(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185540
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】飲料用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 85/72 20060101AFI20221207BHJP
【FI】
B65D85/72 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093308
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】521241719
【氏名又は名称】近藤 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(72)【発明者】
【氏名】近藤 健志
【テーマコード(参考)】
3E035
【Fターム(参考)】
3E035AA03
3E035BA04
3E035BC02
3E035BD04
3E035CA03
(57)【要約】
【課題】体温管理を行うのに適した飲料用容器を提供すること。
【解決手段】飲料用容器10において、人の首周り部分に沿う形状をした曲面部12Aを容器本体12に設けた。容器本体12を人の首周り部分にあてがうことで、容器内の飲料の温度を利用して首周りにある頸動脈を流れる血液を効率的に温度調節できることとなり、その結果、体温管理を効果的に行うことが可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
首周り部分に沿う形状をした曲面部を本体に有する飲料用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの各種店舗や自動販売機で取り扱われている飲料の多くは、ペットボトルなどの容器に詰められた状態で市販されている。また、近年では、ペットボトル飲料を冷凍した状態で販売されるようなケースも見受けられる。
【0003】
市販のペットボトル飲料の容器は、有底円筒形や有底角筒形をした容器本体の先端側にある首部に小口を有する形状のものがほとんどである。また、容器本体の形状に工夫を凝らしたペットボトルが下記の特許文献1、2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5155422号公報
【特許文献2】実用新案登録第3157075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年における気象変動に伴い、従来よりも熱中症対策が重要視されている。例えば、水分や塩分の補給をこまめに行うなどの予防策は、広く一般にも知られている。この点、ペットボトル飲料は、市場での流通が多く、時間や場所を問わず入手しやすいという点で利便性に富む。
【0006】
また、身体を冷やすといった体温管理も熱中症の予防策として有効であるとされている。上記したペットボトル飲料の利便性を生かせば、この体温管理にも幅広く応用できる可能性がある。一方、体温管理という点においては、身体を冷やすために限らず、身体を温めることを目的とした用途でも需要が見込まれる。
【0007】
上記した課題に鑑み、本発明は、体温管理を行うのに適した飲料用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る飲料用容器は、首周り部分に沿う形状をした曲面部を本体に有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、飲料用容器の本体に設けられた曲面部が首周り部分に沿う形状をしているので、首周りにあてがうのに適している。これにより、容器内の飲料の温度を利用して首周りにある頸動脈を流れる血液を効率的に温度調節できることとなり、その結果、体温管理を効果的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る飲料用容器を示す図である。
【
図2】第2実施形態に係る飲料用容器を示す図である。
【
図3】第3実施形態に係る飲料用容器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る飲料用容器の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
<第1実施形態>
図1に示すように、第1実施形態に係る飲料用容器10は、公知のペットボトルと同様、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主原料とする合成樹脂製の容器である。飲料用容器10は、容器本体12とキャップ14とを含む。
