(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185495
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】車両用オーナメント
(51)【国際特許分類】
B60R 13/00 20060101AFI20221207BHJP
B60R 19/52 20060101ALI20221207BHJP
F16B 5/06 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
B60R13/00
B60R19/52 K
F16B5/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093230
(22)【出願日】2021-06-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.ウェブサイト掲載日 令和3年5月31日 https://www.eve-corp.co.jp/ https://www.eve-corp.co.jp/lia.html 2.展示日 令和3年5月30日 第28回フィアット・フェスタ 2021 群馬県利根郡みなかみ町藤原3839-1水上高原スキー場 EVE DESIGNブース 3.展示日 令和3年5月30日 ミラフィオーリ2021 愛知県長久手市茨ケ廻間乙1533-1 愛・地球博記念公園 EVE DESIGNブース
(71)【出願人】
【識別番号】521241498
【氏名又は名称】イブコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119792
【弁理士】
【氏名又は名称】熊崎 陽一
(72)【発明者】
【氏名】冨田 忠男
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信行
【テーマコード(参考)】
3D024
3J001
【Fターム(参考)】
3D024BA03
3D024BA07
3D024BA08
3D024BA13
3J001FA02
3J001GA06
3J001JC02
3J001JC13
3J001KA02
3J001KA07
3J001KB01
(57)【要約】
【課題】車両の網目状のグリルに所望のオーナメントを容易に形成することができる車両用オーナメントを提供する。
【解決手段】標章を表すオーナメント本体A~Rと、オーナメント本体A~Rをフロントグリルに固定するための固定具20と、本体オーナメント本体を構成する構成部材間に接続されたオーナメント構成要素12と、を有し、オーナメント構成要素12の少なくとも一部は、フロントグリル40の構成要素であるグリル構成要素41の表面に重ねることが可能であり、オーナメント本体A~Rの表面は、フロントグリル40と異なる色を呈しており、固定具20は、相互に重なったグリル構成要素41およびオーナメント構成要素12をオーナメント構成要素12の方から挿入するための開口部26と、開口部26から挿入されたオーナメント構成要素12およびグリル構成要素41を挾持する一対の挾持部22,22とを有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の網目状のグリルに装着される車両用オーナメントであって、
標章を表すオーナメント本体と、
前記オーナメント本体を前記グリルに固定するための固定具と、
前記オーナメント本体を構成する構成部材間に接続されたオーナメント構成要素と、を有し、
前記オーナメント構成要素の少なくとも一部は、前記グリルの構成要素であるグリル構成要素の表面に重ねることが可能であり、
前記オーナメント本体の表面は、前記グリルと異なる色を呈しており、
前記固定具は、
相互に重なった前記グリル構成要素および前記オーナメント構成要素を前記オーナメント構成要素の方から挿入するための開口部と、
前記開口部から挿入された前記オーナメント構成要素および前記グリル構成要素を挾持する一対の挾持部と、を有することを特徴とする車両用オーナメント。
【請求項2】
前記グリルには、
先端が前記標章の形状に形成された突出部が形成されており、
前記オーナメント本体は、
前記突出部を覆い、かつ、前記突出部に嵌合可能な枠状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用オーナメント。
【請求項3】
前記標章は文字または記号を表しており、
前記オーナメント構成要素は、
