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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185515
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】冷却用フィン構造体、及びモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/18 20060101AFI20221207BHJP
   H02K 9/22 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
H02K5/18
H02K9/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093256
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】前田 茂
(72)【発明者】
【氏名】福田 あお衣
(72)【発明者】
【氏名】松山 卓矢
【テーマコード(参考)】
5H605
5H609
【Fターム(参考)】
5H605AA01
5H605BB05
5H605BB14
5H605CC01
5H605CC03
5H605DD12
5H605DD13
5H605EA06
5H605GG01
5H609BB19
5H609BB20
5H609PP01
5H609PP02
5H609PP06
5H609PP07
5H609PP09
5H609QQ04
5H609QQ05
5H609QQ23
5H609RR62
5H609RR63
(57)【要約】      (修正有)
【課題】組立作業性がよく、中空のフィンの端部を確実に封止することが可能な冷却用フィン構造体、およびモータを提供する。
【解決手段】モータ1の外周を囲むように取付けられ、モータ1からの熱を放出する冷却用フィン構造体40が、モータ1の軸に対して放射状に突出し、かつモータ1の軸に対して平行に延び、内部に冷媒が封入される中空部を有する複数の放熱フィンと、複数の放熱フィンの基端部において各放熱フィンの間に設けられ、複数の放熱フィンを円筒状に接続する複数の接続部52と、各放熱フィンのモータの軸方向両側の端部をそれぞれ覆うように設けられ、中空部を封止する複数の蓋体部60と、各端部と各蓋体部60の間に設けられ、各蓋体部60を各端部に固定する粘着テープ70と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの外周を囲むように取付けられ、前記モータからの熱を放出する冷却用フィン構造体であって、
前記モータの軸に対して放射状に突出し、かつ前記モータの軸に対して平行に延び、内部に冷媒が封入される中空部を有する複数の放熱フィンと、
前記複数の放熱フィンの基端部において前記各放熱フィンの間に設けられ、前記複数の放熱フィンを円筒状に接続する複数の接続部と、
前記各放熱フィンの前記モータの軸方向両側の端部をそれぞれ覆うように設けられ、前記中空部を封止する複数の蓋体部と、
前記各端部と前記各蓋体部の間に設けられ、前記各蓋体部を前記各端部に固定する粘着テープと、
を有することを特徴とする冷却用フィン構造体。
【請求項2】
前記各放熱フィンの前記各端部は開口しており、
前記各蓋体部は、内部に前記各端部の端面を収容する溝部を有することを特徴とする請求項1に記載の冷却用フィン構造体。
【請求項3】
前記各放熱フィンの前記各端部は開口しており、
前記各放熱フィンの一方の端部側の前記開口を塞ぐように、前記各蓋体部と対向して配置される板状の複数の第1舌片部と、前記複数の第1舌片部をつなぐ円環状の第1フレームと、から構成される第1プレートと、
前記各放熱フィンの他方の端部側の前記開口を塞ぐように、前記各蓋体部と対向して配置される板状の複数の第2舌片部と、前記複数の第2舌片部をつなぐ円環状の第2フレームと、から構成される第2プレートと、
をさらに備え、
前記粘着テープが、前記各第1舌片部と前記各蓋体部との間、及び前記各第2舌片部と前記各蓋体部との間に設けられることを特徴とする請求項1に記載の冷却用フィン構造体。
【請求項4】
前記各放熱フィンの一方の端部側において前記複数の蓋体部の基端部を押圧するように配置される円環状の第1フレームと、
前記各放熱フィンの他方の端部側において前記複数の蓋体部の基端部を押圧するように配置される円環状の第2フレームと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の冷却用フィン構造体。
【請求項5】
前記第1フレーム及び前記第2フレームは、それぞれ、前記複数の放熱フィンの基端部側の角部と係合する係合面を有し、断面L字の形状を呈することを特徴とする請求項4に記載の冷却用フィン構造体。
【請求項6】
