(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185546
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】納骨堂
(51)【国際特許分類】
A47G 33/02 20060101AFI20221207BHJP
【FI】
A47G33/02 D
A47G33/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021113822
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】500090958
【氏名又は名称】松本 安子
(72)【発明者】
【氏名】松本 安子
(57)【要約】 (修正有)
【課題】仏壇に納骨スペースを付け加えることで納骨堂或いはお墓を購入する必要がなく、自宅でお墓参りが可能となり、回忌法要などを寺院等から配信することができる仏壇を提供する。
【解決手段】薄型仏壇1の正面部分は、正面カバー3を閉じた状態で絵画や写真、或いはその他デザインを取付けていれば少し厚めの額縁のように見られる。遺骨をパウダー状にして納める小型納骨ボックス4を加えても壁に掛けられる形状である。仏壇後背部に骨壺1霊が納まるボックスを取付けることが出来る。お参りの時は、正面カバー3を開けば、正面カバー3自体がお線香や花などを載せる敷台となり、仏壇前面のディスプレイ2には薄型仏壇1の画像が映し出されており、その画像は固定画像のみならず故人の写真や映像などを流すこともできる。法要や盂蘭盆では寺院等との連携でお経の配信も行える。墓参りでは、ディスプレイ2にタッチして画面をお墓に切り替える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
故人の位牌や写真、既存又は架空のお墓の画像その他必要な情報を入力し、寺院その他から法要のお経などを受信するディスプレイを組み込んだ仏壇。
【請求項2】
請求項1記載のディスプレイは木製、樹脂製、その他の材料を加工し、ディスプレイの見える面はそのサイズの開口部を設けた薄型の箱状の容器に納める。この容器の下部は、開口したディスプレイ部分の蓋となる開閉できるパネルを取り付けて通常はディスプレイ部分が見えないように閉じることが出来る。尚、お参りする間はこの蓋を手前に直角に開くと、燈明や線香、お花などを載せる敷台となる機能を備えた納骨堂。
【請求項3】
請求項2の仏壇は、ディスプレイを納めるだけの厚さ(奥行)しかなく、従って壁に掛けることが可能な仏壇。
【請求項4】
請求項1~3の仏壇の下部に小型の納骨ボックスを取り付ける。壁掛け式の機能を維持する目的からパウダーにした遺骨を小型容器に納めたものか、パウダーにした遺骨を圧縮、固形化して更に小型化したものが複数納められる小型の納骨ボックスと連結した仏壇。
【請求項5】
請求項1~3の仏壇の背面に通常の骨壺が1霊収納できるボックスを取り付ける。但し、壁に掛けることは適切ではない。
【請求項6】
日々のお参りはディスプレイに映し出される仏壇或いは仏壇をイメージした画像に向かうが、盂蘭盆や命日など通常お墓参りに行く習慣がある場合、ディスプレイ上は故人、又は家族の希望する埋葬場所のイメージに沿った墓石や景色、仏像などの映像に切り替えてお参りする。
【請求項7】
請求項6に記載した宗教的各行事では、寺院等と取り決めた、或いは寺院等からの委託を受けたネット配信者と仏壇購入者との取り決めで、法要の種別毎のお経などが指定日時に該当仏壇へ送信することができる。この場合、該当仏壇保持者からの依頼があれば別居する家族や親族のパソコンやタブレットへの送信も可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仏壇と遺骨を埋葬する墓とを一体化し、且つ、狭い住環境でも場所をとらないように極力小型化して通常の仏壇の中に納まっている位牌や仏像、写真等の画像をディスプレイに入力し、更にお墓等の画像に切り替える機能も有しており、1台で仏壇でのお参りと墓参りができる。法事などの行事に於いても寺院や墓参りに行くことや自宅に僧侶を招くこと、或いは親族が日時をすり合わせて集うなど、経済的、時間的負担を減らすと共に移動を無くすことでコロナ等の感染リスクも大きく軽減することが出来る。
【背景技術】
【0002】
墓地及び納骨堂には、合葬墓や樹木葬、海洋散骨など極力販売価格を抑えたものも散見するが、何れも従来からの課題である低価格、簡便な墓参や法要を求める墓地、納骨堂の購入者から見れば目標とは大きく乖離している。仏壇の場合は単純な仏壇のみであれば低価格のものも見受けられる。納骨スペースを伴う仏壇も出現しているが単純に仏壇に納骨スペースを加えただけで斬新さに欠け、狭小住宅には大きすぎ葬儀後の一連の経済的時間的負担を解決するには至っていない。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
