に配置されている。
【0047】
振動センサは、浴槽10の壁部の振動の大きさ(検知レベル)に応じた信号を出力する。浴槽内噴射部102から噴射された洗浄水は浴槽10の内壁及び浴槽蓋14に衝突し、この衝突により浴槽10の壁部が振動する。この際、浴槽蓋14が閉じていれば、より多くの洗浄水が浴槽蓋14に衝突し振動が大きくなる。一方、浴槽蓋14が開いていれば、浴槽蓋14等に衝突する洗浄水の量が少なくなり振動が小さくなる。そこで、浴槽蓋開閉検知手段110は、このような検知レベルの違いから、浴槽蓋14の開閉状態を検知できる。
【0048】
図示の例では、検知レベルが小さい場合は浴槽蓋14が開放された状態であり、検知レベルが中の場合は浴槽蓋14が半開の状態であり、検知レベルが大きい場合は浴槽蓋14が閉じた状態であると検知できる。また、浴槽蓋開閉検知手段110は振動センサに代えて音圧マイクを備え、浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射により生じる音を検知することでも、同様にして浴槽蓋14の開閉状態を検知できる。
【0049】
図8から図11は、浴槽内噴射部102から噴射された洗浄水を検知することで、浴槽蓋14の開閉状態を検知する場合の例である。図8及び図9では、浴槽蓋開閉検知手段110は、流量センサ111及び排水センサ112を備えている。流量センサ111は、例えば浴槽内噴射部102への洗浄水の供給経路に設けられ、浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射量を検出する。排水センサ112は、例えば浴槽10の排水口13からの排水経路に設けられ、排水口13から排出された洗浄水の排水量を検出する。これらの流量センサ111及び排水センサ112は、浴槽内噴射部102から噴射された洗浄水を検知するセンサの例である。
【0050】
浴槽蓋14が閉じていれば、浴槽内噴射部102から噴射された洗浄水のほぼ全てが排水口13から排水される。浴槽蓋14が開いていれば、浴槽内噴射部102から噴射された洗浄水の多くが浴槽10外に漏出し、ごく一部が排水口13から排水される。そこで、浴槽蓋開閉検知手段110は、流量センサ111により検出された噴射量と排水センサ112により検出された排水量との比から、浴槽蓋14の開閉状態を検知できる。図示の例では、噴射量に対して排水量が小さい場合は浴槽蓋14が開放された状態であり、噴射量に対して排水量が中程度の場合は浴槽蓋14が半開の状態であり、噴射量と排水量とがほぼ同等である場合は浴槽蓋14が閉じた状態であると検知できる。
【0051】
図10及び図11では、浴槽蓋開閉検知手段110は、流量センサ111及び圧力センサ113を備えている。圧力センサ113は、例えば浴槽内噴射部102への洗浄水の供給経路に設けられ、浴槽内噴射部102から噴射される洗浄水の水圧を検出する。圧力センサ113は、浴槽内噴射部102から噴射された洗浄水を検知するセンサの例である。
【0052】
浴槽蓋14が閉じていれば、浴槽内噴射部102から噴射された洗浄水が浴槽蓋14に衝突し、噴射量を一定に維持する際に必要な洗浄水の水圧が高くなる。逆に、浴槽蓋14が開いていれば、噴射量を一定に維持する際に必要な洗浄水の水圧が低くなる。そこで、浴槽蓋開閉検知手段110は、噴射量を一定に維持した際に圧力センサ113により検出された洗浄水の水圧(検知レベル)から、浴槽蓋14の開閉状態を検知できる。図示の例では、検知レベルが小さい場合は浴槽蓋14が開放された状態であり、検知レベルが中程度の場合は浴槽蓋14が半開の状態であり、検知レベルが大きい場合は浴槽蓋14が閉じた状態であると検知できる。
【0053】
図11に示すように、この構成例では、浴槽10内に浴水が残っているか否かにより、圧力センサ113の検出結果が異なる。このため、圧力センサ113の検出結果から浴槽10内に浴水が残っているか否かを判定することもできる。また、浴槽10内に浴水が残っていると、浴槽蓋14の開閉状態が圧力センサ113の検出結果に反映されにくくなる。そこで、この場合には、これまでに説明した光学式センサ等の他の方法と併用するとよい。
【0054】
なお、浴槽内噴射部102から噴射された洗浄水を検知するセンサとして、他に例えば、浴槽10の外部に設けられた水検知センサ、湿度センサ等を用いてもよい。この場合、浴槽蓋14が閉じていれば、浴槽内噴射部102から噴射された洗浄水が浴槽10の外部に漏出しないため、水検知センサは水を検出せず、湿度センサが検出する湿度は低い。一方、浴槽10の外部に漏出した洗浄水の一部が水検知センサに到達して水検知センサが水を検出する。また、浴槽10の外部に漏出した洗浄水により浴室1内の湿度が上昇し、湿度センサが検出する湿度が高くなる。そこで、浴槽蓋開閉検知手段110は、水検知センサ又は湿度センサの検出結果(検知レベル)から、浴槽蓋14の開閉状態を検知できる。
