(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185549
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】航空機安全救命システム
(51)【国際特許分類】
B64D 25/00 20060101AFI20221207BHJP
B64D 17/80 20060101ALI20221207BHJP
B64C 25/58 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
B64D25/00
B64D17/80
B64C25/58
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114472
(22)【出願日】2021-07-09
(31)【優先権主張番号】202110614351.1
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519340053
【氏名又は名称】杜 地
【氏名又は名称原語表記】Di DU
【住所又は居所原語表記】1-1-1,No.37 Donggeli,Dalian Economic and Technological Development Zone,Dalian Liaoning 116000 China.
(71)【出願人】
【識別番号】520329209
【氏名又は名称】杜 陽
【氏名又は名称原語表記】Yang DU
【住所又は居所原語表記】Group 20,Haifeng Committee,Yangguang Street,Tiexi District,Siping City,Jilin Province,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】杜 地
(72)【発明者】
【氏名】杜 陽
(57)【要約】 (修正有)
【課題】航空機の減速降下、降下衝撃力の緩衝を支援し、航空機とその機内の人員の安全を保証する。
【解決手段】一実施形態による救命システムは航空機本体を含み、航空機本体の頂部に開閉可能な安全倉が存在し、安全倉内に減速装置が配置され、減速装置が安全倉から放出されて航空機本体の降下を減速し、航空機本体の底部にダンピング緩衝機構が配置され、ダンピング緩衝機構が垂直方向に伸縮自在に配置され、ダンピング緩衝機構が航空機のホイールボディ下まで延伸することができる。本実施形態によれば、航空機本体の頂部に安全倉を備え、安全倉内の減速装置が緊急時に放出されて、航空機本体の減速を支援し、ダンピング緩衝機構がホイールボディの下まで延伸し、ダンピング緩衝機構がまず地面と接触することで、航空機本体の降下衝撃力を緩衝し、航空機本体が降下するときの衝撃力による重大な事故を防止する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機本体を含む航空機安全救命システムであって、前記航空機本体の頂部に開閉可能な安全倉が配置され、前記安全倉内に減速装置が配置され、前記減速装置が前記安全倉から放出されて前記航空機本体の降下を減速し、
前記航空機本体の底部にダンピング緩衝機構が配置され、前記ダンピング緩衝機構が垂直方向に伸縮自在に配置され、前記ダンピング緩衝機構が航空機ホイールボディの下まで延伸して前記航空機本体が降下するときの衝撃力をさらに緩衝する、ことを特徴とする航空機安全救命システム。
【請求項2】
前記ダンピング緩衝機構は、摩擦板、垂直支持体および弾性部材を含み、
前記垂直支持体は垂直に配置された油圧支持体であり、前記垂直支持体の頂端が前記航空機本体の底部に接続され、前記弾性部材は垂直支柱と前記摩擦板の間に位置して両者を接続し、
前記摩擦板は、前記垂直支柱が延ばすと前記ホイールボディの下までに移動して地面と摩擦して航空機本体を減速させ、前記弾性部材は、前記摩擦板が地面と接触すると弾性変形して外力を緩衝する、ことを特徴とする請求項1に記載の航空機安全救命システム。
【請求項3】
前記摩擦板は、前記航空機本体の長手方向に沿って延伸し、前記摩擦板の上面の両側にそれぞれ2つ以上の前記垂直支柱が接続され、すべての前記垂直支柱は前記摩擦板の延伸方向に沿って間隔を置いて配置される、ことを特徴とする請求項2に記載の航空機安全救命システム。