日本人の死者への供養に関して多数を占める仏教での行事のあり方から見た場合、家族が亡くなると枕経から通夜、葬儀、初七日、四十九日、百か日と行事が続き、四十九日から百か日の間に仏壇や墓地・納骨堂を購入する。墓地・納骨堂や仏壇の購入価格は高額であり、各種法要や移動に要する経済的、時間的負担も遺族に大きくのしかかり、近年は子供や孫にお墓を継承させることを躊躇する親世帯が急増している。又、新規に寺院の檀家に入ることのみならず旧来から繋がりある寺院の檀家を継承することも避ける世代も増えており、このような現象が続けば寺院等の運営は厳しくなり同時に日本の祭祀のあり方が忘れ去られ、即ち日本文化が断ち切られるといった状況に至ることを憂うる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はディスプレイを内蔵した壁掛けも可能な薄型仏壇とその下部にパウダー状の遺骨を納める納骨ボックスを取り付け、或いは薄型仏壇後背部に通常の骨壺を納められる納骨スペースを取り付けたもので、何れも仏壇とお墓と双方の機能を備え、各種の法要時には日時を定めてお経を配信して、お墓や寺院に行かずに自宅に居ながらにしてお寺参りやお墓参りが出来、その都度、法要の内容に沿ったお経が配信され、遠方の親族へ配信することが可能な仏壇兼お墓である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の効果として、まず墓地・納骨堂にかかる高額な費用が削減できることに加えて法要等をネット配信することでお寺や墓参り、その他親族が集まるために移動する必要がなくなる等経済的にも感染症対策についても大きく貢献できるものである。仏壇の構造は壁掛けも可能で、都会の狭小住宅に於いてもその設置場所に悩むこともなくなる。また、檀家の減少に悩む過疎地域或いは従来から檀家数が少ない寺院等に於いても、各地に移転していった旧檀家の方々に呼び掛けて遠隔法要を行い寺院運営の効率を上げることで永く継承されてきた先祖を弔う美しい風習が廃れずに続けていける。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】ディスプレイを納める薄型仏壇中央部の斜視図
【
図4】ディスプレイを納める薄型仏壇中央部のカバー正面図
【
図5】薄型仏壇中央部下部に取り付ける小型納骨ボックスの斜視図
【
図6】薄型仏壇後背部に通常の骨壺用ボックスを取付けた斜視図
【
図8】薄型仏壇中央部下部に小型納骨ボックスを取付けた壁掛式の断面図
【
図9】薄型仏壇中央部後部に小型納骨ボックスを取付けた断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の形態を
図1~
図9に基づいて説明する。
【実施例0009】
図1は本発明の薄型仏壇にディスプレイ、カバー、小型納骨ボック及び通常の骨壺用ボックスのすべての部材を取付けた状態である。
【0010】
図2はディスプレイを入れる薄型仏壇中央部の斜視図であり、正面はディプレイ画面と同サイズに開口し、開口部の周囲は額縁状に装飾を施し、裏面はディスレイの熱放出用の小穴を複数穿つか開口部にメッシュ状のものを取付ける。
【0011】
図3はディスプレイで、仏壇画面と墓石画面とに切り替えることが出来る。
仏壇画面の画像は通常の仏壇でのお参りを想定して仏壇の画像を入力している。
墓石画面では、墓石の画像を入力しているが、購入者の希望によりその他の画像や購入者の持ち込む画像を仏壇・墓石共に画面として用いることも可能である。
【0012】
図4の薄型仏壇中央部のカバーは、ディスプレイを覆うカバーとして用いられ、閉じた状態では写真や絵画等を飾ることも出来、或いは家具調の木目、カラー板とすることもできる。又、開いた状態では棚として、燈明や線香、花などを載せてお参りする。
【0013】
図5小型納骨ボックスは、散骨などで施されるように遺骨をパウダー状にして体積を縮小して小さなボックスに複数収容することを目的としている。この小型納骨ボックスの正面を薄型仏壇の正面の真下に取り付ける事で、家具や台の上に置いて使用する場合に適しており、壁掛けとする場合は薄型仏壇の背面と小型納骨ボックスの背面とを揃える。
【0014】
図6は遺骨をパウダー状とすることに抵抗がある購入者のために通常の骨壺が納められるボックスを薄型仏壇の背面後部に取り付けたものであるが、基本的には一霊用であるが、骨壺が増える場合は仏壇全体の奥行きも大きくなるので古い遺骨の順にパウダー化する必要がある。
【0015】
図7は
図6の断面図であり、関東型の骨壺であれば薄型仏壇の背面から約27センチメートル程度のスペースが必要となる。
【0016】
図8は本発明の仏壇を壁掛け式とした場合の断面図であり、薄型仏壇の背面と小型納骨ボックスの背面とを揃えることで壁に平行に収まっている。
【0017】
図9は
図8の仏壇を家具や台の上に置いて使用するものであり、小型納骨ボックスは薄型仏壇の背面に取り付けている。
本発明の仏壇は、仏壇とお墓と両方の機能を有しており、購入者の経済的負担を軽減すると共に、簡便でありながらも心のこもった祭祀を行うことが出来、購入者のみならず宗教法人も増収が見込まれる。製造に関しては現在少子化や生活様式の変化から家具製造業は縮小傾向にあり、本仏壇が普及することで事業拡大の一助となることを願う。