前記複数の放熱フィンの基端部側の角部と前記第1フレーム及び前記第2フレームの係合面との間に粘着テープをさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の冷却用フィン構造体。
【請求項7】
前記第1フレームは、前記接続部に対応する位置において、前記モータの軸に対して放射状に突出する複数の第1突出部を有し、
前記第2フレームは、前記複数の第1突出部と前記モータの軸方向において対向するように突出する複数の第2突出部を有し、
前記各第1突出部と前記各第2突出部とを前記モータの軸方向に接続する複数の接続部材をさらに備える請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の冷却用フィン構造体。
【請求項8】
前記第1突出部は、前記モータの軸方向に貫通する第1貫通孔を有し、
前記第2突出部は、前記モータの軸方向に貫通する第2貫通孔を有し、
前記各接続部材は、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔を通るネジと、前記ネジと螺合するナットと、から構成されることを特徴とする請求項7に記載の冷却用フィン構造体。
【請求項9】
前記各放熱フィンの前記モータの軸方向の断面が、矩形状であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の冷却用フィン構造体。
【請求項10】
前記各放熱フィン及び前記各接続部が、1枚の金属板を折曲げることによって一体的に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の冷却用フィン構造体。
【請求項11】
前記各放熱フィンの前記各端部は、前記金属板を折曲げることによって形成された内蓋部を有することを特徴とする請求項1を引用する請求項10に記載の冷却用フィン構造体。
【請求項12】
前記粘着テープは、加熱することによって硬化することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の冷却用フィン構造体。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の冷却用フィン構造体を備えることを特徴とするモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却用フィン構造体、及び冷却用フィン構造体を備えるモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放熱フィンを用いてモータを冷却する構成が知られている。例えば、特許文献1には、モータのハウジングの外周面にフィンアセンブリを設けた構成が記載されている。
このフィンアセンブリは、複数の中空フィンと、フィンの下側の開口を閉じる複数の脚部が形成された下側キャップ部材と、フィンの上側の開口を閉じる複数の脚部が形成された上側キャップ部材と、を有している。中空フィンの内部には冷却媒体が充填されており、ロータの回転によって冷却媒体を攪拌させ、冷却媒体を循環させることにより、ステータを効率よく冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-057994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のフィンアセンブリでは、各中空フィンの下側の端部が、下側キャップ部材の各脚部の溝部に挿し込まれることによって閉じられ、各中空フィンの上側の端部が、上側キャップ部材の各脚部の溝部に挿し込まれることによって(つまり、各中空フィンの端部が各脚部と嵌合することによって)閉じられ、中空フィンの内部に冷却媒体を封止している。
しかしながら、特許文献1の構成の場合、中空フィンの内部の冷却媒体が漏出しないように、各中空フィンの端部と各脚部が水密(又は気密)に封止されている必要があるため、各中空フィンの端部及び各脚部に精密な加工が求められる、といった問題がある。
また、複数の脚部が、下側キャップ部材と上側キャップ部材にそれぞれ一体的に形成されているため、各中空フィンの端部に各脚部の溝部を挿し込む作業は非常に煩わしく、時間を要する、といった問題もある。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、組立作業性がよく、中空のフィンの端部を確実に封止することが可能な冷却用フィン構造体、およびこのような冷却用フィン構造体を備えるモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の冷却用フィン構造体の一つの態様は、モータの外周を囲むように取付けられ、モータからの熱を放出する冷却用フィン構造体であって、モータの軸に対して放射状に突出し、かつモータの軸に対して平行に延び、内部に冷媒が封入される中空部を有する複数の放熱フィンと、複数の放熱フィンの基端部において各放熱フィンの間に設けられ、複数の放熱フィンを円筒状に接続する複数の接続部と、各放熱フィンのモータの軸方向両側の端部をそれぞれ覆うように設けられ、中空部を封止する複数の蓋体部と、各端部と各蓋体部の間に設けられ、各蓋体部を各端部に固定する粘着テープと、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明のモータの一つの態様は、上記冷却用フィン構造体を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、組立作業性がよく、中空のフィンの端部を確実に封止することが可能な冷却用フィン構造体が実現される。