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  • 特開-開閉式壁構造 図1
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  • 特開-開閉式壁構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185491
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】開閉式壁構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20221207BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20221207BHJP
   E04B 2/74 20060101ALN20221207BHJP
【FI】
E04B1/58 601E
E04H9/02 321A
E04B2/74 561E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093216
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森谷 遼介
【テーマコード(参考)】
2E125
2E139
【Fターム(参考)】
2E125AA03
2E125AA13
2E125AA53
2E125AA54
2E125AB12
2E125AC01
2E125AE02
2E125AE16
2E125AG22
2E125BB08
2E125BB13
2E125BD01
2E125BE01
2E125CA01
2E125CA91
2E125EA16
2E125EA33
2E139AA01
2E139AC26
2E139BD22
(57)【要約】
【課題】運搬、及び現場で容易に施工できる開閉式壁構造を得る。
【解決手段】開閉式壁構造10は、柱梁架構14の上梁20Aと下梁20Bに梁長方向へ延設されたレール38と、ヒンジ部材24で折畳み展開可能に連結された複数の折畳用壁部材22と、折畳用壁部材22の上部端面及び下部端面に回転自在に取付けられ、レール38にガイドされスライドするガイド部材34と、折畳用壁部材22を展開した状態で上梁20Aと下梁20Bに固定するヒンジ部材45と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱梁架構の上下の梁部材に梁長方向へ延設されたレールと、
ヒンジ部材で折畳み展開可能に連結された複数の壁部材と、
前記壁部材の上部端面及び下部端面に回転自在に取付けられ、前記レールにガイドされスライドするガイド部材と、
前記壁部材を展開した状態で前記梁部材へ固定する固定部材と、
を有する開閉式壁構造。
【請求項2】
前記壁部材が当接する前記柱梁架構の柱部材には、高さ方向に前記壁部材の縦端面が嵌る縦溝が形成されており、
前記柱梁架構の梁部材には、前記壁部材の上部端面及び下部端面から突設されたコッターが嵌る凹部が形成されている、
請求項1に記載の開閉式壁構造。
【請求項3】
前記固定部材は、
断面コ字状の前記レールの開放端部にヒンジで回転可能に取付けられた金物と、
前記金物で前記壁部材の正面及び裏面を挟んだ状態で前記壁部材を固定するボルトと、
を備えている、
請求項1または請求項2に記載の開閉式壁構造。
【請求項4】
前記壁部材は木材で構成されている、
請求項1~3の何れか1項に記載の開閉式壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉式壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
RCの架構に耐震壁を組み込んだ壁構造が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6230330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の壁構造は、RC造の架構内に、耐震部材としての鉄筋コンクリート製の耐震壁と、木質板部材としての木質耐震壁を設けている。
ここで、CLT(Cross Laminated Timber)パネルだけで、架構内にCLT耐震壁を構築することが考えられる。
