(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185577
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】油中水型乳化組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20221207BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20221207BHJP
A61K 8/894 20060101ALI20221207BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20221207BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20221207BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20221207BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/06
A61K8/894
A61K8/891
A61K8/37
A61Q1/00
A61Q1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085206
(22)【出願日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2021092878
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 友美
(72)【発明者】
【氏名】北村 敏彦
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB231
4C083AB232
4C083AB241
4C083AB242
4C083AB332
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC852
4C083AD022
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD332
4C083BB13
4C083BB21
4C083CC12
4C083DD32
4C083EE01
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】充填機などによる圧力が加えられたことによる粘度低下が起こっても回復しやすく、長期保存しても粘度の安定性が良好で、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力に優れた油中水型乳化組成物を提供する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)第四級アンモニウムイオンで置換されたカチオン変性粘土鉱物、
(B)25℃で液状のフェニル変性シリコーン、
(C)ソルビタン脂肪酸エステル 0.00005~0.3質量%、
(D)ポリエーテル変性シリコーン
を含有する油中水型乳化組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)第四級アンモニウムイオンで置換されたカチオン変性粘土鉱物、
(B)25℃で液状のフェニル変性シリコーン、
(C)ソルビタン脂肪酸エステル 0.00005~0.3質量%、
(D)ポリエーテル変性シリコーン
を含有する油中水型乳化組成物。
【請求項2】
成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)が、20~80000である請求項1記載の油中水型乳化組成物。
【請求項3】
成分(A)の含有量が、0.01~10質量%である請求項1又は2記載の油中水型乳化組成物。
【請求項4】
成分(B)の含有量が、1~25質量%である請求項1~3のいずれか1項記載の油中水型乳化組成物。
【請求項5】
成分(D)の含有量が、0.1~10質量%である請求項1~4のいずれか1項記載の油中水型乳化組成物。
【請求項6】
成分(C)の含有量が、0.0001~0.3質量%である請求項1~5のいずれか1項記載の油中水型乳化組成物。
【請求項7】
成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)が、0.05~1である請求項1~6のいずれか1項記載の油中水型乳化組成物。
【請求項8】
さらに、(E)25℃で液状のエステル油を含有する請求項1~7のいずれか1項記載の油中水型乳化組成物。
【請求項9】
さらに、油性ゲル化剤を含有する請求項1~8のいずれか1項記載の油中水型乳化組成物。
【請求項10】
さらに、着色顔料を含有する請求項1~9のいずれか1項記載の油中水型乳化組成物。
【請求項11】
皮膚用油中水型乳化化粧料である、請求項1~10のいずれか1項記載の油中水型乳化組成物。
【請求項12】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)第四級アンモニウムイオンで置換されたカチオン変性粘土鉱物、
(B)25℃で液状のフェニル変性シリコーン、
(C)ソルビタン脂肪酸エステル 0.00005~0.3質量%、
(D)ポリエーテル変性シリコーンを配合してなる油中水型乳化組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中水型乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧持ちに優れ、使用感に優れた油中水型乳化化粧料が検討されている。
例えば、特許文献1には、カチオン変性粘土鉱物、疎水化処理された着色顔料、フェニル変性シリコーン及び揮発性油を含有する油中水型乳化化粧料が、肌への付きが良く、伸びが軽く、塗広げやすく、肌に薄膜感、艶感があり、肌表面が均一できれいな仕上がることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の化粧料は、長期保存すると、粘度安定性が悪いという課題があった。特に、粘度が比較的高い化粧料では、例えば、化粧料を容器に充填するために充填機を使用して、化粧料に圧力を加えると、化粧料の粘度が圧力をかける前の粘度に回復し難いという課題があった。
また、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力においても、十分満足できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、カチオン変性粘土鉱物、フェニル変性シリコーン及びポリエーテル変性シリコーンとともに、ソルビタン脂肪酸エステルを微少量用いることにより、化粧料に圧力が加えられ、粘度低下が起こっても粘度が回復しやすく、粘度の安定性が良好で、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力に優れた油中水型乳化組成物が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)第四級アンモニウムイオンで置換されたカチオン変性粘土鉱物、
(B)25℃で液状のフェニル変性シリコーン、
(C)ソルビタン脂肪酸エステル 0.00005~0.3質量%、
(D)ポリエーテル変性シリコーン
を含有する油中水型乳化組成物に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の油中水型乳化組成物は、長期保存しても粘度の安定性に優れるものである。
本発明において、長期保存しても粘度の安定性に優れるとは、油中水型乳化組成物に対して、充填機などによる圧力が加えられたことによる粘度低下が起こっても、圧力が加えられる前の粘度に回復しやすいことを示す。
また、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力にも優れている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)のカチオン変性粘土鉱物は、第四級アンモニウムイオンで置換されたもので、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されずに用いることができる。例えば、ベントナイト、ラポナイト、ヘクトライト、モンモリロナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム等の層状粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で置換して得られるカチオン変性粘土鉱物が好ましい。
ここで、第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤は、下記式(1):
【0009】
【0010】
(式中、R1は炭素原子数10~22のアルキル基又はベンジル基を示し、R2はメチル基又は炭素原子数10~22のアルキル基を示し、R3及びR4は炭素原子数1~3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、Xはハロゲン原子又はメチルサルフェート残基を示す)
で表されるものである。
【0011】
