(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185588
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】骨癒合装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/58 20060101AFI20221207BHJP
【FI】
A61B17/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022089538
(22)【出願日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】63/195,821
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511039728
【氏名又は名称】スメド-ティーエイ/ティーディー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クレゴリー シー. スタルカップ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ティー. ニューマン
(72)【発明者】
【氏名】クレイ アール. ウィリアムズ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL26
4C160LL55
4C160LL56
4C160LL57
4C160LL58
4C160LL59
(57)【要約】 (修正有)
【課題】骨組織への強化されたひいては改善された圧縮を提供する骨癒合装置を提供する。
【解決手段】骨癒合装置は、多孔質セクションと、圧縮を促進するように構成されたねじ山付き近位セクションとを有する軸を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質セクションと、圧縮を促進するように構成されたねじ山付き近位セクションとを有する軸を備える、骨癒合装置。
【請求項2】
前記骨癒合装置は締結具として形成されていて、前記ねじ山付き近位セクションに螺合される頭部をさらに備え、該頭部は、骨と係合するように構成された複数の歯を有している、請求項1記載の骨癒合装置。
【請求項3】
前記頭部は、半径方向内側の壁と、該半径方向内側の壁と結合されて、前記頭部を前記軸に固定するように構成されたリングとを備える、請求項2記載の骨癒合装置。
【請求項4】
前記環はポリマーリングである、請求項3記載の骨癒合装置。
【請求項5】
前記頭部は、半径方向内側の壁と、該半径方向内側の壁と結合された複数のスパイクとを備える、請求項2記載の骨癒合装置。
【請求項6】
前記複数のスパイクは、係合位置と係合解除位置との間で選択的に動くように構成されており、前記係合位置にある前記複数のスパイクは、前記半径方向内側の壁から半径方向内向きに突出し、それによって、前記軸に対する前記頭部の回転を防止すべく前記軸に係合するように構成されている、請求項5記載の骨癒合装置。
【請求項7】
前記頭部は、前記複数のスパイクと結合されたレバーを備える、請求項6記載の骨癒合装置。
【請求項8】
圧縮を促進するように構成された拡張可能な部分を有する軸を備える、骨癒合装置。
【請求項9】
前記拡張可能な部分は、前記軸の中央セクションであり、未拡張位置と拡張位置との間で動くように構成されている、請求項8記載の骨癒合装置。
【請求項10】
前記中央セクションは長手方向で分割されており、それによって、前記未拡張位置では比較的互いに近く、前記拡張位置では比較的互いに離れている複数の分割端部を備えている、請求項9記載の骨癒合装置。
【請求項11】
前記軸は孔を有し、該孔は、長手方向に延在する複数の溝を含み、長手方向に延在する複数の突出部を有するインサートを収容するように構成されており、前記複数の突出部のそれぞれ1つは、前記複数の溝のそれぞれ1つに選択的に嵌まるように構成されている、請求項10記載の骨癒合装置。
【請求項12】
前記拡張可能な部分は、前記インサートによって前記未拡張位置と前記拡張位置との間で動くように構成されている、請求項11記載の骨癒合装置。
【請求項13】
前記軸は、閉位置と開位置との間で動くように構成された遠位端部を有し、該遠位端部は、前記拡張可能な部分を形成している、請求項8記載の骨癒合装置。
【請求項14】
前記遠位端部は複数のフランジを備える、請求項13記載の骨癒合装置。
【請求項15】
前記軸は、インサートを収容するように構成された孔を有しており、前記複数のフランジは、前記孔が前記インサートを収容するときに、前記閉位置と前記開位置との間で動くように構成されている、請求項14記載の骨癒合装置。
【請求項16】
組織を共に癒合する方法であって、
第1の端部と、反対側の第2の端部とを有する縫合糸と、第1のボタンと、第2のボタンとを提供するステップと、
前記第2の端部を前記第2のボタンに取り付けるステップと、
前記第2のボタンを、第1の骨部分を通って延在する機械的な孔に通すステップと、
前記第2のボタンを第2の骨部分に貼り付けるステップと、