前記オーナメント本体のうち、前記文字または記号を表す部分とは異なる部分に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用オーナメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のグリルに取り付ける車両用オーナメントに関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、車両のフロントグリルの説明図である。
図6(A)は、
図5の一部を拡大して示す説明図であり、(B)は(A)のB-B矢視断面図である。
図5に示すように、車両30のフロントグリル40は、網目状に形成されている。詳しくは、平面視、蜂の巣状に形成されている。フロントグリル40には、オーナメントを立体的に表すオーナメント形状突出部42が形成されている。図示の例では、英文字「ABAR」の4文字から成る4つのオーナメント形状突出部42が同グリルと一体的に形成されている。
図6(B)に示すように、フロントグリル40は、網目状を形成する複数のグリル構成要素41から構成されており、オーナメント形状突出部42は、グリル構成要素41から前方に突出しており、その先端がオーナメントの形状に形成されている。図示の例では、オーナメント形状突出部42は、英文字の「A」を表している。
従来は、グリル構成要素41およびオーナメント形状突出部42が、それぞれ黒色であり、オーナメント形状突出部42が目立たないため、例えば、オーナメント形状突出部42の先端(表面)を白色などの色にペイントすることにより、オーナメントを目立つように装飾していた。
【0003】
なお、本発明に関する先行技術としては、一対または二対以上の取付部から後方に突出形成された取付部と、各取付部の先端にそれぞれ形成された係止爪とを備え、各取付部を弾性変形させてグリルの水平部材間に挿入し、各係止爪を水平部材の後端に係止するように構成されたものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、オーナメント形状突出部42の先端をペイントする方法は、手間が掛かるという問題がある。特に、フロントグリル40は車両30の低い位置にあるため、低い姿勢でペイントしなければならず、正確にペイントすることが難しい。
つまり、従来の車両用オーナメントは、車両の網目状のグリルに所望のオーナメントを形成することが容易ではないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するために鋭意研究の結果創出されたものであり、車両の網目状のグリルに所望のオーナメントを容易に形成することができる車両用オーナメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(第1の発明)
前述した目的を達成するため、本出願の第1の発明は、
車両(30:
図4(A))の網目状のグリル(40)に装着される車両用オーナメント(10)であって、
標章を表すオーナメント本体(A,B,A,R:
図4(A))と、
オーナメント本体(A,B,A,R)をグリル(40)に固定するための固定具(20:
図4(C))と、
オーナメント本体(A,B,A,R)を構成する構成部材(A1,A2,B1,B2:
図1)間に接続されたオーナメント構成要素(12)と、を有し、
オーナメント構成要素(12)の少なくとも一部は、グリル(40)の構成要素であるグリル構成要素(41:
図4(B))の表面に重ねることが可能であり、
オーナメント本体(A,B,A,R)の表面は、グリル(40)と異なる色を呈しており、
固定具(20)は、
相互に重なったグリル構成要素(41)およびオーナメント構成要素(12)をオーナメント構成要素(12)の方から挿入するための開口部(26:
図4(C))と、
開口部(26)から挿入されたオーナメント構成要素(12)およびグリル構成要素(41)を挾持する一対の挾持部(22,22:
図4(C))と、を有することを特徴とする。
【0008】
本出願の第1の発明に係る車両用オーナメントは、グリルの構成要素であるグリル構成要素の表面に重ねることが可能なオーナメント構成要素を有し、相互に重なったグリル構成要素およびオーナメント構成要素をオーナメント構成要素の方から固定具の開口部に挿入するだけで、固定具の一対の挾持部によってオーナメント構成要素およびグリル構成要素が挾持され、オーナメント本体をグリルに固定することができる。