この場合、地震時に、CLTパネルに生じる剪断力を架構に伝達するためには、CLTパネルの上縁及び下縁に沿って凹凸を形成すると共に、架構の梁にCLTパネルと嵌合する凹凸を形成する必要があり、加工の手間が増大する。
【0005】
また、CLTパネルのサイズには上限があり、架構内にCLTパネルでCLT耐震壁を構築するには、複数枚のCLTパネルを現場に搬送して接合する必要があり、搬送及び施工の手間が増大する。以上のことは、CLTパネルに限らず、PCコンクリート板で耐震壁を構築する場合でも同様である。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、運搬、及び現場で容易に施工できる開閉式壁構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の開閉式壁構造は、柱梁架構の上下の梁部材に梁長方向へ延設されたレールと、ヒンジ部材で折畳み展開可能に連結された複数の壁部材と、前記壁部材の上部端面及び下部端面に回転自在に取付けられ、前記レールにガイドされスライドするガイド部材と、前記壁部材を展開した状態で前記梁部材へ固定する固定部材と、を有する。
【0008】
請求項1に記載の開閉式壁構造では、複数の壁部材をヒンジ部材で連結することで、折り畳んで施工現場に搬入することができ、又は分解して搬入することができるので、運搬が容易になり、運搬コストを低減できる。さらに、複数の壁部材を折り畳むことで、柱梁架構の開口部を塞ぐような1枚の壁部材に比較してコンパクトになり、例えば、人力での運搬も可能となる。
【0009】
また、壁部材の上部端面及び下部端面にはガイド部材が回転自在に取付けられており、このガイド部材を柱梁架構の上下の梁部材に延設されたレールに嵌め込むことで、柱梁架構内で、壁部材を折畳み又は展開することができる。このため、現場で容易に施工することができる。
さらに、壁部材は、間仕切り壁兼構造材として利用することができ、壁部材の枚数を調整することで、柱梁架構内の開口部の大きさを自在に変更することができるので、プランの自由度が高い。
【0010】
間仕切り壁は、付加制震の扱いにすることもできるので、設計の自由度が大きくなる。さらに、複数の壁部材を展開して構成された間仕切り壁を、固定部材で上下の梁部材に固定することで、該間仕切り壁を耐震壁とすることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の開閉式壁構造において、前記壁部材が当接する前記柱梁架構の柱部材には、高さ方向に前記壁部材の縦端面が嵌る縦溝が形成されており、前記柱梁架構の梁部材には、前記壁部材の上部端面及び下部端面から突設されたコッターが嵌る凹部が形成されている。
【0012】
請求項2に記載の開閉式壁構造では、壁部材を展開した状態で、柱側にある壁部材の上部端面及び下部端面を梁部材に固定し、壁部材の縦端面を柱部材に固定することで、耐震壁としての剛性を向上させることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の開閉式壁構造において、前記固定部材は、断面コ字状の前記レールの開放端部にヒンジで回転可能に取付けられた金物と、前記金物で前記壁部材の正面及び裏面を挟んだ状態で前記壁部材を固定するボルトと、を備えている。
【0014】
請求項3に記載の開閉式壁構造では、レールの開放端部にヒンジで回転可能に取付けられた金物を回転させ、一方の開放端部の金物と他方の開放端部の金物で壁部材の正面及び裏面を挟み、2つの金物で壁部材を挟んだ状態で壁部材をボルトで固定することができるため、壁部材の固定作業を簡単に行うことができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3の何れか1項に記載の開閉式壁構造において、前記壁部材は木材で構成されている。
【0016】
請求項4に記載の開閉式壁構造では、壁部材を木材で構成したため、コンクリートや鋼材で構成する場合に比較して、軽量で取り扱いが容易となる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明の開閉式壁構造によれば、運搬が容易で、現場で容易に施工することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る開閉式壁構造を示す正面図である。