前記縫合糸と、前記第1のボタンと、前記第2のボタンとによって、前記第1の骨部分と前記第2の骨部分との間に線形圧縮を生じさせるステップと、
を含む方法
【請求項17】
前記機械的な孔を締結具によって形成する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記機械的な孔を骨ドリルによって形成する、請求項16記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
これは、2021年6月2日に出願された「BONE FUSION DEVICE」と題された米国仮特許出願第63/195,821号を基礎とする非仮出願であって、同号は参照により本明細書に援用するものとする。
【0002】
1.発明の分野
本発明は、組織癒合装置に関し、より詳細には、骨締結具および骨締結具を使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の説明
様々な種類の骨癒合装置が、様々な種類の医療用締結具として知られている。そのような締結具は、骨ねじと骨ピンとを備えている。さらに、Arthrex社の縫合糸製品群は、縫合糸圧縮を提供する。
【0004】
当技術分野で必要とされていることは、骨癒合装置を使用して骨組織に圧縮を提供する改善された方法である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、骨組織への強化されたひいては改善された圧縮を提供する骨癒合装置を提供する。
【0006】
本発明の一形態は、多孔質セクションと、圧縮を促進するように構成されたねじ山付き近位セクションとを有する軸を備える骨癒合装置に関する。
【0007】
本発明の別の形態は、圧縮を促進するように構成された拡張可能な部分を有する軸を備える骨癒合装置に関する。
【0008】
本発明の更なる別の形態は、組織を共に癒合する方法であって、第1の端部と、反対側の第2の端部とを有する縫合糸と、第1のボタンと、第2のボタンとを提供するステップと、第2の端部を第2のボタンに取り付けるステップと、第2のボタンを、第1の骨部分を通って延在する機械的な孔に通すステップと、第2のボタンを第2の骨部分に貼り付けるステップと、縫合糸と、第1のボタンと、第2のボタンとによって、第1の骨部分と第2の骨部分との間に線形圧縮を生じさせるステップと、を含む方法に関する。
【0009】
本発明の利点は、本発明が、骨への医療用締結具の強化された固定を提供し、締結具が使用中に骨から引き抜かれるか、滑り落ちるか、またはそうでなければ締結具自体が外れてしまうことを抑制することである。
【0010】
別の利点は、いくつかの実施形態が、ボタンおよび孔付きピンもしくは孔付きドリルを使用する骨癒合のための強化された圧縮を提供することである。
【0011】
更なる別の利点は、本発明を、癒合手術で仙骨-腸骨関節を跨ぐために使用することができるが、他の同様の外科的処置においても使用することができるということである。
【0012】
更なる別の利点は、本発明の特定の実施形態が個別に示されているが、所望のときに、単一の骨ねじまたは骨ピンなどの単一のインプラントに組み合わせることができることである。
【0013】
本発明の上記の特徴および利点、他の特徴および利点、ならびにそれらを達成する方法は、添付の図面と併せて取られる本発明の実施形態の以下の説明を参照することによって、より明らかになり、本発明がよりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明による骨ねじの形態の医療用締結具の軸の斜視図である。
【
図2】本発明による骨ねじの他の実施形態の斜視図である。
【
図5】係合位置にあるスパイクを示す、本発明による骨ねじの頭部の更なる別の実施形態の上面透視図である。
【
図6】係合解除位置にあるスパイクを示す、
図5の骨ねじの頭部の上面透視図である。
【
図7】一般的に、
図5と同様に、係合位置にあるスパイクを示す、骨ねじの頭部の上面透視図の部分的な切断面図である。
【
図8】一般的に、
図6と同様に、後退位置にあるスパイクを示す、骨ねじの頭部の上面透視図の部分的な切断面図である。
【
図9】本発明による骨ねじの更なる別の実施形態の斜視図である。
【
図10】軸の中央セクションを通って垂直に取られた断面の、非拡張位置にある
図9の骨ねじの透視断面図である。
【
図11】軸の中央セクションを通って垂直に取られた断面の、拡張位置にある
図9の骨ねじの透視断面図である。
【
図12】軸の中央セクションを通って垂直に取られた断面の、インサートが引き出された状態の、非拡張位置にある
図9の骨ねじの透視断面図である。
【
図13】軸の中央セクションを通って垂直に取られた断面の、拡張位置にある
図9の骨ねじの透視断面図である。
【
図14】拡張していない先端部の、本発明による骨ねじの更なる別の実施形態の斜視図である。
【
図16】骨ピンと、ボタンと、縫合糸とを含み、縫合糸およびボタンが、ピンから離隔している、本発明による組織癒合機構の一実施形態の斜視図である。
【
図17】縫合糸がピン内の孔を通って延在していることを示す、