【請求項4】
前記ダンピング緩衝機構は、傾斜支持体をさらに含み、前記傾斜支持体は油圧支持体であり、前記傾斜支持体は傾斜に配置され、その固定端が前記航空機本体の底部に接続され、その伸縮端が前記垂直支柱の側部に接続される、ことを特徴とする請求項2または3に記載の航空機安全救命システム。
【請求項5】
前記航空機本体の外殻に中間層が形成され、前記中間層が前記安全倉と連通し、前記中間層内に補強ベルトが収容され、前記補強ベルトが前記航空機本体の周りに巻かれ固定されて前記安全倉内まで延伸し、
前記安全倉が前記航空機本体の長手方向に沿って間隔を置いて複数配置され、前記安全倉内のすべての前記減速装置は前記補強ベルトに固定的に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の航空機安全救命システム。
【請求項6】
前記減速装置は、胴体上に配置された減速パラシュートおよび前記航空機本体の尾部に配置された減速パラシュートを含み、
前記胴体上に配置された前記減速パラシュートは1層または2層以上があり、前記減速パラシュートが2層以上である場合、上層に配置された前記減速パラシュートの底部が下層の前記減速パラシュートの頂部に固定的に接続される、ことを特徴とする請求項1または5に記載の航空機安全救命システム。
【請求項7】
前記減速装置は、胴体上に配置されたプロペラを含み、前記プロペラに発電機が接続され、前記発電機に蓄電池が電気的に接続され、前記蓄電池が前記航空機本体内の電気機器に電気的に接続される、ことを特徴とする請求項1または5に記載の航空機安全救命システム。
【請求項8】
前記航空機本体の両側に減速翼がさらに設けられ、前記減速翼は機首方向に向かって突出する円弧状の構造であり、各側の前記減速翼は2つ以上があり、前記航空機本体の同じ側に位置するすべての前記減速翼は、前記航空機本体の長手方向に間隔を置いて配置される、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の航空機安全救命システム。
【請求項9】
前記減速翼は前記航空機本体と回転可能に接続され、前記減速翼の機首から離れた一側と前記航空機本体の間に油圧ロッドコンポーネントが配置され、
前記油圧ロッドコンポーネントは、1本または2本以上の油圧ロッド本体を含み、前記油圧ロッド本体の固定端が前記航空機本体に固定的に接続され、前記油圧ロッド本体の伸縮端が前記減速翼に固定的に接続され、
前記減速翼は展開状態と折り畳み状態があり、前記油圧ロッドが延びると前記減速翼を押して前記航空機本体から離間する方向に回転させることができ、前記減速翼が前記展開状態になり、前記油圧ロッドが収縮すると前記減速翼を引いて前記航空機本体へ近接する方向に回転させることができ、前記減速翼が前記折り畳み状態になる、ことを特徴とする請求項8に記載の航空機安全救命システム。
【請求項10】
前記航空機本体上の各前記減速翼に対応する位置に脱出口が設けられ、前記脱出口が前記折り畳み状態の前記減速翼で被覆され、
前記脱出口上にプッシュプルドアが配置され、前記脱出口に延出可能な脱出はしごが配置される、ことを特徴とする請求項9に記載の航空機安全救命システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行装置の技術分野に関し、特に航空機安全救命システムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機は、1つ以上のエンジンを有する動力装置によって前方への推力または牽引力を発生し、胴体の固定翼によって揚力を生成して大気中を飛行する、空気よりも重い航空機器である。
【0003】
航空機は高空を飛行するため、その安全性能が非常に重要であり、毎回の飛行の前に、スタッフが航空機の状態を包括的かつ注意深く検査し、機体の安全率を最高レベルに引き上げる。しかしながら、航空機は高空を飛行するとき、さまざまな要因による航空災害を完全に回避することはできず、一度航空事故が発生すると、多くの人命が失われる。
【0004】