具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、セチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、セチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ステアリルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルミリスチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルベヘニルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルステアリルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジベヘニルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、及び上記各化合物のクロリドに代えてブロミド化合物としたもの等、さらにジパルミチルプロピルエチルアンモニウムメチルサルフェート等が挙げられる。
なかでも、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリドから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリドがより好ましい。
【0012】
層状粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で置換して得られるカチオン変性粘土鉱物としては、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライトから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライトから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライを含むのがさらに好ましい。また、市販品としては、ベントン38、ベントン38VCG、ベントン27(以上、エレメンティスジャパン社製)等が挙げられる。
【0013】
有機変性粘土鉱物は、作業性向上の点、油の増粘効果に優れる点から、溶媒によって希釈された分散液として用いることもできる。
具体的には、有機変性粘土鉱物を予め溶媒に分散させたプレミックスゲルを用いることが好ましい。溶媒としては、有機変性粘土鉱物によって増粘可能であれば制限されないが、油の増粘効果の点から、オクチルドデカノール、ミネラルオイル、揮発性シリコーン油、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、安息香酸アルキル(C12-15)から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、安息香酸アルキル(C12-15)から選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましい。
プレミックスゲル中の有機変性粘土鉱物の含有量は、作業性向上の点、油の増粘効果、及び増粘した油性ゲル自体の油分離を抑制する点から、5~25質量%が好ましく、10~20質量%がより好ましく、10~18質量%がさらに好ましい。
プレミックスゲルとしては、カチオン変性粘土鉱物を10質量%含有するベントンゲルEUGV、ベントンゲルMIOV、18質量%含有するベントンゲルVS-5 PCV、15質量%含有するベントンゲル PTM(以上、エレメンティスジャパン社製)、12.5質量%含有するBENTONE GEL GTCC V、BENTONE GEL TN V(以上、Elementis Specialties社製)等の市販品を用いることができる。
【0014】
成分(A)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、粘度の安定性、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力、顔全体のきれいな仕上がり感を向上させる観点から、全組成中に0.01質量%以上であるのが好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、0.8質量%以上がよりさらに好ましく、1.4質量%以上がことさら好ましく、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましく、2.5質量%以下がよりさらに好ましく、1.8質量%以下がことさら好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に0.01~10質量%であるのが好ましく、0.1~5質量%がより好ましく、0.5~3質量%がさらに好ましく、0.8~2.5質量%がよりさらに好ましく、1.4~1.8質量%がことさら好ましい。
【0015】
成分(B)は、25℃で液状のフェニル変性シリコーンである。液状とは、25℃における粘度が、10000mPa・s以下のことを示す。
成分(B)の25℃における粘度としては、4000mPa・s以下が好ましく、600mPa・s以下がより好ましく、200mPa・s以下がさらに好ましく、50mPa・s以下がよりさらに好ましい。
ここで、粘度は、以下の条件で測定される。
粘度測定条件:B型粘度計(TVB-10型、東機産業社製)、ローターNo.4、60rpm、60秒
【0016】
25℃で液状のフェニル変性シリコーンとしては、例えば、フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキシサン等が挙げられる。
なかでも、粘度の安定性、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力、顔全体のきれいな仕上がり感を向上させる観点から、フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンを含むのがより好ましい。
【0017】
成分(B)としては、フェニルトリメチコンとして、SH556(東レ・ダウコーニング社製)、DOWSIL SH 556 FLUID)(ダウ・東レ社製);ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンとして、KF-56A(信越化学工業社製)、DOWSIL FZ-209(ダウ・東レ社製);ジフェニルジメチコンとして、KF-50(信越化学工業社製)、KF-53(信越化学工業社製)、KF-54(信越化学工業社製);トリメチルシロキシフェニルジメチコンとして、PDM-1000(旭化成ワッカーシリコーン社製);トリメチルペンタフェニルトリシロキシサンとして、PH-1555 HRI C.F.(東レ・ダウコーニング社製)等の市販品を用いることができる。
【0018】
成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、粘度の安定性、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力、顔全体のきれいな仕上がり感を向上させる観点から、全組成中に1質量%以上であるのが好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、3.5質量%以上がよりさらに好ましく、5質量%以上がことさら好ましく、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下がよりさらに好ましく、7質量%以下がことさら好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に1~25質量%であるのが好ましく、2~20質量%がより好ましく、3~15質量%がさらに好ましく、3.5~10質量%がよりさらに好ましく、5~7質量%がことさら好ましい。
【0019】
本発明において、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、粘度の安定性、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力、顔全体のきれいな仕上がり感を向上させる観点から、0.05以上であるのが好ましく、0.1以上がより好ましく、0.12以上がさらに好ましく、0.15以上がよりさらに好ましく、0.2以上がより好ましく、0.23以上がよりさらに好ましく、1以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.45以下がさらに好ましく、0.40以下がよりさらに好ましく、0.36以下がより好ましく、0.3以下がよりさらに好ましい。また、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、0.05~1であるのが好ましく、0.1~0.5がより好ましく、0.12~0.45がさらに好ましく、0.15~0.40がよりさらに好ましく、0.2~0.36がより好ましく、0.23~0.3がよりさらに好ましい。
【0020】
本発明で用いる成分(C)は、ソルビタン脂肪酸エステルである。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、粘度の安定性、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力、顔全体のきれいな仕上がり感を向上させる観点から、HLBが1以上であるのが好ましく、2以上がより好ましく、3以上がさらに好ましく、10以下が好ましく、7以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。また、成分(C)のソルビタン脂肪酸エステルは、HLBが1~10であるのが好ましく、2~7がより好ましく、3~6がさらに好ましい。
本発明において、HLB(親水性-親油性のバランス〈Hydrophilic-Lipophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。また、2種以上の非イオン界面活性剤から構成される場合、混合界面活性剤のHLBは、次のようにして求められる。混合界面活性剤のHLBは、各非イオン界面活性剤のHLB値をその配合比率に基づいて相加算平均したものである。