【0055】
この実施の形態に係る浴室洗浄装置は、図12に示すように、浴槽蓋固定手段120を備えてもよい。浴槽蓋固定手段120は、浴槽蓋14が浴槽10の開口を閉塞した状態で浴槽蓋14が浴槽10の開口を開放することを禁止するものである。図示の構成例では、浴槽10の壁部上面に鉤状の浴槽蓋固定手段120が設けられている。浴槽蓋固定手段120は、図中に実線で示す固定位置と破線で示す解放位置とに移動可能である。浴槽蓋固定手段120が解放位置にあるとき、使用者は浴槽蓋14を自由に移動させて浴槽10の開口を開閉できる。浴槽蓋14が浴槽10の開口を閉塞できる適切な位置にある状態で浴槽蓋固定手段120が固定位置にあると、浴槽蓋固定手段120の先端が浴槽蓋14に形成された凹部に係合して浴槽蓋14の移動が禁止される。この状態では、浴槽蓋14が浴槽10の開口を閉塞する位置で固定され、浴槽蓋14が浴槽10の開口を開放することが禁止される。
【0056】
制御装置22は、浴槽蓋固定手段120の固定位置と解放位置との間での移動を制御可能である。そして、制御装置22は、浴槽蓋開閉検知手段110により浴槽蓋14が浴槽10の開口を閉塞した状態であることが検知された場合に、浴槽蓋固定手段120を解放位置から固定位置に移動させて、浴槽蓋固定手段120により浴槽蓋14が浴槽10の開口を開放することを禁止させる。そして、その後に、制御装置22は、浴槽内噴射部102から洗浄水の噴射を開始させる。このようにすることで、浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射中において、浴槽蓋14が開けられて洗浄水が浴槽10外に漏出することを抑制できる。
【0057】
次に、浴室1内の人の有無に応じて浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射を制御する場合について説明する。この場合、制御装置22は、浴室1内に人が不在である場合に浴槽内噴射部102から洗浄水を噴射させる。また、制御装置22は、浴室1内に人が存在する場合に浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射を停止させる。このようにすることで、浴槽内噴射部102から噴射された洗浄水が浴室1内の人にかかることを抑制できる。
【0058】
また、別例として、制御装置22は、浴室1内に人が不在である場合に、浴槽内噴射部102から第1水量で洗浄水を噴射させる。そして、制御装置22は、浴室1内に人が存在する場合に、浴槽内噴射部102から第2水量で洗浄水を噴射させる。第1水量及び第2水量は、例えば予め設定されている。第2水量は、第1水量より少ない水量である。浴槽内噴射部102から噴射された洗浄水が浴室1内の人にかかることを抑制しつつ、又は、浴室1内の人にかかる洗浄水の量を低減しつつ、浴槽内噴射部102から噴射された洗浄水による浴槽10内の洗浄を継続できる。
【0059】
前述した操作手段である浴室内リモコン20又は浴室外リモコン50において洗浄開始操作が行われた場合、洗浄開始操作がなされた時点よりも前の一定時間内に浴室1内に人がいた場合、浴室1内において浴槽蓋14を閉じる等の洗浄準備作業がなされた後に洗浄開始操作が行われたと考えることができる。そこで、制御装置22は、前述した操作手段が洗浄開始操作を受け付けた場合に、人検知手段21の検知結果を過去に遡って参照し、洗浄開始操作を受け付けた操作時点より予め設定された基準時間前から当該操作時点までの間に浴室1内に人が存在したか否かを判定する。この場合、制御装置22は、人検知手段21の過去の検知結果を記憶する記憶部を備えている。そして、操作時点より基準時間前から当該操作時点までの間に浴室1内に人が存在した場合、制御装置22は、浴室洗浄装置の洗浄動作を開始させ、浴槽内噴射部102から洗浄水を噴射させる。
【0060】
また、操作時点より基準時間前から当該操作時点までの間、浴室1内に人が不在であった場合、浴室1内において洗浄準備作業がなされておらず、浴槽蓋14が開いたままである可能性がある。そこで、制御装置22は、浴室内リモコン20及び浴室外リモコン50等の報知手段による報知動作を行わせ、使用者に浴槽蓋14が閉じられているかどうか確認するよう促してもよい。
【0061】
前述したように、浴槽内噴射部102が洗浄水の噴射方向を変更可能である場合、人検知手段21により、浴室1内における人の位置を検知可能としてもよい。そして、制御装置22は、浴室1内における人の位置に応じて、浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射方向を変更してもよい。この場合、制御装置22は、浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射方向が、浴室1内の人に向かわない方向となるように変更するとよい。このようにすることで、浴槽内噴射部102から噴射された洗浄水が浴室1内の人にかかることを抑制しつつ、浴槽10内の洗浄を継続できる。