本出願人は、先行技術には少なくとも以下の技術的問題があることに気づいた:先行技術では、航空機内にパラシュートなどの救命装置が装備され、一旦航空機が墜落すると、乗客および客室乗務員はパラシュートを使用してキャビンから脱出することができるが、この方法では時間の制約などがある場合に乗客の安全を確保することは困難である。航空機は、航空機が故障したときに航空機の着陸を支援するために、減速および降下を支援することができる装置を欠いている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、航空機が航空機の減速降下を支援し、降下衝撃力を緩衝する装置がなく航空機および機内の人員の安全を確保できない先行技術の技術的問題を解決するための航空機安全救命システムを提供することであり、本発明によって提供されるさまざまな技術的解決策中の好ましい技術的解決策によって生ずる多くの技術的効果を以下に詳細に説明する。
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決策を提供する。
【0007】
本発明は、航空機本体を含む航空機安全救命システムであって、前記航空機本体の頂部に開閉可能な安全倉が配置され、前記安全倉内に減速装置が配置され、前記減速装置が前記安全倉から放出されて前記航空機本体の降下を減速し、
前記航空機本体の底部にダンピング緩衝機構が配置され、前記ダンピング緩衝機構が垂直方向に伸縮自在に配置され、前記ダンピング緩衝機構が航空機ホイールボディの下まで延伸して前記航空機本体が降下するときの衝撃力をさらに緩衝する、ことを特徴とする航空機安全救命システムを提供する。
【0008】
好ましくは、前記ダンピング緩衝機構は、摩擦板、垂直支持体および弾性部材を含み、
前記垂直支持体は垂直に配置された油圧支持体であり、前記垂直支持体の頂端が前記航空機本体の底部に接続され、前記弾性部材は前記垂直支柱と前記摩擦板の間に位置して両者を接続し、
前記摩擦板は、前記垂直支柱が延ばすと前記ホイールボディの下までに移動して地面と摩擦して航空機本体を減速させ、前記弾性部材は、前記摩擦板が地面と接触すると弾性変形して外力を緩衝する。
【0009】
好ましくは、前記摩擦板は、前記航空機本体の長手方向に沿って延伸し、前記摩擦板の上面の両側にそれぞれ2つ以上の前記垂直支柱が接続され、すべての前記垂直支柱は前記摩擦板の延伸方向に沿って間隔を置いて配置される。
【0010】
好ましくは、前記ダンピング緩衝機構は、傾斜支持体をさらに含み、前記傾斜支持体は油圧支持体であり、前記傾斜支持体は傾斜に配置され、その固定端が前記航空機本体の底部に接続され、その伸縮端が前記垂直支柱の側部に接続される。
【0011】
好ましくは、前記航空機本体の外殻に中間層が形成され、前記中間層が前記安全倉と連通し、前記中間層内に補強ベルトが収容され、前記補強ベルトが前記航空機本体の周りに巻かれ固定されて前記安全倉内まで延伸し、
前記安全倉が前記航空機本体の長手方向に沿って間隔を置いて複数配置され、前記安全倉内のすべての前記減速装置は前記補強ベルトに固定的に接続される。
【0012】
好ましくは、前記減速装置は、胴体上に配置された減速パラシュートおよび前記航空機本体の尾部に配置された減速パラシュートを含み、
前記胴体上に配置された前記減速パラシュートは1層または2層以上があり、前記減速パラシュートが2層以上である場合、上層に配置された前記減速パラシュートの底部が下層の前記減速パラシュートの頂部に固定的に接続される。
【0013】
好ましくは、前記減速装置は、胴体上に配置されたプロペラを含み、前記プロペラに発電機が接続され、前記発電機に蓄電池が電気的に接続され、前記蓄電池が前記航空機本体内の電気機器に電気的に接続される。
【0014】
好ましくは、前記航空機本体の両側に減速翼がさらに設けられ、前記減速翼は機首方向に向かって突出する円弧状の構造であり、各側の前記減速翼は2つ以上があり、前記航空機本体の同じ側に位置するすべての前記減速翼は、前記航空機本体の長手方向に間隔を置いて配置される。
【0015】
好ましくは、前記減速翼は前記航空機本体と回転可能に接続され、前記減速翼の機首から離れた一側と前記航空機本体の間に油圧ロッドコンポーネントが配置され、
前記油圧ロッドコンポーネントは、1本または2本以上の油圧ロッド本体を含み、前記油圧ロッド本体の固定端が前記航空機本体に固定的に接続され、前記油圧ロッド本体の伸縮端が前記減速翼に固定的に接続され、