混合HLB=Σ(HLBx×Wx)/ΣWx
HLBxは、非イオン界面活性剤XのHLB値を示す。
Wxは、HLBxの値を有する非イオン界面活性剤Xの質量(g)を示す。
【0021】
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等が挙げられ、粘度の安定性、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力、顔全体のきれいな仕上がり感を向上させる観点から、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタンから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタンから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、モノイソステアリン酸ソルビタンを含むのがさらに好ましい。
成分(C)のソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノイソステアリン酸ソルビタンとしては、Span 120(HLB4.7)(クローダ社製)、セスキステアリン酸ソルビタンとしては、NIKKOL SS-15V(HLB4.2)、モノオレイン酸ソルビタンとしては、NIKKOL SO-10V(HLB4.3)(以上、日光ケミカルズ社)等の市販品を用いることができる。
【0022】
成分(C)の含有量は、粘度の安定性、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力、顔全体のきれいな仕上がり感を向上させる観点から、全組成中に0.00005質量%以上であり、0.00007質量%以上が好ましく、0.00008質量%以上がより好ましく、0.0001質量%以上がよりさらに好ましく、0.0005質量%以上がよりさらに好ましく、0.3質量%以下であり、0.1質量%以下が好ましく、0.05質量%以下がより好ましく、0.005質量%以下がよりさらに好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に0.00005~0.3質量%であり、0.00007~0.1質量%が好ましく、0.00008~0.05質量%がより好ましく、0.0001~0.05質量%がよりさらに好ましく、0.0005~0.005質量%がよりさらに好ましい。
また、成分(C)の含有量は、全組成中に0.0001~0.3質量%が好ましい。
【0023】
本発明において、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)は、粘度の粘度の安定性、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力、顔全体のきれいな仕上がり感を向上させる観点から、20以上であるのが好ましく、60以上がより好ましく、150以上がさらに好ましく、200以上がよりさらに好ましく、2000以上がよりさらに好ましく、80000以下が好ましく、60000以下がより好ましく、30000以下がさらに好ましく、7000以下がよりさらに好ましい。また、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)は、20~80000であるのが好ましく、60~60000がより好ましく、150~30000がさらに好ましく、200~30000がよりさらに好ましく、2000~7000がよりさらに好ましい。
【0024】
成分(D)のポリエーテル変性シリコーンとしては、通常の化粧料に用いられるもので、ポリオキシエチレン基又はポリオキシプロピレン基を有するジメチルポリシロキサンや、ポリエチレングリコールが付加されたジメチルポリシロキサンであって、通常の化粧料に用いられるものが挙げられる。なお、ジメチルポリシロキサンは一部がフッ素変性しているものであってもよい。
ポリエーテル変性シリコーンとしては、粘度の安定性、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力、顔全体のきれいな仕上がり感を向上させる観点から、ポリオキシエチレン基又はポリオキシプロピレン基を有するジメチルポリシロキサンが好ましく、少なくともポリオキシエチレン基を有するジメチルポリシロキサンがより好ましい。
なお、ポリエーテル変性シリコーンには、架橋型のものは含まないことが好ましい。
このようなポリエーテル変性シリコーンは、粘度の安定性、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力、顔全体のきれいな仕上がり感を向上させる観点から、HLBは、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、12以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下がさらに好ましく、6以下がよりさらに好ましい。
ここで、HLBは、前記成分(C)と同様に計算される。
ポリエーテル変性シリコーンとしては、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、PEG/PPG-19/19ジメチコン、PEG10-ジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等が挙げられる。これらのうち、粘度の安定性、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力、顔全体のきれいな仕上がり感を向上させる観点から、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、PEG/PPG-19/19ジメチコン、PEG10-ジメチコンから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、PEG/PPG-19/19ジメチコンから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコンがさらに好ましい。
【0025】
成分(D)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、粘度の安定性、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力、顔全体のきれいな仕上がり感を向上させる観点から、全組成中に0.1質量%以上であるのが好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下であるのが好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。また、成分(D)の含有量は、全組成中に0.1~10質量%であるのが好ましく、0.5~5質量%がより好ましく、1~3質量%がさらに好ましい。
【0026】
本発明の油中水型乳化組成物は、さらに、(E)25℃で液状のエステル油を含有することができ、粘度の安定性、塗布時の伸び、肌への付着感を向上させることができる。ここで、液状とは、成分(B)と同様、25℃における粘度が、10000mPa・s以下のことを示す。なお、成分(E)の粘度は、成分(B)と同様の方法で測定される。
成分(E)のエステル油としては、通常の化粧料に用いられるものであれば良く、例えば、パラメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル等のモノエステル油;ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、リンゴ酸ジイソステアリル等のジエステル油;トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等のトリエステル油;テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル等のテトラエステル油などが挙げられる。
【0027】
これらのうち、粘度の安定性、塗布時の伸び、肌への付着感を向上させる観点から、モノエステル、ジエステル、トリエステルから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、モノエステル、ジエステルから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましい。また、モノエステルとジエステルを組合わせて用いるのがより好ましい。
【0028】
成分(E)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、粘度の安定性、塗布時の伸び、肌への付着感を向上させる観点から、全組成中に1質量%以上であるのが好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。また、成分(E)の含有量は、全組成中に1~20質量%であるのが好ましく、2~15質量%がより好ましく、3~10質量%がさらに好ましい。
【0029】
本発明の油中水型乳化組成物は、さらに、成分(F)として、成分(A)以外の油性ゲル化剤を含有することができ、粘度の安定性、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力、顔全体のきれいな仕上がり感を向上させることができる。
かかる油性ゲル化剤としては、通常の化粧料に用いられるもので、油相を増粘できるものであればいずれでも良い。
成分(F)の油性ゲル化剤としては、例えば、架橋型オルガノポリシロキサン、デキストリン脂肪酸エステル、金属石鹸、ショ糖脂肪酸エステル、25℃で固体の油性成分(ワックス)等が挙げられる。
【0030】