図16の骨癒合機構の斜視図である。
【
図18】縫合糸がピン内の孔を通って延在し、1つのボタンがピンの頭部に着座していることを示す、
図16の骨癒合機構の斜視図である。
【
図19】本発明による組織癒合機構の別の実施形態の斜視図である。
【
図20】本発明の例示的な実施形態による、組織を共に癒合する方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
対応する参照符号は、いくつかの図を通して対応する部品を示している。本明細書に記載された例示は、本発明の実施形態を示すものであり、このような例示は、いかなる様式においても、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0016】
本発明は、骨組織などの組織における固定を強化する医療用締結具またはその部品に関する。
【0017】
本発明の一形態は、骨に締結するように構成された骨ねじであって、ねじ山付き近位セクションと、多孔質中央セクションと、ねじ山付き多孔質遠位セクションとを有する軸を備える骨ねじに関する。
【0018】
本発明の別の形態は、骨ねじなどの医療用締結具の頭部であって、骨に係止するように構成された少なくとも1つの係止機構を備える頭部に関する。係止機構は、骨に係合して固定するように構成された複数の歯を有する第1の係止機構を備えることができる。係止機構は、第1の係止機構に対して代替的にまたはそれに加えて、頭部の半径方向内側の壁に環状に配置された第2の係止機構を備えることができ、頭部の半径方向内側の壁は、骨ねじの軸と螺合するように構成されており、第2の係止機構は、軸に対するねじ山の緩みに対する抵抗を提供するように構成されたポリマーリングを形成している。係止機構は、第1の係止機構および第2の係止機構に対して代替的にまたはそれらに加えて、頭部の半径方向内側の壁に配置された複数のスパイクを有する第3の係止機構を備えることができ、頭部の半径方向内側の壁は、骨ねじの軸と螺合するように構成されており、スパイクは、係合位置と係合解除位置との間で動くように構成されており、係合位置にあるスパイクは、半径方向内側の壁から半径方向内向きに突出し、それによって、軸に対する頭部の回転を防止すべく軸に係合するように構成されている。本発明は、この頭部のこれらの実施形態のいずれかを使用する方法をさらに含むことができる。
【0019】
本発明の別の形態は、骨ねじなどの医療用締結具であって、ねじは、インサートを収容するように構成された孔と、非拡張位置と拡張位置との間で動くように構成された多孔質であってよい中央セクションとを有する軸を備えており、インサートは、孔内に押し込まれかつ/または孔内で回動されると、中央セクションを非拡張位置から拡張位置に動かし、拡張位置は、骨ねじを骨に係止するように構成されている、医療用締結具に関する。本発明は、この骨ねじを使用する方法であって、インサートを孔内に挿入するステップと、中央セクションが骨に係止するように、中央セクションを非拡張位置から拡張位置に動かすステップと、を含む方法をさらに含む。
【0020】
本発明の更なる別の形態は、骨ねじなどの医療用締結具であって、ねじは、孔と遠位端部とを有する軸を備えており、孔は、インサートを収容するように構成されており、遠位端部は、閉位置と開位置との間で動くように構成されており、インサートは、孔内に押し込まれたときに、遠位端部を閉位置から開位置に動かし、開位置は、骨ねじを骨に係止するように構成されている、医療用締結具に関する。本発明は、この骨ねじを使用する方法であって、インサートを孔内に挿入するステップと、ねじの遠位端部が骨に係止するように、遠位端部を閉位置から開位置に動かすステップと、を含む方法をさらに含む。
【0021】
本発明の更なる別の形態は、骨ピンなどの医療用締結具と、第1のボタンと、第2のボタンと、縫合糸とを有する組織癒合機構であって、ピンは孔を有し、骨部分に位置決めされるように構成されており、第1のボタンは、ピンの頭部に設けられた溝に嵌められ、第2のボタンは、別の骨部分に隣り合って位置決めされるように構成されており、縫合糸は、互いに反対側の端部でそれぞれ第1のボタンおよび第2のボタンに接続されていて、ピンの孔を通って進み、それによって、骨部分の癒合を生じさせるために、骨部分に圧縮を提供する、組織癒合機構に関する。
【0022】
本発明の更なる別の形態は、骨などの組織を癒合する方法であって、骨ピンまたは骨ねじなどの医療用締結具を、第1の骨部分に予め穿設された穴内に挿入するステップと、縫合糸をその互いに反対側の端部でそれぞれ第1のボタンおよび第2のボタンに取り付けるステップと、第2のボタンをピンの孔に通すステップと、第2のボタンを第2の骨部分に貼り付けるステップと、縫合糸をきつく引っ張って、2つの骨部分の間に線形圧縮を生じさせるステップと、第1のボタンを、ピンの頭部に設けられた溝に嵌めるステップと、を含む方法に関する。
【0023】