また、このような冷却用フィン構造体を備えるモータが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る冷却用フィン構造体を備えるモータの斜視図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係る冷却用フィン構造体の構成を説明する図である。
図3図3は、図2の蓋体部の構成を説明する図である。
図4図4は、本発明の第2実施形態に係る冷却用フィン構造体の構成を説明する図である。
図5図5は、本発明の第3実施形態に係る冷却用フィン構造体の構成を説明する図である。
図6図6は、本発明の第4実施形態に係る冷却用フィン構造体の構成を説明する図である。
図7図7は、図6の蓋体部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の冷却用フィン構造体を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下では、説明の便宜上、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸を設定する。一例として、X軸とY軸を含むXY平面が水平となっており、Z軸が鉛直となっている。また、図1図2および図4図7中の上側を「上(または上方)」、下側を「下(または下方)」と言う。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る冷却用フィン構造体を備えるモータの斜視図である。本実施形態のモータ1は、例えば、無人飛行体に搭載されるモータであり、図1に示すように、ハウジング10と、ロータ20と、ステータ30と、冷却用フィン構造体40と、を備える。
【0012】
ハウジング10は、ロータ20、ステータ30を内部に収容する、金属製の筒状のケースであり、ハウジング10の外周面には冷却用フィン構造体40が設けられている。なお、本実施形態においては、モータ1の中心軸J側から順に、ロータ20、ステータ30、冷却用フィン構造体40が同心状に配置されているが、ロータ20とステータ30の位置関係は、逆転してもよい。
【0013】
ステータ30は、導電性を有するコイル(不図示)を備えており、コイルが通電状態となることにより、ロータ20がステータ30内で回転する。コイルは、通電により発熱するが、冷却用フィン構造体40によって、コイルからの熱が放出されるようになっている。
【0014】
冷却用フィン構造体40は、中空の複数の放熱フィン51が形成された円筒状のフィン本体部50と、各放熱フィン51のモータ1の軸方向両側の端部を覆うように設けられた蓋体部60と、接着テープ70と、を有する。本実施形態においては、各放熱フィン51の内部空間(中空部)は、ステータ30が配置されている空間とつながっており、ステータ30が配置されている空間は、さらにロータ20が配置されている空間と接続されており、これら連続する空間内には液体の冷媒が充填されている。そして、モータ1に電力が供給され、ロータ20が回転すると、冷媒が空間内で循環する。このため、ステータ30のコイルで発生する熱が冷媒を介して放熱フィン51に伝導し、放熱フィン51の表面から外気に放熱される。このように、冷却用フィン構造体40によって、ステータ30を効率よく冷却することができるようになっている。
【0015】
図2は、冷却用フィン構造体40の構成を説明する図であり、図2(a)は、冷却用フィン構造体40の部分拡大斜視図であり、図2(b)は、蓋体部60部分(つまり、放熱フィン51のZ軸方向両端部)の断面図である。また、図3は、蓋体部60の構成を説明する図であり、図3(a)は、蓋体部60の表面の斜視図であり、図3(a)は、蓋体部60の裏面の斜視図である。
【0016】
フィン本体部50は、モータ1の中心軸Jに対して放射状に突出し、かつモータの中心軸J(Z軸方向)に対して平行に延びる複数の放熱フィン51と、各放熱フィン51の基端部と隣接する放熱フィン51の基端部とを接続する接続部52と、を有し、全体として円筒状の形状を呈している(図1)。本実施形態の複数の放熱フィン51及び複数の接続部52は、例えば、熱伝導性に優れた金属(アルミニウム等)の1枚の板材を繰り返し折り返すことによって形成することができる。なお、本実施形態の各放熱フィン51のXY平面の断面は、略矩形状であり、放熱フィン51の内部は中空になっている。また、各放熱フィン51のZ軸方向両端部はそれぞれ開口している。