図2】(A)は開閉式壁構造を示す上面図であり、(B)は展開途中の折畳パネルを示す開閉式壁構造の上面図である。
図3】(A)は打ち増しに固定された折畳用壁部材の下端付近を示す断面図であり、(B)は打ち増しに固定される前の折畳用壁部材の下端付近を示す断面図である。
図4】端部壁部材、及び折り畳んだ折畳パネルを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1図4を用いて、本発明の一実施形態に係る開閉式壁構造10が適用された建物12について説明する。
【0020】
図1、及び図2に示すように、本実施形態の建物12では、建物12の柱梁架構14に以下に説明する耐震壁16を設置して開閉式壁構造10を構築している。
【0021】
耐震壁16は、柱18A、柱18B、上梁20A、下梁20Bを有して構成された柱梁架構14の架構内に配置されている。本実施形態の柱18A、柱18B、上梁20A、及び下梁20Bは、一例として鉄筋コンクリートによって形成されている。
【0022】
本実施形態の耐震壁16は、複数枚の折畳用壁部材22を繋げて折り畳み可能とした1枚の折畳パネル27と、2枚の端部壁部材28とを含んで構成されてる。柱梁架構14の架構内において、折畳パネル27は中央部分に配置され、その両側に端部壁部材28が配置されている。
【0023】
本実施形態で用いられる折畳用壁部材22、及び端部壁部材28は、一例としてCLT(Cross Laminated Timber)からなり、縦長の長方形に形成されている。
【0024】
図2(A)、(B)に示すように、折畳パネル27は、蛇腹状に折り畳めるように、複数枚の折畳用壁部材22が互い違いに配置された金属製のヒンジ部材24で連結されている。なお、ヒンジ部材24は、折畳用壁部材22にネジ25で固定されている。
【0025】
図3に示すように、各折畳用壁部材22には、下縁中央部にガイド部材34が設けられている。
【0026】
ガイド部材34は、軸受けブロック26を備えており、軸受けブロック26には、水平方向に軸29が貫通している。軸29は軸受けブロック26に回転自在に支持されており、軸29の両端部にガイドローラ30が取り付けられている。
【0027】
ガイド部材34の上部には、上方向に延びる軸32が固定されており、この軸32が折畳用壁部材22の下縁に形成された孔36に回転自在に挿入されている。
【0028】
図2に示すように、折畳用壁部材22の上縁にも、下縁と同様にガイド部材34が設けられている。
【0029】
図3に示すように、下梁20Bの上面には、幅方向中央部分に、上部が開口した断面コ字形状のレール38が設けられている。レール38の幅方向両側には、コンクリートで形成された断面矩形の打ち増し40が梁長手方向に沿って設けられている。
レール38の下面には頭付きスタッド42が固定されており、頭付きスタッド42は下梁20Bのコンクリートに埋設されている。
【0030】
このレール38の内部に、ガイド部材34が走行自在に挿入されている。
【0031】
図示を省略するが、上梁20Aにおいても下梁20Bと同様のレール38、及び打ち増し40が設けられており、上梁20Aのレール38には、折畳用壁部材22の上縁に設けられたガイド部材34が走行自在に挿入されている。
【0032】
これにより、各折畳用壁部材22は、上下のガイド部材34が上下のレール38でガイドされて梁長手方向に沿って移動可能とされている。また、ガイド部材34の軸32が折畳用壁部材22の孔36に回転自在に挿入されているので、図2(B)に示すように、折畳用壁部材22は、レール38に支持された状態で、軸32を中心として回転可能となっている。
【0033】
図3(A)に示すように、各打ち増し40には、固定部材の役目をする金属製のヒンジ部材45の一方の羽根板45Aが固定されている。ヒンジ部材45の他方の羽根板45Bは、折畳用壁部材22の表面、又は裏面に沿って配置されている。
【0034】
そして、レール38を挟んで一方側のヒンジ部材45の羽根板45Bと、レール38を挟んで他方側のヒンジ部材45の羽根板45Bと、折畳用壁部材22とにボルト44が貫通しており、ボルト44の頭部44Aと、ボルト44のネジ部44Bに螺合したナット46との間に、一方の羽根板45Bと折畳用壁部材22と他方の羽根板45Bとが挟持されている。これにより、各折畳用壁部材22の上部及び下部が、ヒンジ部材45によって上梁20A及び下梁20Bに固定されている。