また、標章を表すオーナメント本体の表面は、グリルと異なる色を呈しているため、標章が目立つようにすることができる。
加えて、グリル構成要素とオーナメント要素とが重なることでグリル開口部の通気性を十分に確保することもできる。
従って、本出願の第1の発明によれば、ペイント作業を行わなくても、オーナメントを網目状のグリルに容易に形成することができる。
【0009】
(第2の発明)
本出願の第2の発明は、前述した第1の発明に係る車両用オーナメント(10)において、
グリル(40)には、
先端が標章の形状に形成された突出部(42:
図3(C))が形成されており、
オーナメント本体(11)は、
突出部(42)を覆い、かつ、突出部(42)に嵌合可能な枠状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、オーナメント本体は、先端が標章の形状に形成されたグリルの突出部を覆うことにより突出部を隠しつつ、車両用オーナメントの輪郭を際立たせることができる。
しかも、オーナメント本体は、突出部に嵌合可能な枠状に形成されているため、オーナメント本体を突出部に嵌合するという簡単な作業により、オーナメント本体の位置決めを行うことができる。さらには、グリルとオーナメント本体の固定状態を安定させることができる。
【0011】
(第3の発明)
本出願の第3の発明は、前述した第1または第2の発明に係る車両用オーナメント(10)において、
標章は文字または記号を表しており、
オーナメント構成要素(12)は、
オーナメント本体(11)のうち、文字または記号を表す部分とは異なる部分に配置されていることを特徴とする。
【0012】
オーナメント構成要素は、オーナメント本体のうち、文字または記号を表す部分とは異なる部分に配置されているため、固定具によってオーナメント構成要素およびグリル構成要素を挾持した場合に、固定具によって文字または記号が隠れないので、標章の外観が損なわれることがない。
【0013】
なお、上記各括弧内の符号および図番は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0014】
上述したように、本発明によれば、車両の網目状のグリルに所望のオーナメントを容易に形成することができる車両用オーナメントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両用オーナメントの表面の説明図である。
【
図2】
図1に示す車両用オーナメントの裏面の説明図である。
【
図3】(A)は
図2に示す車両用オーナメントの部分拡大図、(B)は(A)のA-A矢視断面図、(C)は車両用オーナメントおよびグリルの断面図である。
【
図4】(A)は車両用オーナメントをグリルに固定した状態の説明図、(B)は(A)の一部を拡大して示す説明図、(C)は固定具の拡大図、(D)は固定具がグリル構成要素およびオーナメント構成要素を挾持した状態を示す説明図である。
【
図6】
図6(A)は、
図5の一部を拡大して示す説明図であり、(B)は(A)のB-B矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る車両用オーナメントの実施形態について説明する。
[車両用オーナメントの構造]
最初に、本実施形態に係る車両用オーナメントの構造について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、4文字の英文字「ABAR」から成る標章を表す車両用オーナメントを例に挙げて説明する。
【0017】
図4(A)に示すように、本実施形態に係る車両用オーナメント10は、英文字「A」を表すオーナメント本体Aと、英文字Bを表すオーナメント本体Bと、英文字「A」を表すオーナメント本体Aと、英文字「R」を表すオーナメント本体Rと、各オーナメント本体A~Rをフロントグリル40に固定するための固定具20(
図4(C))とを備えている。各オーナメント本体A~Rの基本構造は同一であるため、以下では、オーナメント本体A,Bを代表にして説明する。
【0018】
図1に示すように、オーナメント本体Aは、標章「A」を構成する構成部材A1,A2を有し、オーナメント本体Bは、標章「B」を構成する構成部材B1,B2,B2を有する。また、構成部材A1,A2間および構成部材B1,B2間には、それぞれ複数のオーナメント構成要素12が形成されており、各構成部材間が複数のオーナメント構成要素12によって連結された形態になっている。各構成部材A1,A2およびB1,B2,B2の表面、並びに、各オーナメント構成要素12の表面には、シール13が貼着されている。シール13は、フロントグリル40と異なる色を呈しており、標章「AB」とフロントグリル40とが識別され、目立つようになっている。本実施形態では、車両30のフロントグリル40(