【0017】
蓋体部60は、各放熱フィン51のZ軸方向両端部をそれぞれ覆うように取付けられる矩形状の金属(アルミニウム等)の部材である。図3に示すように、蓋体部60は、蓋体部60の内側に沿ってコの字状に形成された溝62を有している。蓋体部60が各放熱フィン51に取付けられたとき、各放熱フィン51の端部が溝62に嵌り(収容され)、溝62の外側の壁部64と平面部66によって各放熱フィン51の端部が覆われ、各放熱フィン51の中空部が封止される。なお、本実施形態の蓋体部60は、プレス成型等で製作することができる。
【0018】
接着テープ70は、蓋体部60を各放熱フィン51のZ軸方向両端部に固着するための両面テープである。本実施形態においては、接着テープ70は、放熱フィン51と接続部52の外周面のZ軸方向両端部に沿って貼られている。そして、蓋体部60が各放熱フィン51に取付けられたときに、接着テープ70が蓋体部60の壁部64と放熱フィン51の外周面との間に挟まれて、蓋体部60が各放熱フィン51に固定されるようになっている(図2(b))。なお、接着テープ70としては、加熱することによって硬化するものが望ましく、例えば、仮固定用の接着シートと熱硬化接着剤がラミネートされた粘着フィルムを用いることができる。
このように、本実施形態においては、接着テープ70が放熱フィン51の外周面に設けられ、蓋体部60の溝62に嵌るように構成されているため、各放熱フィン51の中空部内の冷媒及びその蒸気が接着テープ70に直接接する面積は極めて小さく抑えられている。従って、放熱フィン51の中空部内の圧力変化による変形と接着テープ70の膨潤が抑制される。
【0019】
このように、本実施形態の冷却用フィン構造体40は、蓋体部60が接着テープ70を介して各放熱フィン51のZ軸方向両端部に個別に取付けられる。従って、本実施形態の冷却用フィン構造体40は、組立が容易でありながらも、各放熱フィン51の中空部が確実に封止される。
【0020】
以上が本発明の実施形態の説明であるが、本発明は、上記の実施形態の構成に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。
【0021】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係る冷却用フィン構造体40Aの構成を示す図であり、図4(a)は、冷却用フィン構造体40Aの斜視図であり、図4(b)は、冷却用フィン構造体40Aの部分拡大斜視図であり、図4(c)は、蓋体部60A部分(つまり、放熱フィン51のZ軸方向両端部)の断面図である。
【0022】
図4に示すように、本実施形態の冷却用フィン構造体40Aは、フィン本体部50のZ軸方向両端部に円環状のプレート80、90(第1プレート、第2プレート)をそれぞれ有する点、および蓋体部60Aに溝62が形成されていない点で第1実施形態の冷却用フィン構造体40と異なる。なお、プレート80とプレート90は、同一の構成であるため、以下プレート80について主に説明する。
【0023】
図4(a)、(b)に示すように、プレート80は、円環状のフレーム81と、フレーム81から放射状に突出する、矩形状の複数の舌片部82(第1舌片部)と、を有する金属製の板状の部材である。各舌片部82は、Z軸方向端部の開口を塞ぐように、各放熱フィン51のZ軸方向+側の端部に位置するように配置され(つまり、蓋体部60Aと対向するように配置され)、円環状のフレーム81がモータ1のハウジング10内に固定される。
なお、プレート90は、プレート80と同様、円環状のフレーム91(不図示)と、フレーム91から放射状に突出する、矩形状の複数の舌片部92(第2舌片部(不図示))と、を有する金属製の板状の部材であり、各舌片部92が各放熱フィン51のZ軸方向-側の端部に位置するように配置され、円環状のフレーム91がモータ1のハウジング10内に固定される。
【0024】
蓋体部60Aは、第1実施形態の蓋体部60と同様、各放熱フィン51のZ軸方向両端部をそれぞれ覆うように取付けられる矩形状の金属(アルミニウム等)の部材である。蓋体部60Aが各放熱フィン51に取付けられたとき、壁部64Aと平面部66Aによって各放熱フィン51の端部及び舌片部82、92が覆われ、各放熱フィン51の中空部が封止される。
【0025】
接着テープ70は、蓋体部60Aを各放熱フィン51のZ軸方向両端部に固着するための両面テープである。本実施形態においては、接着テープ70は、蓋体部60Aの内面に沿って貼られている。そして、蓋体部60Aが各放熱フィン51に取付けられたときに、接着テープ70が蓋体部60Aの壁部64と放熱フィン51の外周面との間、および蓋体部60Aの平面部66Aと舌片部82、92との間に挟まれて、蓋体部60Aが各放熱フィン51に固定されるようになっている(図4(c))。