架橋型オルガノポリシロキサンとしては、架橋型ジメチルポリシロキサン、架橋型アルキルポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。
【0031】
架橋型ジメチルポリシロキサンは、シロキサン骨格を三次元架橋させた架橋構造を有する重合物であり、架橋型アルキルポリシロキサンは、架橋型ジメチルポリシロキサンにさらに、炭素数6~20のアルキル基を有するものである。
架橋型ジメチルポリシロキサンとしては、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーが挙げられ、架橋型アルキルポリシロキサンとしては、(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、アルキル(C30-45)セテアリルジメチコンクロスポリマー、セテアリルジメチコンクロスポリマーが挙げられる。
これらは、固体状のまま使用しても良く、液状油と均一に混合したものを使用しても良い。なかでも、化粧料中への分散性、作業性の点から、液状油によって希釈された分散液として用いるのが好ましく、シリコーン油、炭化水素油、エステル油から選ばれる1種又は2種以上を用いるのが好ましく、シリコーン油、炭化水素油から選ばれる1種又は2種以上を用いるのがより好ましく、ジメチルポリシロキサン、メチルトリメチコン、デカメチルシクロペンタシロキサン、流動パラフィン、軽質イソパラフィンから選ばれる1種又は2種以上を用いるのがさらに好ましく、ジメチルポリシロキサン、メチルトリメチコンから選ばれる1種又は2種以上を用いるのがよりさらに好ましい。
【0032】
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーとしては、デカメチルシクロペンタシロキサンとの混合物であるKSG-15、低粘度ジメチルポリシロキサンとの混合物であるKSG-16(以上、信越化学工業社製)、メチルトリメチコンとの混合物であるTOREFIL(35%)C/TMF(大東化成工業社製)などの市販品を用いることができる。
(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマーとしては、メチルフェニルポリシロキサンとの混合物であるKSG-18(信越化学工業社製)などの市販品を用いることができる。
また、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマーとしては、流動パラフィンとの混合物であるKSG-41、軽質イソパラフィンとの混合物であるKSG-42、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリルとの混合物であるKSG-43、スクワランとの混合物であるKSG-44(以上、信越化学工業社製)などの市販品を用いることができる。
さらに、アルキル(C30-45)セテアリルジメチコンクロスポリマーとしては、シクロペンタシロキサンとの混合物であるVelvesil 125(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)などの市販品を用いることができる。
また、セテアリルジメチコンクロスポリマーとしては、ジメチコンの混合物であるVelvesil DM(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)などの市販品を用いることができる。
【0033】
架橋型ポリエーテル変性シリコーンとしては、(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー、(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(PEG-10/ラウリルジメチコン)クロスポリマー等が挙げられる。
架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、化粧料中への分散性、作業性の点から、液状油によって希釈された分散液として用いるのが好ましく、シリコーン油、炭化水素油、エステル油を用いるのがより好ましく、シリコーン油、炭化水素油を用いるのがよりさらに好ましい。
さらに、揮発性炭化水素油に希釈又は分散されたものが好ましく、揮発性炭化水素油としては、イソドデカンがより好ましい。
【0034】
架橋型ポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば、KSG-210、KSG-240((ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー);KSG-310、KSG-320、KSG-330((PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー);KSG-340((PEG-10/ラウリルジメチコン)クロスポリマー及び(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー)(以上、信越化学工業社製)等の市販品を用いることができる。
架橋型オルガノポリシロキサンとしては、架橋型アルキルポリシロキサン、架橋型ジメチルポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマーがより好ましく、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーがよりさらに好ましい。
【0035】
デキストリン脂肪酸エステルは、脂肪酸とデキストリンのエステルであり、脂肪酸の炭素数は8~24であることが好ましく、より好ましくは炭素数が14~18であり、脂肪酸は直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和脂肪酸であり、また、平均重合度は10~50であることが好ましく、20~30がより好ましい。
具体的には、パルミチン酸デキストリン、パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、パルミチン酸/ステアリン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、イソパルミチン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン等が挙げられる。
デキストリン脂肪酸エステルとしては、パルミチン酸デキストリン、パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸デキストリンが好ましく、パルミチン酸デキストリンがより好ましい。
これらの市販品としては、千葉製粉社製のパルミチン酸デキストリン(レオパール KL2、レオパール KS2、レオパール TL2)、パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸デキストリン(レオパール TT2)、ミリスチン酸デキストリン(レオパール MKL2)等が挙げられる。
【0036】
25℃で固体の油性成分としては、例えば、カルナウバロウ(融点:80~86℃)、ミツロウ(融点:64℃)、キャンデリラロウ(融点:68~72℃)、コメヌカロウ(融点70~83℃)、ジョジョバロウ(融点:55℃)、モクロウ(融点:55℃)、ホホバ脂(融点46~54℃)、ラノリン(融点37~43℃)等のロウ;水添ホホバ油(融点:68℃)、イソステアリン酸硬化ヒマシ油(融点:45℃)、硬化ヒマシ油(融点:84℃)、水添パーム油(融点:65℃)、硬化ヤシ油(融点:70℃)、パルミチン酸セチル(融点50℃)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル(融点:66℃)、ベヘン酸グリセリル、トリステアリン、トリベヘニン、シア脂(融点36~45℃)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)(融点38℃)、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリル(融点40℃)、オレイン酸フィトステリル、マカダミアナッツ脂肪酸フィトステリル等のエステル油;バチルアルコール(融点:60~70℃)、キミルアルコール(融点60.5~61.5℃)等のエーテル油;ステアリルアルコール(融点58.0℃)、ベヘニルアルコール(融点70.5℃)等の高級アルコールなどが挙げられる。
【0037】
成分(F)の油性ゲル化剤としては、粘度の安定性、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力、顔全体のきれいな仕上がり感を向上させる観点から、架橋型オルガノポリシロキサン、デキストリン脂肪酸エステル、25℃で固体の油性成分から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、架橋型オルガノポリシロキサンがより好ましく、架橋型ジメチルポリシロキサン、架橋型アルキルポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上を含むのがさらに好ましく、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマーから選ばれる1種又は2種以上を含むのがよりさらに好ましく、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーがことさら好ましい。
【0038】