本発明の更なる別の形態は、第1のボタンと、第2のボタンと、縫合糸とを有する組織癒合機構であって、各ボタンは、骨部分に隣り合って位置決めするように構成されており、縫合糸はその互いに反対側の端部で第1のボタンおよび第2のボタンのそれぞれ1つに取り付けられており、縫合糸およびボタンは、共に圧縮を提供するように構成されており、それによって、骨部分が共に癒合される、組織癒合機構に関する。
【0024】
本発明の更なる別の形態は、骨などの組織を癒合する方法であって、孔を有するドリルによって第1の骨部分に穴を穿設するステップと、縫合糸をその互いに反対側の端部で第1のボタンおよび第2のボタンのそれぞれに取り付けるステップと、第2のボタンをドリルの孔に通すステップと、第2のボタンを第2の骨部分に貼り付けるステップと、縫合糸をきつく引っ張って、2つの骨部分の間に線形圧縮を生じさせるステップと、ドリルを除去したのちに、第1のボタンを第1の骨部分に貼り付けるステップと、を含む方法に関する。
【0025】
ここで図面、より詳細には
図1を参照すると、骨癒合装置の軸12、すなわち、骨に締結するように構成された骨ねじの形態の医療用締結具が示されており、軸12は、一般的に、圧縮を促進するように構成されたねじ山付き近位セクション16と、多孔質中央セクション18と、ねじ山付き多孔質遠位セクション19(そのような多孔性は骨の成長および固定を補助することができる)とを有している。多孔性は、軸の半径全体を通して、またはその一部のみを通して形成することができる。さらに、
図1に示すように、軸12は、長手方向に延在する孔13を有することができ、これは貫通孔であってよく、「カニューレ挿入孔」と呼ぶこともでき、軸12の近位端部16から遠位端部19まで延在している。近位セクション16に対応する近位端部は、使用者によって使用されるドリルもしくはワークピースによって駆動されるために、またはそうでなければ使用者によって接触されるように構成されている端部であり、一方、遠位端部は、軸12が、骨内、例えば骨に予め穿設された穴内に挿入されるときの軸12の先導端部である。任意選択で、軸12は、そのような孔13を有しないこともできる。近位セクション16のねじ山は、ねじ10を骨の中に締め付けるように構成され、それによって骨の中に増大した線形圧縮を提供するねじ山付き頭部14を被せるように構成されている。
【0026】
図2は、モジュール式の頭部14と、軸12とを有する骨ねじ10を示している。圧縮頭部と呼ぶことができる頭部14は、付加的な線形圧縮を提供するように構成されている。
図2の軸12は、
図1の軸と同様であり、ひいては、代替的な実施形態におけるように、孔を欠いているか、または孔内にインサートもしくは充填材料を有することができることを除いて、
図1と同じ参照符号を有している。頭部14は、ここでは、軸12のねじ山付き近位セクション16に被せられ、ひいては、螺合されるものとして示されている。さらに、
図2の頭部14は、
図3~
図8に示される頭部の様々な実施形態の一般的な表現であると理解され、用途に応じて残りの図の他の締結具の頭部に使用することができる。
【0027】
図2の骨ねじ10と、
図1の軸12を有する本明細書に記載される締結具のいずれかの実施形態とは、チタンなどの金属、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリマー、または任意の適切な材料、複合体、もしくはそれらの混合物を含むことができ、任意の適切な製造プロセスを用いて作製することができる。さらに、軸12は、圧縮を提供するために本明細書に開示される他の実施形態と使用または組み合わせることができ、かつ/またはHerbert/Whipple(登録商標)装置および/または圧縮頭部と組み合わせて使用することができる。このような形態または組み合わせは、限定することを意図していない。
【0028】
図3に示すように、頭部14は、骨ねじの軸、具体的には、軸のねじ山付き近位セクション16に螺合するように構成された雌ねじ山付き壁を有している。頭部14は、骨に係止するように構成された少なくとも1つの係止機構をさらに備えることができる。
図3は、複数の歯15として形成された係止機構を備えた頭部14を示している。頭部14はまた、頭部14の遠位側に歯15を有している。歯15は、頭部14に切り込まれてよく、骨と係合し、骨への締め付けを可能にし、ひいては、骨への挿入後にねじ10が骨から後退するのを防止するように構成されている。このように、歯15は、骨ねじ10が骨にねじ込まれる際に、骨に係合して固定するように構成されており、すなわち、頭部14が回転される際に骨に切り込み、それによって骨を把持するように構成されている。このような歯15は、受動的な圧縮頭部係止機構を構成する。
【0029】
図4に示すように、頭部14は、歯15に対して代替的にまたはそれに加えて、PEEK製であってよいポリマーリング17として形成された係止機構を備えることができる。ポリマーリング17は、頭部14の雌ねじ山付き壁(これは半径方向内側の壁である)に環状に配置されて、それと結合されており、頭部14が軸12に対して緩むことに対する抵抗を提供するように構成されている。ポリマーリング17は、頭部14の雌ねじ山付き壁と一体的に形成することができるか、またはそうでなければ雌ねじ山付き壁に貼り付けることができる。ポリマーリング17は、頭部14を軸12に固定するように構成されている。ポリマーリング17は、受動的な圧縮頭部係止機構を構成する。