【0013】
容器本体12は、内部の空間側に向けて湾曲した曲面部12Aを有する。この曲面部12Aは、人の首周り部分に沿うように、緩やかな曲率で湾曲した形状となっている。この曲面部12A以外の容器本体12の全体形状は、基本的には、既存のペットボトルと同様の形状、すなわち、有底円筒形の先端側にある先細りした首部12Bに不図示の小口(飲み口)を有する形状をしている。容器本体12内部の空間には、水やスポーツドリンクなどの清涼飲料が詰められており、首部12Bに設けられた小口がキャップ14で封止されている。
【0014】
容器本体12の底部側の側面および首部12Bの側面には、突起部16A,16Bがそれぞれ上下方向に間隔をあけて設けられている。これらの突起部16A,16Bには、それぞれ貫通孔が形成されている。突起部16A,16B各々の貫通孔には、紐状や細帯状の保持具18が取り付けられる。突起部16A,16B及び保持具18は、飲料用容器10を人の首周りに沿わせた状態に保持するための保持手段としての役割を果たす。
【0015】
上記構成を有する飲料用容器10によれば、容器本体12に設けられた曲面部12Aが人の首周り部分に沿う形状をしているので、首周りにフィットするように容器本体12をあてがうことができる。これにより、容器内に詰められた飲料の温度を利用して首周りにある頸動脈を流れる血液を効率的に温度調節できることとなり、その結果、体温管理を効果的に行うことが可能となる。
【0016】
また、容器本体12内に飲料が詰められた飲料用容器10を冷凍庫または冷蔵庫で保管しておくと、簡易的な冷感具として即座に使用することができる。これとは逆に、飲料用容器10を保温庫で保管しておけば、簡易的な温感具としての使用も可能である。
【0017】
さらに、突起部16A,16B及び保持具18を保持手段として機能させることで、容器本体12の曲面部12Aが首周りにフィットしてあてがわれた状態を保持することができる。これにより、飲料用容器10の装着者は、両手が自由に使えることとなり、体温管理を行いながら、自身の両手を使用して所要の作業を進めることができるといった利点も得られる。
【0018】
加えて、本実施形態の飲料用容器10は、市販のペットボトル飲料で使用されている容器との比較において、外観形状やサイズが大幅に変更されることもないので、既存するペットボトル飲料の市場にも違和感なく参入することが期待でき、ひいては、既述したペットボトル飲料の利便性についても、そのまま享受することが可能である。
【0019】
<第2実施形態>
上記した第1実施形態では、既存のペットボトルの外観形状やサイズがベースとなっている容器本体12の一部に曲面部12Aが設けられた構成の飲料用容器10を例示した。これに対し、第2実施形態に係る飲料用容器20は、
図2に示すように、容器本体22が全体的に湾曲した形状となっている。
【0020】
第2実施形態に係る飲料用容器20は、容器本体22に関する構成以外は、第1実施形態に係る飲料用容器10と基本的に同じである。よって、第2実施形態において、第1実施形態と実質的に同じ構成については同じ符号を付して、その説明は必要に応じて言及するに止め、以下、異なる部分を中心に説明する。
【0021】
容器本体22は、既存のペットボトル飲料で使用される容器全体を円弧状に湾曲させた形状をしている。容器本体22では、その側面のうち内周側の円弧に相当する部分が曲面部22Aとなっている。この曲面部22Aは、人の首周り部分に沿うように、緩やかな曲率で湾曲している。そして、曲面部22Aの両端側(容器本体22の底部側の側面および首部22B直下の側面)に、突起部16A,16Bが設けられている。
【0022】
第2実施形態に係る飲料用容器20によれば、容器本体22が全体的に湾曲した形状となっているので、曲面部22Aを設けることによる容積の減少を回避できる。そのため、体温管理と同時に水分補給も重視したいような状況下での使用(例えば、炎天下における屋外での作業時など)に特に適している。
【0023】
<第3実施形態>
上記した第1及び第2の各実施形態では、いずれも、既存のペットボトルの外観形状やサイズをベースにして、容器本体の全体形状の一部に曲面部を設けることとした。これに対し、第3実施形態に係る飲料用容器30は、
図3に示すように、容器本体32の全体形状が、人の首周りにあてがうことを前提として専用設計されたものとなっている。
【0024】