成分(F)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、粘度の安定性、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力、顔全体のきれいな仕上がり感を向上させる観点から、全組成中に0.1質量%以上であるのが好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましく、0.5質量%以上がよりさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、2質量%以下がよりさらに好ましい。また、成分(F)の含有量は、全組成中に0.1~20質量%であるのが好ましく、0.2~10質量%がより好ましく、0.3~5質量%がさらに好ましく、0.5~2質量%がよりさらに好ましい。
【0039】
本発明の油中水型乳化組成物は、仕上がりのカバー力、顔全体のきれいな化粧仕上がり感を向上させる観点から、さらに、(G)着色顔料を含有することができる。
着色顔料としては、通常の化粧料に用いられるもので、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アルミニウム、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラ、紺青、群青、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物、マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体、更にカーボンブラック等の無機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色401号、青色1号、青色404号等の合成有機顔料、有機色素及びそのレーキ顔料;β-カロチン、カラメル、パプリカ色素等の天然有機色素等が挙げられ、これらの着色顔料の複合体、これらの着色顔料を硫酸バリウムやタルク等の体質顔料で希釈した混合顔料などが挙げられる。
着色顔料としては、粘度の安定性、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力、顔全体のきれいな仕上がり感を向上させる観点から、金属酸化物を含むのが好ましく、酸化チタン、酸化亜鉛、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、酸化チタン、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラから選ばれる1種又は2種以上を含むのがさらに好ましい。
【0040】
これらの着色顔料は、そのまま用いることができ、さらに、疎水化処理して用いることもできる。
疎水化処理としては、通常の化粧料用粉体に施されている処理であれば制限されず、シリコーン系化合物、金属石鹸、アミノ酸系化合物、レシチン、油剤、有機チタネート等の表面処理剤を用い、乾式処理、湿式処理等を行えばよい。
表面処理剤の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、トリエトキシカプリリルシラン等のアルキルアルコキシシラン、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状シリコーン、架橋型シリコーン、シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン等のシリコーン系化合物;ステアリン酸アルミニウム、ミリスチン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸;プロリン、ヒドロキシプロリン、アラニン、グリシン、サルコシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジン及びそれらの誘導体等のアミノ酸;ステアロイルグルタミン酸、ラウロイルアスパラギン酸、ジラウロイルグルタミン酸リシン、ラウロイルリシン等のアシル化アミノ酸;レシチン、水添レシチン;ポリイソブチレン、ワックス、油脂、脂肪酸等の油剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート等の有機チタネートなどが挙げられる。
なお、前記アシル化アミノ酸としては、アシル化アミノ酸の塩が含まれ、アシル化アミノ酸の塩としては、Na、Ca、Al、Mg、Zn、Zr、Ti塩が挙げられ、Na、Ca塩から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、Na塩を含むのがより好ましい。また、アシル化アミノ酸塩としては、粘度の安定性、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力、顔全体のきれいな仕上がり感を向上させる観点から、ステアロイルグルタミン酸2Na、ラウロイルアスパラギン酸Naから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、ステアロイルグルタミン酸2Naを含むのがより好ましい。
表面処理剤としては、粘度の安定性、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力、顔全体のきれいな仕上がり感を向上させる観点から、シリコーン系化合物、アシル化アミノ酸、有機チタネートから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アルキルアルコキシシラン、ステアロイルグルタミン酸2Na、ラウロイルアスパラギン酸Na、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、ジメチルポリシロキサン、ステアロイルグルタミン酸2Na、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートから選ばれる1種又は2種以上を含むのがさらに好ましく、ステアロイルグルタミン酸2Naがよりさらに好ましい。
【0041】
疎水化処理は、通常の方法に従って行うことができる。
疎水化処理の処理量は、溶媒へ分散性向上の点から、被覆粉体の量に対して0.1~15質量%であるのが好ましく、1~12質量%がより好ましい。
なお、着色顔料を疎水化処理した場合、着色顔料の含有量は、疎水化処理した剤を含めての含有量を意味する
【0042】
成分(G)の着色顔料は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、化粧仕上がりの観点から、全組成中に0.01質量%以上であるのが好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、5質量%以上がよりさらに好ましく、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下がよりさらに好ましい。また、成分(G)の含有量は、全組成中に0.01~40質量%であるのが好ましく、0.1~30質量%がより好ましく、1~25質量%がさらに好ましく、5~20質量%がよりさらに好ましい。
【0043】
本発明において、成分(C)に対する成分(G)の質量割合(G)/(C)は、粘度の安定性と化粧仕上がりの観点から、500以上であるのが好ましく、5000以上がより好ましく、8000以上がさらに好ましく、10000以上がよりさらに好ましく、200000以下が好ましく、100000以下がより好ましく、60000以下がさらに好ましく、20000以下がよりさらに好ましい。また、成分(C)に対する成分(G)の質量割合(G)/(C)は、500~200000であるのが好ましく、5000~100000がより好ましく、8000~60000がさらに好ましく、10000~20000がよりさらに好ましい。
【0044】
本発明において、水の含有量は、粘度の安定性と化粧仕上がりの観点から、全組成中に0.1質量%以上であるのが好ましく、1質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。また、水の含有量は、全組成中に0.1~80質量%であるのが好ましく、1~70質量%がより好ましく、10~50質量%がさらに好ましい。
【0045】
本発明の油中水型乳化組成物は、前記成分以外に、通常化粧料に用いられる成分、例えば、前記以外の油成分、前記以外の粉体、前記以外の界面活性剤、水溶性高分子、酸化防止剤、香料、防腐剤、増粘剤、pH調整剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、保湿剤、清涼剤等を含有することができる。
【0046】
本発明の油中水型乳化組成物は、通常の方法に従って製造することができる。
【0047】
本発明の油中水型乳化組成物は、液状、乳液液、ペースト状、クリーム状、ジェル状等の剤型にすることができる。
本発明の油中水型乳化組成物は、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力を向上させる観点から、30℃における粘度が、15000mPa・s以上であるのが好ましく、18000mPa・s以上がより好ましく、20000mPa・s以上がさらに好ましく、22000mPa・s以上がよりさらに好ましく、200000mPa・s以下が好ましく、100000mPa・s以下がより好ましく、75000mPa・s以下がさらに好ましく、50000mPa・s以下がよりさらに好ましい。また、本発明の油中水型乳化組成物は、30℃における粘度が15000~200000mPa・sであるのが好ましく、18000~100000mPa・sがより好ましく、20000~75000mPa・sがさらに好ましく、22000~50000mPa・sがよりさらに好ましい。
本発明の油中水型乳化組成物は、比較的高粘度で、充填などによる圧力が加えられて粘度が低下した場合であっても、圧力が加えられる前の粘度に回復しやすいものである。
【0048】
本発明の油中水型乳化組成物は、外用剤組成物とするのが好ましく、皮膚外用剤組成物とするのがより好ましい。