【0030】
図5~
図8に示すように、頭部14は、歯15および/またはポリマーリング17に対して代替的にまたはそれらに加えて、骨ねじの軸12と係合するように構成された頭部14の半径方向内側の壁に結合され、これに配置された複数のスパイク20を有する係止機構を備えることができる。そのようなスパイク20は、能動的な圧縮頭部係止機構を構成する。スパイク20は、係合位置と係合解除位置との間で選択的に動くように構成されており、係合位置にあるスパイク20は、半径方向内側の壁から半径方向内向きに突出し、それによって、軸12に対する頭部14の回転を防止するように軸12を係合するように構成されている。使用時には、ねじ回しは、
図5および
図6に示す4つの溝22に、頭部14の近位側の12時の位置と、3時の位置と、6時の位置と、9時の位置とで係合する。隣り合う溝22から等間隔にある4つの溝22が図示され説明されているが、溝および関連するスパイク20の数は、所望のように調整することができることを理解されたい。
図5の9時の溝では、レバー24(これは、例えば、レバー、ボタン、または楔として形成することができる)がその溝22の1つ以上の壁から突出して示されている(頭部14は、スパイク20と結合されたレバー24を有している)。ねじ回しをこれらの溝22に係合させない場合、
図5に示すように、スパイク20は、頭部14の半径方向内側の壁から(半径方向内側の壁のねじ山のないセクション、ねじ山付きセクション、またはねじ山のないセクションとねじ山付きセクションとの両方から)突出し、ひいては、係合位置にある。この係合位置では、スパイク20が突出し、それによって軸12との干渉を引き起こし、頭部14が軸12に対して回転することを防ぎ、頭部14を所定の位置に係止して、頭部14が変位することによって組織内の圧縮を失うリスクを減少させる。ねじ回しを溝22に係合させると(
図6はねじ回しを示していないが、ねじ回しが溝22にあるときに頭部14がどのように見えるかを示している)、ねじ回しは9時の溝22のレバー24に接触し、それによって、そののちにスパイク20が係合解除位置にあるように、スパイク20が半径方向内側の壁内に後退するか、そうでなければ半径方向内側の壁内への後退の要因となる。スパイク20の後退は、外科医などの使用者が、軸12に対して頭部14を選択的に締めたり緩めたりすることを可能にする。使用者が軸12に対して頭部14を締めたり緩めたりし終わると、ねじ回しが取り外され、スパイク20が軸12との係合位置に戻る。
【0031】
図7~
図8は、スパイク20がそれらの係合位置と係合解除(後退)位置との間でどのように動かされるかをより明確に示している。
図5および
図6の一部が取り除かれた頭部14が示されており、
図7は、頭部14の溝22内に配置されたレバー24とともに、それらの係合位置にあるスパイク20を示している。ねじ回しが頭部14に係合しておらず、ひいては頭部14の溝22内およびレバー24上に嵌まっていないとき、レバー24は9時の溝22内に出ており、これにより頭部14の本体内に移動可能に配置された内側機構26が引っ張られている。レバー24と内側機構26とは、レバー24などの一方の移動が他方の移動を引き起こすように、互いに直接的または間接的に接続され、あるいは互いに対して一体的に形成することが可能である。
図7のようにレバー24が外に出ているとき、レバー24は内側機構26を引っ張っている。内側機構26は、スパイク20がそれらの係合解除(後退)位置にあるとき、対応するスパイク20を収容するようにそれぞれ構成された1つ以上の開口または穴28を有している。
図7~
図8は、1つのスパイク20ひいては1つの対応する開口28を示している。したがって、スパイク20のための開口28は、内側機構26の一部である。内側機構26上のレバー24を引っ張ると、スパイク20が内側機構26内の開口28から、ひいては
図6に明確に示されているように、頭部14によって規定された半径方向内側の空間、すなわち、頭部14の半径方向内側の壁が規定する中央孔内に押し出される。スパイク20は、スパイク20の係合解除位置と係合位置との間で枢動するようにヒンジ29を中心に回転し、ヒンジ29は、頭部14の本体に配置されるか、内側機構26に摺動可能に配置されるか、または任意の適切な構造に配置されてよい。スパイク20がねじ頭部14のこの半径方向内側の孔に押し出されると、スパイク20はねじの軸12に係合し、ひいては軸12に対する頭部14の回転を防止する。レバー24および内側機構26は、スパイク20が係合位置にあるように、ばね、または例えばニチノールなどの形状記憶合金、被駆動機構(図示せず)などの付勢機構によって付勢されてよい。すなわち、ねじ回しがレバー24に係合していない状態では、付勢機構によって、直接的または間接的に、レバー24が9時の溝22に戻り、内側機構26が、スパイク20をそれぞれの穴28から押し出す位置に移動する。
【0032】
図8は、
図5~
図7の頭部14を一部取り除いて示しており、ねじ回し(図示せず)が