図4(A))は黒色であり、シール13は、例えば、白色、赤色、緑色、黄色などの色を呈している。各オーナメント構成要素12は、標章を表す部分とは異なる部分に配置されており、標章を装飾する役割をしている。
なお、各構成部材A1~B2にはシール13を貼着し、各オーナメント構成要素12にはシール13を貼着しないようにすることもできる。また、シール13を使用せず、表面がフロントグリル40と異なる色でペイントされた構成部材A1,A2およびB1,B2,B2並びにオーナメント構成要素12を用いることもできる。
【0019】
図2に示すように、オーナメント本体A,Bの裏面には、平坦部11bと、この平坦部11bの縁から鉛直に突出形成された壁部11aと、平坦部11bに接着された両面テープ14とが設けられている。平坦部11bは、車両用オーナメント10をフロントグリル40に取り付けるときに、フロントグリル40に形成されたオーナメント形状突出部42(
図3(C))の先端と接触する部分である。両面テープ14は、オーナメント形状突出部42(
図3(C))の先端に接着される。平坦部11bは、断面が肉厚の薄い板状に形成されている。壁部11aは、オーナメント本体A,Bのうち、文字の輪郭を表す部分に形成されており、車両用オーナメント10をフロントグリル40のオーナメント形状突出部42(
図3(C))に取り付けるときに、各壁部11aがオーナメント形状突出部42の各外面に係止される。つまり、オーナメント本体A,Bは、全体を見ると、オーナメント形状突出部42に嵌合可能な枠状にそれぞれ形成されている。
【0020】
また、オーナメント本体A,Bの裏面の一部では、平坦部11bの両側に壁部11aが形成されている。例えば、
図2において、オーナメント本体Aのうち、英文字「A」の中央の三角形を構成している構成部材A2では、三角形の各辺を構成している各平坦部11bの両側に壁部11aがそれぞれ形成されている。また、オーナメント本体Bの構成部材B2でも平坦部11bの両側に壁部11aが形成されている。また、構成部材B1のうち、英文字「B」の外周を構成している円弧状の部分B3でも平坦部11bの両側に壁部11aが形成されている。
【0021】
平坦部11bの両側に壁部11aが形成されている部分は、車両用オーナメント10をフロントグリル40に取り付けるときに、フロントグリル40のオーナメント形状突出部42に嵌合される。例えば、オーナメント本体Aの構成部材A2を構成している部分は、オーナメント形状突出部42のうち、構成部材A2に対応する形状の部分に嵌合される。このように、各オーナメント本体A,Bには、オーナメント形状突出部42に嵌合される部分がそれぞれ複数箇所設けられている。つまり、オーナメント形状突出部42に嵌合される部分を複数箇所設けることにより、オーナメント形状突出部42に対するオーナメント本体の取付位置がずれ難いようにすることができる。
また、オーナメント本体A,Bのうち、平坦部11bの片側にのみ壁部11aが形成されている部分は、フロントグリル40のオーナメント形状突出部42の外面に係止される。つまり、オーナメント本体A,Bは、フロントグリル40のオーナメント形状突出部42に嵌合される部分と係止される部分とをそれぞれ有する。
【0022】
また、平坦部11bおよび壁部11aから形成される部分は、その部分に対応するオーナメント形状突出部42よりも幅広に形成されている。これにより、車両用オーナメント10をフロントグリル40に取り付けると、車両用オーナメント10によってオーナメント形状突出部42が覆われ、オーナメント形状突出部42が見えなくなるため、車両用オーナメント10の輪郭を際立たせることができる。
また、オーナメント本体Aおよびオーナメント本体Bは、連結部15によって相互に連結されている。また、左から3個目の英文字「A」を形成するオーナメント本体Aと、英文字「R」を形成するオーナメント本体Rも、連結部15によって相互に連結されている(
図4(A))。つまり、2文字分が連結されているため、2文字分のオーナメント本体を同時に取り付けることができるため、取り付け作業の効率を高めることができる。なお、文字毎にオーナメント本体を分離させることももちろん可能である。
【0023】