このように、本実施形態においては、接着テープ70が蓋体部60Aの内面に沿って設けられ、蓋体部60Aが各放熱フィン51の端部及び舌片部82、92を覆うように取付けられる。このため、各放熱フィン51の中空部内の冷媒及びその蒸気が接着テープ70に直接接する面積は極めて小さく抑えられている。従って、第1実施形態と同様、放熱フィン51の中空部内の圧力変化による変形と接着テープ70の膨潤が抑制される。
【0026】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態に係る冷却用フィン構造体40Bの構成を示す図であり、図5(a)は、冷却用フィン構造体40Bの斜視図であり、図5(b)は、冷却用フィン構造体40Bの部分拡大斜視図であり、図5(c)は、接続部材130部分の断面図である。
【0027】
図5に示すように、本実施形態の冷却用フィン構造体40Bは、プレート80、90に代えて、フィン本体部50のZ軸方向両端部に円環状のフレーム部材100、110(第1フレーム、第2フレーム)を有し、フレーム部材100、110が接続部材130によって接続されている点、および放熱フィン51の基端部を覆うように接着テープ72が設けられている点で第2実施形態の冷却用フィン構造体40Aと異なる。なお、フレーム部材100とフレーム部材110は、同一の構成であるため、以下フレーム部材100について主に説明する。
【0028】
図5(a)、(b)に示すように、フレーム部材100は、円環状のフレーム101と、フレーム101から放射状に突出する複数の突出部103(第1突出部)と、を有する金属製の板状の部材であり、各突出部103が放熱フィン51の間に位置するように蓋体部60Aの上(Z軸方向+側)に配置され、円環状のフレーム101がモータ1のハウジング10内に固定される。
なお、フレーム部材110は、フレーム部材100と同様、円環状のフレーム111(不図示)と、フレーム111から放射状に突出する複数の突出部113(第2突出部(不図示))と、を有する金属製の板状の部材であり、各突出部113が放熱フィン51の間に位置するように蓋体部60A上(Z軸方向-側)に配置され、円環状のフレーム111がモータ1のハウジング10内に固定される。
【0029】
図5(b)、(c)に示すように、フレーム101は、複数の放熱フィン51の基端部側の角部と係合する断面L字の係合面105を有している。そして、フレーム部材100が蓋体部60A上に取付けられたときに、複数の突出部103が放熱フィン51の間に位置する状態で係合面105が複数の放熱フィン51の基端部側の角部と係合するように配置される。そして、フレーム部材100が蓋体部60A上に取付けられたとき、突出部103に形成された、Z軸方向に貫通する貫通孔103aが、フィン本体部50の各接続部52よりも外側に位置するようになっている。
【0030】
接着テープ72は、フレーム部材100を蓋体部60A上に固着するための両面テープである。本実施形態においては、接着テープ72は、フレーム101の係合面105に沿って貼られており、フレーム部材100を蓋体部60A上に取付けられたときに、接着テープ72が放熱フィン51の基端部側の角部と係合面105との間に挟まれて、フレーム部材100が蓋体部60Aに固定されるようになっている(図5(b))。
【0031】
接続部材130は、フレーム部材100、110をZ軸方向に連結する部材であり、フィン本体部50の各接続部52に沿ってZ軸方向に延びるネジ131と、ネジ131の先端部と螺合するナット132とで構成されている。ネジ131をフレーム部材100、110の突出部103、113(不図示)の貫通孔103a(第1貫通孔)、113a(第2貫通孔(不図示))に通し、ネジ131の先端部にナット132を取付けることで、Z軸方向に互いに対向する突出部103、113が連結される。そして、各ネジ131を締め付けることによって、フレーム部材100、110を蓋体部60Aに対して(つまり、フィン本体部50に対して)付勢され、両者か確実に固定されることとなる。なお、接続部材130は、接着テープ70、72による蓋体部60A及びフレーム部材100の固定後、接続部材130を取り外してもよい。
【0032】
このように、本実施形態においては、接着テープ72が放熱フィン51の基端部側の角部に沿って設けられ、フレーム部材100、110が放熱フィン51の基端部側の角部を覆うように取付けられる。このため、各放熱フィン51の中空部内の冷媒及びその蒸気が接着テープ70に直接接する面積は極めて小さく抑えられている。従って、第1実施形態と同様、放熱フィン51の中空部内の圧力変化による変形と接着テープ70の膨潤が抑制される。
また、フレーム部材100、110が、蓋体部60AをZ軸方向+側および-側に付勢するように強固に固定されるため、蓋体部60Aとフィン本体部50との隙間から冷媒及びその蒸気が漏出するのを確実に防止することができる。