図5および
図7の9時の溝22内のレバー24に係合するときの、レバー24と、内側機構26と、スパイク20との位置関係を示している。ねじ回しがレバー24と係合すると(例えば、レバー24を押圧することによって、任意選択的にレバー24上の傾斜面によって、レバー24を溝22の底面に対して横方向に移動させ)、ねじ回しはレバー24を押圧し、それにより内側機構26を押圧し、ひいては内側機構26を移動させる。内側機構26のこの移動は、スパイク20のためのそれぞれの開口または穴28を露出し、スパイク20は、頭部14が軸12に締め付けられると回転運動によって開口28に移動するか、そうでなければ押し込まれ、それによって、軸12はスパイク20と協働して、スパイク12を内側機構26の対応する穴28に移動させる。
【0033】
本発明は、これらの実施形態の頭部14のいずれかを使用する方法をさらに含むことができる。
【0034】
ここで
図9~
図13、より詳細には
図9に目を向けると、本発明の医療用締結具の一実施形態によれば、拡張可能な部分、すなわち中央セクション38と、インサート42を収容するように構成された孔40とを有する軸32を備える骨ねじ30が示されている(拡張可能な部分を形成する中央セクション38は、骨の圧縮を促進するように構成されている)。
図9に示すように、中央セクション38は、半径方向外側の壁において少なくとも部分的に多孔質であってよく、非拡張(未拡張)位置と拡張位置との間で動くように構成されている。インサート42は、孔40内で長手方向に移動し、孔40の近位端部に挿入することができ、少なくとも孔40の中央セクションに、または任意選択で、(
図9に示すように)軸12の遠位先端部にまで圧入することができる。中央セクション38が拡張して骨に半径方向の圧縮を提供して、それによって締結具がより確実に骨に締結されることを可能にする。
図9に示すように、中央セクション38は長手方向に分割され(分割部を形成し)、ひいては分割端部を含むことができ、分割端部は、互いに離れるように、ねじ30の軸32の近位セクション36および遠位セクション39に対して動くことができる。分割端部は、未拡張位置では比較的に互いに近接しており、拡張位置では比較的に互いに離れている。分割部の反対側で、中央セクション38を、軸32の近位セクション36および遠位セクション39に貼り付けることができる。インサート42は、インサート42が孔40内に圧入され、かつ/または孔40内で回転されると、中央セクション38を非拡張位置から拡張位置に動かすように構成され、拡張位置は、骨ねじ30を骨に係止するように構成されている。
【0035】
図10~
図11は、中央セクション38を拡張する1つの方法を示している。すなわち、インサート42は、軸32の遠位端部まで孔40に挿入され、ひいては収容され、そののち、中央セクション38を半径方向に拡張するために、任意選択で、
図10~
図11に示すように90°回すか、または回転させることができる。軸32の半径方向内側の壁は、中央セクションの分割端部に対向する凹部または長手方向に延在する溝もしくは通路44を含むことができる(したがって、孔40は溝44を含む)。インサート42は、互いに反対側の、長手方向に延在する突出部46同士を有することができ、突出部46は、インサート42の半径方向外側の壁に沿って長手方向に、任意選択で、軸32の中央セクション38の長さに対応する長さ、または軸32の全長にわたって延在することができる。突出部46のそれぞれの1つは、溝44のそれぞれの1つに選択的に嵌まるように構成されている。インサート42を分割端部と反対側の溝44に嵌めると、
図10に示すように、中央セクション38は非拡張位置にある。使用者は、インサート42をいずれかの方向に90°回転させ、それによって、
図10の6時の位置から突出部46を解除し、その突出部を
図11に示すように3時の位置または9時の位置のいずれかに移動させることができる。そうすることで、突出部46は、中央セクション38を、突出部46の高さにほぼ対応する距離だけ拡張させる。回転を終えると、突出部46は、3時の位置および9時の位置で孔40内の溝48に嵌まることができ、3時の位置および9時の位置のこれらの溝48は、6時の位置の溝44よりも浅いので、インサート42が十分に回転したことを使用者に触感で示し、インサート42の望ましくない更なる回転を防止することができる。任意選択で、3時および9時の溝48は設けなくてもよい。中央セクション38の拡張位置は、より緊密な締まり嵌めを生じさせることによって、骨ねじ30を骨にさらに係止する。
【0036】
図12~
図13は、中央セクション38を拡張する別の方法を示している。すなわち、インサート42は、軸32の遠位端部まで孔40の中に挿入することができる。