図2に示すように、各オーナメント構成要素12は、平坦部11bと連続形成されており、平坦部11bと同様に断面が肉厚の薄い板状に形成されている。また、各オーナメント構成要素12は、フロントグリル40と同じ網目模様を構成している。車両用オーナメント10をフロントグリル40に固定するときに、複数のオーナメント構成要素12のうちのいくつかが、フロントグリル40を構成するグリル構成要素41の表面と重なるように構成されており、車両用オーナメント10とフロントグリル40との一体感が増すように工夫されている。本実施形態では、各オーナメント本体A,Bは、それぞれ合成樹脂により形成されているが、アルミニウムやステンレスなどの金属により形成することもできる。フロントグリル40は、本発明のグリルの一例であり、オーナメント形状突出部42は、本発明の突出部の一例である。
【0024】
図4(C)に示すように、固定具20は、相対向する一対の挾持部22,22と、各挾持部22の一端間(図では右端間)を接続する基部21と、各挾持部22の他端(図では左端)からそれぞれ内側に屈曲した一対の第1屈曲部23,23と、各第1屈曲部23の他端(図では左端)からそれぞれ外方に屈曲した一対の第2屈曲部24,24と、各第2屈曲部24の先端25間に形成された開口部26とを有する。各先端25は、それぞれ外方を向いている。基部21、挾持部22、第1屈曲部23および第2屈曲部24の各縦断面は、それぞれ板状である。各挾持部22の外面間の高さは、作業者が指で摘まむことができる高さである。固定具20は合成樹脂により形成されており、挾持部22から先端25までを形成する部分は、バネ性を有する。
【0025】
図4(D)に示すように、グリル構成要素41は、縦断面が板状に形成されており、オーナメント構成要素12の縦断面の前後(図では左右)の肉厚は、グリル構成要素41の縦断面の前後の肉厚よりも薄い。固定具20の基部21および各挾持部22によって囲まれた空間は、相互に重ねられたオーナメント構成要素12およびグリル構成要素41を収容可能な大きさに形成されている。また、固定具20によって、相互に重ねられたオーナメント構成要素12およびグリル構成要素41を挾持したときに、各第1屈曲部23の内壁の角部が、グリル構成要素41の後端(図では左端)の各角部41aに係止され、固定具20が外れないように構成されている。また、各第2屈曲部24が、それぞれグリル構成要素41の各角部41aよりも内側に位置するように構成されている。
【0026】
相互に重なったグリル構成要素41およびオーナメント構成要素12にオーナメント構成要素12の方から固定具20の開口部26を挿入すると、各第2屈曲部24がそれぞれオーナメント構成要素12の前端面(図では右端面)に当接して外方に広がり、各挾持部22が外方に弾性変形する。そしてさらに挿入を進めると、各第1屈曲部23の各内側の角部が、グリル構成要素41の後端の各角部41aを後方(図では左方)に乗り越えたときに、外方に弾性変形していた各挾持部22がそれぞれ内方に弾性変形する。つまり、図示のように、各挾持部22が、相互に重ねられたオーナメント構成要素12およびグリル構成要素41を挾持し、かつ、各第1屈曲部23の各内側の角部がグリル構成要素41の後端の各角部41aに係止された状態になる。これにより、オーナメント構成要素12およびグリル構成要素41が相互に重ねられた状態が維持され、車両用オーナメント10がフロントグリル40に固定される。また、車両用オーナメント10をフロントグリル40から外す場合は、固定具20の基部21を所定の工具で挾持し、固定具20を前方へ引き抜けば、車両用オーナメント10をフロントグリル40から容易に外すことができる。
【0027】
[車両用オーナメントの使用方法]
次に、本実施形態に係る車両用オーナメントの使用方法について図を参照しつつ説明する。
先ず、車両30(
図4(A)のフロントに取り付けられているナンバープレートを外す。次に、フロントグリル40のオーナメント形状突出部42(
図3(C))の表面を脱脂する。次に、オーナメント本体A,B,A,Rの裏面に接着されている各両面テープ14(
図2)の剥離紙を剥がす。このとき、ピンセットのような道具を使うと剥がし易い。次に、固定具20を用い、オーナメント本体A,Bを、オーナメント形状突出部42のうち、標章ABを表す部分に取り付ける。このとき、オーナメント本体A,Bに配置された複数のオーナメント構成要素12のうち、グリル構成要素41と重なるオーナメント構成要素12が複数存在するため、その重なったオーナメント構成要素12とグリル構成要素41とを固定具20によって挾持する。