【0062】
次に、浴槽蓋14による浴槽10の開口の開閉状態及び浴室1内の人の有無に応じて浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射を制御する場合について説明する。この場合、これまでに説明した浴槽蓋14の開閉状態に応じた制御と浴室1内の人の有無に応じた制御とを単に組み合わせてもよいし、浴槽蓋14の開/閉と、浴室1内の人の在/不在との組み合わせ毎に制御内容を変更してもよい。
【0063】
浴槽蓋14の開/閉と、浴室1内の人の在/不在との組み合わせ毎による制御内容の一例について、図13を参照しながら説明する。浴槽蓋14が閉じられている場合は、浴室1内に人がいても、当該人に洗浄水がかかる心配がない。そこで、同図に示すように、浴槽蓋14が閉じられている場合は、浴室1内に人が存在するときも、浴室1内に人が不在のときのいずれであっても、制御装置22は通常通りの洗浄動作を浴室洗浄装置に行わせて、浴槽内噴射部102から洗浄水を噴射させる。
【0064】
一方、浴槽蓋14が開いている場合、まず、浴室1内に人がいるときは、制御装置22は洗浄動作を停止させて、浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射を停止させる。浴槽蓋14が開いていて、浴室1内に人がいない場合は、同図に示す例のように、洗浄開始操作が、宅内の浴室内リモコン20又は浴室外リモコン50からなされたのか、あるいは、宅外の浴室外リモコン50(使用者が所持するスマートフォン等)からなされたのかにより、制御内容を変更してもよい。
【0065】
図示の例では、浴槽蓋14が開いていて、浴室1内に人がいない場合であって、洗浄開始操作が宅内でなされたとき、当該洗浄開始操作の操作者は容易に浴室1内の状況を確認して、浴槽蓋14を閉じることができる。そこで、この場合には、制御装置22は洗浄動作を停止させる。あるいは、浴槽蓋14が開いていることを報知させ、洗浄動作を継続させる。そして、浴槽蓋14が開いていて、浴室1内に人がいない場合であって、洗浄開始操作が宅外でなされたときは、当該洗浄開始操作の操作者は容易に浴室1内の状況を確認できず、浴槽蓋14を閉じることもできない。そこで、この場合には、制御装置22は、通常の洗浄動作を行わせる。あるいは、浴槽蓋14が開いていることを報知させ、洗浄動作を継続させる。
【0066】
次に、以上のように構成された浴室洗浄装置の動作例について、図14のフロー図を参照しながら説明する。ステップS10において、浴室洗浄装置の洗浄動作が開始されると、まず、ステップS11において、制御装置22は、排水口13の排水弁を開いて、浴槽10内の浴水を排水させる。続くステップS12において、制御装置22は、浴槽蓋開閉検知手段110による検知結果を参照し、浴槽蓋14が開放されているか閉塞されているかを判定する。浴槽蓋14が開放されている場合、制御装置22は次にステップS13の処理を行う。ステップS13においては、制御装置22は、浴槽蓋14が開放されている旨を浴室内リモコン20及び浴室外リモコン50等の報知手段により報知させる。ステップS13の処理が完了すると、一連の動作は終了となる。
【0067】
一方、ステップS12で浴槽蓋14が閉塞されている場合、制御装置22は次にステップS14の処理を行う。ステップS14においては、制御装置22は、人検知手段21による検知結果を参照し、浴室1内を人の有無を判定する。浴室1内に人が存在する場合、制御装置22は次にステップS15の処理を行う。ステップS15においては、制御装置22は、浴室1内に人が存在する旨を浴室内リモコン20及び浴室外リモコン50等の報知手段により報知させる。ステップS15の処理が完了すると、一連の動作は終了となる。
【0068】
一方、ステップS14で浴室1内に人が不在である場合、制御装置22は次にステップS16の処理を行う。ステップS16においては、制御装置22は、浴槽内噴射部102から洗浄水を噴射させる。ステップS16で洗浄水の噴射を開始してから一定時間が経過したら、制御装置22はステップS17の処理を行い、浴槽内噴射部102からの洗浄水の噴射を停止させる。続くステップS18において、制御装置22は、浴槽内噴射部102からすすぎ水を噴射させる。ステップS18ですすぎ水の噴射を開始してから一定時間が経過したら、制御装置22はステップS19の処理を行い、浴槽内噴射部102からのすすぎ水の噴射を停止させる。ステップS19の処理が完了すると、ステップS20に至り一連の洗浄動作は終了となる。
【0069】