図12に示すように、軸32の孔40は、12時の位置の分割端部に対向する孔40の6時の位置で長手方向に延在する溝44、ならびに孔40の3時の位置および9時の位置に溝48を含むことができ、溝44,48は任意選択で中央セクション38の長さに延在している。インサート42を軸32の遠位端部にまで挿入し、突出部46を6時の溝44に嵌め、そののちにインサート42を回転させて中央セクション38を拡張するのではなく、使用者は、インサート42上の互いに反対側の突出部46同士を中央セクション38の近位端部で3時および9時の溝48に挿入して、そののちにインサート42を軸32の遠位端部にまで押圧することによって開始することができる。3時および9時の溝48は、中央セクション38が実際に半径方向に拡張するように、6時の溝44よりも浅くすることができる。さらに、3時および9時の溝48は、インサート42が正しい位置にあることを使用者に触感で示し、それらの溝48にいったん嵌まったインサート42の望ましくない回転を防止する。インサート42を3時および9時の溝48に挿入し、孔40を通して押圧すると、中央セクション38が拡張される。
【0037】
拡張した中央セクションを採用した本発明は、単顆人工膝関節置換に使用されるように設計された回転カムの概念に基づいている。
【0038】
次に
図14~
図15に目を向けると、本発明の医療用締結具の一実施形態によれば、孔60を有する軸52と、拡張可能な部分、すなわち先端部と呼ぶこともできる遠位端部64(軸52はまた、
図14~
図15に示すように、多孔質であってよい中央セクションを含むことができる)(拡張可能な部分を形成する遠位端部64は、骨の圧縮を促進するように構成されている)を備える骨ねじ50の形態の医療用締結具が示されている。孔60は、インサート62を収容する(ひいては、インサート62を収容するように構成されている)。遠位端部64は、
図14に示すような閉位置(未拡張位置)と
図15に示すような開位置(拡張位置)との間で動くように構成されている。インサート62が軸52の孔60を通って押圧されると、インサート62は、遠位端部64を閉位置から開位置へ動かす。開位置は、骨ねじ50を骨に係止するように構成されている。すなわち、インサート62は、インプラント50の中心を通って押圧されて遠位端部64を拡張し、それによって、腸骨または仙骨などの骨に安定性を提供する。より具体的には、遠位端部64は、
図15に示されるように、枢動可能なフランジ66を有している。
図14~
図15に示されるように、4つまたは別の数のこのようなフランジ66を設けることができる。これらのフランジ66は、軸52のより近接した部分にヒンジ結合され、遠位端部64の半径方向外側の壁にねじ込み可能である。閉位置(未拡張位置)では、軸62の遠位セクション59のねじ山は連続的であってよい。フランジ66の半径方向内側の壁は、軸52の遠位セクション59のより近接した部分の内側の壁の半径よりも小さい半径を有することができる。内側の壁の半径は、漸進的に減少してよく、それによって、インサート62の移動を容易にする。したがって、インサート62が、遠位端部64の半径方向内側の壁の減少した半径に衝突し、軸52の遠位範囲に進むと、4つのフランジ66は、それぞれのヒンジ上で枢動しながら半径方向外向きに拡がる(したがって、フランジ66は、孔60がインサート62を収容するときに、閉位置と開位置との間で動くように構成されている)。使用時に、使用者は、この骨ねじ50と、インサート62とを提供されて、骨ねじ50を骨(仙骨など)の穴にねじ込み、インサート62をねじ50の軸52の孔60に遠位端部64まで挿入し、それによって遠位端部64のフランジ66を閉位置(未拡張位置)から開位置(拡張位置)に動かして遠位端部64が骨に係止されるようにする。
【0039】
ここで
図16~
図18に目を向けると、縫合糸圧縮を提供する、本発明の組織癒合機構70の別の実施形態が示されている。
図16に示されるように、機構は、骨ピン72(骨ねじのような他の医療用締結具を使用することもできる)と、第1のボタン74および第2のボタン76であって、一般的に平坦な側面を有する長円形を有してよい各ボタン74,76と、それぞれのボタン74,76のボタン穴に取り付けられる縫合糸78とを備えている。ボタン74,76は、互いに同一であってよい。ピン72は、長手方向に延在する孔80と、少なくとも1つの溝を有する頭部82とを備えることができる(ピン72はまた、
図16~
図18に示すように、それぞれが多孔質であってよい、中央セクションと、遠位端部とを有することができる)。
図16は、縫合糸78がボタン穴を介してボタン74,76に結ばれるか、またはそうでなければ取り付けられており、縫合糸およびボタンの組み合わせが、ピン72の孔80にまだ挿入されていない状態を示している。使用者は、ピン72を、(
図19に見られるように)腸骨84であってよい骨に設けられた穴などの第1の骨部分に位置決めする。
図16は、腸骨を示すことなく、腸骨に取り付けられたかのような位置にあるピン72を示しており、ピン72の頭部82は腸骨の外側(外側の表面)上にある。したがって、ピン72が腸骨に挿入された後、
図17に示すように、ピン72の孔80(かかる孔80を任意選択でピンカニューレ80と呼ぶ)に第1のボタン76を通す。第2のボタン76を、(