また、本発明の油中水型乳化組成物は、油中水型乳化化粧料とするのが好ましく、皮膚用油中水型乳化化粧料とするのがより好ましく、紫外線防御化粧料、メイクアップ化粧料とするのがさらに好ましく、メイクアップ化粧料とするのがよりさらに好ましい。
本発明の油中水型乳化組成物は、例えば、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー;ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料;スキンケア乳液、スキンケアクリーム、BBクリーム、美容液等のスキンケア化粧料などとして適用することができる。
【0049】
上述した実施形態に関し、本発明は、更に以下の組成物等を開示する。
【0050】
<1>次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)第四級アンモニウムイオンで置換されたカチオン変性粘土鉱物、
(B)25℃で液状のフェニル変性シリコーン、
(C)ソルビタン脂肪酸エステル 0.00005~0.3質量%、
(D)ポリエーテル変性シリコーン
を含有する油中水型乳化組成物。
【0051】
<2>成分(A)のカチオン変性粘土鉱物が、好ましくは、層状粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で置換して得られるカチオン変性粘土鉱物であって、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライトから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライトから選ばれる1種又は2種以上を含むのがさらに好ましく、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライを含むのがよりさらに好ましい、前記<1>記載の油中水型乳化組成物。
<3>成分(A)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.01質量%以上であって、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、0.8質量%以上がよりさらに好ましく、1.4質量%以上がことさら好ましく、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましく、2.5質量%以下がよりさらに好ましく、1.8質量%以下がことさら好ましい、前記<1>又は<2>記載の油中水型乳化組成物。
【0052】
<4>成分(B)が、好ましくは、25℃における粘度が、4000mPa・s以下であって、600mPa・s以下がより好ましく、200mPa・s以下がさらに好ましく、50mPa・s以下がよりさらに好ましい、前記<1>~<3>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
<5>成分(B)が、好ましくは、フェニルトリメチコン及びジフェニルシロキシフェニルトリメチコンから選ばれる1種又は2種以上であって、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンを含むのがより好ましい、前記<1>~<4>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
【0053】
<6>成分(B)の含有量が、好ましくは、全組成中に1質量%以上であって、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、3.5質量%以上がよりさらに好ましく、5質量%以上がことさら好ましく、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下がよりさらに好ましく、7質量%以下がことさら好ましい、前記<1>~<5>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
<7>成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)が、好ましくは、0.05以上であって、0.1以上がより好ましく、0.12以上がさらに好ましく、0.15以上がよりさらに好ましく、0.2以上がより好ましく、0.23以上がよりさらに好ましく、1以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.45以下がさらに好ましく、0.40以下がよりさらに好ましく、0.36以下がより好ましく、0.3以下がよりさらに好ましい、前記<1>~<6>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
【0054】
<8>成分(C)が、好ましくは、HLBが1以上であって、2以上がより好ましく、3以上がさらに好ましく、10以下が好ましく、7以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい、前記<1>~<7>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
<9>成分(C)が、好ましくは、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン及びセスキステアリン酸ソルビタンから選ばれる1種又は2種以上であって、モノイソステアリン酸ソルビタン及びセスキステアリン酸ソルビタンから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、モノイソステアリン酸ソルビタンを含むのがさらに好ましい、前記<1>~<8>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
【0055】
<10>成分(C)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.00007質量%以上であって、0.00008質量%以上がより好ましく、0.0001質量%以上がよりさらに好ましく、0.0005質量%以上がよりさらに好ましく、0.1質量%以下が好ましく、0.05質量%以下がより好ましく、0.005質量%以下がよりさらに好ましい、前記<1>~<9>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
<11>成分(C)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.0001~0.3質量%である、前記<1>~<10>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
<12>成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)が、好ましくは、20以上であって、60以上がより好ましく、150以上がさらに好ましく、200以上がよりさらに好ましく、2000以上がよりさらに好ましく、80000以下が好ましく、60000以下がより好ましく、30000以下がさらに好ましく、7000以下がよりさらに好ましい、前記<1>~<11>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
【0056】
<13>成分(D)が、好ましくは、ポリオキシエチレン基又はポリオキシプロピレン基を有するジメチルポリシロキサンであって、少なくともポリオキシエチレン基を有するジメチルポリシロキサンがより好ましい、前記<1>~<12>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
<14>成分(D)が、好ましくは、HLBが1以上であって、3以上がより好ましく、12以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下がさらに好ましく、6以下がよりさらに好ましい、前記<1>~<13>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
<15>成分(D)が、好ましくは、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、PEG/PPG-19/19ジメチコン、PEG10-ジメチコンから選ばれる1種又は2種以上であって、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、PEG/PPG-19/19ジメチコンから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコンがさらに好ましい、前記<1>~<14>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
<16>成分(D)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.1質量%以上であって、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい、前記<1>~<15>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
【0057】
<17>さらに、(E)25℃で液状のエステル油を含有する、前記<1>~<16>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
<18>成分(E)が、好ましくは、モノエステル、ジエステル、トリエステルから選ばれる1種又は2種以上であって、モノエステル、ジエステルから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましい、前記<17>記載の油中水型乳化組成物。