【0033】
(第4実施形態)
図6は、本発明の第4実施形態に係る冷却用フィン構造体40Cの構成を示す図であり、図6(a)は、冷却用フィン構造体40Cのフィン本体部50Aの組立方法を説明する部分斜視図であり、図6(b)は、蓋体部60Bをフィン本体部50Aに取付ける様子を説明する部分拡大図である。なお、図6(a)においては、3枚の放熱フィン51Aを示すが、実際には、第1~第3の実施形態のフィン本体部50と同様、複数の放熱フィン51Aが円筒状に連なって構成されている。
【0034】
図6(a)に示すように、本実施形態のフィン本体部50Aは、放熱フィン51AのZ軸方向両端に、接続部52AよりもZ軸方向に長い延長部53A~55Aが形成されている点で、第1実施形態のフィン本体部50と異なる。
【0035】
延長部53A、54Aは、放熱フィン51Aの突出方向(つまり、フィン本体部50の半径方向)に延びる2辺からZ軸方向+側および-側に突出する部分であり、延長部55Aは、放熱フィン51Aの先端部からZ軸方向+側および-側に突出する部分である。延長部53A~55Aは、延長部53Aと55Aとの間に形成されたスリット56Aと、延長部54Aと55Aとの間に形成されたスリット57Aによって完全に独立しており、延長部53A~55Aの内側の、放熱フィン51Aとの境界部分には、Vノッチが形成されている。そして、Vノッチに沿って、延長部53A~55Aを内側に折り曲げることにより、各放熱フィン51Aの端部(開口部)が延長部53A~55Aによって覆われ、各放熱フィン51Aの中空部が封止される。図6(b)の右側の2つの放熱フィン51Aは、延長部53A~55Aを折り曲げて、各放熱フィン51Aの端部(開口部)を封止した状態を示している。なお、図6(b)の放熱フィン51Aにおいては、延長部53A、54A、55Aを順に折り曲げた上で、延長部55Aを専用の工具でカシメている。そして、本実施形態においては、放熱フィン51Aの先端部(つまり、延長部55Aの周辺部)を覆うように、蓋体部60Bが取付けられる。なお、第2実施形態の蓋体部60Aと同様、本実施形態の蓋体部60Bには、内面に沿って接着テープ70が貼られており、接着テープ70を介して蓋体部60Bが放熱フィン51Aの先端部に固定される。
このように、本実施形態においては、延長部53A~55Aによって各放熱フィン51の端部(開口部)を覆った上で(つまり、延長部53A~55Aによって内蓋(内蓋部)を形成した上で)、接着テープ70を介して蓋体部60Bが取付けられる。このため、各放熱フィン51Aの中空部内の冷媒及びその蒸気が接着テープ70に直接接する面積は極めて小さく抑えられている。従って、第1~第3実施形態と同様、放熱フィン51Aの中空部内の圧力変化による変形と接着テープ70の膨潤が抑制される。
なお、放熱フィン51Aの先端部(つまり、延長部55Aの周辺部)を覆うように、蓋体部60Bが取付けられるため、放熱フィン51Aの先端部の隙間から冷媒及びその蒸気が漏出するのを確実に防止することができる。
【0036】
(蓋体部60Bの変形例)
図7は、本発明の第4実施形態の蓋体部60Bの変形例を示す図である。本変形例に係る蓋体部60Cは、各放熱フィン51AのZ軸方向両端部を覆うキャップ本体61Cと、各放熱フィン51Aの基端部を覆うようにキャップ本体61Cから突出する突出部62Cと、を有する点で第4実施形態の蓋体部60Bと異なる。
このように、突出部62Cによって各放熱フィン51Aの基端部が覆われるため、各放熱フィン51Aの基端部の隙間から冷媒及びその蒸気が漏出するのを防止することができる。
【0037】
なお、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0038】
1 :モータ
10 :ハウジング
20 :ロータ
30 :ステータ
40 :冷却用フィン構造体
40A :冷却用フィン構造体
40B :冷却用フィン構造体
40C :冷却用フィン構造体
50 :フィン本体部
50A :フィン本体部
51 :放熱フィン
51A :放熱フィン
52 :接続部
52A :接続部
53A :延長部
54A :延長部
55A :延長部
56A :スリット
57A :スリット
60 :蓋体部
60A :蓋体部
60B :蓋体部
60C :蓋体部
61C :キャップ本体
62 :溝
62C :突出部
64 :壁部
64A :壁部
66 :平面部
66A :平面部
70 :接着テープ
72 :接着テープ
80 :プレート
81 :フレーム
82 :舌片部
90 :プレート
91 :フレーム
92 :舌片部
100 :フレーム部材
101 :フレーム
103 :突出部
103a :貫通孔
105 :係合面
110 :フレーム部材
111 :フレーム
113 :突出部
130 :接続部材
131 :ネジ
132 :ナット

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7