前記減速翼は展開状態と折り畳み状態があり、前記油圧ロッドが延びると前記減速翼を押して前記航空機本体から離間する方向に回転させることができ、前記減速翼が前記展開状態になり、前記油圧ロッドが収縮すると前記減速翼を引いて前記航空機本体へ近接する方向に回転させることができ、前記減速翼が前記折り畳み状態になる。
【0016】
好ましくは、前記航空機本体上の各前記減速翼に対応する位置に脱出口が設けられ、前記脱出口が前記折り畳み状態の前記減速翼で被覆され、
前記脱出口上にプッシュプルドアが配置され、前記脱出口に延出可能な脱出はしごが配置される。
【発明の効果】
【0017】
従来技術と比較すると、本発明によって提供される航空機安全救命システムは以下の有益な効果を有する。航空機本体の頂部に開閉可能な安全倉が配置され、安全倉内の減速装置が緊急の時放出され、航空機本体の減速、降下を支援し、乗客、乗務員の脱出時間を増やすとともに航空機の制御喪失による直接墜落を防止し、航空機本体の底部にダンピング緩衝機構が配置され、ダンピング緩衝機構は、航空機の通常飛行中にホイールボディの上に配置され、緊急の時、ダンピング緩衝機構がホイールボディの下まで延伸し、航空機が地面と接触するとき、ダンピング緩衝機構がまず地面と接触し、航空機本体が降下するときの衝撃力を緩衝し、航空機本体が降下するときの衝撃力による重大な事故が発生して乗客と航空機の重要部品の安全を脅かし航空機の制御喪失による生命と財産の安全性を低下させることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の実施例または先行技術中の技術的解決策をより明らかに説明するために、以下、実施例または先行技術の説明に使用される必要のある図面を簡単に説明するが、以下説明される図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働をすることなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図1】航空機本体の安全倉内に減速装置が収容される構造を示す概略図の一例である。
【
図2】第1の実施例の減速装置を開いた時の構造概略図の一例である。
【
図3】第1の実施例において、航空機が着陸しようとする時の状態の概略図の一例である。
【
図4】航空機安全救命システムの第1の実施例の正面図の一例である。
【
図5】安全倉、補強ベルトと減速装置の配合構造の概略図の一例である。
【
図6】第2の実施例の減速装置を開いた時の構造を示す概略図の一例である。
【
図7】第2の実施例において、航空機が着陸しようとする時の状態を示す概略図の一例である。
【
図8】航空機安全救命システムの第2の実施例の正面図の一例である。
【
図9】ダンピング緩衝機構の構造概略図の一例である。
【
図10】第3の実施例の減速装置を開いた時の構造概略図の一例である。
【
図11】プロペラが回転する時の状態構造の概略図の一例である。
【
図12】航空機安全救命システムの第3の実施例の正面図の一例である。
【
図13】減速翼が展開状態にある時の全体構造の概略図の一例である。
【
図14】減速翼が折り畳み状態にある時の全体構造の概略図の一例である。
【
図15】減速翼、減速ロッドコンポーネントおよび脱出口の配合構造を示す概略図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の目的、技術的解決策および利点をより明確にするために、以下、本発明の技術的解決策を詳細に説明する。明らかに、説明される実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明中の実施例に基づいて、当業者により創造的な労働をせずに得られたすべての他の実施形態は、本発明の保護範囲に含まれる。
【0020】
本発明の説明において、「中心」、「長さ」、「幅」、「高さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「側」などの用語によって示される方位または位置関係は、図面に基づいた方位または位置関係であり、本発明の説明、および説明の簡略化のために使用されたものであり、かかる装置またはデバイスが特定の方位を有し、特定の方位で構成され操作されることを示したり暗示したりするものではなく、本発明の限定として理解してはならない。本発明の説明において、特に明記しない限り、「複数」とは2つまたは2つ以上を意味する。