<19>成分(E)が、好ましくは、モノエステルとジエステルを組合わせて用いる、前記<17>又は<18>記載の油中水型乳化組成物。
<20>成分(E)の含有量が、好ましくは、全組成中に1質量%以上であって、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい、前記<17>~<19>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
【0058】
<21>さらに、(F)成分(A)以外の油性ゲル化剤を含有する、前記<1>~<20>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
<22>成分(F)が、好ましくは、架橋型オルガノポリシロキサン、デキストリン脂肪酸エステル、25℃で固体の油性成分から選ばれる1種又は2種以上であって、架橋型オルガノポリシロキサンがより好ましく、架橋型ジメチルポリシロキサン、架橋型アルキルポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上を含むのがさらに好ましく、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマーから選ばれる1種又は2種以上を含むのがよりさらに好ましく、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーがことさら好ましい、前記<21>記載の油中水型乳化組成物。
<23>成分(F)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.1質量%以上であって、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましく、0.5質量%以上がよりさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、2質量%以下がよりさらに好ましい、前記<21>又は<22>記載の油中水型乳化組成物。
【0059】
<24>さらに、(G)着色顔料を含有する、前記<1>~<23>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
<25>成分(G)が、金属酸化物を含むのが好ましく、酸化チタン、酸化亜鉛、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、酸化チタン、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラから選ばれる1種又は2種以上を含むのがさらに好ましい、前記<24>記載の油中水型乳化組成物。
<26>成分(G)が、好ましくは、疎水化処理されたものであって、表面処理剤が、シリコーン系化合物、アシル化アミノ酸、有機チタネートから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アルキルアルコキシシラン、ステアロイルグルタミン酸2Na、ラウロイルアスパラギン酸Na、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、ジメチルポリシロキサン、ステアロイルグルタミン酸2Na、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートから選ばれる1種又は2種以上を含むのがさらに好ましく、ステアロイルグルタミン酸2Naがよりさらに好ましい、前記<24>又は<25>記載の油中水型乳化組成物。
【0060】
<27>成分(G)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.01質量%以上であって、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、5質量%以上がよりさらに好ましく、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下がよりさらに好ましい、前記<24>~<26>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
<28>成分(C)に対する成分(G)の質量割合(G)/(C)が、好ましくは、500以上であって、5000以上がより好ましく、8000以上がさらに好ましく、10000以上がよりさらに好ましく、200000以下が好ましく、100000以下がより好ましく、60000以下がさらに好ましく、20000以下がよりさらに好ましい、前記<24>~<27>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
【0061】
<29>水の含有量が、好ましくは、全組成中に0.1質量%以上であって、1質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい、前記<1>~<28>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
<30>30℃における粘度が、好ましくは、15000mPa・s以上であって、18000mPa・s以上がより好ましく、20000mPa・s以上がさらに好ましく、22000mPa・s以上がよりさらに好ましく、200000mPa・s以下が好ましく、100000mPa・s以下がより好ましく、75000mPa・s以下がさらに好ましく、50000mPa・s以下がよりさらに好ましい、前記<1>~<29>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
【0062】
<31>好ましくは、外用剤組成物であって、皮膚外用剤組成物がより好ましい、前記<1>~<30>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
<32>好ましくは、油中水型乳化化粧料であって、皮膚用油中水型乳化化粧料がより好ましく、紫外線防御化粧料、メイクアップ化粧料がさらに好ましく、メイクアップ化粧料とするのがよりさらに好ましい、前記<1>~<31>のいずれか1記載の油中水型乳化組成物。
【0063】
<33>次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)第四級アンモニウムイオンで置換されたカチオン変性粘土鉱物 0.01~10質量%、
(B)25℃で液状のフェニル変性シリコーン 1~25質量%、
(C)ソルビタン脂肪酸エステル 0.00005~0.3質量%、
(D)ポリエーテル変性シリコーン 0.1~10質量%
を含有する皮膚外用剤組成物。
【0064】
<34>次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)第四級アンモニウムイオンで置換されたカチオン変性粘土鉱物 0.8~2.5質量%、
(B)25℃で液状のフェニル変性シリコーン 3.5~10質量%、
(C)ソルビタン脂肪酸エステル 0.00005~0.05質量%、
(D)ポリエーテル変性シリコーン 0.1~10質量%
を含有する皮膚外用剤組成物。
【0065】
<35>次の成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)及び(G):
(A)第四級アンモニウムイオンで置換されたカチオン変性粘土鉱物 0.01~10質量%、
(B)25℃で液状のフェニル変性シリコーン 1~25質量%、
(C)ソルビタン脂肪酸エステル 0.00005~0.3質量%、
(D)ポリエーテル変性シリコーン 0.1~10質量%、
(E)25℃で液状のエステル油 1~20質量%、
(F)成分(A)以外の油性ゲル化剤 0.1~20質量%、
(G)着色顔料 0.01~40質量%
を含有する皮膚外用剤組成物。
【0066】
<36>次の成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)及び(G):
(A)第四級アンモニウムイオンで置換されたカチオン変性粘土鉱物 0.8~2.5質量%、
(B)25℃で液状のフェニル変性シリコーン 3.5~10質量%以下、
(C)ソルビタン脂肪酸エステル 0.00005~0.05質量%、
(D)ポリエーテル変性シリコーン 0.1~10質量%、
(E)25℃で液状のエステル油 3~10質量%、
(F)架橋型オルガノポリシロキサン 0.5~2質量%、
(G)着色顔料 5~20質量%
を含有する皮膚外用剤組成物。
【0067】
<37>次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)第四級アンモニウムイオンで置換されたカチオン変性粘土鉱物、
(B)25℃で液状のフェニル変性シリコーン、
(C)ソルビタン脂肪酸エステル 0.00005~0.3質量%、
(D)ポリエーテル変性シリコーンを配合してなる油中水型乳化組成物。
【実施例0068】
実施例1~12及び比較例1~2
表1に示す組成の油中水型乳化化粧料(ファンデーション)を製造し、製造直後及び1カ月保存後の粘度を測定するとともに、充填機による圧力を加えた際の粘度安定性、塗布時の伸び感、肌への付着感及びカバー力を評価した。結果を表1に併せて示す。
なお、比較例1及び比較例2は、粘度が低いため、充填機による圧力を加えた際の粘度安定性の評価は行わなかった。
【0069】
(製造方法)
成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)を含む油相に、水相成分を加えて混合することにより、油中水型乳化化粧料を得た。
【0070】
(評価方法)
(1)粘度測定:
各油中水型乳化化粧料について、製造直後及び30℃で1か月保存した後の粘度を、30℃において、ヘリカル型粘度計(TVB-10型、東機産業社製)、ロータH-T-C、回転数10、測定時間60秒により測定した。なお、これらの粘度は、下記(2)に記載された充填機による圧力を加えていない。
粘度の数値は、表1中の以下の項目に記載した。
(ア):直後粘度(30℃)/mPa・s
(イ):1か月後粘度(30℃)/mPa・s
【0071】
(2)充填機による圧力を加えた際の粘度安定性:
各油中水型乳化化粧料に対し、以下の条件の充填機による圧力を加え、各油中水型乳化化粧料40gを50mLのサンプル瓶に入れ、30℃で1か月保存後の粘度(ウ)を、前記(1)と同様にして測定した。
これらの粘度から、下記式により、充填機による圧力を加えた際の粘度安定性(粘度の回復性)を求めた。100%に近いほど、粘度変化が小さいので優れている。
充填機による圧力を加えた際の粘度安定性(粘度の回復性)(%)
=(((ウ):圧力を加えた後の1か月後粘度)/((イ)1か月後粘度))×100
・充填機による圧力の条件:アラハタフードマシン社製、電動型ピストン式充填機 SBK-1-9L、Φ40シリンダー、ノズル内径 Φ5mm、充填時間:0.3(sec)
【0072】
(3)塗布時の伸び:
3名の専門評価者が、各油中水型乳化化粧料0.03gを、指を用いて前腕内側の肌に2×3cm2の大きさに塗布し、塗布時の伸ばしやすさについて、下記の5段階で評価した。結果は、3名の合計点で示した。
5;伸びが非常に良い。
4;伸びが良い。
3;伸びがやや良い。
2;伸びがあまり良くない。
1;伸びが悪い。
【0073】
(4)肌への付着感:
3名の専門評価者が、指を用いて各油中水型乳化化粧料0.03gを、指を用いて前腕内側の肌に2×3cm2の大きさに塗布し、1秒に1往復の速さで20秒間マッサージしたとき、化粧料の肌への付着感について、下記の5段階で評価した。結果は、3名の合計点で示した。
なお、肌への付着感とは、20秒マッサージした後に、指が吸い付くように止まる感覚があり、油中水型乳化化粧料が肌に密着して付着した実感があることを示す。
5;付着感が明らかにある。
4;付着感がある。
3;付着感がややある。
2;付着感があまりない。
1;付着感がない。
【0074】
(5)カバー力:
3名の専門評価者が、各油中水型乳化化粧料0.25gを、指を用いて顔に塗布したとき、毛穴と色ムラに対するカバー力について、下記の5段階で評価した。結果は、3名の合計点で示した。
5;カバー力が明らかにある。
4;カバー力がある。
3;カバー力がややある。
2;カバー力があまりない。
1;カバー力がない。
【0075】
【0076】
なお、実施例で使用した成分の商品名等は、以下のとおりである。
*1:セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン;Evonik Operations GmbH製、ABIL EM 90
*2:PEG/PPG-19/19ジメチコン(50質量%イソパラフィン分散液);ダウ・東レ社製、DOWSIL BY 25-337
*3:イソステアリン酸ソルビタン;Croda Europe Ltd製、スパン 120-LQ-(RB)
*4:メチルトリメチコン;信越化学工業社製、TMF-1.5(-G)
*5:ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン;信越化学工業社製、シリコーン KF-56A
*6:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル;BASF SE製、ユビナール MC80
*7:ジカプリル酸PG;日本サーファクタント工業社製、NIKKOL SEFSOL-228
*8:(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー(35質量%メチルトリメチコン分散液)、大東化成工業社製、TOREFIL(35%)C/TMF(ポリマー:35質量%、メチルトリメチコン:65質量%)
*9:(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー(25質量%ジメチルポリシロキサン分散液);信越化学工業社製、シリコーン KSG-16(ポリマー:25質量%、ジメチルポリシロキサン:75質量%)
*10:N-ステアロイル-Lグルタミン酸二Na 3質量%処理酸化チタン(80質量%シクロペンタシロキサン分散液);三好化成社製、SA/NAI-TR-10/D5(80%)M C D(着色顔料:80質量%、シクロペンタシロキサン:20質量%)
*11:N-ステアロイル-Lグルタミン酸二Na 3質量%処理ベンガラ(65質量%シクロペンタシロキサン分散液);三好化成社製、SA/NAI-R-10/D5(65%)M C D(着色顔料:65質量%、シクロペンタシロキサン:35質量%)
*12:N-ステアロイル-Lグルタミン酸二Na 3質量%処理黄酸化鉄(70質量%シクロペンタシロキサン分散液);三好化成社製、SA/NAI-Y-10/D5(70%)M C D(着色顔料:70質量%、シクロペンタシロキサン:30質量%)
*13:N-ステアロイル-Lグルタミン酸二Na 3質量%処理黒酸化鉄(75質量%シクロペンタシロキサン分散液);三好化成社製、SA/NAI-B-10/D5(75%)M C D(着色顔料:75質量%、シクロペンタシロキサン:25質量%)
*14:ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト;Elementis Specialties, Inc.(US)、ベントン 38VCG
*15:ベンジルジメルステアリルアンモニウムヘクトライト(12.5質量%(トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル・炭酸プロピレン混合液)分散液);Elementis Specialties, Inc.(US)、BENTONE GEL GTCC V (粘土鉱物:12.5質量%)
*16:ベンジルジメルステアリルアンモニウムヘクトライト(12.5質量%(安息香酸アルキル(C12-15)・炭酸プロピレン混合液)分散液);Elementis Specialties, Inc.(US)、BENTONE GEL TN V (粘土鉱物:12.5質量%)
【0077】
処方例1~9
実施例1~12と同様にして、表2~表4に示す組成の油中水型乳化化粧料を製造した。
得られた油中水型乳化化粧料はいずれも、充填機による圧力が加えられたことによる粘度低下が起こっても回復しやすく、粘度の安定性が良好で、塗布時の伸び、肌への付着感、仕上がりのカバー力に優れている。
【0078】
【0079】
*17:PEG/PPG-19/19ジメチコン(50質量%シクロペンタシロキサン分散液);Dow Silicone Corporation、DOWSIL BY 11-030
*18:PEG10-ジメチコン;信越化学工業社製、KF-6017
*19:ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン;ダウ・東レ社製、DOWSIL FZ-209
*20:フェニルトリメチコン;ダウ・東レ社製、DOWSIL SH 556 FLUID
【0080】
【0081】
*21:エチルヘキサン酸セチル;日清オイリオグループ社製、サラコス 816(L)
*22:ポリ(N-プロピオニルエチルイミン)変性シリコーン;特開2016-222599号公報、合成例3記載の化合物
*23:2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル;BASF SE、ユビナール A PLUS GRANULAR
*24:ジメチコジエチルベンザルマロネート;DSM Nutritional Products Ltd.、パルソールSLX
*25:2,4-ビス-[{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン;BASF SE、TINOSORB S
*26:微粒子酸化チタン(50質量%シクロペンタシロキサン分散液);三好化成社製、SA-UT-A40/D5
*27:微粒子酸化亜鉛(45質量%シクロペンタシロキサン分散液);テイカ社製、OSMZ300/45%スラリー
*28;ジメチルポリシロキサン処理無水ケイ酸;三好化成社製、MIYOFEEL SA-SB-N1
*29:ジメチルポリシロキサン処理酸化亜鉛;テイカ社製、MZY-505M
【0082】
【0083】
*30:水添ポリイソブテン;クローダジャパン社製、クロラータム LES-LQ
*31:水添ポリイソブテン;日油社製、パールリーム 4
*32:ASI処理酸化チタン;大東化成工業社製、BCASI TIO2 MP-701(酸化チタン98質量%に対し、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート1.5質量%、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム0.42質量%、塩化亜鉛0.08質量%で被覆処理したもの)
*33:ASI処理ベンガラ;大東化成工業社製、ASI RED R-516P(ベンガラ98質量%に対し、*32と同様の表面処理をしたもの)
*34:ASI処理黄酸化鉄;大東化成工業社製、ASI YELLOW LL-100P(黄色酸化鉄98質量%に対し、*32と同様の表面処理をしたもの)
*35:ASI処理黒酸化鉄;大東化成工業社製、ASI BLACK BL-100P(黒色酸化鉄98質量%に対し、*2と同様の表面処理をしたもの)
【0084】
実施例13及び14
実施例1~12と同様にして、表5に示す組成の油中水型乳化化粧料(ファンデーション)を製造し、製造直後及び1カ月保存後の粘度を測定するとともに、充填機による圧力を加えた際の粘度安定性、塗布時の伸び感、肌への付着感及びカバー力を評価した。結果を表5に併せて示す。
【0085】