図19に見られるように)腸骨84の外側からピン72の孔80に通し、仙骨86などの別の骨部分の穴に通す。第1のボタン76が所望の安定した骨(例えば、仙骨)に到達すると、第1のボタン76は、仙骨の穴とピン72のカニューレとを通って戻ることができないように回転される。すなわち、第2のボタン76は、その平坦な側面の1つが仙骨の反対側(後側)に隣り合って位置するように回転され、縫合糸78が、仙骨の穴を通って戻され、ピン72の孔80を通って第1のボタン74まで戻され、縫合糸78が第1のボタン74と結ばれる。縫合糸78はきつく引っ張られ、それによって腸骨-仙骨関節を横切る線形圧縮を提供し、第1のボタン74が貼り付けられる。すなわち、第1のボタン74は、
図18に示すように、ピン72の頭部82の溝に嵌めることができる。縫合糸78は、骨部分(例えば、腸骨-仙骨関節)に対して所望の量の線形圧縮を維持するように、ピン72の頭部82でこの固定ボタン74に堅密に結ばれており、それによって骨部分(例えば、腸骨と仙骨と)の癒合をもたらす。このように、ピン72は、縫合糸78のための導管を提供する。ピン72は、腸骨と仙骨との間の空間に跨がっていてよいが、任意選択でそうでなくてもよい。ピン72がその空間に跨がる場合、ピン72の頭部82は、腸骨の外側表面に載置することができ、ピン72の遠位端部は、縫合糸のための仙骨の穴で仙骨の内側(前方)表面に載置することができる。
【0040】
ここで
図19に目を向けると、
図16~
図18に示されたものと同様の組織癒合機構の実施形態が示されており、骨ピン72または骨ねじがなくなっている。むしろ、
図19の実施形態によれば、カニューレ付き骨ドリル87(
図19では、カニューレ88を備えたドリル87として概略的に示されている)が、部分的に、カニューレ付きピン72の代用となる。縫合糸78およびボタン74,76は、
図16~
図18のものと同様に依然として使用されている。
図19において、各ボタン74,76は、一方のボタン74については腸骨84の外側、他方のボタン76については仙骨86の後側など、骨部分に隣り合って位置し、縫合糸78は、互いに反対側の端部でボタン74,76のボタン穴に取り付けられ、ボタン74,76および縫合糸78が共に圧縮を提供し、それによって骨部分を共に癒合させる。使用時には、腸骨84に穴を穿設するために、カニューレ付きドリル87が使用される。同一のドリル87は、いったん腸骨84を通ると、仙骨86に対応する穴を穿設するために進むことができ、代替的に、同一のドリル87、または別のドリル87は、仙骨86に穴を穿設するために再配置することができる。縫合糸78の互いに反対側の端部は、それぞれの端部をそれぞれのボタン74,76の2つのボタン穴に結びつけることによって、それぞれのボタン74,76に取り付けられる。ボタン76は、本明細書においてさらに明らかになる理由から、本明細書ではさらに「初期固定ボタン」と呼ばれることになる。初期固定ボタン76を、ドリル87のカニューレ(別の言い方をすれば孔)ひいては腸骨84の穴に通し、ドリル87が仙骨86の穴も穿設するように進む場合、初期固定ボタン76は仙骨86の穴を通過すると同時に、ドリル87のカニューレを通過する。初期固定ボタン76は、仙骨86に穴が穿設された後、仙骨86に貼り付けられる。初期固定ボタン76は、平坦な表面が仙骨86の外側(後側)表面に隣り合って係合するように回転され、縫合糸78は仙骨86の穴を通って、カニューレ付きドリル87を通って他方のボタン74に戻るように進行する。ドリル87が(複数の)骨から取り外され、腸骨84と仙骨86との間に線形圧縮を生じさせるために、縫合糸78がきつく引っ張られ、他方のボタン74が腸骨84の外側表面(外側の表面)に貼り付けられる。
図19に示すように、この処置は、ボタン74,76および縫合糸78のそれぞれのセットで2回以上行うことができる。したがって、縫合糸78およびボタン74,76は、癒合が起こるまで、仙骨-腸骨関節を横断する初期圧縮を提供する。
【0041】
ここで
図20を参照すると、組織84,86(骨組織84,86など)を共に癒合する方法90の流れ図が示されており、方法90は、縫合糸78と、第1のボタン74と、第2のボタン76とを提供するステップ91であって、縫合糸78が、第1の端部と、反対側の第2の端部とを含んでいる、提供するステップ91と、第2の端部を第2のボタン76に取り付けるステップ92と、第2のボタン76を、第1の骨部分84を通って延在する機械的な孔80,88に通すステップ93と、第2のボタン76を第2の骨部分86に貼り付けるステップ94と、縫合糸78と、第1のボタン74と、第2のボタン76とによって第1の骨部分74と第2の骨部分86との間に線形圧縮を生じさせるステップ95と、を含む。さらに、機械的な孔80は、締結具72によって形成することができる。さらに、機械的な孔88は、骨ドリル87によって形成することができる。
【0042】
本発明は、少なくとも1つの実施形態に関して説明されてきたが、本発明は、本開示の精神および範囲内でさらに変更することが可能である。したがって、本願は、その一般原理を用いた本発明の任意の変形、使用、または適応をカバーすることを意図している。さらに、本願は、本発明が関係する技術分野において公知または慣例的な実施に含まれるような本開示からの逸脱を対象とすることを意図している。
【外国語明細書】