【0021】
以下、
図1~
図15を参照して本発明によって提供される技術的解決策をより詳細に説明する。
【0022】
実施例1
図1~
図15に示すように、本実施例によって提供される航空機安全救命システムは、航空機本体1を含み、航空機本体1の頂部に開閉可能な安全倉2が配置され、安全倉2内に減速装置が収容され、減速装置が安全倉2から放出されて航空機本体1の降下を減速させ、航空機本体1の底部にダンピング緩衝機構5が配置され、ダンピング緩衝機構5が垂直方向に伸縮自在に配置され、ダンピング緩衝機構5が航空機ホイールボディの下まで延伸して航空機本体1の降下衝撃力をさらに緩衝することができる。
【0023】
本実施例の航空機安全救命システムは、航空機本体1頂部に開閉可能な安全倉2が配置され、安全倉2内の減速装置が緊急の時放出され、航空機本体1の減速および緩やかな降下を支援し、乗客、乗務員の脱出時間を増やすとともに航空機の制御喪失による直接墜落を防止する。航空機本体1の底部にダンピング緩衝機構5が配置され、ダンピング緩衝機構5は、航空機の通常飛行にいてホイールボディの上に配置され、緊急の時、ダンピング緩衝機構5がホイールボディの下まで延伸し、航空機が地面と接触するとき、ダンピング緩衝機構5がまず地面と接触し、航空機本体1が降下するときの衝撃力を緩衝し、航空機本体1が降下するときの衝撃力による重大な事故が発生し、乗客と航空機の重要部品の安全を脅かし、航空機の制御喪失による生命と財産の安全性を低下させることを防止することができる。
【0024】
本実施例のダンピング緩衝機構5は、地面と接触する時に、地面と滑り摩擦して航空機本体1の減速を支援し、弾性変形して垂直下向きの衝撃力を緩衝する。
【0025】
具体的に、本実施例ではダンピング緩衝機構5の具体的な実施形態を提供し、
図9に示すように、本実施例のダンピング緩衝機構5は、摩擦板51、垂直支持体52および弾性部材53を含み、垂直支持体52は垂直に配置された油圧支持体であり、垂直支持体52の頂端が航空機本体1の底部に接続され、弾性部材53は垂直支柱と摩擦板51の間に位置して両者を接続し、摩擦板51は、垂直支柱が延びるとホイールボディの下まで移動して地面との摩擦で減速させ、弾性部材53は、摩擦板51が地面と接触すると弾性変形して外力を緩衝することができる。
【0026】
摩擦板51は、炭素繊維複合板などの耐摩耗材料で作成され、自重を減らすことができ、航空機が着陸するとき、通常、一定の水平速度を維持し、摩擦板51は地面との間で滑り摩擦を起こし、摩擦力によって航空機の迅速な減速を支援する。垂直支柱としての油圧支持体は伸縮可能に配置され、航空機の通常走行の時、摩擦板51を航空機ホイールボディ以上の位置まで引き上げて、航空機本体1の通常走行に影響を与えることを防ぎ、事故で着落する時、垂直支柱が延伸して摩擦板51をホイール以下の位置まで押し、摩擦板51がまず地面と接触するようになり、上記弾性部材53が垂直に配置され、地面と接触する時に垂直方向に弾性変形して、垂直方向上の衝撃力を緩衝し、航空機が着陸するとき大きな衝撃力による重大な損傷を防止する。
【0027】
具体的に、
図9に示すように、摩擦板51は航空機本体1の長手方向に沿って延伸し、航空機の走行時地面との間に十分な接触面積を確保し、摩擦板51の上面の両側にそれぞれ2つ以上の垂直支柱が接続され、垂直支柱によって摩擦板51の多くの部分が航空機底部に接続され、構造の安定性を確保する。
図8に示すように、すべての垂直支柱が摩擦板51の延伸方向に間隔を置いて配置され、摩擦板51が水平に配置されて、摩擦板51の安定性を確保するとともに、全体の自重を減らし、摩擦板51と地面の間に水平方向の摩擦力が発生し、航空機の水平方向の速度を迅速に低下させる。
【0028】
選択可能な実施形態として、
図9に示すように、本実施例のダンピング緩衝機構5は傾斜支持体54をさらに含み、傾斜支持体54は油圧支持体であり、傾斜支持体54が傾斜に配置され、その固定端が航空機本体1の底部に接続され、その伸縮端が垂直支柱の側部に接続される。傾斜支柱が延伸する状態にあり、航空機が着陸するとき、摩擦板51と地面間の水平後方への滑り摩擦力により、傾斜支柱の垂直支柱に対する支持力の水平方向成分が、垂直支柱が受ける水平後方への一部の衝撃力を相殺する可能性があり、垂直支柱、全体ダンピング緩衝機構5の構造強度および安定性を確保する。