第3実施形態に係る飲料用容器30も、容器本体32に関する構成以外は、第1及び第2の各実施形態と基本的に同じである。よって、第3実施形態において、第1及び第2の各実施形態と実質的に同じ構成については同じ符号を付して、その説明は必要に応じて言及するに止め、以下、異なる部分を中心に説明する。
【0025】
容器本体32は、平面視でC字状(あるいはU字状)に湾曲した全体形状をしている。容器本体32では、その側面のうち内周側の円弧に相当する部分が曲面部32Aとなっているが、第2実施形態の飲料用容器20よりも、首周り部分との接触面積が広くなるような設計となっている。具体的には、容器本体32を人の首周りにあてがったとき、首裏部分から左右両側の側面部分にわたって曲面部32Aが接触するように構成されている。
【0026】
また、容器本体32の両端部側、すなわち、首部32B側と底部32C側は、それぞれ、平面視で
図3の紙面奥側から手前側へ向かって緩やかに湾曲している。つまり、容器本体32では、その両端部側にも湾曲面32D,32Eが形成されている。これら両端部側の湾曲面32D,32Eは、容器本体32が人の首周りにあてがわれたとき、左右の肩部分に沿う格好で支持される。したがって、飲料用容器30では、湾曲面32D,32Eが容器本体32を人の首周りに沿わせた状態に保持するための保持手段としての役割を果たすように構成されている。
【0027】
第3実施形態に係る飲料用容器30によれば、容器本体32の全体形状が人の首周りにあてがうことを前提として専用設計されているので、上記した飲料用容器10、20と比較して、首周り部分との接触面積を広くとることが可能となっており、その結果、より一層効果的な体温管理を行うことができる。また、容器本体32自体の一部である湾曲面32D,32Eが保持手段として機能するため、容器本体32をより安定した姿勢で首周りにあてがった状態を保持できるといった利点も得られる。
【0028】
以上、本発明に係る飲料用容器を実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記した形態に限らないことは勿論であり、例えば、以下のような形態で実施されても構わない。
【0029】
<変形例>
(1)上記実施形態において、容器本体の曲面部は一様な曲率で形成されていたが、曲面部全体において曲率が部分的に異なるような形態であってもよい。また、曲面部の幅についても、必ずしも一様である必要はない。例えば、曲面部を正面視したとき、首の付け根側に配置する部分の幅を広くし、頭側の幅が徐々に狭くなるような形態であっても構わない。
【0030】
(2)上記実施形態では、公知の有底円筒形を基本構成とするペットボトルがベースとなっているが、公知の有底角筒形をしたペットボトルをベースとして、その容器本体の一部に上記したような形態の曲面部を形成することとしても構わない。
【0031】
(3)上記第1及び第2の各実施形態において、保持手段は、突起部16A,16B及び保持具18によって構成されていたが、保持手段はこれに限らず、他の構成のものを採用することとしても構わない。例えば、容器本体の上下の側周面に帯状のフラップを一対設けるようにしても構わない。帯状のフラップは、弾性変形性を有する素材で形成されており、通常時は、容器本体の側周面に巻き付くような格好で容器本体に取り付けられているが、使用時には、両肩に沿わせるような構成となっている。両肩に沿わせるためにフラップを弾性変形させ、その復元力を利用して、フラップが両肩に沿った状態を保持させるのである。なお、保持手段として、このフラップを突起部16A,16B及び保持具18と併用するような形態で実施してもよい。
【0032】
また、市販されている冷感タオルなどを利用して、曲面部を首周りにあてがった状態で容器本体を取り付けるような態様で実施しても構わない。この場合、容器本体には、突起部が設けられていなくても特に差支えはない。
【0033】
さらに言えば、上記実施形態および変形例で例示した保持手段は必須の構成ではない。例えば、簡易的な冷感具または温感具として使用するのであれば、容器本体を自身の首周りに手であてがうだけでも、体温管理の観点としては十分な効果が得られるのである。
【0034】
(4)上記実施形態および変形例は、いずれも、容器本体が、中心軸に対して非対称となる形状に設計されているが、必ずしも非対称である必要はない。要するに、容器本体に形成されている曲面部が「首周り部分に沿わせる」という明確な意図をもった設計思想を実現している限り、中心軸に対して対称となる形状の容器であっても構わない。
【0035】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0036】
10、20、30 飲料用容器
12、22、32 容器本体
12A、22A、32A 曲面部