【0028】
なお、オーナメント本体A,Bのうち、グリル構成要素41と重なるオーナメント構成要素12は、車両用オーナメント10の取扱説明書において、予め複数箇所指定されており、その指定されている箇所に対して固定具20を取り付ける。同様にして、オーナメント本体A,Rをフロントグリル40のオーナメント形状突出部42に固定する。これにより、車両用オーナメント10がフロントグリル40に固定された状態になる(
図4(A))。また、車両用オーナメント10をフロントグリル40から外す場合は、前述したように、固定具20の基部21を所定の工具で挾持し、固定具20を前方へ引き抜けば、車両用オーナメント10をフロントグリル40から容易に外すことができる。
【0029】
[実施形態の効果]
(1)上述した実施形態に係る車両用オーナメント10によれば、フロントグリル40の構成要素であるグリル構成要素41の表面に重ねることが可能なオーナメント構成要素12を有し、相互に重なったグリル構成要素41およびオーナメント構成要素12をオーナメント構成要素12の方から固定具20の開口部26に挿入するだけで、固定具20の一対の挾持部22,22によってオーナメント構成要素12およびグリル構成要素41が挾持され、オーナメント本体A~Rをフロントグリル40に固定することができる。
また、標章「ABAR」を表すオーナメント本体A~Rの表面は、フロントグリル40と異なる色を呈しているため、標章「ABAR」が目立つようにすることができる。
加えて、グリル構成要素41とオーナメント要素12とが重なることでグリル開口部の通気性を十分に確保することもできる。
従って、上述した実施形態に係る車両用オーナメント10によれば、ペイント作業を行わなくても、車両用オーナメント10を網目状のフロントグリル40に容易に形成することができる。
【0030】
(2)しかも、前述した実施形態に係る車両用オーナメント10によれば、各オーナメント本体A~Rは、先端が標章の形状に形成されたオーナメント形状突出部42を見えないように覆いつつ、車両用オーナメント10の輪郭を際立たせることができる。
しかも、オーナメント本体A~Rは、オーナメント形状突出部42に嵌合可能な枠状に形成されているため、オーナメント本体A~Rをオーナメント形状突出部42に嵌合するという簡単な作業により、オーナメント本体A~Rの位置決めを行うことができる。さらには、フロントグリル40とオーナメント本体A~Rの固定状態を安定させることができる。
【0031】
(3)さらに、前述した実施形態に係る車両用オーナメント10によれば、各オーナメント構成要素12は、オーナメント本体A~Rのうち、文字または記号を表す部分とは異なる部分に配置されているため、固定具20によってオーナメント構成要素12およびグリル構成要素41を挾持した場合に、固定具20によって文字または記号が隠れないので、標章の外観が損なわれることがない。
【0032】
(4)従って、前述した実施形態に係る車両用オーナメント10によれば、車両の網目状のフロントグリル40に所望のオーナメントを容易に形成することができる車両用オーナメント10を提供することができる。
【0033】
〈他の実施形態〉
(1)本発明に係る車両用オーナメントは、オーナメント形状突出部42が形成されていない網目状のフロントグリルにも固定することができる。この場合、各オーナメント本体は、壁部11a(
図2)を形成しない構造でも良い。
(2)固定具20の少なくとも基部21の表面に、シール13と同色のシールを貼着し、固定具20が目立たないようにすることもできる。また、固定具20の少なくとも基部21の表面をシール13と同じ色でペイントしても良い。
【0034】
(3)両面テープ14を使用しないで、固定具20のみで各オーナメント本体をフロントグリル40に固定することもできる。
(4)本発明に係る車両用オーナメントは、平面視、格子状など、他の網目状のフロントグリルにも適用することができる。
(5)車両30のリアに網目状のリアグリルを有する場合に、そのリアグリルに本発明に係る車両用オーナメントを固定することもできる。
【符号の説明】
【0035】
10・・車両用オーナメント
11a・平坦部
11b・壁部
12・・オーナメント構成要素
13・・シール
14・・両面テープ
15・・連結部
20・・固定具
21・・基部
22・・挾持部
26・・開口部
30・・車両
40・・フロントグリル
41・・グリル構成要素
42・・オーナメント形状突出部
A,B,R・・オーナメント本体
A1,A2,B1,B2・・構成部材