【0029】
本実施例の上記ダンピング緩衝機構5は、以下の作用を有する。第1に、航空機の通常の飛行および降下の時、着陸装置が開かないと、航空機本体1が地面と摩擦し、胴体に重大な損傷を与えるが、本実施例のダンピング緩衝機構5は、着陸装置が開かないとき、ホイールボディの下まで延伸し、耐磨材料で作成された摩擦板51によって地面と接触して滑り摩擦を起こして、胴体と地面の摩擦による損傷を回避し、着陸装置としての作用を果たし、航空機本体の走行を支援するとともに走行中にダンピング作用を果たし、本実施例のダンピング緩衝機構5は二重保証として機能し、航空機の安全な降下を確保し、安全である。第2に、航空機の空中飛行中に機械故障が発生すると、垂直支柱が延伸し摩擦板51をホイール以下の位置まで押して、摩擦板51が地面と接触し、摩擦力によって航空機の迅速な減速を支援し、航空機の墜落を防ぐ。弾性部材53は垂直方向上の衝撃力を緩衝でき、航空機の着陸時に大きな衝撃力による重大な損傷を回避する。第3に、ダンピング緩衝機構5と航空機本体エンジンは2つの独立した電力供給システムであり、ダンピング緩衝機構5が蓄電池に接続され、エンジンは停電故障が発生した場合、このダンピング緩衝機構5も作動することができ、より安全である。
【0030】
上記の実施例を基に、以下減速装置の具体的な実施形態を提供する。
【0031】
実施例2
減速装置は安全倉2内に位置し、航空機が事故に遭遇したときに安全倉2から放出され、減速装置が放出されても航空機本体1に固定的に接続され、航空機本体1に上向きの浮力を提供し、航空機本体1の直接墜落を防止する。航空機本体1と減速装置の安定した接続を確保し、外力が大きいときに両者が分離するのを防ぐために、選択可能な実施形態として、
図5に示すように、航空機本体1の外殻に中間層8が形成され、中間層8が安全倉2と連通し、中間層8内に補強ベルト4が収容され、補強ベルト4が航空機本体1の周りに巻かれ固定されて安全倉2内まで延伸し、減速装置が補強ベルト4と接続され、航空機本体1の周りと接触することに相当し、減速装置が直接航空機本体1の頂部の1点またはいくつかの点に接続されて固定される構造と比較すると、本実施例の接続構造は、補強ベルト4によって航空機本体1と減速装置を面接触させて互いに接続し、両者間の接触面積を確保することで、両者間の接続構造の安定性を確保して、航空機本体1と減速装置の分離を防止する。
【0032】
図1、
図2、
図6、
図7に示すように、安全倉2が航空機本体1の長手方向に沿って間隔を置いて複数配置され、減速装置が航空機本体1の長手方向に沿って間隔を置いて複数配置され、安全倉2内の減速装置がすべて補強ベルト4に固定的に接続されて構造の安定性を確保する。具体的に、安全倉2およびその内の減速装置の数が実際の状況に応じて設定され、減速装置の数が航空機本体1自体の重量に応じて設定され、減速装置が多ければ、航空機本体1により大きな浮力を提供することができる。
【0033】
図2~
図4、
図6~
図8に示すように、本実施例の減速装置は、胴体上に配置された減速パラシュート31、および航空機本体1尾部に配置された減速パラシュート31を含み、減速パラシュート31は、先行技術におけるパラシュートなどの展開可能な塔型パラシュート構造を採用し、そのうちに、胴体上に配置された減速パラシュート31は1層(
図2~
図4)または2層以上(
図6~
図8)があり、減速パラシュート31が2層以上である場合、
図6~
図8に示すように、上層に配置された減速パラシュート31の底部が下層減速パラシュート31の頂部に固定的に接続される。
【0034】
航空機本体1尾部に配置された減速パラシュート31は、主に航空機の減速を支援する機能を果たし、航空機本体1の胴体上に配置された減速パラシュート31は、航空機事故の最初の期間において主に航空機の減速を支援するために使用され、
図2、
図6に示すように、その後この位置にある減速パラシュート31が垂直下向きの状態になり、
図3および