【0035】
図1に示すように、端部壁部材28の上縁、及び下縁に、台形状の突起であるコッター48が設けられている。コッター48は、打ち増し40の長手方向両側に形成された凹部50に嵌合している。
【0036】
また、端部壁部材28は、図2に示すように、柱18Aの側面、及び柱18Bの側面に形成された浅溝52に側縁部が嵌められている。
【0037】
(耐震壁の施工手順)
次に、本実施形態の耐震壁16の施工手順を説明する。
【0038】
一例として、図4に示すように、予め工場などで折畳用壁部材22をヒンジ部材24で繋ぎ合わせて折畳パネル27を組み立てる。施工現場には、折り畳んだ折畳パネル27と、2枚の端部壁部材28とを搬入する。
【0039】
現場での取り付け手順としては、一例として、以下のように行うことができる。
(1) 図1、及び図2(A)に示すように、上梁側の打ち増し40、及びレール38の側部、及び下梁側の打ち増し40、及びレール38の側部に切欠54を予め形成しておく。切欠54は、ガイド部材34が通過可能な最小限の大きさでよい。本実施形態では、切欠54が柱18A側に形成されているが、ガイド部材34が通過可能な位置に設けられていればよく、切欠54は柱18B側に形成されていてもよく、切欠54を形成する位置は任意である。
また、図3(B)に示すように、上梁側の打ち増し40の下面、及び下梁側の打ち増し40の上面には、予め各々ヒンジ部材45の羽根板45Aを図示しないネジ等で固定しておく。
【0040】
(2) 次に、柱梁架構14の柱18Aの側部、及び柱18Bの側部に端部壁部材28を組み付ける。ここでは、端部壁部材28のコッター48を、打ち増し40の凹部50に嵌合し、端部壁部材28の側縁部を浅溝52に嵌め込む。凹部50は、コッター48よりも若干大きめに形成されており、コッター48を嵌合させた後、必用に応じてグラウト剤などで凹部50の隙間を埋めてもよい。
【0041】
(3) 折畳パネル27の幅方向最外側の折畳用壁部材22に設けられたガイド部材34を、打ち増し40、及びレール38の側部に形成された切欠56を介してレール38の内部に挿入し、折畳用壁部材22をレール38に沿って一方の柱18Aに向けて移動する。
【0042】
(4) 以後、折り畳み状態であった複数の折畳用壁部材22を展開させながら、次の折畳用壁部材22のガイド部材34をレール38に挿入し、全ての折畳用壁部材22を柱梁架構14に組み付ける(展開は、図3(B)の矢印A参照)。
【0043】
(5) 打ち増し40に固定したヒンジ部材45の羽根板45Bを回転させ、折畳用壁部材22を挟んで一方のヒンジ部材45の羽根板45Bと他方のヒンジ部材45の羽根板45Bとで折畳用壁部材22を挟み、ボルト44とナット46で固定する。
【0044】
(6) 端部壁部材28と折畳用壁部材22とをヒンジ部材24で接続する。なお、端部壁部材28と折畳用壁部材22とは、平板で接続してもよい。
これにより、柱梁架構14に耐震壁16が組み付けられる。
【0045】
(作用、効果)
本実施形態の開閉式壁構造10によれば、1枚の平板状に展開された折畳パネル27と端部壁部材28とが同一平面となるように連結されて柱梁架構14に固定されているので、折畳パネル27と端部壁部材28とを耐震壁16として機能させることができる。
【0046】
本実施形態の折畳パネル27は、図1に示すように、複数枚の折畳用壁部材22をヒンジ部材24で連結して構成しているため、柱梁架構14の開口に合わせた大きな1枚の壁部材を製造する場合に比較して、製造、運搬が容易になる。
【0047】
折畳パネル27は、図4に示すように折り畳んだ状態で運搬することができるので、折畳パネル27を施工現場に容易に搬入することができる。また、折畳パネル27を折り畳めば、柱梁架構14の開口部を塞ぐような1枚の壁部材に比較してコンパクトになるため、人力での運搬も可能となる。
【0048】
折畳用壁部材22の上下には、レール38の内部での走行を可能とするガイド部材34が回転自在に取り付けられている。このため、ガイド部材34をレール38に嵌め込めば、柱梁架構14内で折畳パネル27を回転、及び移動して、柱梁架構14内で折畳パネル27を容易に展開することができ、また、容易に折畳むこともできる。このため、耐震壁16を現場で容易に施工することができる。
【0049】