この実施の形態に係る浴室洗浄装置は、図15に示すように、空気混合部130を備えてもよい。空気混合部130は、洗剤が混合された洗浄水に空気を混合させて、洗浄水の一部を泡沫化させる。そして、浴槽内噴射部102は、泡沫を含む洗浄水を浴槽10内に噴射する。空気混合部130において洗浄水の一部が泡沫化されることで、フォーム(foam)が生成される。フォームは、気泡が多数集まることで形成されたクリーム状の泡である。フォームは、泡沫とも呼ばれる。多数の気泡を含むフォームは、気泡を含まない洗剤水よりも、高い洗浄能力を有する。このため、空気混合部130を備えることで、フォームを含む洗浄水を浴槽内噴射部102から噴射できるので、液状の洗浄水を噴射する場合よりも優れた洗浄効果が得られる。
【0070】
空気混合部130は、浴槽内噴射部102への洗浄水の供給経路に設けられている。空気混合部130は、空気混合部130を通過する洗剤を含む洗浄水に気体を導入することで気泡を生成する。この気体は、例えば空気である。空気混合部130には、吸気通路(図示せず)が接続されている。空気混合部130は、この吸気通路から吸入される気体を洗剤水に混合することで気泡を発生させる。
【0071】
本実施の形態における空気混合部130は、例えば、以下のような構造を有するエジェクタにより構成されてもよい。エジェクタは、通過する洗剤を含む洗浄水の流路を縮径させる縮径部を有する。この縮径部に発生する負圧により、吸気通路から気体を自然吸気できる。当該縮径部において、洗剤を含む洗浄水の流れに対して垂直な方向から、吸気通路を通って気体が導入される。エジェクタの上流側の位置には、エジェクタに流入する水流を旋回させる固定翼が備えられていてもよい。固定翼は、例えば、流路の軸線を中心とする旋回流を形成する。固定翼により形成される洗剤を含む洗浄水の旋回流が気泡をせん断して微細化することで、微細な気泡を生成できる。吸気通路から吸気する方法は、自然吸気に限定されない。エアポンプ(図示せず)を用いて強制的に空気を空気混合部130へ供給してもよい。
【0072】
空気混合部130は、このような構成に限定されるものではない。例えば、空気混合部130は、多孔質体を備え、その多孔質体の多数の微細な孔から洗剤を含む洗浄水の中に気体を放出することで気泡を生成するものでもよい。エアポンプから多孔質体へ空気を送り、多孔質体の多数の微細な孔から洗剤を含む洗浄水の中に空気を放出することができる。多孔質体の材質は、例えば、金属メッシュ、セラミックス、樹脂材料等でもよい。
【0073】
この実施の形態に係る浴室洗浄装置においては、図16に示すように、洗浄水を噴射する噴射部は、浴槽内噴射部102だけでなく天井噴射部140を備えていてもよい。天井噴射部140は、浴室1の天井に設けられている。図示の構成例では、天井噴射部140は、浴室1の天井における浴槽10の直上とは異なる位置に配置されている。このような位置に天井噴射部140を設けることで、天井噴射部140から噴射した洗浄水で浴室1の洗い場を洗浄でき、浴槽10だけでなく浴室1全体を効率的に洗浄することが可能である。
【0074】
また、天井噴射部140を、浴室1の天井における浴槽10の直上の位置に配置してもよい。このような位置に天井噴射部140を設けることで、浴槽蓋14を開いた状態において、浴槽10の直上にある天井噴射部140から浴槽10内に洗浄水を噴射できる。そして、天井噴射部140から洗浄水の自重により浴槽10内に洗浄水を散布でき、浴槽10内を効率的に洗浄することが可能である。
【0075】
この実施の形態に係る浴室洗浄装置においては、換気扇3は、外気を取り込んで浴室1内に送風する送風機を備えてもよい。この際、換気扇3の送風機は、浴槽10内に向けて送風するとよい。すなわち、浴室洗浄装置は、浴槽10内に向けて送風する送風手段を備えてもよい。浴槽蓋14が開けられた状態で換気扇3の送風機から浴槽10内に向けて送風することで、例えば洗浄動作の終了時等に浴槽10内を速やかに乾燥させることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 浴室
2 ドア
3 換気扇
10 浴槽
12 吐出口
13 排水口
14 浴槽蓋
20 浴室内リモコン
21 人検知手段
22 制御装置
30 給湯機
31 貯湯タンク
32 給湯配管
36 追焚き回路
37 追焚き用熱交換器
38 往き配管
39 戻り配管
40 浴槽アダプタ
41 追焚き用循環ポンプ
50 浴室外リモコン
101 洗剤貯留部
102 浴槽内噴射部
110 浴槽蓋開閉検知手段
111 流量センサ
112 排水センサ
113 圧力センサ
120 浴槽蓋固定手段
130 空気混合部
140 天井噴射部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16