図7に示すように、主に航空機に浮力を提供し、航空機本体1がゆっくりと降下するのを支援し、航空機および乗客の安全を確保する。航空機本体1が比較的大きく重い場合、胴体上の位置が限られているため、
図6~
図8に示される減速パラシュート31の構造を採用し、航空機本体1の胴体上に2層以上の減速パラシュート31を配置することで、減速パラシュート31の航空機本体1への浮力を増加させる。
【0035】
安全倉2中の減速装置を放出するための放出システムは既存の成熟した技術であるため、ここでは説明を省略し、放出システムのオンオフスイッチは、乗客が誤ってトリガーすることを防止するために、後部コンパートメントに配置され、例えば、放出システムのスイッチを安全カバーに設置し、誤作動を防ぐために、安全ハンマーで安全カバーを壊した後にのみ放出システムを開くことができる。
【0036】
実施例3
本実施例では、減速装置の別の具体的な実施形態を提供し、実施例2と異なり、本実施例3は、
図10~
図12に示すように、本実施例の減速装置は、胴体上に配置されたプロペラ32を含み、プロペラ32が航空機本体1に1層または2層以上設けられ、プロペラ32の回転により航空機本体1に浮力を提供し、航空機本体1の減速降下を支援し、航空機が事故で直接墜落することを防ぎ、そのプロペラ32に動力システムが接続されることは航空分野の成熟した技術であるため、ここでは説明を省略する。プロペラ32の動力システムと航空機エンジンシステムは2つの独立したシステムであり、航空機はエンジンで事故が発生した場合、プロペラ32の動力システムを使用して航空機の降下を減速する。航空機の通常の走行時、プロペラ32が安全倉2内に収容され、航空機は事故が発生した時、プロペラ32の動力システムを動作させ、プロペラ32が安全倉2から放出される。本実施例ではプロペラ32の動力システムを減速装置として使用し、減速パラシュート31の構造と比較し、航空機本体1の着陸位置を選択して、航空機本体1が海上または崖に着陸することを防止することができる。プロペラ32の数は航空機本体1の重量に応じて設定すればよい。
【0037】
好ましくは、
図11および
図12に示すように、プロペラ32に発電機7が接続され、発電機7に蓄電池6が電気的に接続され、蓄電池6に航空機本体1内の電気機器が電気的に接続される。上記構造によれば、回転するプロペラ32を使用して発電し、電気エネルギーを蓄電池6に蓄積して、航空機中の電気機器、例えばプロペラ32の動力システムなどに電力を供給する。この蓄電池6の電力供給ラインと航空機中の主回路は独立した電力供給ラインであり、エンジンが故障した時、航空機にバックアップラインを提供することができる。発電機7による発電技術は本分野の成熟した技術であり、主にプロペラ32が回転する時の外部の機械力により導体コイルを磁場で回転させ、磁気誘導線を連続的に切断して誘導起電力を生成することであるため、ここでは説明を省略する。
【0038】
実施例4
本実施例は、上記実施例に基づく改良であり、航空機本体1は、減速パラシュート31および/またはプロペラ32、および摩擦板51を使用して減速し、航空機は事故が発生した時より早く減速するために、選択可能な実施形態として、
図13~
図15に示すように、本実施例中の航空機本体1の両側に減速翼9がさらに設けられ、減速翼9は機首方向へ突出した円弧状構造であり、各側に2つ以上の減速翼9があり、航空機本体1の同じ側に位置するすべての減速翼9は航空機本体1の長手方向上に間隔を置いて配置される。
図13に示すように、航空機本体1上の複数の円弧状構造の減速翼9は航空機の減速を支援することができ、減速翼9が航空機本体1の両側に間隔を置いて複数配置され、
図9に示すように、風の抵抗を増やすことができ、航空機本体1両側のバランスを確保する。
【0039】
減速翼9が航空機の通常飛行時の速度に与える影響を低減するために、本実施例中の減速翼9は折り畳み可能に配置される。航空機の通常飛行の時、減速翼9は
図14に示すように折り畳まれ、航空機本体1の速度への影響を低減し、航空機の事故または急速に減速する必要がある時、
図13に示すように、減速翼9が開かれて航空機本体1の急速な減速を支援する。
【0040】
本実施例では減速翼9の折り畳み可能な構造の具体的な実施形態を提供し、