折畳パネル27は、折畳用壁部材22を金属製のヒンジ部材24で繋ぎ合わせて柱梁架構14に固定しているため、折畳パネル27を面内全方向に対して一体性のある部材とすることができる。これにより、一枚ものの木質板材によって形成した木質パネルと同等のせん断剛性及びせん断耐力を折畳パネル27に与えることができる。
【0050】
折畳パネル27の両側に設けられた端部壁部材28のコッター48を打ち増し40の凹部50に嵌合し、端部壁部材28の側縁部を柱18A、及び柱18Bの浅溝52に嵌めることで、耐震壁16としての剛性を向上させることができる。
【0051】
本実施形態では、折畳用壁部材22、及び端部壁部材28を木材であるCLTで構成しているため、コンクリートや鋼材で構成する場合に比較して、軽量で取り扱いが容易となっている。
【0052】
また、折畳用壁部材22は、間仕切り壁兼構造材として利用することもできる。折畳パネル27を含んで構成された間仕切り壁は、付加制震の扱いとすることもできるので、建物12の設計の自由度を大きくすることができる。
【0053】
折畳用壁部材22の枚数を調整する(減らす)ことで、柱梁架構14内の開口部全体を塞がないようにすることもでき、間仕切り壁としてのプランの自由度を高めることができる(1枚の壁部材を用いて間仕切壁を構成する場合対比で)。
【0054】
折畳用壁部材22は、レール38の両側に設けたヒンジ部材45を用いてを上梁20A、及び下梁20Bに容易に固定することができ、折畳用壁部材22を固定しているヒンジ部材45のボルト44を取り外せば、レール38に支持された状態で折畳パネル27を折り畳むことができる。このため、柱梁架構14の点検作業や、リニューアルなどでの耐震壁16の交換作業等を行う場合に、既存の折畳用壁部材22の取り外しや、新たな折畳用壁部材22の取り付けを容易に行うことができる。
【0055】
ヒンジ部材45は、図3(B)に示すように折り畳んでおけば、ヒンジ部材45が折畳用壁部材22の下部に干渉することは無く、折畳用壁部材22を自由に回転、及び移動させることができる。したがって、折畳用壁部材22を回転、及び移動する際に、ヒンジ部材45を取り外す必用はない。
【0056】
[その他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0057】
上記本実施形態では、柱梁架構14を、鉄筋コンクリートによって形成した例を示したが、柱梁架構14は、鉄筋コンクリート以外の他の構造のものでもよい。例えば、柱梁架構14は、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、CFT造(Concrete-Filled Steel Tube:充填形鋼管コンクリート構造)の柱や梁を有して構成された架構でもよい。
【0058】
上記本実施形態では、折畳用壁部材22をCLTとした例を示したが、折畳用壁部材22は、木質の他の部材を用いてもよく、木質以外の他の部材を用いてもよい。
【0059】
上記実施形態では、工場などで、複数枚の折畳用壁部材22をヒンジ部材24で連結した折畳パネル27を折り畳んだ状態で現場に搬入したが、複数枚の折畳用壁部材22と複数の折畳パネル27とを施工現場に搬入し、施工現場または施工現場近くで複数枚の折畳用壁部材22をヒンジ部材24で連結してもよい。
【0060】
上記実施形態では、予め折畳用壁部材22を連結しておいた折畳パネル27を施工現場に搬入して柱梁架構14に取り付ける例を説明したが、複数枚の折畳用壁部材22を連結せず、折畳用壁部材22を1枚づつ柱梁架構14に配置し、柱梁架構14に配置した後に、折畳用壁部材22を互いに連結すると共に、柱梁架構14に固定することもできる。
【0061】
なお、端部壁部材28は、一例としてヒンジ部材45や鋼板等を用いて打ち増し40に固定してもよい。コッター48、及び凹部50は必要に応じて設ければよく、端部壁部材28を柱梁架構14に固定できれば、コッター48、及び凹部50を形成しなくてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 開閉式壁構造
14 柱梁架構
20A 上梁(梁部材)
20B 下梁(梁部材)
24 ヒンジ部材
34 ガイド部材
38 レール
44 ボルト
45 ヒンジ部材(固定部材、ヒンジ、金物)
48 コッター
50 凹部
52 浅溝(縦溝)
図1
図2
図3
図4