図15に示すように、減速翼9は航空機本体1に回転可能に接続され、具体的に、減速翼9の一側が航空機本体1とヒンジで接続され、減速翼9の機首から離れた一側と航空機本体1の間に油圧ロッドコンポーネントが配置され、油圧ロッドコンポーネントは、1本または2本以上の油圧ロッド本体10を含み、
図15に示すように、油圧シリンダーコンポーネントは3本の油圧ロッドを含み、それぞれ減速翼9の左右両側および中部位置と航空機本体1を接続し、具体的に、油圧ロッド本体10の固定端が航空機本体1に固定的に接続され、油圧ロッド本体10の伸縮端が減速翼9に固定的に接続される。
【0041】
減速翼9は展開状態(
図13)と折り畳み状態(
図14)があり、すべての油圧ロッド本体10が収縮した時、油圧ロッドは減速翼9を引いて航空機本体1へ近接する方向に回転させ、減速翼9が折り畳み状態になり、すべての油圧ロッドが延ばすと、
図15に示すように、油圧ロッドが減速翼9を押して航空機本体1から離間する方向に回転させ、減速翼9が展開状態になる。
【0042】
通常、航空機本体1上に乗客や乗務員が緊急時に脱出するために便利である緊急脱出口が設けられる。緊急脱出口の数が限られているため、危機的状況において乗客が迅速に脱出することを支援するために、選択可能な実施形態として、
図15に示すように、本実施例では、航空機本体1上の各減速翼9に対応する位置に脱出口11が設けられ、脱出口11は折り畳み状態の減速翼9によって被覆され、減速翼9の被覆により、航空機の通常飛行時、脱出口11が開かれることを防止し、安全を保障し、脱出口11上にプッシュプルドアが設けられ、脱出口11に延伸可能な脱出はしごが配置される。脱出はしごは既存の航空機上の脱出はしご構造を採用しているため、ここで説明を省略する。航空機は事故が発生し、例えばエンジンが故障した時、減速翼9が開かれ、乗客がドアを開いて、そこから分散し、乗客が迅速に避難できるようにする。
【0043】
本実施例の航空機本体1はまた、レザー迎撃ミサイルシステムを備え、レザー迎撃ミサイルシステムは既存の航空機上の成熟した技術であり、通常蓄電池、早期警報システム、感知システム、コンピューターシステムおよび発射システムを含み、危険な状況では、ミサイルなどを迎撃して安全を確保する。
【0044】
本実施例の航空機安全救命システムでは、航空機が空中飛行中、機械故障または人的要素によって引き起こされる安全故障に遭遇した場合、このシステムは乗客の脱出時間を増やし、航空機の減速降下、着陸を支援し、一定程度で航空機の墜落や死亡を回避する重大な問題を回避し、航空機の空中飛行に大きな安全保障を提供する。
【0045】
本明細書の説明において、具体的な特徴、構造または利点は、いずれか1つまたは複数の実施例または例示において適切な方法で組み合わせることができる。
【0046】
本明細書の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示」、「具体的な例示」、または「いくつかの例示」などの参照用語は、この実施例または例示で説明された具体的な特徴、構造、材料または利点は本発明の少なくとも1つの実施例または例示に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の模式的説明は、必ずしも同じ実施例または例示を指すとは限らない。そして、説明される具体的な特徴、構造、材料または利点は、いずれか1つまたは複数の実施例または例示において適切な方法で組み合わせることができる。ここでは、当業者は、互いに矛盾することなく、本明細書で説明される異なる実施例または例示、および異なる実施例または例示の特徴を組み合わせることができる。
【0047】
上記は本発明の具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲はこれに限定されるものではなく、本発明によって開示される技術的範囲内において当業者が容易に想到した変更や置換は、すべて本発明の保護範囲に含まれる。したがって、本発明の保護範囲は前記特許請求の範囲に従うべきである。
【符号の説明】
【0048】
1 航空機本体
2 安全倉
31 減速パラシュート
32 プロペラ
4 補強ベルト
5 ダンピング緩衝機構
51 摩擦板
52 垂直支持体
53 弾性部材
54 傾斜支持体
6 蓄電池
7 発電機
8 中間層
9 減速翼
10 油圧ロッド本体
11 脱出口